平成27年4月開催 全国財務局長会議資料(PDF形式)

最近の北海道の経済動向等について
○最近の北海道管内の経済情勢(P1~5)
○北海道管内における賃金の動向について(P6~10)
平成27年4月
北海道財務局
【問い合わせ先】
財務省北海道財務局 総務部 経済調査課
電話011(709)2311(内線4381~4387)
最近の北海道財務局管内の経済情勢
前回(27年1月判断)
一部に弱さがみられるものの、
持ち直している。
総括判断
今回(27年4月判断)
前回比較
総括判断の要点
個人消費は一部に鈍さがみられるも
のの、緩やかに回復しつつあり、生
産はおおむね横ばいとなっているほ
か、観光は持ち直し基調が続いてお
り、雇用情勢は改善している。
持ち直している。
〔先行き〕
先行きについては、雇用 ・ 所得環境の改善が続き、原油価格下落の影響や各種政策の効果が下支えするなかで、景気が回復に向か
うことが期待される。一方、海外景気の下振れなど、管内経済を下押しするリスクに留意する必要がある。
前回(27年1月判断)
今回(27年4月判断)
個人消費
一部に弱さがみられるものの、緩やか
に回復しつつある。
一部に鈍さがみられるものの、緩やか
に回復しつつある。
生産活動
おおむね横ばいとなっている。
おおむね横ばいとなっている。
設備投資
26年度は前年度を上回る計画。
26年度は前年度を上回る見込み。
雇用情勢
改善の動きが強まっている。
改善している。
住宅建設
弱含んでいる。
弱含んでいる。
持ち直している。
持ち直している。
観
光
※27年4月判断は、前回1月判断以降、4月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している。
1
前回
比較
1.個人消費
(%)
~一部に鈍さがみられるものの、緩やかに回復しつつある~
〔大型小売店販売額(前年比)〕
(注)全店舗ベース。
(%)
〔コンビニエンスストア販売額(前年比)〕
(注)全店舗ベース。
(%)
〔乗用車新車登録・届出台数(前年比) 〕
○ 個人消費は、乗用車販売が鈍い動きとなっているものの、大型小売店
販売が緩やかに回復しつつあるほか、コンビニエンスストア販売が前年
を上回って推移しているなど、全体では、一部に鈍さがみられるものの、
緩やかに回復しつつある。
○ 百貨店では、春物衣料に動きがみられるほか、高級腕時計などの高
額品が堅調となっているなど、緩やかに回復しつつある。
○ スーパーでは、生鮮食品を中心に、バレンタインなどのイベント関連が
好調であったことなどから飲食料品が堅調であり、前年を上回っている。
○ コンビニエンスストア販売では、弁当・惣菜、洋酒などが引き続き好調
であることから、前年を上回って推移している。
○ 乗用車販売では、鈍い動きとなっているものの、軽自動車税額引上げ
前の需要増などにより、一部に底堅い動きがみられる。
○ 家電販売では、パソコンが弱い動きとなっているものの、掃除機などの
白物家電が高単価商品を中心に順調となっているほか、携帯電話が堅
調となっている。
 売上げは、昨年、消費税率引上げに伴う駆け込み需要とその反動があった影響で、3
月は減少し、4月足下は増加しているが、実勢としては大きな落ち込みや伸びはみられ
ない。そのなかで、例年よりも早い時期に気温が上昇したことにより好調に動き出した
春物衣料が、足下でも順調な動きとなっている。【百貨店・中堅企業】
 さっぽろ雪まつりや春節期間などに、外国人客の来店が増加し、国内ブランドの化粧品
や海外製高級腕時計をまとめ買いするなど、非常に積極的な購買行動がみられた。
【百貨店・中堅企業】
 地方店舗では、頻発した暴風雪による影響のほか、節約志向の高まりが強く感じられ、
札幌近郊に比べて低調な動きにとどまっている。【スーパー・大企業】
