CBTの辞典

CBTの辞典
Computer Based Testing 2016
Dictionary
1
下巻 視覚要素篇
CBT の辞典の会
*正誤情報、発行後の法令改正、最新統計、診療ガイドライン関連の情報につきましては、
弊社ウェブサイト http://www.rdcnet. jp/(国試の鉄人の会で検索)にてお知らせいたします。
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すると、著作権および出版権侵害となることがありますので、ご注意ください。
序
説
平成 17 年 12 月から歯学 CBT と OSCE が正式に開始されました。
共用試験は、共通基準を設けた組織的評価を行うために、コア・カリキュラムに基づき、全国各大学が参加して試
験問題を作成し、知識の評価には CBT を、診察技能・態度の評価には OSCE を用いています。コア・カリキュラム
は平成 24 年から新コア・カリキュラムになりました。
CBT は 6 つのブロックで構成されています。解答する順番はブロック 1 からブロック 6 の順番で、合計 320 問出
題されます。320 問中、約 240 問はプール問題、残り 80 問は新規問題が出題されます。問題は受験生ごとにランダ
ムです。毎年、約 2,400 人が受験し、平均点は 70%前後で推移しています。
出題形式
①単純 5 肢択一形式:ブロック内で見直すことができます。
②多選択肢連問形式:先に進むと後戻りはできません。
③順次解答連問形式:先に進むと後戻りはできません。
の 3 種類です。
ブロックの構成は、
①ブロック1∼4:単純 5 肢択一形式(60 設問、1 時間)
②ブロック 5:多選択肢 2 連問(20 設問)、順次解答2連問(20 設問)(40 設問、1 時間)
③ブロック 6:順次解答 4 連問(40 設問、1 時間)
出題割合
コア・カリキュラム大項目を参考に、
①大項目A:約 4.2%
②大項目B:約 8.3%
②大項目C:約 25.0%
③大項目D:約 4.2%
④大項目E:約 58.3%
という割合になっています。
さて、この本では CBT で出題される問題の中でも視覚要素付きの問題についてみていきます。
視覚要素の中に問題を解くうえで重要なことが提示されているため、視覚要素から問題点を読み取る力を身に付け
なければなりません。ただ、普通に視覚要素をみるというよりは、いろいろな『コツ』があるのも事実です。この本
ではそういった、いろいろな『コツ』を随所に散りばめて解説が書いてあるので参考にして下さい。
解説を読んでもわからないときには、参照ページが示されているので、「コア・カリ篇」や KEY WORDS CBT1,
2を確認してみてください。さらに理解が深まるのではないかと思います。
また、この本だけではちょっと足りないな!もっと問題を解きたいな!と思った時は、別売の CBT の辞典(誌上問
題篇)や CBT の辞典(一般問題篇)、KEY WORDS CBT3,4も併用して勉強してください。CBT の辞典(一般問題
篇)や KEY WORDS CBT3,4には視覚要素のない問題が多数掲載されています。
スムーズに進級して歯科医師になるためには CBT は避けて通れません。歯科医師になるためにもこの本を利用して
CBT 合格に向けてしっかりと勉強してください。
歯科医師として求められる基本的な資質
(歯科医師としての職責)
・豊かな人間性と生命の尊厳についての深い認識を有し、口腔の健康を通じて人の命と生活を守る歯科医師
としての職責を自覚する。
(患者中心の視点)
・患者およびその家族の秘密を守り、歯科医師の義務や医療倫理を遵守するとともに、患者の安全を最優先
し、常に患者中心の立場に立つ。
(コミュニケーション能力)
・歯科医療の内容を分かりやすく説明するなど、患者やその家族との対話を通じて、良好な人間関係を築く
ためのコミュニケーション能力を有する。
(チーム医療)
・医療チームの構成員として、相互の尊重のもとに適切な行動をとるとともに、後輩などに対する指導を行
う。
(総合的診療能力)
・統合された知識、技能、態度に基づき、口腔のみならず、全身的、精神的、社会的状況に対応可能な、総
合的に診療するための実践的能力を有する。
(地域医療)
