平成28(2016)年度 先端学際工学専攻 入試案内書(PDF:1910KB)

目 次
1.概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.出願手続き及び入学試験(一般コース)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
3.出願手続き及び入学試験(先端科学技術イノベータコース)・・・・・・・・・・ 4
4.先端学際工学専攻の各講座の研究内容及び所属教員名 ・・・・・・・・・・・・ 6
平成 28(2016)年度 先端学際工学専攻入試案内書
1.概要
本選抜は、
「平成 28(2016)年度東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」及
び本入試案内に基づいて実施される。特に出願資格、出願手続きなどの研究科共通の重要事項は
すべて募集要項に記載されているので、必ず参照すること。本入試案内では、募集要項を補って、
先端学際工学専攻に固有の部分を説明している。
なお、試験期間は、出願日程A及び出願日程Bの2通りに区分され、いずれの日程でも一般コー
ス及び先端科学技術イノベータコースへの出願が可能である。
<先端学際工学専攻>
先端学際工学専攻は、先端的科学技術に関する萌芽的・先導的な基礎 / 応用研究、および、そ
のような研究そのものに関する研究(Research on Research)について、教育・研究指導を行う。
更に、従来型の大学院教育に加えて、社会人に対する再教育としての大学院教育も行っているこ
とを特徴としている。このような大学院教育 / 研究を通じて、先端科学技術分野に関する独創的・
創造的な研究者のみならず、広い視野に立つ先進的・国際的な研究者、経営管理者、さらには先
端的・学際的な政策立案者の養成を図ることを目的としている。
【問い合わせ先】
東京大学 先端科学技術研究センター(東大先端研)
企画調整チーム教育研究支援担当
〒 153-8904 東京都目黒区駒場4-6-1(13 号館 1 階)
電話
03(5452)5385
FAX
03(5452)5398
【先端学際工学専攻の案内】
http://www.ais.rcast.u-tokyo.ac.jp/educationresearch/
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2.出願手続き及び入学試験(一般コース)
(1)出願資格及び出願方法
「平成 28(2016)年度東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」を参照。
(2)入学時期
出願日程Aにおいては平成 27(2015)年 10 月または平成 28(2016)年4月。
出願日程Bにおいては平成 28(2016)年4月。
(3)募集人員
一般コース及び先端科学技術イノベータコース合わせて 46 人 (4)授与する学位 博士(学術)又は博士(工学)
(5)指導教員 大学院入学者は、特定の指導教員の下で研究を行うので、入学希望者は、出願前に志望する
指導教員に必ず連絡をとり、これまでの履歴、研究歴、研究能力、研究展望等を踏まえての面
談を受けること。第2志望の教員がいる場合にも同様の手続きをとること。指導教員について
は、
「4.先端学際工学専攻の各講座の研究内容及び所属教員名」に記載されている教員から
選択すること。入学希望者は指導教員の氏名及び面談を行った日を「受験者調書」の所定の欄
に記入すること。
上記の手続きを怠った場合、受験できないことがあるので注意すること。
(6)入学試験の内容 本専攻では、外国語(英語)試験及び口述試験を実施し、その結果を総合的に判断する。各
試験の詳細は以下のとおり。
外国語(英語)試験:
本学の大学院修士課程修了者又は専門職学位課程を修了した者又は修了見込者以外には、
出願日程Aにおいては平成25(2013)年9月以降、出願日程Bにおいては平成26(2014)年2月
以降に受験したTOEFL公式スコアーの提出を義務付けている※1,※2。
口述試験:
大学学部卒業から現在までの研究実績についての総合的試問を行う。事前に提出した書類
に基づいて、研究実績及び研究計画を 12 分以内で発表すること。手順については、志望す
る指導教員から指示を受けること※ 3。
※1:ETS(Educational Testing Service)本部から受験者本人宛に送られた“Examinee Score Report”
のコピーを提出する他、別途、
“Official Score Report”が ETS から東京大学工学系研究科へ所定の
期限までに直接郵送されるよう、ETS にその発行を依頼することが必要となる。詳細は『平成 28(2016)
年度東京大学大学院工学系研究科大学院入学試験外国語(英語)試験に関するお知らせ(博士後期課
程)』を参照すること。
※2:出願日程 A では、7 月 21 日 17:00 までに公式スコアー(“Examinee Score Report”のコピー及び“Official
Score Report”
)を提出できなかった者に対しては、例外的に東京大学大学院工学系研究科が実施す
る TOEFL ITP 試験(8 月 31 日実施)の受験を許可する場合がある。
一方、出願日程 B では、12 月 24 日 17:00 までに公式スコアーが届かなかった場合、口述試験の受験
資格を失う可能性があるので留意すること。
※3:PC とプロジェクタを用いて発表する場合、持参する PC と試験室備付けのプロジェクタとの接続を
含め、機器の準備は受験者本人の責任において行うこと。
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(7)提出書類 出願の際には、別に配布される「東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」
の「7.提出書類等」に指定されているものに加え、次の書類も東京大学大学院工学系研究科
学務課大学院チームへ提出すること。
ア . TOEFL 公式スコアー
詳細は『平成 28(2016)年度東京大学大学院工学系研究科大学院入学試験外国語(英語)
試験に関するお知らせ(博士後期課程)』を参照すること。
(ただし、本学の大学院修士課程修了者又は専門職学位課程を修了した者又は修了見込者
を除く)
イ . 受験者調書(本冊子にとじてあるものを使用すること)
ウ . 研究成果報告書(大学学部卒業から現在までの研究実績についてまとめた資料。図表を含
めて A4 判任意用紙 4 ページにまとめること。英語であってもよい)
エ.研究論文等リスト(A4 判任意用紙に、研究論文、総説・解説論文、口頭発表、その他の
項目に分けて示すこと。英語であってもよい)
オ.研究計画書(A4 判任意用紙 2 ~ 4 ぺージにまとめること。英語であってもよい)
(8)その他
出願日程Aで受験した者のうち、平成 27(2015)年 10 月以降に修士の学位を取得する見込
