超新星背景ニュートリノ観測へ向けた開発、 C01実験活動状況 池田一得(ICRR) 関谷、中野、Pablo.F(UAM)、伊藤(東海) D班の皆様 2015年5月15日 新学術「地下実験」研究会 1 もくじ • 超新星背景ニュートリノ観測 • ”低バックグラウンド”ガドリニウム導入計画 • 進捗状況 • 今後の予定 2 超新星背景ニュートリノ (SRN) 超新星背景ニュートリノ(SRN)は、宇宙が始まって以来、発生し た超新星爆発によって放出されたニュートリノ(未発見)。 Neutrinos from past SNe NOW 1billion years ago Phys.Rev. D 79, 08013 (2009) 10 billion years ago Beginning of the universe Theoretical flux prediction : 0.3~1.5 /cm2/s (17.3MeV threshold) 3 超新星背景ニュートリノ観測現状 陽子による中性子捕獲 遅延同時計測 BG削減+ 低エネルギー閾値 陽電子信号のみ 4 改良点:Gd中性子捕獲γによるBG除去 信号事象の例 バックグラウンド事象の例 atm. νμ 陽子 中性子 decay invisible-μ (Che閾値以下 で観測されない) SRN νe 中性子 陽子 陽電子 電子 これらの事象は区別が付きにくい 5 改良点:Gd中性子捕獲γによるBG除去 信号事象の例 バックグラウンド事象の例 atm. νμ 陽子 中性子 decay invisible-μ (Che閾値以下 で観測されない) SRN νe 中性子 Gd 陽子 γ 陽電子 電子 8MeV ΔT ~20μs 発生点50cm以内で2事象が起こる Gdを溶かすことで、SRNν反応起源の中性子をタグし、 BGと区別することが可能。 6 GADZOOKS!計画 Beacom and Vagins PRL93,171101 (2004) (Gadolinium Antineutrino Detector Zealously Outperforming Old Kamiokande, Super!) • Large cross section for thermal neutron • Neutron captured Gd emits 3-4 g ray in total 8 MeV Capture on gadolinium [%] 100[%] 100 90 80 SK10年観測でのSRN スペクトル 0.2% Gd2(SO4)3 gives 90% neutron capture 80 70 Gd capture eff. 6060 50 4040 30 2020 10 00 00 0 0.002 0.02 0.02 0.2 0.2 Gadolinium sulfate concentration [%] Gadolinium sulfate concentration[%] SRN mode:PRD79,083013(2009) 7 実現に向けての主な課題 • ガドリニウム水の透過率をSKと同等にキープする • ガドリニウムが検出器に与える影響を調べる • SKの水漏れを止める • ガドリニウム中のバックグラウンドを減らす 8 SKにおけるGdの効果を検証する実験:EGADS (Evaluating Gadolinium’s Action on Detector Systems) • 水循環システム • EGADS用のシステムは順調 に稼働中。 • 水透過率への影響 • 現在目標の0.2%(硫酸Gd) (4月24日~) 安定するのを待っている ・レーリー散乱測定 • 検出器への影響 • PMTの応答をモニター • Gd中性子タグ方法確認 • Am/Be 中性子線源で確認 9 EGADS(w/ PMTs)で測定された透過率 ゼロサプレス 硫酸Gd0.1%(目標の半分)溶かした時点でまだSK水の透過率と同等の透過率。 10 現在は0.2%で、安定するのを待っている。 実現に向けての主な課題 • ガドリニウム水の透過率をSKと同等にキープする • ガドリニウムが検出器に与える影響を調べる • SKの水漏れを止める • ガドリニウム中のバックグラウンドを減らす 低バックグラウンドに関係するトピック 11 SKの水漏れ • 現在、0.2% Gd2(SO4)3 を溶かした場合、SK サイト出口でのGd濃 度は約数10ppb (Hgの排水基準:5ppb) 日付 斜坑の水を 抜いた場合 斜坑に水を満 たした場合 2003年7-9月 (SK再建前) 7.6 ton/day 2.7 ton/day 2006年7月 (SK再建直後) 3.3 ton/day 2007年4月 3.5 ton/day 2009年7月 2.2 ton/day 2013年8月 0.06 ton/day 2013年10月 2.0 ton/day 2013年11月 0.19 ton/day 2014年5-11月 ~0.20 ton/day 12 シーリング材の候補 マリーンシーラント マインガード 水族館の水槽にも使わ れているシール材。 坑内の壁に使われてい る。SNOの水槽壁にも使 われていた。 