平成 26 年度 広島県立総合技術研究所農業技術センター研究成果情報集 Ⅰ普及に移し得る成果 7.「モモの樹体ジョイント仕立ての栽培管理マニュアル」の作成 1.背 景とねらい モモの栽培には,熟練した経験に裏づけられた整枝・せん定等の精密な管理技術が 必要です。そのため,技術の継承が進まず,栽培面積は年々減少しています。そこで, 後継者,新規の生産者や雇用者でも,従来の仕立て法と比較し単純かつ省力的に高品 質果実を生産できるモモの樹体ジョイント仕立て(図 1)を開発し,その栽培管理マニュア ルを作成しました。なお,本研究の一部は,新たな農林水産政策を推進する実用技術開 発事業によって実施しました。 2.成 果の内 容 1) 育苗は,培 養 土に赤玉 土を利 用し,100cm で切 返しを行 い,ジベレリンペーストを 2 回処 理し,副梢を 2 葉 で摘 心することで,本 仕立 て法に適した苗 木が育 成できます。 2) 棚 は,T 字 連 結 型 の棚 とすることで,従 来 の一 文 字 形 整 枝 の棚 と比 較 し,資 材 費 が削 減 でき,設 置 作 業 時 間 も短 くなります。 3) 樹 形 は,主 枝 高 155cm,植 栽 間 隔 は樹 間 1.6m,列 間 3m を基 本 (図 2)とすること で,その場 合 定 植 3 年 目 での成 園 化 が見 込 め,従 来 の仕 立 て法 と比 較 して早 期 に 成 園 となります。 4) 従 来 の仕 立 て法 と比 較 して,作 業 時 間 が短 くなり,心 拍 数 増 加 率 が低 くなる傾 向 があり,省 力 化 と軽 労 化 を図 ることができます。 5) 以 上 の研 究 成 果 をとりまとめ,「モモの樹 体 ジョイント仕 立 ての栽 培 管 理 マニュアル」 を作 成 しました(図 3)。 3.利 用上の留意 点 1) 作 成 したマニュアルについては,果 樹 研 究 部 において配 布 しますので,モモの樹 体 ジョイント仕 立 ての導 入 を検 討 する際 には,果 樹 研 究 部 にご相 談 ください。 (果樹 研究 部) - 13 - 平成 26 年度 広島県立総合技術研究所農業技術センター研究成果情報集 Ⅰ普及に移し得る成果 4.具 体的データ 図 1 定 植 4 年 目 開 花 期 のモモの樹 体 ジョイント仕 立 て(2013 年 ) 横 方 向 からの模 式 図 縦 方 向 からの模 式 図 図 2 モモの樹 体 ジョイント仕 立 ての基 本 樹 形 (2013 年 ) Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ Ⅹ Ⅺ Ⅻ 項 目 はじめに 年次別管理作業の流れ 栽培を始めるための準備 育苗 定植ほ場の準備 棚の作成 ほ場定植・引き倒し・接ぎ木 定植後の管理 必要資材と経営試算 普及上の課題と今後の取り組みについて よくある質問とその回答 参考資料 ページ 1 4 5 7 13 16 26 32 42 44 46 48 図 3 モモの樹 体 ジョイント仕 立 ての栽 培 管 理 マニュアルの目 次 (2013 年 ) - 14 -
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