Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 5 月米農務省需給報告:2015-16 年度の需給予測を初めて公表。 ●新年度の米国産コーン、期末在庫が市場予想を下回る 米国産コーンの需給推移 2015-16 年度 米国産コーン需給テーブル 作付面積 8,920 万 エーカー 飼料・その他 53 億 0,000 万 ブッシェル 収穫面積 8,170 万 エーカー 食品・種・工業用 65 億 6,000 万 ブッシェル 52 億 0,000 万 ブッシェル 118 億 6,000 万 ブッシェル イールド 166.8 ブッシェル 18 億 5,100 万 ブッシェル 国内消費 生産高 136 億 3,000 万 ブッシェル 輸出高 19 億 0,000 万 ブッシェル 輸入高 2,500 万 ブッシェル 総供給 155 億 0,600 万 ブッシェル 総消費 137 億 6,000 万 ブッシェル 17 億 4,600 万 ブッシェル 期末在庫率 期初在庫 期末在庫 エタノール副産物 12.7% ※USDA のデータを基に ERI 作成 米農務省は、現地時間 5 月 12 日に発表した需給報告で、新穀となる 2015-16 年度の米国産コーンの需給予測を 初めて公表。 供給面は、「イールド」は、夏の天候が平年並みになるとの前提に基づき、前年度比 4.2%低下の 166.8 ブッシェル と予想。「収穫面積」も前年度から減少するとしていることから、「生産高」は 136 億 3,000 万ブッシェルと予想した。 需要面では、畜産農家の飼育頭数の増加により「飼料その他」は 53 億ブッシェルとし、前年度から増加すると予 想。また、「輸出高」も 19 億ブッシェルと前年度から増加し、堅調に推移するとしたことから、「総消費」は過去最高 137 億 6,000 万ブッシェルと予想した。なお、「エタノール副産物」は 52 億ブッシェルとし、前年度から小幅減少する見通し。 結果、「期末在庫」は 17 億 4,600 万ブッシェルとなり、市場予想平均 17 億 5,200 万ブッシェルを下回った。期末在庫 率は 12.7%。 2014-15 年度については、供給面は前月の数字で据え置き。需要面では、国内消費を前月比 4,800 万ブッシェル 下方修正した一方、輸出高を同 2,500 万ブッシェル上方修正。結果、「期末在庫」は同 2,400 ブッシェル上方修正の 18 億 5,100 万ブッシェルと予想している。期末在庫率は 13.6%。 米国産コーンの用途別需要 米国産コーン用途別需要の割合 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 1 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●新年度の米国産大豆、期末在庫が市場予想を上回る 米国産大豆の需給推移 2015-16 年度 米国産大豆の需給テーブル 作付面積 8,370 万 エーカー 圧砕高 17 億 9,500 万 ブッシェル 収穫面積 8,310 万 エーカー 輸出高 17 億 9,000 万 ブッシェル 37 億 0,100 万 ブッシェル イールド 47.8 ブッシェル 9,200 万 ブッシェル 生産高 39 億 6,900 万 ブッシェル 輸入高 2,500 万 ブッシェル 総供給 40 億 8,600 万 ブッシェル 総消費 3 億 8,500 万 ブッシェル 期末在庫率 期初在庫 期末在庫 10.4% ※USDA のデータを基に ERI 作成 新穀となる 2015-16 度の米国産大豆需給は、供給面では「収穫面積」が前年度から拡大するものの、「イールド」 が 46.0 ブッシェルとなり、前年度(47.8 ブッシェル)から低下するとしたため、「生産高」は前年度比 3.0%減の 38 億 5,000 万ブッシェルと予想。ただ、「期初在庫」が増加することから、「総供給」は同 3.4%増の 42 億 3,000 万ブッシェル になるとしている。 需要面では、「圧砕高」が前年度比 2,000 万ブッシェル増加。一方、「輸出高」は南米産の供給増に圧迫されるとの 見方から同 2,500 万ブッシェル減少する見通し。 結果、「期末在庫」前年度比 1 億 5,000 万ブッシェル増の 5 億ブッシェルとなり、市場予想平均 4 億 4,300 万ブッシ ェルを上回った。期末在庫率は 13.4%。 2014-15 年度は、供給面は前月の数字で据え置き。需要面は、「圧砕高」と「輸出高」前月から 1,000 万ブッシェル 上方修正したため、「期末在庫」は 3 億 5,000 万ブッシェルに下方修正されている。 