再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)における 木質バイオマス発電の動向 2015 年 12 月 株式会社FTカーボン 目 次 1. 概要 ....................................................................................................................................... 2 2. 再生可能エネルギー全般の動向............................................................................................ 3 3. 2.1. 認定容量(発電出力) ................................................................................................... 3 2.2. 件数と運転開始率 .......................................................................................................... 4 2.3. 再生可能エネルギーの買取量実績................................................................................. 5 2.4. 再生可能エネルギーの買取実績額................................................................................. 6 2.5. 再生可能エネルギーの買取単価実績 ............................................................................. 7 木質バイオマス発電所の動向 ............................................................................................... 8 3.1. 認定容量(発電出力) ................................................................................................... 8 3.2. 件数と運転開始率 ........................................................................................................ 11 3.3. 1 件あたりの発電出力.................................................................................................. 15 本レポートにおける記載は、弊社独自の分析であり、弊社の見解で記載しております。本レポ ートの記載内容を引用するなどして損害を被った場合でも、一切の責任は負いませんので、ご 了承ください。 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 1. 概要 2015 年 7 月時点の FIT 制度における木質バイオマス発電の認定済み件数は 87 件(前月比±0 件、事業者名未把握発電所等 31 件除く)(注)。 認定容量は約 106 万 kW(前月比+±0 万 kW、事業者名未把握発電所等 114 万 kW 除く)(注)。 認定容量ベースの運転開始率は約 18%(前月比±0 ポイント)。 2015 年度は、大型発電所が順次稼働し、運転開始率は上昇傾向。 【2015 年 8 月に認定された木質バイオマス発電所】 2 件 ・詳細不明(茨城県行方市)26,772kW、一般木材・農産物残さ ・詳細不明(愛知県蒲郡市)5,800kW、一般木材・農産物残さ 【2015 年 8 月に運転開始した木質バイオマス発電所】 0件 (注)11 月号より、「3.木質バイオマス発電所の動向」で対象とする木質バ イオマス発電所の範囲を以下のとおり変更しました。 【対象とする発電所】 ・ 「間伐材等由来未利用材(40 円/kWh、32 円/kWh)」の全ての発電所 ・「一般木質・農産物残さ」(24 円/kWh)のうち、事業者名及び燃料が 固形木質燃料であることが判明している発電所 【対象としない発電所】 ・「一般木質・農産物残さ」(24 円/kWh)のうち、パーム油など液体系 農産物残渣が燃料であることが判明している発電所(3 件) ・「一般木質・農産物残さ」(24 円/kWh)のうち、事業者名あるいは燃 料が不明な発電所(28 件) ・「建設廃棄物」(13 円/kWh) ※「一般木質・農産物残さ」の区分の合計 31 件、114 万 kW は対象外 2 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2. 再生可能エネルギー全般の動向 2.1. 認定容量(発電出力) 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、FIT 制度という。 )による 認定容量は約 8,800MW。 認定容量の再生可能エネルギーの内訳は、太陽光発電が大半(約 94%)を 占めているが、徐々にその割合は小さくなっている。木質バイオマス発電は約 3%と極めて小さいが、風力発電に次ぐ認定容量がある。 