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報道関係者各位
2015年4月23日
Press Release No.2015-005
受賞報告
歯質を再構築する革新的な治療法に期待
サンギ共同研究論文 2014年度日本機械学会賞受賞
歯みがき剤「アパガード」を主力商品とし、歯や骨の主成分ハイドロキシアパタイトの研究開発を行う株
式会社サンギは、東北大学大学院医工学研究科・厨川教授ら、同大学院歯学研究科・佐々木教授ら、
ヤマセ電気株式会社と共同研究を行った、歯のエナメル質を対象とするパウダージェットデポジション法
(PJD)によるハイドロキシアパタイト成膜治療法に関する論文で、「日本機械学会賞」を受賞しましたこと
を、ここにご報告いたします。
本受賞論文は、PJD法による歯のエナメル質への成膜層形成を、実験とシミュレーションから検証し、
成膜の基礎理論を解明した研究で、この基礎理論を基にしたPJD法による臨床研究が既に進められて
います。なお、本PJD法は、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトの粒子を歯に直接噴射し、歯質を
再構築する革新的な歯科治療法でもあり、歯質本来の成分によって、知覚過敏症状の改善や、変色歯
の色調改善などの治療効果も期待されています。
■日本機械学会賞
「日本機械学会賞」を主宰する一般社団法人日本機械学会は、機械関連技術に関わる技術者、研究
者、学生、法人の会員35、407名(2015年2月末日)から構成される、日本で最大級の学術学会です。「日
本機械学会賞」は「日本の機械工学・工業の発展を奨励する」ことを目的として1958年に設けられました。
2014 年度は、日本機械学会賞(技術功績・論文・技術)、奨励賞(研究・技術)、教育賞で合計 66 件
を決定し、2015年4月17日(金)に明治記念館で授賞式が執り行われました。
■受賞論文概要
タイトル:「パウダージェットデポジション法によるエナメル質へのハイドロキシアパタイト成膜」
現在のう蝕(虫歯)治療は、う蝕罹患部を除去して形成した窩洞に、インレーやコンポジットレジンなどの
詰め物を充填するのが一般的です。しかし、長期間の使用によって、詰め物が壊れたり、歯との接着層が
崩壊して、う蝕の再発原因となります。
2015年4月23日
Press Release No.2015-005
受賞報告
窩洞に歯の主成分(エナメル質の97 %、象牙質の70 %)であるハイドロキシアパタイト(HA)の微粒子を高
速噴射して、HAの成膜層を形成するという新たな治療法となる技術パウダージェットデポジション:Powder
Jet Deposition(PJD)は、歯や骨の主成分であるHAを使用するため生体に対する親和性が高く、唾液に
よる石灰化作用も期待できることから、歯からの脱離やう蝕の再発を防ぐことができると考えられます。
本受賞論文の研究内容は、治療法の基礎となるPJD法によるヒトエナメル質へのHA成膜現象の
確認と、HA成膜の最適条件を検証するためのシミュレーション解析法の妥当性と、その結果について示し
たものです。本検証により、PJD法を用いてヒトエナメル質へのHA成膜が可能であることと、HA厚膜形成の
ための粒子噴射速度、ならびにHA粒子径についての最適化条件が示されました。