2015.05.09

セルフメディケーションにおける
健康食品(サプリメント)
ビオセラクリニック薬剤部長
自然療法部門(NATHERA)
メディカルサプリメントアドバイザー
薬剤師 酒井美佐子
平成27年度 城西国際大学薬学部
セルフメディケーションからみたサプリメント
セルフケアの観点から、日常の生活習慣を改善し、疾病の予防、
健康維持を図るための有効手段としてサプリメントの効用に注目
講義内容
①補完代替医療の中の健康食品の歴史
②世界の事情(ヨーロッパvsアメリカ・カナダ)
③健康食品の情報源
②健康食品概論
日本の法律で定められている健康食品
保健機能食品
いわゆる健康食品
③日本での健康食品の情報源
④健康食品(サプリメント)の学び方
⑤健康食品を選ぶポイント
⑥症例
補完代替医療
Complementary and Alternative Medicineとは?
補完代替医療とは、現代西洋医学領域外の医学・医療体系
の総称であり、
*全人的医療
(ホメオパシー、ナチュロパシー、アーユルベーダ、中国漢方)
*精神身体療法(瞑想、音楽、ヨガ)
*生物学的治療(サプリ、ハーブ、食事)
*手技によるもの(整体、マッサージ)
*エネルギー療法(気功、レイキ)
その他さまざまな民間療法や、医療としてはまだ認知されてい
ない現代科学的最先端医学なども対象となっている。
補完代替医療の普及の背景
• 現代西洋医学の限界
• セルフメディケーションの意識向上
・ 医療費の急激な増加
• 有効な代替医療を積極的に利用したい医療機関・行政の考
え方(日本では、保健機能食品やスイッチOTCの利用拡大)
• 科学的有効性や有害性の確認
医療の適時適応
有
効
性
統合医療
東洋医学・補完代替医療
現代西洋医学
病期
未病
器質的疾患
末期状態
健康食品(メディカルサプリメント・ハーブ)の歴史
①自然魔術の誕生(紀元前~中世)
・自然薬=ナチュラルメディスンを使う魔女たち
②伝統医学の誕生
・BC400 ヒポクラテス(医学薬学の父)
「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」 の格言
400種類以上のハーブを処方
・四大伝統医学
(アーユルベーダ、ユナニ医学、中医学、チベット医学)
③大航海時代(15~17世紀)
・十字軍の遠征、コロンブス アメリカ大陸発見、
バスコダガマ 新海路発見
→ハーブやスパイスが輸入・輸出される
④医薬品の誕生(19世紀~)
・天然薬物成分の分離
*医薬品の1/4 は、植物由来である。
Morphine (アヘン)→麻薬
Quinine (キナ)→抗マラリア薬
Colchicine (イヌサフラン)→痛風発作治療薬
Atorpin (ベラドンナ)→抗コリン作用、散瞳薬
Cocain (コカ)→局所麻酔薬
Ephedrin (マオウ)→βアドレナリン受容体刺激薬
Salicin (シロヤナギ)→アスピリン→鎮痛薬
Taxol(北米産イチイ)→抗腫瘍薬
・化学合成の発達
シロヤナギの Salicinは、アスピリンの合成へ
⑤近代医学の壁(19世紀後半~)
・抗生物質の発見と限界→耐性菌
・薬害問題→副作用
・西洋医学の壁→対症療法、完治しない
・医療費が膨大になり、セルフメディケーションの意識向上
⑥サプリメントの誕生
・1975年 アメリカでマクガバンレポート(食生活指針)が報告され、
健康への意識が高まる
・1994年 栄養補助食品健康教育法案(DSHEA) が制定されサ
プリメントの販売が管理される
⑦国内のサプリメント
・1991年 保健機能食品制度
・2001年 栄養機能食品
・マクガバンレポート
医療費が増大し、財政的危機感にあったため、慢性病と食事と
の関係について調査し、病気が減らない理由、医療費が下がらない
理由を突き止めた
そのまとめを「米国の食事目標」として報告する
• 炭水化物の比率を(全カロリーの)55-60%に増やす。
• 現在40%の脂質を30%に減らす
• 飽和脂肪酸を10%に減らす。多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪
酸を10%にする。
• コレステロールを1日300mgに減らす。
• 砂糖を15%に減らす。
• 塩分を3gに減らす。
→この目標は以降、5年ごとに改定されている
→栄養素の研究が進み、栄養補助食品健康教育法(DSHEA) が制
定され、サプリメントが明確に位置づけられた
世界からみたサプリメント
伝統的?科学的根拠?