米国産大豆の用途別需要 米国産大豆用途別需要の割合 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 2 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●新年度の世界コーンの生産高は前年度比 629 万トン減 世界のコーン需給推移 2015-16 年度 世界のコーン需給テーブル 世界全体 ウクライナ 生産高 9 億 8,983 万 トン 期末在庫 1 億 9,194 万 トン 生産高 アルゼンチン 2,600 万 トン 2 億 2,800 万 トン 9,091 万 トン 300 万 トン 2 億 2,000 万 トン 中 国 生産高 2,500 万 トン 生産高 期末在庫 1,550 万 トン 期末在庫 ブラジル 輸入高 生産高 7,500 万 トン 期末在庫 2,200 万 トン 国内消費 ※USDA のデータを基に ERI 作成 新穀となる 2015-16 年度の世界コーンの「生産高」は前年度比 629 万トン減の 9 億 8,983 万トンと予想。米国が同 1487 万トン減の 3 億 4,622 万トン、欧州連合(EU)は同 533 万トン減の 6,834 万トン、ブラジルは同 300 万トン減の 7,500 万トン、ウクライナは同 245 万トン減の 2,600 万トン、メキシコは同 50 万トン減の 2,350 万トンとした。一方で、中国は 同 1,233 万トン増の 2 億 2,800 万トン、南アフリカは同 220 万トン増の 1,350 万トンとしている。 「期末在庫」は同 56 万トン減の 1 億 9,194 万トンとし、市場予想平均(1 億 8,269 万トン)のみならず、予想の上限(1 億 9,160 万トン)も上回った。米国は同 267 万トン減の 4,435 万トン、ブラジルは同 520 万トン減の 1,207 万トンと予想。 一方で、中国は同 1,095 万トン増の 9,091 万トンになるとしている。 「輸出高」は同 13 万トン減の 1 億 2,090 万トンになると予想。ウクライナが同 200 万トン減の 1,600 万トン、ブラジル は同 150 万トン減の 2,200 万トン、EU は同 50 万トン減の 250 万トンとなるとした一方、南アフリカは同 80 万トン増の 150 万トン、アルゼンチンは同 50 万トン増の 1,500 万トンとしている。 なお、2014-15 年度については、「生産高」が前月比 420 万トン増の 9 億 9,612 万トン、「期末在庫」は同 404 万トン 増の 1 億 9,250 万トンとしている。 世界のコーン生産 世界のコーンの輸出シェア推移 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 3 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●新年度の世界大豆の生産高は前年度比 629 万トン減 世界の大豆需給推移 2015-16 年度 世界の大豆需給テーブル 世界全体 生産高 期末在庫 アルゼンチン 3 億 1,730 万 トン 生産高 9,622 万 トン 期末在庫 中 国 5,700 万 トン 850 万 トン ブラジル 生産高 1,150 万 トン 生産高 9,700 万 トン 期末在庫 1,388 万 トン 期末在庫 4,975 万 トン 輸入高 7,750 万 トン パラグアイ 国内消費 8,925 万 トン 生産高 880 万 トン ※USDA のデータを基に ERI 作成 新穀となる 2015-16 年度世界大豆については、「生産高」は前年度比 5 万トン増の 3 億 1,730 万トンと予想。ブラジ ルは作付面積の拡大を背景に前年度から 250 万トン増となり、過去最高の 9,700 万トンになる見通し。パラグアイは 同 30 万トン増の 850 万トン。インドとウクライナもそれぞれ増加すると予想した。一方、米国は同 323 万トン減の 1 億 0,478 万トン、アルゼンチンは同 150 万トン減の 5,700 万トン、中国はより収益性の高い作物への転作が進むとの見方 から同 85 万トン減の 1,150 万トンとし、増加分をほぼ相殺するとしている。 「期末在庫」は同 1,068 万トン増の 9,622 万トンとし、市場予想平均(9,517 万トン)を上回ったものの、予想の上限(1 億 0,360 万トン)は下回った。米国は同 410 万トン増の 1,361 万トン、アルゼンチンは同 90 万トン増の 3,285 万トン、 ブラジルは同 607 万トン増の 3,100 万トンと予想。一方、中国は同 50 万トン減の 1,388 万トンとしている。 「輸出高」は同 448 万トン増の 1 億 2,198 万トンと予想。アルゼンチンは同 50 万トン増の 850 万トン、ブラジルは同 410 万トン増の 4,975 万トンとした。「輸入高」は同 548 万トン増の 1 億 1,963 万トンになる見通し。中国が同 400 万ト ン増の 7,750 万トンとなるとしている。 2014-15 年度については、「生産高」が前月比 179 万トン増の 3 億 1,725 万トン、「期末在庫」は同 401 万トン減の 8,554 万トンとしている。 