エキゾチック・野生動物学スライド

野生動物・エキゾチックアニマル
ハムスター・そのほかのげっ歯目
ハムスタ
そのほかのげっ歯目
診療に遭遇したら?
授業の前に
• エキゾチックへの向き合い方
キゾ
向き合 方
• 国家試験との関連性
• 学術・研究側からの観点
学術 研究側からの観点
どう向き合うか?
• 専門で見ている方にはかないません
専
る方
な ま
– 実際の診療の現場で、とにかく触らないことには
机上の空論にすぎないこともあります
• 飼い主は誰よりも調べた「つもり」で来ます
– いろいろ口を挟みたくなる
– しっかり聞いてあげることから
– 穴をしっかり診つけて塞いであげること
• 無理をしない
– 思った以上に簡単に死にます
思 た以上に簡単に死にます
国家試験の項目
• すべて実験動物として扱われている
す
実験動物
扱われ
る
– エキゾチックという項目はない
キゾチック
う項目はな
• 項目が挙がっているげっ歯類
– マウス・ラット
マウス ラ ト
– シリアンハムスター
– チャイニーズハムスター
– スナネズミ
– モルモット
マウスに関する記述として
正しいものはどれか
•
•
•
•
•
染色体数は2N=44である
染色体数
ある
妊娠期間は15 17日である
妊娠期間は15~17日である
ビタミンCは必須栄養素である
成体重はおよそ20~40 gである
虫垂がない
マウスに関する記述として
正しいものはどれか
•
•
•
•
•
染色体数は2N=44である
染色体数
ある
妊娠期間は15 17日である
妊娠期間は15~17日である
ビタミンCは必須栄養素である
成体重はおよそ20~40 gである
虫垂がない
マウスに関する記述として
正しいものはどれか
•
•
•
•
•
染色体数は2N=44である
染色体数
ある
妊娠期間は15 17日である
妊娠期間は15~17日である
ビタミンCは必須栄養素である
成体重はおよそ20~40 gである
虫垂がない
Cf.ウサギ~盲腸糞
©Veterinary Technician
©Veterinary Technician
マウスに関する記述として
正しいものはどれか
•
•
•
•
•
染色体数は2N=40である(ハツカネズミ)
染色体数
ある
ネズ
妊娠期間は19 21日である
妊娠期間は19~21日である
ビタミンCは必須栄養素である=>モルモット
成体重はおよそ20~40 gである
虫垂がない
第60回 国家試験 B問題
マウスのコアイソジェニック系
( i
(co‐isogenic
i strain)の記述として
t i )の記述として
正しいのはどれか
• ある近郊系の維持家庭で1つの遺伝子に突然変異が
生じ、もとの近郊系から分離された系統
、も
近郊系
分離され 系統
• 特定の変異遺伝子をもつ動物を、既存の近郊系に繰
り返し交配することによって、目的の変異遺伝子以外
のほとんどの遺伝子を既存の近郊系と同 とした系
のほとんどの遺伝子を既存の近郊系と同一とした系
統
• 一対の雌雄の親から得られた同腹の雌雄による兄妹
対の雌雄の親から得られた同腹の雌雄による兄妹
交配を20世代以上繰り返して得られた系統
• ある特定の遺伝子座のみを意図的にホモ化せず、ヘ
ある特定 遺伝子座 みを意図的 ホ 化 ず、
テロの状態で維持している近郊系
• 5年以上外部から種動物を導入することなく、一定集
団内で繁殖を続けている群。
団内で繁殖を続けている群
マウスのコアイソジェニック系
( i
(co‐isogenic
i strain)の記述として
t i )の記述として
正しいのはどれか
• ある近郊系の維持家庭で1つの遺伝子に突然変異が
生じ、もとの近郊系から分離された系統
、も
近郊系
分離され 系統
• 特定の変異遺伝子をもつ動物を、既存の近郊系に繰
り返し交配することによって、目的の変異遺伝子以外
のほとんどの遺伝子を既存の近郊系と同 とした系
のほとんどの遺伝子を既存の近郊系と同一とした系
統
• 一対の雌雄の親から得られた同腹の雌雄による兄妹
対の雌雄の親から得られた同腹の雌雄による兄妹
交配を20世代以上繰り返して得られた系統
• ある特定の遺伝子座のみを意図的にホモ化せず、ヘ
ある特定 遺伝子座 みを意図的 ホ 化 ず、
テロの状態で維持している近郊系
• 5年以上外部から種動物を導入することなく、一定集
団内で繁殖を続けている群。
団内で繁殖を続けている群
マウスのコアイソジェニック系
( i
(co‐isogenic
i strain)の記述として
t i )の記述として
正しいのはどれか
• ある近郊系の維持家庭で1つの遺伝子に突然変異が
コアイソジェニック系
生じ、もとの近郊系から分離された系統
、も
近郊系
分離され 系統
• 特定の変異遺伝子をもつ動物を、既存の近郊系に繰
り返し交配することによって、目的の変異遺伝子以外
コンジェニック系
ンジ
ック系
のほとんどの遺伝子を既存の近郊系と同 とした系
のほとんどの遺伝子を既存の近郊系と同一とした系
統
• 一対の雌雄の親から得られた同腹の雌雄による兄妹
対の雌雄の親から得られた同腹の雌雄による兄妹
近交系(
近交系(Inbred Strain)
)
交配を20世代以上繰り返して得られた系統
• ある特定
ある特定の遺伝子座のみを意図的にホモ化せず、ヘ
遺伝子座
みを意図的 ホ 化 ず、
セグリゲイティング近郊系
テロの状態で維持している近郊系
• 5年以上外部から種動物を導入することなく、一定集
繁殖集団(Closed Colony)
繁殖集団(Closed Colony)
団内で繁殖を続けている群
団内で繁殖を続けている群。
ラットの腫大した耳下腺に…
ラットの腫大した耳下腺に
やせ細ったヌードマウスの肝臓で…
やせ細ったヌードマウスの肝臓で
これらの疾患は同じ科に属する
異なるRNAウイルスによって起こる
•
•
•
•
•
パラミクソウイルス科
パ
ウ
科
コロナウイルス科
アレナウイルス科
ブニヤウイルス科
レオウイルス科
これらの疾患は同じ科に属する
異なるRNAウイルスによって起こる
• パラミクソウイルス科
パ
ウ
科
• コロナウイルス科
– ラット唾液腺涙腺炎ウイルス
– マウス肝炎ウイルス
• アレナウイルス科
• ブニヤウイルス科
• レオウイルス科
実際の診療には
• ハムスター、チンチラ、モルモットあたりか?
