何故デジタル化なのか 無線電波は限られた資源 利用分野の急激な拡大 周波数の有効利用 通信の多様化と利便性の要請 高度情報化への対応 使用目的の多様化と周波数の有効利用の促進 電波有効利用指針(平成6年9月)旧郵政省 ・情報の圧縮伝送 ・高能率変調 ・伝送速度の高速化 ・データ加工が容易 ・秘話性 ナロー化 高度化 デジタル化 デジタル・ナロー化で新たなチャネルが生まれる ・ 新たなニーズへの周波数利用ができる 1ch*1 アナログ方式 1ch*2 デジタル・ナロー方式 (狭帯域デジタル通信方式) 新たなユーザー、新たなシステム への利用 周波数間隔 *1 アナログ(150MHz) 20kHz *2 デジタル(260MHz) 6.25kHz 周波数帯域幅 16kHz以下 5.8kHz以下 消防救急無線がデジタルに変わると 1 メリット ・ 通信の秘匿性による個人情報保護が確保される。 (専用の受信機でないと受信できない。) ・ データ通信が可能となる。 (伝送速度はあまり速くない。) ・ 同じ周波数でより多くのチャンネルをとることができる(デジタルナロー化) (アナログに比べ3~4倍のチャンネル数が使用可能) ・ 雑音が少なくクリアーな通信が可能 2 デメリット ・ 音声に遅れが生ずることがある。(現状では改善されてきている) ・ ・ ・ ・ 山間部、ビルでの反射によるマルチパスの影響が無いとはいえない。 アナログ無線機と比較すると、同等の大きさ、重量での実現が困難。 頭切れが起こる恐れがある。(プレストーク押してから一呼吸して話す。) 消費電力が大きい。(水難救助、林野火災等、長時間に渡る災害時は大丈夫か?) (アナログ比で1.2倍程度) ・ 直接受信の場合に、現状のアナログに比べて、ビル内の通信が劣る場合がある。 消防・救急デジタル無線の各周波数使用目的 (1) 活動波(消防・救急波) /(旧市波) 市町村等及び都道府県がそれぞれの消防・救急業務の管轄区域に おいて、消防・救急業務活動を行う場合に使用する。 (2) 主運用波・統制波(共通波) /(旧県波・全国波) 市町村等及び都道府県がその属する管轄区域を越えて、他の市町村等 及び都道府県の消防・救急業務の活動を支援する場合又は現に指定を 受けているデジタル消防・救急業務用の周波数が輻輳等により使用でき ない場合及び消防庁が消防機関との相互連絡を行う場合に使用する。 (現状) 150MHz帯アナログ 市町村波 県内共通波 全国共通波 (今後) 260MHz帯デジタル 活動波(市町村波) 主運用波(県内共通波) 統制波(全国共通波) 周波数割当数計画 (消防業務用及び救急業務用) 消防業務用及び救急業務用に対して、下表の消防ポンプ車両(ポンプ車、化学車及び高所放水 車等、ポンプ機能を有する消防車両)及び救急車両の台数を基準とする周波数の数を割り当て ることができるものとする。 消防ポンプ車両台数 基地局に指定可能な 周波数の数 基地局に指定可能な 周波数の数 救急車両台数 (29) 1 9台~16台以下 (59) 2 3 17台~24台以下 (89) 3 43台~56台以下 (149) 4 25台~32台以下 (119) 4 57台~70台以下 (189) 5 33台~40台以下 (149) 5 14台以下 (29) 1 (69) 2 29台~42台以下 (109) 15台~28台以下 以上、14台増すごとに1波追加した数 ( )はアナログ時 8台以下 以上、8台増すごとに1波追加した数 ( )はアナログ時 なお、データ伝送等により通信トラフィックが増加する場合等は、その必要に応じて消防ポンプ 車台数の周波数を超えて割り当てる。 電波法関係審査基準 790参照 消防救急デジタル無線(SCPC方式)システム構成例 ・1消防本部1基地局でのシステム構成例を示します。 ・基本的に回線制御装置、基地局無線設備、移動局、携帯局、(車載型無線装置、携帯型無線装置)から構成されます。 移動局、携帯局 (車載型) 基地局折り返しによる 移動局間通信 車載機は、基地局向け受信機、移動局向け 受信機の実装により、各移動局からの送信波 を直接受信可能とする。 