世界大豆生産 世界大豆の輸出シェア推移 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 4 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●南米の動向(大豆) ブラジル国家食糧供給公社(Conab)は 5 月 12 日に月報で、2014-15 年度ブラジル産大豆の生産高見通しを 9507 万トンとし、前月予想(9428 万トン)から上方修正。実現すれば、前年実績(8612 万トン)から 10.4%増となる見込み。 アルゼンチンのブエノスアイレス穀物取引所は 5 月 13 ブラジルの大豆需給 日に月報で、2014-15 度同国産大豆の生産高を過去最高 の 5960 万トンと予想。従来予想(5900 万トン)から上方修 正した。イールドが予想を上回っていることが理由。 また、アルゼンチン農牧・漁業省は 5 月 21 日に、 2014-15 年度同国産大豆の収穫量を 6000 万トンとし、前 回予想(5900 万トン)から上方修正。2013-14 年度(5340 万トン)を上回り、過去最高となる見込みとしている。 近年、世界大豆生産に占める南米 3 ヶ国(ブラジル、ア ルゼンチン、パラグアイ)の割合は急速に拡大している アルゼンチンの大豆需給 が、米農務省によると、2015-16 年度の米国の割合は 33.0%となり、前年度から 1.0%低下する見込み。一方で、 南米 3 ヶ国は 51.3%となり、前年度から 0.4%拡大する見 込みとなっている。 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 5 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●南米の動向(コーン) アルゼンチンのブエノスアイレス穀物取引所は 5 月 13 日に月報で、2014-15 度同国産コーンの生産高を 2570 万ト ンとし、従来予想で据え置いた。 また、アルゼンチン農牧・漁業省は、2014-15 年度同国産コーンの収穫量を 3100 万トンと、前回予想(3000 万トン) から上方修正。ただ、2013-14 年度(3300 万トン)は下回るとしている。 米農務省によると、2015-16 年度の世界コーン生産に占める米国の割合は 35.0%である一方、南米 2 ヶ国(ブラジ ル、アルゼンチン)は 12.7%に過ぎず、依然として米国の動向に左右され易い。 ●米気象予報センター、エルニーニョ現象が今夏まで継続する確率は 90% 米気象予報センター(CPC)は 5 月 14 日に、北半球で今夏 エルニーニョ監視海域の海面水温の変化 までエルニーニョ現象が続く確率を 90%に引き上げている(前 月予想は 70%)。エルニーニョが年末まで続く可能性は 80% 超とした(前月は 60%)。 また、気象庁は 5 月 12 日に発表した 5 月エルニーニョ監視 速報で、2014 年夏に発生したエルニーニョ現象が冬にいった ん弱まった後、2015 年春に入って再び発達しているとみられ ると発表。監視海域の海面水温が基準値より高く推移すると 見込まれるため、地球環境・海洋部は「秋にかけてエルニー ニョ現象が続く可能性が高い」との見方を示している。 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 6 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●2015-16 年度の中国産コーン生産量は前年度 7.6%増加か? 中国のコーン輸出入の推移 中国のシンクタンクである中国国家穀物油糧情報センター (CNGOIC)は 5 月 7 日に 2015-16 年度中国産コーンの生産量 を前年度比 7.6%増の 2 億 3,200 万トンと予測。 また、CNGOIC は 5 月 21 日に、2014-15 年度コーン輸入量 が過去最高の 900 万トン超に達する可能性があるとの見通し を示した(従来見通しは 810 万トン、前年度は 416 万トン)。中 国国内の飼料メーカーの間で、割高な国内産コーンの代替と して割安な海外産コーンの需要が拡大していることが理由。 ●4 月の中国大豆輸入量は前月比 18.3%増加 中国税関総署が 5 月 8 日に発表した統計によると、4 月中国大豆輸入量(速報値)は前月(449 万トン)比 18.3%増 の 531 万トンとなり、2 ヶ月連続で増加。ただ、前年同月(650 万トン)比では 18.3%減少した。2015 年 1-4 月期累計で は前年同期(2184 万トン)比 4.1%減の 2094 万トン。 中国の大豆輸入の推移 なお、中国のシンクタンクである中国国家穀物油糧情報セ ンター(CNGOIC)は 5 月 18 日に、2015-16 年度(2015 年 10 月~2016 年 9 月)の大豆輸入量が過去最高の 7,700 万トンに 達し、前年度比 5.5%増加するとの見通しを示した。なお、5 月 米農務省需給報告では 7,750 万トンと予想されている。