 弁当、カウンターコーヒーのほか、テレビドラマ効果で洋酒が引き続き好調となっている。
【コンビニエンスストア・中堅企業】
 新型車投入効果や、軽自動車税額引上げ前の駆け込み需要により、2月以降の受注
は高水準だった前年を上回る状況となっている。【乗用車販売店・中小企業】
(注)普通乗用車+小型乗用車+軽四輪乗用車の合計。
 駆け込み需要のあった前年との対比では大きく落ち込んでいるものの、白物家電を中
心に省エネ家電などの高単価商品が順調となるなど、客単価は上昇傾向にある。【家
電量販店・大企業】
【出所】経済産業省、北海道経済産業局、(一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会
2
2.生産活動
(22年=100)
~おおむね横ばいとなっている~
〔鉱工業生産指数(季節調整値)〕
生産は、テレビ放映による宣伝効果などにより清涼飲料水が好調
な「食料品」のほか、「パルプ・紙・紙加工品」などが増加している一方、
公共事業の早期発注などによって普通鋼棒鋼が減少している「鉄
鋼」のほか、「金属製品」などが減少しており、全体ではおおむね横
ばいとなっている。
 美容効果がテレビで特集されたことや、テレビドラマ効果による洋酒人気に後押
しされ、炭酸水が好調となっている。【食料品・大企業】
 全般的に紙需要が縮小するなか、海外で競争力のある紙容器用原紙などを増
産している。【パルプ・紙・紙加工品・大企業】
 戸建住宅の着工が依然として低調であり、屋根材などの生産が伸びない。【金
属製品・中堅企業】
 工事量自体が少ないわけではないが、公共事業の早期発注による受注減少な
どから、棒鋼の生産が減少している。【鉄鋼・中堅企業】
【出所】経済産業省、北海道経済産業局
3.設備投資
~26年度は前年度を上回る見込み~
〔設備投資計画(前年(同期)比)〕
(%)
(北海道)
(全国)
設備投資を法人企業景気予測調査でみると、26年度(見込み)は、
全産業では前年度を上回っている。
製造業では、パルプ・紙・紙加工品などで前年度を上回っているも
のの、自動車・同附属品、食料品などで前年度を下回っており、全
体では前年度を下回っている。
非製造業では、電気・ガス・水道業などで前年度を下回っているも
のの、運輸業・郵便業、リース業などで前年度を上回っており、全
体では前年度を上回っている。
 27年度の計画では、電気料金値上がりの対策として、電力消費の大きい設
備の入れ替えを行い、省エネ化を図ることとしている。【化学工業・大企業】
 27年度は新商品製造機械の導入を予定している。業績が好調であることから、
前向きな設備投資を行う判断となった。【食料品・中小企業】
 受注が減少していることを受けてコストを抑制することとなり、一部の投資計
画を次年度以降に先送りすることとなった。【金属製品・中堅企業】
【出所】財務省、北海道財務局
3
4.雇用情勢
(倍)
~改善している~
〔有効求人倍率(常用・原数値)〕
(%)
【出所】厚生労働省
(%)
〔完全失業率(原数値、前年同期差)〕
(注)23年1-3月期から7-9月期の全国は、補完推計値を用いた参考値。
(%ポイント)
【出所】総務省
〔 現金給与総額 ・定期給与(前年同月比) 〕
○ 有効求人倍率は平成22年2月以降、61か月連続して前年を
上回って推移している。完全失業率は、10-12月期としては、
平成10年以降では2番目に低い数値となっている。
○ 現金給与総額は前年を上回って推移している。
 求人してもなかなか応募者がいない状況のなか、現在いる従業員を離職さ
せないため、非正規従業員の正規化を検討している。【生活関連サービス・
中堅企業】
 市街地から遠いという地理的に不利な勤務条件であるため、従業員の定着
化を図る一環として、26年度に引き続き27年度についても、ベースアップす
る予定である。【宿泊業・中小企業】
