加古川市上下水道局円形鉄蓋仕様書

加 古 川 市 上 下 水 道 局 円 形 鉄 蓋 仕 様 書
1.適用範囲
この仕様書は、加古川市上下水道局が使用する仕切弁室、空気弁室、消火栓室に用いる円形鉄蓋(以
下、「鉄蓋」という。)について規定する。
2.引用規格
次に掲げる規格は、この仕様書に引用されることによって、この仕様書の規定の一部を構成する。
これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS
B
0205
一般用メートルねじ
JIS
B
0209
一般用メートルねじ-公差-
JIS
B
7502
マイクロメータ
JIS
B
7503
ダイヤルゲージ
JIS
B
7507
ノギス
JIS
B
7512
鋼製巻尺
JIS
G
0307
鋳鋼品の製造、試験及び検査の通則
JIS
G
5502
球状黒鉛鋳鉄品
JIS
G
5121
ステンレス鋼鋳鋼品
JIS
Z
2201
金属材料引張試験片
JIS
Z
2241
金属材料引張試験方法
JIS
Z
2243
ブリネル硬さ試験方法
JIS
Z
8203
国際単位系(SI)及びその使い方
JIS
Z
8401
数値の丸め方
JWWA
B 132
水道用円形鉄蓋
3.用語及び定義
この仕様書で用いる主な用語及び定義は、次による。
3.1 鉄蓋
蓋と受枠との総称。
3.2
蓋と受枠との接触面を急勾配とし嵌合させたときの蓋のがたつきを防止した構造。
急勾配受
3.3 蝶番
蓋と受枠とを連結し、蓋を開閉するときに転回、旋回の中心として作用する金具。
3.4
鉄蓋がその設計によって、決定された形式どおりに作られているかどうかを確認
形式試験
するための試験。なお、形式とは性能、構造、形状及び寸法。
3.5 閉塞蓋
開閉用器具の挿入のために鉄蓋に設けた穴をふさぐための蓋。
1
4.種類
鉄蓋の種類は表1による。
表1
鉄蓋の種類
種
類
適 用 ( 参 考
KS-C(250)
仕切弁用
KH-C(500)
消火栓、空気弁付消火栓用
KR-C(600)
バタフライ弁、仕切弁用
KA-C(600)
空気弁用
注記
種類の( )内は、付図1のフランジ内径Bの寸法を示す。
)
5.性能
5.1 荷重たわみ性
鉄蓋の荷重たわみ性は 10.4 によって試験を行ったとき、表2の規定に適合しな
ければならない。
表2
種
類
KS-C(250)
KH-C(500)
KR(A)-C(600)
5.2 耐荷重性
荷重たわみ
たわみ(㎜)
0.8 以下
1.8 以下
2.2 以下
残留たわみ(㎜)
0.1 以下
鉄蓋の耐荷重性は、10.5 によって試験を行ったとき、鉄蓋に割れ及びひびがあって
はならない。
5.3 操作性
鉄蓋の操作性は、10.6 の試験を行ったとき、蓋の開閉、KS-C は 180°の転回、KH-C、
及び KR(A)-C は 360°の旋回が容易に行われ、操作時に蓋の逸脱があってはならない。
5.4 揺動性(ずれ上がり性)
鉄蓋の揺動量は、10.7 の試験を行ったとき、表3の規定に適合しな
ければならない。但し、KS-C については、蓋と受枠とを嵌号させ、プラスチックハンマーなど
で、蓋の中央及び端部付近をたたき、がたつきの有無を目視によって確認する。
表3
揺動性(ずれ上がり性)
揺動量(㎜)
1.0 以下
5.5 開放性
鉄蓋の開放時に必要な操作力は、10.8 によって試験を行ったときに表4の規定に適合
しなければならない。
表4
開放性
操作力(N)
490 以下
2
6.構造、形状及び寸法
6.1 構造及び形状
A)蓋と受枠との接触面は、機械加工して急勾配受けとし、蓋のがたつきを防止できる構造とする。
なお、勾配は、衝撃による蓋の飛び上がりを防止できる角度とする。
B)蓋と受枠とは、蓋の逸脱防止のため、蝶番にて連結した構造とする。蝶番は、雨水および土砂
の流入が防止できるように蓋裏に取り付けし、蓋と受枠の着脱が可能な構造とする。
C)受枠はボックスの上部壁と、ボルトで緊結できる付図1に示す穴をあけた構造とする。ボルト
については KS-C は JIS B 0205-4 の M12、KH-C・KR(A)-C は JIS B 0205-4 の M16 とする。
