2014年度報告書 - コドモイナGO!

コ ド モ イ ナGO
2014
活動報告書
目次
はじめに
・ ・ ・ 2
共催団体メッセージ
・ ・ ・ 3
原発事故と福島の子ども
・ ・ ・ 4
キャンプレポート
・ ・ ・ 6
保護者自由記述
・ ・ ・ 10
子どもたちの感想
・ ・ ・ 12
あとがきにかえて
・ ・ ・ 14
関係団体 ・ スタッフ一覧
・ ・ ・ 15
はじめに
わたしたちは、 東 日 本 震 災に伴う
原発事故により外遊びがままならない
福島の子どもたちを、 放射線量が低
く自然豊かな南会津町でのキャンプに
招 待する活 動をしています。 原 発 被
災地域の子育て世帯に寄り添い、 中
長期的には福島県全体でサポートす
る体制を目指しています。
原 発 被 災 地 域の子どもたちのため
に何かしたい。
このプロジェクトは、
南 会 津 町 伊 南 地 域の総 合 型 地 域ス
ポーツクラブ 「 いな 夢 クラブ 」 と、
福島大学 経済経営学類 遠藤明子研
究室による、
そんな切なる思いから生
まれました。
「 コドモイナ GO 」
というプロジェ
クト名は、 南会津町伊南地域の地域
づくり 活 動 「 いな GO ! 」 に関 連づ
けたものです。 また下 記のロゴは清
流伊南川と、 そこで採れる名産の鮎
をモチーフにしています。
2 コドモイナGO 2014
共催団体メッセージ
遠藤明子研究室
福島大学 経済経営学類 専門演習
私たちの演習では、ソーシャル・マーケティング、なかでも広報(Public
いな夢クラブ
総合型地域スポーツクラブ
まもなく3.
11がきます。
Relations)に焦点を当てて活動しています。ソーシャル・マーケティン
あの日、「福島県民として何かをしたい、何かをしなければ。」と思い、
グとは、営利企業のマーケティング活動で培われた手法や考え方を応用
はじまった「コドモイナ GO」。
して、社会問題の解決を目指すものです。コドモイナ GO は私たちにと
って、その実践と学びの場でもあります。
私たち自身、震災・原発事故の当事者となり、当初は戸惑い、途方
に暮れたこともありました。しかし当事者の経験があるからこそ、福島で
福島県を復興させよう。
美しいふるさとで家族そろって生活し、笑いあえる日を取り戻そう。
若い君たちに期待します。
暮らす人々のために何かできないだろうかという気持ちを、今も自分の
こととして自然に持てるのだと思います。
コドモイナ GO という形でフィールドにでてみると、大学の中だけで完
東日本大震災で犠牲になられた方に哀悼の意を捧げ、ご冥福をお祈り
いたします。
結していた頃とは比べ物にならないぐらい、様々な問題にぶつかりまし
た。けれども、そのことが大学での学びをより深いものにしてくれました。
雪深い南会津町伊南より
これからも様々な人との関わり合いを大切にしながら活動していきたいと
思います。
星 恵一 ( 同キャンプコーディネーター )
遠藤 明子 ( コドモイナ GO 代表 )
野外学校 FOS
自然体験活動の企画 ・ 運営組 織
南会津の豊かな自然に包まれて、川遊び・沢釣り・ツリーイング、木登り、
コールマン ジャパン株式会社
総合キャンプ用品製造 ・ 販売業
私どもは、1901 年にアメリカで創業したキャンプ 用品メーカーです。
お菓子作り。子どもたちは 4 日間のキャンプを心から楽しんでいました。
自然に携わる企業として、自然の中で過ごすことの素晴らしさ、人と人と
天候や状況に応じてプログラムを提案し、子どもひとりひとりが自らの
のつながりの大切さを伝え、それらを築く場としてキャンプの啓蒙活動を
希望でいちにちをデザインしていく。子ども自身が自らの心とからだに耳
を傾けて、自分のやってみたいことに存分に取り組むことができる。充
実感いっぱいの満足した笑顔が輝いています。傍らに、あたたかく見守
行っております。
東日本大震災復興への自然活動として 「 未来を照らそうプロジェクト 」
を立ち上げ、微力ながら被災地へのサポートを続けております。
り、時にはフォローしたり、一緒になって遊び、楽しさを分かち合う頼も
子どもの成長過程で、自然体験というのは非常に大切なものです。福島
しい大人たちの存在があります。
の子ども達にも安全で快適なキャンプを思い切り楽しんでもらいたい、と
