ヒューペルジンAの作用 認知症に対する Huperzine A の新規作用メカニズム 2014年4月6日 Huperzine A とは ① シダ植物 Huperzia serrata (トウゲシバ)から得られる、シダアルカロイド。 ② 高い選択性と可逆性を持った、強力なアセチルコリンエステラーゼ(AChE) 阻害作用を有し、中国、アメリカを中心に、認知症に対する研究が行われ ている。 ③ AChE阻害作用の他、NMDA受容体拮抗作用も報告されており、メマンチン様 の作用も期待できる。 Huperzine A の化学構造 Molecular Weight 242.3162 Molecular Formula C15H18N2O Melting point 217-219℃ 1 Huperzine A は強力な AChE 阻害剤 ① 前膜 コリンアセチルトランスフェラーゼ Hup.A ChAT (1) 後膜 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の作用部位 (1) ACh 分解酵素であるアセチルコリンエステ ラーゼ (AChE) を競合阻害することにより ACh の分解を減らし, ACh の神経伝達効率をあげ、AD の中核症状を改善させる. (2) ニコチン性 ACh 受容体の作用をアロステリックに増強し, ACh を含む 神経伝達物質の遊離を促進する. (3) BuCh 分解酵素であるブチリルコリンエステラーゼを阻害する。 下濱 俊、日薬理誌 131, 2008 351-356 の図を一部改変 2 Huperzine A は強力なAChE阻害剤 ② Hup.A および対照薬の覚醒ラット大脳皮質アセチルコリン量に及ぼす作用 Hup.A は覚醒ラットの大脳皮質アセチルコリン量を増加させた。その活性は、モル比較で、ドネペ ジルの8倍、リバスチグミンの2倍であった。 Hup.A の活性は対照薬に比べて持続的であった。 Liang, Y.Q.; Tang, X.C. : Neurosci Lett 2004, 361(1-3): 56-59 3 Huperzine A はNMDA受容体拮抗作用を持つ Hup.A Huperzine A は、メマン チンと同様にグルタミン 酸の代わりにNMDA受 容体に結合し、拮抗作 用を及ぼす事で、Caイ オンの後膜への流入を 阻止し、神経細胞の障 害を防ぐ働きがある。 Nikkei Medical 2011.2, 61p 4 Huperzine A = AChE阻害作用 + NMDA受容体拮抗作用 AChE 阻害薬 NMDA 受容体拮抗薬 NMDA(N-methyl-D-aspartate ) Huperzine A (Hup.A と略) 杉本 八郎、日薬理誌 131, 2008 338-340 の図を一部改変 6 認知症に対する Huperzine A の新規作用メカニズム Hai-yan Zhang : Acta Pharmacol Sin (2012), 33: 1170-1175 5 Huperzine A は抗アポトーシス作用を介して認知症を改善させる カスパーゼカスケードにおけ るHup.Aの作用点 ①P53、Bax遺伝子の過剰な発現を 抑制する ②Bcl-2遺伝子の活性化を促進する ③シトクロムCがミトコンドリアから細 胞質へ漏出することを抑制する ミトコンドリアの膜透過性が変化 ④カスパーゼ3の活性化を阻害する Hup.Aは、抗アポトーシス作用にお いて、多くの作用点をもつ。 DNAの断片化 6 Wang R, Tang XC:Neurosignals. 2005;14(1-2):71-82. Review. Huperzine A は抗アポトーシス作用を介して認知症を改善させる アルツハイマー病 脳血管性認知症 虚血、酸欠 栄養枯渇 酸化的ストレス Aβオリゴマー Aβ蛋白の蓄積 タウ蛋白の神経細胞 内の蓄積 Apoptosis 抑制 認知症改善 7 Wang R, Tang XC:Neurosignals. 2005;14(1-2):71-82. Review. Huperzine A はアポトーシスを抑制する ① 血清枯渇処置ラット皮質神経細胞のアポトーシスに及ぼす huperzine A の作用 ・ 血清枯渇処置ラット皮質神経細胞 ・ Hup.A(1μM)にて2時間前処理 Results of quantitative determination of apotosis rate by flow cytometric analysis. Data are expressed as means ± S.D. ##p<0.01 compared to control group. **p <0.01 compared to serum deprivation group. アポトーシス誘発ラット皮質神経細胞におい て、Huperzine A (1mM)は、アポトーシスを 約 15 % 抑制した。 Zhou J, Tang XC.:FEBS Lett. 2002 Aug 28;526(1-3):21-5. 8 Huperzine A はアポトーシスを抑制する ② 血清枯渇処置ラット皮質神経細胞の Casupase 3 活性に及ぼすHup. A の作用 アポトーシス誘発ラット皮質神経細胞において、Huperzine A (1mM)は、カス パーゼ3活性およびシトクロムCの漏出を抑制した。 