転換価格修正条項付転換社債の 計量的評価

2005年9月 日興年金セミナー
転換価格修正条項付転換社債の
計量的評価
投資工学研究所
本山 真
目次
1.はじめに
2.最近の発行事例
3.価格付け、早期行使と転換株数
4.資本コスト
5.まとめ
6.おわりに
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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1.はじめに
転換価格修正条項付転換社債(通称:MSCB)
‹ 発行後にあらかじめ定められたルールにしたがって転換価格が見直される転換社債
特徴
‹ 転換社債は株式による資金調達と負債による資金調達の中間的な性格
‹ 転換価格修正条項付転換社債は株式による資金調達に近く、不確実性の高い資金使途に活用
‹ 新興企業や企業再生型の案件における機動的な資金調達手段として利用
問題点
既存株主
転換社債
の割当先
資金使途は経営者が決めるにしても…
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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2.最近の発行事例
取締役会決議日前後の株価の変動に関する集計値
株価変化率の日付
下落銘柄比率
平均
中央値
最大値
最小値
翌取引日
74.19%
-3.00%
-2.94%
6.97%
-19.12%
当日
52.69%
-0.32%
-0.23%
14.39%
-8.46%
前取引日
54.84%
-0.23%
-0.55%
9.09%
-8.24%
(注1)取締役会決議日が平成17年1月4日から平成17年8月31日の銘柄(複数の発行は1銘柄としてカウント)を対象
にして集計した(93銘柄)。
(注2)例えば、取締役会決議日の翌取引日の株価変化率rt+1の計算は以下のようにして行った。
S −S
rt +1 = t +1 t ×100
St
株価変化率rt+1
時間
取締役会決議日の
株価の終値(St)
取締役会決議日の翌取引
日の株価の終値(St+1)
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2.最近の発行事例
取締役会決議日前後の日次株価変化率の分布
45
40
35
頻度(%)
30
25
20
15
10
5
0
-18
-16
-14
-12
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
10
12
14
16
株価変化率(%)
当日
前営業日
翌営業日
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3.価格付け、早期行使と転換株数
転換社債の価格付けの方法
z 転換社債をヨーロピアン・オプションとみなした評価式
(
)
CB = P ⋅ N (d ) − B ⋅ N d − σ T + B
S
P = × 100
X
B = BT ⋅ e − rT
CB : 転換社債の理論価値
P σ
ln  +
T
B 2

d=
σ T
X : 転換価格
2
P : パリティ価格
B : 債券価値
S : 株価
BT : 額面100円あたりの償還金額
σ : ボラティリティ
r :リスクフリーレート
T : 転換社債の年限
N ( ) : 標準正規分布の累積密度関数
アメリカン・オプションの価格付けの方法
解析解×
数値解○ → 二項モデル/有限差分法など → モンテカルロ法
z Longstaff and Schwartz(2001)の最小二乗モンテカルロ法
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3.価格付け、早期行使と転換株数
最小二乗モンテカルロ法による転換社債の価格付け
④
900
800
①株価のパスの発生
700
②行使価値の計算
③満期時のオプション価値の
計算
株価(円)
600
500
③
400
300
④行使価値と継続価値を比較
し、オプション価値を計算
継続価値:株価を説明変数、行
使価値を1期間割り引いた値を
被説明変数として回帰分析を
行って求めた推定値
200
100
0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
時間(年)
①、②
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3.価格付け、早期行使と転換株数
計算のポイント
z 行使価値

S
CBt = max t ×100, Bt 

 Xt
 St

= max × 100 − Bt ,0  + Bt
 Xt

CBt : 転換社債の理論価値
= Wt + Bt
σ : ボラティリティ
Bt : 債券価値
St : 株価
X t : 転換価格
T : 転換社債の年限
Wt : 行使価値
St = S t −1e
2