■ 伝統的なハーブ療法
植物が生合成する植物化学成分(フィトケミカル)を用いて
自然治癒力(自己治癒力と自己調整機能)に働きかけ、
疾病予防や治療に役立てる療法をいう。
■ 科学的根拠サプリメント
ビタミン・ミネラルから始まり、機能性をもったサプリメントの
臨床研究があるもの。疾病予防や治療にも併用される。
世界の動向(ハーブの伝統的な歴史のある国)
■ドイツの状況:
・ ハーブ研究が盛んである
・ コミッションE(医薬品として ハーブを利用する場合の安全性
と効果を評価し、医薬品として承認するための組織。)
・ ハイルプラクティカー(代替療法などの治療ができる
資格)が治療をおこなう
・ ホメオパシーの発祥の地である
■イギリスの状況:
・ 自然療法が盛ん
・ レイキなど、スピリチャルの施術が保険適応
・ 国立ホメオパシー病院がある
・ 利用率28% 1位 ハーブ、 2位 アロマテラピー、
3位 ホメオパシー
ドイツ(ハーブの伝統的な歴史のある国)
キャベツ湿布
ハーブからチンキや浸出油を作成
カモミール湿布
自然療法と生活習慣改善に専念するクア
クラス1 適切に使用する場合、安全に摂取することができる
ハーブ
クラス2 記載された植物含有成分の使用に関する資格がある
専門家による特別な指示がない限り、
以下の使用制限が適用されるハーブ
2a : 外用のみ
2b : 妊娠中に使用しない
2c : 授乳期間中に使用しない
2d : 注釈にあるような他の特定の使用制限がある
クラス3 「医療従事者の監督下でのみ適切に使用すること」の
ラベル表示を勧告する重要なデータが
確認されているハーブで、
用量・禁忌・生じうる有害事象・薬との相互作用・
安全使用に関する情報を記載しなければならない
クラス4 十分なデータが入手できないハーブ
「メディカルハーブ安全性ハンドブック」参照
世界の動向(EBMを重視する国)
■米国状況:
1994年 栄養補助食品健康教育法案(DSHEA)成立
サプリメントを「ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸のいずれ
かを含み、通常の食事を補うことを目的とするあらゆる製
品(タバコを除く)」と定義
*商品ラベルに効能を表示
*サプリメント・ハーブ市場の拡大
*食品の副作用をモニタリングする機関が設立
1997年の補完代替医療利用率42%
1位 リラクセーション
2位 ハーブ
3位 マッサージ
世界の動向(EBMを重視する国)
■米国状況:
2000年~ 統合医療が医療の主流に浸透
*125の大学医学部のうち82~100校に代替医療の講義
*全米の病院の37%(1850病院)が統合医療を提供
(2008 American Hospital Association)
*America’s Best Hospitals 2008の
トップ19病院すべてが、統合医療を提供
*医師によるサプリメントの処方が10年間で18倍に($2.8億)
Colorado University Hospital
Integrative Medicine Center
Feb.2003
世界の動向(EBMを重視する国)
■
カナダの状況:
* 食品と医薬品のほかにNHP領域がある(ナチュラル・ヘルス・プロダクツ)
* NHPの規制が厳しい・・・
This product is a Licensed NHP in Canada(NPN 80002821)
(商品ライセンス、パッケージとラベル、工場ライセンス、適正製造基準、
臨床試験、副作用報告)
* エビデンスレベルでラベル表示
Ⅰ:良好にデザインされたランダム化比較試験の系統的レビューおよびメタアナリシス
Ⅱ:ランダム化臨床試験または対照群のない良好にデザインされた臨床試験
Ⅲ:コホート研究、相関研究、症例対照研究
Ⅳ:専門家の見解報告
Ⅴ:伝統的使用
サプリメント専門店のディスプレイと
ハーブ・サプリメント相互作用検索ソフト
ディスプレイ
ハーブ・サプリメント相互作用検索ソフト
http://www.naturaldatabase.com
カナダの状況:
*食品と医薬品のほかにNHP(ナチュラル・ヘルス・プロダクツ)
*NHPの規制が厳しく、エビデンスレベルでラベル表示
*(例)セントジョーンズワート 軽度うつ病
エキナセア
急性上気道感染症
ソーパルメット
軽度良性前立腺肥大症
クランベリー
尿路感染症予防
ガーリック
軽度心臓血管病
NPN 80008419は、『Cranberry 500 mg by
Canadian Bio Supplements Inc』に与えられた番号
* 原材料:Each capsule contains: Vaccinium
Macrocarpon Aiton 25:1 extract (ericaceae, DHE:
12,500 mg) 500 mg. Other Ingredients: Hypromellose.
