2014 基礎力判定テスト 化学 判 ○ 基礎力判定テスト 化 学 解 答・解 説 1 2014 基礎力判定テスト 化学 問 1~問 8 に答えよ。数値は、特に指定が無い場合は有効数字 2 桁で示せ。原子量は、H = 1.0、 C = 12、N = 14、O = 16、S = 32、Cl = 35.5、K = 39 を用いよ。また、気体定数は R 8.3 J mol K 8.310 3 Pa L mol K とし、 log2 0.30 、 log3 0.48 とする。 解答は、解答用紙の所定欄に記せ。 問1 第 3 周期の原子のうち、第一イオン化エネルギーが最小のものは何か。また、電気陰性度 が最大のものは何か。いずれも元素記号で記せ。 【解答】 第一イオン化エネルギーが最小:Na 電気陰性度が最大:Cl 【解説】 同一周期の典型元素では、原子番号が小さい(周期表で左にある)ものの方が第一イオン 化エネルギーが小さい傾向にある。よって、第 3 周期(Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、Ar) では、Na が最も第一イオン化エネルギーが小さい。電気陰性度は、共有結合を形成した場 合に、結合した相手から電子を引く能力の高さを表している。同一周期の典型元素では、 共有結合を(ほとんど)形成しない希ガス(Ar)を除いて、原子番号が大きい(周囲表で 右の)方が電気陰性度が大きい。 問2 質量濃度 27 % の希硫酸のモル濃度はいくらか。この希硫酸の密度は 1.20 g cm 3 とする。 【解答例】 この溶液 1 L 1000 mL 中の H2SO4(分子量 98)の物質量を求める。 1000 mL 1.20 g mL 27 1 3.3 mol 100 98g mol よって、希硫酸の濃度は、 3.3 mol L である。 2 2014 基礎力判定テスト 答 化学 希硫酸の濃度は 3.3 mol L である 【解説】 質量百分率、(体積)モル濃度、質量モル濃度など、濃度の定義をきちんと頭に入れてお く。モル濃度は、溶液 1 L あたりに含まれる溶質の物質量(モル数)なので、 1 L の溶液を 想定すると考えやすい。 問3 27 C で、ショ糖(C12H22O11)が 2.00 g 溶解した 200 mL の水溶液の浸透圧はいくらか。 【解答例】 分子量は、 C12 H 22O11 12 12 22 1.0 1116 342 で、浸透圧 は、ファントホッフの浸透 圧の式より、 2.00 g 342g mol 8.3103 Pa L mol K 300 K 7.310 4 Pa 200 mL となる。 答 浸透圧は 7.310 4 Pa である 【解説】 溶液のモル濃度を C 、気体定数 R 、温度 T のとき、浸透圧 は、ファントホッフの浸透圧 の式より、 CRT となる。 問4 以下の水溶液の pH を小数第 2 位まで求めよ。ただし、水溶液の温度は 25 C で、この温度 での酢酸の酸解離定数を K a 2.0 105 mol L とする。 (1) 0.10 mol L の酢酸水溶液 (2) 0.10 mol の酢酸と、 0.20 mol の酢酸ナトリウムが溶解している水溶液 (3) 0.10 mol L の酢酸ナトリウム水溶液 3 2014 基礎力判定テスト 化学 【解答例】 (1) x H とおく。H+は酢酸の電離で生じたので、 CH 3COO の濃度も x である。 K a が 小さいので、 CH 3COOH 0.10 mol L とみなせ、 Ka H CH 3COO CH 3COOH より、 x 2.0 10 6 mol L と求まる。よって、 1 1 pH log x log 2.0 10 6 0.30 6 2.85 2 2 となる。 (2)弱酸である酢酸の電離と、塩である酢酸ナトリウムの電離を考えると、 CH3COOH 0.10 mol L (ほぼ酢酸の濃度) CH 3COO 0.20 mol L (ほぼ酢酸ナトリウムの濃度) と、みなせる。 Ka H CH 3COO CH 3COOH より、 H CH 3COOH K a 0.10 mol L 2.0 10 5 mol L 1.0 10 5 mol L CH 3COO 0.20 mol L よって、 pH log 1.0 10 5 5.00 となる。 (3) 酢酸ナトリウムは完全に電離して溶解したと考えられる。生じた酢酸イオンは水と反応し、 一部が酢酸と水酸化物イオンを生じるので、酢酸イオンは塩基である。 Kb CH 3COOH OH CH 3COO ここで生じた水酸化物イオンの濃度を y とすると、 4 2014 基礎力判定テスト 化学 y OH CH 3COOH であり、 CH 3COO 0.10 mol L とみなせるので、 Kb y2 0.10 mol L 一方、 Kb CH 3COOH OH H CH 3COO H K W 1.0 10 14 mol2 L2 5.0 10 10 mol L Ka 2.0 10 5 mol L なので、 5.0 10 10 mol L y2 0.10 mol L y 5.0 10 11 mol L よって、 14 2 2 H K W 1.0 10 mol L 2.0 1018 mol L OH 5.0 10 11 mol L これより、 1 1 pH log H log 2.0 10 18 log 2.0 log1018 0.30 18 8.85 2 2 と求まる。 