こちら - サタデープログラム

27th
6/27
サタデープログラム ニュース
第 5 の権力 広告代理店
~広告がメディアを支配する~
講師 本間龍氏(著述家、元博報堂社員)
第2部
11:50~13:20
1989 年、博報堂に入社し、18 年間営業を担当。北陸支社勤務時代
は、北陸地域トップ企業の売り上げを 6 倍にした実績を持つ。2006 年、
同社退職後に知人に対し、誤認による詐欺容疑で有罪となり 1 年服
役。出所後に、刑務所体験を綴った『「懲役」を知っていますか?』で作
家デビューをする。以来、自身の経験をもとに日本の社会の仕組みの
調査研究、講演や著述など幅広く活動。
広告代理店とは?何を代理しているのか?
そもそも広告代理店とはなんでしょうか? ご存じない方も多いかもしれませんが、報道界
にいる人ならば必ず知っている、大きな権力の持ち主なのです。
スポンサーとなる企業の CM を作成し、メディアの広告枠を広告主(クライアント)に売
り、手数料を得るのが主な事業形態です。簡単に言えば、企業とマスコミの間の取り引きを
代わりに行う業者です。
実はこの広告、見た目の割にとても値段が高く、新聞ならば 3cm 四方の広告で 100 万円
近くかかってしまうことがあります。日本で代表的な広告代理店は電通と博報堂。この 2
社だけで広告シェアの 6 割を占めています。
先に誕生したのは博報堂だったのですが、博報堂は新聞広告がメインで、テレビが登場し
たころはテレビ広告にはあまり意欲を示していませんでした。ここで、電通が真っ先にテレ
ビ界に進出し、テレビの広告枠はほとんど電通のものになり、特にゴールデンタイムはすべ
て電通の手中に収まってしまいました。時代の流れに、博報堂が一歩遅れたと言えます。
そんな広告代理店の貴重なお客様、クライアント企業の中には、年間数百億円という莫大
な広告費をかけている企業もあり、その莫大なカネの力を背景に無理難題を押し付けてくる
企業も多いようです。例えば、CM にタレントを起用するとき、
「タレントばかり映っている。
もっと商品を押し出せ。
」と注文が入り、修正すると今度はタレント事務所から、「タレント
の存在感が薄い」とクレームが入り、双方とも契約打ち切りのカードを背景に圧力をかけて
くるのです。
巨大広告代理店の裏事情
これだけ巨大化していると、それ相応の権力が生まれてきます。特に電通は巨大で、しば
しばメディアコントロールの矢面に立たされています。例えば、クライアントの大企業に何
らかの不祥事があった時、その企業が、マスコミに今回の件についてあまり触れないように
言ってもらえないかと働きかけます。広告代理店はメディアに対しては高圧的な一方、こう
いったクライアント企業、すなわち「お客様」にはこれでもかというほどの滅私奉公をする
という二面性があります。
すなわち、広告代理店を通じて企業の命令がメディアに伝わるという、カネの流れによる
大企業>広告代理店>メディア
の構造が成り立っているのです。
広告代理店の顧客は私企業だけではありません。今でこそ電通、博報堂とも手を引きまし
たが、東京電力も重要な顧客でした。
しかし、ここで一つ疑問が生じます。なぜ、電力会社は競争相手がいない地域独占企業な
のにメディアに何百億もの莫大な広告費を払っていたのでしょうか?
答えは 3.11、すなわち東日本大震災福島第一原発事故の時に、東京電力が広告代理店(特
に電通)を通じて原発推進キャンペーンを繰り広げていたということです。
本間氏によれば、当時、東京電力は新聞一面を取るほどの莫大な広告費をかけて、原発広
告をメディアに流して、原発反対派の告発や原発関連の情報が流れないようにしていたので
す。とはいっても、結局はクライアントの意見を代弁しているにすぎないのです。
大きくなり過ぎた電通
海外にも、広告代理店はありますが、実は日本だけ異質な点があります。それは、一つの
広告代理店が、CM作成と広告枠の販売の両方を行っているということです。基本的に、海
外では、一業種一社製と言って一つの会社が複数の分野の事業を担うことはありません。
しかし日本では、一つの広告代理店が自社で作成したCMを自社が所有する広告枠に充て
ることが出来るのです。この形態のまま、電通は 1 社でシェアの 4 割を占める巨大企業にな
っていきました。
つまり、独占禁止法すれすれなのです。本間さんは、電通を二つに分割すれば公正な競争
が生まれ現在のメディアの仕組みも改善されると仰っています。
最近は、インターネットが普及する中で、広告市場も変化してきました。ネットの広告は
新聞やテレビと違って全国的に報道されるものではないので広告費が格段に安く、広告を掲
載するページと広告の内容がマッチングしていなければならずとても複雑になっています。
電通も博報堂もネット広告に向けた子会社を設立しま
したが、広告代理店という企業では、目まぐるしく変わっ
ていくネット環境に対応できるかどうか注目です。
当日は、電通や博報堂のメディア支配構造を、
原発報道を事例に具体的に解説していただき
ます! ご期待ください!文責 高校 2H 黒木悠登