(様式4) 別 紙 ( A4判 賀 野 ) 2 論文審査の結果の要旨 学位申請者 佐 健 本論文は、スポーツ指導において利用頻度の高いビデオカメラからの映像を、球技スポ ーツの分析を念頭にした新しい DLT(Direct Linear Transform)法を用いて解析する独自の システムを構築するとともに、バレーボールを対象にその妥当性、有用性の検証を行った ものであり、以下の全6章から構成されている。 第1章では、DLT 法を用いて分析が行われたこれまでの先行研究を検討・総括し、これ らの研究における問題点を明らかにしている。 第2章では,DLT 法を用いた実空間座標を求める方法ならびに本研究で開発した DLT 法 を用いた新しい球技分析システムについて述べられている。陸上や水泳等対象物(選手) の移動する空間が予め決まっている場合は、対象物の移動に伴ってカメラが移動してもそ の映像を解析できるパンニング DLT 法が既に開発されているが、移動する空間が未知の球 技には不向きである。ここでは,球技スポーツのような異なる空間座標でのプレーを座標 変換し,同一空間座標でのプレーとして比較検討する新しい手法の開発を行っている。 さ らに対象物の大きさ(身長)や対象の運動時間を規格化・平均化する手法について述べて いる。 第3章では、世界的なレベルのバレーボールチームを対象に、対象物の同一空間座標へ の置換ならびに規格・平均化を2次元 DLT 法で行い、戦術的なゲーム分析例としてサーブ レシーブからのコンビネーション攻撃に対する守備隊形を解析している。その結果、各チ ーム毎に特徴的な守備隊形のパターンが存在していることを立証した。 第4章では,対象物の同一空間座標への置換ならびに規格・平均化を2次元 DLT 法で行 い、運動学的な動作解析例としてコンビネーション攻撃に対するセンターブロッカーの技 術について解析している。その結果、コンビネーション攻撃に対しては、ブロックを行う センターブロッカーのモデルとなる動作の存在していることを立証した。 第5章では,対象物の同一空間座標への置換ならびに規格・平均化を3次元 DLT 法で行 い、運動学的な動作解析例としてバック・トス技術の技術について解析している。その結 果、一流セッターは頭部を後傾し、上半身を水平位外転させることにより視覚情報を獲得し ながらバック・トスしていることを明らかにしている。 第6章では、本論文の総括を行うとともに本研究成果が、近年スポーツ競技会等でも多 用されるタブレット型 PC に機能搭載されることによって齎される、スポーツ競技の現場の 変容の可能性について言及している。 よって、本論文は工学上及び工業上貢献するところが大きく、博士(工学)の学位論文 として十分な価値を有するものと認める。 審査委員主査 塩野谷 明 印
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