海外調査結果一覧(PDF形式:312KB) - 経済産業省

海外の容器包装リサイクル制度について 国別一覧表
※「-」は今回調査で把握できず。
ドイツ
フランス
ベルギー
容器包装廃棄物令に基づき、生産者等が、自治体の回収・処理ルートとは別に、容器包装廃棄物の回収・リサイクルを負担す
る。生産者等による回収は、自治体による既存の回収システムと併存するため、この回収システムはデュアルシステム(以下DS)
と呼ばれている。一般消費者に販売される全製品の容器包装廃棄物が、DSでの回収対象とされているため、これらの製品の生
産者等には、DSのライセンス取得義務が課されている。
自治体に家庭ごみ等の回収・処理に係る管理を行う責務があり、容器包装廃棄物の回収及び選別は自治体が実施している。
一方、容器包装廃棄物令は、生産者等に対して、家庭からの容器包装廃棄物の回収及びリサイクルの責務が課され、これに
ついて政府が認定するシステムへの加入する、もしくは独自の回収システムによる回収・リサイクルの実施することが義務づけ
られている。政府によって認定されているシステムのうち、主要なものは、生産者責任組織であるエコ・アンバラージュ(Eco
Emballages)によるものである。エコ・アンバラージュは、自治体の費用(回収費用から売却益を差し引いた分)を支援金として
負担している。
フランドル、ワロニー、ブリュッセルの3地域による容器包装廃棄物協定によって、容器包装廃棄物の回収・リサイクルが施行され
ている。容器包装廃棄物協定では、家庭系容器包装廃棄物、産業系容器包装廃棄物について、生産者等に回収・リサイクルを
義務づけている。義務履行の手法は、地域間容器包装委員会によって認定された生産者責任組織の回収・リサイクルシステム
に参加する、あるいは独自に回収・リサイクルをするかのいずれかである。認定されている生産者責任組織は、家庭系廃棄物が
Fost Plusであり、産業系容器包装廃棄物がVal-I-Pacである。Fost Plusは家庭からの容器包装廃棄物の分別回収・リサイクルを
実施するが、分別回収・選別については、自治体から委託を受けてFost Plusが委託する事業者が回収・選別する場合と、自らの
費用で回収する自治体に対して分別回収・選別費用を支払う場合がある。分別回収されたものは、Fost Plusが委託するリサイク
ル事業者によってリサイクルされる。
項目
1 リサイクル制度の内容
リサイクル制度の概要
リサイクル制度のスキーム図
製品を充填した販売包装(デポジット対象容器を除く)を最初に流通させる生産者(容器包装を利用し
て製品を生産する事業者。容器包装自体の生産者は含まない。)及び販売者は、販売包装の広域収
集を確保するために、1つ又は複数の収集システム(デュアル・システム)に加入することが義務付け
られている。(独自収集による義務履行方法はフリーライダー防止のために廃止された)
生産者等
関係主体と役割
DS企業
生産者等
使用済み販売用容器包装の定期的な収集を無償で十分な方法(戸別収集又は持参収集、もしくはそ
の両方)により保証し、各素材のリサイクル率目標を満たすことが義務付けられている。また、DS企業
は、容器包装の素材毎に回収量、メカニカルリサイクル量、及びエネルギーリサイクル量を証明する
義務を負う。さらに、共同機関に加入することが求められる。 生産者等からグリーン・ドットのライセ
ンス料を徴収し、収集・選別・リサイクルを実施。
地方自治体
公法上の廃棄物処理事業者の地域ごとにおける複数のシステム間の割り当て容器包装量の算定、
合意に基づく副次的報酬(補償)の配分、 市場経済上中立的な公告に関する調整(処理事業者への
公開入札の調整)を実施する。
共同機関
分別回収の負担者
リサイクルの負担者
消費者
容器包装をルールに従い分別してから廃棄する。
生産者等。
生産者等。ただし、現在は有償(売却)。
容器包装の回収方法
デュアルシステム(DS)による回収。
グリーン・ドット管理団体
DSD社を含めた10社のDS企業。
ガラス
○
紙/段ボール
○
鉄
○
アルミニウム
○
フィルム
○
プラスチック
ボトル
○
カップ
○
○
複合素材(飲料用パックを含む)
循環経済法において、廃棄物処理全体のリサイクル手法について、 リデュース>リユース>リサイクル>その他の再利用(エネ
ルギー回収含む)> 処分の順で、優先順位付けされている。
リサイクル手法として、メカニカルリサイクル、フィードストックリサイクル、エネルギーリカバリーがあり、メカニカルリサイクルと
フィードストックリサイクルは同等と捉えられており、この間での優先順位はない。しかしながら、容器包装リサイクルにおいては、