 技術職を中心に、採用人員の確保に苦慮している。特に今年は、大手ゼネ
コンが大卒者の採用に力を入れたことから、本来は大卒者を採用したかっ
たが、平成27年度採用は、全員が高卒者となった。 【建設業・中堅企業】
 27年2月末の新規高卒者の内定率が過去20年間で最も高い水準となって
いる。就職活動をしている学生にとっては、非常に良い環境になっている。
【公的機関】
【出所】北海道
4
5.住宅建設
(%)
~弱含んでいる~
〔新設住宅着工戸数 (前年比)〕
住宅建設は、持家、貸家、分譲住宅いずれも減少しており、弱含ん
でいる。
 注文住宅について、足下では営業努力により何とか受注を取っており例年並み
まで持ち直しているものの、これまで続いてきた弱い需要環境は大きく変わって
いないと感じている。 【建設業・大企業】
 相続税節税対策意識の高まりにより木造アパートの建設で動きがみられている
ものの、一般的に小規模である木造アパートでは棟数が増加しても、戸数の伸
びは小さい。【専門調査機関】
 マンションの供給数が少ないため、少しでも早く良い物件を決めてしまおうという
動きがみられ始めているが、その動きは札幌中心部に限定されている。【不動産
業・中堅企業】
 新築マンション価格の高騰により、より価格の低い中古市場はかなり活発に動い
ている。【専門調査機関】
【出所】国土交通省
6.観光 ~持ち直している~
(万人)
〔来道客数〕
(%)
(万人)
〔外国人入国者数〕
(%)
北海道観光は、来道客数が、スキー旅行のほか、さっぽろ雪まつり
などのイベントも道外からの集客に貢献するなど、好調を維持してい
る。また、外国人観光客は、さっぽろ雪まつりや春節の期間をはじめ、
北海道人気が継続しており、中国・台湾などからの観光客が大幅に
増加しているなど、全体では持ち直している。
 さっぽろ雪まつりと春節の期間が重ならなかった効果で、中国や台湾からの観
光客が大幅に増加した。【運輸業・大企業】
 2月は、スノーボードワールドカップ旭川大会やクロスカントリーワールドカップ
旭川大会が開催されたこともあり、海外降客数だけではなく、国内降客数も前
年を上回った。【空港・中堅企業】
 1-3月は売上が前年を大きく上回った。観光需要の高まりから宿泊料金の市場
価格が高騰しており、強気な料金設定ができている。【宿泊業・中堅企業】
※27年1~2月の前年比は、26年1~2月との比較
【出所】(公社)北海道観光振興機構
※27年1~2月の前年比は、26年1~2月との比較
【出所】法務省
 4月は例年閑散期であるが、人気アーティストのコンサート効果などから国内客
の予約状況は引続き好調。5月以降も、企業の報奨旅行などがあり、予約状況
は好調となっている。【宿泊業・中堅企業】
5
7.北海道財務局管内における賃金の動向について
(1) 有効求人倍率は高い水準
 管内の労働需給状況をみると、有効求人倍率は全国を下回るものの、平
成景気を上回る水準。建設業などで人手不足感が強い。
 有効求人倍率(常用・原数値、四半期平均)の推移
倍
(3) 「利益配分のスタンス」では「従業員への還元」が高い回答率
 当局の法人企業景気予測調査の「利益配分のスタンス」では、「従業員へ
の還元」が25年度に大きく伸長、「新規雇用の拡大」の割合が緩やかな
がらも増加傾向。特に中小企業では「従業員への還元」が53.8%、「新規
雇用の拡大」が17.9%と高い回答率になっている。
 有効求人倍率が
高い主な職種
(H27.2)
暫定
職
種
※ 調査対象企業が重要度の高い3項目を回答
(27.1-3月期調査は559社中498社回答)
 利益配分のスタンスの推移
月間有効
求人倍率
職業計
0.91
建築・土木・測量
技術者
4.06
型枠大工、とび工
2.83
ホームヘルパー、
ケアワーカー
1.77
給仕、接客サービ
ス員
2.12
製品検査工
2.15
年