みの者については、第 2 次試験(修士論文に対する審査)を、原則として平成 28(2016)年 1
月下旬又は 2 月上旬に実施する。試験期日等は第 1 次試験合格者に通知する。
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3.出願手続き及び入学試験(先端科学技術イノベータコース)
先端学際工学専攻には一般コースとは別に「先端科学技術イノベータコース(博士課程)」が設
置されている。
同コースは、主に企業研究者及び技術者に向け、先端科学技術をベースにイノベーションを生み
出す力を持った人材の育成を行うことを目的としたコースである。
(1)出願資格及び出願方法
「平成 28(2016)年度東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」を参照。
(2)入学時期
出願日程Aにおいては平成 27(2015)年 10 月または平成 28(2016)年 4 月。
出願日程Bにおいては平成 28(2016)年 4 月。
(3)募集人員
一般コース及び先端科学技術イノベータコース合わせて 46 人
(4)授与する学位 博士(学術)又は博士(工学)
(5)指導教員 大学院入学者は、特定の指導教員の下で研究を行うので、入学希望者は、出願前に志望する
指導教員に必ず連絡をとり、これまでの履歴、研究歴、研究能力、研究展望等を踏まえての面
談を受けること。第2志望の教員がいる場合にも同様の手続きをとること。指導教員について
は、
「4.先端学際工学専攻の各講座の研究内容及び所属教員名」に記載されている教員から
選択すること。入学希望者は指導教員の氏名及び面談を行った日を「受験者調書」の所定の欄
に記入すること。
上記の手続きを怠った場合、受験できないことがあるので注意すること。
(6)入学試験の内容 本コースでは、外国語(英語)試験及び口述試験を実施し、その結果を総合的に判断する。
各試験の詳細は以下のとおり。
外国語(英語)試験:
本学の大学院修士課程修了者又は専門職学位課程を修了した者以外には、出願日程 A に
おいては平成 25(2013)年 9 月以降、出願日程Bにおいては平成 26(2014)年 2 月以降に
受験した TOEIC 公式スコアー(IP テストは不可)の提出を義務付けている※ 4。
※ 4 : 出願日程 A では 7 月 21 日 17:00 まで、出願日程 B では 12 月 24 日 17:00 までに公式スコアーが届かな
かった場合、口述試験の受験資格を失う可能性があるので留意すること。
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口述試験:
大学学部卒業から現在までの研究実績についての総合的試問を行う。事前に提出した書類
に基づいて、研究実績及び研究計画を 12 分以内で発表すること。手順については、志望す
る指導教員から指示を受けること※ 5。
(7)提出書類
出願の際には、別に配布される「東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」
の「7.提出書類等」に指定されているものに加え、次の書類も東京大学大学院工学系研究科
学務課大学院チームへ提出すること。
ア.(財)国際ビジネスコミュニケーション協会から受験者に対して送付されたスコアー
(ただし、本学の大学院修士課程修了者又は専門職学位課程を修了した者又は修了見込者
を除く)
イ . 受験者調書(本冊子にとじてあるものを使用すること)
ウ . 研究成果報告書(大学学部卒業から現在までの研究実績についてまとめた資料。図表を含
めて A4 判任意用紙 4 ページにまとめること。英語であってもよい)
エ.研究論文等リスト(A4 判任意用紙に、研究論文、総説・解説論文、口頭発表、その他の
項目に分けて示すこと。英語であってもよい)
オ.研究計画書(A4 判任意用紙 2 ~ 4 ぺージにまとめること。英語であってもよい)
(8)その他
出願日程Aで受験した者のうち、平成 27(2015)年 10 月以降に修士の学位を取得する見込
みの者については、第 2 次試験(修士論文に対する審査)を、原則として平成 28(2016)年 1
月下旬又は 2 月上旬に実施する。試験期日等は第 1 次試験合格者に通知する。
※ 5:PC とプロジェクタを用いて発表する場合、持参する PC と試験室備付けのプロジェクタとの接続を含め、
機器の準備は受験者本人の責任において行うこと。
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4.先端学際工学専攻の各講座の研究内容及び所属教員名
先端学際工学専攻を構成する各講座(分野)の研究内容及び所属教員は、次のとおりです。
インテリジェント
材料学
(物質デバイス系)
今世紀の人類にとって最大の課題のひとつであるサス
テイナブルエネルギー獲得と地球環境の保全・浄化をめ
ざし、環境と調和した新規機能物質の合成、およびそれ
らを効果的に利用できるシステムの開発に取り組んでい
る。太陽光利用を目指し、光化学・光物理学をバックグ
ランドとした研究と、分子生物学・微生物学・電気化学
を基礎とする微生物を利用したエネルギー変換システム
開発に関する研究を並行して展開している。
具体的な研究課題は大きく以下の4つに分類できる。
1. 電気・光・化学エネルギーの相互変換を支える電極触
媒
1. 1 二次電池および燃料電池のための電極触媒の開発
1. 2 有機/窒素化合物処理のための電極触媒の開発
2. 人工光合成に向けた無機分子光材料
2. 1 デザインの柔軟性と光耐久性を備えた触媒材料の
開発
2. 2 電子/水素イオンの流れが制御された触媒材料の
開発
3. 微生物を利用したエネルギー・物質変換系
3. 1 細胞外電子移動に基づく廃水・汚染土壌浄化シス
テムの開発
3. 2 電気化学的知見に基づく微生物腐食抑制法の開発
3. 3 電気化学的手法によるバイオ物質生産システムの
開発
3. 4 生細胞代謝・遺伝子発現の電気化学制御法の開発
4. ナノ構造を持つ高効率有機薄膜太陽電池
4. 1 ナノ構造制御を目指した新規半導体高分子の設計
と合成
4. 2 分子自己組織化を用いた界面電荷移動制御
橋本和仁 教授
金属ナノ粒子・ナノ構造のプラズモン共鳴を利用した、 立間 徹 教授
エネルギー・情報変換材料(光電変換素子、多色フォト (兼担)
クロミック材料、光アクチュエータなど)の研究・開発
を行う。
知能工学
(情報システム系)
知能工学の研究の目的は、獲得したさまざまなデータ 岩崎 晃 教授
から役に立つ情報を取り出し、さらには人間や社会にと
って有益な知識を創出することにある。以下に当研究室 矢入健久 准教授
の主な取り組みを述べる。
(兼担)
1.大量のデータをどのように利用するかが、人類にと
って大きな課題である。近年、さまざまな人工衛星
や惑星探査機の観測データが利用できるようになっ
てきた。宇宙機やセンサ特性に推定技術を応用する