FH1 (半複信) FL1 FL1 活動波1 携帯機 FH2 1波単信通信 (複信) 活動波2 FL2 主運用波 携帯機 基地局送信波と移動局送信波は 9MHz離れの異なる周波数となり 2波復信、半復信の運用となる。 移動局、携帯局 消 防 本 部 F H 3 ( 単 信 ) 統制波1 指令系設備 統制波1(FH3)を使用した 非常時における基地局間通信 統制波1 他消防機関 統制波2 統制波3 回線制御装置 基地局無線設備 他消防との共通波系基地局間通信を 希望する場合、1送信(FH3)、 2受信(FL3、FH3)の構成と する。 無線機の構成例(車載/携帯) 車載無線機 空中線共用器 TX1(FL1) 共 用 器 ※ SW VOL1 RX(FL1) RX(FH1) SDRX(FH1) BPF ※ 可能であれば1.2m以上離す VOL2 VOL3 VOL4 (凡例) ①SW:送信TXと受信RXの切替器 ②BPF:必要な周波数のみ通すフィルタ 内部SP ③TX1:送信機1 ④RX1,2:受信機1,2 ⑤SDRX:ダイバーシチ用受信機 外部SP ⑥FH1:2周波で高い方の周波数 (直接通信) ⑦FL1:2周波で低い方の周波数 ⑧VOL1,2,3,4:音量調整(ボリューム) 外部SP (基地局) ⑨SP:スピーカ 送受話器 ●ダイバーシチ用受信機は基地局との通信用のみ。(移動局間直接通信にはダイバーシチ機能はない。) ●基地局から送信される電波をRX(FH1),SDRX(FH1)の2つの受信機で受信 ●移動局間直接通信の場合、相手局からの直接波である(FL1)を受信機RX(FL1)で受信 携帯無線機 TX(FL1) SW RX(FL1/FH1) (凡例) ハンドマイクスピーカ ①SW:送信TXと受信RXの切替器 ②TX:送信機 ③RX:受信機 ④FL1:2周波で低い方の周波数 内部SP ⑤FL1/FH1:2周波の切替え ⑥SP:スピーカ ●ダイバーシチ受信機能はない。 ●携帯無線機の受信機は移動局間直接通信の周波数(FL1)と基地局との通信の周波数(FH1)を手動で切替える。 消防救急デジタル無線の運用について ① 基地局-移動局間折り返し通信(2波単信又は2波復信) (活動波は、移動局の電波を基地局が自動的に再送信する。) ② 移動局間直接通信(移動局上り周波数による単信) 基地局 上り(FL) ① 下り(FH) 1送信2受信 1送信・1受信(FL・FH切り替) ②上り周波数による単信通信の場合 は署活系的な運用となる。 指令室 基地局エリアが重複する場合1 非常送の場合 基地局エリアが重なるエリアにおいては移動局がどちらの基地局のチャ ンネルを使用するかは移動局側で手動切替 郊外 市街地 3CH:FL3-FH3 いつCH切替 えをするか 3CH:FL3-FH3 1CH:FL1-FH1 2CH:FL2-FH2 3CH:FL3-FH3 1CH:FL1-FH1 基地局エリアが重複する場合2 非常送の場合 基地局エリアが重なるが、各基地局の使用頻度が低いため、同じ周波数を使用する 設定にした場合は、基地局エリア間を移動してもチャンネル切り替えは必要ない。 郊外 準市街地 1CH:FL1-FH1 2CH:FL2-FH2 1CH:FL1-FH1 2CH:FL2-FH2 CH切り替え をしない 1CH:FL1-FH1 2CH:FL2-FH2 1CH:FL1-FH1 2CH:FL2-FH2 システム基本通信方式 共通用(統制波、主運用波) 通信方式 通信経路 送信形態 2波半複信 (基地局:非常送) 基地局-移動局間 通話時送信(基地局) (通話開始から通話終了(終話)まで送信) 1波単信 (基地局:非常送) 基地局-基地間 送話時送信(基地局) (プレストークオンからプレストークオフまで送信) 1波単信 (周波数:FL) 移動局間直接通信 送話時送信(移動局) (プレストークオンからプレストークオフまで送信) 消防・救急用(活動波) 注:いわゆる基地局間通信については、固定局の免許を二重に受ける必要がある 通信方式 通信経路 送信形態 2波半複信 (基地局:非常送) 基地局-移動局間 