ウェブ外観検査装置のカラー対応による 低コントラスト欠陥を検出 東芝ソリューション株式会社 製造・産業・社会インフラソリューション事業部/前之園克美 紙・不織布・フィルム等のシート状製品の製造ラインでは、製造工程上で機械油などが製品表面 に付着する場合がある。油シミなどの低コントラスト欠陥は検査装置が地合を誤検出することで 歩留まりに影響を与えることがある。 対策としては、検査装置の検出感度を下げる方法、または検 査を一時停止して未検査とする方法をとっていた。 そのため、従来の検査装置では、製品品質レベ ルの問題と未検査部分の破棄により歩留まりが下がるといった課題があった。 この課題を解決す るため、弊社はカラーラインセンサ対応した検査装置の開発を行った。RGB成分を並列処理する ことで、 油シミなど色依存性の高い欠陥の検出精度が大幅に向上し、 検査への影響が低減した。 従来の「ウェブ外観検査装置M9100」 の機能はすべて継承し、かつカラーカメラ採用により、欠陥 の色成分情報を基にした欠陥分類を可能にした。欠陥分類機能の強化による無駄ばねを減少さ せることで歩留まり向上を支援する。 1 はじめに ウェブ検査装置 M9200C は、カラーラインセン 品表面を検査する機能である。すなわち、製品の 表面状態が変化すれば濃度閾値も追従して常に最 適な濃度閾値で検査する画期的な機能である。 サカメラを使用して、紙やフィルムシートのよう に連続生産される製品表面を検査する装置であ る。その特徴は、以下の 4 つが挙げられる。 2 M9200Cの概要 ① カラーカメラから出力されるRGB映像と弊社 図1は、検査システムの1例である。製造ライン 検出回路により、微小欠陥、ムラ欠陥を同時 上に反射ステージや透過ステージを構築し、ウェブ に色成分ごとに判定 ② 判定された欠陥情報の組み合わせによる欠陥 弁別が可能 ③ ステージ内のカメラの明るさを同一に制御す る露光時間自動制御機能 ④ 製品の地合変化に応じて最適な濃度閾値で製 品表面を検査する自動閾値追従機能 表面の検査を行う。オプションで、マーキング装置 (ラベラ、マーカ) を追加することができる。また専 用電話回線の準備が必要であるが、障害が発生し た時に故障箇所の特定を素早く行うことが可能な リモートメンテナンスサービスも行っている。 M9200C の大きな特徴として、従来機種機能に RGBカラー画像処理機能が付加されたことが挙げ られる。従来機種の欠陥検出回路は浮動 2 値化、マ 業界初の自動閾値追従機能は、製品地合濃度最 クロ 1 、マクロ 2 、ストリーク 1 、ストリーク 2 の 小値+オフセットにより計算される濃度閾値で製 5 系統×明暗で合計 10 種類ある(図2)。 eizojoho industrial April 2015︱85
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