科目名 Course Title 新渡戸スクールⅠ ― スタートアップ [Nitobe Program for Graduate StudentsⅠ, Start-up] 講義題目 Subtitle 責任教員 Instructor 敷田 麻実 [Asami SHIKIDA] (観光学高等研究センター) 担当教員 Other Instructors 大沼 進[Susumu ONUMA](文学研究科), 谷 博文[Hirofumi TANI](工学研究院) 科目種別 Course Type 大学院共通授業科目 開講年度 Year 2015 時間割番号 Course Number 101092(火 5・6),101120(木 5・6) 期間 Semester 1学期(春学期) 単位数 Number of Credits 2 授業形態 Type of Class 対象年次 Year of Eligible Students ~ ナンバリングコード Numbering Code IGS 9052 補足事項 Other Information キーワード Key Words 能力更新力、組織形成力、社会還元力、専門職倫理、社会人基礎力、高度実践(ジェネリック)スキル、ファシリテーション、チームビルディン グ、プロジェクト、プロジェクトマネジメント、マーケティング、社会変革 授業の目標 Course Objectives 新渡戸スクールでの「学習の基本理念」を理解し、自らの学習目標や学習の意味を確認したうえで、新渡戸スクールが養成を目指す 3+1 の 力の習熟や今後の学習に必要な「高度実践スキル」を身につけることを目指す。 到達目標 Course Goals この科目を受講した学生は、 ・新渡戸スクールの目指す学習の意味を説明できる ・新渡戸スクールの学習の基本パターンを理解し説明できる ・会議や活動を活性化するファシリテーションの重要性を理解し、2 期以降の科目で実践できる ・チームで新たな知識を創るプロセス(「共有」「発散」「収束」「決定」などのパターン)とファシリテーターとしての能力(「観察」「傾聴」「質問」 「図解」「省察」を機会に応じて発揮できる ・効果的なチームビルディングを行い、チーム運営ツール(活動の枠組みのデザイン・ミッション・目標・プロセス等)、問題解決スキルを使 用し、提案を創り出せる ・チームメンバーの力を引き出すコミュニケーションツールやノウハウ(聴き方、問いかけ方、褒め方、励まし方等)の必要性を理解し、実践 できる ・チームの考えを効果的にプレゼンテーションできる。 ・「プロジェクト」と「プロジェクトマネジメント」の概念(組織・プロセス)を理解し、言語と図解で説明できる ・あるプロジェクトを進めるためのミッションとビジョン、タスクを言語化できる ・プロジェクトを進めるための組織や役割分担を明確にし、スケジュール立案のための「ガントチャート」を描くことができる ・公平性や公共性などの価値と道徳原則への当事者としての関与を説明できる ・専門家の社会的意味や社会的役割を説明できる ・社会変革の必要性や意味、専門家としての評価と社会貢献の意味について説明できる ・「マーケティング」の意味と専門家にとっての必要性について説明できる ・マーケティングを自らの研究や活動に応用できる。 ことを目指す。 授業計画 Course Schedule ●第 1 回 新渡戸スクールガイダンス 【事前課題】 なし 【授業内容】 受講者と「アイスブレイク」をすることで、チーム学習のための「準備運動」をした後、学習のための自己紹介や教員紹介を行い、これから新 渡戸スクールで一緒に学ぶ学生が関係性を構築するスタートとする。 まず、新渡戸スクールの設置目的やそこでの学習の意義、学ぶ目的など、新渡戸スクールで学ぶ意味を共有する。 次に、この科目の学習目標と学習内容を説明し、ファシリテーション、マネジメント、社会変革論、専門職倫理、マーケティングについての概 要を伝える。次に学び方、チームで学ぶ重要性や有効性について説明する。さらに授業の評価や評価手法について必要な内容を説明し た後、科目ポートフォリオの意味と作成の仕方を共有する。また、この授業実施上のルールや授業日程などについて相談する。 さらに、知識創造理論や組織学習理論を紹介し、「学習プロセス」や「学習理論」、イノベーション、マネジメントの重要性、チーム・リーダー 論などについて共有する。