地方文化事業支援

2 0 1 5 年 4 月 1 7 日
東日本旅客鉄道株式会社 盛岡支社
宮 古 市
教 育 委 員 会
JR盛岡支社では、公益財団法人東日本鉄道文化財団(以下「東日本鉄道文化財団」)が実施
する 2015 年度「地方文化事業支援」に対し、昨年度に引き続き宮古市教育委員会が事務局を務め
る「盛合家所蔵調度品修復事業」を推薦いたしました。
東日本鉄道文化財団の選考委員会による審議の結果、「盛合家所蔵調度品修復事業」の支援を行う
ことが決定したため、この度、「盛合家所蔵調度品修復事業実行委員会」に対し、「通知書」の贈
呈式を実施いたします。
1
日 時
2015年4月22日(水)13時~
2
場 所
宮古市長応接室:宮古市新川町2番1号
3
出席者
(1)贈呈者
東日本鉄道文化財団 事業部長 石川 晃
(2)受領者
盛合家所蔵調度品修復事業実行委員会 委員長 盛合 光徳
(3)立会者
宮古市
市長
山本 正徳
宮古市
教育委員会教育長
伊藤 晃二
宮古市
教育委員会教育部長
熊谷 立行
東日本旅客鉄道㈱ 執行役員盛岡支社長 嶋 誠治
東日本旅客鉄道㈱ 販売促進課長
小笠原 正人
東日本旅客鉄道㈱ 宮古駅長
平藤 一氏幸
4 事業支援内容
県立博物館に保存されている文化財レスキューにより応急処置を施した調度品を東京文化財
研究所に運搬し、亀田鵬斎筆襖と書画押絵貼屏風の本格的修復作業の支援を実施いたします。
5 その他
贈呈後に、受領者および立会者を代表して山本市長よりご挨拶をいただきます。
※ 盛合家については別紙を参照ください。
※ 東日本鉄道文化財団と「地方文化事業支援」について
1987 年 4 月に国鉄の民営分割化により誕生したJR東日本は鉄道の再生・活性化を目指す社
会的使命の中で、鉄道文化を通じた社会貢献を継続的に果たしていくため、1992 年に設立され
ました。以来、東京ステーションギャラリー、とうきょうエキコンを中心とした芸術文化活動、
交通研究者への研究助成、アジア各国鉄道員の研修など幅広く活動を行っており、2003 年に旧
新橋停車場の復元、2007 年に鉄道博物館と大きく事業を拡大し、社会貢献の実現に取り組んで
おり、「地方文化事業支援」は 1993 年より地方文化の振興を目指し、JR東日本管内各地の貴
重な文化遺産や伝統芸能などの保全と継承、地域の発展のためにJR東日本の各支社が推薦し
た候補に対し、資金援助を行なう形で地方文化事業の支援を行なうものです。
別
宮古市津軽石
盛合家
住宅・庭園について
宮古市教育委員会事務局
1
紙
文化課
地域の特色と盛合家
岩手県宮古市は三陸海岸のほぼ中心に位置し、宮古湾は天然の良港であると同時に豊富
な漁業資源に恵まれている。近世より江戸との海産物の交易を行う盛岡藩の商港として、
領内随一の繁華地へと発展した。岩手県には鮭が遡上する川が数多くあり、その中でも宮
古市の津軽石川は、漁獲量が常に県内首位を占め、まさに「南部鼻曲り鮭」を代表する鮭
川として知られている。近世期、津軽石川の河口に位置する津軽石村は、鮭川留漁と宮古
い
さ
ば
湾での漁業を主な生業とし、盛岡城下などへ海産物を商いする五十集衆の町としても知ら
れてきた。
こじたあみ
盛合氏(屋号:若狭屋)は、津軽石川の鮭漁や宮古湾での鰯小舌網漁・鮪建網などの漁業、
みょうじんまる
とら いちまる
江戸との交易を行った明 神 丸・虎一丸による廻船業、さらに酒屋・質屋などを営み、三陸
随一の豪商・名家に発展した。元禄年間にはすでに四ヶ浦年行司を務めるなど宮古湾での
漁業や鮭川の瀬主として代表的な存在に成長し、1774(安永3)年には孫之助が八人扶持の
給人に取り立てられ、盛合姓を名乗る。
盛合家は、三陸地方の特徴である漁業・交易を担った商家の代表的な存在であり、当時
の家屋・庭園・蔵などがそのまま残され、古文書資料も保存されている。こうした地域の
特色を表す文化財が一体として捉えられる当家は、宮古市のみならず岩手県・陸中沿岸の
歴史文化を象徴する文化遺産と言える。
2
盛合家住宅
広大な敷地に配された、主屋と庭園、酒蔵・米蔵・味噌蔵・板蔵が当時の繁栄を物語り、
お し も い
じ ょ い
お ざ し き
屋敷は商家造りの「御下居」
「常居」と、武家屋敷の「御座敷」などによって構成されてい
な ん ぶ としたか
る。主屋と庭園は、1797(寛政9)年に 11 代藩主(南部利敬)の領内巡視の御宿を務めた際に
ひさし
みどり
改修・整備されたもので、藩主が宿泊した「御座敷」の縁側に軒深い 庇 がかかり、 翠 の
束石を用いて庭園と一体となるよう造られている。
1801(享和元)年の伊能忠敬測量人一行が宿泊、1860(万延元)年には郵便事業の祖として
知られる前島密(巻退蔵)が武田斐三郎(函館開成所長)と共に宿泊している。三陸沿岸随一
の名家・豪商として数多くの文人墨客が訪れ、数多くの書(亀田鵬斎)・画(谷文晁・狩野休
山)が座敷の屏風・衝立などに残されている。
3
盛合氏庭園
主屋の南に面する庭園は「心字ヶ池」を擁する池泉庭園で、江戸から造園師を招いて造
園したと言い伝えられる。池泉は石組で護岸され、池の周囲にサツキやツツジを配し、中
央に亀石を擁する。築山の脇にコウヤマキが植栽され、クロマツやイチイの巨木、門の石
垣に植栽された門松が樹齢をきざみ歴史を感じさせる。
平成 19 年 10 月 22 日
平成 24 年1月 24 日
国登録有形文化財(建造物)盛合家住宅主屋(木造平屋一部2階建)
国登録記念物(名勝地関係)盛合氏庭園(登録面積:6,062.25 ㎡)
1
別
御座敷(奥座敷)
御座敷から庭園を望む
出入口より庭園を望む
主屋縁側の庇
主屋前から池泉を望む
池泉
文化財レスキューによる本紙取出し作業(岩手県立博物館にて)
2
紙