子どもたちが自然のなかでおもいっきり遊び、過ごす体験は、子ども
いう思いで、「 コドモイナ GO 」 プロジェクトに参加させていただきました。
自身が未来を開き、つながる人たちと共に、自らの幸福感を得られる社
会を築いていくことを信じています。
戸高雅史・優美 ( 同プログラムディレクター )
コドモイナGO 2014
3
原発事故と福島の子ども
福島県における
子どもの避難状況
2011 年 3 月に発生した福島第一原子
力発電所 (以下、 原発) 事故の影響は、
多方面に及んでいますが、
なかでも子育
て世帯に与えた不安は深刻なものです。
放 射 線は知 覚することが難しいうえに、
子どもはそのリスクを大人よりも大きく受け
るためです。
原発事故から生じた放射性物質の拡散
は福島県内にとどまるものではありません
が、 同県の浜通り地方 (太平洋側) と中
通り地方 (県中心部) で特に深刻であっ
たことは周知のとおりです。 そのため、 こ
れらの地方では、 相当数の子育て世帯が
福島県内外への避難を余儀なくされまし
た。
図 1 は、 福島県全体の子ども (18 歳
未満) の避難状況を時系列で表したもの
です。 避難先 (県内・県外) と避難元 (避
難指示区域内 ・ 外) によって 4 種類に避
難者数を分けています (積み上げ面グラ
フ)。 さらに、 福島県の子どもの総数 (約
と人口が比較的少ないこともありますが、
風評被害を除いて、 直接的な震災 ・ 原
発事故被害が小さかったためです。
したがって自主避難のほとんどは、 浜
通りや中通りで生じたものです。 例えば県
庁所在地の福島市では、 約 3,200 人と、
実に 20 人に 1 人以上の子どもが、 保護
者の判断で自主避難に至っています。
しかし他方で注目すべきは、 県外避難
が年々減少傾向にあることです。 最新調
査の 2014 年 10 月 1 日時点では、 ピー
ク時から 5,000 人以上減っています。 こ
れは、 生活圏での空間放射線量が下がっ
てきていること (図 2) や、 家計を主に
支える父が福島県に残り母子だけで避難
する、 二重生活 (母子避難) の継続に
は困難があるためと推察されます。
また、 9 割以上の子どもが原発事故以
前と同様に福島県で生活を続けているこ
とにも留意すべきです。 原発事故後の福
島県については、 ややもすると避難の側
面が強調されがちです。 避難の問題はむ
ろん重要ですが、 一方で大多数の子育て
世帯が福島で暮らしていることを忘れては
なりません。
34 万人、 2012 年 10 月 1 日現在、 総務
省 「国勢調査」)
を分母として、 それぞ
れの比率も示しています (折れ線グラフ)。
原発事故から約 1 年後の 2012 年 4 月
行政主導の屋外活動制限と
保護者主導の外遊び自粛
1 日時点で、県内避難中の子どもの数(赤
グラフ) は約 12,000 人 (福島県 18 歳未
満人口の約 3.6%) であり、県外避難 (青
グラフ) に至っては約 18,000 人 (同 : 約
5.2%) にのぼります。
県外への自主避難と
その変化
県外避難のうち、 避難指示区域外から
のいわゆる 「自主避難」 は、 同時点で
約 10,000 人 (同:約 2.7%) に達します。
ただし会 津 地 方の避 難 者は、 ピーク
時でも全体で 85 人に留まります。 もとも
4 コドモイナGO 2014
ところが 2013 年に行われた他県 (秋
田県、 福井県、 兵庫県) との比較調査
を考慮すると、 まったく違った印象を受け
ます。 これら 3 県ではいずれも 85 %以上
が子どもに外遊びを 「させる」 と回答して
おり、 「時々させる」 は 10%台前半、 「さ
せない」 に至っては 1 %にも満たないので
す。
他 方、 福 島 市では、 最 新の 2014 年
調査においても、 外遊びを 「させる」 と
いう保護者の割合は 30 %程度に留まり、
「時々させる」 という回答が 60 %以上を占
めています。
つまり、 避難指示には至らないものの
放 射 性 物 質の拡 散が大きかった地 域で
は、 線量が下がり行政主導の屋外活動
制限が解除された後も、 多くの保護者の