 r −q− σ

2


 ∆t +σ ∆t ε


r :リスクフリーレート
q : 配当利回り
∆t : 時間間隔
ε : 標準正規分布にしたがうランダムサンプリング
Bt = Bt −1e rc ∆t
B0 = BT e − rcT
rc :クレジットスプレッドを含んだ利子率
BT : 額面100円あたりの償還金額
B0 : BTの現在価値
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3.価格付け、早期行使と転換株数
z 転換価格の修正
Xt =
S t −1 + St − 2 + S t −3 + S t − 4 + St −5
5
z 希薄化
St −i : i営業日前の株価
n : 発行済み株式数
n ⋅ St + V
St′ =
V
n+
Xt
V : 転換社債の発行総額
:
St (希薄化を考慮してい
ない)株価
St′ : 希薄化を考慮した株価
z クレジットスプレッド
転換時点からの割引率
リスクフリーレート
行使価値の割引率
債券価値の割引率
クレジットスプレッドを含んだ利子率
z 誤差の評価
M 
 ∑ ci 
M
2
ci −  i =1 
∑
M
i =1
SE =
M (M − 1)
2
SE : 標準誤差
ci : i回目の試行におけるオプション価値
M : 試行回数
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3.価格付け、早期行使と転換株数
計算の基本となる発行条件
項目
内容
株価
500円
当初転換価格
500円
転換価格の修正日
転換価格の修正方法
1ヵ月に一度(発行日から20日ごと)
転換価格の修正日直前の5日間(修正日は含まない)の株価の
平均値の90%を修正日に新しい転換価格とする
転換期間
発行日の翌営業日から償還日
償還価格
額面100円につき100円
発行年限
2年
発行総額
100億円(株式時価総額の20%)
利率
発行済み株式数
0%
1億株
リスクフリーレート
1%
クレジットスプレッド
1%
ボラティリティ
30%
配当利回り
0%
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3.価格付け、早期行使と転換株数
計算結果
転換社債価値
オプション価値
債券価値
標準誤差
基本となる条件による結果
118.52円
21.00円
97.52円
0.09円
計算式による結果(クレジッ
トスプレッドなし)
115.66円
17.64円
98.02円
-
計算式による結果(クレジッ
トスプレッドあり)
114.58円
18.50円
96.08円
-
希薄化、転換価格修正なし
114.56円
17.64円
96.93円
0.33円
下方修正のみ
134.00円
36.00円
98.00円
0.32円
平均行使期間
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
基本となる条件による結果
1.49年
100%
403.05円
487.34円
2,481万株
希薄化、転換価格修正なし
1.99年
43.90%
500円
704.76円
878万株
下方修正のみ
1.98年
100%
339.42円
474.82円
2,946万株
‹ 基本となる条件による結果に関わらず、転換社債価値は100円を超えている。
‹ 計算式による結果は希薄化、転換価格修正なしでヨーロピアン・オプションとみなした評価であるが、最小二乗モ
ンテカルロ法による希薄化、転換価格修正なしの結果に近い値が得られる。
‹ 希薄化、転換価格修正なしは行使比率が低く、発行企業にとって資本充実が図れない可能性がある。
‹ 下方修正のみは両方に修正されるものと比較して、転換社債価値が高く、平均転換価格が安く、転換株数が多い。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
z 基礎となる条件での早期行使のタイミング
100
1.8
90
1.6
80
1.4
70
1.2
60
1
50
0.8
40
0.6
30
0.4
20
0.2
10
0
累積行使率(%)
行使率(%)
2
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
行使率
1
年限
1.2
1.4
1.6
1.8
2
累積行使率
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3.価格付け、早期行使と転換株数
z 転換価格を修正する株価の平均値の日数を変えた場合
日数
転換社債価値
オプション価値
債券価値
標準誤差
3日
118.64円
21.14円
97.50円
0.09円
5日
118.52円
21.00円
97.52円
0.09円
10日
118.36円
20.81円
97.55円
0.10円
日数
平均行使期間
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
3日
1.47年
100%
403.03円
487.72円
2,481万株
5日
1.49年
100%
403.05円
487.34円
2,481万株
10日
1.52年
99.87%
403.79円
487.70円
2,473万株
‹ 転換価格を修正する株価の平均値を計算する日数を変えても、転換社債価値などにはほとんど影響がない。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
z 転換価格を修正する間隔を変えた場合
間隔
転換社債価値
オプション価値
債券価値
標準誤差
1週間に一度
117.33円
20.41円
96.93円
0.04円
1ヵ月に一度
118.52円
21.00円
97.52円
0.09円
1年に一度
117.61円
19.61円
98.00円
0.19円
修正なし
111.68円
14.76円
96.92円
0.27円
間隔
平均行使期間
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
1週間に一度
0.88年
100%
409.57円
486.44円
2,442万株
1ヵ月に一度
1.49年
100%
403.05円
487.34円
2,481万株
1年に一度
1.98年
99.99%
403.75円
491.75円
