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複数資産ポートフォリオにおける
効率的フロンティア曲線の導出について
(平均・分散アプローチ)
3資産ポートフォリオの場合 (n=3)
•
資産1, 資産2, 資産3の期待収益率をそれぞれr1, r2, r3とする
•
資産1, 資産2, 資産3の分散・共分散行列は次のように表記する
  11  12

V    21  22

 31  32
•
 13 

 23 
 33 
ただし、  ij   ji (i = 1, 2, 3 j = 1, 2, 3)
資産1, 資産2, 資産3への投資比率(ウェイト)をそれぞれw1, w2, w3とする
ただし、
n
w
i
 w1  w2  w3  1
#投資資金すべてを資産1~3のいずれかに投資する
i 1
•
これらのもとで、3資産ポートフォリオのリスク 2 ・リターン r は次のように
表される
リターン:
r
n
w r
i i
 w1 r1  w2 r2  w3 r3
i 1
リスク:
2 
 w w 
i
i
j
ij
#ポートフォリオのリターンは、各資産のリターン×投資比率の和
 w1 2 11  w2 2 22  w3 2 33  2w1 w2 12  2w1 w3 13  2w2 w3 23
j
#ポートフォリオのリスク量は、各資産への投資比率および各資産の分散・共分散で計算される
3資産ポートフォリオの「リスク最小化問題」
•
ポートフォリオのリスク量を最小化するための、各資産への投資比率(最
適投資比率)を計算する → リスク最小化問題として定式化
min
1 2 1
 
2
2
 w w 
i
i
j
s.t.
ij
j
r
n

i 1
wi ri
,
n
w
i
1
i 1
#「ポートフォリオのリターンは各資産のリターン×投資比率の合計」、「投資資金すべてを資産1~3のいずれかに投資」と
の制約条件のもとで、ポートフォリオのリスク量を最小化しなさい(後の計算の簡便化のため、1/2を掛けている)
•
ラグランジュ関数:
•
一階条件式:
n
1


 n

L   wi w j ij    r   wi ri      wi  1
2 i j
i 1


 i 1

L 1
 2w1 11  2w2 12  2w3 13   r1    0
w1 2
L
1
 2w1 21  2w2 22  2w3 23   r2    0
w2 2
L 1
 2w1 31  2w2 32  2w3 33   r3    0
w3 2
L
r

L
1

n
w r
i i
0
i 1
n
w
i 1
i
0
3資産ポートフォリオの「リスク最小化問題」
•
一階条件式を整理し、次のように Ax  b の形で行列表記する
  11  12

  21  22

 32
 31
 r1
r2

1
 1
•
 13
 23
 33
 r1
 r2
 r3
r3
0
0
1
 1 w1   0 
   
 1 w2   0 
 1 w3    0 
   
0     r 
   
0     1 
上記式を x  A 1b として解くことにより、任意のポートフォリオ収益率 r に
対応した最適投資比率 wi を得ることが可能であり、それらをもとにポート
フォリオの最小リスク量が求められる
資産1~3に投資資金を配分し、ポートフォリオ収益率(例: 5.0%など)を実現するための投資比率の組み合わせの中から、
ポートフォリオのリスク量を最も小さくする投資比率(最適投資比率)(例: 資産1に20%、資産2に50%、資産3に30%など)を
計算することが可能。また、計算された投資比率および各資産の分散・共分散を用いて、ポートフォリオのリスク量を求め
ることができる
→ それらの最小リスク集合が「ポートフォリオの効率的フロンティア曲線」と
なる
(参考)n資産ポートフォリオの場合
•
n資産ポートフォリオのリスク最小化問題の一階条件式
  11  12

  21  22
 


  n1  n 2

r2
 r1
 1
1

•
  1n
  2n
 r1
 r2
 
  nn

 rn


rn
1
0
0
 1 w1   0 
   
 1 w2   0 
      
    
 1 wn   0 
   
0     r 
0     1 
ポートフォリオリスク量
2 
 w w 
i
i
j
ij
j
→ ウェイト・ベクトル
w (n×1)、分散共分散行列 V (n×n) を用いれば
  11  12

 22

2
  w Vw  w1 , w2 ,  , wn  21




 n1  n 2
  1n  w1 
 
  2 n  w2 
    
 
  nn  wn 
として計算可能(nが4以上だとこちらのほうがExcelでの計算が楽)
Excelでの演習手順、使用する関数
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株式などの収益率データを収集する
r[t] = (x[t] / x[t‐1]) ‐ 1 ※mヶ月収益率を年率換算: r[t] = (x[t] / x[t‐1])^(12/m) ‐ 1
期待収益率(平均値)、リスク量(標準偏差)、分散・共分散行列を計算
=AVERAGE(), =STDEV(), =VAR(), =COVAR()*(n/(n‐1))
一階条件式の行列表(Ax=b)をExcel上で作成
Ax=b を x=A‐1b として解くために、Aの逆行列A‐1を計算
=MINVERSE()
※セル範囲を指定して数式を入力→Ctrl+Shift+Enter
A‐1 と b の行列積を計算
=MMULT()
※セル範囲を指定して数式を入力→Ctrl+Shift+Enter
最適投資比率を計算(r = 0%, 0.5%, 1.0%, … , 12.0%)
Alt + F8キー → VBAを実行
ポートフォリオの最小リスク量を計算
縦軸に収益率(r = 0%, 0.5%, 1.0%, … , 12.0%)、横軸に最小リスク量とす
るグラフを作成