タ
あた
– スナネズミ、ハリネズミなどもくるかも
ナネ
、 リネ
な もくる も
登場動物
•
•
•
•
•
•
ハムスター
タ
モルモット
チンチラ
マウス
ラット
その他
登場動物の価格の目安
• ハムスター
– 数百円~数千円(1000~2000円前後)
• モルモット
– 数千円~一万円(3000~5000円前後)
• チンチラ
– 一万円~五万円(20000~30000円前後)
• マウス
• ラット
• その他
診療費との兼ね合いが重要
学術的な面白さ
• 薬理・毒性学への還元
薬
毒性学
還
– 象の時間とネズミの時間
象 時間 ネ
時間
• 4回目の授業で話します
飼い主との会話
• 一般的な飼育法は聞かれる
般的な飼育法
れる
– 食餌
– ケージ
– 取扱い方
• お金のことについては聞かれにくい
– 日本人の兆候
– 購入費と飼育費・治療費の兼ね合い
飼い主への教育的アドバイス
• かわいい=購入
わ
購
• 深い知識を得ずに飼育を開始してしまう
– 何年生きる?
– 何を食べる?
– どこに住む?
– どう扱う?
何年生きる?-寿命
•
•
•
•
•
ハムスター
タ
モルモット
チンチラ
マウス
ラット
何年生きる?-寿命
•
•
•
•
•
ハムスター:約3年(ジャンガリアン2年)
タ 約 年 ジ
ガ
年
モルモット:5 8年
モルモット:5~8年
チンチラ:10~15年
マウス:約2年
ラット:2 3年
ラット:2~3年
何を食べる?
•
•
•
•
•
ハムスター
タ
モルモット
チンチラ
マウス
ラット
基本的に、専用のペレット
(で十分)
気をつけよう!
ビタミンCが必須栄養素
• ハムスター
タ
1日5-20mg/kg
• モルモット 餌に添加
餌に添加~22℃以下90日以内
22℃以下90日以内
餌
ビタミンC含有量 (mg)
• チンチラ
151
赤ピーマン
65
ピーマン
• マウス
29
トマト
• ラット
ホウ
ホウレンソウ
ウ 25
アスパラガス
23
エンドウ
16
ラディッシュ
15
フダン草
14
ズッキーニ
13
ジャガイモ
12
与えてはいけない餌
• ハムスター
タ
– 玉ねぎ(ネギ)、チョコ、どんぐり、アボガド、牛乳
ねぎ(ネギ)、チョ 、
ぐり、アボガ 、牛乳
• モルモット
– ハムスターと同様、
ムスタ と同様
• チンチラ
• マウス
• ラット
ラ ト
注意すべき食事
動物
注意事項
ハムスター 玉ねぎ(ネギ)、チョコ、どんぐり、
アボガド、牛乳などは禁忌
モルモット ハムスターと同様&ビタミンCの添加
チンチラ
特に報告がないが、乾草を中心にし
ておく。ドライフルーツ、ナッツ、ひま
わりの種を与えてもよいが少なめに
マウス
特に報告がないが、不正咬合を防ぐ
ラット
ために硬めの飼料を加える
どこに住んでいたか?
動物
原産地
ハムスター
モルモット
チンチラ
マウス
ラット
どこに住んでいたか?
動物
原産地
ハムスター ヨーロッパからアジアの乾燥地帯
地中のトンネル
モルモット
チンチラ
マウス
ラット
Golden Hamster:Mesocricetus auratus
Golden Hamster:Mesocricetus
どこに住んでいたか?
動物
原産地
ハムスター ヨーロッパからアジアの乾燥地帯
地中のトンネル
モルモット 南米 (原住民族の食糧)
チンチラ
マウス
ラット
Guinea(?) Pig = Cavy (scientific)
Guinea(?) Pig
Cavy (scientific)
Binomial name: Cavia porcellus
The origin of "guinea" in "guinea pig" is harder to explain. By Wikipedia.
どこに住んでいたか?
動物
原産地
ハムスター ヨーロッパからアジアの乾燥地帯
地中のトンネル
モルモット 南米の草原地帯(原住民族の食糧)
チンチラ
アンデス山脈
マウス
ラット
Chinchilla: Chinchilla lanigera
Chinchilla: Chinchilla lanigera
どこに住んでいたか?
動物
原産地
ハムスター ヨーロッパからアジアの乾燥地帯
地中のトンネル
モルモット 南米の草原地帯(原住民族の食糧)
チンチラ
アンデス山脈
マウス
Mus musculus:ハツカネズミ
ラット
Rattus norvegicus:クマネズミ
住まい
• もともとの生態に則した住居
も も
生態 則 た住
動物
住ま
住まいの特徴
特徴
ハムスター
ムスタ
換気がよく、噛まれても平気な家
モルモット
広い床面積
チンチラ
マウス
ラット
砂浴びが必要
こまめな掃除が可能な家
取扱い方≒持ち方
• 基本はそっと包み込んで持ち上げる
基本
包
持
げる
– 野生の捕食者は上からつかみかかる
野
捕食者は
ら
み
る
さまざまなげっ歯類の保定
さまざまなげっ歯類の保定
いきなり持とうとするとショック死することも?
各論:ハムスター
主なハムスターの種類
(すべてキヌゲネズミ亜科)
• ゴールデンハムスター属
ゴ
デ
ム タ 属
– ゴールデン
• ヒメキヌゲネズミ属
– ジャンガリアン
– キャンベル
– ロボロフスキー
キ
• モンゴルキヌゲネズミ属
– チャイニ
チャイニーズ
ズ
• クロハラハムスター属
– クロハラ
• 属が異なれば
属が異なれば子孫
孫
はできない
–
–
–
–
–
–
–
界
門
綱
目
科
属
種
Cf. Canis ffamiliaris, Felis
,
catus
さまざまな種類のハムスター
ハムスターの飼育頭数は?
• 未知
– 自家繁殖も(ある程度)容易
– ハムスター好きによるサイトのアンケート結果
• 1匹飼い:44%
• ほとんどが多頭飼育
• 30匹以上というのが4%もいる
– 情報の正確性についてはノーコメント
– 感染症に対する予防指導が重要
飼い方の基本
・ケージは水槽型がよい
・金網型の場合、通気性はよいが、
金網型の場合、通気性はよいが、
かじって切歯を痛めたり、登って落
下し脊椎を痛めたり、足を挟んで
骨折したりする
骨折したりする。
・水槽型を用いる場合は湿度に注意。尿などをこまめに掃除する。
また 蓋は金網にして通気性をよくする
また、蓋は金網にして通気性をよくする。
・ケージは、直射日光のあたらない温度の変動の無い場所に。(18
~26℃)夏場と冬場は死亡数が多い 昼間人の気配や物音のす
~26℃)夏場と冬場は死亡数が多い。昼間人の気配や物音のす
るところは避ける。
・日照時間に配慮する。一日中明るいor暗いのではホルモンバラ
ンスを崩しかねない。
食事
ハムスターにとってのバランスのよい食事とは?