エネルギーリカバリーを除くリサイクルでは、メカニカルリサイクルが大半を占めている。
回収対象
リサイクル手法
メカニカルリサイクルによって再商品化された原料は、植木鉢、パイプ、飲料カートン等に用いられている。
再商品化製品の利用状況
生産者等
リサイクル目標を遵守し、 容器包装廃棄物の素材別の選別、有償又は無償でのリサイクルのため
に、生産者等に請求する負担金、 容器包装廃棄物の選別により生じる超過費用を自治体に支払う基
準を定める。また、容器包装の回収・リサイクル実績を提出する義務がある。 また、生産者等からグ
生産者責任組織
(エコ・アンバラージュ リーン・ドットのライセンス料を徴収し、自治体へ支援金((回収費用+選別費用-売却益)×80%)を
支払う。
等)
デュアル・システムが全域的に構築されていることを確認し、公示する
州政府
包装された製品の製造者又は輸入者に対して、容器包装廃棄物の処理費用を負担するか、あるいは
自ら処理を引き受けることが義務づけられている。義務の履行方法は、エコ・アンバラージュ等の政府
が認定するシステムに参加するか、独自回収のいずれか。独自回収については、デポジット制度を設
けるか、あるいは自ら容器包装廃棄物の保管場所を設置することが求められ、容器包装のリサイクル
率等を把握できるシステムを構築し、環境大臣等から認可を受ける必要がある。多くの事業者はエコ・
アンバラージュのシステムへの加入を採用。
自治体には家庭ごみ及びその類のごみに関する回収・処理に係る管理を行う責務がある。家庭系
容器包装廃棄物の回収・選別、選別後のベールの有償又は無償でのリサイクル事業者への引渡しを
担っている。
各自治体で定められている分別方法に従い、分別排出する。
消費者
地方自治体。ただし、生産者等が回収物の売却益との差額を負担。
地方自治体。ただし、現在は有償(売却)。
以下のいずれかの方法。
・エコ・アンバラージュシステムへの参加(主要)
・自主リサイクル
・デポジットの導入
エコ・アンバラージュ等
ガラス
紙/段ボール
鉄
アルミニウム
○
○
○
○
フィルム
×
プラスチック
ボトル
○
カップ
○
飲料パック
○
廃棄物一般について、環境グルネル法において、再使用、ごみ分別、資源活用、リサイクルを優先し、その他の残留廃棄物処
理においてはエネルギー活用を優先することとしている。
容器包装については、現在回収されている容器包装は全てメカニカルリサイクルされている。プラスチックについても回収して
いるのはPETボトルとHDPEボトルのみであるため、全てがメカニカルリサイクルされている。
生産者責任組織
(FOST Plus)
地域間包装委員会
(IVCIE)
容器包装を市場に出す製品の生産者及び輸入者並びにサービス・パッケージ(小売店で付される持ち帰
り用の袋)自体の生産者及び輸入者に対して、容器包装廃棄物を回収・リサイクルすることが義務づけら
れている。
生産者等は独自に容器包装廃棄物を回収・リサイクルするか、認定された組織に義務の履行を委託す
ることで、義務を履行。また、生産者等は、独自回収方法あるいは生産者責任組織による回収方法を地
域間容器包装委員会に報告する義務を負う。 年間300トン超の容器包装を市場に出す製品の生産者
等又は100トン超の容器包装をベルギー国内で生産する容器包装製造事業者は、容器包装の発生抑制
に関する計画書を作成し、実施状況を毎年地域間容器包装委員会に報告することが義務付けられてい
る。
地域間容器包装委員会による認証を受けた生産者責任組織であり、生産者等の民間企業によって設立
された非営利組織。政府の管理下で、リサイクルとリカバリーの目標を達成することを保証する。 生産
者等からグリーン・ドットのライセンス料を徴収し、収集、選別、リサイクル、啓発活動を実施。自治体連
合が標準的方法(地域間包装委員会が策定)に基づいて回収・選別を実施する場合には、かかった費用
の全額を支払う。ただし、Fost plusに委託しない場合は基準価格(公募による処理価格の平均)をベース
に自治体連合と金額交渉の上で収集・選別費用を自治体連合に支払う。
各地域から人員と予算の提供を受け、毎年各地域に対する活動報告書を提出し、地方政府への提案・
意見表明を行う。
域内廃棄物の回収・処理に係る管理を行う責務がある。ベルギー全体の約半数の自治体連合は、収
集・選別の業務を自ら又は独自に委託して実施。残りの半分の自治体連合はFOST Plusに委託。FOST
地方自治体(自治体連 Plusに委託した場合、収集・選別費用は収集・選別事業者に直接支払われるため、当該自治体連合は
合)
容器包装廃棄物の収集・選別費用の一時的負担も無い。
消費者
