「生活習慣病対策に関する医師向け資料集」 (特定健康

生活習慣病対策に関する医師向け資料集
(特定健康診査・特定保健指導に関する医師向け資料集
追補版)
東京都医師会
生活習慣病対策委員会
編集
平成 27 年 3 月作成
目
はじめに
次
・・・・・・・・・・・・・・
P. 3
保健指導に関する資料
・・・・・・・
P. 4
食事療法に関する資料
・・・・・・・
P.23
運動療法に関する資料
・・・・・・・
P.34
禁煙指導に関する資料
・・・・・・・
P.38
CKD(慢性腎臓病について)に関する資料
高血圧治療に関する資料
・・・・・・・
P.54
・・・・・・
P.67
はじめに
本委員会では、平成 20 年 4 月から開始された特定健康診査及び特定保健指導
について、担当する医師にとって必要な情報をまとめた「特定健康診査・特定
保健指導に関する医師向け資料集」を、平成 20 年 1 月に作成し、東京都医師会
員に配布いたしました。
それから 7 年が経過し特定健康診査・特定保健指導も紆余曲折を辿りながら
も国民の健康管理の一環として定着しています。
このたび、上記資料集の追補版として本資料集を作成いたしました。メタボ
リックシンドローム対策の観点から、CKD(慢性腎臓病)治療、動脈硬化性疾
患予防(循環器を中心に)、禁煙対策についての資料に加え、運動療法(健康日
本 21[第二次]の目標)、食事療法(糖尿病食事療法のための食品交換表
第7
版)の改訂趣旨、等の資料も掲載しております。
先生方の生活習慣病対策の日常診療に是非御活用いただけるよう期待してお
ります。
東京都医師会生活習慣病対策委員会
委員長
實重真吾
保健指導に関する資料
さらに詳細な情報については、以下を参照されたい
健康日本 21(第二次)の推進に関する研究HP
「健康日本 21(第二次)マニュアル・研修会スライド」
http://www.pbhealth.med.tohoku.ac.jp/japan21/study-session
-2.html
健康日本21(第二次)
肥満、メタボリックシンドロームに関する目標を掲げている分野
目標項目
循環器疾患
糖尿病
「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少」
メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少(再掲)
次世代の健康
適正体重の子どもの増加
肥満傾向にある子どもの割合の減少
栄養・食生活
適正体重を維持している者の増加(肥満、やせの減少)
目標にはあがっていないが、肥満、メタボリックシンドロームが関連する分野
目標項目
がん
子宮体がん、腎がん、大腸がん、胆嚢がん、乳がん(閉経後)
など、肥満は多くのがんの危険因子
こころの健康
ストレス・心理的な要因と肥満との関連、精神疾患患者の肥満
高齢者の健康
ロコモティブシンドローム、足腰の痛みと肥満の関連
若年期の肥満が糖尿病、脳卒中等に関連
身体活動・運動
運動不足と肥満の関連
エネルギー収支、基礎代謝の面で関連深い
休養
睡眠と肥満の関連(睡眠時無呼吸症候群)
飲酒
飲酒による肥満、脂肪肝
歯・口腔
肥満、メタボリックシンドロームと歯周病の関連
肥満・メタボと関連分野
乳がん、大腸がん
子宮体がん、腎がん
など 発症予防
脳卒中、心筋梗塞の減少
NCD
予防
改善
2型糖尿病
発症予防
重症化防止
中性脂肪 改善
コレステロール改善
血圧改善
ロコモティブ
シンドローム
予防
次世代肥満の減少
↑
女性のやせの減少
生活
習慣
等の
改善
栄養・食生活
肥満・メタボ改善、適正体重維持
身体活動
運動
飲 酒
睡眠
生活リズム
歯科
口腔保健
女性は40歳代から徐々に体重が増える傾向
BMI 21.6 (身長160cmの場合 55.3kg)→ BMI 22.8 (58.4kg): 約3kgの増加
腹囲
BMI
[kg/㎡]
男性
[cm]
女性
25.0
85
83.0
23.0
21.0
20.0
女性
90
24.0
22.0
男性
22.8
21.6
約3kgの増加
80
75
76.5
6.5cmの増加
70
【特定健診受診者(女性)】
基礎代謝量の計算
国立健康・栄養研究所の式(Ganpule et al., 2007)
((0.1238+(0.0481×体重kg)+(0.0234×身長cm)-(0.0138×年齢)-性別*1))×1000/4.186
注)*1;男性=0.5473×1、女性=0.5473×2
国民健康栄養調査による女性の体格:40-49歳 女性 身長 157.8cm 体重 54.7kg
身長 158cm 体重55kgの女性の基礎代謝量の変化
基礎代謝量
20歳
1,217 kcal
30歳
1,184 kcal
33kcal
33kcal
40歳
1,151 kcal
50歳
1,118 kcal
33kcal
60歳
1,085 kcal
33kcal
基礎代謝は 10歳若い時より
1日当たり
33kcal 少ない
年間では 12,045kcal 少ない
=年間 1.7 kg分に相当
15分ぐらい歩行時間を増やす
食事で 33kcal 分 調整する
食事摂取基準
身体活動量
30~49歳
50~69歳
(kcal) 平成22年 摂取エネルギー
低い
普通
高い
1,900
1,750
2,000
2,300
1,800
1,650
1,950
2,200
40歳代以降女性の体重が増える理由
○基礎代謝量が減少する
○食事摂取量はやや増加
↓
エネルギー収支は プラス
1,817
1,829
1,728 1,732
1,655
1,700
1,612
1,600
1,687
1,585
1,500
1,400
1,300
1,200
1,100
1,000
身体活動量を増やすことが重要
平成22年 国民健康・栄養調査
母親世代はある程度、体重管理を行う必要がある。
しかし、娘世代に悪影響を及ぼしてはならない。
20歳代のBMI、その後20年間の体重変化と高血圧・糖尿病
20歳代の肥満は中高年期の高血圧・糖尿病につながる。若年期からの対策が必要
40歳代の高血圧有病率
(服薬中または140/90mmHg以上)
%
70
50
40歳代の糖尿病有病率
(服薬中または126mg/dl以上)
***
>5kg loss
25
<=5kg change
***
***
5-10kg gain
***
20
***
10kg< gain
***
40
***
30
***
15
***
**
***
***
***
20
10
30
***
>5kg loss
<=5kg change
5-10kg gain
10kg< gain
60
%
***
10
***
*
***
5
(ref)
*
* ***
(ref)
0
<18.5
***
**
18.5―19.9 20.0―21.9 22.0―24.9
20歳代のBMI区分
25.0≦
0
<18.5
18.5―19.9 20.0―21.9 22.0―24.9
25.0≦
20歳代のBMI区分
(*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001)
(畑中、玉腰、津下. 産業衛生雑誌
54(4)141-149, 2012)
目標設定
3か月で3㎏減量
ブレイク
ダウン
1か月で1㎏減量
1か月で7,000kcal 収支を減らす
1日 230kcal
収支をマイナスに
約7,000 kcal
毎日(週)の
食事・運動プラン
「身体活動」=
運動
運 動
健康増進や体力向上などの意図を持って
余暇時間に行なわれるレジャーやスポーツ
速歩、ダンス、エアロビクス、
ジョギング、テニス、サッカー
など
+
生活活動
生活活動
日常生活を営むうえで必要な
労働や家事に伴う身体活動
買い物、犬の散歩、通勤、床掃除、
庭掃除、洗車、荷物運搬、子ども
と遊ぶ、階段昇降、雪かきなど
特定保健指導における運動指導マニュアル(一部改変)より
目標設定のポイント
① 健診データの改善に見込みがある項目
② 簡単に変えることができそうな項目
この2点をポイントに
目標設定を進めていく
メタボリックシンドロームを招きやすい食習慣(標準的な問診票より)
・就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある
・夕食後に間食(3食以外の夜食)をとることが週に3回以上ある
・朝食を抜くことが週に3回以上ある
・お酒を飲む頻度が多い
・1日当たりの飲酒量が多い
内臓脂肪を減らすには・・・
菓子
嗜好飲料
脂質量
主(メイン)の
おかず量
食事の
バランス
食事の
リズム
食事の
スピード
生活背景を把
握して無理なく
できることを提
案する
行動計画
計画①
会社間は歩く
( 5回/週 )
計画②
夜の炭酸飲料をお茶にする
( 7回/週 )
計画③
(
回/週 )
●6ヶ月間の体重変化
工場と工場の間が徒歩7分
のところを皆、車で移動
kg
86
85
84
83
82
炭酸飲料を飲んでい
たがkcalに驚く
81
80
79
中
間
78
77
2/4
1/27
1/20
1/13
1/6
12/29
12/22
12/15
12/8
12/1
11/6
10/30
10/23
10/16
10/9
10/2
9/25
9/18
9/11
9/4