D)蓋には、付図2に示す開閉用器具にて開閉することができる穴を1箇所設ける。
E)蓋表面には付図3に示すデザイン(模様と塗装)を設ける。
F)雨水及び土砂の流入をできるだけ防止するため、開閉器具用穴には閉塞蓋を取り付ける。
G)KS-Cの蓋の表面には付図3に示す、管種および口径を表示するプレートを取り付ける箇所を
設ける。プレートは鉄蓋との取り外しが可能な構造とし、色は黄色、文字はゴシック体で長期設
置しても変色、薄れのないものとする。
H)鉄蓋の構造及び形状は水道施設及び車両、通行人に損害を生じさせないものでなければならな
い。
6.2 寸法
蓋の主要寸法は、付図1による。
7.外観
7.1
鉄蓋の外観
鉄蓋の内外面は、なめらかで、こぶ、きず、鋳ばり、巣などの有害な欠点があっ
てはならない。
7.2 塗装後の外観 塗装後の外観は、塗り残し、あわ、ふくれ、はがれ、異物の付着、塗りだまり、
著しい粘着などの使用上有害な欠点があってならない。
8.塗料
鉄蓋の塗料は、密着性、防食性及び耐候性に優れたものを用いる。
3
9.材料
鉄蓋の材料は表5のとおりとし、通常の使用及び施工に十分耐えられるだけの強度及び耐久性をも
たなければならない。
なお、材料は JIS
G5502 の球状黒鉛鋳鉄品か JIS
G5121 のステンレス鋼鋳鋼品と同等以上のも
のとする。
また、FCD600 と FCD700 は 10.3.1~10.3.3 に、SCS13 は JIS
G5121 の 12.3.1 機械試験の一般
事項によって試験を行ったとき表5の規定に適合しなければならない。
表5
種
蓋
受
類
蝶番 KH-C
蝶番 KR(A)-C
閉塞蓋
蝶番
KS-C
注記
引張強さ
(N/m㎡)
伸び
(%)
硬さ
(HB)
FCD700
700 以上
5~12
235 以上
FCD600
600 以上
8~15
210 以上
SCS13A
480 以上
33 以上
183 以下
記
KH-C
KR(A)-C
KS-C
枠
材料
号
黒鉛球状化率
(%)
80 以上
-
1N/m ㎡=1MPa
10.試験方法
10.1
外観及び形状
10.2
寸法
鉄蓋の外観及び形状は、目視によって調べる。
鉄蓋の寸法は、JIS
B
7502 のマイクロメータ、JIS
B 7507 のノギス、JIS
B
7512 の鋼製巻尺、又はこれらと同等以上の精度をもつ計測器によって測定する。
10.3
材料試験
材料試験は、JIS
G
5502 の 12.(試験)の方法によって供試材を予備を含め3
個鋳造し、そのうち1個の供試材を用いて次による。
10.3.1 引張試験
JIS
引張試験は、供試材から JIS
Z 2201 によって作製した4号試験片を用いて、
Z2241 によって引張強さと伸びを測定する。
10.3.2 硬さ試験
硬さ試験は、供試材から作製した試験片を用いて、JIS
Z 2243 によって硬さ
を測定する。
10.3.3 黒鉛球状化率判定試験 黒鉛球状化率判定試験は、10.3.2 の試験を行った試験片をよく研
磨し、JIS G 5502 の 12.6(黒鉛球状化率判定試験)によって行う。
4
10.4
荷重たわみ試験
鉄蓋の荷重たわみ試験は、供試体をがたつかないように試験機定盤上に載
せ、次に蓋の上面中心部に厚さ 6 ㎜の良質のゴム板を敷き、その上に鉄製載荷板を置く。そし
て、この箇所に表6に示す試験荷重を一様な速さで5分間以内に加え、たわみを測定する。こ
のとき、試験前にあらかじめ蓋と受枠を食い込み状態にするため、試験荷重と同一の荷重を加
え、荷重を取り除いた後に試験を行う。試験は、規定の荷重を加え1分間保持した後、このと
きのたわみを測定する。また、残留たわみは荷重を取り去った後のたわみを測定する。
なお、たわみの測定は、付図4によるほか、蓋中心及び中心を通る直線の両端の3ヵ所に JIS
B
7503 のダイヤルゲージを配置し、その差によってもよい。
表6
種
10.5
載荷板(㎜)
試験荷重(kN)
KS-C
φ170、厚さ 50
55
KH-C
200×250、厚さ 50