【解説】 (1)弱酸、(2)緩衝液、(3)弱酸の塩の pH を求める問題である。解答例に示したよ うな解法がある。 問5 塩化カリウムを、硫酸酸性の過マンガン酸カリウムによって酸化したところ、塩素を生じ た。この反応の反応式を記せ。 【解答】 10KCl + 2KMnO4 + 8H2SO4 → 5Cl2 + 2MnSO4 + 6K2SO4 + 8H2O 5 2014 基礎力判定テスト 化学 【解説】 半反応式は、 2Cl- → Cl2 + 2e- MnO4- + 5e- + 8H+ → Mn2+ + 4H2O となり、酸化還元反応が電子のやり取りであることから、これら 2 式から電子を消せばよ い。上式を 5 倍、下式を 2 倍して辺々を足し、適切なものを両辺に加えて整理する。 問6 メタノール 10 g を完全燃焼させるのに必要な空気の体積は何 L か。また、この反応で生じ る熱量はいくらか。ただし、27 ℃、1.0 10 5 Pa で、空気は窒素と酸素が体積比 4 : 1 の気体 とし、メタノールの燃焼熱を 730 kJ mol とする。 【解答例】 メタノールの燃焼の反応式は、 2CH3OH + 3O2 → 2CO2 + 4H2O なので、メタノール(分子量 32)1 mol あたり、 3 mol の酸素が必要である。よって、必要 2 な空気の体積は、 3 10 g 8.3110 3 Pa L mol K 300 K 4 1 32 g mol 2 58 L 5 1.0 10 Pa 1 である。また、発生する熱量は、 10 g 730 kJ mol 2.310 2 kJ 32 g mol である。 答 空気は 58 L 、熱量は 2.310 2 kJ である 【解説】 反応量や生成量を求める問題では、係数も間違えないようにして、反応式を作るのが大切 である。この問題では、メタノールの量が与えられているので、メタノールの係数を 1 に した、 6 2014 基礎力判定テスト CH3OH + 化学 3 O2 → CO2 + 2H2O 2 を作業用に作ると、メタノール 1mol あたり酸素が 3 mol 反応することが容易にわかる。 2 問7 60 ℃の飽和硝酸カリウム水溶液が 300 g がある。この水溶液をおよそ 80 ℃に加熱してしば らくすると水が蒸発して、水溶液が 250 g になった。この水溶液をゆっくりとさまし、30 ℃ にしたときに析出している硝酸カリウムの質量はいくらか。整数で答えよ。ただし、硝酸 カリウムの水への溶解度(水 100 g に溶解しうる溶質の質量)は、30 ℃で 45 g、60 ℃で 106 g、80 ℃で 167 g とする。 【解答例】 60 ℃の飽和硝酸カリウム水溶液に含まれている KNO3 の質量を x とおくと、 x 106 g 300 g 100 g 106 g x 154 g と求まる。水を蒸発させた後の、水溶液中の水は、 250 g 154 g 96 g なので、30 ℃にしたときの水溶液に溶解している KNO3 の質量を y おくと、 y 45 g 96 g 100g y 43 g よって、析出する KNO3 は、 154 g 43 g 111 g である。 答 111 g の KNO3 が析出する 【解説】 飽和溶液なら溶解度から、(溶質)/(溶媒) や (溶質)/(溶液) が計算できる。様々な解法が あるが、基本的には混合物である溶液の内訳(溶媒と溶質が何 g ずつ含まれているか)を 押さえることである。 7 2014 基礎力判定テスト 化学 問8 以下の反応の主な生成物を構造式で記せ(構造式は以下の反応式に示された簡略化した構 造式を参考にせよ)。 (1) (2) (3) 【解答】 (1) (2) (3) 【解説】 (1)第二級アルコールを酸化すると、ケトンを生じる。 (2)カルボン酸とアルコールが脱水縮合してエステルを生じる。 (3)ベンゼンをニトロ化して、ニトロベンゼンを生じる。 8 2014 基礎力判定テスト 化学 9 2014 基礎力判定テスト 化学 当コンテンツは、河合塾 KALS 運営法人「㈱KEI アドバンス」に帰属します。 Copyright© 2014 KEI Advanced, Inc. All Rights Reserved. Printed in JAPAN. 本書の全部又は一部を無断で転載・複写することは、著作権法上 での例外を除いて、禁じられています。また、本書は河合塾KALS の受講生に限って配付されたものであり、他への譲渡を禁止します。 乱丁本・落丁本はお取り替えいたします。 10
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