最近のLPガス保安行政について

最近のLPガス保安行政について
平成27年4月22日
経済産業省
商務流通保安グループ ガス安全室
目
次
Ⅰ.最近のLPガス事故発生状況について
Ⅱ.法令遵守状況等について
Ⅲ.「平成27年度液化石油ガス販売事業者等保安対策指針」について
Ⅲ-1. 「平成27年度液化石油ガス販売事業者等保安対策指針」の構成
Ⅲ-2. 「平成27年度液化石油ガス販売事業者等保安対策指針」の新規項目
及び実効性を高める取組等
Ⅲ-3.業界団体による事故対策等保安対策の実施
Ⅲ-4.要請4項目(LPガス販売事業者等が講ずべき具体的な保安対策)
Ⅳ.その他
2
Ⅰ.最近のLPガス事故発生状況について
1.事故全体の状況
(1)LPガス年別事故件数・被害者数の推移
○事故件数は昭和54年の793件をピークに、マイコンメーター、ヒューズガス栓、ガス
漏れ警報器の普及により平成9年には68件まで大幅に減少したが、平成10年以降増加
に転じ、平成18年には急激に増加。
○平成26年については、
・事故件数は、前年の210件から26件減少し、184件と5年ぶりに200件を下回った。
このうちB級事故は2件で前年の3件から1件減少。
・死傷者数は77人と平成25年の55人から22人増加した。
900
800
700
、
事
故
件
数
事故件数
負傷者数
死亡者数
昭和54年
事故件数 793件
負傷者数 825人
死亡者数 63人
負
傷
者
数
及
び
死
亡
者
数
600
平成25年
事故件数 210件
負傷者数 52人
死亡者数
3人
500
400
300
200
平成26年
事故件数 184件
負傷者数 76人
死亡者数
1人
平成9年
事故件数 68件
負傷者数 64人
死亡者数 6人
100
0
42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
年
(注)数値は、調査の進展により変わる可能性がある。負傷者にはCO中毒事故の症者を含む。
3
○LPガス年別事故件数・被害者数
年
事故件数
43
負傷者数
年
事故件数
45
46
負傷者数
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
38
52
28
0
38
23
47 ▲8
17
10 ▲11
28 ▲4 ▲6 ▲20 ▲2 ▲3 ▲9
69
44
33
52
59
74
65
56
63
61
62
63
元
2
3
40
72
60
50
43
51
36
35
4 ▲22 ▲3 ▲22 ▲14 ▲26
42
29
37
36
27
13
146 236 283 301 398 389 679 543 523 684 640 825 758 723 650 645 529 550 477 381 336 327 233 171
4
5
6
146 112
7
82
対前年比
(%)
▲25 ▲23 ▲27
死亡者数
47
112 170 217 217 299 368 540 497 581 638 570 793 761 714 570 559 545 496 515 401 390 306 262 194
対前年比
(%)
▲33
死亡者数
44
31
7
3
162 135
83
8
88 101
7
12
9
10
11
68
75
15 ▲33
10
12
79
13
14
15
78
87
5 ▲2
12
3
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
90 120 105 105 219 239 234 185 204 227 260 210 184
33 ▲13
0 109
9 ▲2 ▲21
14
6
9
5
8
2
4
7
2
1
0
4
80 109
64
82
66
73
69
64
86
88
58
78
98
10
11
4
5
1
1
3
1
79 148
83
88
85
52
76
4
15 ▲19 ▲12
(注)数値は、調査の進展により変わる可能性がある。負傷者にはCO中毒事故の症者を含む。
4
Ⅰ.最近のLPガス事故発生状況について
1.事故全体の状況
(2)LPガス死亡者数・負傷者数の推移(5年平均)
○死亡者数については、35~40年前は59.2人であったが、その後、25~30年前
は35.8人、15~20年前は9.2人、5~10年前は2.6人、直近では2.2人
と減少している。
○負傷者数については、35~40年前は643人であったが、その後、25~30年前は
414.2人、15~20年前は80.2人、5~10年前は92.2人、直近では
76.8人と減少しているものの、20年前からほぼ横ばいとなっている。
70
643.0
700
661.0
死亡者数
負傷者数
60
600
59.2
50
500
52.4
48.0
410.0
414.2
40
400
負傷者数
死亡者数
46.7
35.8
30
300
217.7
20
200
16.2
156.8
10
9.2
76.0
92.2
76.8
100
80.2
4.6
0
1967-1969
1970-1974
1975-1979
1980-1984
1985-1989
1990-1994
1995-1999
2000-2004
2.6
2005-2009
2.2
0
2010-2014
(3年平均)
年
(注)数値は、調査の進展により変わる可能性がある。負傷者にはCO中毒事故の症者を含む。
5
(3)B級事故の発生状況
※B級事故:死者1人以上4人以下、重傷者2人以上9人以下、負傷者6人以上29人以下、直接
被害総額 が1億円以上2億円未満、社会的影響大、のいずれかに該当する事故
○平成26年のB級事故の発生状況は、
-事故件数は、2件であり、平成25年の3件から減少した。
・7月29日山梨県 富士山八合目山小屋におけるCO中毒事故(死亡1人)
・12月30日長野県 一般住宅のバルク貯槽における漏えい火災事故(重傷3
人)
○重大事故(B級以上)年別事故件数及び死傷者数
年
9年
項目
件
数
うち B
級以上
事故
10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年
68
75
79
78
87
90
120
105
105
219
239
234
185
204
227
260
210
184
7
11
7
10
4
3
9
6
1
2
5
4
8
6
3
3
3
2
死者(人)
6
9
5
8
2
4
7
2
1
0
4
4
4
5
1
1
3
1
傷者(人)
うち B
級以上
事故
64
82
66
73
69
64
86
88
58
78
98
79
148
83
88
85
52
76
17
31
14
20
23
8
6
18
0
5
10
1
78
10
16
26
1
3
(注)数値は、調査の進展により変わる可能性がある。負傷者にはCO中毒事故の症者を含む。
6
(3)現象別事故の発生状況
○平成26年の事故について、現象別の発生状況をみると、
-事故件数は、漏えいが95件(事故総数の51.6%)、漏えい火災・漏えい爆発が86件(事故総数
の46.7%)、CO中毒・酸欠が3件(事故総数の1.6%)となっており、漏えい、漏えい火災・漏え
い爆発に係るものが大宗を占めた。
-現象別の被害状況についてみると、漏えい、漏えい火災・漏えい爆発に係る死亡者数は0人、負
傷者数は71人、CO中毒・酸欠に係る死亡者数は1人、症者数は4人であった。
○発生件数を分母として1件の事故あたりの死傷者数でみてみると、
-漏えいに係るものは、死亡者数0人/件、負傷者数0.01人/件
-漏えい火災・漏えい爆発に係るものは、死亡者数0人/件、負傷者数0.83人/件
-CO中毒に係るものは、死亡者数0.33人/件、症者数1.33人/件であり、CO中毒事故は、発
生件数自体は少なくても事故が発生した場合には多数の死傷者を発生させる重大な結果に至る
場合が多いことを示している。
○現象別事故件数
現象別
漏えい
漏えい火災
漏えい爆発
CO中毒
酸欠
現象別事故件数の割合
22年
事故件数(件)
うちB級事故(件)
死亡者数(人)
負傷者数(人)
死亡者数/事故件数
負傷者数/事故件数
事故件数(件)
うちB級事故(件)
死亡者数(人)
負傷者数(人)
死亡者数/事故件数
負傷者数/事故件数
事故件数(件)
うちB級事故(件)
死亡者数(人)
症者数(人)
死亡者数/事故件数
症者数/事故件数
76
0
0
1
0
0.01
120
3
2
66
0.017
0.55
8
3
3
16
0.38
2.00
23年
116
0
0
0
0
0
100
0
0
54
0
0.54
11
3
1
34
0.09
3.09
24年
160
0
0
2
0
0.01
92
1
0
46
0
0.50
8
2
1
37
0.13
4.63
25年
113
0
0
0
0
0
91
0
0
47
0
0.52
6
3
3
5
0.50
0.83
平成23、
24、25年の
3年平均
129.7
0
0
0.7
0
0.01
94.3
0.3
0
49.0
0
0.52
8.3
2.7
1.7
25.3
0.20
3.04
平成23、
平成21、
24、25年の 23、24年の
26年
3年平均
3年平均
95
55.8%
53.6%
0
0
1
0
0.01
86
40.6%
41.5%
1
0
71
0
0.83
3
3.6%
4.9%
1
1
4
0.33
1.33
26年
51.6%
(注)平成17年までの「漏えい火災」は「漏えい爆発等」の内数。数値は、調査の進展により変わる可能性がある。
46.7%
1.6%
7
(4)原因者等別事故の発生状況
○平成26年の事故について、原因者等別の発生状況をみると、一般消費者等に起因す
るものが59件(全体の32.1% )、雪害等自然災害によるものが40件(同21.7%)、L
Pガス販売事業者等に起因するものが23件(同12.5%)、その他の事業者に起因する
ものが23件(同12.5%)等となっている。
-一般消費者等に起因する事故の原因としては、風呂釜やこんろの点火ミス・立ち消え
(32件)が最も多く、これに末端ガス栓や器具栓の誤開放(5件)、換気不足や燃焼器
の取扱いミスなどの消費機器の不適切な使用(3件)が続く。
-LPガス販売事業者等に起因する事故の原因としては、供給設備の腐食等劣化(13
件)、設備工事や修理工事時の工事ミス・作業ミス(3件)、容器交換時の接続ミス等(3
件)が挙げられる。
○LPガス販売事業者等に起因する事故又は一般消費者等及びLPガス販売事業者等に
起因する事故について、一般消費者等からの連絡を受けてLPガス販売事業者等が対
応した際の作業ミスにより発生した事故が8件あったが、一般消費者等が負傷する事故
はなかった。
○その他の事業者に起因する事故は23件で、このうち他工事業者に起因するものが18
件と多く事故全体からみてもおよそ1割を占めている。
○平成26年は雪害等自然災害による事故が40件(うち雪害39件)と事故全体の約2割を
占め、依然多い状況となっている。
8
8
○原因者等別事故件数
年
17年
18年
19年
20年
21年
22年
23年
24年
25年
26年
31
23
66
77
49
83
66
78
77
59
うち 点火ミス、立ち消え
( 11 )
( 11 )
( 21 )
( 15 )
(9)
( 33 )
( 19 )
( 20 )
( 33 )
( 32 )
うち 不適切な使用
(8)
( 14 )
( 35 )
( 22 )
( 23 )
( 12 )
( 15 )
( 10 )
(3)
うち 誤開放
項目
一般消費者等起因
(5)
(5)
( 11 )
( 14 )
(7)
( 11 )
( 20 )
( 12 )
( 12 )
(5)
一般消費者等及び
LPガス販売事業者等起因
7
16
16
4
8
7
10
11
3
6
LPガス販売事業者等起因
20
28
65
62
38
33
42
38
29
23
うち 腐食等劣化
(2)
( 10 )
( 21 )
( 20 )
( 19 )
( 13 )
( 20 )
( 14 )
( 16 )
( 13 )
うち 工事ミス、作業ミス
(3)
(9)
( 19 )
( 17 )
( 10 )
(9)
( 10 )
(9)
(9)
(3)
うち 容器交換時の接続ミス等
(6)
(2)
( 13 )
( 13 )
(4)
(6)
( 12 )
(7)
(3)
(3)
13
37
50
41
35
31
17
35
27
23
うち 設備工事業者
うち 充てん事業者
(5)
(7)
(7)
(5)
(6)
(5)
(2)
(3)
(5)
(3)
(1)
(1)
(2)
(3)
(3)
(2)
(0)
(3)
(1)
(1)
うち 他工事業者
(5)
( 15 )
( 18 )
( 19 )
( 16 )
( 17 )
( 13 )
( 23 )
( 18 )
( 18 )
うち 器具メーカー
(2)
( 14 )
( 23 )
( 14 )
( 10 )
(7)
(2)
(6)
(3)
(1)
24
81
6
11
7
7
53
64
40
40
( 50 )
( 64 )
( 39 )
( 39 )
その他の事業者起因
雪害等の自然災害
