ダウンロード - EYトランザクション・アドバイザリー・サービス(株)

グローバル版
October 2013 | ey.com/ccb
9th
edition
キャピタル・
コンフィデンス調査
―M&Aに対する経営層の意識―
ディールメイキングは復活?
M&A
より多く、より大きなディールが見込まれる
経済的見通し
過去2年間で最も高い経済への信頼感
キャピタルの活用
借入能力の増加が勢いを推進
成長戦略
最も重要なキャピタル・アジェンダは投資
ディールメイキングは復活?
信頼感および借入能力の増加によって促される成長への使命により、
成熟市場および新興国
市場においてM&A活動は促進されます
主な調査結果
69%
65%
58%
35%
47%
87%
53%
回答者の 69 %がグローバルにおけるディール件数は増加すると予
測しています
回答者の65%が世界経済は回復しているとの見方を示しており、
世界経済に対する信頼感は過去2年間で最も良い結果となりました
回答者の58%が成長を最優先課題と捉えています
回答者の35%が買収を予定しています
回答者の47%が新興国市場への投資をより重視しています
回答者の 87 %が借入能力は現状を維持するもしくは改善すると見
込んでいます
回答者の 53 %がデットおよびエクイティをディールの主な原資とし
て挙げています
「企業は再び先進国市場により多くの買収
資金を配分するようになり、
この成熟経済が
グローバルにおけるM&Aの復活を主導する
と見込まれます。」
とトランザクション・アドバイザリー・サービスのグローバル・
バイス・チェアのピップ・マクロスティがコメントしています。
第 9 回目のキャピタル・コンフィデンス調査では、
この 5 年間の世界的な M&A の減少
ののち、
ようやくディール活動が回復してきていることが示唆されています。現金は豊
富にあり、借入能力は増加し、世界経済に対する信頼感は過去 2 年間の調査で最も良
い結果となり、M&Aを促進するファンダメンタルズ(基礎的な条件)は揃いました。
これは、
ブーム時のディールメイキングまで復活することを意味しているわけではあ
りません。ブームは長続きしませんが、2009 年以降に経験してきたディール不足も
持続するものではありません。経営効率を改善する戦略の大部分が実施され、オー
ガニックな手段だけで成長への使命を達成することは難しくなってきているのかも
しれません。多くの企業は、成長のためにイン・オーガニックな手段を検討しはじめる
でしょう。テレコミュニケーション、ライフサイエンス、自動車、石油・ガス、テクノロジ
ーおよび、
消費者製品といった業界がディール活動の先頭に立つと予測されます。
M&A の件数および質に対する見通しとともに、ディールの実現性に対する見通しが
大幅に改善し、
これが購買意欲を高めています。大多数の回答者(69 % )が、市場にお
けるディール活動は増加すると予測しています。回答者の 3 分の 1 以上が実際に買収
を予定しており、その規模は世界の M&A 市場に実質的に弾みをつけるものとなって
います。
私たちが経験した、かつてない経済混乱を考慮すると、M&Aに対して慎重な姿勢は
理解できます。市場はまた地政学的な問題にも大変敏感なので、持続する不安定感が
ディールの流れを抑制することもあり得ます。
しかし、オーガニックな成長手段からの
利益は限定されているので、再度 M&A が有意義な成長への優先的な道筋となりう
るでしょう。
さらなる大規模な衝撃が起こらない限り、M&Aと投資は重要なキャピタル・アジェン
ダに戻るでしょう。企業は、より多くの買収資金を英国、米国、日本、
ドイツといった先
進国市場とともに中国にも配分しており、
これらの国の経済がM&A の復活を主導す
ると予測されます。また、成長への使命が根付いてきているので、企業は引き続きイン
ド、
ブラジルといった新興国市場、
またベトナム、インドネシアといったフロンティア市
場も追求していきます。
1
経済的見通し ― 過去2年間で最も高い経済への信頼感
経営者層は世界経済に対して過去2年間の調査の中で最も高い水準で楽観的な見通しを持っていることが示さ
れました。
成熟市場における経済の回復および主要な新興国市場の安定性の向上により、9 割に及ぶ回答者が世界経済に信頼感を持ち、3 分の 2に及ぶ回答者が世
界経済は順調に回復していると答えています。
ヨーロッパでは、
雇用拡大、
