2015 年 5 月 27 日 静電容量方式タッチパネル・部材市場に関する調査結果 2015 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて静電容量方式タッチパネル及びその部材の世界市場の調査を実 施した。 1.調査期間:2015 年 1 月~4 月 2.調査対象:タッチパネルメーカー、透明導電性フィルムメーカー、カバーガラスメーカー、OCA メーカー、引出 線材料メーカー、ハードコートフィルムメーカー 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用 <静電容量方式タッチパネルとは> 本調査における静電容量方式タッチパネルとは、アウトセルタイプの静電容量方式タッチパネルモジュールに加 え、インセルタイプ・オンセルタイプのタッチ機能内蔵型ディスプレイを対象とした。また、オンセルには OCTA (On Cell Touch AMOLED、タッチ機能付有機ELディスプレイ)を含む。 <静電容量方式タッチパネル部材とは> 本調査における静電容量方式タッチパネル部材とは、透明導電性フィルム、カバーレンズ、OCA(Optical Clear Adhesive)、引出線材料、ハードコートフィルム等の部材をさす。 【調査結果サマリー】 2015 年の静電容量方式タッチパネル世界市場は 前年比 108.0%の 17 億 7,200 万枚と予測、成長率鈍化が鮮明に 静電容量方式タッチパネル(以下,TP)世界市場は、スマートフォンやタブレット端末市場の拡大により 2013 年、2014 年と前年比 2 ケタ成長が続いてきたが、アメリカや日本など先進国を中心にスマートフォン やタブレット端末市場の伸び率が鈍化していることで、2015 年の同市場(メーカー出荷数量ベース)を前 年比 108.0%の 17 億 7,200 万枚と予測する。ただし、中国やインド等の新興国ではスマートフォン市場が 高い成長を続けており、同市場は伸長率が落ち着く一方で、市場規模は 2015 年以降も成長を続けるも のと予測する。 2015 年もミドル・ローエンドのスマートフォン向け TP は GF1 需要が拡大と予測 2014 年のミドル・ローエンドのスマートフォン端末向け TP の構造は、G1F(ITO 付きカバーガラス+片 面 ITO フィルム 1 枚)から GF1(カバーガラス+片面 ITO フィルム 1 枚)への代替が進展した。GF1 は、 GFF(カバーガラス+片面 ITO フィルム 2 枚)より ITO フィルムと OCA が 1 枚ずつ削減できるため部材 調達コストが下がり、端末メーカーの厳しいコストダウン要望に対応できるほか、端末の薄型化も実現し ている。また、課題とされた抵抗値に起因する不十分なタッチ感度や 5 インチ以下となる画面サイズの制 約も改善され、GF1 は 2015 年以降もミドル・ローエンド端末での採用が広がる可能性が高い。 インセルや OCTA の開発・生産が本格化し、採用領域が拡大 最近、中国新興スマートフォンメーカーでは、ハイエンドのスマートフォン端末において、インセルや OCTA(On Cell Touch AMOLED)の搭載率を高めている。この動きに歩調を合わせる形で、複 数のディスプレイメーカーはタッチ機能内蔵ディスプレイの開発・生産を本格化しており、2015 年はイン セル・オンセルなどタッチ機能内蔵型ディスプレイの市場拡大が加速すると予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「2015 年版 静電容量方式タッチパネル・部材市場の徹底分析」 発刊日:2015 年 4 月 30 日 体 裁:A4 判 254 頁 定 価:160,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 5 月 27 日 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況 静電容量方式タッチパネル(以下,TP)世界市場は、スマートフォンやタブレット端末市場の拡大により 2013 年、2014 年と前年比 2 ケタ成長が続いてきたが、アメリカや日本など先進国を中心にスマートフォン やタブレット端末市場の伸び率が鈍化していることで、2015 年の同市場(メーカー出荷数量ベース)を前 年比 108.0%の 17 億 7,200 万枚と予測する。(表 1 参照) ただし、中国やインド等の新興国ではスマー トフォン市場が高い成長を続けており、同市場は伸長率が落ち着く一方で、市場規模は 2015 年以降も 成長を続けるものと予測する。 また、アウトセルタイプの TP 構造の状況を見ると、フィルムセンサーは GFF(カバーガラス+片面 ITO フィルム 2 枚)が、ガラスセンサーは G2(OGS:One Glass Solution)が主流となっている。