うち 雪害
( 80 )
その他 ※1
2
16
14
8
8
8
13
8
16
18
不
8
18
22
31
40
35
26
26
18
15
105
219
239
234
185
204
227
260
210
184
明
合
計
※1 「その他」に分類されているものは、原因者等が複合する場合、上記に分類されていない事業者の場合等。
(注)数値は、調査の進展により変わる可能性がある。
9
(5)その他の切り口による事故の発生状況の特徴
○発生場所(住宅か業務用施設等か)については、
-全体の件数では住宅がおよそ6割を、業務用施設等がおよそ4割を占め、
-B級事故及びCO中毒事故に着目してみると、近年の傾向としては全体の件数とは逆に住宅がおよそ3
割、業務用施設等がおよそ7割を占めている状況であり、業務用施設等においては特に対策が必要で
ある。
○発生箇所については、近年3年(平成23~25年)の平均でみると、消費設備の中の業務用燃焼器につい
てB級事故の件数は1.3件、負傷者数も36.7人と、他の発生箇所に比べて多く特に対策が必要である。
○質量販売に係る事故については、
-事故件数は、11件で平成25年から4件増加し、負傷者数は16人と平成25年から10人増加。
-B級事故については、1件発生しており死亡者1人となっている。平成26年に発生した11件のうち9件
の事故で負傷者が発生しており、近年3年の平均でも事故件数に比べて負傷者が多いこと、平成22年
には2人の死亡者が発生していることから、質量販売は重大な被害を及ぼす事故となりやすい。
-事故原因にみると、消費者の器具取扱い・点火ミスによる事故の割合が多い状況となっている。
○バルク供給に係る事故件数は、11件で平成25年から5件増加しており、近年3年(平成23年~25年)の
平均(8.7件)と比べても高い水準となった。また、負傷者を生じる事故は2件発生しており、うち1件はB
級事故(重傷3人)であった。
○平成26年は、法令違反を伴う事故が22件発生した。LPガス販売事業者等起因の事故と一般消費者等
及びLPガス販売事業者等の両方に起因する事故を合計すると29件あるが、このうちの約35%(10件/
29件)がLPガス販売事業者等の法令違反を伴う事故であった。主な法令違反の内容は、
-定期供給設備点検又は定期消費設備調査が適切に実施されていなかったもの。
-質量販売において、液石法第14条書面を交付せずに販売していたもの、一般消費者等への未周知、
消費設備調査を実施していなかったもの、また、関連する帳簿の保存がされていなかったもの等。
10
10
(6)都道府県別の事故件数
20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年
20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年
20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年
北海道
20
15
16
29
58
26
26
愛知
3
7
11
6
4
6
1
香川
0
3
7
6
2
2
2
青森
4
3
3
7
22
15
14
岐阜
7
3
3
2
1
4
2
愛媛
1
1
3
2
7
3
3
秋田
6
1
5
3
7
3
0
三重
1
3
1
2
2
1
2
徳島
2
0
2
0
0
0
0
山形
5
2
0
7
14
6
4
富山
1
1
4
1
0
1
1
高知
1
1
3
0
2
2
0
岩手
8
2
2
22
3
2
2
石川
5
3
6
3
1
1
3
四国
地域
4
5
15
8
11
7
5
宮城
5
4
8
0
3
5
3
中部
地域
17
17
25
14
8
13
9
福岡
10
8
1
4
2
5
4
福島
2
4
2
7
1
10
6
福井
2
0
1
3
3
2
0
佐賀
4
5
4
2
2
1
2
東北地域
30
16
20
46
50
41
29
滋賀
4
4
2
3
4
1
1
長崎
10
4
4
4
2
2
1
栃木
1
4
5
2
6
2
2
京都
3
3
2
3
0
4
2
熊本
5
3
3
3
2
3
1
茨城
3
5
10
8
10
3
3
奈良
1
2
2
0
0
0
1
大分
1
2
1
0
0
1
2
群馬
5
3
3
0
2
6
4
和歌
山
3
2
1
0
2
1
1
宮崎
2
2
3
2
4
1
2
埼玉
16
9
8
8
12
17
20
大阪
5
2
4
0
1
2
3
2
5
2
4
2
1
2
東京
7
11
13
15
11
8
8
兵庫
8
3
2
7
8
2
2
34
29
18
19
14
14
14
千葉
18
13
10
9
5
8
8
近畿
地域
26
16
14
16
18
12
10
沖縄
3
5
3
2
2
5
3
神奈川
18
9
15
11
21
17
15
岡山
7
4
3
6
2
1
3
新潟
2
3
3
8
7
10
3
広島
6
5
8
6
3
5
6
全国
合計
234
185
204
227
260
210
184
長野
0
2
2
8
6
5
6
鳥取
4
4
1
4
4
2
1
山梨
1
5
1
0
2
1
2
島根
3
1
2
1
1
1
2
静岡
7
1
4
2
3
2
1
山口
2
3
5
5
4
4
4
関東地域
78
65
74
71
85
79
72
中国
地域
22
17
19
22
14
13
16
鹿児
島
九州
地域
[注]数値は、調査の進展により変わる
可能性がある。
11
2.一酸化炭素(CO)中毒事故の状況
(1)CO中毒事故の推移
○CO中毒事故は、平成21年に14件発生し、症者数88人は昭和61年以降で最大。
○平成26年の事故件数は、3件と前年から1件減少した。死者数は、1人と前年から1人減少し、
症者数は4人で前年と同数であった。これは、平成24年にあった多数の被害者を出すような事故
が発生しなかったことによる。
100
事故件数
90
症 者
死 者
80
平成21年は、
・6月山口県ホテルでのCO中毒事故(22名)
・1月鹿児島県高校でのCO中毒事故(18名)
・9月栃木県パン屋でのCO中毒事故(11名)
等被害者多数の事故が発生
70
件
数
及
び
負
傷
者
数
60
50
40
30
20
10
0
61
年
項目
件数
61
62
62
63
63
2
元
元
2
3
3
4
5
6
7
8
9
4
5
6
7
8
10
9
11
10
12
11
13
12
14
13
15
14
16
15
17
16
18
17
19
18
20
19
21
20
22
21
23
24
25
26
22
23
24
25
年
26
18
11
19
9
7
8
16
7
5
9
10
9
11
12
8
6
8
9
6
10
5
11
6
14
8
10
8
4
3
11
8
12
8
6
4
12
5
2
6
4
5
5
3
2
0
2
4
1
1
0
3
2
6
3
3
2
2
1
死者(人)
21
12
17
18
10
5
23
5
2
7
9
4
4
2
3
0
4
4
0
1
0
2
2
3
3
1
1
2
1
症者(人)
うちB級事故
17
19
16
6
5
16
15
12
6
19
18
21
24
28
13
17
18
17
21
22
13
29
8
85
16
32
37
4
4
うちB級事故
3
8
4
4
2
2
3
5
1
11
1
14
6
9
0
0
1
1
7
0
0
9
0
65
7
16
23
1
0
死症者計(人)
38
31
33
24
15
21
38
17
8
26
27
25
28
30
16
17
22
21
21
23
13
31
10
88
19
33
38
6
5
(注)数値は、調査の進展により変わる可能性がある。
12
(2)業務用厨房でのCO中毒事故
1.現状
○人身被害の発生するガス事故は、以下の2つに大きく分類できる。
・ガスの漏えいに起因する爆発や火災による事故
・機器が不完全燃焼を起こして発生するCOによる中毒事故
このうち、COは無色無臭のため、その発生に気付くことが遅れると被害が重篤化しやすい。
○住宅等に比べ、業務用厨房(パン屋、ラーメン屋等)において、換気忘れや燃焼機器の整備不良など
を主たる要因とする一酸化炭素中毒事故が多発。平成24年は7件、平成25年は3件、平成26年は
5件発生。
(平成26年12末時点での数値のため、調査の進展により変わる可能性がある。)
○業務用厨房でのCO中毒事故は、従業員に加え、飲食客を含む多数の人間が被害を受けるおそれ
があるため、重点的に対策を行う必要がある。
2.業務用厨房施設におけるCO中毒事故の事故件数の推移
平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年
都市ガス
4件
7件
6件
11件
6件
5件
6件
2件
0件
4件
LPガス
7件
2件
6件
3件
12件
6件
4件
5件
3件
1件
11件
9件
12件
14件
18件
11件
10件
7件
3件
5件
計
(※)直近の被害状況は、平成25年は被害者数5人、うち死亡者1人。平成26年は被害者数8人、うち死亡者0人。
数値は、調査の進展により変わる可能性がある。
13
(3)最近のCO中毒事故の概要とその対応
①山小屋におけるCO中毒事故[LPガス]
○平成26年7月29日、山梨県 富士山八合目にある山小屋の従業員用風呂場で、従業員1名が死亡
する事故が発生した。
原因:
○原因は、屋外用ふろがまを屋内に設置して使
用したため、ふろがまの不完全燃焼により一
酸化炭素中毒となり、浴槽に倒れて溺死したも
のと推定。
当省の対応
○平成26年8月7日付けで、4つの関係団体を
通じてLPガス販売事業者に対し、山小屋等の
類似事故の再発を防止するため、山小屋の需
要家に注意喚起するよう要請。都道府県に対
し、山小屋組合等に同様の注意喚起を要請し
た。
○平成26年8月、標高1500m以上の山がある31
都道府県の販売事業者に対しLPガスを提供し
ている山小屋等を調査したところ、販売事業者
119者から314の山小屋等の存在を確認。
○平成27年1月、8月調査で回答のあった販売
事業者に、注意ポイントを示した資料を山小屋
の需要家に配付するよう依頼。
風呂場の状況
容器とふろがま
14
<周知・要請先>
一般社団法人全国LPガス協会会長
日本液化石油ガス協議会会長
一般財団法人全国LPガス保安共済事業団理事長
高圧ガス保安協会会長
47都道府県
各産業保安監督部
15
(3)最近のCO中毒事故の概要とその対応
②飲食店におけるCO中毒事故[LPガス]
○平成26年8月25日、和歌山県内の飲食店で、従業員1名が業務用オーブンの使用中に倒れ、搬送
された病院で一酸化炭素中毒と診断された。
原因:
○当該オーブンの排気口から一酸化炭素が検出されており、通常はオーブンを2台使用するところを事
故当日は3台使用していたことから厨房内の酸素が不足し不完全燃焼が助長され、夏の暑さ及び虫
の進入を防ぐため室外への開口部を全て閉め、換気扇を作動させなかったことにより一酸化炭素を
含む排気が厨房内に滞留したもの。
なお、業務用オーブンは製造から20年経過し劣化していた。
業務用オーブン
16
(3)最近のCO中毒事故の概要とその対応
③公共施設におけるCO中毒事故[LPガス]
○平成27年2月19日、千葉県内の公共施設の調理場で、味噌作りを行っていた利用者7名が一酸化
炭素中毒により病院に搬送される事故が発生。
原因:
○排気フードを使用せずに業務用こんろを使
用したため、換気不良による不完全燃焼
で一酸化炭素が発生し、室内に一酸化炭
素が滞留したことによるものと推定。
なお、事故当時味噌作りを行っていた利
用者は、作業が一段落ついたため、燃焼
器を点火したまま隣室で休憩していた。
厨房内
厨房隣室
業務用こんろ
17
(3)最近のCO中毒事故の概要とその対応
④保育園におけるCO中毒事故[LPガス]
○平成27年2月20日、愛知県内の保育園の調理室で、調理担当者1名が一酸化炭素中毒により病
院に搬送される事故が発生。
原因:
○窓を閉め切った状態で、換気扇を稼働させずに給湯器を使用したため、換気不良による不完全燃焼
で一酸化炭素が発生し、室内に一酸化炭素が滞留したことによるものと推定。
給湯器
18
(4)関係省庁等との連携による取組ー1
平成26年度 食品工場及び業務用厨房施設でのCO中毒事故防止注意喚起
◎食品工場及び業務用厨房施設でのCO中毒事故
平成25年:4件(死者1名、症者6名)、平成24年:7件(死者0名、症者47名)
食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故の防止について(要請)
<平成26年7月7日>
○経済産業省から、次の団体の長あてに実施要請
全国LPガス協会、日本液化石油ガス協議会、全国LPガス保安共済事業団
高圧ガス保安協会、日本ガス協会、日本コミュニティーガス協会
日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、日本フランチャイズチェーン協会、
日本ショッピングセンター協会、新日本スーパーマーケット協会
○経済産業省から、次の関係省庁あてに、関係機関・関係団体への注意喚起を要請