6/2
76
中間取りまとめ概要
平成26年4月18日保険者による健診・ 保健指導等に関する検討会
1.特定健診・保健指導による評価指標等の推移
<分析内容>
○ 特定健診の結果、特定保健指導の対象と判断された者のうち、特定保健指導終了者とそれ以外の者に
ついて、翌年度の検査データの差を、それぞれの年度ごとに、性・年齢階級別に比較
○ 分析対象者数 約200万人(各年とも)
<分析結果>
○ 特定保健指導終了者はそれ以外の者と比較すると、各年度、全ての性・年齢階級別において、腹囲、
BMI、体重が大きく減少しており、血糖、血圧、脂質等も改善
○ 特定保健指導(積極的支援)による評価指標等の推移は以下のとおり
特定保健指導(積極的支援)による評価指標等の推移について(平成20-21年度推移)
【腹囲】
男性では約2.2cm
女性では約3.1cm
の減少
総数
【体重】
男性では約1.9kg
女性では約2.2kg
の減少
総数
中間取りまとめ概要
腹囲・体重の減少(=内臓脂肪の減少)に伴い、血糖、血圧、脂質が改善
特定保健指導(積極的支援)による評価指標等の推移について(平成20-21年度推移)
【血糖(HbA1c)】
男性では約0.04%
女性では約0.05%
の減少
総数
【血圧(収縮期血圧)】
男性では約2.0mmHg
女性では約3.4mmHg
の減少
総数
【脂質(中性脂肪)】
男性では約27.2mg/dl
女性では約26.4mg/dl
の減少
総数
35
第二次中間とりまとめ概要
3.分析結果①(積極的支援)
※積極的支援・・・特定保健指導対象者のうち、腹囲が一定数値以上で、
追加リスク(血糖・血圧・脂質)が2つ以上該当か、1つ該当かつ
喫煙歴がある、40~64歳の者が対象。
○ 特定保健指導参加者と不参加者を比較すると、翌年度には全体で、積極的支援では男性で7,030~
5,020円、女性で7,550~2,590円医療費に概ね有意な差異が見られた。
平成20年度特定保健指導積極的支援参加者と不参加者の
翌年度の年間1人当たり入院外医療費の比較(40~64歳)
(点)
5000
4000
男性
3000
積極的支援
参加者
2000
男性:5,340円(平成20年指導)*
=不参加者の保険診療費の34.8%
積極的支援
不参加者
1000
の差異
0
(点)
40-44
45-49
50-54
55-59
60-64
7,030円(平成21年指導)*
5,320円(平成22年指導)*
5,020円(平成23年指導)*
40-64
5000
4000
女性
積極的支援
参加者
3000
女性:7,550円(平成20年指導)*
=不参加者の保険診療費の34.0%
積極的支援
不参加者
2000
1000
の差異
0
40-44
45-49
50-54
積極的支援参加者
積極的支援終了者
55-59
60-64
40-64
4,380円(平成21年指導)*
4,790円(平成22年指導)
2,590円(平成23年指導)
*・・・統計学的に有意な差
積極的支援不参加者
積極的支援不参加者
36
第二次中間とりまとめ概要
※動機付け支援・・・ 特定保健指導対象者のうち、腹囲が一定数値以上で、
追加リスクが1つ該当かつ喫煙歴がない者への支援。40~74歳が対象。
(65歳以上では、積極的支援の基準に該当する場合でも動機付け支援を実施)
4.分析結果②(動機付け支援)
○ 特定保健指導参加者と不参加者を比較すると、翌年度には全体で動機付け支援の40~64歳では男性で
3,860~810円、女性で2,640~-1,140円、動機付け支援の65~73歳では男性で6,340~3,630円、女
性で7,680~5,930円医療費に差異が見られた。
(点)
5000
4000
3000
2000
1000
0
(点)
5000
4000
3000
2000
1000
0
平成20年度特定保健指導動機付け支援参加者と不参加者の
翌年度の年間1人当たり入院外医療費の比較
40~64歳
40-44
45-49
女性
(点)
5000
4000
3000
2000
1000
0
(点)
5000
4000
3000
2000
1000
0
50-54
45-49
55-59
60-64
40-64
50-54
55-59
3,100円(平成21年度指導)*
810円(平成22年度指導)
1,360円(平成23年度指導) の差異
女性:2,640円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の20.0%
動機付け支援
不参加者
動機付け支援
参加者
40-44
男性:3,860円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の34.1%
動機付け支援
不参加者
動機付け支援
参加者
男性
60-64
40-64
-140円(平成21年度指導)
1,450円(平成22年度指導)
-1,140円(平成23年度指導)
の差異
65~73歳
動機付け支援
不参加者
動機付け支援
参加者
男性
65-69
70-73
動機付け支援
参加者
女性
65-69
積極的支援参加者
動機付け支援終了者
男性:6,340円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の23.7%
65-73
動機付け支援
不参加者
70-73
65-73
動機付け支援不参加者
動機付け支援不参加者
5,840円(平成21年度指導)*
4,840円(平成22年度指導)*
3,630円(平成23年度指導)* の差異
女性:7,300円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の23.1%
7,680円(平成21年度指導)*
6,440円(平成22年度指導)*
5,930円(平成23年度指導)* の差異
*・・・統計学的に有意な差 37
健康投資・健康経営(※)の重要性とその意義
○ 高齢化の進展と医療費の増大が進む我が国社会において、国民一人ひとりの取組だけで
なく、企業や健康保険組合が、組織として従業員等の健康状態の維持増進に取り組む必
要性が高まっている。
○ 企業がこのような取組を行うことは、個々人の生活の質の向上に加え、生産性の向上や
組織の活性化による業績の向上、企業イメージの向上が期待される。
○企業の取組を促進するためには、企業が積極的・戦略的に取り組む環境を整えることが必
要であり、そのためには効果の「見える化」や取組を社会的に評価することが重要である。
健康投資の効果
健康投資
(ヘルスケアサービ
スの購入・利用)
想定される健康投資の効果
健康行動の改善
<個人>
個人
企業*
*事業主・健保組合を含む
健康状態の改善
<個人>
・食生活改善
・運動量増加
・適正な睡眠
・飲酒/喫煙習慣改善
等
<企業>
・健診受診率向上
・メンタル対策の実施
等
・BMI改善(肥満解消)
・健診数値改善
<企業>
等
・メタボリックシンドロー
ム該当者及び予備群
数の減少
・うつ病有病者の減少
等
生産性・医療費等
の改善
<個人>
・健康寿命延伸
・個人負担医療費抑制
等
<企業>
・医療費適正化
・生産性(休職率低
下)、企業イメージの向
上
・外部資金調達の
容易化
等
評価対象:個人単位、プログラム(取組)単位、事業所単位、企業全体 等
47
※日本政策投資銀行の定義では、「従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員の健康の
47
維持・増進と会社の生産性向上を目指す経営手法」を「健康経営」と位置づけている。
①重症化防止プログラム:受診勧奨
医療専門職からの
1
受診勧奨
【優先度Ⅰ】
医療専門職からの
2
受診勧奨
【優先度Ⅱ】
3
受診勧奨通知
対象者
方法
対象者
方法
対象者
方法
重症化リスクⅡがあり、なおかつ未治療の人
医師または保健師による電話での受診勧奨
医師または保健師による面談での受診勧奨
※受診したかどうかの確認(フォロー)も実施し、
確実に受診につなげる
重症化リスクⅠがあり、なおかつ未治療の人
(なお、数値の重複が多い人から優先的に実施)
医師または保健師による電話での受診勧奨
医師または保健師による面談での受診勧奨
受診勧奨判定値があり、なおかつ未治療の人
手紙などによる健保からの情報提供
②特定健診・保健指導
初回健康状態の把握
検査(特定健診項目)
体力測定
中間効果の把握
6ヶ月間効果の把握
食事療法に関する資料
さらに詳細な情報については、以下を参照されたい
健康日本 21(第二次)の推進に関する研究HP
「健康日本 21(第二次)マニュアル・研修会スライド」
http://www.pbhealth.med.tohoku.ac.jp/japan21/study-session
-2.html
農林水産省HP
「食事バランスガイド」
http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
「食事バランスガイド」とは?
「食事バランスガイド」とは、1日に「何を」「どれだけ」食べたら良いか
をコマをイメージしたイラストで示したものです。
バランスよく食べて、運動をするとコマは安定して回りますが、食事のバランスが悪いと
コマは倒れてしまいます。あなたのコマはうまく回っていますか?