※ 直近データは平成27年1-2月(2か月)の平均値
【出所】厚生労働省資料により当局作成
(2) 平成26年の現金給与総額は増加
 北海道管内における賃金動向を毎月勤労統計でみると、平成26年の現
金給与総額は、前年比プラスに転じている。産業別でみると、建設業など
の賃金上昇率が高くなっている。
 賃金の動き
【参考】春闘、労使交渉は前年を上回るペースで妥結
 連合北海道の春闘妥結状況をみると、4月15日までに妥結報告のあった
組合は109組合(集計可能組合96)。
 月例賃金の加重平均では、妥結額5,413円(定昇・ベア込み)で、昨年同
時期の集計対象79組合4,833円を580円上回っている。
 産業別の賃金上昇率(H26・対前年比)
%
 組合規模別賃上げ状況 27年4月16日公表 連合北海道集計
%
組合規模
集計
組合数
組合
万円
対象組合
人数
人
加重平均 妥結額
昨年実績額
(定昇・ベア込み)
(定昇・ベア込み)
円
(%)
円
昨年比
円
~ 99人
100~299人
300~999人
1,000人~
44
20
26
6
2,206
3,734
12,817
16,995
3,349
4,749
5,150
5,960
(1.66)
(2.21)
(1.91)
(2.30)
2,569
3,696
4,666
5,456
+780
+1,053
+484
+504
計
96
35,752
5,413 (2.13)
4,833
+ 580
〔参考〕全国賃上げ状況 27年4月16日公表 連合集計(4月14日〆)
組合規模
集計
組合数
組合
~299 人
300 人~
※ 調査対象
約1,200事業所
計
※H26年「現金給与総額」は当局推計値
1,688
899
2,587
対象組合
人数
人
169,363
1,987,898
2,157,261
加重平均 妥結額
昨年実績額
(定昇・ベア込み)
(定昇・ベア込み)
円
(%)
4,928 (2.01)
6,838 (2.26)
6,670 (2.24)
円
4,651
6,534
6,381
昨年比
円
+ 277
+ 304
+ 289
※26年と27年で集計対象組合が異なるため、「賃上げ額」と「賃上げ率」の昨年対比は整合しない。
【出所】連合、連合北海道資料により当局作成
【出所】厚生労働省、北海道「毎月勤労統計調査地方調査」により当局作成
6
7.北海道財務局管内における賃金の動向について
25年度、26年度及び27年度の賃金の動向について
情勢報告調査にあわせ管内の企業に賃金の動向に関するヒアリングを実施。 実施時期は3月中旬から4月中旬。
対象先数は計117社。内訳は製造業37社、非製造業80社。規模別では大企業37社、中堅企業41社、中小企業39.社。
○ 当局のヒアリング結果では、全体の約9割の企業が27年度に何らかの賃上げ行う(予定)と回答している。
• 中小企業においても85%が何らかの賃上げを行う(予定)と回答。
• なお、25年度、26年度実績では、約9割の企業が賃上げを行ったと回答。
○ また、全体の約4割の企業が27年度にベアを実施する(予定)と回答している。
• 25年度は13.7%、26年度は32.5%、27年度は38.5%と、ベアを実施する企業の割合は年々増加。
25年度
26年度
27年度
回答数:117社(無回答除く)
無回答:0社
回答数:117社(無回答除く)
無回答:0社
回答数:96社
(態度未定・無回答除く)
態度未定:21社
無回答:0社
賃上げを行った企業の割合(規模・業種別)
規模別
大企業 (34社)
中堅企業(37社)
中小企業(31社)
業種別
製造業 (35社)
非製造業(67社)
91.9%
90.2%
79.5%
94.6%
83.8%
規模別
大企業 (33社)
中堅企業(41社)
中小企業(35社)
業種別
製造業 (37社)
非製造業(72社)