* 効能効果:Urinary tract infections (UTIs)の予防
* 安全性:耐容性は良好
* 薬との相互作用:ワルファリン、CYP2C9
* 注意事項:アスピリンアレルギー、腎結石、糖尿病
*1
*2
使用目的・推奨使用方法:情動不安や緊張の
鎮静剤として伝統的に使用されてきた。睡眠
障害の治療を助ける。
NPNナンバー
ナチュラルメディシンデータベース
*健康食品の科学的根拠(エビデンス)の指針となるサプリメント大国のアメリカ生まれ
の世界最大級の健康食品データベース。欧米の医師や薬剤師が協力し、長年に渡っ
て収集した科学的根拠に基づいて編纂した権威あるもので、アメリカのFDA(食品医
薬品局)やNIH(国立衛生研究所)をはじめ、欧米各国などの国家行政機関も採用。
http://naturaldatabase.therapeuticresearch.com/home.aspx?cs=&s=ND
Product&Effectiveness&Interaction&Clinical Management
素材情報データベースの検索
疾患で使われる素材情報など
スローンケタリング記念がんセンター
*120年の歴史を持つ世界有数のがんセンター
*1999年、統合医療部門を設立
http://www.mskcc.org/mskcc/html/11570.cfm
Herbs, Botanicals & Other Products
素材情報データベースの検索
日本における健康食品概論
健康食品とは:
普通の食品よりも健康に良いとして販売される食品」を
健康食品と称するが、特別用途食品、特定保健用食品、
栄養機能食品を除いては、法律上(薬事法および食品
衛生法)の定義はない。
したがって、健康食品に係る「健康食品法」が制定され
ていないため、食品が製造される段階から、販売される
過程のなかで、一般食品と同様に複数の法律(薬事
法・食品衛生法・健康増進法・JAS法・景品表示法)に
よって種々の規制を受けている。
2015年4月よりスタート
特定保健用食品(990品目
平成24年3月現在 5175億円)
その基準は別途、厚生労働大臣が定め、許可されたものには消費者庁長官の許可証票が
つけられている。
特定保健用食品に表示できる保健の用途
平成23年4月現在
医薬品との相互作用に気をつけたい特定保健用食品
血圧が高めな方の食品↔ACE阻害薬
アミノ酸の結合体のペプチドには、ラクトトリペプチドやかつお節オリ
ゴペプチドのように、緩やかなアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻
害作用があるため、相加作用の可能性がある
血糖値が気になり始めた方の食品↔αグルコシダーゼ阻害薬
豆鼓エキスには、腸内で、糖質を分解する消化酵素α - グルコシタ
ーゼの働きを抑え、糖質の消化吸収をおだやかにする作用がありた
め、相加作用の可能性がある
血中中性脂肪、体脂肪が気になる方の食品↔抗血小板薬
EPA(エコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)には、中性
脂肪を合成しにくくさせるとともに、脂肪の燃焼を促すので血中の
中性脂肪を減らす働きがあるが、抗血小板作用があるため、相加
作用の可能性がある。手術前には中止するなどの注意が必要。
栄養機能食品の規格基準(ビタミン12種類
、ミネラル5種類)
日本人の食事摂取基準(2010年版
H22~H26)
野菜摂取量の目標量は350g
平成24年国民健康栄養調査より
国民健康栄養調査より、不足がちな栄養素と塩分過剰
男性:食物繊維(摂取基準20gのところ、12~17g)
カルシウム( 600㎎のところ、450~550㎎)
ビタミンC( 100㎎のところ、95㎎、20~40歳代)
ビタミンB1( 1.3~1.4㎎のところ、1.1㎎、20~30歳代)
塩分(8g未満のところ、11.4g)
女性:食物繊維(摂取基準17gのところ、11~15g)
カルシウム( 600㎎のところ、410~550㎎)
ビタミンC( 100mgのところ、85~110mg、20~40歳代)
鉄( 月経あり10.5㎎のところ、6.5~7.4㎎、20~40歳代)
塩分(7g未満のところ、9.6g)
健康食品の表示で知っておくべきこと