(図 1 参照) そのうち、フィルムセンサーの需要動向では、GFF においては薄型化が進み、2014 年は基材に厚み 50μm の PET フィルムを使用した ITO(Indium Tim Oxide:インジウム・スズ酸化物)フィルムを採用した スリム GFF の生産が進んだが、2015 年には更に薄い 23μm の ITO フィルムを使用したウルトラスリム GFF の量産が本格化すると考える。また、2015 年はミドル・ローエンドのスマートフォン端末向けには GF1(カバーガラス+片面 ITO フィルム 1 枚)の採用も広がる可能性が高い。GF1 は GFF より ITO フィル ムと OCA(Optical Clear Adhesive)を 1 枚ずつ削減できることからコスト削減と端末の薄型対応が可能と なる。更に、5 インチ以上の画面へのサイズアップを可能にすることにより、ファブレット(大きめな画面を 持つスマートフォン)やタブレット端末への採用も期待され、今後の需要の拡大を予測する。他に GF2 は ベースフィルムの両面に ITO を膜付した DITO タイプと、ベースフィルムの片側に ITO を 2 層積んだ ITO ブリッジタイプの 2 種類があるが、GF2 の製造は非常に難度が高く、製造可能な TP 部材メーカーも少な いため、ニッチな製品分野での採用が拡大していくと考える。 一方で、ガラスセンサーの需要動向をみると、タッチ機能付きディスプレイを採用したノート PC の市場 縮小と、中国新興 OGS メーカーの増加による価格下落が進み、市場は縮小傾向にある。 2. 注目すべき動向 2-1.ミドル・ローエンドのスマートフォン市場が拡大 スマートフォン市場は、アメリカや日本など先進国において伸び率が鈍化しているものの、中国やイン ド等の新興国では高い成長を続けており、今後も市場は拡大していく見通しである。中国新興スマート フォンメーカーは、低価格で品質も確保できるミドル・ローエンドのスマートフォン端末を相次いで上市し、 中国やインド等の新興国を中心にスマートフォン市場でのシェアを高めている。こうしたなか、日本や韓 国、台湾、中国の TP 部材メーカー各社は、中国新興スマートフォンメーカーのミドル・ローエンド端末へ の採用拡大に注力している。 2-2.インセル・オンセルの採用拡大が加速 これまで、スマートフォンにおける静電容量方式 TP では、Apple がインセルタイプを、Samsung が OCTA(On Cell Touch AMOLED、タッチ機能付有機ELディスプレイ)を主に採用し、それ以外の端末メ ーカーではフィルムセンサーやガラスセンサーを使用したアウトセルタイプの TP が使用されていた。しか し、最近、中国新興スマートフォンメーカーの中では、ハイエンドのスマートフォン端末においてインセル や OCTA の搭載率を高めている。 こうした中で 2015 年は、インセル・オンセルなどのタッチ機能内蔵型ディスプレイの市場拡大が加速 する見込みである。ディスプレイメーカー各社は、自社パネルの付加価値を高める戦略の一つとして、デ ィスプレイ本体へのタッチ機能の搭載を進めている。端末メーカーサイドでは、端末の薄型化や管理の 一元化のメリット等が享受できるとし、タッチ機能内蔵ディスプレイの採用を増やしていくと見られる。特に、 インセルの場合、すでに参入ディスプレイメーカー数の増加により低価格化が進んでおり、従来はハイ エンドのスマートフォン端末を中心に採用されてきたインセルが、ハイエンドからミドルエンドの端末にま で徐々に採用領域を広げている。 2-3.アウトセルは Bended 対応や TP 加工技術を活かしたディスプレイメーカーとの協業も一つの解 インセルタイプ・オンセルタイプの TP 市場拡大と熾烈な価格競争とともに、静電容量方式 TP 市場はコ モディティ化しつつあると考える。 アウトセルタイプのTP部材メーカー各社にとっては、顧客の端末の薄型化ニーズや低価格、あるいは 技術力が求められる領域において、顧客ニーズに応えた独自の TP 構造を開発し積極的に展開すること Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 5 月 27 日 が、市場での更なる成長を図る上での重要なテーマになる。特に、曲面ディスプレイを使用した新しい形 状のスマートフォンが市場投入されたことにより、フィルムセンサーメーカーの中には三次元構造や Bended(曲げ加工)に対応したタッチセンサーを開発し、更なる成長を目指しているところもある。 一方で、ガラスセンサーでは、ディスプレイメーカーのインセルタイプ・オンセルタイプのタッチ機能内 蔵型ディスプレイ製造に直接的に関与すべく、センサーメーカーが一部 ITO 成膜・パターニング工程を 担うという動きも出ている。