バイオマス 未利用材 2,000kW以上, 0% 再生可能エネルギーの内訳 (認定容量ベース) バイオマス 一般木材 農産物残渣, 2% バイオマス 未利用材 2,000kW未満, 0% 太陽光 10kW未満, 5% 風力, 3% 太陽光 10kW以上, 89% (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 図 1 再生可能エネルギーの内訳(認定容量) 3 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2.2. 件数と運転開始率 認定件数は約 175 万件。大半は太陽光で、木質バイオマス系の「間伐材等 由来未利用材」「一般木質・農産物残さ」の区分は 118 件(前月比+2 件)。 再生可能エネルギー全体の運転開始率は 64%(前月比+1 ポイント)。ただ し、家庭用太陽光(10kW 未満)を除く再生可能エネルギー発電の運転開始率 は 50%以下。 木質バイオマス系の「間伐材等由来未利用材」「一般木質・農産物残さ」の 区分の運転開始率は、産業用太陽光(10kW 以上)を下回る約 25%と低水準。 木質バイオマス発電所は工事開始から稼働まで 2 年程度かかることが要因。 運転開始率(件数ベース) 90% 80% 70% 再エネ全体平均 63% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 未利用材 未利用材 一般木材 建設廃材 他バイオ 2,000kW 2,000kW 農産物残 マス 未満 以上 渣 10kW未 10kW以 満 上 太陽光 図 2 風力 水力 地熱 バイオマス (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 再生可能エネルギーの種類別の運転開始率(件数ベース) 4 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2.3. 再生可能エネルギーの買取量実績 FIT 制度の買取価格(調達価格)を適用して買い取った電力は約 707 億 kWh (前月比+39 億 kWh)。この数値には、FIT 制度開始前に設備を稼働し、RPS 法の対象設備から FIT 制度の対象設備に移行した発電所等からの電力買取量 も含む。 太陽光が 63%と徐々に割合を増やしているが、風力が 20%、バイオマスが 13%などその他の再生可能エネルギーも一定の割合がある。FIT 制度以前に は、現在のような太陽光偏重の傾向がなかったこと、太陽光は設備稼働率が低 く発電量が少ないこと等から、太陽光以外の再生可能エネルギーによる発電量 も多い。 買取電力量(実績) 地熱, 0% 水力, 4% バイオマス, 13% 太陽光 10kW未満, 23% 風力, 20% 太陽光 10kW以上, 40% (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) (注)FIT 制度開始前の稼働設備(移行設備)を含む。 図 3 再生可能エネルギーの内訳(買取電力量(実績ベース)) 5 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2.4. 再生可能エネルギーの買取実績額 再生可能エネルギーの買取実績額は毎月約 6%の伸びで増加。 2014 年度の買取実績額は 2013 年度の約 3 倍。 (買取額:億円) 再生可能エネルギー買取実績額(累積) 30,000 (賦課金:円/kWh) 2.5 2015年度買取額 2014年度買取額 25,000 2013年度買取額 2012年度買取額 2 再エネ賦課金 20,000 1.5 15,000 1 10,000 0.5 5,000 0 0 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 図 4 再生可能エネルギー買取実績額(累積)の推移 6 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2.5. 再生可能エネルギーの買取単価実績 FIT 制度の買取価格を適用して買い取った電力の平均単価は約 34.6 円/ kWh(前月比+0.2 円/kWh)。太陽光発電の買取額の増加によって、徐々に上 昇。この数値には、FIT 制度開始前に設備を稼働し、RPS 法の対象設備から FIT 制度の対象設備に移行した発電所等からの電力買取量も含む。 太陽光の買取量が半数以上あるため、買取単価は比較的高い水準である。バ イオマスは、現時点では、FIT 制度以前の廃棄物や建設廃材を燃料とする発電 所からの買取量が多いため、約 20 円/kWh と低い水準である。 買取単価(実績) (円/kWh) 50 45 40 再エネ平均単価 35円/kWh 35 30 25 20 15 10 5 0 10kW未満 10kW以上 太陽光 風力 水力 地熱 バイオマス (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) (注)FIT 制度開始前の稼働設備(移行設備)を含む。 図 5 再生可能エネルギーの種類別の買取単価(実績ベース) 7 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 3. 木質バイオマス発電所の動向 【対象発電所】・ 「間伐材等由来未利用材(40 円/kWh、32 円/kWh)」の全ての発電所 ・「一般木質・農産物残さ」(24 円/kWh)のうち、事業者名及び燃料が固形木質燃料と判明している発電所 3.1. 認定容量(発電出力) ①認定容量 約 106 万 kW(うち未利用材が約 38 万 kW(前月比±0 万 kW)、一般木材 が約 68 万 kW(前月比±0 万 kW)。 ②導入済み容量 約 19 万 kW(うち未利用材が約 13 万 kW(前月比±0 万 kW)、一般木材が 約 6 万 kW(前月比±0 万 kW))。 ③運転開始率(認定容量ベース) 約 18%(前月比±0 ポイント)。 ④最近の傾向 2014 年度の認定容量は約 80 万 kW。2013 年度末に比べて 2 倍に増加。 