厳密には最善の栄養バランスはわかっていない
・市販のペレットフードは研究用げっ歯類用のものとほぼ同様の製
法だが、これが必ずしもペットのハムスターフードとして完全食と
は言 切れな
は言い切れない
・しかし、完全食に最も近いのはペレットフードであるので、これを
主食とするのが得策といえる
ハムスターフードの分類
• 単品のペレ
単品のペレット
ト
汚染物質(重金属、農薬、細菌)の分析検査を行っているも
の(研究検定用)と そうでないもの(ブリーダー用)があり
の(研究検定用)と、そうでないもの(ブリ
ダ 用)があり、市
市
販のフードは後者と思われる。市販のものでは内容的信頼
性に欠ける所があり、成長ステージによる栄養的区分けが出
来ているわけではない
• 種子類+固形フ
種子類+固形フード
ド
着色料添加のものが多く市販され、高脂肪の種子類を半分
以上の割合で含むものが多い
ハムスターの脂質要求量:成長期で9%前後、成育後は4%
食事 半分を種子類 する 、
食事の半分を種子類にすると、20~30%の脂質を摂取す
脂質を摂取す
ることになる
ハムスターフードの分類
・クッキータイプ(菓子類)
ク キ タイプ(菓子類)
いわゆるおやつ
とあるクッキ は脂質21 8%で 要求量の5倍含み 糖質はハ
とあるクッキーは脂質21.8%で、要求量の5倍含み、糖質はハ
ムスターにとって必要ないにもかかわらず68.6%も含む
このことからも、ハムスタ におやつを与える きではなく、特
このことからも、ハムスターにおやつを与えるべきではなく、特
に体重が40g程度の個体に人の「少し」がどれほど多いものな
のか、考えなければならない。
・栄養のバランスや内容の質が悪ければ疾病を招く。
疾病を予防するためにも 最も栄養バランスがよく 安全と思
疾病を予防するためにも、最も栄養バランスがよく、安全と思
われる(研究検定用の)マウス・ラット用のフードと水のみで飼
育することが最善だと考えられる
理想の
飼育ケージ
1)食餌は専用のペレットのみを与える
2)必ず水槽で飼育する
3)水槽内はチップとペレットのみを入れる
4)チップは皮膚の刺激が少ない、清潔で安
全なものを使用する
使
5)ドリンクボトルは先端がステンレス製で、
中にボ ルが入っているものを使用する
中にボールが入っているものを使用する
6)ドリンクボトルは上から揺れるようにつる
す
7)夏の温度管理はクーラーを使用し、25
~26℃以上にならないように注意する
8)冬の温度管理は温度調節機能が内臓さ
れているものか、ヒーターにサーモスタッ
トを接続して水槽の外側に置き、発泡ス
チロール板などの断熱性のあるものです
覆
、 度
べて覆うようにする。その際、温度は1
8℃以上を保つように心がけること。(最
適温度は22~23℃)
解剖
・頬袋を持つ。内側表面(重層扁平上皮)はきわめて乾燥しているので、先端
のとがった食べ物や粘りの強い食べ物は禁忌。
・臭腺を持つ。ゴールデンは両脇腹、ドワーフ種は腹部中央と口の両脇。
マーキングのためのにおい物質を出す。
・切歯は生涯伸び続ける。伸びる速度と磨耗する
速度と バ
速度とのバランスがとれていれば常に同じ長さ
がとれ
れば常
じ長さ
が保たれるが、切歯の破損などが原因で咬合に
不正を生じると、異常な方向に伸びた歯が口腔
粘膜を傷つけ、トラブルを引き起こす原因となる。
解剖:歯式
Species
Rat & Hamster
Dental Formula
I: 1/1, C: 0/0, P: 0/0, M: 3/3
Chinchilla & Guinea Pig I: 1/1, C: 0/0, P: 1/1, M: 3/3
Prairie Dog
Prairie Dog
I: 1/1, C: 0/0, P: 2/1, M: 3/3
I: 1/1, C: 0/0,
P: 2/1, M: 3/3
解剖
・げっ歯類の喉頭蓋は軟口蓋の背側に
げ 歯類 喉頭
軟
背側
位置するため鼻からの呼吸に頼らざる
を得ない。歯科疾患、呼吸器疾患、粘
膜を刺激するような化学物質、細かす
ぎるおがくずの吸引などにより鼻腔周
囲に炎症が起こると、呼吸が大きく妨げ
られる。
られる
腺
・草食に近いため、胃が左図のように2
つに分かれている 前胃では発酵を行
つに分かれている。前胃では発酵を行
う。盲腸も比較的大きく、盲腸便を食糞
することで腸内細菌により作られたビタ
ミンB群、Kなどを補っている。このように
群 などを補
る
よう
大きな消化器を正常に動かすためには
多くの食物繊維が必要。
抗生物質投与時は、腸内細菌が死滅す
るので補助薬にビタミン剤を用いる。
生理
• 食性
草食に近い雑食性。一日に体重100gあたり8~12gのフードを
食べ、8~10mlの水を飲む(ペレットと水のみの場合)
• 消化生理
食糞は正常な消化プ セ の 部 腸内細菌が作り出したビ
食糞は正常な消化プロセスの一部。腸内細菌が作り出したビ
タミンB群を摂取する。上半身を折り曲げて肛門から盲腸便を
直接食べる。
•尿
正常は混濁して濃い 色は黄色 ぽい 濁りは結晶成分のた
正常は混濁して濃い。色は黄色っぽい。濁りは結晶成分のた
め。pHは5.1~8.4くらいで変動するが、8前後のことが多い。
生理
・ 成長と寿命
生後3週間で完全に離乳。5週間くらいで大人の大きさになり、そ
の後まもなく性成熟。兄弟は性成熟の前に分けておく必要あり。
平均寿命は ゴ ルデンハムスタ では3年 ジャンガリアンハ
平均寿命は、ゴールデンハムスターでは3年、ジャンガリアンハ
ムスターでは2年くらい生きれば十分長生き。
・ 冬眠
ハムスターが冬眠に入る条件には、日照時間の短縮、8℃以下
の気温、照度の低下、隔離状態などが上げられる。冬眠中は睡
眠状態のように丸まって、昏睡状態か死んでいるようにみえる。
体温 呼吸数 心拍数など 全てが下がり 代謝率が極端に低下
体温、呼吸数、心拍数など、全てが下がり、代謝率が極端に低下
する。
飼育ハムスタ でも、冬眠状態になる。室温でも明るい時間が
飼育ハムスターでも、冬眠状態になる。室温でも明るい時間が
極端に短い(2時間以下)と冬眠状態になることがある。→夏眠
生理データ(ゴールデン)
成熟体重♂
成熟体
成熟体重♀
出世時体重
体温
呼吸数
一回換気量
酸素消費量
心拍数
血液量