ことで、高精度なモデルの構築が可能となる。地図
作成や特徴抽出を自動的に行い、遠隔探査を効率的
に支援する手法の研究を行う。また、光学センサの
再構成を可能にするハードウェアを開発し、センサ
そのものの知能化を試みる。
6
2.ロボットや人工衛星に代表される様々な複雑人工シ
ステムを知能化・自律化する技術を研究する。特に、
機械学習・データマイニングおよび確率的推論を応
用して、超多次元センサーデータからシステムの異
常や不具合予兆を検知し診断する方法を研究する。
また、移動ロボットなどの自律システムが様々なセ
ンサーデータから自己や環境の状態およびモデルを
効率的に推定する技術の研究を行う。
科学技術論・科学
技術政策
(研究戦略・
社会システム系)
特定の制度のもとイノベーションを推進する多様なア
クター間に働くノン・リニアーな相互作用としての“共
創”関係をダイナミックな知識創造プロセスに着目して
研究する。特許、科学論文を対象にビブリオメトリック
分析等をすることによって現実の知識創造のプロセスと
メカニズムに関する理解を深め知識創造のモデル化を目
指す一方、多様な専門家と連携し、情報可視化技術を仮
説形成・検証プラットホームとして利用し知識科学や組
織戦略の数理モデルを逐次高度化することで、組織の壁
を越えた“共創”から知識を連鎖的に産むための手法を
研究する。
馬場靖憲 教授
現状の科学技術政策について経済学、経営工学、政治 元橋一之 教授
学などの学際的アプローチによって分析を行い、今後の (兼担)
あり方について提言を行うことを目指す。ここでの科学
技術政策は、企業における新製品開発などのイノベーシ
ョンを促進するための政策を示し、研究開発補助金や税
制などの直接的な支援策の他、産学連携、知的所有権政
策、ベンチャー企業を育成するための資本市場のあり方
など幅広い分野の政策を示す。研究のテーマとしては、
特定の政策分野に関する研究のほか、日本企業のイノベ
ーションシステムを巡る環境の変化とその対応といった
制度全体にかかる問題への取り組みもあり得る。定量的・
定性的なデータを用いて、現状の問題点を明確化し、そ
の解決に向けて必要となる具体的な提言を導出するため
の実証的な研究に主眼において指導を行う。
なお、本分野における研究内容については、
http://www.mo.t.u-tokyo.ac.jp/ も参照されたし。
科学技術論分野においては、科学技術の内的な発展と 橋本毅彦 教授
ともに、その社会との複雑な相関関係を、さまざまな地 (兼担)
理的場所、歴史的時代に関する事例の分析を基にして研
究することを目的とする。主として歴史的な観点から、
日本と欧米における科学技術の発展とその経済・社会・
文化との関係を調査検討し、そのような歴史的調査に基
づき、科学技術と社会の関係をより広い観点と枠組みか
ら考察していくことを目指す。
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バリアフリー
現代社会に生きる障害者や高齢者には、生活上のさまざ
まな「バリア」が存在する。それらのなかには、住宅や道
路などにかかわる「物理的バリア」
、情報へのアクセス等を
めぐる「情報・文化のバリア」
、人々の意識にかかわる「心
のバリア」
、そして、社会のシステムが内包する「法制度の
バリア」等が含まれる。本バリアフリー分野では、これら
の多様な「バリア」の具体的実態を明らかにするとともに、
これらの「バリア」が生み出される機制、相互連関、思想
的背景等の諸要因を構造的に分析し、
「バリア」撤廃をめざ
す研究を進める。なお、本分野では障害者を中心とする「当
事者」の視点や生活実感を研究の立脚点として重視する。
福島 智 教授
当事者研究
当事者研究とは、障害や病気を持った本人が、仲間の
力を借りながら、症状や日常生活上の苦労など、自らの
困りごとについて研究するユニークな実践である。当事
者研究は統合失調症を持つ人々の間で行われ始め、徐々
に、依存症や脳性まひ、発達障害など、様々な困りごと
を持つ人々の間に広まった。我々は、仮説生成と検証、
グループ運営技法、回復効果という、当事者研究が持つ
3 つの側面に注目している。具体的な研究トピックは、
以下のようになる。
1. 当事者研究による仮説生成とその検証
2. 当事者研究における語りの会話分析と自然言語処理
3. 当事者研究の効果に関する臨床研究
熊谷晋一郎 准教授
人間支援工学
テクノロジーによる障害補償を前提にした新しい福祉や特
別支援教育を学際的視点から研究する。
新規技術を開発するよりはむしろ既存の技術をどのように活
用するか,
また,障害のある人のエンパワメントだけでなく環境調整
をどのように行うかといった研究アプローチを特色とする。
現在の主たる研究テーマを以下に示す。
(1)テクノロジーを利用した学習障害支援
(2)ICTを活用した就労支援
(3)デジタルペンを用いた論理的思考
(4)支援技術データベース開発
(5)テクノロジーと教育や福祉における能力感
中邑賢龍 教授
障害のある人や高齢の人に役立つ情報技術を応用した
支援技術の研究開発を行う。この際,タブレット PC や
インターネットなどをはじめとする主流技術をベースと
することで,支援技術の普及促進をはかる国際的スキー
ムの提案を目指す。工学的アプローチを軸にしながら,
当事者のニーズに立ち,現場に密着した学際的研究を実
施する。現在の主な研究テーマは以下の通り。
(1)学習に役立つ情報技術をベースとした支援技術開発
巖淵 守 准教授
支援情報システム
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近藤武夫 准教授
(2)重度重複障害へのコンピュータビジョンを用いた支
援技術開発
(3)携帯電話やインターネットを利用したコミュニケー
ション支援システムの開発
(4)開発途上国向けの支援技術開発
技術経営・知的財産に関する研究として
技術経営
①企業の知的財産経営に関する研究:企業における不確 渡部俊也 教授
実な技術の知的財産管理に関する研究を行っている。 (平成 28 年度
特に技術の公開に際した知的財産管理については企業 新規学生受入せず)
(兼担)
への質問票調査などによる研究を実施中。
②技術と知的財産の「質」と「評価」に関する研究:技
術の経済的価値および特許の法的価値評価についての
実証的研究を行いながら、実践的な評価ツールなどの
提案を行っている。
③産学連携と技術移転における知的財産管理に関する研
究:大学の知的財産管理が共同研究に与える影響や、
技術移転機関のライセンスパフォーマンスの分析から
効果的な知的財産管理手法を研究するなど、産学連携
における知的財産管理の経営学的研究を行っている。
④知的財産分野の人材育成に関する研究:エグゼクティ
ブスクール方式の社会人教育を行うプログラムを通じ
て、社会人に対する知的財産人材の育成手法の研究を
行っている。
これらの研究とは別個、材料系の実験系の研究を行っ
ている。詳細は http://www.watanabelab.rcast.u-tokyo.ac.
