登山(予報)競技の予報1号

平成 27 年度全九州高等学校体育大会 第 58 回全九州高等学校登山競技大会予報 1 号
福岡県高体連登山専門部
英彦山コース
1
「霊山」英彦山
英彦山は北岳(1192M)・中岳(1188M)・南
岳(1199.6M)の三つの山頂を持ち、福岡県
内では釈迦岳(1231M)に次ぐ標高を誇る。
山域は福岡県と大分県の県境未確定地域と
なっている。英彦山は羽黒山(山形県)
・熊
野大峰山(奈良県)とともに「日本三大修験山」に数えられ、山伏の坊舎跡など往時をしの
ぶ史跡が残る。山伏の修験道場として古くから武芸の鍛錬に力を入れ、最盛期には数千名の
僧兵を擁し、大名に匹敵する兵力を保持していたという。もとは「彦山」との表記であった
が、1729 年(享保 14 年)
、霊元法皇の院宣により「英」の字をつけたという。山の中腹 500m
近辺に英彦山神宮奉幣殿があり、多くの参拝客が訪れる。山頂には上宮がある。2005 年(平
成 17 年)10 月には、英彦山神宮へ続く参道沿いに、参道起点の銅の鳥居横から英彦山花公
園を経由して参道終点の英彦山神宮奉幣殿へ至る全長 849m のスロープカーが完成し、英
彦山神宮奉幣殿まで約 15 分で行けるようになった。
2
英彦山大会コースのルートガイド
幕営地「福岡県立英彦山青年の家」をチーム行動で
出発する。野鳥観察の森の中のバードラインを通り
奉幣殿から中岳に向かうポッカ道と出会う。左折し
急な坂を上ると、奉幣殿からの正面参道と合流する。
ここから左方向へ進むと標高差約 200M で中岳の山
頂であるが、山頂とは逆の右方向へ進む。しばらく進
むと中津宮を右に見て、短い鎖場を通り奉幣殿へと
300M 弱下る。スタートした標高とほぼ同じで残念な気分になる。しかし、奉幣殿は国指定
の重要文化財であり豪壮な佇まいは一見の価値がある。
奉幣殿からは引率行動で鬼杉を目指す。しばらくは杉林の平坦な道が続き、やがて絶壁か
らは生えてきたかのような風体を持つ玉屋神社に着く。この絶壁は「般若岩」と呼ばれ、岩穴
の中の清水は「世の中に大事変があるときは水が濁ると」との言い伝えがある。大和の金剛
山、近江の竹生島の水と共に日本の三霊水とされている。玉屋神社の下を左へ 2 つばかり
尾根を越え、尾根を降りると、巨大な樹木が目に飛び込む。天然記念物の樹齢 1200 年、幹
周り 12.4M、樹高 38M(もとは 80M あったが、上半分は折れた)の巨木、鬼杉である。こ
こから中岳を目指す。スタートすると険しい石段が続く、おまけに段差が不規則ときている。
やがて、左手に岩が材木を積み重ねたようになってい
る「材木石」
(鬼杉伝説では「鬼が社を建てようとした
材木の残りが、この石になった。
」と語る)に出て、さ
らに急な坂が続く。鎖がついた険し岩場を慎重に登る
と、南岳山頂に向かう道と、中岳への巻き道との分岐
に出る。南岳へは険しい岩場があるが、今大会では南
岳山頂は踏まず、巻き道を通る。やがて巻き道は南岳
と中岳の中間に出る。左折し少し登ると中岳上宮へ到る。
上宮から少し降りたところには、展望所やベンチを持つ広場があり、バイオトイレも昨年
設置され、多くの登山者で賑わっている。空気が澄んでいるときには、久住・阿蘇の山々を
見ることもできる。ここから北岳から高住神社を経て、幕営地である「英彦山青年の家」へ
と向かう。中岳と北岳を結ぶ鞍部はかつては見事なブナの原生林に覆われていたが、平成 3
年の台風でその多くが被害を受けて立ち枯れし、スズタケが繁茂している。ブナの苗を植え
て修復が行われている。スズタケを除去するとともに、ブナの苗を植え、鹿から苗を守るた
め、苗を網でおおっている。北岳の山頂には石の祠があり周囲に注連縄が張られた禁足地で
ある。北岳から急坂の下りになる。途中でロープや鎖場の難所がもある。年に数件の滑落事
故がおきている、慎重に行動したい。難所を過ぎた所は『一本杉』という場所になっており、
由来の一本杉は前方、南側斜面に背の高い杉がスクッと立っている。下界からもこの杉を見
ることができる。途中には、一本だけオオヤマレンゲの木があり周りを柵で囲んでいる。こ
の付近の岩肌にはイワタバコが自生しており、一帯はシオジの原生林でもある。しばらく行
くと望雲台への分かれ道が現れる。今回はコース外であるが望雲台は昔修験者が修行をし
ていた場所で 2 箇所の鎖場があり、鎖を頼りに岩を登りきるとそこは奈落の底、手摺はあ