運動することによって、コマが
運動する
とによ て
が
安定して回転することを表現
水分をコマの軸とし、食事の中で
水分を
の軸とし 食事の中で
欠かせない存在であることを強調
「何を」は5つの料理グループから。
上にある料理ほどしっかり食べる。
※基本形(2200±200kcal)の場合
菓子・嗜好飲料は、
コマを回す「ヒモ」で
表現
SVとはサービング(食事
の提供量の単位)の略
「食事バランスガイド」は健康な方々の健康づくりを目的に作られたものです。糖尿病、 高血圧などで 医師や管理栄養
士から食事指導を受けている方は、その指導に従ってください。
「食事バランスガイド」の料理グループ
「どれだけ」食べるかは「つ(SV)」で数えます。
料理グループ
主 食
ごはん、パン、
はん、 ン、
麺・パスタなど
を主材料とする
料理
(主に炭水化物
の供給源)
料理例と「つ(SV)」 の数え方
おにぎり1個、ごはん小盛り1杯、食パン1枚が「1つ」。ごは
ん中盛り1杯は「1.5つ」。麺類・パスタ類1人前は「2つ」くら
い。
*1つ(SV)の基準=主材料に由来する炭水化物 約40g
副 菜
主 菜
野菜、いも、豆
類(大豆を除く)、
きのこ、海藻な
どを主材料とす
る料理
(主にビタミン、
ミネラル、食物
繊維の供給源)
小皿や小鉢に入った野菜料理1皿分が「1つ」くらい。中皿
や中鉢に入ったものは「2つ」くらい(サラダはこの量で「1
つ」)。
肉、魚、卵、大
豆及び大豆製
品などを主材料
とする料理
卵1個の料理が「1つ」くらい。魚料理1人前は「2つ」くらい。
肉料理1人前は「3つ」くらい。
(主にたんぱく
質の供給源)
牛乳
・乳製品
牛乳、ヨーグル
ト、チーズなど
(主にカルシウ
ムの供給源)
供給源
果 物
りんご、みかん、
すいか、いちご
など
(主にビタミンC、
カリウムの供給
源)
*1つ(SV)の基準=主材料の重量 約70g
*1つ(SV)の基準=主材料に由来するたんぱく質 約6g
プロセスチーズ1枚、ヨーグルト1パックが「1つ」くらい。牛
乳1本は「2つ」くらい。
*1つ(SV)の基準=主材料に由来するカルシウム
基準 主材料 由来するカ
ウ
約
約100mg
みかん、バナナなど小さい果物1個が「1つ」。りんごなど大
きい果物1個が「2つ」くらい。
*1つ(SV)の基準=主材料の重量 約100g
使ってみましょう!「食事バランスガイド」
1日にとる目安の数(SV)をチェック
●食事の適量(どれだけ食べたら
よいか)は、性別、年齢、
か
性
年齢 活動量
によって異なります。
コマのイラストは2200±200kcal
(基本形)の場合の目安です。
●自分の適量を確認し、毎日の食
事をチ クしてみまし う
事をチェックしてみましょう。
1日に必要なエネルギーと「摂取の目安」
エネルギー
男性
(kcal)
主食 副菜 主菜
牛乳・
乳製品
女性
果物
6~9才
6~9才
70才以上
低い
1400~
4~5 5~6 3~4
2000
2
※2~3
70才以上
2
10~11才
ふつう
ふ
う
以上
10~11才
低い
低い
2200
±200
基本形
5~7 5~6 3~5
2
※2~3
12~17才
2
12~17才
18~69才
18
69才
身体活動量
ふつう
以上
2400~
00
6~8 6~7 4~6 2~3 2~3
※2~4
3000
ふつう
以上
18~69才
単位:つ(SV)
SVとはサービング
(食事の提供量)の略
「低い」・・・・・・・・・1日のうち座っていることがほとんど
「ふつう以上」・・・・「低い」にあてはまらない人
・強いスポーツ等を行っている場合は、さらに多くのエネルギーを必要とするので、
身体活動の程度に応じて適宜調整しましょう。
※牛乳・乳製品の学校給食を含めた子ども向けの摂取量は、成長期に特に必要なカルシウムを
十分にとるために、少し幅をもたせた目安にするのが適当です。
実際に食べた食事内容をチェック
各料理グループからいくつ(SV)をとったかチェックし、目安の数(つ(SV))と比べ
各料理グル
プからいくつ(SV)をと たかチ クし 目安の数(つ(SV))と比べ
てみましょう。食べすぎた料理グループは次の日控えめにするなど、複数の日を平
均して適量の範囲の中に入るようにバランスをとりましょう。
「食事バランスガイド」食事例
「食事バランスガイド」に沿って、1日2,200kcal(1日デスクワークをしてい
る男性、身体活動量が普通の女性の適量)の食事例をご紹介します。
朝ごはん
主食
ごはん(大盛り)
副菜
主菜
牛乳・
乳製品
果物
2
〈朝ごはん〉
1
切干大根の煮物
アスパラガス入り
炒り卵
1
1
2
1
主食
副菜
1
主菜
1
牛乳・
乳製品
6
果物
〈朝~昼ごはん〉
2
1
2
1
2
3
2
4
3
5
4
6
5
7
6
1 2 3 4 5
21 2 1 2
1
巨峰
きのこごはん
4 5
7
1
2
じゃがいもとにんじ
んのサラダ
小松菜のごまあえ
ミニトマト
夕ごはん
6
1
鶏肉の照り煮
昼ごはん合計
3
5
21 2 1 2
いちご
菜めし
4
1 2 3 4 5
1
牛乳
昼ごはん
3
1 2
野菜スープ
朝ごはん合計
2
2
2
2
主食
副菜
主菜
0
1
牛乳・
果物
乳製品
2
〈朝~夕ごはん〉
里いもと白菜の
みそ汁
1
水菜とベーコンの
サラダ
1
さけのちゃんちゃん
焼き
1
1
2
1
3
2
4
3
5
4
5
6
7
6
1 2 3 4 5
2
21 2 1 2
1
ヨーグルト
夕ごはん合計
2
3
2
1
0
単位:つ(SV)
昼ごはん、夕ごはん 『2007年版食育カレンダー』より
監修:足立己幸(女子栄養大学名誉教授)
調理監修:針谷順子 (高知大学教育学部教授)製作・発行:㈱グレイン・エス・ピー
⾷事療法
初診時の⾷事指導のポイント
これまでの⾷習慣を聞きだし、明らかな問題点がある場合はまずそ
の是正から進める。
1.腹八分目とする。
2.⾷品の種類はできるだけ多くする。
3.脂肪は控えめに。
4.⾷物繊維を多く含む⾷品(野菜、海藻、きのこなど)をとる。
5.朝⾷、昼⾷、夕⾷を規則正しく。
6.ゆっくりよくかんで⾷べる。
⾝体活動量の目安
軽労作(デスクワークが多い職業など):25〜30kcal/kg標準体重
普通の労作(⽴ち仕事が多い職業など) :30〜35kcal/kg標準体重
重い労作(⼒仕事が多い職業など):35kcal/kg標準体重〜
⽇本糖尿病学会編・著: 糖尿病治療ガイド2014-2015, p45 文光堂, 2014
1)日本人の長寿を支える「健康な食事」のとらえ方を整理
日本人の長寿を支える「健康な食事」のとらえ方
日本人の長寿を支える「健康な食事」を構成している要因例
社会・経済
「健康な食事」とは、健康な心身の維持・増進に必
要とされる栄養バランスを基本とする食生活が、無理
自然
なく持続している状態を意味する。
文化
食料生産・流通
「健康な食事」の実現のためには、日本の食文化
の良さを引き継ぐとともに、おいしさや楽しみを伴っ
の選択など、幅広い要素から構成される。
「健康な食事」が広く社会に定着するためには、信
頼できる情報のもとで、国民が適切な食物に日常的
にアクセスすることが可能な社会的・経済的・文化的
・無理なく続けられる生活
・栄養、運動、休養のバランスのとれた生活
食物へのアクセス(食物の入手しやすさ)
情報へのアクセス(情報づくり・共有)
・食をめぐる基本情報が共有できる環境
・多様な食品を選択できる環境
・食料へアクセスしやすい環境
(食料品販売店舗との距離や移動手段など)
食の場面
選び方・整え方・食べ方
・入手しやすい適切な価格
・配食(食材宅配)サービスの体制整備
・栄養や健康づくりに関する正しく分かりやすい情報づくり
・食料、食品をめぐる情報のギャップ(生産者
と消費者のもつ情報の正確性や量の差)の解消
・消費者のニーズに合った分かりやすい表示
・心地良い食卓、楽しい食卓(共食など)
・出版文化の発達(料理・食文化関係書の普及)
・適切な情報に基づいた食品や食事の選び方・整え方・食べ方
食 材
調 理
・安全、安心な食品
・目的や対象に応じた
調理方法、盛りつけ方
・多様な食材の利用
・食材や素材の味の
生きる調理方法
教育・体験
・多様なライフスタイルに応じた選び方・整え方・食べ方
・目的や対象に応じた選び方・整え方・食べ方
・望ましい食習慣の形成
・豊かな食体験、学習
・嗜好に合ったメニューを味わえる食事
・旬の食材の利用
・食嗜好の形成
・よく噛んで味わえる食事
・味のバランスや多彩な食感
かした食料の安定供給の確保や食生活に関する教
・生きがいのもてる暮らし
・人と人とのつながり(助け合い、共食など)
な条件が整っていなければならない。
社会全体での「健康な食事」は、地域の特性を生
・地域の食材を生かす工夫や知恵の伝承と、
新たな料理の創造
生活・暮らし
ていることが大切である。おいしさや楽しみは、食材
や調理の工夫、食嗜好や食事観の形成、食の場面
食文化
・日本の優れた食文化
・地域の気候・風土に根ざした
特色のある食文化
・地域特性を生かした食料の安定供給と
持続可能なフードシステム
・良質な食品を供給する生産、加工、流通、販売の
フードシステム
・多様な地域産物と暮らしのつながり(自然との共生)