jp/gaiyo/theme1.html を参照。
ファイナンス
金融システムや資本市場の機能が経済活動や経済主体
の厚生とどのように関わっているかという問題を研究す
る。特に、資産価格理論を中心とした分野において理論
的、実証的研究を行なう。
また、市場の効率性やミクロ構造にかかる資本市場分
析の諸論点をとりあげ、政策的インプリケーションや制
度設計等について、工学的手法も活用しつつ研究する。
藤井眞理子 教授
マクロ経済分析
マクロ経済学の分析対象は一国全体、あるいは地域全
体の経済活動であり、現実の経済データから観測される
経済成長や景気循環の現象を生み出している仕組みを解
明し、国民全体で社会的に望ましい資源配分を実現する
ような政策を提案することをその目的にしている。
主な研究課題として経済データから景気変動における
政策変更や生産技術の役割を適切に識別するための時系
列分析の手法を開発することがある。またマクロ経済シ
ステムの評価に役立つ動学的確率的一般均衡モデルをデ
ータから直接推定するための方法も比較検討し、実証分
析に応用している。
新谷元嗣 教授
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政治行政システム
主として日本を中心とした欧米諸国の政治システムの構
造と動態を分析する。その際には、行政学・公共政策学
などにもとづき、官僚制と行政システムの機能分析を重
視する。また、日本政治の分析に際しては、歴史学のア
プローチに依拠し、オーラルヒストリーも積極的に活用
する。
イスラム政治思想
現代の国際社会においてイスラム教が政治的な集合行 池内 恵 准教授
動をもたらす過程を、理論的にまた歴史的に研究する。
イスラム諸学の体系を包括的にテキスト分析するととも
に、映像メディアや電子メディア上におけるムスリム公
共圏の発達を、思想史と政治学、社会理論の諸アプロー
チを併用して分析する。国家と権力、正統性と責任義務、
戦争と平和といった現代イスラム政治思想を理論的・歴
史的に研究し、中東を中心としたイスラム諸国の現代政
治分析に結び付けていく。ペルシア湾岸産油国を中心と
したイスラム諸国による環境・資源エネルギー戦略や、
イスラム科学論とイスラム経済論を始めとする独自の自
然科学・社会科学論の可能性と限界を検証する。
化学認識機能材料
低エネルギーでの情報記録・変換や高効率のエネルギ 宮山 勝 教授
ー変換・貯蔵の実現を可能にするため、強誘電体や電池 (兼担)
用電極材料などの機能材料について、機能発現機構の解
明、新規な機能の設計、材料創製のための化学プロセシ 野口祐二 准教授
ング開発を行う。
(兼担)
(1)酸化物強誘電体・圧電体の高品質単結晶育成と高特
性化のための欠陥エンジニアリング、
(2)高出力・高エ
ネルギー密度をもつ電気化学スーパーキャパシタの材料
設計、
(3)イオン伝導性無機有機複合電解質材料の開発
とそれらの中温度用燃料電池への展開
量子情報物理工学
量子力学の原理をあらわに活かした新しい情報処理・ 中村泰信 教授
通信,精密計測などへの応用を目指す量子情報科学に関
する研究を行う。特にナノスケールの電子・光デバイス 宇佐見康二 准教授
における量子状態の制御・計測に関する物理および工学
を探究する。
(1)超伝導量子回路における量子ビットとマイクロ波光
子の相互作用の制御と観測に関する研究。
(2)異なる量子系の間のコヒーレントなインターフェー
スとなるハイブリッド量子システムの研究。
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牧原 出 教授
高信頼性材料
高機能材料
光デバイス
極小デバイス理工学
安全・安心な社会を構築するために新しい機能を持つ 香川 豊 教授
構造材料という分野からの研究を行う。研究分野は、高 (兼担)
信頼性材料の特性設計、高信頼性材料の評価、高信頼性
材料と電磁波の相互作用と相互作用の非破壊検査への応
用、高信頼性材料のプロセス技術、などである。対象と
する材料は繊維強化プラスチックス、セラミックス系複
合材料、ナノ複合材料である。エネルギーや環境問題に
答える高温用機能コーティングや耐熱コーティングも重
要な研究分野である。これらの研究を行うために、界面
力学特性解明を理論と実験の両面から行う。
化合物半導体の光機能とその光デバイスへの応用につ
いて研究している。我々が独自に開発した III-V 族化合
物半導体ヘテロエピタキシャル成長技術を活用して,レ
ーザー光波長変換用の非線形光学デバイスの開発をおこ
なっている。また,金属ハライドペロブスカイト型半導
体を用いた高効率太陽電池の研究にも取り組んでいる。
主な研究テーマは
(1)化合物半導体の副格子交換エピタキシーの研究
(2)高機能波長変換デバイスの開発
(3)非線形光学材料の研究
(4)ハロゲン化鉛ペロブスカイト型半導体と類似物質の
基礎物性の研究
(5)金属ハライドペロブスカイト型半導体を用いた太陽
電池の研究
近藤高志 教授
光の持つ情報伝達・処理能力を、量子力学的並びに情 菊池和朗 教授
報理論的限界まで発揮させるための光デバイスに関し、 (兼担)
新しい原理の探索、デバイスの設計・試作・評価などの (平成 28 年度
研究を行う。特に、量子雑音の制御を行うためのデバイ 新規学生受入せず)
スと非線形光学効果を駆使した超高速光情報処理デバイ
スを研究対象とする。
半導体シリコンマイクロマシニング技術を用いて微
小な機械構造を電子回路と集積化するMEMS(Micro
Electro Mechanical Systems)の研究を行っている。また
最近では、印刷技術を応用した大面積MEMS分野にも
展開している。主な研究テーマは次の通りである:
(1)半導体マイクロマシニング、MEMSプロセス、マ
イクロアクチュエータ(2)MEMS技術の光応用(光フ
ァイバ通信、レーザー画像ディスプレイ、光学計測機器、
光ファイバ内視鏡)
(3)MEMS技術の無線通信応用(マ
イクロ波スイッチ、移相器、モノリシック集積化RF-
MEMS)
(4)集積化MEMSプロセス、マルチフィジ
クス統合設計理論(5)印刷技術による大面積MEMSと
