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移動系通信システム
鳴らない防災無線
東日本大震災によって、800人近い犠牲者を出した宮城県名取市の閖上地区。
震災当時は約4000人ほどが在宅していたといわれる同地区で、なぜこれほど多くの犠牲者をだしたのか。
名取市の初動対応
地震発生時、庁舎職員が避難誘導を指示。来庁者の非難をさせ防災無線室に行き、市長の直接の
指示による津波の避難指示を出した。その後も8回の防災無線による避難指示を放送したが、19
時ごろまで誰も放送が流れていたことに気が付かなかったという。
消防本部の無線の声も届いていなかった。
当時出動していた閖上出張所の消防車が閖上ビーチ避難指示を行っていたところ、
「右岸河川敷方面後方できません」
との連絡があり、消防本部指令室で大津波発生の避難放送を
防災無線遠隔制御器で始めた。その後広報対象を市内全域に拡大。
しかし、同本部および周辺に放送ができる拡声局がなかったため音声が届いていなかった。
無線機のトラブル
親機スイッチの不具合から防災、避難情報が配信できなくなった。
その後メーカー側は「同機へ異物の混入によるヒューズ融解からのスイッチ破損」
と報告している。
「どこでも、だれとでもつながる」
それは、
どこからでも、誰からの指示でも届き、
しかも確実に確認できる緊急時に最も強いシステムが必要です。
移動系通信の現状
通常、通信形態は基地局圏内の折り返し
通信がが基本機能。圏外からの通信はで
きない。音声符号化方式が異なる端末間
での通信を行うこともできない。
異なる方式のエリアに応援通信に入った
場合、応援先が運用する無線機同士の直
接通信に干渉を与えないことを基本に使
用する周波数とは別の周波数を選択する
必要がある。
2 3km
災害時やトラブル等で基地局や中継局
がダウンした場合、通信出来るのは移動
端末間の約2 3kmとなり、必要な情報
が十分に伝達されずに対処遅延などに
なります。
260MHzという周波数について
周波数割当イメージ
260MHz帯デジタル防災行政無線システムにはこのような
周波数が割り当てられている。同帯域種は数には、現在互
換性のない2つの標準規格が存在している。民間の標準
規格であるARIB STD-T79、STD-T80であり、符号化方式や
通信制御手法などが異なっている。
各帯域の信号はそれぞれデジタル化されており、規格の
異なる互いの無線機が通信をすることはできない。
これは
緊急時の情報伝達が遅れる最大原因の一つである。
移動系通信システムの規格
項目
規格の背景
伝送速度
音声符号化方式
音声符号化速度
データ伝送速度
フレーム/sec.
直接通信用周波数内訳
項目
国内独自
32kbps
EL-CELP推奨
6.4kbps
max/25.6kbps
40ms
制御1,自動選択13,通信,2
国内独自
36kbps
ACELP
7.2kbps
max/28.8kbps
56.67ms
手動選択通信16
先に同期ワードを検出した場合、 あらかじめ同期ワードを検出した
プレスによる送信を抑制
場合、
プレスによる送信を抑制
自動選択時、
レベル検出による空き
キャリア判定、空きチャンネル検索
を行う
ARIB STD-T79/STD-T80があり、両方式は音声符号化方式が異なるため、デジタル化された互いの信号には互換性が無いため
相互で通信することはできない。
T79トT80それぞれシステム内において手動選択時の送信の抑制を行っているが、同期ワード(同期通信を開始することを表す
データ列)の違いから相互認識できず、異なる規格の無線機が先行通信を行っている場合には送信の抑制はできない。 アナログ方式周波数の使用期限とデジタル化
都道府県デジタル総合移動通信システム
電波法関係審査基準
無線設備の耐用年数等考慮した上で、
できる限り早期に260MHzへ移行する事
市町村デジタル同報通信システム
市町村デジタル移動通信システム
消防・救急デジタル移動通信システム
各種無線の特徴
項
目
費
用
I
P無線
MCA無線
防災行政無線
初期投資費用が極めて小さい。
但し、月額通信利用料が必要。
初期投資費用が極めて小さい。
但し、月額通信利用料が必要。
初期投資が大、基地局、中継局舎、鉄塔、
非常用電源等。守委託費、更新が必要。
年度予算に合わせた段階的整備が
可能。
年度予算に合わせた段階的整備が可
能。
基地局、統制局、中継局、非常用電源装
置等の整備は最初から必要。
フォーマのサービスエリアと同じ。
エリア外は利用困難(