・手軽さと手間をかけることの
バランス
・食事観の形成
・規則的な食事のリズム
おいしさ
楽しみ
食に関する知識・スキル
・適切な食事を実践するための知識、スキル等
・楽しく食事を続けられるおいしさ
・地域産物の利用
育・体験活動などの取組と、国民一人一人の日々の
・使い勝手のよい道具の
開発・普及
維持・向上に着実に貢献する。
・適切な食事の実践、継続するための食嗜好
栄養バランス
・主食、主菜、副菜がそろうバランスの良い食事
・多様な食品の摂取
・古典的な日本食から減塩した食事
・低精製度の穀類の利用
・たんぱく質の適切な摂取 ・多様な野菜の十分な摂取
・適切なエネルギー及び栄養素
健 康
・健やかな発育・発達
・生活習慣病の予防
・加齢に伴う身体・口腔機能の低下の抑制
・健康寿命の延伸
啓発用スライド(厚生労働省 がん対策健康増進課 栄養指導室作成)
食事観
・適切な食事の実践、継続するための食事観
食嗜好
実践とが相乗的に作用することで実現し、食をめぐる
地域力の維持・向上とともに、国民の健康とQOLの
・楽しみとしての食事
(高齢になっても変わらない食べる楽しみ)
2)生活習慣病の予防に資する「健康な食事」を事業者が提供するための基準を策定
「健康な食事」の食事パターンに関する基準の内容と留意事項
食事パターンの基準の内容
料理Ⅰ(主食)
精製度の低い米や麦等の穀類
を利用した主食。
なお、炭水化物は40~70gであること。
精製度の低い穀類は2割程度であること。
ただし、精製度の低い穀類の割合が多
い場合は、1日1食程度の摂取にとどめる
ことに留意する。
料理Ⅱ(主菜)
魚介類、肉類、卵類、大豆・大
豆製品を主材料とした副食(主
菜)。
なお、たんぱく質は10~17gであ
ること。
料理Ⅲ(副菜)
緑黄色野菜を含む2種類以上
の野菜(いも類、きのこ類・海藻類
も含む)を使用した副食(副菜)。
なお、野菜は100~200gであること。
※1 エネルギー
○単品の場合は、1食当たり、料理Ⅰは300kcal未満、料理Ⅱは250kcal未満、料理Ⅲは150kcal未満であること。
○料理Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを組み合わせる場合は、1食当たりのエネルギー量は650kcal未満であること。
※ 2 食塩
○単品の場合は、料理区分ごとの1食当たりの食塩含有量(食塩相当量)は1g未満であること。
○料理Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを組み合わせる場合は、1食当たりの食塩含有量(食塩相当量)は3g未満であること。
提供上の留意点
・ 「健康な食事」の実現のためには、日本の食文化の良さを引き継ぐとともに、おいしさや楽しみを伴っていることが大切であることから、
旬の食材や地域産物の利用などに配慮すること。
摂取上の留意点
・ 1日の食事においては、料理Ⅰ~Ⅲの組合せにあわせて牛乳・乳製品、果物を摂取すること。
・ 必要なエネルギー量は個人によって異なることから、体重や体格の変化をみながら適した料理の組合せを選択すること。
・ 摂取する食品や栄養素が偏らないよう、特定の食材を用いた料理を繰り返し選択するのではなく、多様な食材や調理法による異なる
種類の料理を選択すること。
啓発用スライド(厚生労働省 がん対策健康増進課 栄養指導室作成)
3)「健康な食事」を普及するためのマークを決定
<基本形>3つの料理
の組合せの場合
料理Ⅰの料理に表示する場合 料理Ⅱの料理に表示する場合
料理Ⅲの料理に表示する場合
3つの料理の組合せ
は、主食、主菜、副菜の
組合せ。
料理Ⅰは主食、料理Ⅱ
は主菜、料理Ⅲは副菜
を表す。
<作品の解説>
マークのデザインは、円を三分割してシンプルな線や面で3つの料理を表現してい
る。
料理Ⅰの主食は、代表的な米を稲穂で表している。料理Ⅱの主菜は、魚のうろこをモ
チーフにした絵柄にし、肉をイメージする赤色を用いることで、たんぱく源となる食品を
主材料とした料理を表している。料理Ⅲの副菜は、野菜の葉を絵柄と色で表している。
啓発用スライド(厚生労働省 がん対策健康増進課 栄養指導室作成)
運動療法に関する資料
さらに詳細な情報については、以下を参照されたい
健康日本 21(第二次)の推進に関する研究HP
「健康日本 21(第二次)マニュアル・研修会スライド」
http://www.pbhealth.med.tohoku.ac.jp/japan21/study-session
-2.html
シンプルなメッセージによる目標の提示
ちょっと実行ずっと健康:ケンコウデスカマン
• プラン21(第二次)で目指
している、都民一人ひとり
が負担感なく実践できる生
活習慣の改善方法につい
て、働き盛りの世代を中心
とした都民に周知
• 「ちょっと実行、ずっと健
康。」をキャッチフレーズ
に、健康づくり推進キャラク
ター「ケンコウデスカマン」
が健康づくりに向けたちょっ
とした行動を呼びかけ
• ポスター・チラシ・ステッカー
を作成し、都内の企業(健
保組合等)等へ配布
禁煙指導に関する資料
【タバコとメタボリックシンドローム】
タバコが悪性腫瘍・動脈硬化性疾患・COPDなどの原因となり、甚大な健康被害をもたらしているのは周知の
事実である。日本人において、能動喫煙のみでも1年間に12.9万人の死亡をもたらしていると報告されている。
喫煙はインスリン抵抗性を惹起することが知られており、さらに喫煙者は、朝食欠食が2.5倍、運動不足が1.3
倍、2合以上の飲酒が2.3倍、濃い味付けが2.2倍多いと報告されている。したがって、タバコがメタボリックシン
ドロームや糖尿病を増加させるのは容易に理解される。その上、喫煙はメタボリックシンドロームの人の心血
管系疾患の危険性をさらに高める。タバコは微量アルブミン尿の発現を増加させ、糖尿病性腎症の増悪因子
ともなることから、喫煙対策は透析患者数を増やさないためにも重要である。
禁煙により様々な疾患の危険性は次第に低下することが知られているが、禁煙により体重が増加するのは
考慮すべき点である。禁煙後の体重増加に伴い血糖値・血中脂質値などが悪化することがある。しかし禁煙
による心血管系疾患の減少効果は体重増加にまさるので、特定保健指導における禁煙指導は重要な課題で
ある。
【特定保健指導における禁煙指導】
喫煙者を同定し、禁煙の重要性を説明し、動機づけを図る。本人自身で禁煙を行う方には、ニコチンパッチ・ニコチン
ガムは薬局で購入できることやタバコを吸いたくなった時の対処法を指導する。より楽に、より確実に禁煙を達
成する方法として、健康保険適用による禁煙診療(チャンピックス・ニコチネルTTS)を勧める(禁煙診療に要する費用
はタバコ代よりも安い)。ただし保険適応には患者条件があり、禁煙外来はすべての医療機関で実施されては
いないことにも注意を要する。精神神経科を含め他の医療機関に通院中の方は事前に主治医と相談をするこ
とを勧める。
非感染性疾病と外因による死亡数への寄与原因として
喫煙は高血圧にもまさる最大の因子である(2007年日本)
Ikeda N. et.al. What has made the population of Japan healthy? Lancet. 2011; 378: 1094-105. より作図
タバコがインスリン
抵抗性を引き起こす
喫煙者ではメタボリックシンドロームが増加するが、
禁煙によりそのリスクは低下する
4.0
*:p<0.01
**:p<0.001
***:p<0.0001
(vs 非喫煙者、χ2検定)
***
***
3.0
3.40
3.04
オッズ比
*
**
***
2.0
2.17
1.98
1.97
**
1.61
1.37
1.0
1.00
0
非喫煙者
<10
10~19
20~39
≧40
現喫煙者:喫煙本数(本/日)
対象:日本人男女5,033例
方法:メタボリックシンドローム(MS、NCEP-ATPⅢによる)のリスクと喫煙
状況の関連を検討。多変量補正(年齢、性別、TC)
<1
1~4
≧5
過去喫煙者:禁煙後の年数(年)
Ishizaka, N. et al.:Atherosclerosis 181(2):381, 2005 より作図
喫煙が2型糖尿病の発症リスクを増加させる
2.0
用量相関性あり(p=0.001)※
相対リスク
[ ]:95%信頼区間
1.73
1.5
1.57
[1.16~2.11]
1.55
[1.15~2.60]
[1.06~2.26]
受動喫煙曝露者に
おいても、空腹時血
糖およびBMIがより
高値であるという報
告がある。
1.22
1.0
[0.89~1.67]
1
0.5
0
非喫煙者
≦20
20.1~30
30.1~40
喫煙者:喫煙状況(箱・年※)
>40
※1箱・年:20本/日の喫煙を1年間継続
対象:日本人男性6,250例(35~60歳)
方法:前向きコホート調査。4~16年にわたり糖尿病発症と喫煙状況の関
連を追跡
多変量補正
Uchimoto, S. et al.:Diabet Med 16(11):951, 1999 より作図
※傾向性検定は各カテゴリーの中央値を用いた
Osaka Health Survey