GDPの上昇、キャピタルの有効活用により、この半年間で経済に対する見通しが向上し、低迷感が収まりつつあることが示されました。
米国においても、企業収益、雇用の伸び、借入能力が向上し、経済に対する信頼感が高まっていることが示されました。
今後、短期的な市場の安定感が回復することにより、世界規模および異なる業種間でのディールの増加に
つながることが予想されます。
•
経済への信頼感は過去2年間で最も高い水準に
この 1 年間で経済に対する信頼感は劇的に向上し、経済が勢いを増して回復していることが明確に示されています。
特に先進国市場において、GDPの上昇、借入能力の増加、雇用の拡大といった経済の基礎的条件が安定していること
が信頼感の回復に結びついています。経済が悪化していると答えた回答者の割合は11 %で、過去 2 年間で最も低い
割合となっています。
•
成長への期待は引き続き上昇
回答者の大半は経済成長を予測しており、特に3 %∼5 % の経済成長を見込んでいる回答者の割合は大幅に増加しま
した。これは、企業の投資力が増加しており、利害関係者が企業の有意義な成長を期待していることに関連しています。
•
先進国の経済回復が世界規模のディールの実現につながる
世界有数の、成熟し影響力の高い市場において世界経済への信頼感は高まっています。経済の基礎的条件は安定し、
繰り返される不安定感は解消されてきていると捉えられています。世界経済に対して最も良い見通しを持っているの
は中国の回答者ですが、英国、米国、
ドイツ、日本といった成熟市場の回答者も高い信頼感を持っていることが示され
ています。
2
信頼感は高まる
Q: 現在の世界経済の状況は、どのような段階にあると考えますか?
65%
51%
回復している
22%
24%
安定している
36%
世界経済は回復しているとの見
方を示した回答者は、2012 年
10月調査時点の22%から65%
に増加しました
47%
11%
13%
悪化している
31%
Oct-13
Apr-13
65%
Oct-12
Q: 今後12カ月間で世界経済はどのくらい成長すると考えますか?
5%超
1%
3%
24%
3% ∼ 5%
16%
60%
1% ∼ 3%
マイナス成長
85%
回答者の 85 % が、今後 12 カ月
間で世界経済は成長すると予測
しています
13%
11%
ゼロ成長
65%
2%
5%
Oct-13
Apr-13
Q: 世界経済に対する見通しが最も良かった国
中国
82%
フランス
80%
英国
76%
オーストラリア
68%
日本
68%
ドイツ
68%
82%
中国の回答者の 82 % が、世界
経済に対して前向きな見方を
示しています
66%
米国
Oct-13
グローバル平均( 65 % )
3
経済的見通し
慎重ながら楽観視することにより •
雇用創出への取り組みは投資の計画を強調
雇用を創出すると答えた回答者の割合は、過去 2年間で最も高い水準となり、今後の成長への対応として雇用を創出
する必要性があることが示されました。雇用の創出を見込む回答者の割合が高かったのは、石油・ガス、自動車、および
テクノロジー業界で、企業買収を多く計画している業界と一致しています。
•
政治不安が経済不安を上回る
世界の政治不安は短期的には大きなリスクをもたらすと考えられていますが、成長を推し進めることへの妨げにはな
らないでしょう。ユーロ圏や米国の危機と同様、
シリアやエジプトでの政治不安は試練ですが、長期的な視点での世界
経済の回復には致命的な影響はおよぼさないでしょう。
•
持続する市場の不安定感により、成長および投資の実施には
慎重
主要な経済指標の信頼感は過去12ヶ月間で大幅に改善されていますが、短期的な市場の安定性に信頼感を持ってい
る回答者はわずか21%となっており、他の項目と比較して低い割合となっています。企業は成長および投資の戦略の
実施には慎重になっており、
このことがディールの実行にも影響しています。
4
ディールの増加へ
48%
Q: 今後12カ月間における貴社の雇用計画をご回答ください
Oct-13
11%
41%
48%
Apr-13
10%
48%
42%
Oct-12
13%
59%
雇用を創出もしくは採用を拡大す
ると答えた回答者の割合は 48 %
で、過去 2 年間で最も高い割合と
なっています
28%
人員数を削減
現状の人員数を維持
雇用を創出/採用を拡大
Q: 今後6∼12カ月間において、貴社のビジネスに対する
最も大きなリスクは次のどれに該当しますか?