◆ 加工食品品質表示基準(JAS法関連)により、健康食品の原材
料表示は、多いものから順番に書かれている
添加物が上位にあるときは、添加物が中心
添加物:乳糖、結晶セルロース、ショ糖エステル、保存料
微粒酸化ケイ素、甘味料、香料、ソルビトールなど
◆ 天然成分と合成成分は表示が異なっている
食材名 → 天然 (アセロラ) (酵母(ビタミンB1含有))
物質名 → 合成 (ビタミンC) (ビタミンB1、VB1)
◆ 原材料にアレルギーをおこすものが入っていないかチェック
特定原材料(食品衛生法):
卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生
推奨:あわび、いくら、オレンジ、キウイ、牛肉、くるみ、鮭、鯖
大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、桃、山芋、リンゴ、
ゼラチン、カシューナッツ、ゴマ
人が生きていくのに必要な栄養素はビタミンとミネラルから
五大栄養素
糖質・・・・・・・エネルギーや細胞を作るために必要な栄養素
脂質
タンパク質
ビタミン・・・・・エネルギーに変えるために必要な潤滑油
ミネラル
(食物繊維)
(水)
摂取すべき栄養素の優先順位
◆ ベースサプリメント(人が生きるために必要な栄養素)
水や空気、3大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)、
微量栄養素(ビタミン・ミネラル)、食物繊維
◆ いろいろな新素材に飛びつくのではなく、基本を見直す
◆ マルチビタミンミネラル商品の特徴をつかむ!
日本の栄養素摂取基準は、欠乏症対策。
アメリカのサプリは、これの数倍~数十倍の栄養素を含む
βカロテンの臨床試験
*β-カロテンの摂取により喫煙者の肺がんリスクが増加するため、
BfArM (ドイツ連邦医薬品審査機関) は喫煙者に対して1日20 mg
以上のβ-カロテンを摂取しないよう勧告している
BfArM schrankt die Anwendung Beta-Carotin-haltiger Arzneimittel ein(04.01.2006)
がんの発生率や死亡率との関連についての報告があるが、現時点ではポジティブな (有効性があると
する) 結果とネガティブな (有効性がないとする) 結果の両方が存在している。
*β-カロテンの経口摂取は、胃に前がん状態の病変があり、リスク
の高い人での胃がんの予防に対して、有効性が示唆されている
Pharmacist’s Letter/Prescriber’s letter Natural Medicine Comprehensive Database(2006)
*2009年4月までを対象に1つのデータベースで検索できた9つの無
作為化比較試験を含む全13報について検討したシステマティックレ
ビューおよびメタ分析において、β-カロテンの摂取は膵臓がん、大
腸がん、前立腺がん、乳がん、皮膚がん、メラノーマの全がん発症率
に影響を与えないが、喫煙者およびアスベスト労働者の場合には平
均20~30 mg/日の摂取で肺がん、胃がんの発症率を増加させた
Int J Cancer 2010 Jul 1;127(1):172-84.
国立がん研究センター:多目的コホート研究(JPHC研究)
*ビタミンサプリメント摂取とがん・循環器疾患
40~69歳の男女約6万人を、研究開始時(ベースライン調査)と研
究開始から5年後(5年後調査)に行った2回のアンケートの回答をも
とに、ビタミンサプリメント摂取の変化を捉え、全がんおよび循環器
疾患発生率との関連について検討した。
ビタミンサプリメントとは、VB群、マルチビタミン、VC、VE、複合抗
酸化物質、その他、週1日以上1年以上摂っている人をビタミンサプ
リメント摂取者と定義した。男女ともビタミンB群サプリメントが最も
多く摂取されていた。
結果、男性では、ビタミンサプリメント摂取は全がんリスクにも循環
器疾患リスクにも関連していなかった。
女性では、循環器疾患に関して、非摂取者に比較して、継続摂取
者で40%リスクが減少していた(特に脳梗塞)(ビタミンB群サプリメ
ントは、ホモシステインの代謝に関連しているからか)。がんに関して、
は有意差はなかった。
BMC Public Health.2011 Jul 8;11:540.