不安が払拭されず、 子どもの外遊び機
会が他県よりも大きく制約されているので
す。
余計な被曝を避けるためには屋外で過
ごす時間をできるだけ減らす必要がありま
す。 しかし反面、 それは子どもの運動不
足を招きかねません。 福島の子育て世帯
の多くが、 今もこうした不安とジレンマを
抱えているのです。
福島で生活する子どもたちの
ための外遊び支援
原発事故から 1-2 年近く、 浜通りや中
通りでは、 国や地方自治体、 教育機関
によって、 学校や公園などでの子どもの
屋外活動が大きく制限されました。
しかし、 先ほど述べたように空間放射
線量がかなり低減してきている (図 2) こ
とから、 子どもの屋外活動が行政主導で
制限されることは、 今ではほとんどありま
せん (避難指示区域を除く)。
また、 福島市在住の小学生および幼稚
園児の保護者 (母親) を対象とした、 大
規模な質問紙調査の結果をみると、 子ど
もに外遊びをまったくさせていない保護者
の数は、 年々大きく減っています (図 3)。
そこで必要とされているのが、 子どもの
外遊び支援です。 放射線量が低く自然
豊かな地域で過ごすことは、 心身を爽快
にします。 しかし、 保護者の中にはそうし
た機会を十分に子どもに与えることが難し
い人も少なくありません。
こうしたことから、 わたしたちは 2012
年から 「コドモイナ GO」 というキャンプ ・
プログラムを手がけています。 キャンプ地
の南会津町は、 豊かな自然の残る場所
です。 また、 空間放射線量は原発事故
前とほとんど変わらず、 子どもたちに安心
して外遊びをさせることができるのです。
図 1:福島県における子ども(18 歳未満)の避難状況
県内避難者数:避難指示区域
県外避難者数:避難指示区域
県内避難者率:避難指示区域
県外避難者率:避難指示区域
40
図 1 注釈
県内避難者数:区域外
県外避難者数:区域外
県内避難者率:区域外
県外避難者率:区域外
4.0%
3.5%
30
3.0%
25
2.5%
20
2.0%
15
1.5%
10
1.0%
5
0.5%
2012年10月
2013年4月
2013年10月
注 2 : ここでの 「避難指示区域」
とは、 調査の開始時
点である 2012 年 4 月 1 日時点で、 国が一部または全
域に対して何らかの避難指示を指定した市町村のことを
指します。
注 3 : 震災の約 5 ヶ月前に当たる 2010 年 10 月 1 日時
点の総務省 「国勢調査」
によると、 福島県の 18 歳未
満人口は 341,463 人です。
0.0%
2014年10月
2014年4月
出所:福島県保健福祉部子育て支援課 「東日本大震災に係る子どもの避難者数調べ」
成 22 年度 国勢調査」
子どもの避難者率(%)
子どもの避難者数(千人)
35
0
2012年4月
注 1 :この人数は、 総務省 「全国避難者情報システム」
によって、 避難元市町村が把握しているものです。 そ
のため、 住民票を移動していなくても自治体が所在を確
認できている場合は避難者に含まれます。 他方、 届け
出のない避難者は含まれないため、 実際にはこれよりも
多くの子どもが避難した可能性が考えられます。
および総務省 「平
をもとに作成。
図 2 注釈
注 1 : グレイはシーベルトの近似値として捉えられます。
1 グレイは物質 1kg あたり 1 ジュール (エネルギー量を
表す単位)
のエネルギーを吸収したことを意味する物理
そこに人体に与える平均的な放射線リスク
を加味したものがシーベルトです。
指標ですが、
図 2:空間放射線量の平均値推移
福島市
郡山市
いわき市
公衆の被曝限度(医療被曝除く)+福島県の自然放射線量
南会津町
毎時マイクロ・グレイ(シーベルト)
0.60
0.50
0.40
注 2 : 3 市の空間放射線量は、 各測定地点 (福島市
21 か所、 郡山市 28 か所、
いわき市 50 か所) の値を
自治体単位で日毎に平均化したものです。 南会津町の
値は、 キャンプ地に最も近い伊南総合支所のものです。
測定開始は 2012 年 4 月 13 日からです。
注 3 : 冬期に一時的に値が下降し再び上昇しているの
は、 積雪の放射線遮蔽効果によるものです。
0.30
0.20
