15S 駒場スペイン語一列シラバス (教員‐藤田 護) 初修スペイン語一列 シラバス 2015 年度 S 学期 東京大学教養学部前期課程 1.教員の情報 藤田 護(ふじた まもる) 所属 ‐教養学部スペイン語部会・助教 研究室 ‐2 号館 3 階 302B 研究室 E メール ‐[email protected](連絡用) 授業ウェブサイト‐http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cmfujita/ (授業情報・教材) Blog ‐Chukiyawunkirïtwa http://lapazankiritwa.blogspot.jp/ Twitter ‐@mfujita1023 http://twitter.com/mfujita1023 (授業や研究に関することなどを書いたりもしています。) 2.授業の概要と目標 初修スペイン語の一列の授業ではスペイン語の初級文法を扱い、一年間で初級文法の全 域を接続法過去・過去完了までカバーする。教科書 Dímelo の各課の文法事項の説明をし、 練習問題 Ejercicios を扱う。本文 Texto 及び作文 Traducciones は二列の担当となる。教科書 の文法事項を解説した上で、次の授業の冒頭で練習問題 Ejercicios の解答を確認するという、 オーソドックスな進行を採用するが、幾つかの文法事項については発展的事項まで踏み込 んで解説し、また追加の練習問題を扱うことで練習量を少し増やす。 言語の学習には「慣れる」側面と「考える」側面がある。「慣れる」ためには、ルールに 基づいた正しい形を何度も身体を通しつつ覚えることで、自らが自動的に反応するように していく過程を踏む必要がある。しかし、同時に、言語はただのルールの羅列ではなく、 なぜそれがそうなっているのかを問うことで、その言語の特徴や、その言語ならではの物 の見方へと(文法を通しても)開かれていくことができる。これを両立させることは容易 ではないが、その両立への志向が大学での言語の学習を可能にする。 なお、文法と講読を中軸とした授業形態を採用する場合、その言語への姿勢が受け身に なり易く、本来どのようなコミュニケーションの場面での必然性から言語を学ぶ必要が生 まれてくるのかに意識が向かなくなりがちな落とし穴がある。 「演習」をはじめとして、 「作 文」等の授業と組み合せることが非常に望ましい。 また、東京大学では 2015 年度からカリキュラム改革が行われ、初修外国語の授業時間数 が文系理系共に減少している。これは、授業負担を減らして授業外での学習を奨励する意 図に基づいているが、より少ない時間で初級文法の全範囲をカバーするため、授業時間外 での復習・学習が必要となるだろう。 1 15S 駒場スペイン語一列シラバス (教員‐藤田 護) 3.授業の進め方 S 学期で第 8 課まで終了し、第 9 課~第 12 課を A 学期で扱うこととなる。 第 1 回 ガイダンス、第 1 課文法解説 第 2 回 第 1 課練習問題、第 2 課文法解説(前半‐直説法現在の不規則活用) 第 3 回 第 2 課練習問題、第 2 課文法解説(後半‐形容詞の位置、所有形容詞、存在文) 第 4 回 第 2 課練習問題残り、第 3 課文法解説(前半‐線過去) 第 5 回 第 3 課練習問題、第 3 課文法解説(残り‐目的語の人称代名詞) 第 6 回 第 3 課練習問題残り、第 4 課文法解説 第 7 回 第 4 課練習問題、第 5 課文法解説 第 8 回 第 5 課練習問題、第 6 課文法解説 第 9 回 第 6 課練習問題、第 7 課文法解説 第 10 回 第 7 課練習問題、第 8 課文法解説(前半‐現在分詞、過去分詞) 第 11 回 第 8 課練習問題、第 8 課文法解説(後半‐比較、再帰動詞) 第 12 回 第 8 課練習問題残り、再帰動詞に関する補足説明 第 13 回 期末試験、授業評価アンケート ※なお、各課の学習が終わった後に、復習の一環として、駒場スペイン語部会のホームペ ージの「Dímelo 支援教材」の「問題集 Ejercicios」を各自で解いておくこと。 (ホームページ―http://spanish.ecc.u-tokyo.ac.jp/dimelo/prueba/index.html) 4.評価 一つの課が終わるごとに次の授業の冒頭で小テストを行う(各 10 点満点)。第 8 課は(期 末試験と重なるので)小テストを行わず、第 4 課と第 5 課は合せて小テストを行うため、 全部で 6 回小テストを実施することになるが、そのうち成績の良い 5 回分を採用し、期末 試験を 50 点満点で実施し、その合計で成績を付ける。 「優」の対象者が 3 割を大幅に下回 った場合と大幅に上回った場合は得点調整をすることがありうる。 小テスト及び期末試験は、授業の内容(そこには教科書と教員が配ったプリントと Dímelo 支援教材の「問題集」が含まれる)を基に出題する。未出の単語がある場合は意味を明記 したうえで出題する。 重大な病気や忌引き等でやむを得ず小テストを受験できない場合は、適切な証明を教員 に示すことで追試を受けることができる。 2 15S 駒場スペイン語一列シラバス (教員‐藤田 護) 5.参考書・辞書・ウェブサイト等 参考書 学生に役に立つ参考書 (1)瓜谷良平『スペイン語の入門』白水社、2002[1974]年。 項目の立て方も分かり易く、説明も簡潔な、オーソドックスな参考書。定番。 (2)上田博人『スペイン語文法ハンドブック』研究社、2011 年。 スペイン語部会の上田先生が最近出版した学習者用文法書。 ラテン語や中世スペイン語に遡った通時的な説明が特徴。 