同年度 の中国大豆生産量は前年度比 9.5%減の 1,100 万トンの見込 み。中国の農家は、大豆作付面積を縮小し、より収益の見込 めるコーンとコメの生産にシフトしている様で、今年の大豆作 付面積は前年度比 10.3%減少するとしている。 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 7 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●米国産穀物の生育状況 米国産コーンの作付進捗率 米国産コーンの発芽率 米農務省が 5 月 18 日に発表したクロップ・プログレス(5 月 17 日時点)によると、米国産コーンの作付け進捗率は 前週比 10 ポイント上昇の 85%となり、過去 5 年平均 75%、前年同期 71%を上回った。主要州では、アイオワが 92% (前年同期 82%)、イリノイは 94%(同 83%)。 発芽率は前週比 27%ポイント上昇の 56%で、過去 5 年平均 40%、前年同期 32%を上回った。主要州では、アイ オワが 63%(前年同期 25%)、イリノイは 75%(同 57%)。 一方、米国産大豆の作付け進捗率は前週比 14 ポイント上昇の 45%で、過去 5 年平均 36%、前年同期 31%を上 回った。主要州では、アイオワが 51%(前年同期 37%)、イリノイは 47%(同 35%)。 また、今週初めて発表された発芽率は 13%で、過去 5 年平均 12%、前年同期 8%を上回っている。主要州では、 アイオワが 10%(前年同期 3%)、イリノイは 14%(同 9%)。 ●インフォーマー、米国産大豆の作付面積が過去最高になると予測 米調査会社インフォーマ・エコノミクスは 5 月 14 日に顧客向けのリポートで、2015-16 年度米国産コーンの作付面 積を 8873 万 7000 エーカーと予測。農務省見通しの 8919 万 9000 エーカーをやや下回った。生産高は 135 億 5100 万ブッシェル、イールドは 166.4 ブッシェル、収穫面積は 8142 万 8000 エーカーとしている。 同年度の米国産大豆の作付面積は 8718 万 5000 エーカーと予測。農務省見通しの 8463 万 5000 エーカーを上回 り、過去最高となるとしている。生産高は 38 億 9000 万ブッシェル、イールドは 45 ブッシェル、収穫面積は 8646 万 4000 エーカーとしている。 なお、米農務省は 6 月 30 日に最新の作付面積統計を発表する予定。 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 8 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●今後の展望 シカゴ・コーン(期近、日足) シカゴ・コーン(期近)は、米北部での降霜、低温が生育に悪 影響を及ぼす可能性があるとの懸念から小麦が急伸したのを 受けて、5 月 15 日に 371.50 セントまで買い進められるも 200 日平均線や 3 月 26 日の高値 397.00 セントから 5 月 5 日の安 値 355.75 セントの下げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た 場合の半値戻し水準 376.38 セントを突破出来ず。コーンベルト で生育に適した天候が続く中、戻り売りの展開となった。 米中西部で来週も温暖な天候になるとの予報が出る中、大 豊作だった昨年と市場環境が酷似しているとの声も出始める など、米国で順調に作付が進んでいる上に、鳥インフルエンザ 拡大による飼料需要減少懸念も払しょく出来ていないことか ら、目先は 5 月 5 日の安値 355.75 セントを維持出来るかが注目される。 なお、米農務省が 5 月 18 日に発表したクロップ・プログレス(5 月 17 日時点)によると、米国産コーンの作付け進捗 率は前週比 10 ポイント上昇の 85%となっているが、5 月 20 日までに 80%の作付が完了した年は豊作になると言わ れているだけに、来月の需給報告でイールドが上方修正されるとの見方が一部で出始めている。 ただ、順調に生育は進んでいるものの、米気象予報センター(CPC)が北半球で今夏までエルニーニョ現象が続く 確率を先月の 70%から 90%に引き上げるなど、今夏は天候リスクが例年より高まる可能性があるだけに、350 セント 付近では「天候プレミアム」が意識され売り方のショート・カバー(買戻し)を中心に買い拾われ易いだろうか。 最後に、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータに よると、大口投機家のシカゴ・コーンのネット・ロングは 5 大口投機家の取組=CFTC・シカゴ・コーン 月 12 日現在で 3 万 1,152 枚の売り越しとなり、前週比 720 枚増加。2 週連続でネット・ショートになっている。