その応用(電子ペーパー、電子サイネージ)
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年吉 洋 教授
三田アニエス 准教授
極小デバイス
高効率かつ安全なグリーン情報社会の実現に向けて、 荒川泰彦 教授
「量子ドット」や「フォトニック結晶」等のナノ構造を用 (兼担)
いて、次世代ナノフォトニックデバイスおよび量子情報
技デバイスの基礎・開発研究を推進している。主な研究 岩本 敏 准教授
テーマは次の通りである。
(1)量子ドットやフォトニッ (兼担)
ク結晶形成のための結晶成長(MBE および MOCVD)
・
プロセス技術開発(2)半導体ナノ構造による光・電子・
スピン物性制御の探究(3)量子ドットレーザ、フォトニ
ック結晶ナノ共振器レーザ、量子カスケードレーザなど
次世代ナノフォトニックデバイス等の開発研究(4)単一
光子発生素子、量子もつれ制御素子など量子情報デバイ
スの研究(5)フレキシブル CMOS など有機半導体デバ
イスの基盤研究
気候変動科学
地球の大気循環系を構成する様々な要素とそれらの多 中村 尚 教授
様な時間規模の変動について,観測データの力学的診断
及び数値モデリングにより研究する。我々の目標は,こ 小坂 優 准教授
れらの個々の現象のメカニズムとそれらの相互連関だけ
でなく,それらと海洋や雪氷,陸面過程との相互作用を
解明することである。この観点から,地球気候系に生起
する自然変動・異常気象のメカニズムや予測可能性を探
求し,さらに人為起源の地球温暖化に伴って大気循環系
の平均状態が地域的・季節的にどう変化し,その自然変
動が如何なる変調を被るかについても,数値気候モデル
予測データの詳細な解析を通じて調査し,気候の将来予
測とその不確定性の吟味を行なう。さらに,将来の気候
予測への参考と現在気候系の解析から得た仮説の検証の
ために , 最終氷期など古気候の数値気候モデルによる再
現実験データの解析も行なう。
エネルギー・環境
次世代太陽電池の実現を目指し、近赤外吸収色素・共 瀬川浩司 教授
役系高分子・有機金属化合物・無機ナノ材料・半導体
量子ドットなどのデザインと合成、これらを含む様々な 久保貴哉 特任教授
有機無機ハイブリッド構造の構築、時間分解分光法や電
気的測定などを用いた光電変換過程の基礎研究をおこな
う。また、実用化研究として、高精細プリント技術や高
精度基板貼り合わせ技術を駆使し、大型太陽電池セルの
作製を行う。さらに、日射条件や照明環境に依存して発
電量が変動する太陽電池の弱点を補うための蓄電機能内
蔵太陽電池の作製など、新構造太陽電池の研究を幅広く
行う。主な研究テーマは以下の通りである。
1.色素増感太陽電池・有機無機ハイブリッド太陽電池
の研究
1.1 高効率色素増感太陽電池に向けた新規色素系の研
究
1.2 有機金属ハライド化合物太陽電池(ペロブスカイ
ト太陽電池)の研究
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1.3 界面錯体を用いた光電変換デバイスの構築
1.4 ナノクレイを用いた擬固体型太陽電池
1.5 コロイド量子ドットと無機ナノ材料を用いた太陽
電池
2.新構造有機系太陽電池の研究
2.1 超高効率有機系太陽電池(分光タンデム太陽電池
など)の研究
2.2 蓄電機能内蔵太陽電池(エネルギー貯蔵型色素増
感太陽電池)の研究
2.3 高付加価値太陽電池デザインパネルの研究
新エネルギー
理論化学
情報デバイス
従来にない新しい半導体材料や量子ナノ構造を導入し 岡田至崇 教授
て、太陽電池の変換効率を画期的に高めるための研究を
行い、再生可能エネルギー技術のイノベーション創成を 曽我部東馬 特任准教授
目指す。主要な研究テーマは以下のとおりである。
(1)変換効率 45%以上の実現に向けた多接合太陽電池 アーサン ナズムル 特任准教授
に必要となる新しい化合物半導体材料の薄膜単結晶
成長技術
(2)自己組織化成長法を用いた 3 次元量子ナノ構造・超
格子の作製、及び光電変換メカニズムの評価解析
(3)量子ナノ構造マルチバンド太陽電池及び集光型太陽
電池モジュールの作製と評価
(4)エピタキシャル・リフトオフ法による薄膜太陽電池
(5)ナノ構造加工による低反射損失光学系の作製
以上の太陽電池材料の物性やナノ構造中における光電
変換メカニズムの基礎に関わる議論を行うにあたり、本
研究室では国内だけでなく海外機関との研究協力を重視
している。
タンパク質分子はアミノ酸残基から構成されており、 石北 央 教授
触媒、輸送体、センサー等として機能します。当研究室
では、タンパク質の機能を分子構造に基づいて理解する
ことを目標に、理論化学的手法を利用して研究に取り組
んでいます。
光ファイバ通信技術は現在の通信ネットワークの根幹 山下真司 教授
を支える技術である。本講座では光ファイバを中心とし
たデバイス・サブシステムとその通信およびセンシング
応用に関する研究を行なっている。主要な研究テーマは
以下のとおりである。
(1)カーボンナノチューブ・グラフェンフォトニックデ
バイスとその応用
(2)短パルスモード同期光ファイバレーザとその応用
(3)高速波長掃引光ファイバレーザとその応用
(4)非線形光ファイバとその応用
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半導体レーザ/発光ダイオード,太陽電池,光スイッ
チ,光集積回路などの光エレクトロニクスデバイスとそ
のエネルギーおよび情報通信応用に関する研究を行って
いる.主な研究テーマは次の通りである:
(1)III 族窒化物,InP/GaAs 系化合物半導体量子構造
の有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)と
微細加工技術,
(2)大規模・高速マトリックス光スイッチ,
(3)モノリシック光波合成光集積回路,
(4)光マイクロマシン(MOEMS),
(5)光インターコネクト,
(6)フォトニックネットワーク,
(7)化合物半導体超高効率太陽電池,
(8)ソーラーフュエル,
(9)太陽光を機軸とする持続可能エネルギーシステム.