38%
世界的な政治不安の増大
ユーロ危機の継続
28%
米国の量的緩和政策の失敗
回答者の38%が最大のリスクと
して世界的な政治不安の増大を
挙げています
22%
中国における低成長の継続
38%
12%
Oct-13
Q: 以下の項目におけるグローバルでの今後の見通しをご回答ください
見通しが良いと回答した割合(%)
65%
経済成長
27%
48%
借入能力
26%
43%
雇用拡大
23%
43%
企業収益
30%
短期的な市場の安定感に対す
る信頼感を挙げた回答者の割
合 は 21 % と低く、短 期 的にデ
ィールの実現を弱めています
29%
株価/株式市場
短期的な市場の安定感
21%
21%
21%
15%
Oct-13
Oct-12
5
キャピタルの活用 ― 借入能力が勢いを推進
企業は様々な戦略に不可欠な要素を促進するために、改善している借入能力を活用するようになります。
レバレッジの利用への意欲、および借入能力に対する見通しが過去2年間の調査で最も良い結果となったことは、長期的な経済的見通しの信頼感の増加を
示唆しています。
レバレッジの利用が復活してきていることは、以前は保守的で資金源を現金に依存していたディールメイキングの環境が根本的に変化してきていることも
示唆しています。
全般的な楽観主義、成長への期待、およびレバレッジのさらなる利用は、
より多くの、
より大きなディールを導き、世界的にM&Aに弾みをつけます。
•
借入能力は成長を引き起こす
大多数の回答者が、借入能力は現状を維持するもしくは改善していると答えています。さらに、借入能力は改善してい
るとの見方を示した回答者の割合は、1年前の調査時のほぼ2倍となっています。世界経済に対する前向きな見通し、
および健全な経済の基礎的条件と相まって、
この信頼感はディールメイキングを促進させます。
•
慎重に管理されている負債総資本比率
過去6カ月間において、借入能力が改善し続けていたにもかかわらず、負債総資本比率は概ね一定でした。この規律
的なレバレッジの利用は、企業がより大きなトランザクションを実施する際の借り入れを可能にします。
•
さらなるデットとエクイティの利用は、より大きなディールへ
の移行を示唆
ディールの原資としてデットとエクイティを利用すると答えた回答者の割合の増加は、
リスク回避および現金を原
資とした比較的小さなトランザクションからより大きなトランザクションに移行してきていることを表しています。レ
バレッジのさらなる利用も、成長への使命に取り組むためにはより大きなディールが必要であることを明らかにし、
より活発な M&A 環境およびより大きなトランザクションの復活を示唆しています。
6
レバレッジの
利用に対する信頼感
Q: 貴社のグローバルレベルでの借入能力
Oct-13
13%
Oct-12
39%
48%
30%
減少する 44%
現状を維持する
26%
改善する
87%
回答者の 87 % が借入能力は現
状を維持するもしくは改善する
と答えており、これは過去 2 年
間の調査で最も高い割合とな
りました
Q: 現在の負債総資本比率をご回答ください
32%
32%
31%
25%∼ 49.9%
50%∼74.9%
44%
44%
46%
50%
25% 未満
16%
16%
13%
回答者の 44 % が負債総資本比
率は25 % 未満であると答えて
います
8%
75%∼100% 6%
6%
Oct-13
Apr-13
Oct-12
Q: 今後12カ月間におけるM&Aの主な原資をご回答ください
Oct-13
19%
34%
47%
Apr-13
16%
30%
54%
20%
38%
Oct-12
エクイティ
(自己資本)
42%
デット
(借入・社債発行)
現金
53%
回答者の53%がM&Aの主な原
資としてデットおよびエクイティ
を挙げています
7
成長戦略 ― 最も重要なキャピタル・アジェンダは投資
回答者の約60%が今後12カ月間で成長戦略を促進させると答えており、成長は世界的に不可欠なものとなり
ました。
企業は長期にわたる不確実性を切り抜けてきました。この間、企業はバランスシートを強化し、主に資本構成を最適化してきました。
企業は今、成長課題の実行に向けて、改善している世界経済および金融市場を活用する準備ができています。
成長戦略はオーガニックなものからイン・オーガニックなものへと移行しています。主要な経済指標に対する前向きな見通しと相まって、
成長により重点が置かれていることは、世界的にM&A活動が増加し、
より大きなディールへと戻ってきていることを示しています。
•
成長を重視する企業は過去2年間の調査で最も多い
回答者の約60%が、成長を今後12カ月間における最優先課題として捉えています。継続的な経営の効率化およびコ
スト管理により、現状維持および存続に対する懸念は取り除かれてきています。
•
余剰資金は負債返済および成長への資金源
回答者の36%が、当面は余剰資金を負債の返済に利用すると回答しており、
これは資本構成を最適化する方法の 1 つ
となっています。また、48 % の企業が余剰資金を成長に利用すると回答しており、よりリスクの低いオーガニックな
戦略からはじめようとしています。企業は、目標とする成長率の達成にはオーガニックな戦略では不十分であると判断
すると、M&Aへと目を向けるのかもしれません。
•
オーガニック・グロース戦略は主力製品および既存市場が中心
企業が成長の必要性に取り組む際、初めは既存の製品、チャネルおよび市場といったよりリスクの低いオーガニックな
ものに焦点をあてます。この戦略により、企業は財政規律およびガバナンスの目標を維持しつつ、
リスクの低い成長を
追求することができます。その低リスクでオーガニックな選択肢を使い尽くすと、新規の製品、チャネルおよび地域と
いったよりリスクの高いオーガニック戦略を追求するようになります。
8
成長が最優先課題
Q: 今後12カ月間における貴社の最優先課題は次のどれに該当しますか?
