第3章 「三宅町版地域包括ケアシステム」の推進 1 地域包括ケアシステムの構築 介護が必要になっても住み慣れた自宅や地域で安心して暮らし続けるためには、介護保険の保険給付 だけでは十分ではなく、日常生活圏域において、「医療・介護・予防・住まい・生活支援」が切れ目な く、有機的かつ一体的に提供される仕組みが必要です。 そこで、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含め た、様々な生活支援サービスが日常生活の場で包括的・継続的に提供できるような地域での体制、すな わち「三宅町版地域包括ケアシステム」を平成 35 年(2025 年)の完成に向けて構築していくことを目 指します。 本町においては、地域包括支援センター業務を三宅町社会福祉協議会に業務委託することにより、効 果的・効率的に事業運営を図ります。 2 在宅医療・介護の連携推進 在宅医療と介護の連携は、高齢者が住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを継続的に受けられ る地域包括ケアシステムの構築のために必要不可欠です。 しかしながら、三宅町内の現状としては、医療や歯科医療の環境は整備されておらず、今後在宅医療・ 介護連携の推進を図るためには、近隣市町村の医療機関や介護関係者との連携システムを構築していく 必要があります。 その上で、下記の8つのポイントを掲げ、平成 30 年4月までの完成を目標として、段階的に在宅医 療・介護連携の推進を図っていきます。 (1)地域の医療・介護サービス資源の把握 国保データベース(KDB)システム及び日常生活圏域ニーズ調査の情報をベースとした見える化 システムを利用して、住民の医療機関における受診状況の把握を行います。また庁内の医療に関係す る課 (健康福祉課・長寿介護課・保険医療課など)の連携により、医療・介護連携に関する課題やニ ーズを共有し解決を図ります。 (2)在宅医療・介護連携の課題抽出の対応協議 地域ケア会議※を開催し、在宅医療・介護連携の現状と課題の抽出、解決策などの協議を行います。 ※会議は、在宅医療・介護連携のみではなく、認知症施策の推進や、地域ケア個別会議(地域包括支援 センターで実施する会議で、個別ケースの会議から地域として必要なサービスなどの検討を行う。 )か ら出てきた内容に関して話し合いを行う代表者会として検討しています。 (3)在宅医療・介護連携に関する相談の受付など 在宅医療・介護連携に関する相談の受付は、役場内の長寿介護課内に相談窓口を設置し、一般住民、 事業所などからの相談を受け、地域包括支援センターと連携し対応していきます。 (4)在宅医療・介護サービスなどの情報の共有支援 在宅医療・介護サービスなどの情報の共有支援体制としては、地域医療・介護事業者のプロジェク トチーム(仮)内で「集合知」となる共有ファイルを設置し、常時情報の共有が可能な環境を構築し ます。 (5)在宅医療・介護関係者の研修 多職種による合同研修は、高い専門的知識の習得とともに、顔の見える関係性が構築できることか ら、質の向上・維持のために開催していきます。 (6)24 時間 365 日の在宅医療・介護サービス提供体制の構築 在宅医療・介護を受ける患者・要介護者への緊急対応体制の整備要請は高まっていますが、特定の 医者・介護者の負担を軽減する意味でも、地域全体で対応可能な体制を検討していきます。 (7)地域住民への普及啓発 (3)の相談窓口の周知及び住民自らが健康づくりに努め、医療・介護を必要とする状態になるこ とを予防するための取組として、一般住民向け講演会などを開催します。 (8)二次医療圏内・関係市町村の連携 二次医療圏内・関係市町村の連携については、田原本町及び川西町と密に連絡をとりながら、在宅 医療・介護連携の推進を行います。 3 認知症施策の推進 「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けるこ とができる社会」の実現を目指し、医療・介護のサービスが切れ目なく提供される体制づくりを進める とともに、認知症に関する正しい理解を広げていくための取組を推進します。 また、認知症による徘徊や行方不明などが懸念されていることから、地域ぐるみでの支援や見守り体 制が構築できるよう、ネットワークづくりの強化に努めます。 さらに、介護者は肉体的にも精神的にも介護負担が大きいことから、介護者支援策の充実を図ります。 (1)認知症支援初期集中支援推進事業 認知症の早期発見や早期受診、介護サービス提供などを通じた適切な対応ができるよう、認知症疾 患センターや保健・福祉・医療の関係機関とのネットワークを活用した認知症初期集中支援チームの 設置を図ります。 その実現のために、地域包括支援センター職員や町内介護事業者、また地域ケア会議のサポート医 や作業療法士などと協議の上、調整会議を開催し推進していきます。 (2)認知症地域支援推進員設置事業 認知症高齢者の早期発見や介護家族の支援を行うため、医療機関や介護事業者、地域の支援機関を つなぐコーディネーターとしての役割を担う認知症地域支援推進員の配置や、推進員を中心としたネ ットワークの強化を図ります。