Zhou J, Tang XC.:FEBS Lett. 2002 Aug 28;526(1-3):21-5. 9 Huperzine A はアポトーシスを抑制する ③ 電気泳動によるDNAラダーの検出 1. 2. 3. 4. DNAサイズマーカー コントロール 血清枯渇処置検体 Hup.A 前処理後 血清枯渇処置検体 Hup.A (1mM) 前処理により、DNA断片化が 抑制された カスパーゼカスケードにおける多段階で Hup.Aが作用し、アポトーシスを抑制 Zhou J, Tang XC.:FEBS Lett. 2002 Aug 28;526(1-3):21-5. 10 Huperzine A はアポトーシスを抑制する ④ 断片化されたDNAおよび神経細胞の形態学的観察 【 コントロール 】 DNA、核および神経細胞の断片化 は観測されない 【 血清枯渇処置検体 】 アポトーシスが進行し、DNA、核お よび神経細胞が断片化されている のが確認できる 【 Hup.A 前処理後 血清枯渇処置検体 】 DNA、核および神経細胞が一部断 片化されているが、B、Eに比してそ の割合が低い事が確認できる Zhou J, Tang XC.:FEBS Lett. 2002 Aug 28;526(1-3):21-5. 11 Huperzine AはNGF産生を亢進し、神経突起の伸長を促進する① NGF/g・L-1 Huperzine A のNGF産生亢進作用 5.5 % Control NGF = Nerve Growth Factor (神経成長因子) Hup.A は、ラット皮質星状細胞におい て、NGF産生を亢進した Hup.A (10 umol/L, 48h) Tang LL, Wang R, Tang XC.:Acta Pharmacol Sin. 2005 Jun;26(6):673-8. Huperzine AはNGF産生を亢進し、神経突起の伸長を促進する② PC12 細胞の神経突起の伸長に対する Huperzine A の作用 5.5 % (C) 10 mmol/L Hup.A (B) 1 mmol/L Hup.A 8.4 % (D) 2 mg NGF Cell with neurite % of total cells (A) Control Control NGF (2ug/L) Hup.A:umol・L-1 (48時間処理) 10.4 % 14.2 % Hup.A は、量依存的にNGF産生を亢進 し、神経突起を有する細胞数を増加さ せた。 Control に比して、細胞の生存率には影響なし。その他、細胞毒性 を示すサイン(LDHリリース)も認められなかった。 Tang LL, Wang R, Tang XC.:Acta Pharmacol Sin. 2005 Jun;26(6):673-8. 12 軽度から中等度のアルツハイマー病 に対する Huperzine A の第Ⅱ相試験成績 -(ADAS-cog score)- Hup.A は、アルツハイマー病 に対し、400 mg BIDで有効 0 6 11 16 Weeks Rafii MS, Walsh S, Little JT, Behan K, Reynolds B, Ward C, Jin S, Thomas R, Aisen PS; Alzheimer's Disease Cooperative Study. Neurology. 2011 Apr 19;76(16):1389-94. doi: 10.1212/WNL.0b013e318216eb7b. 13 血管性認知症に対する Huperzine A の効果 MMSE CDR * 24 2.5 55 Hup.A 22 Control 2.0 * 20 1.5 16 1.0 * 0.5 14 Control Hup.A * Control 50 45 18 12 ADL Hup.A 40 * 35 * 0 4 8 Week 12 Control (vitamin C) 100mg BID Hup.A 100mg BID 0 0 4 8 Week 12 30 0 4 8 Week 12 Data are expressed as mean ± SD * P < 0.01 versus respective values in control group and values prior to begin of the treatment MMSE、CDR、ADLとも治療後8週間から有意にスコアが改善された Hup.A は、血管性認知症に対し 100 mg BIDで有効 血管性認知症に対して、Huperzine A はアルツハイマー病に対する治療用量の ¼ で有効 Xu ZQ, Liang XM, Juan-Wu, ZhangYF, Zhu CX, Jiang XJ; Cell Biochem Biophys. 2012 ;62(1):55-58. 