Blunting-Convenience Kit Manual(第二版) Code No. 312-06291 25 反応用 Code No. 318-06293 5 反応用 ∼解説∼ 目的の遺伝子をベクターDNA に連結する際に適当な制限酵素がない場合、DNA 末端が平滑であれば配列に 依存することなくライゲーションすることができます。T4 DNA Polymerase は、DNA 依存性 DNA ポリメラーゼ で、3’→ 5’ Exonuclease 活性と 5’→ 3’ Polymerase 活性を持ち、5’突出末端及び 3’突出末端のどちら の場合もこの酵素で平滑化することができます。また、ライゲーション反応を短時間で行うことができる 2×Ligation Mix (Ligation-Convenience Kit)と組み合わせることによって、平滑化からライゲーションまでを短 時間で行うことができます。 Ⅰ.特長 ● DNA 末端の平滑化からライゲーションまでを迅速、簡便に行うことが出来ます。 ● 10×Blunting Buffer には反応に必要な dNTP などが含まれているので、T4 DNA Polymerase を 加える だけで、簡単に DNA 末端の平滑化が行えます。 ● 5’突出末端 DNA, 3’突出末端 DNA および 3’末端に A が付加した PCR 産物などを平滑化できます。 ● 2×Ligation Mix を用いて、ライゲーション反応を短時間で行うことができます。 Ⅱ.キット内容 25 反応用* 5 反応用* T4 DNA Polymerase 25μl×1 本 5μl×1 本 10×Blunting Buffer 50μl×1 本 10μl×1 本 250μl×1 本 50μl×1 本 試薬 2×Ligation Mix * 平滑化,ライゲーション共に 20μl の反応系で使用した場合の反応数です。 Ⅲ.保存および融解方法 −20℃保存 ・ 失活を避けるため、T4 DNA Polymerase は絶対にボルテックスしないでください。 ・ 2×Ligation Mix は、使用時に氷上にて完全に融解させ、ピペッティングでよく混ぜてから使用して下さい。 ・ 2×Ligation Mix は、50 回までの凍結融解による反応効率の低下は認められておりません。 -1- Ⅳ.プロトコルおよび実験例 <1. プロトコル> (1)平滑化反応液の調製 <Blunting 反応> 5’突出末端、3’突出末端及び PCR 産物など、末端を平 サンプル DNA 溶液(0.1∼10 pmol) 17μl 滑化したい DNA(DNA 末端濃度で 0.1∼10pmol)を 17μl 10×Blunting Buffer に調製する。*1 次に、10×Blunting Buffer を 2μl 加え混合する。 2μl T4 DNA Polymerase を 1μl 加える (2)酵素の添加 T4 DNA Polymerase を 1μl 加え、ピペッティングで混合す 37℃で 5 分間反応させる る。*2 (3)平滑化反応 氷上に置き反応を停止させる (平滑化反応液) 37℃で 5 分間反応させる。*3 (4)反応の停止 平滑化反応液を氷中に置き反応を停止する。 *平滑化反応液は 必要量使用する (1∼5μl)*6 すぐに使用しない場合はフェノール/クロロホルム/イソア ミルアルコール抽出、エタノール沈澱を行い−20℃で保存 する。 <Ligation 反応> 平滑化反応液 (5)ライゲーション反応液の調製 平滑化反応液、平滑末端 DNA ベクター溶液を合わせて 10μl の DNA 溶液を調製する。 10μl の 2×Ligation Mix を添加し、混和する。 (6)ライゲーション反応 16℃で 5∼30 分間反応させる。*4 平滑末端 DNA ベクター溶液 up to 10μl ddH2O 2×Ligation Mix 10μl Total 20μl 16℃で 5∼30 分間反応させる (7)形質転換 反応液をそのまま形質転換に用いる。*5 形質転換または in vitro パッケージング *1 DNA 末端濃度 0.1∼10pmol は pUC19(2686bp)0.1∼10μg に相当します。 *2 T4 DNA Polymerase は絶対にボルテックスしないでください。ボルテックスにより失活する恐れ があります。 *3 反応時間は 5 分間を厳守してください。 *4 16 時間、オーバーナイト等の長時間のライゲーションを行うと、形質転換効率が著しく低下す る場合があります。 *5 形質転換に用いる反応液の量はコンピテントセルの 1/10 量以下にして下さい。多量の反応液 を使用すると、形質転換効率が低下することがあります。 反応液の量がコンピテントセルの 1/10 量以上になってしまう場合は、ライゲーション反応後、 エタノール沈澱法によって DNA を回収し、その DNA をコンピテントセルの 1/10 量以下になる ように ddH2O または TE(pH 8.0)に溶解してから形質転換に使用してください。 -2- *6 ライゲーション反応に持ち込む平滑化反応液は 5μl 以下にして下さい。5μl 以上持ち込む場 合はフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール抽出後、エタノール沈殿を行い ddH2O または TE(pH 8.0)に溶解してから使用して下さい。 <2. 実験例> ベクター平滑化の確認 1) pUC19 を EcoRⅠ(5’突出末端)と PstⅠ(3’突出末端)で切断し、フェノール/クロロホルム/ イソアミルアルコール抽出後、TE バッファーに溶解した。 2) EcoRⅠと PstⅠで切断した pUC19 1μg をプロトコルに従って末端を平滑化した。 3) 平滑化した DNA の一部を 2×Ligation Mix を用いて 16℃ 30 分間ライゲーション反応を行っ た。 