液
血圧
37‐38℃
染色体数
35‐135回/min 寿命
0.6‐1.4ml
フード消費量
0.6‐1.4ml/g/hr
g
水消費量
85‐130g
95‐150g
2g
250‐500回/min
65‐80ml/kg
150‐100mmHg
44
18‐24ヶ月
8‐12g/100gBW/day
8‐10ml/100gBW/day
g
y
血液検査の前に
• げっ歯類の血液量:体重の7~10%
げ 歯類 血液量 体重
• 安全な採血量:全血液量の10%=体重の1%
安全な採血量:全血液量の10% 体重の1%
• 例:100 gのハムスター
– 全血液量=10 g(ml)
– したがってその10%=1 g(ml)
g
– 症状に応じて、適切な検査項目を選ぶ必要
採血
・頚部の皮膚をつまんで保定するとおとなしくなる。
採
あ
、
、
・採血に時間がかかることもあるので、ヘパリン加ヘマトクリット管は、さ
らにヘパリンを通しておくと良い。
・眼窩と眼球の間にヘマトクリット管を挿入して軽く回転させて静脈叢を
傷つける。
・採血後は軽く圧迫だけで止血できる。点眼薬をつけても良い。
採血
• ハムスターの尻尾は短いため、尾静脈からの採血は
困難
• 大腿動脈:25‐27 Gの針を穿刺し、流出してきた血液を
ヘマトクリット管で採取(伏在静脈でも可能だが 採取
ヘマトクリット管で採取(伏在静脈でも可能だが、採取
できる血液量が少ない)
ハムスターのCBC
RBC x104/mm3
Ht
%
Hb
g/dl
WBC x102/mm
/ 3
PLT x104/mm3
MCV
fl
MCH
pg
MCHC
%
Male
806 c 14
49 ± 0.85
49 ±
0 85
17.7 ± 0.43
51.3 ± 3.0
44.8 ± 2.0
46.0 ± 0.74
54 2 ± 5.6
54.2
56
71.3 ± 6.4
Female
781 ± 13
48 ± 0.78
48 ±
0 78
17.4 ± 0.34
54.6 ± 2.9
47.4 ± 1.9
46.6 ± 0.46
51 3 ± 7.6
51.3 ±
76
71.6 ± 4.6
※リンパ球がWBCの60 – 80%を占める
※正常でも有核赤血球が見られる場合がある
ハムスターの血液生化学性状
TP
g/dl
ALB
g/dl
A/G
UN
mg/dl
/
CRE
mg/dl
T-CHO mg/dl
TG
mg/dl
GLU
mg/dl
Male
5.7 ± 0.1
1 8 ± 0.1
1.8 ±
01
0.46 ± 0.01
16 ± 2
0.37 ± 0.03
185 ± 21
342 ± 71
342 ±
139 ± 16
Female
5.6 ± 0.1
1 7 ± 0.1
1.7 ±
01
0.43 ± 0.01
21 ± 1
0.37 ± 0
211 ± 45
363 ± 61
363 ±
133 ± 8.7
ハムスターの血液生化学性状
T-BIL
GOT
GPT
ALP
Ca
Male
Female
mg/dl 0.80 ± 0.2 0.80 ± 0.2
47 ± 8
48 ± 9
IU/L
/
87 ± 66
91 ± 15
IU/L
428 ± 18 524 ±
428 ±
524 ± 21
IU/L
mEq/L 5.5 ± 0.1 5.7 ± 0.1
繁殖
<雌雄の分け方>
・生殖口と肛門の距離で見分ける。
生殖口と肛門の距離で見分ける
(距離の長いほうが♂)
※ゴールデンは見ればわかる
発情はおおよそ4日間周期で約12時間。
(発情時間は文献により差がある)
性成熟
32 42日
32‐42日
繁殖可能時期
10‐14週齢(♂)
6‐10週齢(♀)
週齢(♀)
性周期
4日
妊娠期間
15‐16日
産子数
5‐9頭
授乳期間
20‐25日
成長過程
さまざまな保定法
頭部~背中を挟み込んだ保定
水平にしても落ちないようにしっかり保定する
頭部のみの保定
耳と耳を挟むようにし、頭部が動かない
ように保定する
サージカルテープによる保定
この写真は、麻酔下での保定であるが、麻酔
なしでもこのように保定できる(?)
薬剤投与法
垂直での栄養チューブによる胃内投与
点眼ビンを用いた投与
口裂に押し当てると必ず舌を動かす。
そのとき力が入りすぎて点眼ビンの
本体を押し、薬液が口内に溢れ出ない
よう注意する。あくまでも滴下した薬液を
自力で飲むよう、 のように押し当てる。
自力で飲むよう、このように押し当てる。
薬剤投与法
腰部からの皮下投与
背部を大きく掴み、宙吊りにすると比較
的おとな く注射が出来る
的おとなしく注射が出来る
腹腔内投与
かならず針先を気持ち引いて、腸内容
物が流入しないか確認してから注入
X線
• 小型動物のX線撮影では、低吸収型カーボンカセッテにオル
ソタイプの増感紙を張ってオルソタイプのフィルムを用いると
良い。
• 低吸収型なら、X線のカセッテでの吸収が少なくなり、線量を
低吸収型なら X線のカセッテでの吸収が少なくなり 線量を
軽減することができ、鮮鋭度が増すので細かい臓器の確認
がしやすくなる。
• オルソタイプは、感度が高く、少ない線量で撮影できる。また、
鮮鋭度も高い。本来であれば、高感度なら鮮鋭度は落ちるが、
発光効率を向上させたため 散乱線や残光などによるボケを
発光効率を向上させたため、散乱線や残光などによるボケを
減少させ、高鮮鋭度を得ている。
• グリッドは必要ない。
保定
線透過性 も を使用
保定台
る保定、用手
• 保定はX線透過性のものを使用した保定台による保定、用手
法、薬剤を用いたものの3つがある。
X線
心胸郭比は大きく、RLで肋間4つくらいが正常であ
心胸郭比は大きく、
で肋間
くら が 常であ
る。心肥大と勘違いしやすい。
気管支もすべてが明瞭にみえるわけではない。肺野
も肺胞、間質パターンとの鑑別が難しいが、肺野が
全体に白くなったときはやはり膿、水、もしくは腫瘍で
あることが確認できる。
↑ すでに十二指腸にまで
バリウムが達している
X線
↑ 大きな切痕により2つの胃があることが
わかる。少量のガスも見える。
小腸全体にバリウムがいきわたっている→
X線
盲腸全体にバリウムがいきわたっている。
結腸にバリウムが達して糞塊が形成
されはじめる。
What’ss your diagnosis?