18 血管性認知症に対する Huperzine A の効果 被験者の背景 Placebo (n = 39) Hup.A 100mg BID (n = 39) 72.3 ± 6.9 71.8 ± 7.2 26/13 24/15 15.8 ± 3.9 16.6 ± 4.8 既婚率 (yes/no) (%) 35/4 (89.74) 36/3 (92.31) 喫煙率 (yes/no) (%) 25/14 (64.10) 23/16 (58.97) MMSE score 16.95 ± 2.25 16.52 ± 2.17 CDR score 1.91 ± 0.27 1.85 ± 0.22 ADL score 47.23 ± 5.97 47.51 ± 6.75 項 目 年齢 性別 (男性/女性) 教育年数 Data are expressed as mean ± SD Xu ZQ, Liang XM, Juan-Wu, Zhang YF, Zhu CX, Jiang XJ; Cell Biochem Biophys. 2012 ;62(1):55-58. 19 ラットの慢性脳低灌流により低下した認知機能に対す るHuperzine A の効果 A:プラットホームへの脱出時間 B:プラットホーム(1/4)領域の滞在時間 プラットホーム Hup.A は虚血性認知症モデルラットに おけるモリス水迷路試験において、認 知機能を優位に改善した Wang LM, Han YF, Tang XC : Eur J Pharmacol. 2000 Jun 9;398(1):65-72. 20 Huperzine A に関する まとめ ① AChE阻害作用 ② NMDA受容体拮抗作用 ③ 抗アポトーシス作用 ④ NGF産生を亢進し、神経突起の伸長を促す ④ ADに対し、400μgで有効(第Ⅱ相試験,米国) ⑤ 血管性認知症に対し、100μgで有効 神経細胞を強化する、オールラウンドな 脳賦活サプリメントとして期待 21 認知症対策サプリメント 「メモリン」 (1) 「メモリン」とは? メモリンは、認知症の予防、さらには軽度認知症に対する認知機能の改善を目的とし て作られたサプリメントです。 多くの臨床成績データを元に、トウゲシバエキス末、クルクミン、DHA、ビタミンB群な ど健康な脳機能の維持、認知機能の改善作用に優れた原材料を厳選配合しました。 (2) 有効成分 と 配合目的 クルクミン トウゲシバ 深海鮫肝油 スクワレン 吸収UP 黒胡椒成分 ピペリン DHA (ヒューペルジンA) ・脳神経細胞に溜まった タンパク質を除去 ・脳神経細胞を保護 予防療法 脳内神経伝達物質の 量を増やすはたらき ・集中力向上 ・血液をサラサラにし 血管性認知症を予防 対症療法 予防療法 原因療法 ビタミンB群 その他 (B6、B12、葉酸) 脳の萎縮を押さえる はたらき 対症療法 予防療法 抗酸化作用の高い アンチエイジング ビタミン(C、E) 予防療法 22 認知症対策サプリメントの研究開発 クルクミンの血中濃度測定 25.00 弊社商品A 被験者: 弊社商品B 被験物質: 健常人各5名(クロスオーバー) 弊社商品B クルクミン血中濃度 (ng/mL) 20.00 ウコンの力 15.00 弊社商品A BCM-95 10.00 5.00 BCM-95 ウコンの力 カフー(120)クルクミン120mg+ピペリン10mg+スクワレン223mg カフー(360)クルクミン360mg+ピペリン30mg+スクワレン669mg ウコンの力 クルクミン30mg BCM-95 クルクミン360mg+ピペリン30mg 血中濃度測定: 経口服用後の血漿をβ -グルクロニダーゼ 処理後、 クルクミンの 血中濃度を測定した。 クルクミンにピペリン、スクワレンを配合した製剤は、他社ウコン製 品より血中クルクミン濃度が高かった。 0.00 0 15 30 45 60 75 90 105 Time (min) Group Tmax (min) カフー(120) 83 ± 29 75 ± 21 24 ± 13 BCM-95 79 ± 14 2.21 ± 1.05 1.72 ± 1.27 821.16 ± 1171.04 801.60 ± 596.57 80.09 ± 72.12 55.92 ± 76.61 AUC90min (ng*min/mL) 646.13 ± 971.82 557.97 ± 536.07 88.74 ± 70.48 55.92 ± 76.61 AUClast (ng*min/mL) 17.64 23.48 ± ウコンの力 23.62 Cmax (ng/mL) 14.15 ± カフー(360) 23 レキオファーマ株式会社 会社沿革 平成 3年 2月 平成 7年 5月 平成11年 平成12年 平成12年 平成15年 9月 4月 8月 3月 平成17年 3月 平成20年10月 平成23年 4月 平成25年10月 株式会社中薬研を設立(本社:沖縄県那覇市) 吉富製薬株式会社(現:田辺三菱製薬株式会社)との痔疾患治療薬OC-108の 共同開発に着手 OC-108前期第Ⅱ相臨床試験終了 レキオファーマ株式会社に社名変更 OC-108第Ⅲ相試験終了 厚生労働省より新医薬品ジオン(OC-108)の製造承認取得 (取得者:現 田辺三菱製薬株式会社) 「ジオン注」販売開始 健康食品産業へ参入。ウコン関連商品の発売。 完全子会社「琉球バイオリソース販売株式会社」の営業開始 認知症対策サプリメント「メモリン」の販売開始 24
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