再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)における 木質バイオマス発電の動向 2015 年 8 月 株式会社FTカーボン 目 次 1. 概要 ....................................................................................................................................... 2 2. 再生可能エネルギー全般の動向............................................................................................ 3 3. 2.1. 認定容量(発電出力) ................................................................................................... 3 2.2. 件数と運転開始率 .......................................................................................................... 4 2.3. 再生可能エネルギーの買取量実績................................................................................. 5 2.4. 再生可能エネルギーの買取実績額................................................................................. 6 2.5. 再生可能エネルギーの買取単価実績 ............................................................................. 7 木質バイオマス発電所の動向 ............................................................................................... 8 3.1. 認定容量(発電出力) ................................................................................................... 8 3.2. 件数と運転開始率 ........................................................................................................ 11 3.3. 1 件あたりの発電出力.................................................................................................. 15 本レポートにおける記載は、弊社独自の分析であり、弊社の見解で記載しております。本レポ ートの記載内容を引用するなどして損害を被った場合でも、一切の責任は負いませんので、ご 了承ください。 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 1. 概要 2015 年 3 月時点の木質バイオマス発電(建設廃材除く)の FIT 制度の認定 済み件数は 98 件(前月比+3 件)(注)。認定容量は約 170 万 kW(前月比+5 万 kW)(注)。認定容量ベースの運転開始率は約 8%(前月比+2 ポイント)。 3 月は 2014 年度内の駆け込み申請があるため、件数、認定容量が大幅増加。 大型発電所が順次稼働し始めており、運転開始率は上昇傾向。 再生可能エネルギー全体の認定容量の伸びは鈍化し、再生可能エネルギー投 資のピークは過ぎたと考えられる。一方で、一般木材の区分の木質バイオマス 発電については、2030 年時点で現状の約 40 倍になると想定されており、今 後は輸入木質燃料の発電設備が増加していくと考えられる。 【2015 年 4 月に認定された木質バイオマス発電所】 3 件 ・神戸物産(北海道白糠町)6,250kW、未利用材 ・響灘火力発電所(IDI インフラストラクチャーズ)(福岡県北九州市) 33,600kW、一般木材・農産物残さ ・有明グリーンエネルギー(石崎商店)(熊本県荒尾市)6,250kW、一般木 材・農産物残さ 【2015 年 4 月に運転開始した木質バイオマス発電所】 3 件 ・真庭バイオマス発電(銘建工業)(岡山県真庭市)10,000kW、未利用材 ・宮崎森林発電所(くにうみアセットマネジメント)(宮崎県川南町)5,750kW、未利 用材 ・中国木材(宮崎県日向市)18,000kW、一般木材・農産物残さ (注)本資料で対象とする木質バイオマス発電所は、FIT 制度において「間伐 材等由来」あるいは「一般木質・農産物残さ」の区分で申請している発電所 としている。ただし、液体農産物残さ系の燃料と判別可能な発電所(3 件、 発電出力合計約 4 万 kW)は除いており、政府公表データと一致しない。そ の他、「一般木質・農産物残さ」の区分には、農産物残さ系を燃料とする可 能性がある未稼働発電所が 18 件、発電出力 73 万 kW あるが、現時点では 判別不可能なため、本資料が対象とする木質バイオマス発電所に含めている。 また、「建設資材廃棄物」区分で申請している発電所は、本資料では対象 としていない。 2 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2. 再生可能エネルギー全般の動向 2.1. 認定容量(発電出力) 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、FIT 制度という。 )による 認定容量は約 8,800MW。 