マルチビタミンミネラルを選ぶとき
(30~40歳女性の場合)
栄養素
単位
日本の栄養素推奨量
メガビタミンミネラル(例)
ビタミンB1
mg
1.1
100
ビタミンB2
mg
1.2
50
ビタミンB6
mg
1.1
100
ビタミンB12
μg
2.4
250
葉酸
μg
240
800
パントテン酸
mg
5
50
ビオチン
μg
45
300
ビタミンE
mg
8
168
ビタミンC
mg
100
1400
セレン
μg
25
200
亜鉛
mg
7
25
カルシウム
mg
600
500
日本語で検索できる健康食品情報
http://hfnet.nih.go.jp/
素材情報データベースを検索
健康食品・サプリメントのアドバイザー認定制度
*サプリメントアドバイザー
(日本臨床栄養協会)
*NR(栄養情報担当者)
(日本臨床栄養協会)
*食品保健指導士
(日本健康・栄養食品協会)
*健康食品管理士
*メディカルサプリメントアドバイザー(医療従事者限定)
(主催研修会は、研修認定薬剤師制度実施機関)
メディカルサプリメントアドバイザー認定講座より抜粋
サプリメント・医薬品の作用メカニズム
薬剤師が求めるサプリメントの情報
■ 特定の医薬品との相互作用の有無
■ 併用してはいけない医薬品
■ 有害作用(副作用・安全性)
*副作用、特定疾患患者へのリスク、
妊産婦・授乳婦へのリスク
■ 有用性
*有用レベル、メカニズム、摂取量、
臨床研究データ
厚生労働省の「健康ナビステーション」2014年より
• 「薬局・薬剤師を活用した健康情報化拠点の推進」事業費と
して2億2300万円を確保
• 15年度には、健康情報拠点としてふさわしい薬局(健康ナビ
ステーション[仮称])の基準の作成に着手
• 薬局基準には、(1)健康相談体制や設備、(2)OTC薬の販売
体制、(3)地域包括ケアを踏まえた他機関との連携
• 14年度モデル事業例
・OTC薬などの適正使用に関する相談窓口の設置や適正使用に関する啓発
資材の作成・配布
・セルフメディケーション推進のためのセミナーの開催(食生活、禁煙、心の健
康、高齢者、アルコール、在宅医療)
・血圧計などの検査機器を用いた健康チェックを行う体制の整備
・薬の適正使用、健康づくりなどに役立つ「電子版お薬手帳」の普及
経済産業省がドラッグストア業界向けに提言
• 専門人材や豊富な品揃えをセルフメディケーション推進に活
用する狙い
• 2015年3月、「セルフメディケーション推進に向けたドラッグス
トアのあり方に関する研究会」でドラッグストア業界向けの提
言を行った。提言には、消費者のセルフメディケーションに対
する理解の醸成や専門人材の育成、情報提供の充実や、そ
の前提となる検査などのサービスの充実といった内容が盛り
込まれている。
• ドラッグストアの社会的・経済的役割
セルフメディケーション推進に向けた情報提供、厚生労働省
が2025年を目途に進めている「地域包括ケアシステム」との連
携、在宅調剤を通じた消費者のサポート、健康食品の情報提供
や健康体操に関する情報発信、マーケット拡大、食品の新たな
機能性表示制度、スマイルケア食の普及促進
健康食品(サプリメント)を選ぶポイント
サプリメントは食品だからといって、
決して安全というわけではありません!!!