13 8つのサンプルの放射能を測定by 関谷 #0-4,#6,7 10cmx10cmx10 plates #5 3cmx6cm x 60 plates #0 Marine Sealant GX #1 Poly-urea Paint #2 Poly-urethane Paint #3 Poly-urethane Spray #4 Poly-urethane Spray w/o toner #6 Poly-urethane Spray w/o toner on SUS plate #5 Poly-urea Spray w/o toner #7 FRP (PMT case) 14 8つのサンプルの放射能を測定by 関谷 #0-4,#6,7 10cmx10cmx10 plates #5 3cmx6cm x 60 plates 920±6 mBq/m2 #0 Marine Sealant GX >1000 mBq/m2 #1 Poly-urea Paint >1000 mBq/m2 #2 Poly-urethane Paint #4 Poly-urethane Spray w/o toner #6 Poly-urethane Spray w/o toner on SUS plate 46.6±1.4 mBq/m2 #3 Poly-urethane Spray #5 Poly-urea Spray w/o toner #7 FRP (PMT case) 15 8つのサンプルの放射能を測定by 関谷 #0-4,#6,7 10cmx10cmx10 plates #5 3cmx6cm x 60 plates 920±6 mBq/m2 #0 Marine Sealant GX >1000 mBq/m2 #1 Poly-urea Paint >1000 mBq/m2 #2 Poly-urethane Paint 46.6±1.4 mBq/m2 #3 Poly-urethane Spray 4.0±0.5 mBq/m2 1.7±0.2 mBq/m2 #4 Poly-urethane Spray w/o toner #6 Poly-urethane Spray w/o toner on SUS plate 6.3±0.5 mBq/m2 #5 Poly-urea Spray w/o toner 1.1±0.2 mBq/m2 #7 FRP (PMT case) #6をSKに施工した場合 < PMT1万本ののガラス 強度試験、プライマーの選定、施工計画作成等は現在進行中、 平行してよりよいシール材模索中 16 低バックグラウンドガドリニウム • 硫酸ガドリニウムの放射性不純物 • なぜ低バックグラウンド? • C01での取り組み 17 Gd2(SO4)3の放射性不純物 • スペインのCanfrancで測定。 Chain 238U 232Th 235U Main sub-chain isotope Radioactive concentration (mBq/kg) 238U 50 226Ra 5 228Ra 10 228Th 100 235U 32 227Ac/ 227Th 300 この結果をもとに低エネルギー事象解析への影響を見積もる 18 by Pablo @ マドリード大学 超新星背景ニュートリノ 予想されるスペクトル • SRN事象 ~5 events/year/FV • prompt signal (e+): 10 - 20 MeV • delayed signal from neutron capture • 主な放射性不純物起源のBG γと中性子が出る 238Uの 自発核分裂 • 50 mBq/kg あると • 5·10-7 SF/decay • :SFs with Eg>10 MeV • 28% of SFs with only 1 neutron ~ 5.5 [ g(Eg>10.5 MeV) + 1n ] / year / FV g,bのaccidental coincidenceもあるけど、無視できる By Pablo @ マドリード大 Uを一桁以上落とす必要 19 太陽ニュートリノ 現在のBGレベル~200events/day/[email protected] 不純物からのb,gによるBG Th系列 Th系列 0.01 % 7.4 % U系列(226Ra) 0.5 % • • With solar cuts efficiencies 208Tl: 0.21% ,212Bi: < 2x10-4 % , decay intensities: (100x36%) mBq/kg 208Tl: 212Bi: • => ~3 x 10 5 events/day/ FV By Pablo @ マドリード大 (100x64%) mBq/kg 214Bi: 214Bi: 0.01 % 5 mBq/kg 20 ThとRaを3~4桁落とす必要 放射性不純物のインパクト 市販のGdのBGレベル 市販Gdの238U起源BG (55事象/10yr) 8MeV,6MeV, 4MeV,1987A SKにおける太陽ニュートリノ: 5MeV以下の低エネルギー領域は 放射性不純物によるバックラウンド。 238Uの自発核分裂238Uが 50mBq/kg(Gd)を1/100にした 場合 21 C01での取り組み • Gd水溶液中のラジウム除去樹脂の評価 • Gdが溶けているのでICP-MS等でRaの定量ができない • 222Rnの湧き出しを測定して226Raの量を見積もる • 純水中の“極低レベル”Rn濃度測定法はSKで 確率されている。 D班との協力 原理的に、Gd水溶液でも使えるはず(?)