総務省 消防庁 予防課
厚生労働省(健康局 生活衛生課、労働基準局 安全衛生部 化学物質対策課)
農林水産省(食料産業局 企画課、食料産業局 食品製造卸売課、食料産業局 食品小売サービス課 外食産業室)
文部科学省 スポーツ・青少年局 学校健康教育課
国土交通省 観光庁 観光産業課
経済産業省(製造産業局 産業機械課、商務情報政策局 日用品室、商務流通保安グループ 製品安全課、流通政策課)
内容:ガス消費設備の使用者と管理者への注意喚起
(1)ガス消費設備使用中は、冷暖房機を使用する時期においても、必ず換気(給排気)を実施。
(2)ガス消費設備の点検(使用開始時と使用終了時、1日1回以上の作動状況点検等)及び異常時の適切
な措置。
(3)日頃からの手入れの実施、自然災害後及び停電時の注意。
(4)グリスフィルター、脱臭フィルター等の定期的な清掃又は交換。
(5)万一の不完全燃焼に備えた業務用換気警報器の設置。
~平成22~25年度にも同様の注意喚起を関係省庁に要請~
19
(4)関係省庁等との連携による取組-2
経済産業省(本省)から国土交通省への協力依頼
○ガス機器の給気・排気部を閉塞したまま機器を使用した場合、機器の着火・爆発や
異常燃焼による機器の破損のほか、酸素不足による酸欠や不完全燃焼による一酸
化炭素中毒の発生のおそれがあり、消費者が死に至る事例も発生している。
○住宅塗装工事におけるガス機器の給気・排気部の閉塞によるガス事故
・平成20年から平成24年の5年間:計62件発生
・平成23年は22件、平成24年は11件と減少したものの、平成25年は20件と増加
した。
○こうした状況を踏まえ、平成26年11月19日、国土交通省土地・建設産業局建設市
場整備課あて、塗装工事業者の業界に対し以下の要請を行うよう協力を依頼。
・養生を行う場合は、ガス機器の給気部及び排気部を塞がないこと。
・やむを得ずガス機器の給気・排気部をビニールシート等で塞ぐ場合には、当該ビ
ニールシート等を取り除くまでは絶対にガス機器を使用しないよう、住人への周知を
徹底すること。
・工事終了後は、速やかに養生のためのビニールシート等を外すこと。
◎同日付けで、全国LPガス協会、日本液化石油ガス協議会、全国LPガス保安共済事業
団、日本ガス協会、日本コミュニティーガス協会に対して、ガス事業者を通じた一般消費
者への周知を依頼
20
21
(4)関係省庁等との連携による取組-3
業務用厨房の清掃・メンテナンスの促進(消防と共同)
○経済産業省は、総務省消防庁と協力し、業務用厨房でのガス機器等の清掃・メ
ンテナンスについて、リーフレットを作成。消防庁のHPに掲載。
消防庁HP:http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList4_8.html
22
(4)関係省庁等との連携による取組-4
業務用厨房施設等における一酸化炭素中毒事故連絡会議
○業務用厨房施設等における一酸化炭素(CO)中毒により、消費者、労働者が被災する事
故が多発している状況を踏まえ、危害防止に資する事故情報や行政の取組事例等の情
報交換を目的として、関係省庁による会議を設置。
○平成22年4月に第1回を開催、平成26年5月27日で5回目。
○第5回CO中毒事故連絡会議では、事故の状況、普及啓発活動及び技術開発の状況等に
ついて、関係省庁及び関係団体と意見交換を行うとともに、当該関係省庁及び関係団体
に対し、事故防止に係る協力を要請。
【参加省庁】
内閣府 消費者庁 消費者安全課
総務省 消防庁 予防課
文部科学省 スポーツ・青少年局 学校健康教育課
厚生労働省 健康局 生活衛生課
厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 化学物質対策課
農林水産省 食料産業局 食品小売サービス課 外食産業室
農林水産省 食料産業局 食品製造卸売課
国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課 専門工事業・建設関連業振興室
国土交通省 観光庁 観光産業課
経済産業省 製造産業局 産業機械課
経済産業省 商務情報政策局 日用品室
経済産業省 商務流通保安グループ 流通政策課
経済産業省 商務流通保安グループ 製品安全課
経済産業省 商務流通保安グループ 高圧ガス保安室
23
3.保安高度化に向けた取組
(1)認定液化石油ガス販売事業者
認定液化石油ガス販売事業者とは
○「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」に基づき、い
わゆる集中監視システム(注)等を導入することにより、LPガスの保安の高度
化に特に積極的に取り組んでいるとの法令上の認定を受けたLPガス販売事業
者。
注)集中監視システム:一般家庭でのマイコンメーター、ガス漏れ警報器等と連動し、
長時間使用や漏えいの信号を販売事業者・保安機関の集中
監視センターで収集し、消費者に異常を連絡・確認するととも
に、応答がない場合などには遠隔操作によりガスの供給を
遮断するもの。
認定の要件
○LPガスの販売契約を締結している一般消費者のうち、次の3条件を全て満たし
た一般消費者が70%以上であること。
①法令で要求する機能をもった遮断弁を有するガスメーター・調整器等の保
安確保機器を一般消費者宅に設置していること。
②法令に基づいて保安確保機器の期限管理をしていること。
③電話回線等の通信手段を利用した集中監視システムを設置し、緊急時に
は一般消費者宅のガスメーターの遮断弁を遠隔遮断できること。
24
(1)認定液化石油ガス販売事業者
認定液化石油ガス販売事業者に対する優遇制度
○認定液化石油ガス販売事業者に対しては、以下の優遇要件を適用。
①販売所ごとに選任が義務付けられている業務主任者の選任基準の緩和
-基準となる一般消費者等の数から認定対象消費者等の数の2/3を減じるこ
とができる。
②原則として30分以内に到着とされている緊急時対応の要件の緩和
-40キロメートル以内を同要件に適合しているとみなす。
③4年に一回以上とされている定期供給設備点検及び定期消費設備調査の一部の
頻度の緩和
-10年に一回以上とすることができる。
認定液化石油ガス販売事業者の認定状況
○平成26年10月1日現在の認定状況は以下の通り。
・全国のLPガス販売事業者20,600社のうち239社
・経済産業大臣が所管するLPガス販売事業者50社のうち8社
○経済産業大臣が所管する認定販売事業者は以下の8社。
橋本産業株式会社、マルハ産業株式会社、伊丹産業株式会社、
ガステックサービス株式会社、フジホームサービス株式会社、
太平産業株式会社、西日本液化ガス株式会社、株式会社ガスパル
25
(2)バルク貯槽等告示検査の合理化に向けた省令・告示の改正
民生用バルク供給システムの導入
○平成8年、「液化石油ガスの保安の
確保及び取引の適正化に関する法
律」を改正。
○保安距離を短くする一方、安全措置
を講じ保安の確保を図ることにより、
従来のシリンダー配送に代わる民
生用バルク供給システムを導入。
○平成9年、「液化石油ガスの保安の確保
及び取引の適正化に関する法律施行規
則」を改正するとともに、「バルク供給及び
充てん設備に関する技術上の基準等の
細目を定める告示」を制定し、民生用バ
ルク供給システムの導入及び運用が本格
的に開始。
○平成25年までに導入された民生用バルク
供給システムは、
バルク貯槽: 累計253,257基
バルク容器: 累計 8,155基
一般住宅
バルクローリー
バルク貯槽
26
(2)バルク貯槽等告示検査の合理化に向けた省令・告示の改正
告示検査の枠組み
○平成9年の民生用バルク供給システムの導入開始時に、規則第16条第22号及び第23号
並びに告示第1条が整備され、法令としてバルク供給システムの検査(以下「告示検査」と
いう。)制度が確立。
○バルク貯槽は、告示第1条で初回の検査期限を製造後20年(安全弁は5年)以内と規定。
告示検査を具体化するための省令・告示等改正
○今後、告示検査期限の20年を迎えるに際し、液化石油ガス販売事業者や容器検査
所等の検査機関において、大量のバルク貯槽等を検査することによる現場の混乱や、
異なる判定が下されることによる検査結果のバラツキ等を回避するため、告示検査が
本格化する前に関連する省令・告示等を改正し、作業手順等を明確化。
○省令・告示改正の概要(平成26年6月4日公布、平成26年9月1日施行)
(1)作業計画の作成及び作業責任者の指名等
(2)特定供給設備の許可における貯蔵能力の特例
(3)液化石油ガス設備工事の届出における貯蔵能力の特例
(4)告示検査の帳簿及びその保存
(5)内面について行う非破壊検査
(6)検査に合格したバルク貯槽又は附属機器等の表示
(7)附属機器等の告示検査期間の延長
○基本通達の改正(平成26年10月22日施行)
2727
Ⅱ.法令遵守状況等について
(1)液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律
略称:液化石油ガス法/液石法
液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)
一般消費者等(※)に対する液化石油ガスの販売、液化石油ガス器具等の製造
及び販売等を規制
※一般消費者等とは、①燃料として生活の用に供する一般消費者(例:一般住宅、
70戸未満の共同住宅)、②暖房、冷房、飲食物の調理のための燃料として業
務の用に供する者(例:飲食店、病院、ホテル等)、③蒸気又は水温の上昇の
ための燃料としてサービス業の用に供する者(例:クリーニング店等)
災害の防止・取引の適正化
LPガス販売事業者としての適用範囲
元売等
販売事業者
LPガス
基地
一般消費者
LPガス
充填所※
LPG
T/L配送※
LPG
容器配送※
※高圧ガス保安法の規制対象
28
液化石油ガスの保安-7つの保安業務
販売事業者に課せられた保安業務
1 供給開始時点検・調査
5 周知(供給開始時および2年に1回、設
LPガスの供給を開始する前に、設備の点
検や調査を行う。
備によって1年に1回)
LPガスの使用上の注意などを記載したパ
ンフレット等(周知文)を定期的に配付する。
2 容器交換時等供給設備点検
容器・圧力調整器、バルブ、供給管などの
点検や調整を行う。
3 定期供給設備点検(4年に1回、設備
によって6ヶ月、1年、2年に1回)
供給設備のガス漏れ試験などを行う。
4 定期消費設備調査(4年1回、地下室
等は1年に1回)
ガス器具や給排気設備などの調査を行う。
6 緊急時対応
消費者からの災害の発生などの連絡に対
して迅速な措置を行う。(必要に応じ出動
する。)
7 緊急時連絡
消費者からの災害の発生などの連絡に対
して迅速な措置を行う。(出動はしない。集
中監視センター等に該当)
※ 消費設備調査の結果、技術基準に適合していなかった場合は、基準適合のために必要な措置等をその所有者(消費者)に通
知する義務がある。
液化石油ガス販売事業者は保安業務の全部、又は一部を、保安機関に委託できる。ただし、
保安業務が適切に実施されていることを管理することは必要。
保安機関:経済産業大臣又は都道府県知事の認定を受けたLPガスの保安業務を行う機関
29
一般消費者等、販売事業者、保安機関の数
1.一般消費者数
全国で約2,500万世帯
2.販売事業者数
20,600
本省所管
:
50
産業保安監督部所管:
187
都道府県所管
:20,363
3.保安機関数
21,064
本省所管
:
78
産業保安監督部所管:
495
都道府県所管
:20,491
年
販売事業者数
S53
40,790
S54
40,157
S55
40,066
S56
40,002
S57
39,649
S58
39,181
S59
39,177
S60
38,321
S61
37,427
S62
36,719
年
販売事業者数
S63
36,686
H1
35,645
H2
34,950
H3
34,126
H4
33,684
H5
32,964
H6
32,807
H7
32,227
H8
31,397
H9
30,022
年
販売事業者数
保安機関数
H10
29,252
H11
27,953
H12
27,533
H13
27,017
H14
26,728
27,359
H15
26,052
26,801
H16
25,825
26,377
H17
25,343
25,978
H18
24,622
25,112
H19
23,893
24,394
年
販売事業者数
保安機関数
H20
23,101
23,582
H21
22,442
22,816
H22
22,047
22,513
H23
21,518
22,062
H24
21,052
21,581
H25
20,600
21,064
※平成26年3月末現在における、販売事業者は登録、保安機関は認定を受けている事業者の数で、販売事業者、
保安機関の数には両者を兼ねる事業者が含まれる。
30
なぜ法令遵守が重要か
法令は最低限の決まり
遵守は大前提
○LPガスは、
生活に密着した重要なエネルギー
事故で消費者が巻き込まれる可能性大
立入検査で
依然として違反事実判明
法令違反は事故の確率を
高めてしまう
改善が
ないと・・