・医療を巡る社会経済的動向を把握し、地域医療の向上に貢献するとともに、地域の保健・医療・福祉・介
護および行政などと連携協力する。
(研究志向)
・歯科医学・医療の進歩と改善に資するために研究を遂行する意欲と基礎的素養を有する。
(自己研鑽)
・男女を問わずキャリアを継続させて、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する。
目
次
A 基本事項
・・・・・・・
1
B 社会と歯学
・・・・・・・
18
C 生命科学
・・・・・・・
92
・・・・・・・
196
・・・・・・・
222
C−1 生命の分子的基盤 … 92
C−2 人体の構造と機能 … 112
C−3 感染と免疫 … 158
C−4 病因と病態 … 174
C−5 生体と薬物 … 184
D 歯科生体材料と歯科材料・器械
D−1 素材と器械・器具の所要性質 … 196
D−2 成形法と成形用材料 … 206
E
臨床歯学教育
E−1 診療の基本 … 222
1−1 基本的診療技能 … 222
1−2 画像検査 … 228
1−3 歯科麻酔の基本 … 250
1−4 小手術の基本手技 … 266
1−5 救急処置 … 278
E−2 口唇・口腔・頭蓋・顎顔面領域の常態と疾患 … 292
2−1 頭頸部の基本構造と機能 … 292
2−2 口唇・口腔の基本構造と機能 … 312
2−3 口唇・口腔・頭蓋・顎顔面領域の発生、
成長・発育および加齢とその異常 … 318
2−4 口唇・口腔・顎顔面領域の疾患 … 322
E−3 歯と歯周組織の常態と疾患 … 452
3−1 歯と歯周組織の発生および構造と機能 … 452
3−2 歯と歯周組織の疾患の特徴と病因 … 470
3−3 歯と歯周組織の疾患の診断と治療 … 474
3−4 歯質欠損と歯の欠損の診断と治療 … 592
E−4 歯科医療の展開 … 708
4−1 不正咬合 … 708
4−2 小児の歯科治療 … 760
4−3 高齢者の歯科治療 … 790
4−4 障害者の歯科治療 … 798
4−5 心因性疾患 … 800
4−6 歯科医師に必要な医学的知識 … 802
CBT 演習問題
視覚要素篇
大項目 C
C−1
生命科学
生命の分子的基盤
演習問題
□□C001
糖の構造を別に示す。
図に示す糖はどれか。
A
グルコース
B
スクロース
C
セルロース
D
フルクトース
E
デオキシリボース
□□C002
解糖系を別に示す。
アに当てはまるのはどれか。
A
クエン酸
B
フマル酸
C
リンゴ酸
D
ピルビン酸
E
オキサロ酢酸
- 92 -
C001
選択肢チェック
.
糖質に関する問題です。
糖質とは、単糖を構成成分とする有機化合物の総称です。その多くは CmH2nOn で表されます。
図の構造は 2 糖類です。選択肢の中で 2 糖類はスクロースしかありません。
【正解
CBT Dictionary vol.1
112 ページ
KEY WORDS CBT1.
B】
152 ページ
C002
C
選択肢チェック
.
解糖系に関する問題です。
として利用されたり、血液中に入ったりして血糖となります。余剰グルコースはグリコーゲンの形で肝臓や
筋に貯えられたり、脂肪に変換されたりして各組織に蓄積されます。
細胞内のグルコースは、細胞質で解糖系酵素によってピルビン酸まで分解されます。この後の反応は酸素
の有無によって変化します。
【正解
CBT Dictionary vol.1
113 ページ
KEY WORDS CBT1.
- 93 -
152 ページ
D】
生命科学
炭水化物は最もエネルギー化しやすい栄養素で、特に神経細胞や赤血球のエネルギー源として利用されま
す。食物に含まれる糖質の大半はデンプンで、吸収された後、グルコースに分解され、エネルギー(ATP)
□□C039
ある組織の構成を図に示す。
図の組織はどれか。
A
骨
B
軟
C
象牙質
D
エナメル質
E
セメント質
□□C040
骨
骨の水平断の顕微鏡写真を別に示す。
矢印が示すのはどれか。
A
骨
B
介在層板
C
外基礎層板
D
内基礎層板
E
ハバース層板
□□C041
髄
年齢による体組織の変化を図に示す。
このような変化がみられるのはどれか。
A
骨
B
脂
肪
C
神
経
D
脈
管
E
骨格筋
- 118 -
C039
選択肢チェック
.