What
your diagnosis?
A.頚部リンパ節の腫大
(リンパ肉腫)
ちなみにハムスターの橈尺骨
ちな
ム タ
橈尺骨
は骨が膨らんで変形しているよ
うに見えるが れは 常 あ
うに見えるが、これは正常であ
り、異常所見と間違えないよう
にする。
にする
ついでに、適切な鎮静、麻酔を
に 適切な鎮静 麻酔を
して、指で保定しない
(強く引きすぎて医原性骨折も)
麻酔
<麻酔と手術に当たっての基本事項>
<麻酔と手術に当た
ての基本事項>
• 麻酔の際は、まず体重を正確に測る。薬剤の量を
正確に見るためでもあり 手術中の出血量の限度を
正確に見るためでもあり、手術中の出血量の限度を
見極めるためでもある。50gのジャンガリアンにとっ
ては1mlの出血は致命的。
• 麻酔を施せば、循環動態に変化がかならず起こると
考
考えられ、最もおこりやすいのが血圧低下である。
も
が
あ
また、手術を施せば、術野からの気化熱などにより
体温の喪失が見られる 小型の動物は代謝率が高
体温の喪失が見られる。小型の動物は代謝率が高
く、体表面積比が高く、とにかく体温が下がりやすい
ということを念頭に置く必要がある。
麻酔
<麻酔前の準備>
• ハムスターは、胃の噴門部の構造上嘔吐のできない動物。し
たがって、麻酔前の絶食は通常行う必要は無く、2時間以上
、
前 絶食 通
う 要
、
の絶食は有害であるとさえ考えられている。
絶食 有害 あ
考
• 全身状態の悪い個体や、高齢の個体には、術前に(できれば
前日から)数回に分けて皮下に補液を行う。
• 気管分泌物や唾液の分泌を抑制するためにアトロピンを皮下
または筋肉内注射することがある。用量は0.04mg/kg程度が
推奨。
推奨
• アトロピン注射液は希釈して使う。
– ごく少量を用いると、投与量の誤差が大きい
• また、麻酔前に不要のストレスを与えないようにすることはど
んな動物にもあてはまることだが、ハムスターのような臆病な
動物にはなおのこと配慮が必要。
麻酔
<吸入麻酔法>
• 吸入麻酔がハムスターにとって最
吸入麻酔が ムスタ にとって最
も簡便な麻酔手技。
• 導入
導入:犬用のマスクもしくは小さな
犬用のマスクもしくは小さな
麻酔チャンバーを用いる。
– ある程度反応がなくなり、身体をゆ
す ても自力で立ち直れない程度に
すっても自力で立ち直れない程度に
なったら取り出してマスクに変える。マ
スクは自作するか、犬用のマスクを粘
着テープなどでふさぎ
着テ
プなどでふさぎ、口を小さくして
口を小さくして
使っても良い。
• 麻酔濃度:イソフルランで4~4
麻酔濃度:イソフルランで4~4.5%で
5%で
導入、1.5~3%で維持
– 患者の一般状態や年齢、手術の性質
などによって異なる
麻酔
<注射麻酔>
注射麻酔は、口腔内の処置が必要な場合などに必要となる。
標準的な方法として
①ケタミン+キシラジン
キシ ジ
キシラジン5~10mg/kgとケタミン50~150mg/kgを混合してi.p.
とケタ
を混合し
②ケタミン+ジアゼパム
ジアゼパム5 /k をi
ジアゼパム5mg/kgをi.m.,ケタミン50~150mg/kgをi.p.
ケタミン50 150 /k をi
③ケタミン+アセプロマジン
アセプロマジン1~5mg/kgをi m ケタミン50~150mg/kgをi p
アセプロマジン1~5mg/kgをi.m.,ケタミン50~150mg/kgをi.p.
ケタミンはハムスターでは筋注すると激しい筋壊死がおこるこ
ケタミンはハムスタ
では筋注すると激しい筋壊死がおこるこ
ともあるといわれるので、腹腔内や皮下のほうが無難。
麻酔
• 体温低下の防止のため、ヒートマットや、白熱電球を用いる。
術野の消毒の際も 消毒薬を暖めておくなどの配慮が必要
術野の消毒の際も、消毒薬を暖めておくなどの配慮が必要。
• 麻酔中のモニタ
麻酔中のモニターは身体が小さいためにとても困難
は身体が小さいためにとても困難。
循環器系を機械的にモニターすることは通常不可能なので、
五感を最大限に使ってチェックすることになる。血色は、舌、
足の裏 鼻先などで見ることが出来る 出血量が多いと思わ
足の裏、鼻先などで見ることが出来る。出血量が多いと思わ
れたときは術後に補液が必要。
• 呼吸数の極度の低下や呼吸停止に対しては、ドキサプラム
10 mg/kgを皮下、筋肉、腹腔内投与。
• 補液は何でも良いが、皮下投与は一箇所あたりゴールデン
で3 ml、ドワーフで1.5 mlを限度とし、必要に応じて数箇所に
分ける。
分ける
抗生物質
• 抗生物質は、クロラムフェ
抗生物質は、クロラムフェニコール、エンフロキサシン、サル
コ ル、 ンフロキサシン、サル
ファ剤、ドキシサイクリン、ポリミキシンは安全だが、
リンコマイシン、マクロライド系の経口投与、ペニシリンアミノ
グ
グリコシド系の経口投与、セフェム系、テラマイシン、ストレプ
シド系 経 投与 セ
ム系
イシ
ト プ
トマイシンは危険。
• ハムスターの傷は細菌感染が起こりやすいので、術後の抗
ハムスターの傷は細菌感染が起こりやすいので 術後の抗
生物質は十分長期が良い。
• 術後は身体についた液体を極力ふき取り、乾かす。暖かく安
静に保ち、覚醒までは35℃ほどの環境におき状態をよく観察。
• 術創を気にして噛んだり引っ張ったりするハムスターに、エリ
創
ザベスカラーを用いるのはまず不可能であり、包帯もたいが
い逆効果。極細い縫合糸を用いたり、埋没縫合にしておく。
ハムスターの皮膚疾患
• ハムスターの皮膚病は非常に多く、原因は多
岐にわたり、病因が複合していることも多い
• 特に高齢
特に高齢のハムスターでは難治性の皮膚病
ム タ
は難治性 皮膚病
が多くなる
これは、皮膚病の原因に内分泌や免疫のよ
うな内的因子がからむ場合があるため
皮膚疾患の原因
【皮膚に脱毛を主とした異常を
生じる疾患】
・ニキビダニ症
・皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症
・細菌性皮膚炎(膿皮症)
・ホルモン性皮膚炎(副腎皮