糖尿病発症のオッズ比
3
2.84
性別
2.5
2
1.5
1
0.98
過去喫煙者
1.43
非喫煙者
喫煙中と禁煙後5年間は
糖尿病の発症が非喫煙者より多い
2.16
1.68
1.42
1
1
0.5
タバコ本数が多いほど多い
糖尿病家族歴がある方が1.86倍多い
BMI≧23の方が1.51倍多い
身体活動量が少ない方が1.58倍多い
3
糖尿病発症のオッズ比(男性)
喫煙者
過去喫煙者
非喫煙者
男性
新たに禁煙した者
男性の禁煙後の糖尿病発症は
新たに禁煙した者
喫煙者
0
女性
タバコ本数
2.654320988
2.5
2
1.666666667
1.5
1
1
0.5
0
<15本/日
15-24本/日
≧25/日
Smoking Cessation Increases Short-Term Risk of Type 2 Diabetes Irrespective of Weight Gain: The Japan Public Health Center-Based
Prospective Study . PLoS One 2012年7巻 e17061より作図
JPHC study
心血管系疾患発症のオッズ比
5
男性
4
喫煙とメタボリックシンドロームの
重複によって
心血管系疾患の発症リスクが上昇する
3.56
3
2
2.09
2.07
メタボ
非メタボ
1
1
0
非メタボ
日本人40-74歳男女3,911例
12年間の追跡調査
年齢、飲酒状況、GFR値、non-HDLコレステロール値で補正
メタボリックシンドロームの定義はNCEP/ATPⅢによる
非喫煙者
メタボ
喫煙者
5
心血管系疾患発症のオッズ比
女性
4.84
4
3
2
2.33
2.67
1
1
Higashiyama A. et al. Risk of smoking and metabolic syndrome for incidence
of cardiovascular Disease – comparison of relative contribution in urban
Japanese population: the Suita study. Circ J 2009; 73: 2258-2263.より作図
0
非メタボ
メタボ
非喫煙者
非メタボ
メタボ
喫煙者
喫煙は糖尿病性腎症を増加させ、進行させる
禁煙により体重が増加する
Henri-Jean A. et al. Weight gain in smokers after quitting cigarettes:meta-analysis BMJ. 2012 Jul 10;345:e4439.より作図
禁煙後の体重変化(kg)
日本人ではニコチンパッチ
(+2.78 kg)よりもバレニクリン
(+0.94 kg)の方が体重増加
が少なかったとの報告があ
る。
Chie T. et al. Varenicline Is More Effective
in Attenuating Weight Gain
Than Nicotine Patch 12 Months After the
End of Smoking
Cessation Therapy: An Observational
Study in Japan
Nicotine Tob Res. 2014 Apr 4
月
減量は禁煙が安定してからにしましょう
禁煙により体重が増加しても
心血管イベントの発症率は低下する
糖尿病あり(1480名)
糖尿病なし(9668名)
心血管イベント発症率
6年間
100人・調査当り
年令と性別調整
喫煙者
≦4年
4年<
非喫煙者
禁煙者
Carole C. et al. Association of Smoking Cessation and Weight Change With Cardiovascular Disease Among Adults With and Without
Diabetes . JAMA. 2013;309(10):1014-1021より作図
Framingham Offspring Study
保険適用
バレニクリン
(チャンピックス®)
一般用医薬品
禁煙達成のために
工夫する方法が
いろいろとあります。
より楽に、より確実に
禁煙を達成するために
保険診療をお勧めします。
禁煙治療を行ってる医療機
関を事前にご確認ください。
ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト Tobacco Dependence Screener (TDS)
はい
(1点)
いいえ
(0点)
1.自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか
2.禁煙や本数を減らそうと試みてできなかったことがありましたか
3.禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることが
ありましたか
4.禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか
(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつ
き、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
5.上の症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか
6.重い病気にかかって、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか
7.タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても吸うことがありましたか
精神神経科を含め医療機
関に通院している方は、
禁煙外来を受診する前に
主治医とご相談されること
をお勧めします。
8.タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても吸うことがありました
か
9.自分はタバコに依存していると感じることがありましたか
10.タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか
「はい」(1点)、「いいえ」(0点)で回答を求める。
「該当しない」場合、(質問4で、禁煙したり本数を減らそうとしたことがない等)には0点を与える。
判定方法:合計点が5点以上の場合、ICD-10診断によるタバコ依存症である可能性が高い(約80%)
スクリーニング精度等:感度=ICD-10タバコ依存症の95%が5点以上を示す。特異度=ICD-10タバコ依存症でない喫煙者の
81%が4点以下を示す。得点が高い者ほど禁煙成功の確率が低い傾向にある。
参考となるウェブサイト
医療従事者向け
東京都医師会 > 東京都医師会禁煙宣言
東京都医師会禁煙宣言
タバコQ&A(東京都医師会 タバコ対策委員会作成) [興味深いQ&AのPDFあり]
学校防煙教育用(東京都医師会 タバコ対策委員会作成) [わかりやすいPowerPointスライドあり]
東京都福祉保健局 > 健康ステーション > 禁煙
厚生労働省 > たばこと健康に関する情報ページ [具体的な禁煙指導の解説を含む禁煙支援マニュアルあり]
日本循環器病学会 > 禁煙推進委員会 [禁煙治療の標準手引書あり]
ファイザー > PfizerPRO > ニコチン依存 [会員登録が必要ですが、禁煙外来の始め方の解説あり]
ノバルティス > 禁煙支援マニュアル
一般向け
ファイザー > すぐ禁煙.jp
ノバルティス > いい禁煙
CKD(慢性腎臓病)に関する資料
さらに詳細な情報については、以下を参照されたい
日本腎臓学会HP
「CKD 診療ガイド 2012」
http://www.jsn.or.jp/guideline/ckd2012.php
CKD診療ガイド2012に沿った診断と治療
はじめに
CKD(慢性腎臓病)とは、腎臓の障害(蛋白尿など)、もしくはG
FR(糸球体濾過量)60mL/分/1.73㎡未満の腎機能が3カ
月以上持続するものをいう。
CKDの重症度は原因(Cause:C),腎機能(GFR:G),
蛋白尿(アルブミン尿:A)によるCGA分類で評価される。
この表より明らかなように、CKDは腎機能低下以前の早期より治
療が重要であるとともに、末期腎不全(透析)や心血管疾患(CV
D)の独立した危険因子である蛋白尿に対する治療も同様に重要であ
るCKDの治療は、IgA腎症における扁桃腺摘出術+ステロイドパ
ルス療法、特発性膜性腎症や一次性巣状分節性糸球体硬化症に対する
免疫抑制療法など腎臓専門医が行ったほうが望ましい治療もあるが、
一般かかりつけ医が積極的に行うべき治療も多くある。
蛋白制限を中心とした食事療法の指導とその管理、RA系阻害剤を中
心とした充分な降圧療法はその主なものである。
CKD患者における降圧目標は、130/80mmHg以下である。
高齢者においては140/90mmHgを目標とし、腎機能低下や
臓器の虚血症状がみられないことを確認しながら慎重に降圧する。
また糖尿病合併CKDにおいては微量アルブミン尿(A2区分:早期