89.2%
100.0%
89.7%
100.0%
90.0%
2.9%
24.3%
19.4%
14.3%
16.4%
規模別
大企業 (12社)
中堅企業(15社)
中小企業(11社)
業種別
製造業 (16社)
非製造業(22社)
36.4%
36.6%
31.4%
43.2%
30.6%
※「ベア・一時金増額の双方を行っている企業」は「ベアを行った企業」にのみ計上。
※以下、グラフの数値については、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が100にならないものがある。
賃上げを行う企業の割合(規模・業種別)
規模別
大企業 (24社)
中堅企業(34社)
中小企業(28社)
業種別
製造業 (29社)
非製造業(57社)
82.8%
100.0%
84.8%
96.7%
86.4%
賃上げ実施企業の中でベアを
実施する企業の割合
賃上げ実施企業の中でベアを
実施した企業の割合
賃上げ実施企業の中でベアを
実施した企業の割合
規模別
大企業 ( 1社)
中堅企業( 9社)
中小企業( 6社)
業種別
製造業 ( 5社)
非製造業(11社)
賃上げを行った企業の割合(規模・業種別)
規模別
大企業 (11社)
中堅企業(19社)
中小企業(7社)
業種別
製造業 (17社)
非製造業(20社)
45.8%
55.9%
25.0%
58.6%
35.1%
※大企業 : 資本金10億円以上。中堅企業 : 資本金1億円以上10億円未満。中小企業 : 資本金1億円未満。
7
7.北海道財務局管内における賃金の動向について
27年度の賃金の引上げ動向について
○ 27年度に賃上げを実施する企業について、ベア、賞与・一時金増額及び定期昇給分を合算し、前年度と比較してみると、「上回る(予定
を含む。以下同じ)」、「同程度」とする企業が約8割を占めている。
• 27年度賃上げが26年度を「上回る」、「同程度」の企業をみると、26年度の業績が好調であることを理由とする企業が多い。
• 27年度賃上げが26年度賃上げを「下回る」企業をみると、業績の動向により賃金引上げ率を抑制している企業などがみられる。
【企業の声】
○
○
○
○
好調な業績を背景に電子部品メーカー各社で前年度を上回るベアを実施していることから、当社も追随する形でベアを含む賃上げを実施。(情報通信機械
器具・中堅企業)
技術職の人手不足が継続しており、人材の確保・流出阻止のために、26年度に3年ぶりに定期昇給を実施。今年度は、他社の動向も勘案して、定期昇給
に加え、ベアも実施する予定。(建設業・中堅企業)
飲食部門は好調であるものの、他部門の業績が悪化しているため、昇給額を抑える見込み。(飲食サービス業・中小企業)
優秀な人材を確保するためにも、業績に応じて賃金水準を引き上げている。(パルプ・紙・紙加工品・中小企業)
ベア、賞与・一時金増額及び定期昇給分を合算した前年度との比較
ベア分及び定期昇給分を合算した引上げ率の前年度との比較
27年度の引上げ動向(全規模・全産業)
27年度の引上げ率(全規模・全産業)
26年度回答数:55社(無回答除く)
27年度回答数:52社(無回答除く)
回答数:81社
(不明・わからない、無回答4社を除く)
8
7.北海道財務局管内における賃金の動向について
27年度の賃金の引上げを『行った』理由について
○ 賃金の引上げを行う理由(複数回答可)については、「社員の
モチベーションの向上、待遇改善」が最も多く、次いで「業績好
調」、「優秀な人材の確保」、「同業他社の動向」となっている。
○ 建設業、宿泊業など、人手不足感が強い業種では、「優秀な
人材の確保」、「同業他社の動向」を重視している企業がみら
れる。
【企業の声】
○ 世間では賃上げ雰囲気が醸成されつつあるなか、当社は海外向けを
中心に主力製品が堅調で、高水準の業績を見込んでいることもあり、積