性皮膚炎(副腎皮
質機能亢進症など)
・栄養性皮膚疾患
・アレルギー性皮膚炎
ギ 性皮膚炎
・摩擦による脱毛や炎症
・その他
その他
【皮膚に腫瘤状の病変が認め
られるもの】
(皮膚疾患以外も含む)
・膿瘍
膿瘍
・ヘルニア
・腫瘍
・血腫
・乳腺炎
・頬袋づまり
・その他
ニキビダニ症(毛包虫症・アカラス)
Demodex criceti
及び Demodex aurati
ハムスターではほとんど常在
•
免疫力が低下したときや、他の皮膚疾患で皮膚の状態が悪くなったときに
異常繁殖し、病害をあたえる
(幼若、妊娠中、高齢な個体や、内分泌異常、腎疾患、栄養障害など、全身
状態の悪い個体は臨床症状が発現しやすくなる)
•
皮膚病のハムスターからニキビダニが検出されたからといって、これを駆除
すれば皮膚病が完全に治るとは言い切れない。
一方、ハムスターの皮膚病の大半にニキビダニが加担しており、ニキビダニ
を駆除することで皮膚疾患を部分的に改善できる可能性も大いにある。
症状・診断・治療
【症状】
• ニキビダニ症自体の症状は皮膚の乾燥と脱毛。
• 時に丘疹、水泡が認められ、また、著しい鱗せつ、落せつを見るこ
ともある。
ともある
• 同時に併発している皮膚疾患により症状は複雑になってくる。
• ニキビダニ単独ではかゆみを呈することはない。
キビダ 単独ではかゆみを呈することはない。
【診断】
• 皮膚をつまんで毛穴が開きやすいようにして掻爬し、鏡検すること
で虫体を確認できる。
で虫体を確認できる
【治療】
• イベルメクチン400~600μg/kg, 1~2回/week POが推奨される。
• アミトラズ浴をすすめる人もいる。効果はあるが、薬剤の副作用と
同時に、全身が濡れるという とは大きなストレスとなるので注意。
同時に、全身が濡れるということは大きなストレスとなるので注意。
皮膚糸状菌症
Ringworm
• 原因菌として多いものは毛そう白癬菌 Trichophyton
Mentagrophytes
h
• 日和見感染となることが多く、ニキビダニと同様、免疫低下な
どの内的な誘因から二次的に発症することが多い。
どの内的な誘因から二次的に発症することが多い
• 外的な要因として、特に湿度の問題があり、風通しの悪いプ
ラスチックケ ジで起きやすい傾向がある。
ラスチックケージで起きやすい傾向がある
①プラスチックケージを使用する際は、湿った敷料はまめに交換
①プラスチックケージを使用する際は
湿った敷料はまめに交換
②個体一頭あたりの面積を十分確保
③天井は風通しを妨げないよう網にすること
などの注意を怠らないようにする。
cavy
症状・診断・治療
【症状】
• リングワームの名の通り、典型的なリング状脱毛を呈することもあるが、
それよりは頭部や体幹部に不定型の脱毛部や薄毛がみられることの
方が多い。
方が多い
• 皮膚は乾燥し、鱗そうや痂皮が認められたり、脂漏が見られたりする。
ゆ
通常軽度。痒
膿皮症
同時 起
• かゆみは通常軽度。痒がるものは膿皮症などが同時に起こっているも
のと推測される。
推
【診断】
• 犬猫と同様、皮膚表層の掻爬検体や被毛の鏡検、培養などを行う。
【治療】
• グリセオフルビン25mg/kg sid を用い、十分な期間投与することが大切。
(通常最低3週間)
• また、湿った環境で飼われている場合は環境改善が必要。
生後3週間のジャンガリアンハムス
ターの一腹の子にみられた皮膚糸状
菌症
グルセオフルビンで2週間治療したとこ
ろ ほとんど発毛しているが さらに1週
ろ。ほとんど発毛しているが、さらに1週
間投与すべき。
細菌性皮膚炎(膿皮症)
【原因菌】
• 最も多いのは黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus。その他にレンサ球菌
Streptococcus spp.やPasteurella pneumotropicaなどが分離される。
膿皮症 すり傷
始 り す 。
• 膿皮症はすり傷などから始まりやすい。
それ以外に他の皮膚疾患(ホルモン性皮膚炎、ニキビダニ症、糸状菌症など)に付随し
て二次的に生じることも多い。
【症状】
• 発赤、腫脹が見られたり、分泌や、痂皮形成がみられる。
• 一般にかゆみが認められるが、程度や部位によっては痛みもある。
【診断】
• 菌の培養、同定を行い、感受性試験により抗生物質を選択することが理想的。
【治療】
• 経口投与の抗生物質にはクロラムフェニコール(100~150mg/kg,bid)またはエンロフロ
キサシン(10mg/kg,sid)が使いやすく、かつ安全性も高い。
• 抗生物質の内服は十分な期間継続することが大切。
抗生物質の内服は十分な期間継続することが大切
• 外用薬の使用は原則的に最小限にすべき。
•
細菌性皮膚炎(膿皮症)
ハムスタ の口腔疾患
ハムスターの口腔疾患
•
口腔の診察の際は、首筋を皮膚をしっかり引く。口の奥をのぞくにはピン
セットやモスキート鉗子を用いる。
《不正咬合》
• 切歯の不正咬合は、ウサギほど多発するものではないが、時々見られる。
原因とし 最も多 と考えられる がケ ジ 金網や食器をむやみにか
原因として最も多いと考えられるのがケージの金網や食器をむやみにか
じることや、高所から転落した際に切歯を痛め、切歯の方向に狂いが生じ
てしまった場合。
また 切歯を折ってしまい 対側の切歯がすり減らず異様な伸び方をして
また、切歯を折ってしまい、対側の切歯がすり減らず異様な伸び方をして
しまうことで、折れたほうが再度伸びた後にも咬合面が正常にかみ合うこ
となく、恒久的な不正咬合に陥ることもある。
歯の破折はカルシウム不足によって起こりやすくなり これの原因のひと
• 歯の破折はカルシウム不足によって起こりやすくなり、これの原因のひと
つにひまわりの種の多給がある。
• 先天性の不正咬合もある。
• 切歯の不正咬合に気づかないでいると、菜食できなくなり衰弱死する。
• 切歯の不正咬合を見つけたら、定期的に切断することで対処。
齲歯(むし歯)
•
ハムスタ は齲歯が起こりやすい動物