腎症)の段階からRA系阻害剤を第一選択薬とする。A1区分(正常
蛋白尿)の糖尿病非合併CKDでは、RA系阻害剤の優位性は証明
されていない。一方A2,A3区分(軽度以上の蛋白尿)の糖尿病
非合併CKDでは、RA系阻害剤による腎保護作用が期待されるため
積極的に使用すべきである。しかしRA系阻害剤開始時にはeGFRの
低下や高K血症(5,5mEq/L以上)に注意する。具体的には、投与
開始3カ月までの時点でのeGFRの30%以上の低下がみられるばあい
該当の降圧薬を減量あるいは中止して腎臓専門医にコンサルトすべき
である。
年間3万8千人にのぼる透析導入患者をひとりでも減らすためには
CKDガイドあるいはガイドラインにそった治療の1日でもはやい
普及が望まれる。
CKD患者診療のエッセンス
CKD診療ガイド 2012
1
CKD(慢性腎臓病)とは、腎臓の障害(蛋白尿など)、
もしくはGFR(糸球体濾過量)60mL/分/1.73㎡未満の
腎機能低下が3カ月以上持続するもの、である。
2
推算GFR(eGFR)は以下の血清クレアチニンの
推算式(eGFRcreat)または血清シスタチンCの
推算式(eGFRcys)で算出する。
るいそうまたは下肢切断者などの筋肉量の極端に
少ない場合にはeGFRcysがより適切である。
男性
eGFRcreat(mL/分/1.73㎡)=194×Cr -1.094×年齢 -0.287
eGFRcys(mL/分/1.73㎡)=(104×Cys-C -1.094×0.996 年齢 ) - 8
女性
eGFRcreat(mL/分/1.73㎡)=194×Cr -1.094×年齢 -0.287×0.739
eGFRcys(mL/分/1.73㎡)=(104×Cys-C -1.094×0.996 年齢 ×0.929) - 8
3
4
CKDの重症度は原因(Cause:C)、腎機能(GFR:G)、
蛋白尿(アルブミン尿:A)によるCGA分類で評価する。
CKDは、CVD(心血管疾患)およびESKD(末期腎不全)
発症の重要なリスクファクターである。
CKD の発症と進行の概念
正 常
死 亡
合併症
脳卒中
心筋梗塞
心不全
感染症
リスク
高血圧
糖尿病
喫煙
腎障害
蛋白尿
尿潜血
末期腎不全
(透析)
腎機能低下
(↓GFR)
CKD
5
6
CKD 患者の診療には、かかりつけ医と腎臓専門医の
診療連携が重要である。
以下のいずれかがあれば腎臓専門医へ紹介することが
望ましい。
1)蛋白尿0.50g/gCr 以上 または検尿試験紙で尿蛋白2+以上
2)蛋白尿と血尿がともに陽性 (1+以上)
3) 40 歳未満
GFR 60mL/分/ 1.73㎡未満
40 歳以上 70歳未満
GFR 50mL/分/ 1.73㎡未満
70 歳以上
GFR 40mL/分/ 1.73㎡未満
7
CKD の治療にあたっては、まず生活習慣の改善
(禁煙、 減塩、 肥満の改善など)を行う。
CKD 発症あるいは進行のリスクファクター
高血圧
耐糖能異常、 糖尿病
肥満、 脂質異常症、 メタボリックシンドローム
膠原病、 全身性感染
尿路結石、 尿路感染症、 前立腺肥大
慢性腎臓病の家族歴 ・ 低体重出産
過去の健診での尿所見の異常や腎機能異常、 腎の形態
異常の指摘
常用薬(特にNSAIDs)、 サプリメントなどの服用歴
急性腎不全の既往
喫煙
高齢
片腎、 萎縮した小さい腎臓
8
CKD 患者の血圧の管理目標は 130 / 80 mmHg
以下である。
9
高齢者においては 140 / 90 mmHgを目標に降圧し、
腎機能悪化や臓器の虚血症状が見られないことを確認
し、130 / 80 mmHg以下に慎重に降圧する。
また、収縮期血圧 110mmHg未満への降圧を避ける。
10
糖尿病患者および0.15g/gCr 以上(アルブミン尿
30mg/gCr 以上)の蛋白尿を有する患者において、
第一選択の降圧薬はACE阻害薬とアンジオテンシン
受容体拮抗薬(ARB)である。
11
蛋白尿が0.15g/gCr未満の非糖尿病患者の降圧には、
降圧薬の種類を問わない。
12
高度蛋白尿(0.50g/gCr 以上)を呈する若年 ・ 中年の
患者では、 尿蛋白0.50g/gCr未満を目標としてRAS
阻害薬を使用して治療する。
13
ACE阻害薬やARB投与時には、血清クレアチニン値
の上昇(eGFRの低下)や高K血症に注意する。
14
15
16
17
糖尿病では血糖をHbA1c 6.9%(NGSP)未満に
管理する。
CKDではCVDの予防を含めて LDL コレステロールは
120 mg/dL 未満にコントロールする。
CKD患者の貧血では、 消化管出血などを除外し、
フェリチン 100ng/mL 以上または TSAT 20%以上
で鉄が不足していないことを確認する。
腎性貧血に対する赤血球造血刺激因子製剤
(erythropoiesis stimulating agent : ESA)を使用した
治療の目標値は、 Hb10~12 g/dL である。
18
CKD ステージ G3a より、血清 P、Ca、PTH、ALPの
モニターを行い、基準値内に維持するよう、適切な
治療を行う。
19
CKD ステージ G3a より、高K血症、代謝性アシドーシス
に対する定期的な検査を行う。
20
CKD 患者には腎障害性の薬物投与を避け、腎排泄性
の薬剤は腎機能に応じて減量や投与間隔の延長を行う。
CKDの重症度分類
原疾患
糖尿病
高血圧
腎炎
多発性嚢胞腎
移植腎
不明
その他
G1
G2
GFR区
G3a
分
(mL/分/
1.73㎡) G3b
蛋白尿区分
A1
A2
A3
尿アルブミン定量
(mg/日)
尿アルブミン/Cr比
(mg/gCr)
正常
微量アルブミン尿
顕性アルブミン尿
30未満
30~299
300以上
正常
軽度蛋白尿
高度蛋白尿
0.15未満
0.15~0.49
0.50以上
尿蛋白定量
(g/日)
尿蛋白/Cr比
(g/gCr)
正常または
高値
正常または
軽度低下
軽度~
中等度低下
中等度~
高度低下
>90
60-89
45-59
30-44
G4
高度低下
15-29
G5
末期腎不全
(ESKD)
<15
重症度は原疾患 ・ GFR区分 ・ 蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する。CKDの重症度は死亡、
末期腎不全、 心血管死亡発症のリスクを緑
のステージを基準に、 黄
、 オレンジ
、赤
、
の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する。
(KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)
高血圧治療に関する資料
さらに詳細な情報については、以下を参照されたい
日本高血圧学会HP
「高血圧治療ガイドライン 2014」
http://www.jpnsh.jp/guideline.html
日本高血圧学会
高血圧治療ガイドライン2014
JSH 2014
編集:日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会
発行:日本高血圧学会
JSH2014では家庭血圧測定の重要性を指摘しています。
性・年齢階級別の高血圧有病率の年次推移
(1980–2010年)
(第3次循環器疾患基礎調査(NIPPON
DATA80), 第4次循環器疾患基礎調査(NIPPON DATA90), 第5次循環
器疾患基礎調査, NIPPON DATA2010*2)
30歳代
40歳代
60歳代
50歳代
女性
男性
(%)
80.0
80.8
79.3
75.6
74.9
(%)
80.0
65.6
71.6
60.0
40.0
66.3
58.2
56.1
67.4
63.2
60.0
78.1
77.8
68.3
67.1
52.5
50.5
54.9
36.4
75.3
71.2
64.2
62.3
45.5
45.7
38.9
70歳代
29.9
40.0
38.4
31.6
29.2
19.4
20.0
25.4
21.7
23.7
20.0
0.0
20.0
11.0
9.6
12.6
7.4
5.6
0.0
1980年 1990年 2000年 2010年
1980年 1990年 2000年 2010年
*1 収縮期:140mmHg以上または拡張期:90mmHg以上または降圧薬の服用(2000年・2010年は2回測定の1回目)
*2 第6次循環器疾患基礎調査は実施されず, 厚生労働科学研究(指定研究)としてNIPPON DATA2010が実施された
三浦克之(研究代表者).:平成24年度総括・分担研究報告書 2013 Miura K, et al.:Circ J 2013;77:2226-2231
本邦の高血圧有病者推計数(性・年齢階級別)
(
NIPPON DATA2010および2010年国勢調査人口より推計)
男性
女性
80歳代
200
340
70歳代
470
510
60歳代
580
590
50歳代
510
320
40歳代
290
140
30歳代
180
100
700 600 500 400 300 200 100
(万人)
50
20歳代 20