注 4 : 「公衆の被曝限度 (医療被曝除く)」
0.10
0.00
2012年4月
2012年10月
2013年4月
2013年10月
2014年4月
出所:福島県生活環境部放射線監視室 「県内各市町村 環境放射能測定結果」
2014年10月
をもとに作成。
図 3:自分の子どもに外遊びをさせるか
させる
28.2
80%
66.7
54.0
0%
24.4
8.9
させない
0.8
0.2
12.6
13.7
図 3 注釈
注 1 : 調査対象は、 震災時および調査時双方で福島
86.6
86.1
88.1
35.3
10.7
22.4
用除く) の被曝限度を、 年 1 ミリシーベルトまでとする
もので、 国際放射線防護委員会 (ICRP) が勧告する
基準です。 これを毎時換算した 0.11 マイクロ ・ シーベ
ルトと、 福島県の平均自然放射線量毎時 0.04 マイクロ・
シーベルトとの和が、 毎時 0.15 マイクロ ・ シーベルトで
す。 空間放射線量がこの値を継続的に下回ることが、
人工放射線による被曝を社会的に許容する目安の 1 つ
です。 ただし実際の生活環境では、 遮蔽効果のある建
物内で過ごす時間が長いため、 環境省の除染基準で
はそれを加味した毎時 0.23 マイクロ ・ シーベルトが採用
されています。
0.0
11.4
62.9
49.5
40%
20%
時々させる
4.3
100%
60%
とは、 放
射線業務従事者ではない人が受ける人工放射線 (医療
32.8
福島2011 福島2012 福島2013 福島2014 秋田2013 福井2013 兵庫2013
市に在住する、 小学生および幼稚園児の母親です。
2011 年は郡山市も含みますが、 両者のデータ傾向がき
わめて似ていたため、 2012 年以降は福島市のみで実
施されています。 また秋田県、 福井県、 兵庫県が取り
上げられているのは、 全国に調査協力を依頼した中で、
この 3 県に所在する調査機関から協力が得られたため
です。
出所:筒井雄二 「原子力災害が福島で暮らす小学生、 幼稚園児と保護者に与えた心理的影響に関する調
注 2 : 各年の回答者数は以下のとおりです。 2011 年
査結果報告 (第四回調査)」 第 69 回福島大学定例記者会見資料、 2014 年 9 月 10 日付。 筒井雄二、
2,103 名、 2012 年 1,776 名、 2013 年 福 島 県 1,690
富永美佐子、 高原円、 高谷理恵子 「福島県における親と子のストレス調査結果報告 (第三回調査)」 第
名、 秋田県 380 名、 兵庫県 572 名、 福井県 461 名、
50 回福島大学定例記者会見資料、 2013 年 6 月 12 日付。
2014 年 2,854 名。
コドモイナGO 2014
5
キャンプレポート
福 島市、 郡山市から南会津まではバスで 3 時間。
初日は自然時間に身をゆだねて、 自然や仲間に馴染
んでいかれるように、 ゆったりとしたスケジュール。
自己紹介では
「 新しい友達をつくりたいです」
「 川遊びが楽しみです」
子どもたちが自然のなかでもいっきり遊ぶ!
ことを求めているのが伝わってきました。
心もからだも元気いっぱいのはじまりの日!
救 島救命士のくまモンこと佐藤先生から
レスキューのレクチャー。
① 困ったことがあったら、 周りの大人に
助けを求める。
② 自らの行動に責任を持つこと。
③ 一緒にキャンプをする人たちを信頼して
キャンプを創っていきましょう。
6 コドモイナGO 2014
講習の後、 くまモン先生が 「 怪我をしないように、 という注意は、 これ
から川に入る子どもたちにすると、 遊びが小さくなっちゃうからね。 僕
が待機してるから、 子どもたちには思いっきり冒険してほしいですね。 」
ステキな言葉でした!
ツリーイング、 木登り、 川遊び、 クラフト、
お菓子づくり etc、 午前 ・ 午後と自分の好きな活動を選択。
オラウータンみたいに木にぶらさがり、
ブランコのように揺れてみたり、
木登りをして森を眺める時の清々しい達成感!
清水の美しい川をお魚たちと流れるって気持ちいい!
おなかをすかして戻る人たちに
おやつケーキをたくさん焼いたり、
子どもたちのやってみたいことを
どんどん形にしていかれる
キャンプ!