認定容量の再生可能エネルギーの内訳は、太陽光発電が大半(約 94%)を 占めており、木質バイオマス発電(建築廃材除く)は約 2%と極めて小さいが、 風力発電に次ぐ認定容量がある。 バイオマス 未利用木材 2,000kW以上, 0% 再生可能エネルギーの内訳 (認定容量ベース) バイオマス 一般木材, 2% バイオマス 未利用木材 2,000kW未満, 0% 風力, 3% 太陽光 10kW未満, 4% 太陽光 10kW以上, 90% (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 1 再生可能エネルギーの内訳(認定容量) 3 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2.2. 件数と運転開始率 認定件数は約 170 万件。大半は太陽光で、木質バイオマス(建築廃材除く) は 98 件(前月比+3 件)。 再生可能エネルギー全体の運転開始率は 61%(前月比+2 ポイント)。ただ し、風力、水力、地熱、木質バイオマス(未利用木材及び一般木材)の運転開 始率は 10%~30%と低い。 木質バイオマス発電所(未利用木材及び一般木材)の運転開始率は、産業用 太陽光(10kW 以上)を下回る約 20%と低水準。木質バイオマス発電所は燃 料確保等で時間を要するためと考えられる。 運転開始率(件数ベース) 90% 80% 70% 全体平均 61% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 未利用木 未利用木 一般木材 建築廃材 他バイオ 材 材 マス 2,000kW 2,000kW 未満 以上 10kW未 10kW以 満 上 太陽光 風力 水力 地熱 バイオマス (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 2 再生可能エネルギーの種類別の運転開始率(件数ベース) 4 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2.3. 再生可能エネルギーの買取量実績 FIT 制度の買取価格(調達価格)を適用して買い取った電力は 557 億 kWh (前月比+34 億 kWh)。この数値には、FIT 制度開始前に設備を稼働し、RPS 法の対象設備から FIT 制度の対象設備に移行した発電所等からの電力買取量 も含む。 太陽光が 58%と大きいが、風力が 23%、バイオマスが 13%と、その他の 再生可能エネルギーも一定の割合がある。FIT 制度以前は現在のような太陽光 偏重の傾向がなかったこと、太陽光は設備稼働率が低く発電量が少ないこと等 から、太陽光以外の再生可能エネルギーによる発電量は半数近くある。 買取電力量(実績) 地熱, 0% 水力, 4% バイオマス, 13% 太陽光 10kW未満, 24% 風力, 23% 太陽光 10kW以上, 35% (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) (注)FIT 制度開始前の稼働設備(移行設備)を含む。 図 3 再生可能エネルギーの内訳(買取電力量(実績ベース)) 5 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2.4. 再生可能エネルギーの買取実績額 再生可能エネルギーの買取実績額は毎月約 7%の伸びで増加しており、2014 年度の買取実績額は 2013 年度の約 3 倍。 (億円) 再生可能エネルギー買取実績額(累積) 20,000 2015年度買取額 18,000 2014年度買取額 2013年度買取額 16,000 2012年度買取額 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2013年3月2014年3月2015年3月2015年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 4 再生可能エネルギー買取実績額(累積)の推移 6 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2.5. 再生可能エネルギーの買取単価実績 FIT 制度の買取価格を適用して買い取った電力の平均単価は約 34 円/kWh。 この数値には、FIT 制度開始前に設備を稼働し、RPS 法の対象設備から FIT 制度の対象設備に移行した発電所等からの電力買取量も含む。 太陽光の買取量が半数程度のため、買取単価は比較的高い水準である。バイ オマスは 20 円/kWh と低い水準のため、廃棄物や建設廃材を燃料とする発電 所からの買取が多いこと(FIT 制度以前の木質バイオマス発電所は建設廃材を 燃料とする発電所が多いこと)がわかる。 買取単価(実績) (円/kWh) 50 45 40 再エネ平均単価 34円/kWh 35 30 25 20 15 10 5 0 10kW未満 10kW以上 太陽光 風力 水力 地熱 バイオマス (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) (注)FIT 制度開始前の稼働設備(移行設備)を含む。 図 5 再生可能エネルギーの種類別の買取単価(実績ベース) 7 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 3. 木質バイオマス発電所の動向 3.1. 認定容量(発電出力) ①認定容量 約 170 万 kW(うち未利用材が約 37 万 kW(前月比+1 万 kW)、一般木 材が約 133 万 kW(前月比+5 万 kW)。 ②導入済み容量 約 14 万 kW(うち未利用材が約 9 万 kW(前月比+2 万 kW)、一般木材 が約 5 万 kW(前月比+2 万 kW))。 ③運転開始率(認定容量ベース) 約 8%(前月比+2 ポイント)。 ④最近の傾向 2014 年度の認定容量は約 80 万 kW。2013 年度末に比べて 2 倍に増加。 大型発電所が順次稼働し始め、運転開始率は上昇傾向。 (万kW) 認定容量の推移 180 160 140 一般木材 120 未利用材2,000kW以上 未利用材2,000kW未満 100 80 60 40 20 0 2014年4月 2015年3月 2015年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) (注1)バイオマスの容量は、バイオマス比率相当分の出力 (注2)バイオマス比率相当分の出力データが 2014 年 4 月から公表されたた め、2014 年 4 月からの推移としている。 図 6 木質バイオマス発電所の推移(認定容量) 8 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. (容量:万kW) 導入済み容量、運転開始率の推移 20 (運転開始率:%) 10% 18 一般木材 9% 16 未利用材2,000kW以上 8% 14 未利用材2,000kW未満 7% 12 運転開始率 (容量ベース) 6% 10 5% 8 4% 6 3% 4 2% 2 1% 0 0% (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) (注1)バイオマスの容量は、バイオマス比率相当分の出力 (注2)バイオマス比率相当分の出力データは、2014 年 4 月から公表された ため、2014 年 4 月からの推移としている。 図 7 木質バイオマス発電所の推移(導入済み容量) 9 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. ⑤地域別認定容量 関東甲信越及び九州の認定容量が大きい。 ただし、関東甲信越の認定容量には、農産物残渣系木質バイオマスの認定 容量を含む可能性がある。 (万kW) 地域別認定容量 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 北海道 東北 関東甲信越 中部 北陸 近畿 中国 四国 九州 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 8 木質バイオマス発電所の地域別認定容量 10 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 3.2. 件数と運転開始率 ①認定件数 98 件(うち未利用材が 51 件(前月比+1 件)、一般木材が 47 件(前月比 +2 件))。 ②導入済み件数 22 件(うち未利用材が 15 件(前月比+2 件)、一般木材が 7 件(前月比 +1 件))。 ③運転開始率(認定件数ベース) 約 22%(前月比+3 ポイント) 。 ④最近の傾向 2014 年度の認定件数は 41 件。2013 年度末に比べて 2 倍弱に増加。 大型発電所が順次稼働し始め、運転開始率は上昇傾向。 認定件数の推移 (件) 120 一般木材 未利用材2,000kW以上 未利用材2,000kW未満 100 80 60 40 20 0 2013年3月2014年3月2015年3月2015年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 9 木質バイオマス発電所の推移(認定件数) 11 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. (導入済み件数:件) 導入済み件数、運転開始率 (運転開始率:%) 40 25% 一般木材 35 未利用材2,000kW以上 20% 30 未利用材2,000kW未満 25 運転開始率 (件数ベース) 15% 20 10% 15 10 5% 5 0 0% (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 10 木質バイオマス発電所の推移(導入済み件数、運転開始率) 12 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. ⑤発電出力の規模別件数 5,000kW 以上(石炭等混焼含む)が 85 件と全体の 80%を超える。 発電規模別件数 (件) 60 60 50 40 30 25 20 10 6 6 1 0 0~999 1,000~2,499 2,500~4,999 5,000以上 (木質専焼) 石炭等混焼 発電規模(KW) (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 11 木質バイオマス発電所の発電出力の規模別件数 13 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. ⑥地域別件数 東北、関東甲信越、九州が多い。 ただし、関東甲信越には、廃棄物系木質バイオマスの認定容量を含む可能 性がある。 地域別認定件数 (件) 25 20 15 10 5 0 北海道 東北 関東甲信越 中部 北陸 近畿 中国 四国 九州 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 12 木質バイオマス発電所の地域別件数 14 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 3.3. 1 件あたりの発電出力 木質バイオマス発電所(建築廃材除く)の 1 件あたりの認定容量は、認定 済みベースで約 18,000kW、導入済みベースで、約 6,000kW。 認定済み案件及び導入済み案件の 1 件あたりの認定容量は増加傾向。 1件あたりの認定容量 (kW/件) 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 認定済み案件 8,000 導入済み案件 6,000 4,000 2,000 0 2014年4月2015年3月2015年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 4 月時点) 図 13 木質バイオマス発電所の推移(1 件あたりの認定容量) 以上 15 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved.
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