ハムスターは齲歯が起こりやすい動物。
•
甘いおやつなどを与えられてる個体に発生が
多い。
•
口腔内に発生した有機酸が齲食を進行させ、
ひとたび齲食が歯髄にまで達すると歯髄から根
尖へと細菌感染が広がり、歯槽骨まで巻き込
んだ歯根の膿瘍へと至る。
•
状態の悪化に伴い、流涎、顔面の腫脹、食欲
低下などの症状が認められる。
低下などの症状が認められる
•
抜歯と抗生物質の全身投与により治療。
頬袋詰まり
•
ハムスターはごちそうを大事に頬袋につめて、誰にも取られないように入れ
ハムスタ
はごちそうを大事に頬袋につめて、誰にも取られないように入れ
たままにしていることがある。すると、体温でとけて粘膜にはりつき、出すこと
が出来なくなってしまう。
•
頬袋の粘膜は乾燥しているので、先のとがったものを詰めると、これが刺さっ
て動かなくなり、出せなくなってしまうことがある。
•
頬袋を皮膚の外から押して搾り出すようにする。出ないときは頬袋を広げて
除去。場合によっては麻酔を施してから処置。
傷や炎症があれば消毒をしておき、細菌や真菌感染の疑いがある場合は塗
ま 染色や培養を行うべき
まつ染色や培養を行うべき。
•
頬袋の感染から蜂窩織炎となっている症例もあり、このような場合は抗生物
質の全身投与を慎重に行えば予後は必ずしも悪くは無い。
質の全身投与を慎重に行えば予後は必ずしも悪くは無い
しかし、炎症が進行し、壊死に陥った場合の予後は良くない。
頬袋の反転(頬袋脱)
•
小型種のジャンガリアンやチャイニーズの
小型種のジャンガリアンやチャイニ
ズの
頬袋は容易に反転し、脱出したままになっ
てしまうことがある。
•
脱出した頬袋に激しい炎症や壊死がなけれ
ば高張のブドウ糖液などで浮腫をとり、還納。
再脱出をふせぐため 入り口を1~2針縫っ
再脱出をふせぐため、入り口を1~2針縫っ
ておくと良い。縫合は10~14日後に抜糸。
•
反転して長時間放置されたものでは粘膜表
転し 長時間放置されたも
は粘膜表
面に傷がついたり、壊死が生じていることが
ある。この場合は還納するよりも外科的切
除を行うべき。
除を行うべき
•
頬袋は切除してしまっても再度形成されてく
る。
頬袋の腫瘍
ハムスターの消化器疾患
食事内容や生活環境が原因とな ていることも少なくない
食事内容や生活環境が原因となっていることも少なくない。
•
•
•
•
•
•
•
•
•
食餌起因性の下痢
ウエットテイル(増殖性回腸炎)
抗生物質起因性の下痢
サルモネラ症
ティザ 病
ティザー病
腸重積
直腸
直腸脱
便秘
寄生虫
食餌起因性の下痢
• 食事内容を急に変えたり
食事内容を急に変えたり、青物を与えすぎたときに起こる。
青物を与えすぎたときに起 る
腐敗した食べものや、飲水ボトルの中で微生物が繁殖したと
き も起 る可能性 ある。
きにも起こる可能性がある。
• 症状は軟便となるが、原因が取り除かれずにいると全身状
態も悪化し、水様便になることもある。
• 治療
治療は、原因を取り除くこと。乳酸菌製剤。便検査をして、細
原 を り除く と 乳酸菌製剤 便検査を
細
菌叢の異常が見られた場合は抗生物質を投与。
• 便の状態が改善するまではペレットフードのみをあたえ、野
菜や果物、チーズなどは与えないようにする。
ウエットテイル(増殖性回腸炎)
•
•
•
通称ウエットテイルと呼ばれる。ゴールデンハムスターに頻発する病気。
別名、伝染性回腸過形成。
菌 、
。糞
経
、 熟 体
原因菌は、Lawsonia intracellularis 。糞便~経口ルートで、成熟個体から
離乳子へ、または離乳子間で感染。
発病する大半は離乳したばかりの3~6週齢のハムスター。ストレスや、
栄養失調、過密飼育が誘因となる。
<症状>
急性
重症なも
ら、ほ
不顕性感染 近 軽症 も ま さ
• 急性かつ重症なものから、ほとんど不顕性感染に近い軽症のものまでさ
まざま。回腸付近の増殖肥厚の結果として臨床症状が現われる。
• 急性では重度の水様便、背わん姿勢、元気、食欲喪失、神経過敏の様相
を呈することもあり、脱水、衰弱が進行して多くは48時間以内に死亡。
• 経過が緩やかな場合は後に過形成部分から生じる腸重積が見られること
がある。腸重積に陥ると、血様の下痢が生じ、重積した内側の腸管があ
たかも直腸脱のように肛門から脱出してくることがよくある。
ウエットテイル(増殖性回腸炎)
<診断>
• その臨床症状と、同一環境の幼若ハムスターが次々に発病
することからおおよそ判断。
することからおおよそ判断
<治療>
• 重症例は治療に反応せず、死亡することがおおい。抗生物
質の投与はあまり顕著な効果があるわけではなく、集団発
生を 防する 的 投与する と
生を予防する目的で投与することで死亡率を下げることは出
亡率を げる と 出
来る。
• 治療の要点は、ストレスの軽減と、脱水の補正を目標とした
治療の要点は ストレスの軽減と 脱水の補正を目標とした
看護と支持療法。脱水の補正は体重100gあたり一日10ml
を目安に。
ハムスターの泌尿生殖器疾患
•
•
•
•
•
•
膀胱炎
膀胱結石
腎不全
子宮蓄膿症
卵胞嚢腫
精巣腫瘍
など
子宮蓄膿症
•
•
•
•
ハムスターでは比較的多く認められる。
通常は1歳齢すぎ、多くは1歳6ヶ月齢すぎにみられる。
原因菌は、レンサ球菌やパスツレラ・ニューモトロピカなど。
症状は、食欲、元気の低下、腹囲の膨満、膿性の分泌物、
乳腺と乳頭の腫大など。
乳腺と乳頭の腫大など
(ただし、ハムスターの尿は濃厚で膿汁と区別がつきづらい
ので注意が必要。)
• また、ハムスタ
また、ハムスターの子宮蓄膿症では腸管の癒着による腸閉
の子宮蓄膿症では腸管の癒着による腸閉
塞が併発していることがある。
←ゴールデンハムスターの膣からの
血様分泌物 子宮蓄膿症が疑われ
血様分泌物。子宮蓄膿症が疑われ
る。
1歳2ヶ月のジャンガリアンハム
スターの外科手術時にみられた
子宮蓄膿症→
眼疾患
• ハムスターの目の異常
はときどき見られる。
全身状態を反映し、脱
身状態を反映 、脱
水で落ちくぼんだりする。