Oct-13
2% 8%
Apr-13
2%
Oct-12
3%
32%
15%
58%
31%
40%
52%
30%25%
31%
回答者の 58 % が今後 12カ月間に
おける最優先課題は成長である
と答えています
41%
存続
現状維持
コスト削減および経営効率
成長
Q: 今後12カ月間の余剰資金の主な用途として、以下のどれを重視しますか?
成長に投資
15%
14%
13%
配当金の支払い
36%
Oct-13
Apr-13
6%
6%
8%
10%
11%
12%
45%
金融負債の返済
24%
31%
Oct-12
Oct-13
Apr-13
最優先事項は次のどれに該当しますか?
高リスク
研究開発の強化/
製品の導入
既存プロダクトミックスおよび
既存サービスミックスの変更
40%
30%
主力製品/
既存市場の強化
新規販売チャネル
17%
19%
Oct-13
新しい地域/
市場への投資
新規市場開拓/
新製品開発のための技術開発
Apr-13
Oct-12
40%
Q: 今後12カ月間における貴社のオーガニック・グロースの
低リスク
回答者の 48 % が今後 12 カ月間
の余剰資金の用途として成長へ
の投資を挙げています
36%
33%
オーガニック・グロース
(例、製品への投資、資本支出、
人材維持、研究開発)
48%
ステークホルダーへの還元
自社株買い
イン・オーガニック・グロース
(例、買収、提携、およびJV)
58%
6%
12%
回答者の40%がオーガニック・グ
ロースは主力製品および既存市
場が中心になると回答しています
9%
14%
12%
9%
16%
16%
Oct-13
Apr-13
9
成長戦略
最も重要なキャピタル・アジェンダ
Q: 今後12カ月間における貴社の最重要課題は次のどれに該当しますか?
調達: 企業の資金調達力は、成長の重要な要素および財務の健全性の達
成に欠かせません。借入能力が増加し、
より魅力を増し、企業がよりレバレッ
ジを利用することを望んでいることが示されています。これは、より大き
なディールメイキングが実施されることを示唆しています。
Oct-13
Oct-12
資
調
24%
投
Apr-13
達
14%
22%
5%
9%
Oct-12
10%
持
維
Apr-13
維持 : 企業の流動性へのアクセス、
コスト管理および主要なステーク
ホルダーとの関与にかかわる能力は、市場の動向が変化している中、
キャピタルの維持に不可欠となっています。多くの企業は存続のため
にキャピタルの維持に重点を置くことを余儀なくされてきたため、今
では他のキャピタル・アジェンダに焦点をあてることが可能になってい
ます。
10
最
適
Oct-13
化
「キャピタル」の
有効活用
役 員 会 の 規 律に
より企業のキャピ
タル・アジェンダ
は強化され、目標
とする成 長 戦 略
の 実 行 を 可 能に
しています。
は投資
投資 : 経営陣の見通しにより、投資環境が間近に迫ってきている
ことが示されています。必要な成長および利益の水準が向上し、
企業はM&Aへと向かうようになるでしょう。経済の基礎的条件の
改善は、
さらなるディールによる成長も可能にします。
Oct-13
52%
Apr-13
40%
Oct-12
Oct-13
Apr-13
Oct-12
38%
29%
27%
30%
最適化 : 企業はガバナンスおよび財務の厳格化により重点を置き、引