4) ライゲーション反応後、未切断の pUC19 を除きバックグラウンドをなくすため、ライゲーション 反応液を 5 倍希釈し 65℃ 5 分間熱処理することで T4 DNA Ligase を失活させた後、BamH Ⅰで切断した。 5) BamHⅠで切断したライゲーション反応液で ECOSTM Competent E.coli DH5αを形質転換し、 生じたコロニー数を計測した。 下に pUC19 で形質転換したときのコロニー数を 1 としたときの、平滑化後セルフライゲーシ ョンによって生じたコロニー数の割合を示す。 ベクターの平滑化の確認 ベクターの平滑化の確認 結果 1.20 青コロニー pUC19 を EcoRⅠと PstⅠで切断したベクター 白コロニー 1.00 を平滑化し、セルフライゲーションすると、 LacZ のフレームが合い青コロニーを生じる。 BamHⅠで切断することで、pUC19 由来の青 0.80 コロニーは排除されているので、生じた青コ ロニーは末端平滑化後にセルフライゲーショ 0.60 ンでできたプラスミドである。 左記のグラフより、5 分間の反応で約 6 割の 0.40 ベクターが平滑末端ライゲーションされてい ることがわかる。 0.20 0.00 pUC19 pUC19 平滑化あり 平滑化なし 平滑化なし -3- インサート DNA の平滑化 1) pBluescriptⅡSK(+)を EcoRⅤで切断し脱リン酸化後、フェノール/クロロホルム/イソアミルアル コール抽出後に TE に溶解した。 2) λDNA を鋳型にして増幅した 500bp の断片を EcoRⅠ及び PstⅠで切断し、2 種類の断片を調 製した。 3) プロトコルに従って、2 種類の断片を平滑化した。 4) pBluescriptⅡSK(+)を EcoRⅤで切断し脱リン酸化したベクターと平滑化した断片を 2× Ligation Mix を用いてインサート/ベクターモル比 = 5 で 16℃ 30 分間ライゲーション反応を行っ た。また、コントロールとしてλDNA を鋳型にして増幅した断片を EcoRⅤで切断した断片のライ ゲーション反応も行った。 ライゲーション反応液の一部で ECOSTM Competent E.coli DH5αを形質転換し、生じたコロニ 5) ー数を計測した。 青コロニー 白コロニー Pst Iインサート Eco EcoRI インサート R I インサート Pst I インサート 700 90.0 70.0 800 60.0 50.0 600 40.0 400 30.0 平滑化なし 平滑化なし 70.0 400 60.0 50.0 300 40.0 200 30.0 10.0 0 0.0 平滑化あり 平滑化あり 80.0 500 100 10.0 0 90.0 20.0 20.0 200 コロニー数 コロニー数(個) 80.0 白コロニー率(%) 白コロニー率 コロニー数 コロニー数(個) 1000 100.0 600 白コロニー率(%) 白コロニー率 100.0 1200 白コロニー率(%) コントロール Control fragment) EcoR V DNA 断片) ((EcoRⅤ 0.0 平滑化あり 平滑化あり 平滑化なし 平滑化なし Control コントロール fragment) EcoR V DNA 断片) ((EcoRⅤ 結果 5’突出末端、3’突出末端にかかわらず、平滑化したインサートは EcoRⅤ断片と同じ割合でライゲーション できたことから、EcoRⅠ断片及び PstⅠ断片は 37℃ 5 分間の反応で十分に平滑化されていることがわか った。 -4- <3. 参考データ> 1. PCR 産物の平滑化について PCR で増幅した 500bp の断片を、プロトコールに従って平滑化した。 ① 一方は、平滑化後にそのまま EcoRⅤで切断した pBluescriptⅡSK(+)にライゲーションした。 ② も う 一 方 は 、 平 滑 化 後 に T4 Polynucleotide Kinase で リ ン 酸 化 し 、 熱 処 理 を し て T4 Polynucleotide Kinase を失活させた後、 EcoRⅤで切断,脱リン酸化した pBluescriptⅡ SK(+)とライゲーションした。* 下のグラフは生じたコロニー数を 1 とした時の、青コロニーと白コロニーの割合を示した。 平滑化後のリン酸化の有無について 平滑化後のリン酸化の有無について 青コロニー 1.20 白コロニー 結果 PCR 産物を平滑化後、そのままリン酸が付加してい るベクターとライゲーションした場合は、白コロニー の割合が約 13%だった。一方、PCR 産物をリン酸化 1.00 し、脱リン酸化したベクターとライゲーションした場 合は、90%以上の割合で白コロニーが得られた。 0.80 0.60 PCR 産物を平滑化してライゲーションに用いる場 合、通常、PCR 産物の 5’末端にはリン酸基が付加 0.40 していないため、脱リン酸化していないベクターを用 0.20 いる必要があります。しかし、脱リン酸化していない ベクターをライゲーションに用いると、ベクターのセ 0.00 リン酸化無し ① リン酸化あり ② ルフライゲーションの割合が多くなるため、PCR 産 物を平滑化してライゲーションする場合は、平滑化 後に T4 Polynucleotide Kinase を用いてリン酸化し、 かつ、ベクターは脱リン酸化することをお薦めしま す。 * ニッポンジーンの T4 Polynucleotide Kinase (Code No. 312-01551)を利用する場合、10× Kinase Buffer A でリン酸化を行った場合は、熱処理後そのまま 2×Ligation Mix でライゲー シ ョ ン反応を行っても構いません。