ま 、眼自体 疾患も
また、眼自体の疾患も
少なくない。
ジャンガリアンハムスターにみられた前房出血。
歯根の炎症が眼に波及したものと思われる。
細菌性眼疾患
【原因】様々な菌による
【症状】
♪細菌性結膜炎では眼脂がみられ ひどいときは起きたときにまぶたが
♪細菌性結膜炎では眼脂がみられ、ひどいときは起きたときにまぶたが
くっついて眼が開かなくなる。結膜の充血が見られる。
♪眼瞼がはれて厚さを増している場合は眼瞼炎が考えられ、腫れが不
均 なこともある これは マイボ ム腺その他の眼瞼にある分泌腺に
均一なこともある。これは、マイボーム腺その他の眼瞼にある分泌腺に
細菌感染が起こったもの。
♪眼内感染では前房蓄膿がみられたり、眼球内にさまざまな色や形の浮
遊物がみられることがある 進行すると 眼圧が下がって眼球がちいさく
遊物がみられることがある。進行すると、眼圧が下がって眼球がちいさく
なってくることがある。
♪眼窩膿瘍は、上顎臼歯の齲食や破折、あるいは歯周疾患に端を発し
た歯根の細菌感染が波及したもの。眼球が押し出されるので眼が大きく
なったように見える。
【治療】抗生物質の点眼。
眼球突出
・ハムスターの首筋をつかんで保定したり、興
奮したりするとすぐに眼球が突出する。
・このままの状態をよほど長い時間続けなけれ
ば問題ない。脱出したまま眼瞼にはさまれても
戻
眼
張
とに戻らなければ眼瞼を引っ張っておさめる。
・外傷がもとで眼球が脱出したきりになり眼球
が乾燥してしまった場合は、抗生物質の点眼で
乾燥を防いで保存療法をすればおおかたは治
癒することができる。
・眼球摘出を要することはめったにないが、他
に方法がなければそれも選択肢となる。
右の眼球が飛び出し、結膜に内出
右の眼球が飛び出し
結膜に内出
血が見られるジャンガリアンハムス
ター
白内障・緑内障
<白内障>
• 高齢のハムスターに見られることがあり、水晶体の混濁で発
見される 両眼に進行すれば最終的に視力を失う
見される。両眼に進行すれば最終的に視力を失う。
• 失明したハムスターに対しては、ケージ内の備品の位置を変
えないこと、落下事故のないようケージ内に段差を作らない
ことなどの注意が必要。
<緑内障>
• キャンベルハムスターで発生頻度が高いといわれる。ハムス
ターの不快感が著しければ眼球摘出を行わざるを得ない。
ターの不快感が著しければ眼球摘出を行わざるを得ない
また、ハムスターの緑内障は遺伝すると考えられているので、
繁殖させないことが必要。
骨折
【原因】
• ケージの網に足をとられたり、はさんだりなどケージに問題がある場合や、
ケ ジの網に足をとられたり はさんだりなどケ ジに問題がある場合や
誤って踏んでしまった、落としてしまったというように人間の不注意がまね
く事故もある。
【症状】
• 後肢の骨折が圧倒的に多く、は行することで発見される。
後肢の骨折が圧倒的に多く、は行する とで発見される。
• 後肢の中でも下腿骨骨折が最も多く、大腿骨、足根骨、中足骨などがこれ
に次ぐ。
• 身軽なハムスターだと骨折していてもすばやく動き回り、発見が遅れること
身軽なハムスターだと骨折していてもすばやく動き回り 発見が遅れること
もある。
• 足をぶらぶらさせたまま長時間動き回ると骨折部より遠位が傷んでしまい、
断脚を余儀なくされる場合があるのでなるべく早めの対処が必要。
断脚を余儀なくされる場合があるのでなるべく早めの対処が必要
骨折
【治療】
• ハムスターは小さいので、ピンニングまたは外固定が選択される。どちら
にするかはケースバイケース。
• 外固定を極端にかじったり、引っ張ったりすることがある。こうした場合は
外固定を極端にかじ たり 引 張 たりすることがある こうした場合は
むしろ固定しないほうがいい。
• 外固定になじまないハムスターにはピンニングを行うべき。
•
外固定には絆創膏や伸縮包帯を用いる。
ハムスターは違和感や軽度の疼痛がある場合に激しくかじるものと考え
られるので 外固定の施し方に留意し 部分的に極端な締め付けがあっ
られるので、外固定の施し方に留意し、部分的に極端な締め付けがあっ
たり、ゆるみがあったりしないように均一な縛り方を工夫することが大切。
•
症例によっては、創外固定法を応用することでよい結果が得られることも
症例によっては
創外固定法を応用することでよい結果が得られることも
ある。
骨折の症例
①ジャンガリアンハムスターの脛骨の開
放性骨折。
②歯科用の特殊な樹脂を用いて骨に通
したピンを固定している。
③創外固定の患肢を側面から撮影した
写真
腫瘍
・ハムスターにはコブができやすい。
・コブの4分の3以上が腫瘍で、良
性腫瘍より悪性腫瘍のほうがやや
多い。
・生後5ヶ月齢といった比較的若い
個体にもみられ、18ヶ月齢で腫瘍
の発生率が急激に上がる
の発生率が急激に上がる。
ジャンガリアン ムスタ の鼻の脇
ジャンガリアンハムスターの鼻の脇
に出来た腫瘍
腫瘍 症例1
雌のキャンベルハムスターの下腹部に
みられた腫瘍
摘出した腫瘍は病理組織検査の結果、
線維肉腫だった。
腫瘍 症例2
2歳のジャンガリアンハムスターの脇にで
歳のジャンガリアン ムスタ の脇にで
きた繊維肉腫の症例
手術で切除しているところ。腕の筋肉に
強い癒着がみられ、断脚せざるを得な
かった。
皮膚の一部に壊死がみられ、自壊し
ており、ずいぶん進行している。
無事に手術を終えたところ。このハム
無事に手術を終えたところ
このハム
スターは3本足になってもその後しっか
りと生活できた。
腫瘍 症例
症例3
内分泌性皮膚炎が疑われた8ヶ月齢、
雄のゴールデンハムスター
手術前の腹部エコー所見。腹腔内に、
大きな陰影が確認される。
副腎腫瘍の摘出術。摘出時の写真。
←手術により摘出された直径約2cmの副腎皮質腫瘍の割面
病理所見。病理診断は副腎皮質
病理所見
病理診断は副腎皮質
腺癌だった。
同 強拡大像
同、強拡大像
各論:チンチラ
チンチラの身体検査
チンチラの頭蓋骨
チンチラの頭蓋骨
チンチラ
チンチラ
チンチラ
チンチラ
チンチラ
チンチラ
チンチラ