き続き資本の最適化に規律ある取り組みを採用しています。資本構
成の最適化が概ね実現されたことに伴い、企業は現在、主に満期債務
の償還およびより多くのレバレッジに向けたリファイナンスに焦点を
あてています。
11
M&A ― より多く、より大きなディールが見込まれる
500百万USドルを超え、1,000百万USドル以下のディールを見込む回答者の割合が過去6カ月間で
2倍以上増加し、より大きなディールを実施する「真意」が明らかになっています。
ディール件数の増加とともに、上記の見通しにより、
より強固なディールメイキングの環境の兆しが見えていることが明確に示されました。これらは、資本構
成、ディールの基礎的な条件、および持続的な経済回復に対する企業の信頼感を示しています。
ディール実施の目的および成長の必要性に基づいて企業が行動しはじめることにより、世界市場においてさまざまな規模のディールが誘発されます。
ディールが最も多く見込まれる業界は、
テレコミュニケーション、ライフサイエンス、石油・ガス、自動車、消費者製品、およびテクノロジーとなっています。
•
グローバルにおけるディール件数は改善の見通し
回答者の約 70 %が今後 12カ月間におけるディール件数は増加すると見込んでいます。これは、前向き
な景況感、借入能力の増加、成長の必要性、および雇用創出の見込みといった、主要な基礎的条件が揃っ
たことによります。件数の増加は、BRICs 市場およびフロンティア市場の経済に追加成長をもたらす成
熟市場の力の回復にもよります。
•
案件の質、数、および取引の実現性の向上により、M&A は増
加の見込み
M&Aを支える主要な基礎的条件が揃ったことにより、今後12カ月間に買収を予定している回答者の割合は、1年前
のわずか4分の1から、3分の1以上に増加しました。買収を予定している企業の数が40%増加したことは、過去12カ
月間で案件の数および質が顕著に向上したこと、および取引の実現性が大幅に改善したことによります。
•
より大きなディールを重視
より大きなディール( 501 百万 USドル∼ 1 ,000 百万 USドル)を実施すると答えた回答者の割合は、半年前の調査時の
2倍以上増加しました。また、より小さなディール(51百万USドル未満)に焦点をあてる企業はわずか27%に減少しまし
た。これらは、
より強固なディールメイキングの環境の兆しが見えていることを明確に示す大きな動きとなっています。
12
新しいディール環境
69%
Q: 今後12カ月間でグローバルにおけるM&A/ディール件数は
どのようになると予測しますか?
69%
増加する
26%
変化なし
減少する
5%
回答者の 69 % がグローバルに
おける M&A/ ディール件数は
改善すると予測しています
Oct-13
35%
Q: 今後12カ月間における買収の見通し、および以下の項目におけるグローバルレ
ベルでの見通しをご回答ください。
今後12カ月間に買収を予定している回答者の割合
見通しが良いと回答した割合
42%
32%
29%
取引の実現性
40%
38%
41%
35%
31%
30%
25%
29%
回答者の 35 % が今後 1 年間に買
収を予定しています
43%
39%
案件の質
30%
61%
20%
50%
案件数
37%
10%
Apr-11 Oct-11 Apr-12 Oct-12 Apr-13 Oct-13
Oct-13
Q: ディールの規模はどのくらいになると予測しますか?