業界全体が
疑問視され、
社会からも駆
逐される
事故による各
事業者の経済
的損失は莫大
むしろ自主保安により、高い保安レベルを競うべき時代
・ 法令を最低限にしたのは、技術の進歩や事業者の創意工夫を阻害し、保安
レベルの向上が期待できないため。
○事業者による自主保安で保安レベルが向上することを前提としている。
→「法令ではないから守らなくて良い」ではない。
31
(2)立入検査のポイント及び流れ
立入検査のポイント(本省の場合)
規 範
1.立入検査マニュアル(商保G内規)に基づき実施
2.当該年度の立入検査計画の策定(毎年度4月中までに策定)
※立入検査先の選定方針は、①これまでに行政処分等を受けた事業者、②これまで立入検査が未
実施の事業者のうち地域バランスを考慮した事業者、③事故等新たに問題が発生した事業者等に
ついて重点的に実施。
検査前・検査時
3.事業者へ立入検査実施の旨の通報
※3日前までに連絡。
4.保安点検記録票等の確認。場合によっては消費者先での現場確認
※記載事項が正しいかどうか様々な観点からチェック(裏をとること)を行う。
不明な点はすぐ結論を出さず持ち帰り検討する。
検査後
5.法令違反が認められた場合、その違反実態に応じて厳格に対応
6.結果をHPに公表。必要に応じプレスに公表
32
平成27年度立入検査重点項目
(「平成27年度液化石油ガス販売事業者等保安対策指針」より)
○保安業務に係る委託契約の内容
○供給設備点検及び消費設備調査等の実施状況
○液石法第14条に基づく書面交付の実施状況
○液石法第16条に基づく貯蔵施設等に係る基準適合義務等の遵守状況
○保安教育の実施状況
○保安業務を委託している場合の実施結果の確認等液化石油ガス業務主任者
が行うべき職務の実施状況
○バルク貯槽の安全弁の交換作業の実施状況
○液化石油ガス機器の経年管理状況
○質量販売における基準の適合状況及び消費設備調査の実施状況
○液化石油ガス販売事業者及び保安機関が備えるべき帳簿への記載状況
他の項目は確認しないという意味ではない。
33
立入検査に係る処分等の流れの例示
(本例示はあくまで目安であり、実際の処分等は規定等に基づき違反実態に応じて決定)
行政指導
反
査
登録の取消・認定の取消
検
液石法に基づく改善命令・業務停止
(一部停止)命令等
違
入
厳重注意
改善指示
立
重大
行政処分(行政手続法対象)
極めて重大、悪質
(虚偽報告・帳簿の改ざん 等)
罰則規定適用の検討
34
(3)立入検査の実施状況
検査結果(*1)
年度
21年度
(*2)
事業者数 事業所数
備 考
良
否
17
18
12
5
136
182
125
11
17
20
14
3
139
169
131
8
17
19
15
1
117
142
113
4
15
15
15
0
125
147
113
12
17
17
16
1
135
145
118
17
18
19
17
1
92
98
87
5
22年度
23年度
24年度
25年度
26年度
(*3)
行政処分(改善命令) :2件 行政指導(厳重注意) :3件
行政処分(一部停止命令) :1件 行政処分(改善命令) :1件
行政指導(厳重注意) :6件 行政指導(改善指示) :23件
行政処分(一部停止命令) :1件 行政処分(基準適合命令) :1件
行政処分(改善命令) :2件 行政指導(厳重注意) :1件
行政指導(厳重注意) :7件 行政指導(改善指示) :11件
行政処分(改善命令) :1件 行政指導(厳重注意) :1件
行政指導(厳重注意) :2件 行政指導(改善指示) :14件
行政指導(改善指示) :12件
行政指導(厳重注意) :1件 行政指導(厳重注意) :4件 行政指導(改善指示) :13件
行政指導(厳重注意) :1件 行政指導(厳重注意) :1件 行政指導(改善指示) :4件
*1:24年度より検査結果の表記を変更し、「指摘なし」、「指摘あり」、「文書による行政指導あり」、「行政処分あり」とした。ここでは前年度
までとの継続性を考慮し、便宜上「指摘なし」、「指摘あり」を「良」と、「文書による行政指導あり」、「行政処分あり」 を「否」としている。
*2:上段は本省、下段は産業保安監督部
35
*3:26年度の産業保安監督部の数字は、第3四半期まで。
平成26年度立入検査結果の概要(1)
平成26年度立入検査の実施状況
1.本省
 経済産業本省の平成26年度立入検査については、平成26年4月から平成27年2月までの間に、
①これまで立入検査が未実施の事業者、②これまでに行政処分等を受けた事業者、③前回実施から
相当期間を経過している事業者、④平成26年に液化石油ガスに係る事故等が発生した事業者の中
から18社(19事業所)を選定し、立入検査を実施した。
 立入検査の結果、LPガス販売事業者1社で次のような法令違反が確認された。当該社に対し、ガス
安全室長の文書による厳重注意を行った。
○ 一般消費者への質量販売に際し、容器引き渡し時における液石法第14条の規定に基づく書面の
未交付、消費設備調査及び周知の未実施
 また、次の事項に関し軽微な不備が確認されたため、それぞれの事業者に対し担当官による口頭注
意を行った。
①保安業務に係る委託契約の内容(5件)
②供給設備点検及び消費設備調査等の保安業務の実施状況(5件)
③LPガス販売事業者が一般消費者等と販売契約を締結する際の書面の記載状況(1件)
④質量販売の記録書類の記載状況(1件) など
36
平成26年度立入検査結果の概要(2)
2.産業保安監督部
 経済産業省産業保安監督部の平成26年度立入検査については、平成26年4月から12月までの間に、概
ね本省と同様の考え方で対象事業者を選定し、92社(98事業所)の立入検査を実施した。
 その結果、5社(10件)において重大な法令違反(定期供給設備点検及び定期消費設備調査について、法
定期限内の未実施、バルク供給設備の定期点検の未実施及びバルク貯槽の安全弁の検査未実施、質量
販売における消費設備調査の未実施等)が確認されたため、それぞれの事業者に対し産業保安監督部長
による行政指導(厳重注意又は改善指示)を行った。また、次の事項に関し軽微な不備が確認されたため、
それぞれの事業者に対し担当官から口頭又は文書による注意を行った。
①保安業務に係る委託契約の内容(1件)
②供給設備点検及び消費設備調査等の実施状況(7件)
③保安教育の実施状況(1件)
④保安業務を委託している場合の実施結果の確認等業務主任者が行う職務の実施状況(1件)
⑤質量販売における基準の適合状況及び消費設備調査の実施状況(3件) など
3.平成27年度の立入検査
平成27年度立入検査においては、過去に行われた立入検査で確認された法令違反等を踏まえ、引き続き、
次に掲げる事項を重点的に確認することとする。
(1)保安業務に係る委託契約の内容
(2)供給設備点検及び消費設備調査等の実施状況
(3)液石法第14条第1項に基づく書面の交付状況
(4)液石法第16条に基づく貯蔵施設等に係る基準適合義務等の遵守状況
(5)バルク貯槽の安全弁の交換作業の実施状況
(6)保安教育の実施状況
(7)保安業務を委託している場合の実施結果の確認等業務主任者が行う職務の実施状況
(8)液化石油ガス機器の経年管理状況
(9)LPガス販売事業者等が備える帳簿への記載状況
37
(10)質量販売における基準の適合状況及び消費設備調査の実施状況
総務省近畿管区行政評価局調査報告書(平成26年3月19日)
 近畿管区行政評価局において、「液化石油ガスの安全確保等に関する調査-真に災害に強いLPガス
の確立を目指して-」が行われ、平成26年3月19日に報告書及び事例集が取りまとめられ、液化石
油ガス法に基づく技術基準違反のおそれ等が指摘されているところ。
(参考)(近畿管区行政評価局「液化石油ガスの安全確保等に関する調査」(H26.3.19)より)
報告書 http://www.soumu.go.jp/main_content/000280143.pdf
事例集 http://www.soumu.go.jp/main_content/000280145.pdf
 平成26年4月9日付けで中部近畿産業保安監督部近畿支部保安課長から近畿管内府県液化石油ガ
ス保安担当課長あて液石法に係る府県登録販売店に対する指導、監督を要請。
(要請内容)
管内各府県におかれましては、液石法に係る府県登録の販売店における、販売先(容器設置場所
等)の技術基準遵守、並びにマイコンメーター及び調整器の期限管理等について、改めて指導、監督を
行っていただきますよう、お願い申し上げます。
【報告書等で留意していただきたい箇所】
1.容器の転落、転倒等による衝撃を防止するための措置が不適切なもの
報告書p.6~7、事例集:1,3,5,7,8,10,14
2.容器バルブ等の損傷防止措置が不適切なもの 報告書p.6~7、事例集:19
3.マイコンメーター、圧力調整器等の期限管理が行われていないもの 報告書p.24~25、事例集:26~29
 平成26年4月9日付けで中部近畿産業保安監督部近畿支部保安課長から近畿管内府県高圧ガス保
安担当課長あて自然災害に係る高圧ガス事故の報告について要請。
(要請内容)
平成26年度の事故報告から、大規模な自然災害により多数の容器が流出し、一括して「喪失」で報
告する場合等を除き、容器について、漏えい、漏えい火災等の「災害」に該当する事象が確認できた
38
場合には、「災害」として報告してください。
液化石油ガス用小型自動切替式調整器の
ガス微少漏えい発生の可能性について
 平成26年8月27日、I・T・O株式会社から経済産業省に対し、液化石油ガス用小型自動切替式調整器の
中圧ダイヤフラムに使用するゴム材について、使用後2~3年程度で亀裂が生じ、ガス微少漏えいが発
生するおそれがあるため、同社製の調整器(型番:AXS-8B及びTAXS-8B)の製品自主回収を開始する
旨の報告があった。このため、当省から同社に対し、早期回収等を指示。
 平成26年8月28日、I・T・O株式会社より不具合品の販売先であるLPガス販売事業者に対し、当該製品
の取替えを依頼。
 これを受け、当省は、8月28日、関係団体を通じて液化石油ガス販売事業者に対し、本件について別添
のとおり周知し、当該製品の早期交換に努め、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関す
る法律における技術上の基準(施行規則第18条第20号イ)に不適合とならないよう注意喚起を実施。
○ 取替対象製品
液化石油ガス用小型自動切替式調整器
(型式:AXS-8B及びTAXS-8B)
○ 取替対象製造番号
1008109~1212105
○ 製造期間、製造台数、対象台数
製造期間:平成22年8月19日から平成24年12月10日
製造台数:571,617台
対象台数:571,617台
39
対象製品の見分け方
40
Ⅲ.「平成27年度
液化石油ガス販売事業者等保安対策指針」
について
41
Ⅲ-1.「平成27年度液化石油ガス販売事業者等保安対策指針」の構成
指針の構成
「保安対策指針」の位置付け:
○販売事業者等(注)に対応を要請し、LPガス使用時の保安の維持・確保を図る
○前年度の取組を点検し、次年度に反映
第1 保安対策指針の位置付け
1.考え方
液石法は、実効性が高く、自主保
安活動の推進につながる保安規制
が基本
・事前規制は必要最小限
・事後規制(立入検査等)で法令遵
守を確保
2.平成26年(度)の状況
3.取組の基本方針
・法令の確実な遵守と適切な保安
対策の実施
・自主保安高度化の一層の推進
・業界団体が表明した対策の具体
的・確実な実施
・自然災害の発生に備えた万全の
保安対策の実施
2020年に向けての目標設定
(1)事故の発生状況
《死亡者ゼロ、負傷者25人未満》
26年の事故件数は5年ぶりに200
件を下回ったが、死傷者数は増加
・死亡者1名、負傷者76名
・CO中毒事故は依然発生
①古いガス器具の交換を促し、
安全な消費機器の普及を促進
②期限管理を徹底し、期限内に
確実に交換
③CO中毒事故の撲滅を目指し、
換気・メンテナンスの周知を徹
底し、警報器の設置を促進
④法令遵守の徹底を図り、チェッ
クシートを活用することにより、
自主保安活動を積極的に推進
(2)法令遵守の状況
平成26年は法令違反を伴う事故は
22件発生。死傷者数は77人であ
るが、このうち22%(17人/77人)
が法令違反を伴う事故によるもの
〔取組〕
注:販売事業者及び保安機関
第2 要請4項目
1.法令遵守の徹底
・経営者の保安確保へのコミットメン
ト等
・販売事業者等の義務の再認識
・保安教育の確実な実施
・販売所・営業所単位での保安確保
・事業譲渡時等の保安業務の確実な
実施
2.組織内のリスク管理の徹底及び
自主保安活動の推進
重点事故
対策3項目
3.事故防止対策
・CO中毒事故の防止対策
・一般消費者等起因事故の防止対策
・LPガス販売事業者等起因事故の
防止対策
・質量販売に係る事故の防止対策、
積雪・除雪ミス事故の防止対策
4.自然災害対策
・液化石油ガス部会報告・LPガス災
害対策マニュアルの着実な実施
42
Ⅲ-2.「平成27年度保安対策指針」の新規項目及び実効性を高める取組等 ①
◎平成27年度保安対策指針の主な新規項目