2,477万株
修正なし
1.97年
43.90%
500円
671.09円
878万株
‹ 転換価格を修正する間隔を変更しても、転換社債価値にはほとんど影響がない。
‹ 転換価格を修正する間隔が短いほど平均行使期間も短くなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
13/33
3.価格付け、早期行使と転換株数
120
25
115
20
110
15
105
10
100
5
95
オプション価値(円)
転換社債、債券価値(円)
z 転換価格の割引掛目を変えた場合
0
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
割引掛目(%)
転換社債価値
債券価値
オプション価値
‹ 平均株価から転換価格を計算するときに割引く掛目を大きくする(割引く割合を小さくする)と転換社債価値、オプ
ション価値は小さくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
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完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
14/33
1.8
90
1.6
80
1.4
70
1.2
60
1.0
50
0.8
40
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
平均転換価格、平均行使株価(円)
100
行使比率(%)
平均行使期間(年)
2.0
550
2500
530
2400
510
2300
490
2200
470
2100
450
2000
430
1900
410
1800
390
1700
370
1600
350
1500
90
100
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
割引掛目(%)
割引掛目(%)
平均行使期間
転換株数(万株)
3.価格付け、早期行使と転換株数
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
‹ 割引掛目が大きくなると、行使比率が小さくなる。
‹ 割引掛目が大きくなると、平均転換価格が高くなり、転換株数は少なくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
125
30
120
25
115
20
110
15
105
10
100
5
95
オプション価値(円)
転換社債、債券価値(円)
z 株式時価総額に対する転換社債の発行額の割合を変えた場合
0
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200
株式時価総額に対する発行額の割合(%)
転換社債価値
債券価値
オプション価値
‹ 株式時価総額に対する転換社債の発行額が増加すると、転換社債価値、オプション価値が小さくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
2.0
100
1.8
90
1.6
80
1.4
70
1.2
60
1.0
50
0.8
40
550
平均転換価格、平均行使株価(円)
行使比率(%)
平均行使期間(年)
530
510
490
470
450
430
410
390
370
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200
株式時価総額に対する発行額の割合(%)
平均行使期間
行使比率
350
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200
株式時価総額に対する発行額の割合(%)
平均転換価格
平均行使株価
‹ 株式時価総額に対する転換社債の発行額が増加すると、平均行使期間が短くなる。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
z クレジットスプレッドを変えた場合
30
125
120
25
20
110
15
105
100
10
オプション価値(円)
転換社債、債券価値(円)
115
95
5
90
85
0
0
1
2
3
4
5
クレジットスプレッド(%)
転換社債価値
債券価値
オプション価値
‹ クレジットスプレッドが大きくなると、債券価値は小さくなるが、オプション価値が大きくなり、転換社債価値への影
響が小さくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
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完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
18/33
3.価格付け、早期行使と転換株数
2.0
100
1.8
90
1.6
80
500
3000
1.2
60
1.0
50
0.8
40
2800
2700
440
2600
2500
410
2400
転換株数(万株)
70
平均転換価格、平均行使株価(円)
1.4
行使比率(%)
平均行使期間(年)
2900
470
2300
380
2200
2100
0
1
2
3
4
350
1
2
3
4
5
クレジットスプレッド(%)
クレジットスプレッド(%)
平均行使期間
2000
0
5
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
‹ クレジットスプレッドが大きくなると、平均行使期間が短くなる。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
120
25
115
20
110
15
105
10
100
5
95
オプション価値(円)
転換社債、債券価値(円)
z 転換価格の下限を変えた場合
0
50
60
70
80
90
100
転換価格の下限(%)
転換社債価値
債券価値
オプション価値
‹ 転換価格の下限が大きくなると、転換社債価値、オプション価値が小さくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
20/33