各自治体で定められている分別方法に従い、分別排出する。
生産者等(地方自治体が回収する場合でも生産者等が費用負担)。
生産者等。ただし、現在は有償(売却)。
以下のいずれかの方法。
・自治体連合が自らの費用で分別回収する。
・Fost Plusが自治体連合の委託を受けて分別回収する。
Fost Plus
ガラス
紙/段ボール
鉄
アルミニウム
プラスチック
フィルム
ボトル
カップ
○
○
○
○
×
○
○
○
飲料パック
リサイクル手法について法的に定められてはおらず、EC指令 に準拠している以外のものはない。
ベルギーではケミカルリサイクルと呼ばれる手法は、燃料として利用されるものであるため、エネルギー回収として取り扱われて
いる。
再商品化製品は、再生原料を100%使う必要はなく、一部に再生資源を使用したものでも、再商品化製品として認識されている。
再商品化製品のカテゴリーは、家具、オフィス製品、道路、建築、容器、スポーツ・レジャー、農業・緑地、衣服、化学製品、など
-
幅広い。
海外の容器包装リサイクル制度について 国別一覧表
※「-」は今回調査で把握できず。
項目
1 リサイクル制度の内容
2 リサイクル目標の設定内容及び設定根拠
容器包装廃棄物令
設定根拠
全体
ガラス
紙・段ボール
目標値
金属(スチール)
金属(アルミニウム)
プラスチック 【メカニカルリサイクル】
複合材
ドイツ連邦環境省(2010)
全体
ガラス
紙・段ボール
実績
金属(スチール)
金属(アルミニウム)
プラスチック
木
3 グリーン・ドット方式の詳細
ライセンス料の計算方法
ライセンス料
4 強制デポジット制度
ドイツ
フランス
-
75.0%
70.0%
70.0%
60.0%
60% 【36%】
50.0%
マテリアル・リサイクル
リカバリー全体
72.7%
86.1%
90.2%
93.3%
87.7%
49.4%
27.5%
95.7%
86.1%
98.7%
93.3%
96.5%
97.2%
96.5%
ドイツにはDS企業が複数あるが、DSD社では、DSへの最低加入料金は年間140ユーロ(+税)であり、加入料金には、以下の管
理業務を含んでいる。
・使用済み容器包装廃棄物の総量に対する料金計算(コンピュータ・システムを使用)。
・総量証明と加入会社が義務を遂行したことの確認。
・加入企業が、容器包装廃棄物令の第5次改正令における事業者責任を果たしたことを示す証明書の送付。
DSD社の素材別単価
ユーロ/t
ガラス
1.00
紙・段ボール
3.00
鋼鉄
5.00
アルミニウム
13.00
プラスチック
17.00
ボール紙製の複合材
13.00
その他の複合材廃棄物
13.00
天然素材
2.00
※料金はDS企業により異なる。
ワンウェイ容器(フルーツジュースや牛乳等を除く)に対して、強制デポジットが適用されている。消費者はワンウェイ容器購入時
にデポジット金を容器毎に支払い、使用後に小売店に容器を返却すればデポジット金は返金される。小売店はこのデポジット金
について、生産者等から支払いを受ける仕組みとなっている。デポジットシステムの運営は小売業者や生産者等が設立したDPG
によって行われており、DPGはデポジット金自体ではなく、デポジットに関するデータを管理している。
・容器包装廃棄物令の第5次改正の際に、システム全体について根本的な変更を実施して最適化することが望ましいのではない
か等の意見が出されたため、ドイツ連邦環境省は、第5次容器包装廃棄物令の影響の評価と根本的な制度変更の可能性に関す
る検討を実施した 。循環経済法において、自治体における資源ごみ回収が拡大されたことも踏まえて、容器包装リサイクルシス
テムについて、DSあるいは自治体の責任範囲(回収対象)の拡大などが検討されている。
・ドイツ連邦環境省は、容器包装廃棄物と容器包装以外の廃棄物を一括回収するパイロットプロジェクトを実施し、その成果を踏
容器包装リサイクルシステム まえ、容器包装廃棄物例の今後の方向性について、更なる検討を重ねている。一括回収が可能な組合せ、一括回収を実施する
5 に関する評価及び最近の動 場合の自治体とDS企業の負担割合等についてシミュレーションを実施している。今後、これらのシミュレーション結果等を踏まえ、
向
容器包装廃棄物と容器包装以外の廃棄物の一括回収・リサイクルに向けて政策を推進しようとしている。
環境グルネル法(全体のみ)/素材別はEC指令に準拠(以下、素材別はEC指令の目標値)
全体
ガラス
紙・段ボール
金属(スチール)
金属(アルミニウム)
プラスチック ※マテリアル・リサイクルのみ
複合材
エコ・アンバラージュ(2011)
全体
ガラス
紙/段ボール(ブロック状以外)