だが、 未知の領域。 22 カチオン(陽イオン)交換樹脂によ るRa除去 • Ra吸着樹脂というのは市販されている • Ex) DOWEX Radium Selective Complexer (RSC) Na型 • RaはGdと同じく陽イオンであるというのが問題で、 そのままではGdも取り除かれる Gd Ra • ベースイオンをGdに 交換した樹脂を作成し試験 • 作成した樹脂にGd水を通して、 Gd濃度が変わらないことは確認した。 Gd 樹脂 • Raは本当に取れるのか? 23 低バックグラウンドGd溶液 R&D Gd化合物溶液 1m3タンク 液ライン ガスライン D班との共同開発 脱気装置 Rn濃縮 装置 Rn検出器 試験する樹脂 気液混合装置 ここで測定したい放射性不純物:ラジウム ・ラジウム崩壊の娘核であるラドン(希ガス)を測定する。 (中野ポスター参照) ・Gd溶液と純空気を混合し、純空気に混ざったラドン濃 度を測定する。 24 現在の進捗状況@EGADS実験室 脱気装置 気液混合機 試験する樹脂 1㎥タンク 純水を使った試験測定・バックラウンド測定が進行中 ラドン計 25 脱気装置の試験結果 (樹脂試験の下準備) 脱気装置(膜脱気)を1パスで通さないときと、通したときの純水中のRn濃度を測定した。 試験する樹脂は通していない。 Rn検出器でのRn濃度(脱気無し) Rn検出器でのRn濃度(脱気有り) この結果から 見積もった 水中Ra濃度: この結果から 見積もった 水中Ra濃度: 29±2 Bq/m3 608±45 mBq/m3 Rn計に空気を封じ込めてからの経過時間[日] 脱気装置1パスで98%のRn除去率を確認した。 26 樹脂からのRn放出測定 Ra吸着評価とは直接関係はないが、樹脂からのRn放出量を測定した。 純水を樹脂ありで循環して、樹脂からのRn放出を見るために脱気をバイパス。 樹脂あり 脱気無し(3日後) 樹脂なし 脱気無し(5日後) 水中Rn濃度 127±6mBq/m3 水中Rn濃度 17±1mBq/m3 Rn計に空気を封じ込めてからの経過時間[日] 樹脂からのRnを放出を確認。 27 Ra除去評価手順(案) ガスライン 液ライン Gd化合物溶液 1m3タンク D班との共同開発 Gd水 脱気装置 Rn濃縮 装置 試験する樹脂 気液混合装置 Rn検出器 1.Gd水を樹脂を通しながらタンクに導入する。 2.Gd水作成時に混入したRnおよび樹脂からの Rnを除去するために、樹脂をバイパスして循環。 3.RaがRnに崩壊するのを待つために、タンクを放置。 4.Gd溶液中のラドン濃度を測定する。 同様の測定を、1で樹脂を通さないで行い、比較する。 28 Ra除去評価手順(案) ガスライン 液ライン Gd化合物溶液 1m3タンク D班との共同開発 Gd水 脱気装置 Rn濃縮 装置 試験する樹脂 気液混合装置 Rn検出器 1.Gd水を樹脂を通しながらタンクに導入する。 2.Gd水作成時に混入したRnおよび樹脂からの Rnを除去するために、樹脂をバイパスして循環。 3.RaがRnに崩壊するのを待つために、タンクを放置。 4.Gd溶液中のラドン濃度を測定する。 同様の測定を、1で樹脂を通さないで行い、比較する。 29 Ra除去評価手順(案) ガスライン 液ライン Gd化合物溶液 1m3タンク D班との共同開発 Gd水 脱気装置 Rn濃縮 装置 RaRn 試験する樹脂 気液混合装置 Rn検出器 1.Gd水を樹脂を通しながらタンクに導入する。 2.Gd水作成時に混入したRnおよび樹脂からの Rnを除去するために、樹脂をバイパスして循環。 3.RaがRnに崩壊するのを待つために、タンクを放置(10日)。 4.Gd溶液中のラドン濃度を測定する。 同様の測定を、1で樹脂を通さないで行い、比較する。 30 Ra除去評価手順(案) ガスライン 液ライン Gd化合物溶液 1m3タンク D班との共同開発 Gd水 脱気装置 Rn Rn濃縮 装置 Rn 試験する樹脂 気液混合装置 Rn検出器 1.Gd水を樹脂を通しながらタンクに導入する。 2.Gd水作成時に混入したRnおよび樹脂からの Rnを除去するために、樹脂をバイパスして循環。 3.RaがRnに崩壊するのを待つために、タンクを放置(10日)。 4.Gd溶液中のラドン濃度を測定する。 同様の測定を、1で樹脂を通さないで行い、比較する。 31 今後の予定 • まずは純水を使ってシステムの理解 • システムからのRn湧き出しの測定 • 樹脂評価の手順の練習 • Gd水溶液のRa測定 • 樹脂あり、なしのときのRa量の測定 • (必要なら)樹脂の改良 今年度中に結果を出す予定。 そのあと、GdをSKに導入する(SKの承認後) 32 まとめ • 超新星背景ニュートリノ観測 • 理論予想に迫る結果が出ているが、 現在のSKでの測定はBGが多い。 • “低バックグラウンド”ガドリニウム導入 • 低バック化は、SKで低エネルギー事象観測には最重 要課題の一つ • 水漏れシール材の低バックも重要! • まずはRa除去樹脂を評価するセットアップができた。 • 今後どんどん測定していく 33 U chain Th chain 34 Supernova rate problem Horiuchi et al., Ap.J., 738(2011 )154. 35
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