3.価格付け、早期行使と転換株数
2.0
100
700
1.8
90
650
1.6
80
1.4
70
1.2
60
1.0
50
0.8
40
2500
2100
1900
600
1700
1500
550
1300
500
転換株数(万株)
平均転換価格、平均行使株価(円)
行使比率(%)
平均行使期間(年)
2300
1100
900
450
700
50
60
70
80
90
400
100
転換価格の下限(%)
平均行使期間
500
50
60
70
80
90
100
転換価格の下限(%)
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
‹ 転換価格の下限が大きくなると、行使比率が小さくなる。
‹ 行使比率が小さくなる影響があり、転換価格の下限と平均行使期間は単調な関係にない。
‹ 転換価格の下限が大きくなると、平均転換価格が高くなり、転換株数が少なくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
21/33
3.価格付け、早期行使と転換株数
125
30
120
25
115
20
110
15
105
10
100
5
95
オプション価値(円)
転換社債、債券価値(円)
z 転換価格の上限を変えた場合
0
100
110
120
130
140
150
160
170
180
190
200
転換社債の上限(%)
転換社債価値
債券価値
オプション価値
‹ 転換価格の上限を大きくすると、ある点まで転換社債価値、オプション価値が小さくなるが、それ以降はほとんど
変化がなくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
22/33
3.価格付け、早期行使と転換株数
2.0
100
1.8
90
1.6
80
500
3000
1.2
60
1.0
50
0.8
40
2800
2700
440
2600
2500
410
2400
転換株数(万株)
70
平均転換価格、平均行使株価(円)
1.4
行使比率(%)
平均行使期間(年)
2900
470
2300
380
2200
2100
100
110
120
130
140
150
160
170
180
190
350
110
120
130
140
150
160
170
180
190
200
転換価格の上限(%)
転換価格の上限(%)
平均行使期間
2000
100
200
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
‹ 転換価格の上限を大きくすると、平均行使期間が小さくなる。
‹ 転換価格の上限を大きくすると、ある点まで転換株数が小さくなるが、それ以降はほとんど変化がなくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
23/33
3.価格付け、早期行使と転換株数
z ボラティリティを変えた場合
60
160
50
140
40
130
30
120
20
オプション価値(円)
転換社債、債券価値(円)
150
110
10
100
90
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
120
130
140
150
ボラティリティ(%)
転換社債価値
債券価値
オプション価値
‹ ボラティリティが大きくなると、転換社債価値、オプション価値が大きくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
2.0
100
500
1.8
90
450
1.6
80
1.4
70
1.2
60
1.0
50
0.8
40
4000
3600
3400
400
3200
3000
350
2800
300
転換株数(万株)
平均転換価格、平均行使株価(円)
行使比率(%)
平均行使期間(年)
3800
2600
2400
250
2200
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
120
130
140
200
150
2000
10
20
30
40
50
60
ボラティリティ(%)
平均行使期間
70
80
90
100
110
120
130
140
150
ボラティリティ(%)
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
‹ ボラティリティが大きくなると、行使比率が小さくなる。
‹ 行使比率が小さくなる影響があり、ボラティリティと平均行使期間は単調な関係にない。
‹ ボラティリティが大きくなると、平均転換価格は安くなり、転換株数は増加する。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
120
25
115
20
110
15
105
10
100
5
95
オプション価値(円)
CB、債券価値(円)
z 配当利回りを変えた場合
0
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
配当利回り(%)
転換社債価値
債券価値
オプション価値
‹ 配当利回りが転換社債価値、オプション価値に与える影響は小さい。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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3.価格付け、早期行使と転換株数
2.0
100
1.8
90
1.6
80
500
3000
1.2
60
1.0
50
0.8
40
2800
2700
440
2600
2500
410
2400
転換株数(万株)
70
平均転換価格、平均行使株価(円)
1.4
行使比率(%)
平均行使期間(年)
2900
470
2300
380
2200
2100
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
350
2000
0
0.5
1
1.5
2.5
3
3.5
4
4.5
5
配当利回り(%)
配当利回り(%)
平均行使期間
2
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