アレルギー歴に注意すべきサプリメント
*花粉症(ブタクサ:キク科アレルギー)ある場合
エキナセア、ダンディライオン、カレンデュラ、
ジャーマンカモミール、フィーバーフュー、
バターバー、ミルクシスルなどのキク科サプリメント
*牛乳アレルギーがある場合
免疫ミルク
*甲殻類アレルギーがある場合
キトサン、グルコサミン
*アスピリンアレルギーがある場合
クランベリー(サリチル酸塩を含むため)
メディカルサプリメントアドバイザーテキストより抜粋
現病歴・既往歴で注意すべきサプリメント
*女性ホルモン(乳がん・子宮内膜癌など)による疾患がある場合
→ 植物性エストロゲンのため、リスクがあがる可能性がある
大豆イソフラボン、ブラックコホシュ、チェストツリー、
朝鮮人参、レスペラトロール
*前立腺がんがある場合
→ 前立腺がんの拡張・再発の予備的な研究報告がある
コンドロイチン
*胆石・胆管閉塞がある場合(禁忌)
ウコン、アーティチョーク、
*喫煙している40歳以上の男性(禁忌)
→ 肺がん、前立腺がんになるリスクがあがる
βカロチン(1日20mg以上)
*腎結石の既往歴がある場合
→ シュウ酸を多くふくむため、リスクがあがる
クランベリージュース
メディカルサプリメントアドバイザーテキストより抜粋
家族歴で注意すべきサプリメント
*母・姉妹に女性ホルモンによる疾患がある場合
大豆イソフラボン、ブラックコホシュ、チェストツリー、
レスベラトロール などのフィトエストロゲンを含むもの
サプリメント・薬物間相互作用
1.薬物動態学的相互作用
a)吸収 → 動態的相互作用の約13%があたる
b)分布
c)代謝 → 動態的相互作用の約70%があたる
d)排出
2.薬力学的相互作用
同じ作用点
異なる作用点
3.作用機序不明
サプリメント・薬物間相互作用
1.薬物動態学的相互作用
a)吸収 → 動態的相互作用の約13%があたる
亜麻仁 ↔ 医薬品の吸収阻害
オオバコ(サイリウム) ↔ 医薬品の吸収阻害
グアガム ↔ 医薬品の吸収阻害
コレバイン
クエストラン ↔ ビタミンDの吸収阻害
ビタミンEの吸収阻害
サプリメント・薬物間相互作用
1.薬物動態学的相互作用
c)代謝 → 動態的相互作用の約70%があたる
CYP3A4誘導あり → セントジョーンズワート
ニンニク(ガーリック)
CYP2C19誘導あり → イチョウ(ギンコ)
CYP3A4阻害あり → エキナセア、紅麹、ギンコ、キャッツクロー
カモミール、バレリアン、ミルクシスル
CYP2C9阻害あり → クランベリー、ミルクシスル、カモミール
サプリメント・薬物間相互作用
2.薬力学的相互作用
同じ作用点
血小板凝集抑制作用:亜麻仁、亜麻仁油、ニンニク、
魚油、朝鮮人参、クランベリー、
イチョウ、コンドロイチン、
その他抗酸化物質
血糖降下作用:亜麻仁、コエンザイムQ10、イチョウ
血圧降下作用:亜麻仁油、魚油、コエンザイムQ10
(その他)
紅麹+HMG‐CoA 還元酵素阻害薬
→ コレステロール低下作用の増強
セントジョーンズワート+選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
→ セロトニン濃度の上昇、抗うつ作用の増強
サプリメント・薬物間相互作用
2.薬力学的相互作用
異なる作用点
ワーファリン+ビタミンK含有の健康食品
(クロレラ、納豆、モロヘイヤ、青汁など)
→ワーファリンの作用減弱
3.作用機序不明
バレリアン+催眠薬 → 催眠作用の延長
スタチン系薬剤とコエンザイムQ10
CoQ10は、体内では、肝臓で、メバロン酸から、生合成される。
HMG-CoA還元酵素阻害剤のスタチン系薬剤を投与すると、CoQ10の産生も低下させ、
酸化ストレスが増加する。
CoQ10の減少によってどんな疾病のリスクが高まるのかについて、今のところ具体的な報
告がない。
←スタチン系薬剤が抑制する
↑コエンザイムQ10産生低下
Arch Neurol 2004;61:889-92.