1.平成27年度保安対策指針は、平成26年度保安対策指針の内容を基本的
に踏襲しつつ、新たに以下の点を追加。
(1)2020年に向けての目標設定
死傷者を伴う事故について、液化石油ガス保安対策の徹底を要請し、2020年時
点の目標として、死亡者はゼロ、負傷者は25人未満(注)を目指す。
(注)負傷者数の目標は、昭和42年以降で最も少ない52人の半減(25人未満)とした。
上記の目標(死亡者ゼロ、負傷者25人未満)を達成するため、以下の取組を重点
的に実施すること。
・様々な機会を通じて一般消費者等に対して注意喚起を積極的に促し、不完全燃焼防
止装置等の安全装置のない古いガス機器の交換を促すとともに、Siセンサーコンロ
等の安全な消費機器の普及の促進に努めること。
・マイコンメーター、調整器等の期限管理を徹底し、期限内に確実に交換すること。
・CO中毒事故の撲滅を目指し、一般消費者等に対し、換気(給食及び排気)及び清
掃・メンテナンスの重要性について周知を徹底するとともに、業務用換気警報器・CO
警報器の設置の促進を図ること。
・法令遵守の徹底を図るとともに、自主保安活動チェックシートを積極的に活用すること
等により、自主保安活動を積極的に推進すること。
43
Ⅲ-2.「平成27年度保安対策指針」の新規項目及び実効性を高める取組等 ②
(2)一般消費者等に対する周知等による保安意識の向上
一般消費者等が正しいLPガス及び関連機器の取扱方法を理解し、実行できるよう
にするため、以下のような工夫を図りながら一般消費者等への周知活動を実施する
こと。
・一人住まいの老人・高齢者宅、身体の不自由な消費者宅を訪問し、安全装置のない
古いガス機器の交換、こんろを始めとする消費機器の安全点検等の実施。
・小・中学校を対象とした「出前教室」(保安教室、化学教室、料理教室)の開催。
(3)リコール対象品等への対応
経済産業省のリコール情報に掲載されているガス機器に関する所有者情報を有し
ている場合には、ガス機器製造事業者に対して情報提供などの協力に努めること。
なお、LPガス販売事業者等は、リコール製品への対応を図る観点からガス機器製造
事業者と連携を図ること。
(4)長期使用製品安全点検制度への協力について
保安点検・調査時等に、自社が販売した製品で、対象製品にもかかわらず所有者
情報の登録がされていない可能性がある場合には、所有者票の代行記入を含め、登
録率向上に向けた対応を図ること。また、自社が販売した製品ではない場合において
も、積極的に所有者票の代行記入等の協力に努めること。
なお、LPガス販売事業者等は、登録率向上に向けてガス機器製造事業者と連携を
図ること。
44
Ⅲ-2.「平成27年度保安対策指針」の新規項目及び実効性を高める取組等 ③
(5)質量販売の確実な保安業務の実施について
質量販売に関する事故が発生していることから、質量販売に際しては、法令遵守を
徹底し、消費設備に係る供給開始時調査及び14条書面交付について、確実に実施す
ること。また、質量販売先の一般消費者等に対し、質量販売事故防止のためのリーフ
レット等により周知を確実に実施すること。
2.保安対策指針の実効性を高める取組
今後、より一層、保安対策指針の実効性を高め、自主保安活動の取組の促進を図る
観点から、以下の点について取り組む。
(1)行政機関による連携等の促進(平成26年度より継続、青字は平成27年度新規)
経済産業省本省、産業保安監督部及び都道府県においては、事故防止への対策、
法令違反への対応、自然災害対策への取組等について共有するとともに、立入検査
においては、LPガス販売事業者と保安機関の所管が行政機関によって異なる場合は
可能な限り当該行政機関において合同して実施する。なお、立入検査に際しては、必
要に応じて供給設備等の現場確認を実施する。
45
Ⅲ-2.「平成27年度保安対策指針」の新規項目及び実効性を高める取組等 ④
(2)LPガス販売事業者等の自主保安活動の把握等(平成26年度より継続)
LPガス販売事業者等の自主保安活動の取組の促進を図る観点から、行政機関は、
所管のLPガス販売事業者等に対し、自主保安活動チェックシートの利用の把握に努
めるとともに、特に一般消費者等に起因する事故撲滅の観点から同チェックシートの
活用を促進させる。
3.事故撲滅等のための更なる取組(平成27年度新規)
経済産業省本省、産業保安監督部及び都道府県においては、平成27年度
中に死傷者を伴うLPガス事故が発生した場合には、事故原因、法令違反の
有無等を調査するとともに、必要に応じて再発防止策、横展開を講じるなど
所要の措置を講ずる。
46
Ⅲ-3.業界団体による事故対策等保安対策の実施
○液化石油ガス販売事業者等は、
・一般社団法人全国LPガス協会の 「LPガス安全応援推進運動“すべては
お客様の安心のために”」(平成27年度から3カ年計画で全国展開)
※ 平成24年度から平成26年度の3カ年で実施した「LPガス安全安心向上運動」
の考え方を踏襲
・七協議会連絡会議(日本液化石油ガス協議会・地域液化石油ガス協議会
の集まり)の行動基準 等
で実施することとされた項目を自主保安活動に積極的に取り入れ、具体的
な取組を行うことが重要。
47
一般社団法人全国LPガス協会
「LPガス安全応援推進運動“すべてはお客様の安心のために”」
○一般社団法人全国LPガス協会(以下「全L協」という。)は、平成27年4月から3カ年計
画で「LPガス安全応援推進運動 “すべてはお客様の安心のために”」を全国展開。
○都道府県LPガス協会はこれまでの事故防止対策等の検証を行い、地域性を踏まえた
対策を実施。半年ごとに、全L協に実施状況を報告。
「LPガス安全応援推進運動
“すべてはお客様の安心のために”」
(平成27年4月から3年間)
【具体的推奨事項】
【全国目標 】
重大事故(B級以上の事故)ゼロ
CO中毒事故件数ゼロ
② 業務用施設の事故防止対策の推進(CO中毒事故防
① 自主保安活動チェックシートを活用した自己診断の
推進
止等)
③ 住宅における不完全燃焼防止装置の付いていない
お客様への交換促進及び特別な注意喚起
④ ガス栓カバーの設置促進
⑤ 供給機器の期限管理の徹底
⑥ ガス放出防止型高圧ホースまたはガス放出防止器
の設置促進
⑦ 災害時の連絡体制の整備
⑧ 災害時の支援体制の整備
48
「LPガス安全応援推進運動 “すべてはお客様の安心のために”」
都道府県LPガス協会が実施する主な対策の概要
【全ての都道府県LPガス協会が実施する対策】
◇ 販売事業者に起因する事故防止
◇ 自然(雪害含む)災害対策
◇ CO中毒事故防止(業務用厨房施設・一般消費者含む)
◇ お客様の不注意による事故防止
【 特色ある対策 】
◇ 地域婦人連合会と協賛研修会
◇ ふれあいサポート運動
◇ 保安啓発活動(LPガスの安全な使い方等のPR等)
◇ 放置容器(停滞容器)の回収
49
七協議会連絡会議の行動基準
○日本液化石油ガス協議会を始めと
する七協議会は、平成24年10月に
以下の3項目を行動基準として採択
し、実態調査を実施。平成27年3月
に結果をとりまとめた。
(1)消費者に起因するLPガス事故の
防止対策としてのガス栓カバーの普
及促進。
(2)事業者に起因するLPガス事故の
防止対策としての調整器の期限管理
の実態調査。
(3)業務用CO中毒の事故対策機器
の普及状況の実態調査。
50
Ⅲ-4.要請4項目(LPガス販売事業者等が講ずべき具体的な保安対策)
1.法令遵守の徹底
(1)経営者の保安確保へ向けたコミットメント等
①経営の基本方針として、法令の遵守、保安の確保を掲げること。
②経営者自らが保安に対する姿勢を社内外に明確に表明し、保安確保の指導力を
発揮すること。
③経営者の最も重要な役割である保安組織体制の整備及び保安関連予算の確保
を図ること。
(2)LPガス販売事業者等の義務の再認識
①LPガス販売事業者は、保安業務を委託している場合でも、保安機関に対して、
保安業務の実施状況について確実に確認を行うこと。
②保安機関は、保安業務の結果を確実に委託元であるLPガス販売事業者に通知
すること。
(現状)
・平成25年度の立入検査において、保安業務の実施結果を委託元であるLPガス販売
事業者に通知していない保安機関が見受けられた。
51
(3)保安教育の確実な実施
①保安教育を的確に実施する体制を整備するとともに、年間保安教育計画を策定
し、保安教育が従業員に対して確実に実施されるようにすること。
②保安教育の実施に当たっては、容器交換時や設備工事・修理等の際の標準作
業マニュアルを作成する等、作業手順の再確認及び徹底並びに定められた作
業を的確に実施できる技術力の向上を図るよう指導すること。
③販売グループの中核となっているLPガス販売事業者等は、グループ内事業者に
対する保安教育を主導し、保安業務や保安技術を伝承、指導することにより保
安レベルの向上を図ること。
(現状)
・中国液化石油ガス保安連絡協議会が中国四国産業保安監督部の協力により、同協議会
会員並びに会員各社のグループ・関連会社等への指導を実施することにより、保安技術
の向上、一般消費者等の信頼を確保し、安全・安心を提供する保安アドバイザ-制度を
実施。
・福岡県高圧ガス保安推進会議(福岡県LPガス協会等が会員)が実施する保安技術アド
バイザー派遣事業(ベテランの保安技術アドバイザーが訪問し適切なアドバイスを実施)
等
④経済産業省が実施する地域保安指導事業において開催する保安講習会等に積
極的に参加すること。
52
(4)販売所・営業所単位での保安確保
①LPガス販売事業者は、販売所・営業所等の責任者が保安業務の監督責任者と
しての自覚を持ち、業務主任者とともに、保安確保への取組を確実に実践する
こと。
②LPガス販売事業者は、業務主任者の職務・役割の社内規程類への明示による
明確化等、実効的に機能する体制の整備を図ること。
(現状)
・平成26年度の立入検査において、点検・調査結果等における未記入・誤記入を業務主
任者が見過ごしていた例が散見された。
③販売所・営業所等において法令遵守と保安業務の適切な実施が行われているか
を本社の保安管理部門等が確実に把握し、不足・不備があれば改めるとともに、
内部監査の充実を図ること。
(現状)
・平成25年度の立入検査において、保安機関においてLPガス販売事業者から受託した保
安業務を他の保安機関へ再委託していた事例があった。
・平成26年度は、本社の保安管理部門が販売所・営業所の業務の実施状況を把握してお
らず、法令違反に至るとともに事故が発生した事例があった。
53
(5)事業譲渡時の保安業務の確実な実施
①事業譲渡を受ける場合は、譲渡前の保安状況(配管等の設置状況等を含む。)
を事前に確認し、保安業務遂行の人員、日数等を確保し、保安業務を実施する
こと。
②譲渡後も緊急時対応の基準内の確実な実施を含めた保安業務の実施状況につ
いて再度確認をすること。
(6)バルク貯槽等の20年検査に向けた体制準備
①LPガス販売事業者は、民生用バルク供給システムに使用されているバルク貯槽
及び附属機器等のいわゆる20年検査に係る液石法施行規則、告示及び通達
並びに高圧ガス保安協会規格を確認し、20年検査に関する具体的な計画の策
定及びその準備に着手すること。
(現状)
・経済産業省は、バルク貯槽等の告示検査の合理化及び効率化に関して、液石法施行規
則及び告示の関係規定を平成26年6月に改正(同年9月1日施行)。また、「液化石油ガ
スの保安の確保及び取引の適正化に関する法律及び関係政省令の運用及び解釈の基
準について」(通達)を同年10月22日に改正。
54
・高圧ガス保安協会は、経済産業省の委託事業で作成した20年検査に関する手順書(案)
を基に、次の3つの20年検査(告示検査)に関する高圧ガス保安協会規格(KHKS)を平
成26年2月に制定。また、省令等の改正を受けて、平成27年2月4日に改正。
①バルク貯槽の告示検査等に関する基準(KHKS0745)
②附属機器等の告示検査に関する基準(KHKS0746)
③バルク貯槽及び附属機器等の告示検査等前作業に関する基準(KHKS0841)
55
Ⅲ-4.要請4項目(LPガス販売事業者等が講ずべき具体的な保安対策)
2.組織内のリスク管理の徹底及び自主保安活動の推進
(1)組織内のリスク管理の徹底
現場の実態に応じて異なるリスクを把握・認識し、適切な対策・改善を継続して実施
する「リスクマネジメント」の考え方を取り入れ、リスク管理の徹底を図ること。その際、
自主保安活動チェックシートを活用した自主保安活動の自己診断を行うことにより、
自らの自主保安の状況を客観的に認識し、保安レベルの向上に活用すること。(別紙
1)
(現状)
・自主保安活動チェックシートの提出状況:平成26年度 74.0%(平成25年度 56.1%(年
度途中から実施))(一般社団法人全国LPガス協会調べ)
(2)集中監視システムの導入等による自主保安活動の推進
より一層の安全確保の観点から、一般消費者における保安管理状況がリアルタイ
ムで把握でき、その状況に応じた的確な対応を迅速に行える集中監視システムの導
入又は導入に向けた検討を行うこと。その際、集中監視システムの通信規格につい
ては、国際標準化された規格に配慮することが望ましい。(別紙1)
(現状)
・認定液化石油ガス販売事業者の認定状況:平成26年10月1日現在239社(認定割合1.