極的に従業員に利益還元していくことを考えている。(業務用機械器具・
中小企業)
※ 27年度に賃上げを行う(予定含む)と回答した86社のうち、無回答3社を除く83社を対象
(複数回答)。
○ 地理的に不利な勤務条件であるため、ベア実施により賃金水準を引き
上げないと、人材確保・流出抑制が図れない。(宿泊業・中小企業)
27年度の賃金の引上げを『行わなかった』理由について
○ 賃金の引上げを行わない理由(複数回答可)については、「業績
の低迷」が最も多い。
○ 雇用体系や給与体系の見直しなどから、賃金の引上げは行わ
なかったとの声も聞かれている。
○ 主力製品が依然低迷しており、業績が良いわけではないが、他企業で
の賃上げ浸透を勘案し、人材確保を優先して、ベアを実施することとした。
(生産用機械器具・大企業)
○ ベアを実施できるほどの業績となっていないが、生活費負担の大きくな
る30~50歳代の職員を対象に毎年定期昇給を行っている。(木材・木製
品・中小企業)
【企業の声】
○ 26年度から優秀な人材の確保を目的に、非正規雇用の正規化(契約職
員約700名をエリア限定職員として採用)を優先的に推進している。(小売
業・大企業)
○ 27年度は経営環境が厳しくなることも予想しているが、社員の士気を
上げるためにも、わずかでも定期昇給は実施していきたい。(建設業・中
小企業)
○ 26年度に人事制度を見直し、定昇や年功序列型賃金を廃止。役職や職
務内容に応じた能力評価を新たに導入し、職員の頑張りが認められる賃金
体系とした。(小売業・中小企業)
※27年度に賃上げを行わない(予定含む)と回答した企業は10社。
9
7.北海道財務局管内における賃金の動向について
「経済の好循環実現に向けた政労使会議」を踏まえた仕入れ価格上昇等の価格転嫁の状況について
受注側企業:仕入れ価格上昇のコスト増分を価格転嫁できているか
発注側企業:仕入れ価格上昇のコスト増分の価格転嫁を認めているか
○ 仕入れ価格等が上昇しているとする企業44社のうち、20社
(45%)は価格転嫁が「完全にできている」、「おおむねできてい
る」と回答している。
○ 回答のあった企業88社のうち、69社(78%)は仕入先の仕入
れ価格等について価格転嫁を「完全に認めている」、「おおむね
認めている」と回答している。
○ 一方、24社(55%)は、同業他社との競合により受注を優先
せざるを得ないことなどを理由に、価格転嫁が「一部はできて
いる」、「ほとんどできていない」と回答している。
○ 一方、6社(7%)は、厳しい経営環境などから、価格転嫁を「一
部は認めている」としているが、「ほとんど認めていない」という
企業は認められなかった。
【企業の声】
【企業の声】
○ 同業他社との競争が激しいことから、仕入れ価格の上昇分を転嫁でき
る状況になく、経費削減や売上数量を伸ばすことでカバーしている。(食
料品・大企業)
○ 取引先が複数ある原材料等に関しては、価格交渉によるコスト低減努力
をしているが、基本的には相手方のコスト上昇分の価格転嫁は否定してい
ない。(鉄鋼・大企業)
○ 仕入れ価格の上昇分を販売価格に全部転嫁すると受注減に繋がるた
め、自社で負担せざるを得ず、厳しい経営環境が続いている。(食料品・
中小企業)
○ 資材価格については、取引先との交渉により決定しているが、昨年の夏こ
ろから順次値上げに応じている。(建設業・大企業)
※回答数:52社(不明・わからない、無回答3社を除く)。企業の判断はヒアリング時点。
※日系企業のB to B取引を前提、官公需を除く。
※回答数:88社(不明・わからない、無回答17社を除く)。企業の判断はヒアリング時点。
※日系企業のB to B取引を前提、官公需を除く。
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