10×Kinase Buffer B でリン酸化を行った場合は、フェノール/クロ ロホルム/イソアミルアルコール抽出後、エタノール沈澱してから 2×Ligation Mix でライゲーション 反応を行ってください。 -5- 2. ライゲーションにおけるインサートモル比の検討 ライゲーションの際のベクター:インサートの比は、ライゲーション効率に大きく影響します。以下は、平滑末端 ライゲーションにおいて、様々な長さのインサート DNA をライゲーション、形質転換し、最も良い結果が得られ たモル比を示した表です。 ・ 平滑末端 インサート長 200 bp ベクター 1 インサート 5 600 bp 1 5 1000 bp 3000 bp 1 1 2∼10 0.5∼2 ベクター :Sma I で切断した pUC19 ( 0.03 pmol ) インサート :Sma I で切断したインサート DNA ( 0.015 pmol , 0.03 pmol , 0.06 pmol , 0.15 pmol , 0.3 pmol ) ライゲーション反応:16℃, 5 分間 ライゲーション反応における注意点 16 時間、オーバーナイト等の長時間ライゲーションを行うと、形質転換効率が著しく低下する場合が あります。 高塩濃度のバッファーに DNA を溶解させると、ライゲーション効率が著しく低下します。DNA 溶液は ddH2O または TE buffer(pH8.0)にて調製して下さい。 形質転換に用いる反応液の量はコンピテントセルの 1/10 量以下にして下さい。多量の反応液を使用する と、形質転換効率が低下することがあります。 反応液の量がコンピテントセルの 1/10 量以上になってしまう場合は、ライゲーション反応後、エタノール沈 澱法によって DNA を回収し、その DNA をコンピテントセルの 1/10 量以下になるように ddH2O に溶解し てから形質転換を行って下さい。 ライゲーション反応に用いる DNA の精製度、使用する制限酵素の違いによってライゲーション効率が異な る場合があります。 パッケージングに用いる反応液の量はパッケージング Extract の 1/10 量以下にして下さい。多量の反応 液を使用すると、パッケージング効率が低下する場合があります。 パッケージング Extract の 1/10 量以上の反応液を使用する場合は、ライゲーション反応後、エタノール沈 澱法によって DNA を回収し、その DNA をパッケージング Extract の 1/10 量以下になるように ddH2O に 溶解してから形質転換を行って下さい。 Gigapack(Stratagene 社)を使用してもパッケージングを阻害することはありません。 -6- Ⅴ.関連製品 Code No. 製品名 包装単位 希望納入価格(円) 316-06233 ECOS™ Competent E. coli DH5α 100μl×20 本 36,000 313-06243 ECOS™ Competent E. coli JM109 100μl×20 本 36,000 318-01313 Competent E.coli HB101 100μl×10 本 18,000 316-01353 Competent E.coli JM109 100μl×10 本 18,000 316-01711 Competent E.coli MV1184 100μl×10 本 18,000 319-01701 Competent E.coli DH5 100μl×10 本 18,000 314-06251 Bac’n’Roll Beads 100 回分 4,400 316-01331 Transformation Kit HB101 10 回分 22,000 319-01321 Transformation Kit JM109 10 回分 22,000 310-01731 Transformation Kit MV1184 10 回分 22,000 313-01721 Transformation Kit DH5 10 回分 22,000 312-01551 T4 Polynucleotide Kinase 1,000 units 13,000 319-05961 Ligation-Convenience Kit 100 回分 20,000 315-05963 Ligation-Convenience Kit 10 回分 9,000 311-90151 Phenol/Chloroform/Isoamyl alcohol (25 : 24 : 1) 250 ml 15,000 316-90025 TE (pH8.0) 500 ml 9,000 314-90021 TE (pH8.0) 100 ml 4,000 310-90023 TE (pH8.0) 100 ml×6 15,600 318-90105 Distilled Water, Deionized, Sterile 500 ml 9,000 316-90101 Distilled Water, Deionized, Sterile 100 ml 4,000 312-90103 Distilled Water, Deionized, Sterile 100 ml×6 15,600 319-01343 Hi-Competence Broth 1ml×20 本 18,000 317-01741 LAMBDA INN 3 回分 14,000 -7- 株式会社ニッポンジーン 学術営業部 学術営業課 TEL 076-451-6548 FAX 076-451-6547 Email : [email protected] URL : http://www.nippongene.com Blunting-Convenience Kit Manual 第二版(050511KS) -8-
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