中野義昭 教授 (兼担)
種村拓夫 准教授
(兼担)
情報物理システム
社会が安心して依存できる高性能・高信頼計算システ 中村 宏 教授
ムの実現を目指し,多様なシステム階層を統合するフォ (兼担)
ールトトレランス技術,非同期事象駆動原理による並列
分散計算システム,ソフトウェア/ハードウェア設計を
統合する VLSI 設計方法論,高性能低消費電力 VLSI シ
ステム,高信頼ネットワークオンチップ VLSI システム
の開発に関する研究を行う。
都市保全システム
「都市保全に関する研究を総合的、実証的に行うため、
都市保全に関する制度の比較研究、制度史研究、各都市
における実態調査などをふまえた政策提言、都市景観の
保全と創造へ向けた計画論の構築、各都市の実態調査、
海外との比較研究、アジア都市の研究など、都市保全の
計画に関する調査究を行っている。」
「また、日本およびアジア諸都市を中心とした水環境
の調査、水供給システムの検討、水処理技術の開発と評
価など、健全な都市活動の維持に欠かせない水をめぐる
諸課題について、工学的アプローチによる解決を目指し
ている。特に、紫外発光ダイオードなど紫外線を利用し
た水処理技術の開発に力を入れている。」
生命知能システム
西村幸夫 教授
(平成 28 年度
新規学生受入せず)
小熊久美子 准教授
情報学・工学・生物学の融合により,生物の脳神経系 神崎亮平 教授
がもつ環境適応能力を理解し,その応用をめざす.モデ
ル生物として培養神経細胞,昆虫,ラットを対象とする. 高橋宏知 講師
脳神経系をニューロン・神経回路・行動にいたるマルチ
スケールで分析し,その数理モデルをロボットにより実
世界で検証することで,脳神経機能を解明する.また,
生物(脳神経系)と機械システムを融合した実験系や,
遺伝子改変技術によりセンサ(感覚器)や神経機能の一
部を人為的に改変した実験系により,行動を任意に制御
することで,適応行動の発現機構を解明し,適応能力を
有した機械システムの設計指針に迫る.
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【廣瀬・谷川・広田 担当】
人間と計算機を分かちがたく一体化し、全体として高
度な情報処理システムを構築するための技術をサイバネ
ティック・インタフェースと呼ぶ。本講座では、バーチ
ャル・リアリティ技術を端緒として、この種のインタフ
ェース技術について、様々な角度から研究をおこなう。
特に、システムの開発にとどまらず、それによって生
みだされるであろう新しいコンテンツについても重視す
る。具体的には、高品位な仮想環境を広帯域ネットワー
クで結合することによって実現される空間共有システム
の研究、触覚インタフェースをはじめとするマルチモー
ダル・インタフェースの研究、複合現実感・ウェアラブ
ルコンピュータに関する研究などである。
製造情報システム
廣瀬通孝 教授
(兼担)
谷川智洋 講師
(兼担)
広田光一 准教授
(兼担)
製造分野における情報システムに関して次の二つの分 鈴木宏正 教授
野について研究を行う。第一は、製品開発力強化のため (兼担)
のデジタルエンジニアリングシステムに関するものであ
る。実務フィールドとの連携をもちながら、3 次元空間 日暮栄治 准教授
や形状及びスキャニング情報を扱うモデリング技術を武 (兼担)
器に、その問題解決を目指す。特に、大規模メッシュモ
デルやサブディビジョンサーフェス、ボリュームなどの
離散幾何モデリングの基礎理論・手法について研究する。
さらには、これらの技術を製造分野だけでなく、CG や
人体のモデリングへと展開する。
第二は、次世代の情報システムを実現し製造する上で
鍵となる光マイクロシステムの実装技術に関するもので
ある。特に、多様な光素子を高密度集積するための異種
材料低温接合技術、表面実装技術、パッケージング技術
の研究を進めている。これらの技術を用いて、高感度セ
ンシングデバイス、高機能光マイクロマシンなどの新デ
バイスの実現にも取り組んでいる。
異種材料界面を自由に接合・分離する新しいコンセプ 須賀唯知 教授
ト「可逆的インターコネクション」を研究している。こ (兼担)
れは従来ないフレキシブルで環境調和性の次世代システ
ムレベルパッケージングを実現する手法であり、特に界
面制御に基づく表面活性化による常温接合法(SAB)の
確立を目指している。また、マイクロマシニングを利用
した新しい実装関連技術の開発、マイクロ電気機械シス
テム(MEMS)の実装技術に関する研究を行う。
情報ネットワーク
ビッグデータ/モノのインターネット/ M2M(Mach ine- 森川博之 教授
to-Machine)時代の情報ネットワーク社会はどうあるべ
きか,将来のネットワークを構築するにあたっての基盤
技術は何か,といった点について明確な指針を与えるこ
とが研究目的である.
「社会基盤としての ICT」「エクスペリエンスとしての
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ICT」を実現する情報基盤/インフラストラクチャの構
築に向けて,現在のネットワークを再度根本から捉え直
し,新たなるフレームワークを構築することを目指して
いる.また,革新的な次次世代ネットワークの利用技術,
コンピューティング環境のあり方を示唆することも目指
し,
「新しいネットアーキテクチャの開発」「ユニークな
アプリケーションプロトタイプのデモ」といった両面か
ら研究開発を進めている.具体的には,
― ビッグデータ/モノのインターネット/ M2M
― センサ
― モバイル/ワイヤレス
などのグループが,ユビキタス実験環境を有機的に利用
しながら研究を行っている.
数理創発システム
数理科学を用いて様々な複雑システムにおける創発現 西成活裕 教授
象の解明と応用を目指す。特に「渋滞学」として、様々
な集団運動の流れと渋滞について分野横断的な研究をす 小泉宏之 准教授
る。対象として車、人、アリ、物流からインターネット、 (兼担)
そして生体内タンパク質の流れなどを解明する。理論だ
けでなく、計算機シミュレーション、そして社会実験や
観測をおこない、渋滞現象の解明と解消を目指す。具体
的な研究テーマ例は以下の通り。
1)車の渋滞を未然に防ぐシステムの構築、および渋滞
吸収走行の理論と実践
2)道路や空港ネットワークの理論解析と物流の効率化
3)人の集団行動における数理と応用、空港内、駅構内
などの人の流れの最適化
4)蟻などの生物の集団行動と創発現象の解明
5)企業の生産システムの効率化、サプライチェーンネ
ットワークでの物流
6)粉粒体と自己駆動粒子の関連についての実験的研究
光製造科学
本講座においては,次の二つの分野について研究を行う. 高橋 哲 教授
第一は,次世代の超精密ものづくりを実現するため,我々生
命体の根源をなす“光”エネルギを媒体とした新しいマイク 小谷 潔 准教授
ロ / ナノ加工・計測・生産技術に関する研究を推進する.具
体的には,レーザー応用ナノインプロセス計測,レーザー応
用ナノ加工に代表される先進製造を実現するための要素技術
開発とともに,新しいマイクロデバイス生産システム概念と
なるセルインマイクロファクトリを提唱し,その確立を目指
している.