コドモイナGO 2014
7
ラ ストナイトのお楽しみは 「 キャンプファイヤー 」
雨になってしまい、 大タープの下で
焚き火台に火を灯して行いました。
いな夢クラブと福大の猛獣狩りは
歌って!踊って!闇夜の祭りの大迫力。
みんなの笑顔が花火みたいに輝いて、
思い出いっぱいの夜になりました。
8 コドモイナGO 2014
最 終日はテント撤収作業。
大人も子どもたちもよく働きました。
寝泊まりしたテント、
雨の時は食堂になったキッチンドーム、
そして宇宙基地みたいな大テント。
コールマンの頼もしいテントたちをみんなで丁寧に片づけました。
フ ィナーレは
「 森の奥でフクロウが鳴いたよ♪」
お馴染みのうたをみんなで歌い、
みんなからも感想をシェアしてもらいました。
自 然に出逢う、
人に出逢う、
そして新しい自分に出逢う。
素晴らしい4日間になりました。
コドモイナGO 2014
9
保護者自由記述
10 コドモイナGO 2014
( 一部抜粋)
コドモイナGO 2014
11
子どもたちの感想
12 コドモイナGO 2014
( 一部抜粋)
コドモイナGO 2014
13
あとがきにかえて
コドモイナ GO は 2014 年で 3 年 目 を
迎えました。 手 探 りで始めたプログラム
ですが、 3 年目となるとだいぶ勝手がわ
かるようになります。 特にキャンプ当日の
運営については、 経験豊富な野外学校
FOS と地元のいな夢クラブが、 しっかり
現場を固めてくれます。
実は、 今回のキャンプ本番では体調を
崩し、 私はほとんど何もできませんでし
た。 けれども最終日まで何事もなく、 森
には子どもたちの笑い声が響いていまし
た。 誰かがいなくても現場が無理なく回る
ことは重要です。 むろんスタッフ一人ひと
りが大切な存在ですが、 そのことと、 人
員に余裕がないのはまた別。 無理を重ね
れば活動が続きませんし、 深刻な事故の
元だからです。
持 続 可 能 性は何も環 境 問 題だけでな
く、 こうした草の根の活動にもいえるのだ
と思います。
事前に考えられる準備をしておくこと。
そして本番後はやりっ放しにせず、 結果を
まとめ、 発表し、 次年度につなげていく。
これらは手間隙がかかるわりに地味な作
業の連続ですが、 私の役割はそこにある
と、 再確認した年でもありました。
さてここで、 今 年 度のコドモイナ GO
でお世話になった団体 ・ 個人のみなさま
に、 改めて御礼を申し上げたいと思いま
す。
コールマン ジャパン株式会社には、 同
社 の CSR ( 企 業 の 社 会 的 責 任 ) 事 業
「未来を照らそうプロジェクト」 の一環とし
て、 初年度からコドモイナ GO にご賛同
いただいております。 今年度はこれまで
以上に手厚いご支援を賜りました。 まず、
昨年度まで貸与であったキャンプ用品を
ご寄贈くださったことです。 さらには、 同
社の会員のみなさんに対して、 コドモイナ
GO に特化した支援金を募ってくださいま
した。 東日本大震災と原発事故の風化が
進む中、 このような形で支えていただけた
ことは、 当事者としてとても心強いもので
した。
いな夢クラブと野外学校 FOS にはコド
14 コドモイナGO 2014
モイナ GO の主要スタッフとして、 そして
人生の先輩として、 たいへんお世話にな
りました。 日々の生活が以前と違った景色
に見えるのは、 このみなさんのおかげで
す。
キャンプ地である南会津町では、 様々
な団体から各種のご支援をいただいており
ます。
まず、 南会津町役場からは活動資金の
一部をサポートしていただきました。 そし
て、いな郷土料理研究会のみなさんには、
3 日目の昼食として、 手作りの郷土料理
を振る舞っていただきました。 伊南の自然
の中で滋味豊かな郷土料理を味わうこと
は格別な体験です。
チーム浜 野と南 会 津 町 観 光 物 産 協 会
からはライフジャケットや水中メガネなど、
川遊び用の装備をお借りしました。 また、
いなオオクワファームからは、 子どもたち
にたくさんのオオクワガタをプレゼントして
いただきました。 さらに、 今年度から始め
た木登り体験 (ツリーイング) では、 奥
会津ツリーイングクラブのみなさんからご
指導を受けました。 子どもたちの感想文
の中には、 川遊びや木登り、 オオクワガ
タの様子がよく描かれており、 印象的な