通話時送信(基地局) (通話開始から通話終了(終話)まで送信) 2波複信 (基地局:非常送) 基地局-移動局間 通話時送信(基地局) (通話開始から通話終了(終話)まで送信) 2波半複信 (基地局:常送) 基地局-移動局間 常時送信(基地局) 2波複信 (基地局:常送) 基地局-移動局間 常時送信(基地局) 1波単信 (周波数:FL) 移動局間直接通信 送話時送信(移動局) (プレストークオンからプレストークオフまで送信) システム運用概要(活動波 SD-ANT 2周波半複信通信 主運用波) FH2 1周波単信通信 FH1 基地局間通信 基 地 2 FL1 折り返し中継 FH1 T R FL1 FH1 SD-ANT (2波単信携帯) 2周波半複信通信 基 地 1 (解説) FH1 消防本部 FL1 FL1 SD-ANT T R1 R2 FL1 FH1 FL1 (車載2) 1周波単信通信 FL1 T R1 R2 FL1 FH1 FL1 (車載1) 1周波単信通信 (1波単信携帯) ・活動波の基地局の送信は、非常送・常送通信から選択 ・共通波系(統制波・主運用波)の基地局の送信は非常送通信 ・車載無線機は、2つの受信機(上り・下り)を実装 ・携帯無線機は、受信周波数のチャネル切替えにより、対基地局 と対車両を切り替えてプレストーク通信を行う。 ・基地局間通信は、プレストーク通信による単信通信 1周波単信通信 FL1 T R FL1 FL1 他消防本部 SD-ANT T R FL1 FL1 (1波単信携帯) ・単信方式とは 相互の通信相手が送受信のくり返しにより行う通信方式 ・半複信方式とは 基地局は、通話の間は常時送受信、移動局は送受信のくり返し により行う通信方式 (凡例) FH1,FH2 FL1 T R 機 SD-ANT :下り 基地局送信周波数 (274MHz帯) :上り 陸上移動局 送信周波数(265MHz帯) :送信機 :受信機 R1/基地局用受信機 R2/陸上移動局用受信 :スペースダイバーシチアンテナ システム運用概要 (統制波) SD-ANT FH1 FL1 応援隊指揮者 受援消防本部 T R 統制波 2周波単信通信 FL1 FH1 基 地 1 (2波単信携帯) (解説) 統制波・主運用波の基地局の送信は、 FH1 統制波 非常送送信 2周波単信通信 FL1 SD-ANT (凡例) FL2 FH1 :下り 基地局送信周波数 (統制波) SD-ANT 主運用波 ( FH2 :下り 基地局送信周波数 (主運用波)) T R1 R2 1周波単信通信 FL2 FH2 FL2 (274MHz帯) FL2 主運用波 応援隊 車両 1周波単信通信 T R1 R2 統制波と FL1 :上り 陸上移動局 送信周波数(統制波) FL2 FL2 FH2 FL2 主運用波を FL2 (上り) 陸上移動局直接通信波(主運用波) 主運用波 応援隊隊長 切替えて運用 (265MHz帯) 1周波単信通信 T :送信機 T R T R FL2 FL2 応援隊 R :受信機 FL2 FL2 応援隊 緊援隊内通信は R1/基地局用受信機 主運用波を使用する (1波単信携帯) (1波単信携帯) R2/陸上移動局用受信機 SD-ANT :スペースダイバーシチアンテナ 災害現場での無線通信1(例) 基地局 指令台 FH1 基地局で折り返し FL1 隊長 車載無線機 FH1 携帯無線機(基) 携帯無線機(直) 隊員2 携帯無線機(直) 車載無線機 他案件で出向中 T FL1 R1 FH1 R2 FL1 T FL1 R FH1 T FL1 R FL1 車 載 無 線 機 隊員1 FL1 携帯無線機(直) 携 帯 (基):基地局通信 活動波1 機 携 (直):直接通信 帯 活動波1 機 ポンプ車 車載無線機 筒先 携帯無線機(直) 災害現場 災害現場での無線通信2(例) 周波数変換装置使用 基地局 指令台 FH1 基地局で折り返し FL1 FH1 回り込んで受信 隊長 FH1 車載無線機 携帯無線機(基) FL1 周波数変換装置 携帯無線機(直) FL1 車載無線機 他案件で出向中 T FL1 R1 FH1 R2 FL1 T FL1 R FH1 T FL1 R FL1 車 載 無 線 機 隊員1 基地局通信 携帯無線機(直) 直接通信 同時運用 活動波1 筒先 携 帯 (基):基地局通信 携帯無線機(直) 活動波1 機 携 (直):直接通信 帯 活動波1 機 FL1 ポンプ車 車載無線機 災害現場 災害現場での通信 <高層建築物内> 携帯無線機間で基地局折り返し通信及び直接通信(FL)について試験 をした結果、基地局折り返し通信については、ほぼ各階からの通信は 良好でしたが、場所によっては通信が出来ない場合がありました。 