2%)。
・集中監視システムの普及率:26%(平成21年 集中監視設置世帯 624万世帯、LPガス利
用世帯 2,400万世帯.出所:資源エネルギー庁 スマートメーター制度研究会調べ)
56
(別紙1-1)
平成27年度自主保安活動チェックシートの概要(1/4)
【リスクマネジメントの実施】
○自主保安活動チェックシートは、「保安方針」「保安管理体制」「保安業務」「自然災害対
策」に関する合計42の評価項目について、自己採点することにより、客観的に自らの自
主保安の取組状況について把握が可能。
○自主保安活動において、“何が出来て、何が出来ていないか。” 現場のリスクを把握、
認識することにより (リスクマネジメントの第一歩)、 適切な対策・改善を継続して実施
することが重要。
【LPガス消費者保安功績者表彰の実施】
【自主保安活動チェックシートの評価項目】
○自主保安活動を推進し顕著な功績を挙げた
販売事業者等に対し、経済産業省商務流通 Ⅰ.保安方針(16項目)
No.1 保安体制・責任と権限の明確化
保安審議官表彰を始めとし、高圧ガス保安
No.2 安全機器等の設置の取組
協会長表彰及びLPガス安全委員会長表彰
No.3 予防保全(期限管理)
を毎年10月に実施 (平成26年度;63者受 Ⅱ.保安管理体制(12項目)
No.1 保安教育・資格取得
賞)。
No.2 設備工事
○表彰の対象は、自主保安活動チェックシート No.3 CO(一酸化炭素)中毒事故防止対策
No.4 埋設管の管理
の評価項目の合計点数が百点満点中75点
以上の者(表彰に係る推薦は、自薦、他薦を Ⅲ.保安業務(法定保安業務以外の自主的な
保安高度化の取組)(9項目)
問わない。)。
○平成27年度から、商務流通保安審議官表
彰の受賞歴が高圧ガス保安経済産業大臣
表彰(優良販売事業者等)の加点対象。
No.1 自主的な保安高度化の取組
No.2 消費者保安啓発活動
Ⅳ.自然災害対策(5項目)
57
(別紙1-2)
平成27年度自主保安活動チェックシートの概要(2/4)
※3
※1
※2
58
(別紙1-3)
平成27年度自主保安活動チェックシートの概要(3/4)
※4
59
(別紙1-4)
平成27年度自主保安活動チェックシートの概要(4/4)
【表彰手続きの流れ】
※5
商務流通保安審議官表彰(*)
高圧ガス保安協会長表彰
LPガス安全委員会長表彰
(例)
経済産業省本省
産業保安監督部及び支部
【改訂のポイント】
都道府県
◆ 安全機器等について、以下の「設置率」等を追加
① ガス警報器 〔※1〕
「設置率80%以上99%以下」を追加
② 漏洩検知装置 〔※2〕
都道府県
LPガス協会
地域液協
販売事業者
等(都道府
県所管)
販売事業者
等(監督部
等所管)
日液協
「設置率80%以上99%以下」を追加
③ 集中監視システムの導入 〔※3〕
「導入率50%以上70%未満」、 「導入率30%以上50%未満」を追加
④ ガス放出防止型高圧ホース又はガス放出防止 〔※5〕
「設置率70%以上99%以下」、 「設置率50%以上70%未満」を追加
◆ リコール対象品への対応を追加 〔※4〕
販売事業者
等(本省所
管)
(*)高圧ガス保安経済産業大臣表彰(優良販売事業者等)の加点対象
60
(別紙2)
LPガス集中監視システムの概要
リアルタイムで一般消費者先における異常発生を知
ることができるため、迅速な対応が可能となり重大
事故を未然に防止できる。
・最大流量オーバー遮断
・使用時間オーバー予告
・使用時間オーバー遮断
・メータの遠隔開閉、等
<現行の通信方式>
LPガス事業者
<新無線通信方式>
集中監視センター
世界標準化された超低消費電力新無
線通信方式を採用することにより一
般消費者の更なる安全・安心を提供
Uバスエア
Uバス
エア端末
固定通信網
(有線電話網等)
保安器
戸建住宅
戸建住宅
無線親機
NCU※
無線通信網
(携帯網等)
有線NCU※1
Uバスエア
ガスメータ
集合住宅
ガスボンベ
警報器
Uバス
超音波
メータ
ガスボンベ
操作器
●Uバスエアとは
メーター間でバケツリレー方式の
多段中継を可能にする920MHz
帯無線端末 (超低消費電力の
新無線通信方式)
●特長
・ IEEE802.15.4e/g標準化完了
・自動ネットワーク構成の実現
による施工の簡素化
・通信経路の自動選択機能実現
による信頼性向上
集合住宅
(注)有線・無線方式は
戸建住宅・集合住宅の種
別に関係なく適用可能
(注) ガス・水道のメータ
リング端末は電池
駆動が必須
※ NCU:
Network Control Unit
無線親機
NCU※
無線子機
NCU※
無線親機
NCU※
Uバス
Uバスエア 超音波メータ
水道メータ
ボンベ庫
ボンベ庫
61
Ⅲ-4.要請4項目(LPガス販売事業者等が講ずべき具体的な保安対策)
3.事故防止対策
(1)CO中毒事故の防止対策
① 業務用厨房におけるCO中毒事故の防止対策
A.業務用厨房の関係者に対する周知
(ア) 換気(給気及び排気)が十分に行われないと不完全燃焼を起こしCOが 発生す
るメカニズムや業務用厨房においてひとたび事故が発生した場合、従業員のみ
ならず来店者をも巻き込むこと等について対面により説明し、換気や清掃・メンテ
ナンスの重要性について、業務用厨房の所有者、従業員等の理解を促すこと。
(現状)
・平成25年においては、4件のCO中毒事故のうち3件が業務用厨房で発生している。これ
らの原因は、いずれも換気扇、排気設備の未使用によるものであった。また、いずれも業
務用換気警報器等は設置されていなかった。
・平成26年は、3件のCO中毒事故が発生し、このうち2件は屋外で使用する機器を屋内で
使用していた。
・業務用厨房機器の使用者等、一般消費者向けのCO中毒事故防止のための注意喚起の
ためのリーフレットを経済産業省のホームページに掲載(別紙3)。
62
(別紙3)
一般家庭や業務用厨房機器の使用者向けのCO中毒事故防止のための
注意喚起のためのリーフレット
http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/san
gyo/lpgas/files/1016COchudoku.pdf
63
(イ) 定期消費設備調査等の機会に、業務用厨房機器の設置環境や使用状況を確
認し、業務用厨房の所有者、従業員、アルバイト等に対し、ガス機器、レンジフー
ド・換気扇や排気ダクトの清掃、修理等の定期的な清掃・メンテナンスの必要性を
働きかけること。
(現状)
・ガス機器の定期的な清掃やメンテナンスに関する注意喚起のためのリーフレット(総務省消
防庁と連名)を経済産業省のホームページに掲載(別紙4)。
・業務用厨房機器を維持管理する際に注意すべき点等について経済産業省のホームページ
に公表。
(ウ) めんゆで器の排気口を閉塞したことによるCO中毒事故の対象となったメーカー
製のめんゆで器(同一型式及び類似型式)であって、まだ対策が取られていない
ものを発見した場合は、その使用者に対しメーカーの対応を紹介し、対策を促す
こと。
(現状)
・平成24年2月に発生した岐阜県の体験施設におけるめんゆで器に係るCO中毒の事故発
生後、メーカーは、使用者に対し注意喚起するとともに、排気筒を延長するカバー(高さが
高く、上面に物が置けないよう傾斜が付いている。)を作成し、警告シールとともに無償で
提供する対策を実施中。また、平成25年6月に日本厨房工業会、めんゆで器メーカー等と
開催したそば釜等事故対策会議で業務用厨房実態調査の結果や最近の事故状況につい
て説明し、事故防止のための情報交換を実施。
64
(別紙4)
ガス機器の定期的な清掃やメンテナンスに関する注意喚起のためのリーフレット
(消防庁・経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sa
ngyo/lpgas/files/1028chubo.pdf
65
B.業務用換気警報器・CO警報器の設置の促進
業務用厨房の使用者や所有者に対して、業務用換気警報器・CO警報
器の設置の促進を引き続き継続すること。
(現状)
・七協議会連絡会議では「業務用CO中毒の事故対策機器の普及状況の実態調査」を3
項目の行動基準の一つとしており、平成26年12月末現在、普及率は65%(全207社
中 回答率100%)。
② ボイラーにおけるCO中毒事故の防止対策
(ア) ホテル・旅館・学校においては、厨房だけでなくボイラーにおけるCO中毒事
故が発生していることから、引き続き、ホテル・旅館等に対する周知活動を通じ
て、注意喚起を継続的に実施すること。
(現状)
・平成21年1月、鹿児島県の高校において、同年6月には山口県のホテルにおいて、いず
れもボイラーの不完全燃焼及び排気不良により、それぞれ18名、22名(うち1名死亡)
の被害を伴うCO中毒事故が発生。
・ホテル・旅館等でのボイラーによるCO中毒事故防止のための注意喚起のためのリーフ
レットを経済産業省のホームページに掲載(別紙5)。
66
(別紙5)
ホテル・旅館等でのボイラーによるCO中毒事故防止のための
注意喚起のためのリーフレット
http://www.meti.go.jp/policy/safety_
security/industrial_safety/sangyo/lp
gas/files/hotel.pdf
67
(イ) ホテル・旅館・学校等の業務用ボイラーの使用者や所有者に対し、業務用換気警
報器・CO警報器の設置の促進を継続的に実施すること。
(現状)
・ホテル・旅館・学校等の業務用ボイラーの設置箇所を含む業務用厨房施設において業務用
換気警報器・CO警報器の設置率は、平成26年3月末で43.4%(平成25年3月末40.