0
0
100 200 300 400 500 600 700
(万人)
推計有病者数
三浦克之(研究代表者).:平成24年度総括・分担研究報告書 2013 Miura K, et al.:Circ J 2013;77:2226-2231
診察室血圧測定法
血圧測定と
1. 装置
臨床評価
a.精度検定された水銀血圧計, アネロイド血圧計による聴診法が用いられる。精度検定された電子血圧計
も使用可*1
b.カフ内ゴム嚢の幅13cm, 長さ22-24cmのカフを用いる
[小児上腕周27cm未満では小児用カフ, 太い腕(腕周34cm以上)で成人用大型カフを使用]
2. 測定時の条件
a.静かで適当な室温の環境
b.背もたれつきの椅子に脚を組まずに座って数分の安静後
c.会話をかわさない
d.測定前に喫煙, 飲酒, カフェインの摂取を行わない
3. 測定法
a.カフ位置は, 心臓の高さに維持
b.急速にカフを加圧する
c.カフ排気速度は2-3mmHg/拍あるいは秒
d.聴診法ではコロトコフ第Ⅰ相の開始を収縮期血圧, 第Ⅴ相を拡張期血圧とする
4. 測定回数
1-2分の間隔をあけて少なくとも2回測定。この2回の測定値が大きく異なっている場合には, 追加測定を
行う
5. 判定
a.安定した値*2を示した2回の平均値を血圧値とする
b.高血圧の診断は少なくとも2回以上の異なる機会における血圧値に基づいて行う
6. その他の注意
a.初診時には, 上腕の血圧左右差を確認
b.厚手のシャツ, 上着の上からカフを巻いてはいけない。厚地のシャツをたくし上げて上腕を圧迫してはい
けない
c.糖尿病, 高齢者など起立性低血圧の認められる病態では, 立位1分および3分の血圧測定を行い, 起立性
低血圧の有無を確認
d.聴診者は十分な聴力を有する者で, かつ測定のための十分な指導を受けた者でなくてはならない
e.脈拍数も必ず測定し記録
家庭血圧測定の方法・条件・評価
1. 装置
2. 測定環境
血圧測定と
臨床評価
上腕カフ・オシロメトリック法に基づく装置
1)静かで適当な室温の環境*1
2)原則として背もたれつきの椅子に脚を組まず座って1-2分の安静後
3)会話を交わさない環境
4)測定前に喫煙, 飲酒, カフェインの摂取は行わない
5)カフ位置を心臓の高さに維持できる環境
3. 測定条件
1)必須条件
a. 朝 起床後1時間以内
排尿後
朝の服薬前
朝食前
座位1-2分安静後
b. 晩(就床前)
座位1-2分安静後
2)追加条件
a.指示により, 夕食前, 晩の服薬前, 入浴前, 飲酒前など。その他適宜。自覚症状のある時, 休日
昼間, 深夜睡眠時等*2
4. 測定回数と 1機会原則2回測定し, その平均をとる
その扱い*3 1機会に1回のみ測定した場合には, 1回のみの血圧値をその機会の血圧値として用いる
5. 測定期間
できるかぎり長期間
6. 記録
すべての測定値を記録する
7. 評価の対象 朝測定値5日(5回)以上の平均
晩測定値5日(5回)以上の平均
すべての個々の測定値
8. 評価
高血圧
朝・晩それぞれの平均値≧135/85mmHg
正常域血圧
朝・晩それぞれの平均値<135/85mmHg
家庭血圧測定の指針第2版より一部改変
仮面高血圧に含まれる病態とその因子
早朝高血圧
アルコール・喫煙
寒冷
起立性高血圧
血管スティフネスの増大
持続時間の不十分な降圧薬
昼間高血圧
職場での精神的ストレス
家庭での精神的ストレス
身体的ストレス
血圧測定と
臨床評価
夜間高血圧
循環血液量の増加
(心不全,腎不全)
自律神経障害
(起立性低血圧,糖尿病)
睡眠時無呼吸症候群
抑うつ状態
認知機能低下
脳血管障害
診察室外血 圧
家庭血圧
135/85mmHg
24時間血圧
130/80mmHg
昼間血圧
135/85mmHg
夜間血圧
120/70mmHg
仮面高血圧
高血圧
正常域血圧
白衣高血圧
140/90mmHg
診察室血圧
異なる測定法における高血圧基準
(mmHg)
収縮期血圧
拡張期血圧
診察室血圧
≧140
かつ/または
≧90
家庭血圧
≧135
かつ/または
≧85
24時間
≧130
かつ/または
≧80
昼間
≧135
かつ/または
≧85
夜間
≧120
かつ/または
≧70
自由行動下血圧
降圧目標
治療の基本方針
診察室血圧
家庭血圧
若年, 中年, 前期高齢者
患者
140/90mmHg未満
135/85mmHg未満
後期高齢者患者
150/90mmHg未満
(忍容性があれば
140/90mmHg未満)
145/85mmHg未満(目安)
(忍容性があれば
135/85mmHg未満)
糖尿病患者
130/80mmHg未満
125/75mmHg未満
CKD患者(蛋白尿陽性)
130/80mmHg未満
125/75mmHg未満(目安)
脳血管障害患者
冠動脈疾患患者
140/90mmHg未満
135/85mmHg未満(目安)
生活習慣の修正項目
生活習慣の修正
1.減塩
6g/日未満
2a. 野菜・果物
野菜・果物の積極的摂取*1
2b. 脂質
コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
魚(魚油)の積極的摂取
3.減量
BMI(体重(kg)÷[身長(m)]2)が25未満
4.運動
心血管病のない高血圧患者が対象で,有酸素運動を中心に
定期的に(毎日30分以上を目標に)運動を行う
5.節酒
エタノールで男性20-30mL/日以下, 女性10-20mL/日以下
6.禁煙
(受動喫煙の防止も含む)
生活習慣の複合的な修正はより効果的である
重篤な腎障害を伴う患者では高K血症をきたすリスクがあるので, 野
菜・果物の積極的摂取は推奨しない。糖分の多い果物の過剰な摂取は,
肥満者や糖尿病などのカロリー制限が必要な患者では勧められない
生活習慣修正による降圧の程度
生活習慣の修正
減塩
平均食塩摂取減少量=4.6g/日
DASH食
減量
平均体重減少量=4.0kg
運動
30-60分間の有酸素運動
収縮期血圧
節酒
拡張期血圧
平均飲酒減少量=76%
0
2
4
6
血圧減少度(mmHg)
8
動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012年版
血清脂質と冠動脈疾患の発症頻度
総コレステロール値と冠動脈疾患死亡の
相対危険度(男女)NIPPON DATA 80
5
4
相対危険度
3
2
1
0
~159
160~
179
180~
199
200~
219
220~
239
240~
259
260~
(mg/dL)
Okamura T et al: Atherosclerosis, 190: 216, 2007
血清脂質と冠動脈疾患の発症頻度
HDLコレステロール値と冠動脈疾患合併率
(%)
5
冠動脈疾患合併率
4
3
2
1
0
~34 35~ 40~ 45~ 50~ 55~ 60~ 65~ 70~ 75~ 80~
39 44 49 54 59 64 69 74 79
(mg/dL)
Kitamura A et al: Circulation, 89: 2533, 1994のデータをもとに再解析
血清脂質と冠動脈疾患の発症頻度
トリグリセライド値(随時)と
冠動脈疾患発症の相対危険度(男女)
5
4
相対危険度
3
2
1
0
~84
85~115
116~164
165~ (mg/dL)
Iso H et al: Am J Epidemiol, 153: 490, 2001
喫煙の冠動脈疾患死亡の相対危険度
男性51,774人年の追跡、NIPPON DATA 80
5
*
4.5
相対危険度
4
*: p<0.05
4.25
非喫煙者=1
3.5
3
2.5
2
1.56
1.5
1
1.00
0
禁煙者
1日 20本以下
1日 21本以上
調整因子は、年齢、収縮期血圧、BMI、TC値、飲酒、糖尿病
Ueshima H et al: Stroke 35: 1836, 2004より作図
治療法 A)生活習慣の改善
1
2
3
ステートメント
動脈硬化予防のためには、喫煙と受動喫煙を回避する。
〔推奨レベルⅠ、エビデンスレベルB〕
肥満に対しては、総エネルギー摂取量を減らし、身体活動量を増やして
標準体重を目標とする。
〔推奨レベルⅠ、エビデンスレベルB〕
野菜、果物、未精製穀類、海藻類、大豆製品などの摂取を増やす。
〔推奨レベルⅠ、エビデンスレベルB〕
4
LDL-Cを低下させるためには、飽和脂肪酸の摂取を減らした分、不飽
和脂肪酸の摂取を増やす。また、コレステロールの摂取を制限し、食物
繊維の摂取を増やす。
〔推奨レベルⅠ、エビデンスレベルB〕
5
TGを低下させるためには、炭水化物、アルコールを制限し、n-3系多価
不飽和脂肪酸の摂取を増やす。
〔推奨レベルⅠ、エビデンスレベルB〕
6
HDL-Cを上昇させるためには、中等強度の有酸素運動を継続するとと
もに、体重を減らし、トランス脂肪酸の摂取を避ける。
〔推奨レベルⅠ、エビデンスレベルB〕
7
継続的な身体活動や有酸素運動は、動脈硬化予防に有効である。
〔推奨レベルⅠ、エビデンスレベルB〕
リスク区分別脂質管理目標値
脂質管理目標値 (mg/dL)
治療方針の原則
管理区分
二次予防
生活習慣の是正とともに
薬物治療を考慮する
1.