本町としては、平成 27 年度内に国が実施する認知症地域支援推進員 の研修を担当者が受講し、長寿介護課内に認知症地域支援推進員を置き、住民の相談などに対応する こととしています。 (3)認知症ケア向上推進事業 認知症施策の推進は、平成 30 年4月に全事業を実施することとなっていることから、町としては 積極的に取り組むこととし、地域ケア会議の委員として認知症サポート医に委嘱を行い、認知症施策 に対する助言・指導により、専門的な知識と対応策を随時更新できる環境を整備します。 また、状態に応じた対応方法を分かりやすくまとめた認知症ケアパスを作成し、周知と適切な運用 に努めます。ケアパスの運用を通じて、対応の必要な認知症高齢者の人数や状態、必要なサービスの 内容や量、新たに開発する必要のある社会資源などの検討を進めるとともに、随時情報を提供できる ような体制を整備します。 4 地域ケア会議の推進 地域ケア会議には、地域包括支援センターレベルで行う個別事例の検討を通じて、多業種協働による ケアマネジメント支援を行いながら地域課題について検討する地域ケア個別会議と、地域ケア個別会議 からあがった課題などについて施策反映を検討し、地域ケアシステムの構築を目指す地域ケア推進会議 の2種類があります。 来年度以降、社会福祉協議会に委託する地域包括支援センターにおいて、地域ケア個別会議を開催し、 その中であがってきた課題について地域包括支援センター職員や、町担当者など実務者レベルでの検討 を行い、施策反映が必要な課題の検討を行った上で、地域ケア推進会議に諮っていきます。 本町における地域ケア会議とは、地域ケア個別会議からあがった課題などについて施策反映を検討す るだけではなく、町における医療・介護連携や認知症施策なども含めた地域包括ケアシステム全般につ いても検証・検討する会議として位置づけ、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らし い暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、「医療・介護・予防・住まい・生活支援」が一体 的に提供される地域包括ケアシステムの実現を目指します。 5 介護予防・日常生活支援総合事業の充実、強化 単身世帯や支援を必要とする軽度の高齢者が増加する中、生活支援の必要性が高まっており、ボラン ティア、NPO、民間企業、協同組合などの多様な主体が生活支援サービスを提供することが必要とな っています。その対応として、きめ細かな生活支援サービスが利用できるような地域づくりを目指し、 ボランティアなど生活支援の担い手の養成・発掘などに係る地域資源の開発やそのネットワーク化を行 う「生活支援サービスコーディネーター」の配置について検討します。 また、介護予防事業について、地域包括支援センターと連携し、地域の様々な関係機関・団体などの 支援と協力関係の構築により、地域での介護予防普及活動の促進及び高齢者の集いの場の実現を図ると ともに、地域の実情に応じた訪問型・通所型サービスの構築を目指します。 さらに、総合事業としての完全実施を見据え、下記のとおり推進していきます。 (1)介護関連のサービス事業所などの実態把握 平成 27 年度は、訪問介護、通所介護などの介護保険事業所及び介護保険外のサービス事業所など の実態を把握し、利用者及び利用ニーズの状況に基づいた住民主体の介護予防活動などの支援を推進 します。 (2)協議会の設置、事業内容の把握・検討 平成 28 年度には、全体の方向性を検討するための協議会を設置し、総合事業についての具体的な 方向性を策定していきます。 (3)モデル事業の実施 平成 28 年度中には、協議会において方向性が示された総合事業をモデル事業として実施し、平成 29 年度からの本格実施に向けて、課題の抽出と分析、及び適正な利用単価などの検討を行います。 (4)総合事業の本格的開始 平成 29 年度からは、総合事業の内容の確定と実施組織の募集などを行い、総合事業を本格的に開 始していきます。 ■地域包括ケアシステムの推進の方向性とタイムスケジュール 平成27年度 平成28年度 平成29年度 ■ 在宅医療・介護の連携推進 (1)地域の医療・介護サービス資源の把握 (2)在宅医療・介護連携の課題抽出の対応協議 (3)在宅医療・介護連携に関する相談の受付など (4)在宅医療・介護サービスなどの情報の共有支援 (5)在宅医療・介護関係者の研修 (6)24時間365日の在宅医療・介護サービス提供体制の構築 (7)地域住民への普及啓発 (8)二次医療圏内・関係市町村の連携 ■ 認知症施策の推進 (1)認知症支援初期集中支援推進事業 (2)認知症地域支援推進員設置事業 (3)認知症ケア向上推進事業 ■ 地域ケア会議の推進 ■ 介護予防・日常生活支援総合事業の充実、強化 (1)介護関連のサービス事業所などの実態把握 (2)協議会の設置、事業内容の協議・検討 (3)モデル事業の実施 (4)総合事業の本格的開始
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