明治大学生・T/7㍍理㌫二研究室1 明治大学生物物理第二研究室 明的大学 平岡和佳子 明治大学では神田駿河台地区にここ数年新しくリ 現在、生物物理第二研における超音波関連の研究 バティータワーやアカデミーコモンが建設され、お の中心は、高周波超音波による生体への作用の実体 茶の水近辺の新ランドマークとして、多くの研究会 とそのメカニズムの解明であり、それらを明らかに や学会にも利用されています。一方、川崎市内には することで皮膚生理のホメオスタシスへの超音波の 理系の生田キャンパスがあり、世田谷から多摩JHを 応用を目指しています。高周波の超音波による生体 越えてすぐ見える多摩丘陵の高台に立つキャンパス 作用としては、皮膚治療を目的とした数百kHz∼数 群は、隣の専修大とともに小田急線の乗客にはなじ MHzの超音波治療装置によるものが良く知られてい みの光景です。緑のキャンパス内には農学部の実験 ますo Lかし現在の皮膚医療分野において、これら 農園なども併せ持ち、 23区に隣接していながら都内 の治療器具を適用することによって期待する効果と の喧喚からは完全に切り離された、学生にも教員に しては温熱効果が主であり、その他の生物学的効果 も快適な環境となっています。 についてはあまり良く知られていません。この周波 2005年度の研究室構成員は基礎理工系博士課程前期 数領域の超音波による生体影響とその詳細なメカニ ズムを知ることは、治療機器の開発と安全性の面か の院生が5名と物理学科学部生が4名在籍という極 ら大変重要であると考えています。 当研究室は理工学部物理学科に所属しています。 めてアットホームな研究室です。研究分野は生物物 研究室で制作している生体試料照射用の連続波発 理学の中でも放射線生物学、特に活 性酸素やフリーラジカルの生体作用 が中心となっており、その研究の一 環として近年超音波の研究にも着手 しています。幸い本物理学科には、 臣博坤教授の超音波物理研究室があ り、装置制作および超音波基礎物理 学::ついて学術的にも技術的にも多 大なす:3-トを待て研究を進めてい ますこ また工業化学科の相棒守助教 授の生体関悪材料研究室では、超音 波噴霧熟分解法を使って各種の医用 素材を合成していることから、三研 究室で共同研究班を構成し、今後新 たな機能性医用材料の開発などを手 がけていく予定です。 116 超音波TECHNO 2005 ll_12 写真1研究に励む学生と研究室の様子 明治大学生物物理宗二戸Iiミ ミの原因であるメラニン沈着の防止 や除去、シワの原因である皮下組織 の変化に対する超音波の治療効果で す。研究室では、メラニン形成細胞 に与える紫外線の波長依存性や各種 のホルモンの効果、抗酸化物質との 関連を調べているので、超音波照射 を組み合わせることで、メラニン形 成抑制効果のメカニズムの解明も期 待されます。現在は、メラニン形成 の中心的な酵素であるチロシナ-ゼ について、 lMHzの超音波による酵 素活性の不活化枚稀の解明などをお こなっています。 写真2 生体試料用超音波発生装置 以上、超音波に関係する研究を中 心こご紹介しましたが、その他にも、 生装置は、 1-10MHzの超音波照射が可能であり、 最大数十W程度の出力が得られますo現在は、出力 と生体影響との関係、フリーラジカルの発生とキャ ビテーションの発生などの周波数依存性について検 討していますo生体試料として、私たちの研究室で は主に培養細胞やタンパク質試料を用いています。 安全性の試験には浮遊性細胞及び付着性細胞を用い て、各波長における出力と細胞死との関連性を研究 していますが、今後動物個体を用いた安全性評価と 治療効果の評価を実施していく予定ですo また、皮膚生理の維持に対する超音波療法として・ 現在最もその効果が期待されているのが、皮膚のシ 酎ヒストレスと情報伝達・生体影響、スピンラベル 法を用いたタンパク質構造の解析、敏子間力顕微鏡 (Degltai lnstruments・ NanoScopem)による遺伝 子観察などの構造生物学もおこなっていますD特 に、培養細胞を用いた活性酸素の検出では、電子ス ピン共鳴装置(JES-REIX)・化学発光検出装置 (ATTOルミネノセンサーPNS)、フローサイトメタ- (BECKMAN-COULTER, Cytomics FC500) により、活性酸素の微量定量や活性酸素種の解析が 可能となっていますo詳しい研究内容および研究室 の詳細は以下HPをご覧下さいo (http : //www・lSC meiJl aC JP/ -radleal/labohome ) 研究関連のお問い合わせ、研究宅の訪問・見学は 随時受け付けていますoまた2006年度大学院生(悼 士課程前期・後期)も併せて募集していますニ 1 1 0 0 0 D2 0 8 6 4 2 asE2ulSO1^こ0^)W10e 平岡 和佳子 明治大学理_T学部物群紺生物物理第二研究室 助教授 00 0 5 10 power of ultrasound lVV] 〒214_8576 711崎市多摩Lf東三日ト1-1 TEL 044-934-7441 FAX 044-934-7911 E_mall - hlraOka@LSC melJl aC Jp 卸図1 MHz迫盲波によるメラニン合成脊索チロシナーゼの不 活性化 超音波TECHNO 20051ト12 117
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