2.
3.
4.
5.
HDL-C
TG
Non HDL-C
カテゴリーⅠ
<160
<190
カテゴリーⅡ
<140
<170
カテゴリーⅢ
<120
冠動脈疾患の
既往
<100
一次予防
まず生活習慣の改善をおこなった後、
薬物療法の適用を考慮する
LDL-C
≧40
<150
<150
<130
家族性高コレステロール血症、高齢者(75歳以上)についてはそれぞれ該当する章を参照すること。
若年者等で絶対リスクが低い場合は相対リスクチャートを活用し、非薬物療法の動機付けを行うと同時に
絶対リスクの推移を注意深く観察する。
これらの値はあくまでも到達努力目標であり、少なくとも目標値に向けて20~30%の低下を基準とすることも
重要である。
一次予防における管理目標達成の手段は生活習慣の改善が基本であるが、LDL-C値が180mg/dL以上の
場合は薬物治療を考慮してもよい。
Non HDL-Cの管理目標は、高トリグリセライド血症を合併する場合に、LDL-Cの管理目標値を達成したのちの
目標として考慮する。
LDLコレステロール管理目標設定のためのフローチャート
脂質異常症のスクリーニング
冠動脈疾患の既往があるか?
Yes
二次予防
Yes
カテゴリーⅢ
No
以下のいずれかがあるか?
1)
2)
3)
4)
糖尿病(耐糖能異常は含まない)
慢性腎臓病(CKD, StageⅢ以上)
非心源性脳梗塞(脳血管障害)
末梢動脈疾患(PAD)
No
冠動脈疾患の一次予防のための絶対リスクに基づく管理区分
(絶対リスクはNIPPON DATAリスクチャート参照)
追加リスクの有無
NIPPON DATA80に
よる10年間の冠動脈
疾患による死亡確率 追加リスクなし
(絶対リスク)
1) 低HDL-C血症(HDL-C <40mg/dL)
2) 早発性冠動脈疾患家族歴
該当する家族は、第1度近親者かつ発症時の
年齢が男性55歳未満、女性 65歳未満
3) 耐糖能異常(糖尿病は含まない)
<0.5%
カテゴリーⅠ
カテゴリーⅡ
0.5 – 1.9%
カテゴリーⅡ
カテゴリーⅢ
2.0%≦
カテゴリーⅢ
カテゴリーⅢ
冠動脈疾患絶対リスク評価チャート (一次予防)
ステップ①
冠動脈疾患絶対リスク評価チャート (一次予防)にて性別、年齢、現在喫煙の有無、
収縮期血圧(mmHg)、TC(mg/dL)で該当する部分をチェックする。
絶対リスク 2%以上
→ カテゴリーⅢ
絶対リスク 2%未満
→ ステップ ②へ
ステップ②
低HDL-C血症(<40mg/dL)、冠動脈性疾患の家族歴、耐糖能異常のいずれかがあるか?
絶対リスク 0.5以上2%未満
+あり → カテゴリーⅢ
絶対リスク 0.5以上2%未満
+なし → カテゴリーⅡ
絶対リスク 0.5%未満
+あり → カテゴリーⅡ
絶対リスク 0.5%未満
+なし → カテゴリーⅠ
補足事項
1. TC 160未満は160~179、280以上は260~279の区分を用いる。
2. 収縮期血圧 100未満は100~119、200以上は180~199を用いる。
3. 75歳以上は本ガイドラインを適用できない。ガイドライン該当章を参照すること。
40歳未満は相対リスクチャート(ガイドライン参考資料1)を用いる。
4. 血圧の管理は高血圧学会のガイドライン、糖尿病の管理は糖尿病学会のガイドラインに
従って行う。
5. 喫煙者は絶対リスクのレベルに関わらず禁煙させることが望ましい。
NIPPON DATAリスクチャート (一次予防用)
10年間の冠動脈疾患死亡率
<0.5 %
2-5 %
0.5-1 %
5-10 %
1-2 %
≧10 %
絶対リスクは危険因子の変化や加齢で変化するため
少なくとも年に1回は絶対リスクの再評価を行う。
非喫煙
収縮期血 圧
収縮期血 圧
(mmHg)
180~199
160~179
140~159
120~139
100~119
男性
喫煙
非喫煙
血清総コレステロール区分
1 2 3 4 5 6
1 2 3 4 5 6
女性
喫煙
血清総コレステロール区分
1 2 3 4 5 6
1 2 3 4 5 6
年齢
60~69
(74歳まで準用)
180~199
収縮期血 圧
160~179
140~159
120~139
100~119
180~199
160~179
140~159
120~139
100~119
年齢
50~59
年齢
40~49
血清コレステロール区分:総コレステロールの場合、1=160~179, 2=180~199, 3=200~219, 4=220~239, 5=240~259, 6=260~279 (mg/dL)
性別、年齢、危険因子数により分類した
簡易チャートと予測される冠動脈疾患絶対リスク
ベースラインリスク
性別
年齢
危険因子数で判定
1) 高血圧
2) 喫煙
3) 低HDL-C血症(HDL-C <40mg/dL)
4) 早発性冠動脈疾患家族歴
(第1度近親者 かつ 男性55歳未満、女性 65歳未満)
冠動脈疾患
絶対リスク
(%)
カテゴリー区分*
5) 耐糖能異常
カテゴリーⅠ
カテゴリーⅡ
カテゴリーⅢ
カテゴリーⅡ
カテゴリーⅡ
カテゴリーⅢ
0個
0.23
0.32~0.55
0.48~0.83
0.63
0.91~1.08
1.55
1.78
1個以上
0~1個
2.55~4.31
0.10~0.20
カテゴリーⅢ
カテゴリーⅠ
60歳代
2個以上
0~1個
0.24
0.87~1.83
カテゴリーⅡ
カテゴリーⅡ
(74歳まで
準用)
2個以上
2.19
カテゴリーⅢ
40歳代
(30歳代も
準用)
男性
50歳代
60歳代
(74歳まで
準用)
女性
40-50
歳代
0個
1~2個
3個以上
0個
1個
2個以上
管理区分LDL-C目標値
カテゴリーⅠ <160mg/dL カテゴリーⅡ <140mg/dL カテゴリーⅢ <120mg/dL
*追加リスクのレベル等によって必ずしもLDL-C管理目標設定のためのフローチャートと同じ絶対リスクの範囲に
入るとは限らないが、手元にNIPPON DATAリスクチャートがない時などは簡便法として使用しても良い。
カテゴリーⅡ
二次予防
<100mg/dL
生活習慣病対策委員会(平成 25・26 年度)
東京都医師会
役
名
氏
名
所
吾
新宿区医師会
委 員 長
實
重
真
副委員長
藤
川
眞理子
属
杉並区保健福祉部参事、
杉並保健所保健サービス課長事務取扱
委
員
里
井
豊
中央区医師会
〃
相
川
丞
玉 川医師会
〃
溝
口 雅 康
中野区医師会
〃
菅
原
弘
練馬区医師会
〃
市
川
雅
府中市医師会
〃
宮
川
高
一
多摩市医師会
〃
西
村
理
明
東京慈恵会医科大学内科学講座 糖尿病・代謝
正
内分泌内科准教授
〃
山
下
公
平
〃
川
辺
健一郎
東京都福祉保健局 保健政策部健康推進課長
東京都福祉保健局
保健政策部国民健康保険
課長(平成26年7月まで)
〃
鈴
木
和
典
東京都福祉保健局
保健政策部国民健康保険
課長(平成26年8月から)
担当理事
角 田
徹