簡易無線等で補
完することは可能)
市町村の実情にあったエリア設計(
伝搬
調査)
が必要。
なし
専用スロット以外は、制限あり(
3分∼5
分制限/回)
なし
輻輳
フォーマデータ通信網の音声パケッ
トのため輻輳は生じにくい。
業務用の限られた利用者、通信時間制
限(
3分∼5分)
のため、輻輳は起こりに
くい。自治体防災は優先接続の対象。
専用波のため輻輳は起こりにくいが、
チャンネル数が少ないため、繋がりにくい。
中継局舎
中継局は不要(
ドコモ鉄塔に依存)
耐震性対応
中継局設置局舎の耐震性次第。
統制局
庁舎が被災しても、インターネットの
繋がるPC があればどこでも統制局
(
基地局)
になる。又、移動局はどこ
からでも指揮可能。
庁舎が被災しても、他の建物、車両など
を臨時の統制局として、どこからでも柔
軟に指揮可能。
庁舎が被災すれば、利用困難、また、統
制局の有線回線が断となれば通信困難。
電源
親局(
統制局)
はPC のため、小規
模な非常用電源で対応可能。
中継局に発電機を整備済みで、長時間
停電に対応。
消費電力が大きいため、大規模な非常用
電源装置の設備が必要。
電
免許申請
不要
包括免許で何局でも1回のみ。
1局毎に免許申請。
法
無線従事者・
法定点検
不要
不要
必要
同報・
移動系
同一システムで整備可能。
同一システムで整備可能。
それぞれ別のシステムとして整備する必
要がある。
移動局間通
信
フォーマエリア内ならどこからでも通
信可能。
サービスエリア内での直接通信は可能。 統制局を経由して通信する必要があり、直
接通信は専用チャンネルで通達距離が2
Km ∼3Km 位である。
予
算
機
能
信
頼
性
波
自
由
度
段階的整備
エリア
通信時間制
限
IP無線における移動系通信システムの特徴
日本国内におけるカバー率は99%以上。
通信網はFOMA回線を使用するので、
今までの無線のように 繋がらない が
ほとんど無くなります。
GPS内蔵で位置情報を把握。
移動局端末の位置を把握できるので、
緊急時等の際にも確実に確認が可能。
基地局がダウンしても端末間同士での通信ができます。
「FOMA/フォーマ」及び「FOMA」ロゴは、NTTドコモの登録商標です。
「NTTdocomo」ロゴは、NTTドコモの登録商標です。
IP無線のそのほかの主な特徴
●無線局免許・従事資格が不要。
●定期検査不要でコスト削減。
●スマホアプリをインストールすればスマホから通話ができます。
●統制通話、一斉通話、
グループ通話の設定が簡単に行えます。
●通信チャンネルは局数の半分(10局→5ch)
●通信中の局で受信局であれば受信中でも呼出し通話が可能。
●簡単にグループ構成の変更を行うことができます。
●GP内蔵で移動中の端末の管理が安価に出来ます。
IP無線における移動系通信システムの概要図
docomoのFOMA通信エリアの広さでどこでもつながり、GPS測位情報による位置情報管理で正確な情報発信を可能にします。
クラウドサーバー
FOMA基地局
GPS位置情報管理
基地局・統制局
FOMA基地局
災害対策本部
水道・清掃局車両
可搬・携帯端末
パトロール車
コミュニティバス
インターネット回線
インターネット回線
又はイントラネット回線
インターネット回線
又はイントラネット回線
GPS
GPS
基地局・統制局(移動局位置確認)
呼出名称 : 防災本部
インターネット回線
又はイントラネット回線
遠隔制御器
呼出名称 : C101
呼出名称 : B101
遠隔制御器
呼出名称 : A101
受信中
○
送信
(可搬・携帯)移動局
呼出名称 : C102
×
(車載)移動局
○
送信中
受信中
(車載)移動局
呼出名称 : A102
GPS
遠隔制御器
送信
(車載)移動局
呼出名称 : A103
×
(可搬・携帯)移動局
呼出名称 : B102
送信中
(車載)移動局
呼出名称 : B103
呼出名称 : C103
1.
2.
3.
4.
5.
6.
上図は基地局含む総無線局数10局で個別通話は同時に5対向出来ます。
局を増設しても、個別通話チャンネルは局数÷2で無制限です。
C103がA102を呼出し通話中でもA102は他の局から割込み受信が出来ます。
統制通話、一斉通話、グループ通話の設定が簡単に出来ます。
フォーマのサービスエリアであれば全国どこからでも通信が可能です。
GPS内蔵で、移動体の管理が安価に出来、携帯はWiFiでも通信ができます。
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