7%)(一般社団法人全国LPガス協会調べ)。
③ 住宅におけるCO中毒事故の防止対策
(ア) 長期間使用していないガス機器を使用するときには排気筒に異常がないかを確
認した上で使用するよう、様々な機会を通じて一般消費者に注意喚起すること。
(現状)
・平成24年12月、福井県の一般住宅において、2名が軽症となるCO中毒事故が発生。FE式
瞬間湯沸器の排気筒に鳥が巣を作っていたことで正常な排気がなされず、屋内の排気筒の
接続部が外れていたため、COを含む排気が室内に滞留したもの。
(イ) 不完全燃焼防止装置が付いていない古いガス機器については、製造事業者等に
よる点検を受けるよう、定期消費設備調査等の機会を通じて一般消費者に注意喚
起すること。
(現状)
・不完全燃焼防止装置等の安全装置のないガス機器は、平成12年度は189万台であったが、
平成26年3月末には12.5万台まで減少(一般社団法人全国LPガス協会調べ)。
・平成25年7月、神奈川県の共同住宅において、1名が死亡となるCO中毒事故が発生。風呂
釜熱交換器に付着した付着物の影響で燃焼効率が低下し不完全燃焼が起こり、COを含む
排気が室内に滞留したものと推定。
68
(2)一般消費者等に起因する事故の防止対策
① 一般消費者等に対する周知等による保安意識の向上
一般消費者等が正しいLPガス及び関連機器の取扱方法を理解し、実行で きるよ
うにするため、以下のような工夫を図りながら一般消費者等への周知活動を実施す
ること。
・一人住まいの老人・高齢者宅、身体の不自由な消費者宅を訪問し、こんろを始め
とする消費機器の安全点検等の実施。
(現状)
・兵庫県LPガス協会が実施している「シルバーサポート事業」(平成26年度:実施販売事業
所数は404事業所、訪問件数は17,672戸)
・小・中学校を対象とした「出前教室」(保安教室、化学教室、料理教室)の開催。
(現状)
・静岡県LPガス協会が実施する「保安出前教室」(平成26年度は4回実施。)
・一人暮らしの大学生、サラリーマン、高齢者、介護関係者等に対しては、ワンポイ
ントで具体的な事故事例をわかりやすく提示する等、事故防止に向けた注意喚
起を実施。
・コンロ清掃・料理教室等のイベント、町内会・自治会・婦人会等との共同の防災訓
練などの地域貢献活動等による消費者との接点の強化
・事故事例を身近な事例として認識してもらうため、経済産業省のホームページに
公表されている実際の事故事例等の活用
69
(現状)
・消費機器管理による事故防止のための注意喚起のためのリーフレットを経済産業省の
ホームページに掲載(別紙6)。
・一般社団法人全国LPガス協会は、LPガスを安全に使用するためにパンフレットを作成し、
LPガス販売事業者を通じて一般消費者等に配付(別紙7)。
70
(別紙6)
消費機器管理による事故防止のための注意喚起のためのリーフレット
http://www.meti.go.jp/policy/safet
y_security/industrial_safety/sang
yo/lpgas/files/kikikanri.pdf
71
(別紙7)
LPガスを安全に使用するための各種パンフレット
<家庭用>
<業務用>
<工業用>
<質量販売用>
<災害対策>
72
② 安全な消費機器の普及促進
安全装置付き風呂釜、Siセンサーコンロ(注)等の安全な消費機器の普及を促進すること。
(現状)
・平成26年においては、原因者等別に見ると、一般消費者等に起因する事故によるものが最も多
く、その中でも、風呂釜、コンロの点火ミス、立ち消えによるものが32件であった。
・古いタイプの風呂釜の使用方法に関する注意喚起及び安全性が向上した風呂釜の普及促進の
ためのリーフレットを経済産業省のホームページに掲載(別紙8)。
・安全なガス機器への交換促進についてのリーフレットをLPガス安全委員会のホームページに掲
載(別紙9)。
・Siセンサーコンロの出荷台数が平成26年9月時点、約2,500万台(平成25年9月、2,000万
台を突破)。
(注)Siセンサーコンロとは、全ての火口に「調理油過熱防止装置」、「立ち消え安全装置」、「消
し忘れ消火機能」等の機能を装備したもの。
73
(別紙8)
古いタイプの風呂釜の使用方法に関する注意喚起及び安全性が向上した風呂釜の
普及促進のためのリーフレット
http://www.meti.go.jp/policy/safety_s
ecurity/industrial_safety/sangyo/lpga
s/files/furogama.pdf
74
(別紙9)
安全なガス機器への交換促進のためのリーフレット
http://www.lpg.or.jp/download/pdf/furuigasukigu_dw.pdf
75
③ 誤開放防止対策の推進
(ア) ガス器具が接続されていないガス栓のつまみを間違って開けてしまうことを防止す
るため、ガス栓のつまみ部分に被せる「ガス栓カバー」の設置を促進すること。
(現状)
・「ガス栓カバー」の普及促進のためのリーフレットを経済産業省のホームページに掲載(別紙1
0)。
・「ガス栓カバー」の出荷数は、平成23年は31,394個であったが、国やLPガス関係団体による
設置促進等の取組により、平成24年は406、002個と大きく増加し、平成25年は348,776
個、平成26年は418,902個となった(一般社団法人日本エルピーガス供給機器工業会調べ)
(別紙11)。
・七協議会連絡会議では「消費者に起因するLPガス事故の防止対策としてのガス栓カバーの普
及促進」を行動基準の一つとしており、平成26年12月末現在、実施中が67%、実施予定が2
8%(全207社中 回答率100%)。
(イ) 誤開放防止対策の一環として一口ガス栓への切り替えを検討すること。
76
(別紙10)
「ガス栓カバー」の普及促進のためのリーフレット
http://www.meti.go.jp/policy/saf
ety_security/industrial_safety/s
angyo/lpgas/files/gokaihou.pdf
77
(別紙11)
「ガス栓カバー」の出荷数
暦年
H20年
上半期(1‐6月) 下
上半期
半期(7‐12月)
出荷数
26,847
H21年
H22年
H23年
H24年
H25年
H26年
累計
下半期
15,333
上半期
5,585
下半期
10,675
上半期
26,052
下半期
9,120
上半期
22,642
下半期
8,752
上半期
155,144
下半期
250,858
上半期
172,268
出典:一般社団法人日本エルピーガス供給機器工業会
下半期
176,508
上半期
209,435
下半期
209,467
1,298,686
78
④ ガス警報器の設置の促進等
LPガスの漏えいに起因する事故の防止には、ガス警報器の設置が効果的であ
ることから、ガス警報器の設置の促進及び期限管理に取り組むこと。
(現状)
・ガス警報器の設置率は、平成25年度末現在、共同住宅で90.6%、一般住宅で72.3%
(一般社団法人全国LPガス協会調べ)(別紙12)。
・ガス警報器工業会は、平成24年4月から3か年計画で、ガス警報器の設置率の向上及び
期限切れ警報器の一掃を目指して「リメイク運動」を推進。
⑤ 定期消費設備調査の推進
(ア) 定期消費設備調査は法定事項であるが、普及啓発の重要な機会としてとらえ、
以下のような工夫を図りながら、一般消費者等に対するLPガスの理解増進を図
ること。
・中学校理科教科書のCO中毒に関する記載(別紙13)や漫画で解説した副読本
(別紙14) 、外国語によるパンフの活用。
・ガス請求明細の裏面に注意事項を記載。
(現状)
・一般社団法人全国LPガス協会は、外国人がLPガスを安全に使用するためのパンフレット
(英語、中国語、ポルトガル語)を作成し、LPガス販売事業者を通じて外国人の一般消費
者等に配布(別紙15)。
79
(別紙12)
ガス漏れ警報器の設置率
ガス漏れ警報器の設置率の推移
100.0%
95.0%
出典:一般社団法人全国LPガス協会
96.8%
95.1%
95.8%
95.5%
95.0%
93.4%
93.4%
93.1%
軸ラベル
90.0%
91.2%
91.2%
90.6%
85.0%
80.0%
75.0%
70.0%
77.4%
76.9%
76.8%
76.3%
75.3%
注:平成22年度について、
東日本大震災の被災県3
県(岩手・宮城、福島)は除
74.7%
74.7%
72.5%
72.3%
72.6%
72.3%
H15年度
H16年度
H17年度
H18年度
H19年度
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
H25年度
共同住宅
96.8%
95.1%
95.8%
95.5%
95.0%
93.4%
93.4%
93.1%
91.2%
91.2%
90.6%
一般住宅
77.4%
76.9%
76.8%
76.3%
75.3%
74.7%
74.7%
72.5%
72.3%
72.6%
72.3%
80
(別紙13)
中学校理科教科書のCO中毒の記載
出典:平成24年度版中学校理科教科書「理科の世界2年」
大日本図書(株)
81
(別紙14)
漫画で解説した副読本の作成・発行
出典:漫画でよくわかるLPガス「未来からの宿題」
一般社団法人全国LPガス協会
82
(別紙15)
外国人のLPガス一般消費者への周知文書
<英語版>
<中国語版>
<ポルトガル語版>
83
(イ) 定期消費設備調査を拒否する一般消費者等に対しては、適切に実施されない場
合は事故の可能性を増加させるものであることから、事故事例の紹介の他、集合住
宅の場合には管理人の理解を得ること等、一般消費者等の理解を得られるよう工
夫をこらして実施すること。
(ウ) 不在が続く一般消費者等に対しては、十分な書面での説明、数回にわたる継続
的な訪問等十分な手続きを踏んだ上で、当該一般消費者等の安全の確保の観点
から一時的な閉栓に踏み切っているLPガス販売事業者もあり、保安の確保の観点
からは参考となる。
(エ) 定期消費設備調査に際しては、適切な場所に消費設備が設置されているか確認
すること。
(現状)
・平成26年2月、栃木県の一般住宅において、3名が軽症となるCO中毒事故が発生。本来は
屋外に設置するべき瞬間湯沸器が台所に設置されていたが、定期消費設備調査で見逃され
ていた。
(オ) 定期消費設備調査の結果、消費設備の設置状況等の改善が必要な場合であっ
ても一般消費者等の理解が得られない場合は、放置せず、都道府県等の行政機関
と相談し、早急な改善が図られるよう対応すること。
84
(カ) 学校、公民館等の公共施設は、ひとたび事故に至ると大惨事になりかねないこと
から、設備の期限管理等について、設備(供給設備を含む。)を所有する自治体をは
じめ公共施設の関係者に理解を得るとともに、協力すること。
⑥ リコール対象品等への対応
消費生活用製品安全法(昭和48年法律第31号。以下「消安法」という。)に基づく回
収命令の対象となっているパロマ製半密閉式ガス瞬間湯沸器について、引き続き、空
き部屋等も含め、リフォーム時や点検・調査時に遺漏なきよう回収対象機器の確認を
実施すること。また、経済産業省のリコール情報に掲載されているガス機器に関する所
有者情報を有している場合には、ガス機器製造事業者に対して情報提供などの協力に
努めること。(別紙16)
なお、LPガス販売事業者等は、リコール製品への対応を図る観点からガス機器製造
事業者と連携を図ること。
(現状)
・パロマ製半密閉式ガス瞬間湯沸器は、LPガス販売事業者等、都市ガス事業者等の協力によ
り平成27年1月末までに541台の対象機器が回収されており、平成26年2月以降の1年間
でも新たに12台が回収されており、うち9台がLPガス機器である。
・開栓状態で使用可能なものとして発見されたものはなかった。
・また、リコール以前から部屋を使用していない等の事情によりこれまで発見されず、空き部屋
から発見されたものが8台あった。
・リコール情報については、下記ホームページを参照のこと。
製品安全ガイド::http://www.meti.go.jp/product_safety/recall/index.html
85
⑦ 長期使用製品安全点検制度への協力
LPガス販売事業者等は、消安法上、保安点検・調査又は周知等の際に、長期間
の使用に伴い生ずる劣化により安全上支障が生じ、特に重大な危害を及ぼすおそ
れの多い製品について、一般消費者等に対し、製造又は輸入事業者に対する所有
者情報の登録や変更が必要であることなどを周知する又はリーフレット等を配布す
るなどの協力の責務を確実に果たすこと。保安点検・調査時等に、自社が販売した
製品で、対象製品にもかかわらず所有者情報の登録がされていない可能性がある
場合には、所有者票の代行記入を含め、登録率向上に向けた対応を図ること。ま
た、自社が販売した製品ではない場合においても、積極的に所有者票の代行記入
等の協力に努めること。
なお、LPガス販売事業者等は、登録率向上に向けてガス機器製造事業者と連携
を図ること。
(現状)
・製品(屋内式ガス瞬間給湯器と屋内式ガス風呂釜)の販売事業者によっては、長期使用製
品の購入者に対し当該製品の安全点検制度を説明するとともに、必要に応じてユーザー登
録はがきの代行投函を行っている。式ガス瞬間給湯器と屋内式ガス。
86
(別紙16-1)
パロマ製半密閉式ガス瞬間湯沸器の発見状況について
平成26年
平成27年
合計
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
累計(ガス事業者等の再点検によ
り確認)
530
533
534
536
538
539
539
539
539
540
541
541
増加数(ガス事業者等の再点検に
より確認)
1
3
1
2
2
1
0
0
0
1
1
0
12
うちLPガス販売事業者が確認
1
1
1
1
2
1
0
0
0
1
1
0
9
空室・不使用建
物等
1
1
1
1
1
1
0
0
0
1
1
0
8
ガス供給無し
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
開栓使用中
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
‐
87
(別紙16-2)
経済産業省 製品安全ガイド リコール情報(1/3)
○製品安全ガイドから、平成19年5月以降に実施されたリコール情報を確認できる。