第二は,生体計測技術と数理解析理論(非線形動力学・統計
物理学など)を融合し、複雑な生命現象の動作原理を明らか
にすることを目指す.そのうえで、得られた生命現象に関す
る知見を製造現場作業者支援技術・診断技術・リハビリテー
ション・ヒューマンインタフェースなどに応用する研究を行う。
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生命反応化学
「分子設計」をキーワードにした有機化学と生命科学の 岡本晃充 教授
ボーダーレス研究:有機化学の考え方を生物学・遺伝学
の分野へ積極的に導入することによって、生命の神秘を 山口哲志 講師
解き明かせないだろうか?生体高分子そのものを化学合
成したり、新しい化学反応を創り出したり、新たな機能
性人工生体高分子をデザインしたりすることによって、
生体高分子の個々の官能基もしくは原子が生命現象にど
う関わっているかを系統的に理解できる新分野のパイオ
ニアを育成する。研究室では、最新の有機合成化学、光
化学、分光学、分子生物学的手法などの広範な学問領域
を駆使して、次のようなプロジェクトを進めている。
(1)核酸を創る化学
核酸は、生命機能をつかさどる鍵分子である。核酸の
エピジェネティックな修飾を特異的に認識するための新
規化学反応や機能性生体高分子を創出する。細胞内での
核酸機能を可視化するための超機能的光化学を追求する。
(2)タンパク質を造る化学
タンパク質は、翻訳後修飾を受けることによってその
機能を大きく変える。特定の翻訳後修飾を含むタンパク
質やペプチドを化学的に合成する。タンパク質の翻訳後
修飾を特異的に認識/可視化するための新規化学反応を
創出する。
(3)細胞機能を御する化学
細胞機能は、精緻な分子デザインによって制御できる
かもしれない。細胞内に導入した後に外部刺激によって
機能発現する分子や細胞を含むことによって細胞機能を
特定の方向へ導く分子を創製する。
ケミカル・バイオ
テクノロジー
当研究室では、化学的思考と技術を生物学に積極的に 菅 裕明 教授
取り入れることで、これまで単独領域の思考や技術では (兼担)
解決が困難であった研究課題に 挑む。また、サイエンス
(科学)とテクノロジー(科学技術)のバランス良い研究
を推進することで、新パラダイムを築く科学的知見の獲
得や汎用性の高い NEW バイオテクノロジーの開発、創
薬にまで繋がる 研究を展開する。さらに、研究教育を
通して、独創的で国際感覚に溢れた人材の育成も目指す。
現在推進している研究プロジェクトは:
■遺伝子暗号のリプログラミング
アミノシル tRNA 合成酵素リボザイムの翻訳システム
への応用
-特殊ペプチドの翻訳プログラム合成
■特殊ペプチド創薬
特殊ペプチド薬剤の探索をおこない、ケミカルバイオ
ロジーへと展開する
-特殊環状ペプチドライブラリーの構築
-抗癌、抗ウイルス剤の探索
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■新規RNA触媒(リボザイム)の創製
RNA ワールドの実験的検証とバイオテクノロジーへ
の応用
-アミノシル tRNA 合成酵素機能
-リピッドの生合成機能およびレドックス機能
■クオラムセンシング
グラム陰性菌に存在する同種・異種細胞密度感知シス
テムを標的とした 新規抗菌システムの開発
システム生物医学
【血管システム分野 児玉・南 担当】
児玉龍彦 教授
現在の高齢化社会における三大死因(がん、脳梗塞、
心筋梗塞)のひとつの引き金となる血管疾患(動脈硬化、 和田洋一郎 教授
血栓症、病的血管新生)の原理、機構、病態解明を目標 (兼担)
としている。そのため血管内皮細胞を用いた分子生物学、
細胞生物学に基づく先端技術をもとに、動的な内皮細胞 井原茂男 特任教授
応答を遺伝子転写調節を中心とし、研究をすすめている。
柴崎芳一 特任教授
(平成 28 年度
新規学生受入せず)
【代謝内分泌システム分野 田中 担当】
生活習慣病発症におけるシステムの破綻の解明と治療 藤谷秀章 特任教授
法の開発を目標としている。特に、核内受容体の生理的
機能、組織あるいは細胞特異的な発現、リガンド特異的 南 敬 特任教授
に形成される転写複合体を明らかにするため、抗体を用
いた局在解析,クロマチン免疫沈降やタンパク複合体解 田中十志也 特任教授
析を進めている。
【メンブレントラフィック分野 柴崎 担当】
細胞内生体分子の局在や輸送を対象にして、特に膜表
面での分子間相互作用や細胞骨格制御により、どのよう
に調節されるかを探り、膜ダイナミクスを生細胞画像も
駆使して解析する。さらに、Akt やその調節機構などの
細胞内シグナル伝達が局在、輸送とどのように関わって
いるかを解析し、生活習慣病の病態解明に新しい視点を
提供する。
【ダイナミカルインフォマティクス分野 井原 担当】
細胞を多数分子の集合体からなるシステムとみなし、
その動的メカニズムを解明する。実験結果のデータベー
ス、情報処理環境を構築するとともに、データマイニン
グ、文献検索からのパスウェイ抽出、分子間相互作用の
関係性を明らかにするネットワーク解析を中心に、刺激
よって引き起こされる転写メカニズムとその協調作用を
解析する時系列シミュレーション、エピゲノム解析など
の研究を推進する。実際の応用にはこれらの技術を統合
化し、実験研究者と共同で解析を進める。
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計量生物医学
代謝医学
人工生体機構
生体反応に関わる複数の生体分子の同定とそれらのダ 浜窪隆雄 教授
イナミックな相互作用の解析、および細胞膜や核などに (平成 28 年度
おける細胞の微細構造と連動した分子局在変化などの解 新規学生受入せず)
析技術を開発し,生命現象の統合的理解への新しい切り
口を見いだします。構造解析やコンピュータシミュレー
ションを用いたタンパク質相互作用の解析によるドラッ
グデザイン,FRET
(蛍光共鳴エネルギー転移)
によるライ
ブセルイメージング,分子パターン認識を基礎とした自
然免疫や細胞分裂のメカニズムの解明など,細胞レベル
の分子相互作用変化を解析することにより,がんや重症
感染症などの新しい創薬コンセプトの開拓を目指します。
メタボリックシンドロームや動脈硬化など多因子の疾 酒井寿郎 教授
患の解明は 21 世紀の生物医学の大きな課題となっている。
肥満を基盤としたメタボリックシンドロームでは、生理 稲垣 毅 特任准教授
機能の破綻した脂肪細胞が原因で糖尿病、動脈硬化など
が発症するというメカニズムが注目されており、脂肪細
胞の分化 ・ 老化に関わる動作原理の解明が求められてい
る。近年、細胞の分化に於いては遺伝子発現や遺伝子配
列情報に加え、後天的ゲノム修飾への理解が重要となっ