105
KR(A)-C
200×500、厚さ 50
210
耐荷重試験
類
荷重たわみの試験荷重
鉄蓋の耐荷重試験は 10.4 と同様の方法によって表7に示す試験荷重を負荷し
た後、割れ及びひびの有無を目視によって調べる。
表7
種
10.6
載荷板(㎜)
試験荷重(kN)
KS-C
φ170、厚さ 50
180
KH-C
200×250、厚さ 50
350
KR(A)-C
200×500、厚さ 50
700
操作性試験
類
耐荷重性の試験荷重
蓋の操作性試験は、付図2の専用開閉器具を用いて、蓋の開閉、転回、旋回及び
そのときの蓋の逸脱の有無について確認を行う。
5
10.7
揺動(ずれ上がり)試験
蓋のがたつき防止性試験は、10.4 と同様の方法によって表6に示
す試験荷重を負荷した後、付図5のように蓋の両端に厚さ 6mm の良質なゴム板を載せ、更にそ
の上に表 8 に示す鉄製載荷板を置き、更にその上に鉄製やぐらを置く。そして、蓋及び受枠の揺
動量を測定する変位計を、蓋は各鉄製載荷板と蓋の端辺の間で蓋の端辺になるべく近い位置で、
また受枠は蓋の揺動量測定位置になるべく近い受枠上面で各々蓋及び受枠上面に接触するよう
に固定する。一様な速さで 5 分間以内に表 8 に示す試験荷重(F1)に達するまで加え、10 秒静
止した後、荷重を加えた位置の受枠に対する蓋の変位(A1)及び反対側の位置の変位(B1)を
測定する。除荷した後、反対側に荷重位置を変更し、同様の荷重(F2)を加え、同様の変位(A2,B2)
を測定する。更に除荷した後、反対側に反対側に荷重位置を変更し、同様の荷重(F3)を加え、
同様の変位(A3,B3)を測定する。
この試験の揺動量は、偏荷重(F2 及び F3)時に測定した変位量の差((A3-A2)及び(B3-B2))
とする。
なお、揺動量を測定する変位計は、JIS B 7503 に規定する目量 0.01 ㎜のダイヤルゲージを使
用する。
表8
種
10.8
載荷板(㎜)
試験荷重(kN)
KH-C
200×125、厚さ 50
35
KR(A)-C
200×250、厚さ 50
70
開放性試験
類
揺動の試験荷重
鉄蓋の耐荷重試験は 10.4 と同様の方法によって表 9 に示す試験荷重を負荷した
後、付図6のように開放操作を行い、開放時の操作力を測定する。また、操作力の測定は、付図
6によるほか各製造業者が正当性を証明することができる独自の方法で行ってもよい。KS-C に
ついては省略する。
表 9 開放性の試験荷重
載荷板
mm
試験荷重
kN
KH-C
200×250、厚さ 50
210
KR(A)-C
200×500、厚さ 50
210
種
10.9
類
試験結果の数値の表しかた 試験結果の数値の表し方は、JIS
6
Z 8401 によって丸める。
11.形式試験
形式試験は、鉄蓋の種類ごとに製造業者の製作図、製作仕様書及び箇条 6~箇条 9、並びに箇条 13
の規定に適合していることを確認した上で、10.4~10.7 の試験を行い、箇条 5 の規定に適合しなけ
ればならない。
12.検査
鉄蓋の検査は、次の項目について行い、箇条 5~箇条 7、箇条 9 及び箇条 13 の規定に適合しなけ
ればならない。
a)操作性
b)揺動
c)構造及び形状
d)寸法
e)外観
f)材料
g)表示
なお、製造業者は、試験結果を記録、保存し、本市の要求がある場合は提出しなければならない。
13.表示
蓋の裏面には、次の事項を鋳出し、又は容易に消えない方法で表示しなければならない。
a)材料記号(FCD700 など)
b)製造年又はその略号
c)製造業者名又はその略号
参考文献
「水道用鉄蓋類維持管理マニュアル:2004」
(社)日本水道協会発行
附則
この仕様書は、平成 20 年 6 月 1 日から施行する。
この仕様書は、平成 27 年 4 月 1 日から施行する。
7
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9
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