硬組織の組成に関する問題です。
╳A
骨の組成は、無機質 70%、有機質 22%、水8%です。
○B
軟骨の組成は、無機質3%、有機質 24%、水 73%です。
╳C
象牙質の組成は、無機質 69%、有機質 20%、水 11%です。
╳D
エナメル質の組成は、無機質 97%、有機質2%、水1%です。
╳E
セメント質の組成は、無機質 65%、有機質 23%、水 12%です。
KEY WORDS CBT1.
B】
C040
生命科学
選択肢チェック
145 ページ
C
【正解
CBT Dictionary vol.1
184,185 ページ
ハバース層板
.
フォルクマン管
ハバース管
骨組織の顕微鏡写真に関する問題です。
血管を入れる管のうち縦方向の管をハバース管といい、横方向の管をフォルクマン管といいます。ハバー
ス管を中心に骨が同心円状に取り巻いており、直径 200μm の円柱状の層板をハバース層板といいます。
【正解
CBT Dictionary vol.1
146 ページ
KEY WORDS CBT1.
E】
190 ページ
C041
選択肢チェック
.
ヒトの成長に関する問題です。
図をみると 0 歳から 20 歳にかけてピークに向けて増加し、40 歳までピークが続いた後に減少していま
すが、減少の仕方には 3 つのパターンがみられます。3 つのパターンがあるということは、個人差が大きい
ことを表していると考えられます。
○A
骨量は 20 歳代でピークに達し、40 歳代以降に減少します。骨密度検査で若年成人平均値の 70%を
下回ると骨粗鬆症と診断されます。
╳B
脂肪は加齢とともに増加します。
╳C、╳D
╳E
この図とはあまり関係がありません。
筋肉は 30 歳代をピークに減少します。
【正解
CBT Dictionary vol.1
146 ページ
KEY WORDS CBT1.
- 119 -
189,190 ページ
A】
□□E2032
口腔粘膜の組織像を別に示す。
この上皮が存在するのはどれか。
A
頰
B
舌
C
硬口蓋
D
舌下面
E
軟口蓋
背
□□E2033
唾液腺の H-E 染色像を別に示す。
この腺を支配する副交感神経が経由するのはどれか。
A
膝神経節
B
耳神経節
C
顎下神経節
D
上顎神経節
E
翼口蓋神経節
□□E2034
頭頸部の写真を別に示す。
矢印で示す部位にある唾液腺について正しいのはどれか。
A
純漿液腺である。
B
最大の唾液腺である。
C
腺管は舌下隙を通過する。
D
腺管は舌下ヒダに開口する。
E
多数の脂肪細胞がみられる。
- 314 -
E2032
選択肢チェック
.
口腔粘膜に関する問題です。
口腔粘膜を被覆する重層扁平上皮は、
・咀嚼という機能圧を受け止める歯肉と硬口蓋の咀嚼上皮
・弾性をもち自在に変形しうる頰・口唇、口腔底、舌の腹側の被覆上皮
・舌の背側と粘膜・表皮移行部にみられる特殊な上皮組織
の 3 つに大別されます。
咀嚼上皮は角化を示しますが、被覆上皮は角化していません。歯肉や硬口蓋の一部では、粘膜下固有層は
比較的薄く、密な線維性粘膜下層により骨面に付着しています。軟口蓋や口腔底のように非常に可動性の高
い部分では、疎な線維性結合組織を挟んで筋層に続いています。
写真では角化した重層扁平上皮がみられるため、この上皮が存在するのは硬口蓋と考えられます。
【正解
CBT Dictionary vol.1
374 ページ
KEY WORDS CBT2.
C】
100 ページ
E2033
選択肢チェック
.
唾液腺の組織像からその関連する神経節を選ぶ問題です。
組織像から純漿液腺とわかり、組織中の脂肪の多さや明瞭な線条部導管の存在から耳下腺とわかります。
【正解
CBT Dictionary vol.1
377 ページ
KEY WORDS CBT2.
B】
104 ページ
.
唾液腺に関する問題です。
矢印の部位にある唾液腺は顎下腺です。
╳A
顎下腺は混合腺です。
╳B
最大の唾液腺は耳下腺です。
○C
顎下腺管は舌下隙を通過します。
╳D
顎下腺管は舌下小丘に開口します。
╳E
多数の脂肪細胞がみられるのは耳下腺です。
【正解
CBT Dictionary vol.1
377 ページ
KEY WORDS CBT2.