るものの足場 30cm のナイフリッジとなっている。高所恐怖症の人は行かないほうが賢明
である。その後、逆鉾岩・屏風岩・筆立岩等の角礫凝灰岩の風化でできた奇岩を眺めながら
進むと、やがて、豊前坊高住神社に到る。高住神社から幕営地の「英彦山青年の家」までは
後わずかである
馬見山・古処山コース
1.焼き物の里から古の城下町へ
馬見山(977.8m)を最高峰に屏山(926.6m)
、古処山(859.5m)と続くこの山域は、筑
後地方と筑豊地方の境界をなし、特に南側の筑後平野から眺めるとその稜線がはっきりと
見て取れる。北側流域は遠賀川の源流となり玄界灘へ注ぎ、南側は筑後川となり有明海へと
注ぐ。山域の南側には江川ダム、寺内ダムなど大規模なダムがあり筑後地方はもとより福岡
市にも供給され県民の水源としての機能も持つ。現在、江川ダムの上流に小石原川ダムの建
設も進んでいる。登山口に当たる小石原は、現在50もの窯元を数える焼き物の里として全
国的に有名である。素朴な暖かみを持つ日用雑器でありながら美しさを兼ね備えた小石原
焼きは多くのファンを持ち、春と秋に開催される‘民陶村祭り’は大勢の観光客で賑わいを
見せる。平成17年に旧宝珠山村と合併し現在は東峰村となっている。
古処山は全山が石灰岩で出来ており、山頂付近の一帯にはツゲの原始林が残り特別天然
記念物に指定されている。鎌倉時代から戦国時代末期にかけてこの辺り一帯を治めた秋月
氏の居城、古処山城はこの山にあり頂上付近にその跡が残っている。ゴールの秋月は古処山
の麓にひっそりと佇む城下町で、年間約30万人もの人が訪れる観光地となっている。全国
で唯一、城下町全体が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、
「秋月千軒」と
称されるにぎわいを誇った往時の面影を今に伝えている。
2.馬見~古処大会コースのルートガイド
縦走路の大部分は九州自然歩道として整備され、案内
看板も多く全体を通じ歩き易いコースである。国道21
1号線、嘉麻峠の少し南側にある旧民芸村(現在は営業
していない)の国道をはさんだ向かい側に九州自然歩道
の看板を目印として登山口がある。馬見山まで6キロの
表示。登り始めてすぐは伐採された跡となり登山道がわ
かりづらい。そのまま進むと樹林帯となり短い急坂が繰
り返し続く。木の根や枯れ葉が積もり滑り易い箇所もあるので注意を要する。ピークを越え
たところでなだらかになり林道と出会う。林道と斜めに交差し再び林の中へ入る。ここから
先はしばらく縦走路の右手を林道が平行して進むようになる。地図に掲載されていない新
しい林道もあるが、ルートを確認していけば大丈夫である。緩やかな登りの尾根筋をいくと
自然林のなかに大きな案内看板が現れる。ここから縦走路は右へほぼ直角に曲がる。通称
‘大曲り’と呼ばれる場所である。少し下りまた登り始めた頃から右手に再び林道が見え始
める。しばらく行って林道を横切りさら進み、小さなピークを幾つか越え、急な登りに差し
掛かったところで左手に栗河内への案内看板が確認できる。現在、前述の小石原川ダムの建
設工事に伴い栗河内方面へのコースは全て通行禁止となっている。さらに進み大きな尾根
筋を登っていくと、左手(南側)が開けたところにベンチと馬見山山頂の標識がある場所に
出る。ここは南側の展望が利き好天のときは筑後平野が見渡せる絶好の休息ポイントとな
る。本当の山頂はさらに雑木を抜け30mほど進んだ所にあり、三角点の標識と山頂の看板
がある。ここからは縦走路北側の馬見山キャンプ場方面へのコースが分岐している。山頂は
それほど広くなく、木立に囲まれ展望もあまり利かない。馬見山頂からは宇土浦越への下り
となる。この辺りはアブラチャンの林が美しいところである。途中傾斜の急なところもある
ので慎重に下る。鞍部と小ピークを二度ほど越えると宇土浦越へ到着する。ここにも大きな
案内看板があり目印となる。宇土浦越からは北側の馬見林道方面と南側の鮎帰への分岐が
あり十字路をなしている。鮎帰から宇土浦越直下まで林道があるが、荒れていて車での通行
は困難である。
宇土浦越しから再び登りとなりそれほど長くはないが急な登りが繰り返し現れ、疲労の
蓄積した足にはこたえる。さらに目前に急な登りが見えたところで右の植林帯へと入り巻
き道を通る。通称‘ニセ屏’