ここで、入門用教材(研究室活動などの事例)を用いたチーム活動を体験し、リーダーをはじめとするチーム内の 役割の意味やチームで何かをまとめる議論を体験し、まとめた内容を発表してふり返りを行う。 最後に、グローバル化時代における専門家の役割や姿、新渡戸スクールで身につける力との専門性との関連を説明し、全科目を通した知 識創造プロセスを理解する。 【事後課題】 ポートフォリオの入力 【評価】 なし 【参考文献】 野中郁次郎・紺野登(1999)『知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代―』,筑摩書房,238p. 松尾睦(2006)『経験からの学習 - プロフェッショナルへの成長プロセス』,同文館出版,270p. センゲ=ピーター=M(2011)『学習する組織 システム思考で未来を創造する』,英治出版,581p. 柴田友厚(2012)『日本企業のすり合わせ能力―モジュール化を超えて』,NTT 出版,178p. 大久保幸夫(2004)『仕事のための 12 の基礎力〜「キャリア」と「能力」の育て方〜』,日経 BP 社,191p. 一色正彦ほか(2013)『理系のための交渉学入門』,東京大学出版会,142p. ●第 2 回 チームビルディングとファシリテーション 【事前課題】 ファシリテーションの意味について参考文献を読んで概要を調べてくる 【授業内容】 チームで新たな知識を創るプロセス(「共有」「発散」「収束」「決定」などのパターン)などファシリテーションによる効果的な会議運営をチーム 活動で学ぶ。 まず、アイスブレイク実施後、講師からファシリテーションの考え方や基本的なスキル(「観察」「傾聴」「質問」「図解」「省察」)を説明したあと (60 分)、チームわけとチームビルディングを行う(10 分)。 次に、提示された「事例 1」を使い、ファシリテーターがいるディスカッションを実習することで、チームで提案を創り出す学習プロセスと効果 的なファシリテーションのプロセスを学ぶ(50 分)。ディスカッションした結果は各チームからプレゼンテーションし(各チーム 3 分=20 分)、相 互評価(ふり返り)する(10 分)。 事例 1 の終了後にふり返りを行い、ファシリテーションのプロセスやスキルを復習したあと、ツール(活動の枠組みのデザイン(ミッション、目 標、プロセス等)について解説を受ける。さらに、チームメンバーの力を引き出すコミュニケーション方法やノウハウ(聴き方、問いかけ方、 褒め方、励まし方等)、問題解決スキル(ポジショニングマップや SWOT)、ファシリテーショングラフィックについての説明を受ける(30 分)。 以上で本日のふり返りを行い、次回の授業までの課題を説明する。 【事後課題】 映画「12 人の優しい日本人」の視聴(教員から視聴方法を案内)、 ポートフォリオの入力 【評価】 授業中の活動内容、発表内容とプレゼンテーション 【参考文献】 フラン・リース(Fran Rees)/黒田由貴子+P.Y.インターナショナル訳(2002),ファシリテーター型リーダーの時代,プレジデント社,294p. 堀公俊(2004),ファシリテーション入門,日本経済新聞社,東京,197p. 堀公俊・加藤彰(2006)『ファシリテーション・グラフィック』,日本経済新聞出版社,221p. ウェスト=マイケル=A(2014)『チームワークの心理学 エビデンスに基づいた実践へのヒント』,東京大学出版会,394p. 谷益美(2014) 『リーダーのための!ファシリテーションスキル』, 編,すばる舎, 東京都, 254p. グロービス(2014) 『ファシリテーションの教科書 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダシップ』, 編,東洋経済新報社, 東京都, 204p. 太田信之(2014) 『外資系コンサルが実践している英語ファシリテーションの技術』, 編,日本経済新聞出版社, 東京都, 205p. ●第 3 回 ファシリテーションとクリエイティブな議論 【事前課題】 なし 【授業内容】 アイスブレイク実施後、前回のふり返りを行いファシリテーションのプロセスやスキルを復習したあと、チームビルディングし、チームの役割 分担を決定する(20 分)。 まず、「事例 2」を実習する。事例 2 では、回答が複数ある問題をチームで解き、チームのミッションや目標プロセスを明確にした後、前回の 授業で説明を受けたツールを最低 1 つ使いながら分析する(60 分)。