- 315 -
100 ページ
C】
臨床歯学教育︵口腔・頭蓋・顎顔面領域の常態と疾患︶
E2034
選択肢チェック
Eー2
耳下腺の副交感性の分泌を司る舌咽神経は耳神経節を経由します。
E−3−2
歯と歯周組織の疾患の特徴と病因
演習問題
□□E3028
口腔内写真を別に示す。
矢印が示すのはどれか。
A
過剰歯
B
棘突起
C
中心結節
D
カラベリー結節
E
プロトスタイリッド
□□E3029
11 歳の男児。歯の形態異常を主訴として来院した。初診時の口腔内写真を別に示す。
矢印で示すのはどれか。
A
臼後結節
B
臼傍結節
C
中心結節
D
辺縁結節
E
カラベリー結節
□□E3030
大臼歯の咬合面写真を別に示す。
矢印が示すのはどれか。
A
介在結節
B
臼後結節
C
中心結節
D
カラベリー結節
E
プロトスタイリッド
- 470 -
E3028
選択肢チェック
.
歯の形態異常に関する問題です。
矢印は棘突起です。
【正解
CBT Dictionary vol.1
460 ページ
KEY WORDS CBT2.
B】
202 ページ
E3029
選択肢チェック
.
歯の形態異常に関する問題です。
矢印は中心結節です。
【正解
CBT Dictionary vol.1
460 ページ
KEY WORDS CBT2.
C】
202 ページ
E3030
選択肢チェック
.
歯の形態に関する問題です。
カラベリー結節は、上顎大臼歯の近心舌側咬頭の舌側面近心部に好発します。
【正解
CBT Dictionary vol.1
460 ページ
KEY WORDS CBT2.
D】
202 ページ
Eー3
臨床歯学教育︵歯と歯周組織の常態と疾患︶
- 471 -
□□E4100
77 歳の男性。10 か月前に脳出血を発症した。摂食・嚥下障害がみられる。患者の口腔内写
真を別に示す。
障害されている摂食・嚥下の過程はどれか。
A
認知期
B
準備期
C
口腔期
D
咽頭期
E
食道期
□□E4101
くも膜下出血で軽度の麻痺があり、摂食・嚥下障害のリハビリテーション中である。写真を
別に示す。
行っている検査方法はどれか。
A
嚥下造影検査
B
咀嚼能率検査
C
段階的フードテスト
D
反復唾液嚥下テスト
E
オーラルディアドコキネシス
□□E4102
摂食機能訓練に使用する器材の写真を別に示す。
矢印の部分を当てる部位はどれか。
A
歯
B
口蓋弓
肉
C
口腔底
D
硬口蓋
E
舌尖部
- 792 -
E4100
選択肢チェック
.
摂食・嚥下障害に関する問題です。
口腔内写真で口腔前庭に食物の残留がみられるため、患者は食塊形成が不良と考えられます。
食塊形成に関わる嚥下の過程を考えましょう。
╳A
認知期は食物を視覚や嗅覚が特殊感覚として、触圧覚が物理的性質の情報として上位脳に送る時期で
す。
○B
準備期は食物を口腔に取り込み、咀嚼して食塊を形成する時期です。口腔内写真で口腔前庭に食物の
残留がみられるため、準備期が障害されていると考えられます。
╳C
口腔期は咀嚼後の食塊を咽頭へ送り出す時期です。
╳D
咽頭期は食塊が口峡を通過してから咽頭を経て後端が食道入口部を通過するまでの時期です。
╳E
食道期は食道の蠕動運動により、食塊が食道入口部から胃の噴門へと送られる時期です。
【正解
CBT Dictionary vol.1
371 ページ
KEY WORDS CBT2.
B】
359,360 ページ
E4101
選択肢チェック
.
摂食・嚥下障害のリハビリテーションに関する問題です。
写真をみると、のどの下に人差し指を当てて嚥下の補助を行っています。
この検査方法を反復唾液嚥下テストといいます。
【正解
CBT Dictionary vol.1
599 ページ
KEY WORDS CBT2.
D】
359,360 ページ
E4102
選択肢チェック
.
写真はアイスマッサージに使用する氷水と綿棒です。アイスマッサージでは嚥下を誘発させるため、口蓋
弓に冷たい綿棒を当てます。
【正解
604 ページ
KEY WORDS CBT2.
- 793 -
359,360 ページ
B】
臨床歯学教育︵歯科医療の展開︶
CBT Dictionary vol.1
Eー4
摂食・嚥下障害のリハビリテーションに関する問題です。