(860m)と呼ばれるピークを迂回するものである。10分ほど
杉林の中をトラバース気味に進むと再び縦走路に出会う。コースを右手に取り進むとだん
だん傾斜がきつくなり、最後は階段状になった急登を息を切らしながら登り詰めたところ
が屏山山頂である。案内看板が設置してあり馬見山頂とは逆に北側(筑豊側)の展望が利き
気持ちが良い。ここから古所山まではアップダウンも少なく、気持ちの良い縦走を楽しむこ
とができる。途中大岩の脇を通り、左手に天然記念物ツゲの原生林への分岐を見た後、苔む
す石灰岩の登りとなる。雨が降った後など石灰岩は滑り易いので注意が必要である。岩の間
を体をひねりながら進み少しずつ展望が開けてきたら岩場の間に古処山頂の標識がある広
場へと出る。ここには祠が奉られており山岳宗教の名残が感じられる。山頂からは秋月方面
へ下るコースが最も一般的であるが、今回は国道322号線の八丁峠方面へ向かう。山頂か
ら案内に沿って進むと、
‘馬攻め場’と呼ばれる広場を通る。ここは山城跡と言われている
場所である。右手に古処山キャンプ場への分岐を見て、尾根筋に広い道をしばらく行くと林
道と出会う。300mほど進んだところで林道が二手に分かれるがどちらへ進んでも国道
へ出る。右へ進むと林道がそのまま続き、八丁峠から5
00mほど下ったあたりへ出る。左へ行くと林道は歩
道となり、先ほどのところよりさらに数百m秋月側へ
下ったところで国道と出会う。さらに国道を10分ほ
ど下ったところに旧秋月街道の看板があり、石畳の旧
道が秋月登山口まで続いている。
参
考
新編九州の山と高原 折元秀穂 西日本新聞社刊
山と高原地図55福岡の山々 昭文社
添田観光ナビ http://www.soeda-kankou.com
東峰村観光情報サイト http://toho.main.jp
朝倉市ホームページ http://www.city.asakura.lg.jp
新編九州の山と高原 折元秀穂 西日本新聞社刊
山と高原地図55福岡の山々 昭文社
大会日程
第1日
第2日
第3日
第4日
(7月3日)
(7月4日)
(7月5日)
(7月6日)
日
時間
4:00
起
床
起 床
5:00
朝
食
朝 食
6:00
7:00
青年の家発
集合(バス乗車)
C隊はサブ行動
青年の家発 (バス)
バードライン
小石原着
起 床
(チーム行動)
行動開始
朝 食
8:00
9:00
10:00
奉弊殿
本部役員集合
会場準備
11:00
鬼杉
馬見山
選手監督受付
解 散
南岳
屛山
中岳(昼食)
古処山山頂下 (昼食)
北岳
各県旗掲示
14:00
閉会式
専門委員長会
12:00
13:00
玉屋神社
八丁越登山口
監督・リーダー会議
幕営
出発(バス)
役員・補助員集合
青年の家
原鶴宿舎着
15:00
開会式
講演会
16:00
ペーパーテスト
17:00
天気図・救急法
炊事・夕食
幕営
入浴
炊事
18:00
19:00
夕 食
夕食
リーダー会議
(選手交流会)
20:00
21:00
リーダー会議
監督・役員会
役員会議
監督会議
(交流会)
消
消
灯
灯
消灯
22:00
荒天対策
第1日
第2日
第3日
第4日
(7/3)
(7/4)
(7/5)
(7/6)
第 1 日の荒天
計画通り
計画通り
計画通り
計画通り
第2日の荒天
計画通り
計画通り
計画通り
第3日の荒天
計画通り
計画通り
第4日の荒天
計画通り
計画通り
サブ行動または
一部カット
サブ行動または
一部カット
計画通り
計画通り
計画通り
連絡先
・福岡県高体連事務局
〒816-0052 福岡市博多区東平尾公園 2-1-14
スポーツ科学センター(アクシオン福岡)内
℡092-621-9394
FAX092-621-9431
・登山専門部事務局
〒806-0015 北九州市八幡西区元城町1-1
福岡県立八幡中央高等学校内 ℡093-681-2335 FAX093-662-7556
[現地本部]
○ 7月3日(金)、4日(土)
英彦山青年の家
田川郡添田町英彦山 32-18
TEL0947-85-0101
○ 7月5日(日)
原鶴六峰館 朝倉市杷木久喜宮 1840 TEL0946-62-1047 FAX0946-62-1992
○ 7月6日(月)
原鶴六峰館
〃
合宿に来られる皆さまへ
全九州登山大会への出場、おめでとうございます。
青年英彦山の家、小石原グラウンドの利用については、予約をお願いします。