大型発電所が順次稼働し、運転開始率は上昇傾向。 (万kW) 認定容量の推移 120 一般木材 100 未利用材2,000kW以上 未利用材2,000kW未満 80 60 40 20 0 2014年4月 2015年3月 2015年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) (注)バイオマスの容量は、バイオマス比率相当分の出力 図 6 木質バイオマス発電所の推移(認定容量) 8 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. (容量:万kW) 導入済み容量、運転開始率の推移 (運転開始率:%) 20 20% 一般木材 18 18% 未利用材2,000kW以上 16 未利用材2,000kW未満 14 運転開始率 (容量ベース) 12 16% 14% 12% 10 10% 8 8% 6 6% 4 4% 2 2% 0 0% (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) (注)バイオマスの容量は、バイオマス比率相当分の出力 図 7 木質バイオマス発電所の推移(導入済み容量) 9 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. ⑤地域別認定容量 九州の認定容量が大きい。 (万kW) 地域別認定容量 30 25 20 15 10 5 0 北海道 東北 関東甲信越 中部 北陸 近畿 中国 四国 九州 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 図 8 木質バイオマス発電所の地域別認定容量 10 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 3.2. 件数と運転開始率 ①認定件数 87 件(うち未利用材が 55 件(前月比±0 件)、一般木材が 32 件(前月比± 0 件))。 ②導入済み件数 29 件(うち未利用材が 20 件(前月比±0 件)、一般木材が 9 件(前月比±0 件))。 ③運転開始率(認定件数ベース) 約 33%(前月比±0 ポイント) 。 ④最近の傾向 2014 年度の認定件数は 41 件。2013 年度末に比べて 2 倍弱に増加。 大型発電所が順次稼働し、運転開始率は上昇傾向。 認定件数の推移 (件) 100 一般木材 90 未利用材2,000kW以上 未利用材2,000kW未満 80 70 60 50 40 30 20 10 0 2013年3月2014年3月2015年3月2015年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 図 9 木質バイオマス発電所の推移(認定件数) 11 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. (導入済み件数:件) 導入済み件数、運転開始率 (運転開始率:%) 40 40% 一般木材 35 未利用材2,000kW以上 35% 30 未利用材2,000kW未満 30% 25 運転開始率 (件数ベース) 25% 20 20% 15 15% 10 10% 5 5% 0 0% (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 図 10 木質バイオマス発電所の推移(導入済み件数、運転開始率) 12 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. ⑤発電出力の規模別件数 5,000kW 以上(石炭等混焼含む)が 72 件と全体の 80%を超える。 発電規模別件数 (件) 60 54 50 40 30 18 20 10 7 3 5 0 0~999 1,000~1,999 2,000~4,999 5,000以上 (木質専焼) 石炭等混焼 発電規模(KW) (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 図 11 木質バイオマス発電所の発電出力の規模別件数 13 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. ⑥地域別件数 東北、関東甲信越、九州が多い。 地域別認定件数 (件) 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 北海道 東北 関東甲信越 中部 北陸 近畿 中国 四国 九州 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 図 12 木質バイオマス発電所の地域別件数 14 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 3.3. 1 件あたりの発電出力 木質バイオマス発電所の 1 件あたりの認定容量は、認定済み発電所で約 12,000kW、導入済み発電所で約 6,000kW。 導入済み発電所の 1 件あたりの認定容量は増加傾向。 今後稼働する木質バイオマス発電所は 10,000kW 以上の大型案件が多い。 1件あたりの認定容量 (kW/件) 16,000 認定済み案件 14,000 導入済み案件 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2014年4月2015年3月2015年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 (出典)経済産業省公表資料(2015 年 8 月時点) 図 13 1 件あたりの認定容量の推移 以上 15 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved.
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