ふろがま http://www.meti.go.jp/product_safety/recall/nenshou_3.html
計3品目
赤字:重大製品事故契機リコール
黒字:自主リコール
88
(別紙16-3)
経済産業省 製品安全ガイド リコール情報(2/3)
給湯器 http://www.meti.go.jp/product_safety/recall/nenshou_2.html
赤字:重大製品事故契機リコール
黒字:自主リコール
計3品目
89
(別紙16-4)
経済産業省 製品安全ガイド リコール情報(3/3)
燃焼機器 http://www.meti.go.jp/product_safety/recall/nenshou.html
赤字:重大製品事故契機リコール
黒字:自主リコール
計4品目
90
(3)LPガス販売事業者等に起因する事故の防止対策
① 供給管・配管の事故防止対策
(ア) 埋設管は、腐食しにくいポリエチレン管(PE管)等への取り替えを促進すること。
(イ) 他工事業者による埋設管破損等を防止するため、LPガス販売事業者は、供給
設備周辺で他工事の計画がある場合は、確実にLPガス販売事業者に知らせる
ように一般消費者等に対して周知するとともに、原則として工事の際に立ち会うこ
と。また、酸欠防止に向けた対応を図ること。
(現状)
・平成19年から26年までに発生した事故のおよそ1割が「他工事業者による事故」である
ことを踏まえ、ガス供給設備周辺で工事を行う場合は、事前にLPガス販売事業者に知ら
せるよう、国土交通省及び厚生労働省を通じて、建設工事関係事業者に対し注意喚起を
実施(別紙17)。
・他工事による事故防止についての注意喚起のためのリーフレット(厚生労働省と連名)を
経済産業省のホームページに掲載(別紙18)。
・平成25年11月、熊本県内の町道でガス埋設供給管取替え工事において1名が死亡とな
る酸欠事故が発生。平成26年は、19件の他工事事業者による事故が発生し、うち、2件
で負傷者が発生。
91
(ウ) 供給管・配管の工事を行う際は、事故防止のため、外注先の特定液化石油ガ
ス設備工事に係る届出、液化石油ガス設備士資格の有無及び再講習の受講状
況を確認することにより適切に監督すること。
(現状)
・平成25年において、液化石油ガス設備工事において液化石油ガス設備士の免状を持た
ない者が工事をしていた事例が確認された。
92
(別紙17)
国土交通省と厚生労働省を通じた建設工事関係事業者に対する注意喚起
93
(別紙18)
他工事事故防止についての注意喚起のためのリーフレット
http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_saf
ety/sangyo/lpgas/files/0226takoji.pdf
94
② 機器の事故防止対策
(ア) 調整器、高圧ホース等については、長期使用に係る漏えい事故が発生
していることから、これらの機器の期限管理を徹底し、期限内に確実に交
換すること。また、マイコンメーター、警報器等は事故を未然に防ぐ保安
機能を有していることから、これらの機器の期限管理を徹底し、期限内に
確実に交換すること。
(現状)
・高圧ガス保安協会による調整器の事故の分析結果(平成14年から平成23年に発生した
調整器に関する事故186件が対象)によれば、使用年数に起因するもの43件のうち、8
8%に相当する38件がメーカーの交換推奨期限である7年及び10年を超えてから発生し
ており、これらは交換推奨期限以内に交換されていれば事故の発生を未然に防げたもの
である。
・七協議会連絡会議では「事業者に起因するLPガス事故の防止対策としての調整器の期
限管理の実態調査」を3項目の行動基準の一つとしており、平成26年12月末現在、メー
カーの交換推奨期限を超えて使用されている調整器の割合は、1.2%(全207社中 回
答率100%)。
(イ) 充塡容器等の接続、消費機器の交換・修理等の作業手順の確認、作業終了後
の検査等を確実に行うこと。
(現状)
・平成25年において、一般消費者等からの連絡を受けてLPガス販売事業者等が対応した
際に工事ミス・作業ミスにより発生した事故が9件あり、うち2件でそれぞれ一般消費者等
が1名負傷している。平成26年は、同様の事故が8件発生(負傷者はなし)している。
95
(ウ) 閉栓先において、充塡容器等が長期にわたって放置されていたことよる容器の
腐食による漏えい事故も発生していることから、不要な充塡容器等の撤去を確実
に進めること。
(エ) 末端ガス栓に「ねじガス栓」を使用したことを原因とする誤開放事故が発生して
いることから、末端ガス栓は、原則としてつまみに押し回し機構(ロック機構)があ
る「可とう管ガス栓」を用いること。(別紙19)
(現状)
・平成25年に飲食店において、未接続の燃焼器用ホースの付いたねじガス栓を従業員が
誤開放し、漏えい火災が発生する事故があった。
③ バルク供給に係る事故防止対策
これまでに発生したバルク供給での事故事例やヒヤリハット事例を共有するととも
に、安全弁の交換作業マニュアル等を活用することにより作業手順の確認を十分
に行い、事故防止の徹底を図ること。
(現状)
・平成25年はバルク供給において負傷者を伴う事故はなかったものの、平成26年は除雪
作業時にバルク貯槽を破損する事故(重傷者3名)があった。
96
(別紙19)
ねじガス栓が原因となった誤開放事故
可とう管ガス栓
ねじガス栓
「可とう管ガス栓」は、
閉状態を容易に変え
ることができないよう、
つまみに押し回し機構
(ロック機構)があり、
末端ガス栓として安全
に使用できます。ガス
栓を開ける際は、つま
みを押し回す操作が
必要です。
○ねじガス栓に関係する最近の事故件数
中間ガス栓に用いら
れる「ねじガス栓」
は、末端ガス栓と比
較して耐久性が低
く、ロック機構がない
ため(レバーが左右
に振れることで栓が
開閉するため)、末
端ガス栓に用いると
危険です。
( )は人身事故を伴うもの
平成25年:4件(1件)、24年2件(2件)、23年1件(1件)、22年2件(1件)、21年3件(1件)
○ねじガス栓が原因となった誤開放事故の例
・ねじガス栓が足下にあり、ねじガス栓のレバーに足が当たりガス栓が開き、
漏えい爆発した(福祉施設)
・作業員が誤ってガス栓に触れたため、開栓状態になり、漏えいしたガスに
引火し火災となった(店舗)
97
(4)その他
① 質量販売に係る事故防止対策
(ア) 質量販売に関する事故が発生していることから、質量販売に際しては、法令遵
守を徹底し、供給開始時調査や定期消費設備調査及び14条書面交付につい
て、確実に実施すること。また、質量販売先の一般消費者等に対し、質量販売事
故防止のためのリーフレット等により周知を確実に実施すること。
(現状)
・平成25年の質量販売における事故7件のうち、4件で負傷者を伴う事故が発生している。
また、消費者が屋内で使用するものを、屋外で使用するものと勘違いして、容器と配管を
接続せずに販売していた等の法令違反が2件認められた。
・平成26年は、11件発生しており、このうち1件は山小屋での使用中のCO中毒による死
亡事故であり、うち1件は14条書面の交付を、また、うち1件は14条書面の交付及び供
給開始時における消費設備調査を行わずに質量販売を行っていた。
・質量販売事故防止についての注意喚起のためのリーフレットを経済産業省のホームペー
ジに掲載(別紙20)。
(イ) LPガス販売事業者等による保安業務の実施が困難な山小屋等に対する質量
販売について、液石法施行規則第17条に基づく特則承認に基づいて、山小屋等
に対する質量販売の保安の確保のための業務を確実に実施すること。
(現状)
・平成27年2月末時点の特則承認件数:9事業者15件
98
② 積雪又は除雪ミスによる事故防止対策
寒冷地等での積雪又は除雪ミスに伴う調整器、供給管等の損傷によるガス漏れ等
を防止するため、供給設備の点検を確実に実施し、従前以上に適切な落雪対策を
講じるとともに一般消費者等への注意喚起を図ること。
(現状)
・平成26年は雪害による事故が38件(平成25年は39件)と、依然として高い水準(LPガ
ス事故件数の約2割)となっている。平成27年2月末時点で21件発生(速報ベース)。
・平成26年は、例年、積雪の少ない関東地方でも雪害による事故が10件発生している。
・より効果的な雪害対策に資するため、容器の接続方法等に着目した対策をまとめ、経済
産業省のホームページに掲載。
・LPガス設備の雪害対策の普及促進のためのリーフレットを経済産業省のホームページに
掲載(別紙21)。
99
(別紙20)
質量販売事故防止についての注意喚起のためのリーフレット
http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_saf
ety/sangyo/lpgas/files/1216shitsuryohanbai.pdf
100
(別紙21)
LPガス設備の雪害対策の普及促進のためのリーフレット
http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_saf
ety/sangyo/lpgas/files/1121setsugai.pdf
101
Ⅲ-4.要請4項目(LPガス販売事業者等が講ずべき具体的な保安対策)
4.自然災害対策
(1)「東日本大震災を踏まえた今後の液化石油ガス保安の在り方について」(平成24
年3月総合資源エネルギー調査会高圧ガス及び火薬類保安分科会液化石油ガス
部会報告書)及び「LPガス災害対策マニュアル」(平成25年3月経済産業省及び
高圧ガス保安協会、平成26年9月改訂)を踏まえ、災害発生時における保安確保
のための具体的な取組について、着実に実施すること。 特に、地震等による大規
模災害に備え、容器転倒防止の鎖又はベルトの二重掛けの推進や新設又は取り
替え時等におけるガス放出防止型高圧ホース等の設置を徹底すること(別紙22)。
(現状)
・東日本大震災を踏まえた今後の液化石油ガス保安のあり方に関する「14の対応策」につ
いては、行政機関やLPガス関係団体を通じて、各都道府県LPガス協会及び傘下のLPガ
ス販売事業者等に対して通知するとともに、平成25年度以降、全国各地で開催する保安
講習会等のテキストに追加する等、LPガス販売事業者等に対する普及啓発を行うほか、
各都道府県LPガス協会に対し対応策への取組状況についてアンケート調査を実施。
・ガス放出防止型高圧ホースの平成25年度末の普及率は29.3%(推定値)(平成24年度
末は26%)(一般社団法人日本エルピーガス供給機器工業会調べ)
・一般社団法人全国LPガス協会は、平成26年3月に、一般消費者等への周知活動とし
て、災害対策のためのLPガス導入事例集、LPガスの常時利用を進めるためのパンフレッ
トを作成し、全国各自治体、消費者団体等に配付(別紙23)。
102
(2)仮設住宅におけるLPガスの供給に係るLPガス販売事業者等は、供給設備の点
検、消費設備の調査等の保安業務の確実な実施並びにガスの漏えい事故防止及
びCO中毒事故防止に係る一般消費者への注意喚起について、特に留意して取り
組むこと。
(現状)
・平成24年2月に、宮城県の仮設住宅において、配管用フレキ管の埋設部にさや管が施さ
れていないものが見受けられた。
103
(別紙22)
災害発生時における保安確保のための措置
【ガス放出防止型高圧ホース】
作動前
作動後
大規模地震、豪雪等で容器転倒が起こった場合に生じる大量の
ガス漏れを防止し、被害の拡大を防ぐ器具。高圧ホース型と放
出防止器型とがある。
【LPガス容器の転倒防止対策例】
鎖又はベルトの二重掛け
104
(別紙23)
災害対策のためのLPガス導入事例集、LPガスの常時利用を進めるためのパンフレット
105
Ⅳ.その他 1.LPガス保安技術者向けWebサイト http://www.lpgpro.go.jp/
○経済産業省の委託事業で運
営しているLPガス保安技術
者向けのWebサイト(平成2
6年度は高圧ガス保安協会
に委託)。
○テキストのPDF配布や、事
故事例のCG再現、各種パン
フレットの掲載、点検・調査等
についてのビデオ資料をはじ
め、様々なコンテンツを用
意。
106
Ⅳ.その他
2.LPガス関係団体動画サイト一覧
【LPガス保安技術者向けWebサイト】
●学習プログラム
(販売事業者の責務や行政庁への法手続など、手引きと各種情報を掲載)
http://www.lpgpro.go.jp/guest/learning/index.html
●ビデオ資料(業務用厨房での事故を防止するための講義ビデオ等の掲載)
http://www.lpgpro.go.jp/guest/other/index.html
【LPガスチャンネル】
●日本LPガス団体協議会、全国LPガス協会等、LPガス関連7団体の動画紹介サイト
http://www.youtube.com/user/nichidankyo
【一般社団法人日本ガス石油機器工業会】
●動画で見るガスコンロのお手入れ(トッププレート、ゴトク等のお手入れ方法の紹介)
http://www.jgka.or.jp/consumer/gasu‐riyou/maintenance/gasukonro/cooktop/index.html
【日本LPガス協会】
●動画コンテンツ(LPガスの性質や特徴、生産、流通、環境技術等、LPガスの概要動画
等)
http://www.j‐lpgas.gr.jp/data/movie/
107
Ⅳ.その他
3.高圧ガス保安協会における出張講習
○ユーザーの業務内容、施設、設備等を踏まえた、個別のカリキュラ
ム・テキストを作成
○自社での保安教育にお困りの方や、法令遵守の意識付けのため、
また、いつもと違う保安教育の実施を希望されるお客様等が活用
○受講者に受講証明書としての修了証の交付も可
液化石油ガス法における保安教育カリキュラムの例
「法令」 「事故事例」 「その他」
・法令の目的
・法令の概要
充てん作業
業務主任者の職務
認定機関制度
保安業務、点検業務
・最近の事故事例
・法制化、規制の見直し等
に繋がった事故
・保安業務遂行上の留意点
・取扱い上の注意点 など
実施件数
受講者数
平成22年度
21 件
1,747 名
平成23年度
16 件
1,510 名
平成24年度
15 件
1,146 名
平成25年度
15 件
796 名
平成26年度
12 件
759 名
合計
79 件
5,958 名
(平成27年3月末現在)
[問い合わせ先]高圧ガス保安協会教育事業部
TEL:03-3436-6102
108