紙/段ボール(ブロック状)
金属(スチール)
金属(アルミニウム)
プラスチックボトル
ベルギー
75%
60%
60%
50%
50%
22.5%
50%
リサイクル
67.1%
84.0%
67.0%
41.0%
117.0%
36.0%
46.0%
容器包装廃棄物協定
リサイクル全体(リカバリー全体)
ガラス
紙・段ボール
飲料用紙パック
金属
プラスチック ※マテリアル・リサイクルのみ
木
Fost Plus (2011)
全体
ガラス
紙・段ボール
飲料用紙パック
金属
プラスチックボトル
その他
●詳細申告制度(製品の市場投入が一定量以上である場合。主要な計算方法。)
ライセンス料=(重量による料金+容器包装単位による料金)×ボーナスorペナルティー
・重量による料金は、素材別に異なった料金
・容器包装単位に対する料金は、容器包装単位ごとの重量に応じた料金
・リデュース、消費者啓発にはボーナス、リサイクル困難な素材にはペナルティー
●詳細申告制度(Fost Plus参加全企業が利用可能。主要な計算方法。)
容器包装素材毎の重量×素材毎の単価
●宣言セクター(製品の市場投入が一定量未満である場合。)
出荷した製品の総消費単位×製品群ごとの単価
●定額申告制度(国内市場における利益が一定額未満の企業が利用可能。)
製品群毎の販売数×製品群毎の単価
詳細申告制度の素材別単価
ガラス
紙/段ボール(ブロック状以外)
紙/段ボール(ブロック状)
鋼鉄
アルミニウム
プラスチック(クリアペットボトル)
プラスチック(その他のボトルやフラスコ型容器)
プラスチック(その他のプラスチック容器)
その他の材料
セントユーロ/㎏
1.21
16.33
17.04
3.15
9.28
24.22
24.47
28.06
23.29
詳細申告制度の素材別単価
ガラス
紙・段ボール(>85%)
鋼鉄(>50%)
アルミニウム(>50%及び>50μ)
PETボトル/フラスコ型容器(PET蓋含む)
HDPEボトル/フラスコ型容器(PET蓋含む)
飲料用紙パック
その他(リカバリー可能なもの)
その他(リカバリー不可能なもの)
80%(90%)
60%
60%
60%
50%
30%
15%
リサイクル
91.7%
114.7%
110.8%
79.0%
102.1%
37.5%
0.8%
ユーロ/㎏
0.02330
0.01760
0.04710
0.03970
0.01090
0.01090
0.02310
0.02654
0.04119
なし
なし(事業者(ビール業界等)による自主的なデポジットはある)
・環境グルネル法において、家庭系容器包装廃棄物のリサイクル率の目標値が75%と定められているが、2011年時点でのリサ
イクル率は67%であり、アルミニウム及びプラスチックボトルのリサイクル率の向上が課題。エコ・アンバラージュはリサイクル率
75%達成を目指すため、費用効率(コスト)の改善、都市部での分別の改善、家庭以外での容器包装分別の推進、プラスチック
のリサイクルの推進(プラスチック容器の利用量は全体で100万tであるにもかかわらず、リサイクルされているのはプラスチック
ボトル23.5万t)、リデュース活動の強化を目指している。
・プラスチックについて、現状ではボトルのみを分別回収対象とし、リサイクルを実施しているが、今後、EC指令が改正され、プ
ラスチックに係るリサイクル率の目標値について、現状の22.5%から引き上げられた場合、ボトル以外の容器包装のリサイクル、
さらにケミカルリサイクルやサーマルリサイクルの導入も検討する可能性もある。ただし、ボトル以外の容器包装を回収・リサイ
クルした場合、回収物が逆有償となる可能性もあるため、調査を実施している。
・リカバリー率、リサイクル率が高いにも関わらず、費用は他国と比較して低い。現状のシステムを維持しながら、より効率的にし
ていくことを目指している 。
・自治体連合が独自の回収方法でボトル以外のプラスチック製容器包装を回収・リサイクルした場合、Fost Plusは当該分別収集
費用の50%を支払っており、将来的にはこのFost Plusの負担比率100%に上げることも検討している。ボトル以外のプラスチック回
収を推進する場合、自治体による回収が良いのか、Fost Plusの回収方法を利用する方が良いのか、検討を重ねている。今後、
EC指令が改正され、プラスチックに係るリサイクル率の目標値について、現状の22.5%から引き上げられた場合、対応策としては、
家庭系のボトル以外の容器包装のリサイクルを自治体もしくはFost Plusが実施するか、産業系プラスチックのリサイクル率を改
善するといういう選択肢が考えられる。