貯水槽劣化診断 貯水槽の維持管理 飲料水の安全確保の面で重要なこと

貯水槽劣化診断
■ 貯水槽の維持管理
飲料水の安全確保の面で重要なことのひと
つは、貯水槽の汚染防止です。汚水や有害物
質などが貯水槽に混入しないように、定期的
な点検が必要です。
■ 「劣化診断」の必要性
設備機器には、それぞれ寿命(耐用年数)
があり、適切な時期に必要とするメンテナンス
を行えば予想以上に長持ちするものです。反
面、これを怠ると劣化が加速度的に進行し、
早々に使いものにならなくなってしまいます。
修繕工事を実施するためには、どの部分が、
どの程度、どのように傷んでいるのかを調査
し、必要な修繕の内容と時期を定めることが
必要です。
修繕工事の準備段階で「劣化診断」を行う
ことにより、具体的にいつ、どこを、どのように
修繕すべきかが明らかになります。このため、
劣化診断の結果は、修繕工事の実施計画を
作成するための重要な資料となります。また、
客観的な修繕の必要性が明らかになることか
ら、理事会や専門委員会での検討の際だけで
なく、所有者の合意を得る上でも重要な資料
となります。
したがって、モノの持っている寿命を知り、
適切な時期に調査や診断を行い、必要とする
改修・修繕や更新等についての対応策を立て
ておくことが大切です。
老化、劣化等の状況を点検し、必要に応じて
被覆その他の補修等を行わなければなりませ
ん。また、定期的に貯水槽の水漏れ並びに外
壁の損傷、サビや腐食の有無、並びにマンホ
ールの密閉状態なども点検します。
劣化診断方法については、専門家による目
視や道具を用いてたたいたりして行います。ま
た、測定器具を用いたりする場合もあります。
■ 貯水槽の使用状況と問題点
1. 既設貯水槽の使用比率
FRP
→ 70%
コンクリート
→ 15%
ステンレス
→ 8%
鋼板+ナイロン → 5%
鋼板+エポキシ → 1%
木製
→ 0.01%
2. 周囲の環境が貯水槽に及ぼす影響
(1)紫外線・熱
①FRPの劣化、ナイロン、エポキシ、
塗膜の劣化
②金属部の腐食の促進
③藻の発生
(2)雨・雪
①加水分解によるFRPの劣化促進
②酸性雨による金属部、FRPの劣化
(3)風
①マンホールハッチの破壊
②天井部の破壊
■ 貯水槽の劣化診断
それぞれのマンションによって劣化の状況
が異なるため、耐用年数などを参考にしなが
ら実施時期が近づき、具体的な計画の内容を
検討する必要があります。
その際、実際にどの程度の劣化が進行して
いるのかを総合的に調査をし、それに基づい
て実施の時期や工事の内容について診断を
行うことになります。
貯水槽の診断基準としては、内面の破損、
(4)塩[海岸からの潮風]
①金属部の腐食
(5)木の葉
①天井部への堆積による汚水の浸
入
②植物の発根
(6)空気[道路・工場]
①汚染された空気の浸入
貯水槽劣化診断
■ 貯水槽の劣化状況について
劣化要因についてはいろいろ考えられま
すが、貯水槽の種類によっても異なります。貯
水槽本体の劣化診断では、経年劣化の程度
を見ることが重要となります。
(1)FRP水槽
現象
●本体板の劣化
●含水疲労、劣化
●内外部、補強部材
の腐食
●ボルトの腐食
●架台の腐食
●マンホールハッチ
の破損
●内外タラップ
●藻の発生
●地震による緩み、
たわみ
(2)コンクリート水槽
現象
●ヒビ割れ
●中性化
●マンホールハッチ
の腐食
●タラップの腐食
●コンクリート基礎の
傾き
(3)ステンレス水槽
現象
●気相部の腐食
●孔食
対策
①新たな更新
②部材の取替え
③全面リフレッシュ
④内外部のコーティ
ング
対策
①エポキシ塗装
②FRPライニング
③マンホールの取替
④防錆タラップへの
取替
対策
①塗装
②コーティング
③部分補修
(4)鋼板+ナイロンorエポキシ
現象
対策
●コーティング塗装の ①塗装
②コーティング
脱落
③部分補修
●ピンホール腐食
(4)木製水槽
現象
●腐敗による漏水
対策
①更新、取替え
貯水槽本体の劣化診断では、経年劣化の
程度をみることが重要となります。
特に、近年一般的となっているFRP製の場
合は、外部からの衝撃による亀裂・損傷や組
立接合部のシール材の劣化などのおそれが
ありますので、こまめな点検と早期の対応処
置が必要となります。
以 上