‹ 配当利回りが大きくなると、平均転換価格が安くなり、転換株数が増加する。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
27/33
3.価格付け、早期行使と転換株数
z 年限を変えた場合
125
35
120
30
25
110
20
105
15
100
オプション価値(円)
転換社債、債券価値(円)
115
10
95
5
90
85
0
1
2
3
4
5
6
7
8
転換社債の年限(年)
転換社債価値
債券価値
オプション価値
‹ 年限が長くなると、債券価値は小さくなるが、オプション価値が大きくなり、転換社債価値も大きくなる。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
28/33
3.価格付け、早期行使と転換株数
500
100
4.0
2900
3.0
2.5
70
2.0
1.5
60
1.0
50
0.5
行使比率(%)
80
平均転換価格、平均行使株価(円)
90
470
2800
2700
440
2600
2500
410
2400
転換株数(万株)
3.5
平均行使期間(年)
3000
2300
380
2200
2100
0.0
40
1
2
3
4
5
6
7
8
350
2000
1
2
3
5
6
7
8
年限(年)
年限(年)
平均行使期間
4
行使比率
平均転換価格
平均行使株価
転換株数
‹ 年限が長くなると、平均行使期間も長くなる。
‹ 年限が長くなると、平均転換価格は安くなり、転換株数が増加する。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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4.資本コスト
計算方法
z 転換社債のオプション価値の資本コスト
kw = r +
W ∂CB
β
rm
CB ∂P
k w : オプション価値の資本コスト
r :リスクフリーレート
W : オプション価値
CB : 転換社債価値
β : ベータ値
P : パリティ価格
rm : 株式のリスクプレミアム
z 平均資本コスト
k=
W
B
kw +
rc
CB
CB
k : 平均資本の資本コスト
B : 債券価値
rc :クレジットスプレッドを含む利子率
z デルタ
∂CB CB (S + S ⋅ h ) − CB(S − S ⋅ h )
∂CB
≈
: デルタ
2P ⋅ h
∂P
∂P
h : 微少量(ここでは、
0.01)
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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4.資本コスト
仮定
ベータ値
株式のリスクプレミアム
1
5%
計算結果
条件
デルタ
オプション価値の
資本コスト
オプション価値
債券価値
平均資本コスト
解析解(クレジット
スプレッドなし)
0.60
3.60%
17.64円
98.02円
2.24%
解析解(クレジット
スプレッドあり)
0.62
3.71%
18.50円
96.08円
2.28%
数値解
0.63
3.77%
17.64円
96.93円
2.27%
1週間に一度
0.04
1.16%
20.41円
96.93円
1.85%
1ヵ月に一度
0.04
1.16%
21.00円
97.52円
1.85%
1年に一度
0.05
1.20%
19.61円
98.00円
1.87%
修正なし
0.51
3.30%
14.76円
96.92円
2.17%
‹ 転換価格が一定の転換社債と比較して、転換価格修正条項付転換社債のデルタは小さい。
‹ 転換価格修正条項付転換社債の平均資本コストが株式や負債単独での資本コストと比較して小さくなる可能性
がある。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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5.まとめ
‹ 転換価格を一定にすると、行使比率が低くなる。
‹ 転換価格を修正する方向を下方だけでなく、上方にも修正すると、転換社債価値は小さく
なり、転換株数は減少する。
‹ 転換価格を修正する間隔が短いほど平均行使期間も短くなる。
株主
‹ 転換価格修正の平均株価を割引く掛目を小さくする(割引く割合を大きくする)と、転換社
債価値は大きくなり、行使比率が高くなり、転換株数が増加する。
‹ 転換社債の発行額が大きいと、転換社債価値は小さくなる。
発行企業
‹ 転換社債価値に対するクレジットスプレッドの影響は小さい。
‹ 転換価格の下限が大きくなると、転換社債価値が小さくなるが、行使比率も小さくなる。
割当先
‹ ボラティリティが大きいと、転換社債価値が大きくなる。
‹ ボラティリティが大きいと、行使比率が小さくなるが、転換株数は増加する。
‹ 年限を長くすると、平均行使期間は長くなり、転換株数が増加する。
‹ 転換価格が一定の転換社債と比較して、転換価格修正条項付転換社債のデルタは小さ
い。
‹ 転換価格が修正されると平均資本コストが低くなる可能性がある。
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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6.おわりに
新株予約権の活用範囲の拡大
‹ ストックオプションなどのインセンティブプラン
‹ 株主への新株予約権の付与
制度の整備
‹ 第三者割当による新株予約権、転換社債型新株予約
権付社債の発行
‹ 商法(会社法)の改正
‹ 敵対的買収に対する防衛策
‹ 会計基準の国際化
‹ 判例などの蓄積
柔軟な資金調達手法に対するニーズ
‹ 企業活動の活性化
金融技術の向上
‹ 不確実性の高い資金使途
‹ 企業再生
株主への説明責任
‹ 規制緩和に対する歯止めの役割
‹ 株主の意識改革
※ このレポートは顧客を勧誘する目的で作成したものではありません。
※ このレポートは信頼性の高いデータから作成されておりますが、内容の正確性、あるいは
完全性について明示、黙示に関わらずこれを表明、あるいは保証するものではありません。
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