平成27年度作新学院大学・作新学院大学女子短期大学部 入学式 式辞

平成27年度作新学院大学・作新学院大学女子短期大学部
入学式
式辞
よ
春風とともに列島を桜前線が北に過ぎるこの日に、ご来賓の方々、
ならびに新入生のご家族の皆様のご臨席のもと、若さと希望に燃え
た新入生を迎え、平成27年度作新学院大学・作新学院大学女子短期
大学部の入学式を挙行できることは、大学・短期大学部教職員の大き
な喜びであります。
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
いつく
晴れて本学への入学を果された皆さんを本日まで 慈 しみ育ててこ
られたご家族の皆様のお慶びはいかばかりかと拝察いたします。
また、夢と希望を抱いて母国を遠く離れて、生活習慣、気候風土、
言葉の異なる我が国において、勉学と研究に取り組まれる留学生の
皆さんを心から歓迎いたします。
作新学院大学は、経営学部、人間文化学部の2学部と、大学院経
営学研究科博士前期・後期課程、大学院心理学研究科修士課程の2
研究科を有する、地方の大学としては、学部から大学院まで学べる、
特徴をもった人文・社会科学系の総合大学です。また、本学には、
幼児教育に48年の歴史と伝統をもつ、栃木県で最初に設置された
作新学院大学女子短期大学部幼児教育科があります。
作新学院は、明治18年の建学から130年の歴史を有し、掲げ
る建学の精神は、「作新民」です。「作新民」は、中国の古典「大学」
おこ
にルーツを持ち、その精神は「新しい民を作せ」
、あるいは自らも「新
しい民となる」と読むことができます。わかりやすく云えば、
「新し
おこ
い民を作せ」とは、時代や社会の変化を能動的に捉え、自らの課題
1
として受け止め、その課題を解決する過程において、自分を変える
と同時に、社会を変える、そのような能力をもった人材を育成する
教育実践の場であることを意味しています。作新学院の名を冠する
大学・女子短期大学部は、
「作新民」から導かれる「誠実、勤労」と
「自学、自習」による自己変革を促し、固定化を廃し柔軟な精神と
思考力に基づく実学を重視しています。大学生として、学問を志す
皆さんのこれからの大学生活において、
「作新民」の精神がよき指針
となるよう願っています。
さて、作新学院大学・作新学院女子短期大学部を学びの場として選
んだ皆様は、本日から、女子短期大学部では2年間、大学では4年
間、大学院では2年間あるいは5年間、知的にも体力的にも最も活
力に満ちた人生の昂揚の時期に、この清原キャンパスにおいて、大
学生活を送ることとなります。
皆さんのこれまでの目標は、大学に入学することであったと思い
ます。本日、本学に入学し、その目標の第一歩は達成されました。
皆さんの次の目標は、
「大学で何を、どのように学ぶか」にあるに違
いありません。大学における学習は、皆さんの知的好奇心を刺激し、
拡大し、人間社会や自然界の奥にある本質を引き出し、更に未知な
る領域に挑戦し、課題解決に向けて実践する力を養うことにありま
す。そこでは異分野・異文化・異世界のことにも目を配り、既知の
事実を単に知識として「習う」ことではなく、これまで考えても見
なかったことを思考の対象として自ら事物に接し、そこから新たな
方法や技術を創り出し、新たな世界が見えるような自分になること
です。そのため本学は、
「知識を学ぶだけではなく、実学を学ぶこと」
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を教育目標として、大学生としての力量、別な言葉でいえば学士力
の育成を図る個性的な教育実践を目指しております。
これらの学びを進めるために、教育科目を精選し内容の強化を図
り、作新学院大学としての教育理念、教育目標に基づく学士課程教
育の充実を図っております。特に大学教育センターのキャリア・エ
クステンション機能として、税理士・公務員試験対策等の資格取得
講座をダブルスクールとして開講し、学生のキャリアアップ意識の
高揚を図る人材の育成に努めております。
各学部・学科における教育のアクセントは、次のようです。
経営学部は、経営学科においては21世紀の企業の経営と社会の
公共的経営を支える人材養成をめざし、昨年度開設したスポーツマ
ネジメント学科においては、2020東京オリンピック・パラリン
ピックをはじめ国民的関心が高いスポーツ及びスポーツ産業を支え
る人材養成を目指しております。両学科とも経営学を基礎基本とし
て教育研究を進め、マネジメント能力とビジネス・マインドを兼ね備
えたエキスパートの育成をめざし、地域社会の企業や公共事業、ス
ポーツ界の経営資源の開発や有効活用の手法をインターンシップ等
を体験して学びます。
人間文化学部においては、心理学・教育学・言語文化・社会科学
の教育を基礎として、とりわけ、特別支援学校教諭1種免許状と小
学校1種及び中学校・高等学校の国語と英語の1種免許状が取得で
きます。これらの学修を通じて、学校教育の現場において教員とし
て活躍し、また人間が抱える心理的な臨床課題と社会的諸課題の解
決に貢献する人材養成を目指しております。
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女子短期大学部に入学された皆さんは、将来保育者となって保育
所や幼稚園で働くことを希望していると思います。幼児教育科は、
21世紀を担う子どもたちをケアする「感性と知性と人間性」を備
えた学生の育成を教育目標としています。保育所や幼稚園における
幼児教育者にとって必要な専門的な知識や技術を習得することは基
礎基本として大切なことでありますが、同時に人間を心から愛する
ヒューマニズムの精神を幼児教育科のカリキュラムの中で、また保
育実習等を通じて培い、皆さんが、子どもを真に愛する保育者とし
て育っていかれることを心から期待しています。
さて、大学院に入学する皆さん。
世界はいま、大きな混乱と膠着のなかにあります。それから抜け
出す方向は明確であるとはとても断言できる状況にありません。大
学院生の皆さんへの社会からの強い期待は、社会への能動的な貢献