ロン グが 3 週連続で増加した一方、ショートも 5 週連続で増加 している。 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 9 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report シカゴ大豆(期近、日足) 平成 27 年 05 月 21 日発行 シカゴ大豆(期近)は、全米油実加工業者協会(NOPA)が 5 月 15 日に発表した 4 月米大豆圧砕量は 1 億 5,036 万 0,300 ブッシェルとなり、前月の 1 億 6,280 万ブッシェルから減少した ものの、市場予想平均 1 億 4,780 万ブッシェルは上回ったこと などが好感され、買い拾われる場面も見られている。 ただ、5 月 12 日の米農務省需給報告をきっかけに下げ基調 が強まった上に、南米の豊作による供給拡大観測が強まる 中、コーンベルトで生育に適した天候が続いていることから 5 月 19 日には 5 月 5 日の安値 355.75 セントを割り込み、終値で 9502 セント割れ。5 月 20 日には一時 936.50 セントまで下げ昨 年 10 月 20 日以来 7 ヶ月ぶりの安値まで下落する場面も見ら れている。 アルゼンチンの大豆圧砕業者のストが拡大しているものの、データで見る限り米国産大豆の輸出増加につながっ ていないことから、買い材料とはなっていない模様。また、鳥インフルエンザ拡大による飼料需要減少懸念も払しょく 出来ていないことから、目先は昨年 10 月 1 日の安値 904.00 セントを意識した動きになる可能性がありそうだ。 なお、米農務省が 5 月 18 日に発表したクロップ・プログレス(5 月 17 日時点)によると、米国産大豆の作付け進捗 率は前週比 14 ポイント上昇の 45%となっているが、5 月 25 日までに 85%の作付が完了した年は豊作になると言わ れているだけに、今後イールドが大幅に上方修正されるとの見方が強まっている。 ただ、順調に生育は進んでいるものの、米気象予報セ ンター(CPC)が北半球で今夏までエルニーニョ現象が続 大口投機家の取組=CFTC・シカゴ大豆 く確率を先月の 70%から 90%に引き上げるなど、今夏は 天候リスクが例年より高まる可能性があるだけに、900 セ ント付近では「天候プレミアム」が意識され売り方のショー ト・カバー(買戻し)を中心に買い拾われそうだ。 最後に、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによ ると、大口投機家のシカゴ大豆のネット・ショートは 5 月 12 日現在で 7,424 枚となり、前週比 6,481 枚増加。4 週ぶり に増加に転じ、10 週連続でネット・ショートになった。ロン グが 4 週連続で増加した一方で、ショートも 2 週連続で増 加している。 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 10 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 05 月 21 日発行 ●4 月の世界食料価格、5 年ぶり低水準に! 国連食糧農業機関(FAO)が 5 月 7 日に発表した 4 月世界食料価格指数は、前月から 1.2 ポイント低下の 171 とな り、2010 年 6 月(170.2)以来の低水準となった。乳製品をはじめ、ほとんどの農産物が下落したことが要因。世界的に 食料生産水準が高いことや、ドル高、原油安で食料価格が抑えられ、昨年 4 月以降、同指数は下落が続いている。 なお、FAO の上級エコノミストは「ドルが安くなれば食料価格を下支えするだろう」と指摘。FAO は、今年の世界穀 物生産高見通しはコーンの作付け減などの影響で、前年比 1.5%減の 25 億 0,900 万トンに留まると予想している。ま た、2015-16 年度末の穀物在庫は 6 億 2,660 万トンに達する見通しで、小麦生産高は 7 億 1910 万トンに上る見込み。 (5 月 20 日 ERI 大湖 一樹 記) 本レポートは EVOLUTION 総研株式会社(以下「ERI」という)が情報提供を目的として作成したものであり、投資その他の行動を勧誘するも のではありません。本レポートは信頼できると思われる情報に基づき作成されておりますが、ERI はその正確性及び完全性に関して責任を負 うものではありません。また、記載された内容は作成時点のものであり、予告なく変更する場合があります。投資に係る最終決定はお客様ご自 身の判断でなさるようお願い致します。Copyright © EVOLUTION RESARCH INSTITUTE CO.,LTD All Rights Reserved. EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 11
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