【解答への手引き(テーマ説明文)】 今回は、特許法改革についての記事

【解答への手引き(テーマ説明文)
】
今回は、特許法改革についての記事です。2014 年 10 月に青色 LED の研究に関し
て3名がノーベル物理学賞を受賞したことが大きく取り上げられました。そのうちの
1名、中村修二氏は青色 LED の特許に関して当時の勤務先である日亜化学と裁判で
争ったことでも有名です。この裁判自体は 2005 年に日亜化学が中村氏に 8 億 4000
万円の支払いをすることで和解が成立しましたが、この事件を契機に発明の報酬を巡
って技術者が企業を訴訟する事件が増加しました。このような背景から政府は特許法
改革に乗り出しており、企業と技術者の利害関係が法案の是非を問う争点となってい
ます。政府の改革案の内容、それに対する関係者それぞれの反応に着目して読み進め
ましょう。
【解答】
A
問1
問2
(a) イ (b) オ (c) エ
(d) カ
同時に、企業は発明した社員に報酬や昇格などの報奨を出す社内ルールを設け
ることを義務づけられ、社員の発明意欲を損なわないようにする。
問3
ア
問4
ア
問5
イ,エ
B
(a) ウ
(b) イ
(c)
ア
(d) エ
【設問解説】
問1
適語補充問題。熟語の知識を問う問題です。
(a) 正解はイ at。aim はしばしば受身形で be aimed at[for] ~「~を狙いとする」
という意味になります。また、aim to do「~することを目指す」という形もあ
ります。
(b) 正解はオ to。entitle ~ to …「~に…の権利を与える」という意味になりま
す。
(c) 正解はエ on。spend ~ on …「~(時間、費用など)を…に費やす」という
意味になります。
(d) 正解はカ with。satisfy はしばしば受身形で be satisfied with ~「~に満足
している」という意味になります。また、be satisfied to do[that]「~すること
に[ということに]満足している」という形もあります。
問2
下線部和訳問題。語彙の知識と構文解釈力を問う問題です。
文の構造は次のようになります。
At the same time,/ companies will be obliged {to make <internal rules on
S
V
remuneration,> (including financial rewards and promotions,)
(for employees
who invent things)
}/so they will not lose their motivation.
s
v
o
companies が S、will be obliged が V の第2文型です。
(including ~ promotions)
は直前の remuneration「報奨」を説明する挿入句、(for employees who~)も同
じく remuneration にかかります。who からの関係詞節は things までで直前の
employees にかかっています。so 以下は so that 構文の that が省略された形で、
主節の内容の目的(
「~するために」)を表す副詞節です。
語彙では be obliged to ~「~を義務付けられる」、internal「内部の」、financial
rewards「
(金銭的)報酬」
、promotions「昇進」、motivation「意欲」などがポイ
ントです。
まとめると、
「同時に、企業は発明した社員に報酬や昇格などの報奨を出す社内
ルールを設けることを義務づけられ、社員の発明意欲を損なわないようにする。」
となります。
問3
適語補充問題。文脈の理解と語法の知識を問う問題です。
(A)
文脈理解を問う問題です。前文の内容「特許を取得した社員に数万円の報酬
を支払う制度」と、空所を含む文の内容「発明者に追加の報酬を支払うことが
ある」の関係を考えると、Moreover「その上」が適切だと分かります。
(B)
語法の知識を問う問題です。Moreover と Besides はともに副詞として「その
上」という意味を表しますが、Besides にのみ前置詞として「~に加えて」とい
う意味を表す用法があります。空所直後に money という名詞があり、副詞の
Moreover ではこれを修飾できないので、前置詞の Besides が適切です。
問4
内容説明問題。文章の内容理解を問う問題です。
下線部(2)similar systems の内容を説明する問題です。この3段落前から述べら
れている日立製作所の制度を説明する内容を選べばよいと分かります。
各選択肢の文章の前半は特許権の帰属先について書かれています。3つ前の段落
の内容を見ると日立製作所などの企業は社員の発明を企業のものにしていること
が分かります。よって正解はアかイのどちらかに絞られます。
後半は報酬の与え方についてです。2つ前と直前の段落の内容を見ると、日立製
作所では特許を取得した社員に報酬を与え、さらにその特許を利用した製品が大き
な利益をもたらした場合にはその売上高に応じて追加の報酬を与えることが分か
ります。よって正解はアとなります。
問5
内容一致問題。文章全体の内容理解を問う問題です。
ア「現行の法律では、企業が社員の発明の特許権を取得することになっている」
不一致。第4段落に「現行の法律では社員に発明品の特許を手に入れる権利があ
る」とあります。
イ「特許法改革により不透明な報奨制度がもたらされるとの懸念もある」
一致。最後から2番目の段落に金銭だけでなく昇進などが報奨として与えられる
ことで制度が opaque「不透明」になるという懸念が述べられています。
ウ「特許法改革により、政府は社員に発明の特許を取得しやすくしようとしている」
不一致。第5段落第1文に特許法改革は特許権を始めから企業に与えるものとす
るものだと述べられています。
エ「特許庁は小規模の企業のために特許法の改革案に例外を認める予定だ」
一致。第7段落に改革案は中小企業にとって過大な負担となるという意見を考慮
して従来通り発明者に特許を与えることを認めるとあります。
オ「製薬業界の研究者は特許法改正によって多くの恩恵は受けられないであろう」
不一致。第9~第10段落に製薬業界の事情についての記述があり、特許法改正
案がチームでの研究のモチベーション向上に資するだろうと述べられています。
B 段落整序問題
論理展開の把握能力を問う問題です。このような段落整序問題では指示語に着目す
ると解答が容易になることがあります。
まず、イの冒頭の This amendment「この修正」から何かを修正したという内容を
探すと、これに適合するのはウの2004年の特許法改正しかないので、ウ→イが決
まります。
また、エの In either case, 「どちらのケースでも」から2つのケースが示されて
いる内容を探すとアの米独と英仏のケースを指していると判断できます。よってア→
エも決定できます。
さらに、空白(b)と(c)の間に挟まれている The employee が指すものはイの後半にあ
るソニーで家庭用ゲーム機を開発した社員だと分かれば、ウ→イが(a),(b)、ア→エが
(c),(d)に入ると判断できます。したがって、(a)ウ,(b)イ,(c)ア,(d)エが正解になりま
す。