手術前に注意すべきサプリメント
ニンニク、
オメガ3不飽和脂肪酸(魚油、亜麻仁油など)
ビタミンC、ビタミンE、
イチョウ葉エキス、松樹皮エキス、
ブドウ種子エキスなどフラボノイド類など多数
症例 47歳女性 (9/18/2012初診)
主訴:顔のほてりと発汗、精神的にくよくよしたり、いらいらする。
健診にて脂肪肝を指摘されている。
身長:157cm、体重:58kg、BMI:23.5
嗜好品:タバコ(10本)、アルコール(たまに飲む)、
カフェイン(コーヒー1L)、
砂糖(インスタントコーヒー、甘いもの好き)
アレルギー・家族歴:なし
妊娠歴:あり
処方薬・サプリメント:なし
症例 47歳女性
9/18/2012
S:顔のほてりと発汗、精神的にくよくよしたり、いらいらする。
特に寝汗と、急に原因なく発汗し気になる。そろそろ更年期だ
と思っているが、まずはサプリなどの自然なもので試したい。
O:簡略更年期指数 39 (26~50点)
(食事、運動などに注意を払い、生活様式などにも無理をし
ないようにしましょう)
4月健診結果
AST25 、ALT23、γGT53、HDL73、LDL129、TG73
C:サプリとしてブラックコホシュ選択(2カプセル/2X~)
マルチビタミンミネラル(メガドーズ)追加
更年期の食事療法指導
ストレス軽減させる方法
カウンセリング
P:1ヶ月後に肝機能のチェック、副作用チェック、効果チェック
ブラックコホシュ(学名:Cimicifuga racemosa )
和名:アメリカショウマ
科名:キンポウゲ科
部位:根と根茎
ホットフラッシュ、動悸、めまいなどの自律神経の失調や
不安、抑うつ、不眠などの精神症状の改善に使用されている
作用メカニズム:エストロゲン様作用
副作用:胃部不快感、頭痛、体重増加、けいれんのほか、オース
トラリアで、3例の肝毒性症例報告
注意事項:乳癌発症リスクの高い人
相互作用:エストロゲン、抗血小板薬、シスプラチン、CYP2D6
症例 47歳女性
10/12/2012
S:発汗がほぼなくなってきた。話を聞いてもらってから気が楽
になり、考え方を前向きにしようと思った。サプリは毎日飲んで
いたが、タバコやコーヒー、甘いものは変えられなかった。
O:簡略更年期指数 39 → 11
(上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続け
ていいでしょう)
10/12検査結果
AST16 、ALT18、γGT63、HDL73、LDL108、TG169
ブラックコホシュによる肝障害、副作用などなし
C:サプリとしてブラックコホシュ(1カプセル/1X~)
更年期後の生活習慣病リスクについて
カウンセリング
P:1ヶ月後にフォロー
症例 63歳男性 (9/2010初診)
病歴 2008年直腸がんの診断を受け、手術(ストーマ)、2009
年ストーマ閉鎖、2010年CT上肺転移 化学療法FOLFOX+
Bev中、クリニック受診。
2010年9月より樹状細胞(CEA、MUC-1)+活性化リンパ球療
法、局所温熱、サプリメント療法を開始。2011年6月化学療法
は中止。肺転移は手術で除去。その後はDC+CAT継続中。
2013年肺転移の手術。2014年不整脈、高血圧症。その他“
尋常性疣贅(ゆうぜい)”にて皮膚科受診。
処方薬
メインテート(2.5)、コバシル(2)
サプリメント 乳酸菌生成エキス、ピクノジェノール100㎎
ビタミンD4000IU、 β1-31-6Dグルカン
症例 63歳男性
2013年肺転移後にサプリメントの見直しがあり、
2013年9月血中ビタミンD値(25(OH) ビタミンD値)測定
28ng/ml(目標は40~60)のため 1000IU /dayで追加。
摂取後2週間で尋常性疣贅(ゆうぜい)は消失。
2014年1月血中ビタミンD値(25(OH) ビタミンD値)測定
34ng/ml
尋常性疣贅再燃のため、ヨクイニン18T 追加となっている
2000IUへ増量、と同時に尋常性疣贅消失
2014年6月血中ビタミンD値(25(OH) ビタミンD値)測定
23ng/ml
症例 63歳男性
院内サプリではない、他社のビタミンD3000IU飲んでいた
にも関わらず、低値のため、再度院内サプリを3000IUにて
摂取し、7月に再検査。
2014年7月血中ビタミンD値(25(OH) ビタミンD値)測定
38ng/ml
院内サプリ3000IUで
2015年1月血中ビタミンD値(25(OH) ビタミンD値)測定
33ng/ml
院内サプリ4000IUへ
→サプリメントでも品質に差があり!!!