インセル・オンセル製造においてディスプレイメーカーとガラスセンサーメーカ ーが協業することで、ディスプレイメーカーではインセル・オンセル製造のための付帯設備を購入せずに ディスプレイ製造が可能となり、新規設備投資分の費用負担が省ける。TP 部材メーカーにおいてもディ スプレイメーカーと緊密な関係を構築することで、安定した供給先を確保できるメリットがあると考える。 表 1. 静電容量方式タッチパネル 用途別世界市場規模推移・予測 単位:百万枚 2012年 2013年 前年比 スマートフォン用 前年比 2015年予測 前年比 2016年予測 前年比 前年比 792 140.2% 1,173 148.1% 1,360 115.9% 1,460 107.4% 1,555 106.5% Glassセンサ 300 120.0% 390 130.0% 310 79.5% 200 64.5% 160 80.0% Filmセンサ 340 136.0% 450 132.4% 630 140.0% 700 111.1% 720 102.9% In-cell 40 - 153 382.5% 200 130.7% 270 135.0% 330 122.2% On-cell 112 172.3% 180 160.7% 220 122.2% 290 131.8% 345 119.0% 120 169.0% 250 208.3% 255 102.0% 288 112.7% 305 106.1% Glassセンサ 75 141.5% 80 106.7% 82 102.5% 90 109.8% 93 103.3% Filmセンサ 45 250.0% 170 377.8% 172 101.2% 195 113.4% 206 105.6% In-cell - - - - - - 0.5 - 2 400.0% On-cell - - - - 1 - 2 200.0% 4 200.0% 3 - 19 633.3% 20.5 107.9% 18.5 90.2% 16 86.5% Glassセンサ 3 - 18 600.0% 19 105.6% 17 89.5% 15 88.2% Filmセンサ - - 1.0 - 1.5 150.0% 1.5 100.0% 1 66.7% 1.1 - 3.3 300.0% 4.2 127.3% 5.5 131.0% 7 123.6% Glassセンサ 0.8 - 2.5 312.5% 3.0 120.0% 4.0 133.3% 5.0 125.0% Filmセンサ 0.3 - 0.8 266.7% 1.2 150.0% 1.5 125.0% 1.8 120.0% 916 144.0% 1,445 157.8% 1,640 113.5% 1,772 108.0% 1,883 106.3% タブレット端末用 ノートPC用 車載(カーナビ、DA等)用 合計 2014年 矢野経済研究所推計 注 1:メーカー出荷数量ベース 注 2:2015 年以降は予測値 注 3:四捨五入のため、表内の合計・比率が一部異なる 注 4:On-Cell に、OCTA(On Cell Touch AMOLED)を含む Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 5 月 27 日 図 1.静電容量方式タッチパネル 用途別構造別世界市場シェア予測 単位:% 【スマートフォン用】 2014年 1,360百万枚 その他, 0.7% 2015年予測 1,460百万枚 G2, 3.5% その他, 0.6% G2, 6.7% G1F, 6.7% On-cell, 16.2% On-cell, 19.9% G1F, 18.5% G1, 0.1% G1, 0.7% In-cell, 14.7% In-cell, 18.5% GF2(Birdge), 1.0% GFF, 37.9% GFF, 41.3% GF2(Birdge), 1.0% GF1, 3.7% GF1, 8.6% 【タブレット端末用】 2014年 255百万枚 非ITO系, 2.0% GF1, 0.8% 2015年予測 288百万枚 非ITO系, 2.8% On-cell, 0.4% G2, 7.5% In-cell, 0.2% On-cell, 0.7% GF1, 5.6% G2, 15.7% GF2(DITO), 29.0% G1F, 25.1% G1F, 15.0% GF2(DITO), 29.6% GFF, 34.9% G1, 0.4% GFF, 29.9% G1, 0.7% 矢野経済研究所推計 注 5:メーカー出荷数量ベース 注 6:2014 年は実績、2015 年は予測値 注 7:四捨五入のため、図内の合計が一部異なる 注 8:On-Cell に、OCTA(On Cell Touch AMOLED)を含む Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
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