ている。DNA 塩基配列以外の DNA のメチル化とヒスト
ン修飾で維持・伝達される遺伝情報はエピゲノムともよ
ばれ、それらの修飾は、外来刺激・環境の変化によりエ
ピゲノムとして記憶され、ガン ・ 生活習慣病の鍵となる
ことが示唆されつつある。我々は、脂肪細胞の分化をプ
ロテオーム、トランスクリプトーム、エピゲノムの技術
を用いて重層的に解析し、ヒストン修飾の変化と生活習
慣病のかかわりを明らかにする。ゲノム解読が済み、
「エ
ピゲノム」の時代を迎えた今日、栄養分の転写にかかわ
る統合機構を系統的に進め、生活習慣病と老化の病態を
「Wnt シグナルと細胞分化」や「カロリー制限と転写調節」
などの概念のもとに、エピゲノムシグナルを重層的に解
析し、
生活習慣病に対する新たなパラダイムを築き上げる。
医用生体工学、および、生命科学の研究を目的とする。 満渕邦彦 教授
具体的には、
(1)生体の神経系と外部機器の情報ライン (兼担)
との直接結合の試み、神経インタフェースの開発、生体 (平成 28 年度
の意思によって動き、外部から加えられた刺激を体性感 新規学生受入せず)
覚として伝え得る義肢や、生体の要求に従って駆動条件
を変化させる人工心臓の開発、人工眼など人工感覚器の
開発、
(人工)生体機能代行機器の開発とその生体との
融合、バイオニック医療 (2)生理工学(循環系や生体
温熱モデルなど)
(3)人工現実感の医療応用、人工現実
感を応用した遠隔手術システムやマイクロサージェリー
システムの開発など (4)無侵襲的生体機能診断手法の
開発(遠赤外線画像、微小振動画像など (5)組織工学、
培養細胞・幹細胞からの組織・器官の再生・再構築、(6)
医用マイクロマシンの開発、などを行なう。
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ゲノムサイエンス
生物の設計図であるヒト「ゲノム情報」にもとづいて 油谷浩幸 教授
生命現象を理解するために系統的な生命情報の取得と
統合を通して新たな生命科学の展開を目指している。
DNA メチル化やヒストン修飾などのエピゲノム標識は
染色体から生命情報を読み出す際の制御を担っており、
エピゲノム情報に加えて DNA 蛋白質相互作用、ゲノム
多様性情報など多様な生命情報を体系的に解析するため
の新規手法の開発を推進している。実験系研究者および
情報系研究者が融合した研究環境を構築している。
一方、がんを中心とするヒト疾患についてシステムと
しての理解から治療法の開発を目指すべく、新規創薬標
的分子の探索、個別化医療実現のための薬剤応答性の解
明に関するトランスレーショナル研究を推進すべく、産
官学連携でのオープンイノベーションの場を提供してい
る。
医用マイクロマシン
現状技術では実現困難な次世代医用工学の創成を目的 生田幸士 教授
とした研究と教育を行っている。
バイオマイクロマシンや医用ロボティクスが進展すれ
ば、現在では想像もできない高度な医用福祉機器やバイ
オテクノロジシステムが実現できる。概念提案と実証開
発を推進している「化学ICチップ」や「光駆動ナノマ
シン」は、医学だけでなく生命科学全般の強力な研究ツ
ールとなる。本研究室で世界に先駆け開発された能動内
視鏡や能動カテーテル、化学ICチップ、マイクロ光造
形法(IHプロセス)等は、世界的規模で追従研究が開
始されつつある。
「新原理」と「新発想」、「新概念」をキーワードにし
たユニークな研究テーマ群は、すべて「夢のある」もの
で、博士課程のテーマとして最適である。
○バイオマイクロマシン
レゴキットのように複数のマイクロ化学チップを結合
して様々な分析・合成系を構築できるユニークな「化学
集積回路」(化学 IC チップ)の基盤技術の創製と、体内
埋め込み型デバイス、システム生物学応用を進めている。
20 世紀のエレクトロニクスの進展が高度情報化社会
をもたらしたように、本プロジェクトで展開される化学
IC チップが 21 世紀のバイオ医療を革新する。
○マイクロ光造形法と光駆動ナノマシン
3次元マイクロマシン作製手法の草分けであるマイク
ロナノ光造形法を駆使し、世界最小の 10 ミクロンの遠
隔操作ロボットの試作に成功している。
数ミクロンサイズの生きた細胞からの反力を感じなが
ら微細操作できるシステムも完成。
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○新原理メディカルロボティクス
未来の医療用ロボティクス・メカトロニクスの実現に
は、従来のメカトロニクスの流用では限界がある。この
理由は、工業と医療ではメカトロニクスに対するニーズ
に大きな
隔たりがあるからである。そのため医療専用の新しいメ
カトロニクスの構築が重要となる。
この観点から、単に新しい医療機器の個別開発だけに
留まらず、医療メカトロの基盤技術全体の向上を目的と
した次世代のロボティクスを探求している。
合成生物学
私達のミッションは新しい合成生物学とデータマイニ 谷内江望 准教授
ングの技術を既存のテクノロジーと統合的に組み合わせ
て 分子・細胞・細胞分化計測のための新しい実験・テ
クノロジーを創出し、これまで観察不可能であった生命
科学現象のベールを解くことです。このために具体的に
研究室で取組むテーマには以下のものがあります:
1)DNA バーコードとバーコードフュージョンを利用
したタンパク質間相互作用の高速アッセイ
2)CRISPR/Cas9 ゲノム編集技術の改良による新技術
の創出
3)細胞分化の一細胞レベルトラッキング
4)マルチオミクスデータの大規模データマイニング
知的財産法
知的財産法は、経済的な価値のある情報に対して「財 玉井克哉 教授
産」としての法的取扱いを行う際の諸問題を考察する分
野である。本来のフィールドは法学にあるが、技術的知
見をも必要とする極めて学際的な分野であり、法学や工
学はもとより、経済学や政策研究など、種々のバックグ
ラウンドを有する研究者による共同研究を推進すること
を目標としている。また、ブランド理論やコンテンツ創
作についての新たな領域を開拓することをも試みたい。
生命科学の法と政策
KNELLER,Robert 教授
以下の事項について国際的な比較評価を行う。
1. 日本の産業におけるベンチャー企業の役割と問題点 (平成 28 年度
新規学生受入せず)
2. 企業によるイノベーション・ソース 3. 医薬品やバイオメディカル技術の開発
4. 産学連携技術移転(大学と政府系研究施設から民間へ
の技術移転)、特に知的財産権の役割について
5. 大学と民間共同研究
6. 公衆衛生と法律
7. 医学分野の研究や発見にともなう法的、倫理的、社会
的諸問題
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