直接通信(FL)については、1階と各階及び同一階フロアー内の通信は 良好でした。 43F FL-FH FL-FL 消防本部 1F 携帯型無線機 無線機車載型 デジタル携帯無線(1W)直接通信例 下図は、消防本部5階と周辺道路上の携帯無線機間の直接通話の試験結果です。 その結果、火災現場で想定される隊員間、車両の機関員間との通信はほぼ問題ないことが 確認できました。見通し距離では2km程度、トンネル(800m)では、5Wアナログ無線機で 入り口から200m程度しか通信できませんでしたが、1Wデジタル無線機で入り口と出口で 直接通信が可能でした。但し、ビル陰では急に通話できなくなる場合がありました。 半径約200m 周波数変換装置 災害現場において、アナログ署活系無線とデジタル無線を 混在使用する場合の周波数変換装置 消防アナログ波 消防デジタル波 デジタル無線機 アナログ無線機 緊急出動 指令! 自動中継装置 遅延 少し遅れ て「緊急 出動指 令!」 セレコ-ル(選択呼出)システム機能例 ※基地局側、移動局側にて予め同一CHへ設定しておくことが基本となります。 ※セレコ-ルシステムにおいては、選択呼出し対象外の局に対して送信のみ不可能とする場合。及び送受信共に不可能とする場合がある。 【個別通信】 指定基地局ゾ-ン内の相手局を選択呼び出しのうえ、個別通信を行うことが可能です。 本局(基地局)-移動局、または移動局相互間での呼び出し通信が可能です。 ①基地局、相手局を選択、 発呼動作を起動する。 ④指定局との回線確立後、 通信を開始する。 ②対象移動局は鳴動音等により 呼び出されていることを告知される。 ③受け付け操作等により回線確立、 通信可能となる。 ⑤対象外の移動局は、話中状態で あることを表示等により告知される。 ⑥但し、モニタ機能により通話内容の 受信可能であり、且つ無通話状況時に 割り込み通話も可能である。 【グル-プ通信】 指定基地局ゾ-ン内のグル-プを選択呼出しのうえ、グル-プ通信を行うことが可能です。 本局(基地局)-移動局、または移動局相互間での呼び出し通信が可能です。 ②対象移動局は鳴動音等が告知され、 ①基地局、グル-ピングNo 受信状態、通信可能状態となる。 等を選択、発呼動作を起動 する。 ③制御信号を送出後、通信 開始となる。 ④対象外の移動局は、話中状態である ことを表示等により告知される。 ⑤但し、モニタ機能により通話内容の 受信可能であり、且つ無通話状況時に 割り込み通話も可能である。 通信統制システム機能例 ※基地局側、移動局側にて予め同一CHへ設定しておくことが基本となります。 【強制切断】 本局(基地局)において、基地局を介しての移動局間通信内容を傍受し、強制的に切断することが可能です。 ①指定基地局ゾ-ン内で行われて いる通信を傍受する。 ②強制切断を起動することにより、 指定基地局ゾ-ン内の通信は 切断される。 切 断 ③切断信号を受信した移動局は、 通信が切断される。 【発信規制】 本局(基地局)より、指定基地局ゾ-ン内移動局からの発信を規制させることが可能です。 ①指定基地局、チャネルを 確認のうえ、発信規制を 起動する。 ②規制信号を受信した移動局は規制状態で あることを表示等により告知され、送信操作 が不可能となる。 ③但し、解除機能により送信操作は可能で ある。 救急車両へのアンテナ実装例 消防車両へのアンテナ実装例
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