思い出につながっていることが伺えます。
また、 自然食品を手がける創健社から
は、 今年度より、 体にやさしい素材を使っ
た茶飲料とカレールウをご提供いただきま
した。 このルウを用いて福島大生がキャン
プ 2 日目に昼食のカレーライスをつくった
のですが、 大きなお鍋がすぐに空になっ
てしまいました。
なお、 キャンプにはリスクがつきものな
ので、 それに備え、 2 人の専門家からも
お力をお借りしました。
救 急 救 命 士の佐 藤 武 諭 毅 さんには、
昨年度に引き続き、 救護担当としてキャ
ンプに参加していただきました (ちなみに、
ディズニーの CG 映画 「ベイマックス」 を
観たとき、 ふと武諭毅さんを思い起こしま
した。 必見です)。
また、 臨 床 心 理 士の木 内 綾 乃さんに
は、 学生向けのボランティア研修の講師
を務めていただきました。 ご自身の豊富
なボランティア経験と心理学の知見の両
面から、 学生たちの不安を和らげてくれま
した。
私の所属する福島大学からは、 活動
資金の一部援助を受けました。 コドモイナ
GO は、 2013 年度から始まった、 本学
特修プログラム 「ふくしま未来学」 (文部
科学省 「地 (知) の拠点整備事業 (大
学 COC 事業)」) の 1 事業に選定されて
います。 また、 経済経営学類後援会およ
び経済学会からも活動資金の一部を得ま
した。
学生については遠藤研究室の他、 学
内から男女 2 名ずつに 「助っ人」 として
参加してもらいました。 それぞれ子ども向
けのボランティア経験をもっており、 とて
も頼もしかったです。 紹介にあたっては、
福島大学災害ボランティアセンターと自然
体験学校 (実習) をそれぞれ主宰する、
鈴木典夫先生 (行政政策学類) と谷雅
泰先生 (人間発達文化学類) にご協力
いただきました。
そして遠藤研究室の学生は、 私の在外
研究により 4 年生のみであったにもかかわ
らず、 しっかりそれぞれの持ち味を発揮し、
支えてくれました。 彼らとの何気ないコミュ
ニケーションに救われたことは数知れませ
ん。
「最近の若い者は…」 という若者批判
に反して、 私自身は学生たちとの関わり
から教えられることも少なくありません。 こ
れからの担い手は、 ゆっくりとではありま
すが、 着実に育っています。
もちろん、 人生の先輩達から教わるこ
ともたくさんあります。 様々な年齢や背景
の人々が集い、 自分の得意なものを差し
出して、 足りないところを補い合う。 そん
な場の 1 つとして、 コドモイナ GO は機
能している。 それを実感できることが、 人
生に彩りを与えてくれるのです。
2015 年 雨水
コドモイナ GO スタッフを代表して
遠藤 明子 (福島大学経済経営学類)
関係団体 ・ スタッフ一覧
( 順不同 ・ 敬称略 )
いなオオクワファーム
いな郷土料理研究会
奥会津ツリーイングクラブ
佐藤 武諭毅
せせらぎオートキャンプ場
創健社
チーム浜野
花木の宿
南会津町観光物産協会
福島大学
南会津町
( 救急救命士 )
( 国立大学法人 )
( 地方自治体 )
コールマン ジャパン株式会社
こころ からだ いのち
子どもたちの幸せな未来を創造する
キャンプを支えてくださったみなさま
ありがとうございました。
スタッフ 一 覧
遠藤明子研究室
車田 政志:まーしー
渡邉 大和:やまと
阿久津 文稔:ブンちゃん
野外学校 FOS
遠藤 明子
白井 俊也:しらりん
加藤 実可子:みかぱん
星 広美:うら
戸高 雅史:マサ
( コドモイナ GO 代表 )
村越 悟:さっちゃん
川崎 桃実:もも
馬場 和子:カズコ
戸高 優美:ゆーみ
遠藤研究室 7 期生
浅沼 萌子:もえ
馬場 貴大:チョモ
松澤 瞬:しゅん
阿久津 鉄矢:てっちゃん
押切 裕香:ひろか
いな夢クラブ
岡本 幸大:ユキボー
小俣 さおり:さおり
小野 洋平:ようへい
助っ人福大生
馬場 要助:よっけ
馬場 美菜子:ミーナ
西森 綾子:あやこっぴ
熊谷 慎平:ぺー
丸山 拓成:まる
星 恵一:ボンバー
馬場 元規:ゲンキ
コドモイナGO 2014
15
コドモイナG O
2 0 1 4 活動報告書
発行日 : 2 0 1 5 年 3 月 3 1 日
発行者 : 福島大 学 経 済 経 営 学 類 遠 藤明子研究室
制 作 : 野外 学 校 F O S