と世界の人々が安心して暮らせるグローバルな国際社会の創造です。
本学は、社会に開かれた高等教育の実践の場として、大学院教育を
重視しています。
経営学研究科は、世界に通用する生きた経営学を学ぶ場として、
「作新ビジネススクール」において働きながら夜間に学びMBAの
資格取得を目指す企業の方々や、アジアの国々からの留学生の皆さ
んの学びの場として高い人気を維持しております。
心理学研究科は、日本臨床心理士資格認定協会から臨床心理士1
種教育を行う県内唯一の大学院教育研究機関として認定を受け、昨
年度は10名の臨床心理士を輩出いたしました。本学のみならず他
大学を卒業された方々を多数大学院生として迎え入れて、大学院附
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属臨床心理センター「作新こころの相談クリニック」を開設し、教
員・学生による教育研究の実践を進め、地域の教育現場、家庭、病院、
事業所等の心理相談ニーズに応える人材を養成しています。
このように、本学の教育研究は、「地域に根ざし、地域から期待さ
れ、国際社会に通用する実学を学び、学生の実践の力を育む取組を
重視」しております。清原に開学して26年、初代船田周学長は開学
にあたり大学の姿勢として「北関東において小粒でもキラリと光る
大学」を目指すことを呼びかけました。爾来、大学と女子短期大学
部の卒業生は、社会の各界において、「作新民」の精神を発揮して、
地域の人々の輪の中で逞しい「応用力」と「誠実・勤労」を貫き活躍
しております。
ところで、大学生の生活は、大学における教育研究の学習だけで
はありません。本学は、学生が自主的に取組むスポーツ系・文科系
の課外活動を大学教育の一貫と位置づけ、昨年度においては人工芝
敷設によるサッカー場の整備を行うなど、クラブ・サークル活動を支
援し、学生時代にしかできない貴重な体験を奨励しております。ス
ポーツ系や文化系サークルは、全員で一つの目標に向かい突き進み、
喜びや感動、悔しさなどを分かち合う、友人との絆を深める重要な
活動です。
本学では、これらの学生の活動の優秀な成果を顕彰することにし
ております。たとえば、東日本大震災の復興支援ボランティア活動
功労賞の授与や、学生たちが町おこしの活発な活動を実施し、経済
産業大臣賞に輝きました。その他、地域交流・地域貢献活動への本
学学生の積極的参加は社会から高く評価され、学生の問題意識とや
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る気を引き出しています。本学は、後援会・同窓会をはじめ各界の
ご協力を得て、
「地域に根ざし、地域とともに歩む大学」として、こ
れらの学生たちの社会参加活動を支援し、真に「学生・市民から選ば
れる大学」として大学改革を進めております。
ときに、いま日本は、少子化と深刻な高齢化、過疎化という重い
現実から立ち上がろうと頑張っています。諸君は、これらの課題を
乗り越え、元気な日本を創っていくために、社会の中で自分は何が
できるのか、一人ひとりが考えながら、大学生として自らの活動を
進めてほしいと願っています。そして、諸君のその力は、東日本大
震災・原発事故からの復興に日夜励まれている人々と連帯し、また
全国の同世代の若者との「人間力」の絆に繋がるといっても過言で
はないでしょう。
さて、インドを独立に導いた非暴力・不服従の偉大なリーダーで
あるガンディーは、人生と学びについて、
「明日死ぬと思って生きな
(1)
さい。永遠に生きると思って学びなさい。
」
と言っています。この
名言は、論語の「朝に道を訊けば、夕べに死すとも可なり。」と似て
いますが、ガンディーには、民衆の側に立ってインド社会の改革を
い の ち
一人の生命の時間軸を超えて実現したいという強い決意が込められ
ている点で、論語の受動的(passive)な金言と似て非なる能動的
(active)なものがあります。物事を先延ばししないで、
「積極的」に
取組み、常に「広く深く学ぶ」心がけをもてと言っているのでしょ
う。さらにガンディーは、「もし、過ちを犯す自由がないのならば、
(2)
自由を持つ価値はない。
」
と言っております。失敗を恐れず前向き
に生きようと言っているのです。
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歴史を振り返れば、人類は様ざまな困難な課題に常に前向きの活
動をしてきました。その成果は、必ずしも明るいものばかりではあ
りませんが、皆さんは傍観者としてではなく、これらの課題解決に
一人の大人として自主的に前を向いて行動を起こすことが大切です。
何もしないでいるよりも、失敗を恐れずに行動を起こすことが大切
です。「やればできる!」「一歩前へ!」。これが私の日頃の叫びであ
ります。新入生の皆さんとこの意気込みを共有できれば幸いです。
最後に、新入生の皆さんが、試行錯誤や失敗を恐れず、多くの試
練を乗り越えて、大学生として活躍され、それぞれの成果をあげ、
この大学で学んでよかった、と実感できるよう勉学に励まれること
を期待し、式辞とします。
平成27年4月5日
作新学院大学・作新学院大学女子短期大学部
学長
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太田 周
(1) Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were
to live forever.
「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びな
さい。
」(1)
(2) Freedom is not worth having if it does not include the
freedom to make mistakes.
「もし、過ちを犯す自由がないのならば、自由を持つ価値はな
い。
」(2)
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