そして、すぐれた提案をチームで作成してプレゼンテーションする(各 チーム 3 分=20 分)。その後ふり返りを行う(10 分)。 続く「事例 3」では、役割分担を交替し、新たなサービスや商品を創出する「クリエイティブ」な議論の実習を行う。チームのミッションや目標 プロセスを明確にした後、事例 3 に従ってサービスや商品のプロトタイプやビジネスモデル作成と提案を行い、結論をまとめて提案(レポー ト)を作成する(80 分)。 【事後課題】 プロトタイプやビジネスモデル作成の提案をチームで完成して提出する。ポートフォリオの入力。 【評価】 授業中の活動内容、チームによるプレゼンテーションの内容及びプロトタイプやビジネスモデル作成の提案内容 【参考文献】 第 2 回に同じ ●第 4 回 プロジェクトマネジメント-1 【事前課題】 指定している参考文献を読んで、マネジメントについての理解を深めてくる。 【授業内容】 まずプロジェクトとは何か、プロジェクトマネジメントとは何かについての講義を行う。 その後、プロジェクトを進めるうえで不可欠な、目的と目標の設定、実施作業の明確化、不確実性への対処など関する知識と技法を学び、 簡単な実践演習を通じてプロジェクトマネジメント計画の立案に必要な基礎素養を習得する。 ①プロジェクトとプロジェクトマネジメント、身近なプロジェクト事例 ②目的と目標の設定:目的と目標の違い、プロジェクトスコープを決める ③実施作業の明確化:WBS(Work Breakdown Structure)、スケジュール作成、マイルストン ④不確実性への対処:プロジェクトの不確実性とリスクマネジメント ⑤プロジェクト計画の立案:プロジェクト計画の必要性と構成要素 【事後課題】 ポートフォリオの入力。 【評価】 授業中の活動内容、提出課題(プロジェクト計画書)、振り返りレポート 【参考文献】 広兼修(著)トレンド・プロ(編集)さぬきやん(イラスト)(2011)『マンガで分かるプロジェクトマネジメント』,オーム社 G.マイケル キャンベル,サニー ベーカー, G.Michael Campbell,Sunny Baker,中嶋 秀隆(2011)『世界一分かりやすいプロジェクト・マネジメ ント【第3版】』,総合法令出版 ●第 5 回 プロジェクトマネジメント-2 【事前課題】 なし 【授業内容】 プロジェクトマネジメントを体験するためにストロータワーを創る演習をチームで行う。演習は次のような手順で行われる。 ①クライアント(プロジェクトオーナー)役の講師から期待するタワーの要件を伝える ②タワー構想のデッサン作成(各自) ③タワー製作に当たってのメンバー間の役割分担や作業スケジュールを整理したプロジェクト計画書の作成 ④チームとして、タワーのデッサン、設計図等作成 ⑤タワー製作 ⑥クライアントによる評価 同時に、チームごとにマネジメントの観点からチームとしての取り組み経過を振り返り、その内容(反省点、改善すべきであった点等)をレポ ートに整理する。その際、成果品の質とチームメンバーの納得度の関連などについても振り返りを行う。 ⑦評価結果の発表 最後に講師から2週間の授業を総括して、プロジェクトマネジメントについて補足説明を行う。 【事後課題】 振り返りレポート、ポートフォリオの入力 【評価】 授業中の活動内容、提出課題(プロジェクト計画書)、振り返りレポート ●第 6 回 社会変革意識の涵養 【事前課題】 なし 【授業内容】 社会起業家(外部講師)から、社会変革の必要性や意味、専門家としての役割について実践的な講義を聞き、質疑応答を行う(以上 80 分)。 次に、チームで社会変革の意味や必要性、実際の活動を議論し、「社会起業家の育成方法(予定)」についての提案をまとめる(休憩含み 60 分)。その後、各チームで結果を発表し(各チーム 5 分=30 分)、その後、招いた社会起業家を交えて、社会的企業や社会起業家の可能性 や課題を議論する(20 分)。 【事後課題】 外部から招聘した社会起業家の持つミッションやビジョン、社会にとっての意味をショートレポートにまとめて提出する。ポートフォリオの入 力。 【評価】 レポート、プレゼン、授業中の活動内容 【参考文献】 森博嗣(2013)『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』, 新潮社, 208p. 