『Dímelo』と教え方における土台の発想を同じくしている。 ※これ以外の問題集及び単語集は、授業がもう少し進んだところで改めて紹介する。 教員が授業の参考にしている参考書 (3)小林一宏、清水憲男、松下直弘、Marñia Yoldi、岡村一、吉川恵美子『詳解スペイン 語(改訂・増補版)』上智大学出版、2003[2001]年。 出版社名から分るように上智大学が出版した教科書。説明してもらわないと初学者には分 かりづらいが興味深い指摘が随所にある。 (4)西村君代、菊田和佳子、斎藤華子、高垣敏博、宮本正美、フランシスコ・バレラ『レ ベル別スペイン語文法ドリル Ejercicios de gramática española por niveles』朝日出版、2009 年。 神奈川大学で演習用に採用されている教科書で、幾つかこの練習問題から抜粋してこの授 業でも追加の練習を行う。なお、市販されている問題集の推薦は授業がある程度進んだと ころで別途行う。 (5)Butt, John and Carmen Benjamin. 2004[1988]. A New Reference Grammar of Modern Spanish (fifth edition). Hodder Education. 米国で標準とされる文法参考書。初学者がつまづきやすい点への配慮がきめ細かい。英語 の母語話者のスペイン語学習のために英語との比較対照がなされている。 (6)Real Academia Española. 2009. Nueva gramática de la lengua española (2 tomos). Madrid: Espasa Libros. スペイン語学界の総力を結集して執筆された新しいスペイン語の文法書。 辞書 スペイン語を学び始めて間もないうちは、 「初学者用」に配慮された辞書を使うのがお勧 めです。このような辞書は、基礎単語が大きな見出しとして扱われ、初学者にとって分か り易くて役に立つ例文が挙げられています。とりあえず以下の三冊の辞書を勧めますが、 本屋で複数の辞書を見比べてみて、自分に合っていると思ったものを選ぶのがよいでしょ う。紙の辞書でも電子辞書でもどちらでも構いませんが、小さな辞典ではなく中辞典を購 入してください。 (1)上田博人、Carlos Rubio『プエルタ新スペイン語辞典』研究社、2006 年。 初学者用の辞典の中では、収録する語彙数を厳選した上で、最も初学者に配慮したと思 3 15S 駒場スペイン語一列シラバス (教員‐藤田 護) える例文を掲載している。初級から中級へ進む段階での学習にとても適しており、また東 大の教材に対応しているが、語彙数が限定されているため、どこかの段階で足りなくなる。 (2)原誠他編『クラウン西和辞典』三省堂、2012 年。 多くの単語にその類義語と反意語が示されている点が充実しており、また数多くの例文 が豊富な用例を提供している点に特徴がある(この点での方針は(1)とは対照的である) 。 こちらの短所は、例文の森の中で迷うような気持ちになるかもしれない。 (3)高垣敏博監修『西和中辞典(第 2 版)』小学館、2007 年。 学習が進んだ後でも使うことのできる本格的な西和辞典。ラテンアメリカのスペイン語 も含めて収録語彙数が多くて役に立つが、最初のうちはややそっけなく不親切に感じるか もしれない。 役に立つホームページ (1)東京大学 駒場 スペイン語部会 http://spanish.ecc.u-tokyo.ac.jp/ 駒場のスペイン語の専任スタッフの自己紹介、初学者向けにかかれたスペイン語の魅力 を伝える記事、スペイン語世界の雰囲気を掴むための様々な映像・音声資料、質問ができ る掲示板などがある。 (2)及び(3)へのリンクもその中にある。 (2)¡Dímelo!教科書支援教材 http://spanish.ecc.u-tokyo.ac.jp/dimelo/ 上のスペイン語部会のホームページの中にある。教科書の各課の詳しい補助説明、音声、 練習問題の解答、各課についての学生の質問への解答などがある。 (3)上田博人先生 http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cueda/index.html 東大駒場のスペイン語教育には、上田先生の考え方が反映されていることが多い。スペ イン語の学習や研究に関する様々な記事や論文や教材が PDF で入手できる。 (4)セルバンテス文化センター(Instituto Cervantes) 東京 http://tokio.cervantes.es/jp/default.shtm スペイン http://www.cervantes.es/default.htm 国営の機関で、独自の語学コースを運営し、様々な文化的行事を企画・運営している。 東京では四谷(麹町)にあり、図書館や本屋もある。 (5)スペイン王立アカデミー(Real Academia Española)http://www.rae.es/ スペイン語の文法や正書法について指針を発表する、学習があるところから先に進むと お世話になることの多い機関。 語学エッセイ (1)福嶌教隆『スペイン語の贈り物』現代書館、2004 年。 読み物の形を取りながらスペイン語のエッセンスが様々な側面から取り上げられている。 (2)後藤雄介『語学の西北―スペイン語の窓から眺めた南米・日本の文化模様』現代書 館、2009 年。 スペイン語が「スペイン」語ではないことから始まり、ラテンアメリカのペルーから語学 を見つめ直す面白いエッセイの集まり。 (おわり) 4
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