ヨーク大学での留学生活を終えて なかじまひろかず 社会学部 4 年 中島寛和 派遣先:ヨーク大学(カナダ) 2014 年 9 月から 12 月までの 1 学期間、カナダのヨーク大学に留学させて頂きました中島 寛和と申します。本稿では、私が留学中に得ることができた貴重な体験について報告させ て頂きます。 授業について ヨーク大学では Liberal Arts and Professional Studies という学部に所属し、3 つの科目 を履修しました。1 科目 180 分で、どの科目も 10 人前後の少人数で行われたため、授業内 で発言を求められることも多く大変でしたが、その分クラスメイトとの絆が深まり、留学 生はもちろん授業を通して多くの現地のネイティブの友人を作ることができました。 1 つ目は English in Performance: Dramatic Arts という科目で、英語で演劇を行い、台 本作りや演技を通して英語の表現力や発音などの向上を目指すというものです。この授業 では、グループワークを基本として台本作りや演劇の練習を行うのですが、各学生のグル ープワークへのモチベーションや取り組み姿勢の違いに悩まされ、多国籍の集団における 共同作業の難しさを経験しました。こうした状況において、自分にできることを確実にこ なし、周囲の信頼を得ることによって少しずつプロジェクトを進めていくことができたの は大きな自信になりました。 2 つ目は、Research for Professional Writers という科目で、学術的な調査やプレゼンテ ーションの方法、文章の書き方などを学びつつ、最終的に 20 分間のオリジナルの podcast を作成するというものです。私は明治維新をテーマにした podcast を作成しました。ネイ ティブスピーカー向けのものを作る必要があるため、原稿作成時は自分の表現力の乏しさ に、音声の録音時は発音や会話スピードの点で非常に苦労しましたが、その分 podcast が 完成した時は大きな達成感を得ることができました。 3 つ目は、Japanese Business Culture and Communication という科目で、コミュニケ ーション方法やビジネスカルチャーに関して北米と日本を比較するというものです。少人 数のクラスで私以外の全員がネイティブの学生という環境であったため、日本に関する質 問が私に飛んでくることも多く、授業開始当初は毎回緊張していました。しかし、ただで さえ 1 学期間という短い留学なのだから消極的になっている暇はないという気持ちから、 間違いを恐れずに議論にできる限り参加するようにし、また同時に多くのプレゼンテーシ ョンをこなしたことによって、最終的には英語を話すことにあまり抵抗を感じなくなった という点で少し成長することができたと思います。 生活について キャンパス内のアパートに住み、食事は学内の食堂でとるか、時間がある時は自炊して いました。基本的に平日は毎日授業の予習復習に追われることが多かったので、週末はな るべく時間を作り、友人とダウンタウンを観光したり、大学が紹介するツアーに参加した りしました。旅行では、ナイアガラの滝でのボートクルーズやアルゴンキン州立公園での 紅葉観賞など、カナダならではの雄大な自然を楽しみ、またモントリオールやケベックと いったフランス語圏に行くことで、英仏の二つの文化が根付くカナダ独特の雰囲気を感じ ることができました。 また、ヨーク大学には ESL Open Learning Centre と呼ばれる施設があり、留学生向け の英語学習サポートが充実していたため、平日の授業後はこれを積極的に利用していまし た。マンツーマンのチュートリアルや、様々なテーマについて数人でディスカッションを 行うグループセッションに参加することができ、英語力の向上にはもちろん、そこで多く の友人と知り合い交流の輪が広がっていったという点で、ESL Centre は私の留学生活にお いて欠かすことのできない場所でした。 他にも、週に一度留学生の交流サークルにも顔を出しました。このサークルのイベント の一環で、複数の大学の留学生が集うクリスマスキャンプに参加し、スポーツやインドア アクティビティを通して他大学の留学生とも絆を深めることができました。 留学して感じたこと 自分が日本人であることをこれほど自覚させられたことはないというほど、留学中は常 に日本人としての看板を背負っていることを意識して生活することになりました。日本製 品への信頼や、漫画・アニメといったポップカルチャーの人気が関係していると考えられ ますが、日本人は周囲から比較的良いイメージを持たれていると感じることは多かったで す。トロントには日本人が少ないという環境要因もあるかもしれませんが、新しい友人と 出会うたびに、私に対して知っている日本語で必死に話しかけようとしてくれたり、 「○○ という漫画を知っているよ」などという声をかけたりしてくれるなど、日本人であること がプラスに働く場面が幾度もありました。一方で、アジア諸国との領土問題や、福島の原 発事故問題などを理由に、日本政府に対してマイナスイメージを持っているという友人が いたことも事実です。こうした様々な場面に遭遇するたびに、先人が築き上げてきた日本 への信頼性の高さ、そして同時に日本が現在抱えている問題の両者を強く意識させられ、 全体として日本という国を客観的にとらえる機会を得ることができたことは非常に良かっ たです。来年度からは社会人になりますが、留学を通して得たこうした客観的な視点を常 に大事にしながら、これからの日本や世界に少しでも貢献できるように努力していきたい と思います。 最後に 1 学期間という短い間でしたが、今回のカナダ留学では今後の私の人生に大きく影響を与 えるようなたくさんの貴重な経験を積むことができました。これも本留学制度を支援して 下さっております如水会の皆様、明治産業株式会社及び明産株式会社の皆様のおかげであ り、大変感謝しております。厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。 ESL Centre のグループセッション ナイアガラの滝 クリスマスキャンプ
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