渡邊奈々(2007)『社会起業家という仕事 チェンジメーカーⅡ』, 日経 BP 社, 東京都, 283p. ウッド=ジョン(2007)『マイクロソフトでは出会えなかった天職 ぼくはこうして社会起業家になった』,ランダムハウス講談社, 東京都,287p. ●第 7 回 専門職倫理の重要性 【事前課題】 事前に提示された専門家のジレンマの課題についてショートレポートをまとめる。 【授業内容】 教員から専門分野における倫理的思考や倫理テストなど、専門職として生きていくために必要な知識について講義を受け、提供されたケ ース教材についてチームで議論して解決案を提示する。その結果を各チームで発表し、全体で意見交換した後、専門職倫理の習得につ いて教員からまとめの講義をする。 【事後課題】 自分の専門分野における専門職倫理のケースを一つあげ、それについてショートレポートにまとめて提出する。ポートフォリオの入力 【評価】 レポート、授業中の活動内容 【参考文献】 黒田光太郎・戸田山和久・伊勢田哲治編(2012)『誇り高い技術者になろう(第二版)』名古屋大学出版会,名古屋,269p. 福井次矢・浅井篤・大西基喜編(2003)『臨床倫理学入門』医学書院,東京,301p 新田孝彦・蔵田伸雄・石原孝二編(2005)『科学技術倫理を学ぶ人のために』世界思想社,京都,287p Anthony Weston(2007),Creative Problem-Solving in Ethics, Oxford University Press, New York,79p ●第 8 回 マーケティング 【事前課題】 ①自分が卒業研究等で行ったテーマを指定されたA4×1枚の横紙資料形式でまとめてくる。 ②北海道大学を受験する学生を増加(質的増加を含む)させるためのプロジェクトを行うと想定し、北海道大学の強み、弱み、機会、脅威をま とめてくる。 【授業内容】 実際に社会で使われているマーケティングプロセスを教員が説明し、研究や開発過程(「イノベーション」と考える)におけるマーケティング の活用を意識することで、研究の効果的な普及や活用を学ぶ。 最初に教員が「マーケティング」の意味と専門家にとっての必要性について簡単な講義を行う。次にグループに分かれ、自らがこれまで行 ったもしくは現在行っている研究について、非専門家(想定は就職の面接官)に対してグループ内で各自 1 分間で説明し相互評価を行う。 次にグループごとに SWOT 分析を行い、北海道大学の受験生の質的・量的向上を目指した PR 戦略のプレゼンシートをチームで作成して 発表する。 【事後課題】 ポートフォリオの入力 【評価】 プレゼンとプレゼンシートの内容 【参考文献】 グロービス・マネジメント・インスティテュート編著(2005)「MBA マーケティング」、ダイヤモンド社 P. コトラー(1983)「マーケティング・マネジメント」、プレジデント社 準備学習(予習・復習)等の内容と分量 Homework この科目では事前に指定する教材(資料や文献)で事前学習した上で、授業で必要な体験や学習機会を提供する。また事後に授業のふり 返りと知識定着のためのレポートなどを課し、事後も関心を失わずに学習する機会をつくる。 成績評価の基準と方法 Grading System この科目では、授業中の活動内容、プレゼンテーション、レポート等の成果物で評価する。 テキスト・教科書 Textbooks 指定しない。 講義指定図書 Reading List シラバスの授業計画で指定。Assigned in the syllabus and introduced in class. 参照ホームページ Websites http://nitobe-school.academic.hokudai.ac.jp 研究室のホームページ Website of Laboratory 備考 Additional Information この授業は新渡戸スクールの主要科目であるため、受講に際しては、新渡戸スクールへの参加が条件となる。 英語および日本語を必要に応じて用いる。詳細は、新渡戸スクールの履修の手引きの中で説明する。 本授業終了後は、新渡戸スクールのカリキュラムマップに従い 2 学期以降(2)グローバル課題科目、(3)課題解決型実践科目、(4)問題発見型 実践科目を受講することを推奨する。
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