Oct-13
Apr-13
Oct-12
27%
35%
38%
US$0∼US$50百万
US$51百万∼US$500百万
US$501百万∼US$1,000百万
US$1,000百万超
54%
14%
53%
46%
5%
6% 6%
9%
7%
Apr-13
Oct-12
19%
回答者の19%が500百万
USドルを超えるディールを
実施すると予測しています
13
M&A
クロスボーダー投資の上位投資先
Q: 投資先上位5カ国(自国以外)
投資先上位5カ国への投資国上位3カ国
カナダ:
• 米国
• 日本
• フランス
米国:
• 英国
• 日本
• メキシコ
Brazil:
• 米国
• 英国
• フランス
14
先進国および
新興国市場の
相互依存は
引き続き増加
BRIC およびBRIC 以外の新興国市場に
対するディールメーカーの関心が高まっ
ており、ポートフォリオの多様化につなが
ります。
新興国市場も、必要な資金を確保し、より
大きな買収によって成長を促進する機会
を獲得することにより、将来的に他の新興
国市場だけでなく成熟市場にもより多く
投資をすると予測されます。
中国:
インド:
• 米国
• フランス
• 日本
• 米国
• オーストラリア
• シンガポール
その他の上位投資先:
南アフリカ
ベトナム
ミャンマー
メキシコ
インドネシア
ロシア
コロンビア
英国
チリ
ドイツ
15
M&A
成熟市場が世界的なディール
•
買収資金は世界中に配分されるが、成熟市場が最も多い
今後 12 カ月間における買収資金は、その大部分が成熟市場に集まると見込まれます。成熟市場への投資意欲
の回復は、成熟市場における経済回復、および成熟市場がもつ潜在的な機会の安全性と質の高さによるものと
なっています。
•
新興国市場への関心は高まる
新しい戦略的機会を求め、回答者の47%が、1年前よりもBRIC(27%)およびBRIC以外(20%)の新興国市場への投
資をより重視していると答えました。
しかし、引き続き成熟市場が重要な投資先となっています。
•
成長が鈍化している新興国市場におけるM&A はより厳しい
評価が必要
一部の新興国市場において成長速度が鈍化していますが、ディールをより厳しく評価することを条件に、企業は新興
国市場におけるディールの機会について引き続き楽観的な見方を示しています。成熟市場とは異なり、新興国市場は
引き続き急速に発展しており、
トランザクションのリスクを管理する必要があります。
16
メイキングの増加を推進
Q: 今後12カ月間で買収資金を成熟市場にどのように配分する予定ですか?
58%
資金配分の割合
(%)
75% ∼100%
13%
50% ∼74.9%
22%
25% ∼49.9%
23%
回答者の 58 % が今後 12 カ月間
で買収資金の25 % 以上を成熟市
場に配分する見込みとなってい
ます
42%
25% 未満
成熟市場
47%
Q: 1年前と比較して新興国市場への投資の意欲はどのように変化しましたか?
より重視(新興国市場)
47%
43%
変化なし
回答者の 47 % が 12 カ月前より
も新興国市場をより重視してい
ます
以前ほど重視しない
(新興国市場) 10%
Oct-13
Q: 成長速度が鈍化している新興国市場における、貴社のM&Aに対するアプローチを
最もよく表しているのは次のどれに該当しますか?
16%
新興国市場における機会について引き続き
楽観的な見方をしており、ディールの評価方法に変化はない
31%
57%
引き続き楽観的な見方はしているが、新興国市場における
ディールの機会はより厳しく評価する
45%
14%
14%
より悲観的な見方を示しており、
新興国市場戦略を再検討している
より悲観的な見方を示しており、
既に先進国市場における機会により注意を向けている
現在のところ新興国市場戦略を中止している
57%
回答者の 57 % は引き続き楽観
的な見方をしているが、新興国
市場をより厳しく評価すると答
えています
6%
5%
7%
5%
Oct-13
Apr-13
17
M&A
ディールメイキングの加速により
•
バリュエーション・ギャップは拡大する見込み
ディール件数が増加するにつれ、買い手と売り手の価格に対する見通しは自然に乖離します。回答者の 31 % が今後
12カ月間でバリュエーション・ギャップが拡大すると予測しており、半年前の17%から増加しました。このギャップの拡
大は、買い手と売り手が異なる速度で価格を調整していることによるものです。
18
バリュエーション・ギャップは拡大
Q: 今後12カ月間で買い手と売り手のバリュエーション・ギャップは
どうなると予測しますか?
縮小する
16%
21%
26%
拡大する
回答者の 31 % がバリュエーショ
ン・ギャップは拡 大 すると予 測
しており、半年前の 17 % から増
加しています
53%
62%
58%
現状のまま
17%
16%
31%
Oct-13
Apr-13
31%
Oct-12
価格のギャップを除く市場の基礎的条件は、
戦略的に有意義なディールを支えられるよう
整いつつあります。
19
M&A
ダイベストメントは戦略的な価値の
•
企業目標を達成可能にするダイベストメント
ダイベストメントはその戦略的価値が認められており、様々な企業目標に取り組むための効果的なツールとなってい
ます。資本構成を最適化しコア事業に集中するために、企業は経営戦略外の不採算事業の整理を継続していきます。
ダイベストメントの目的に資金調達を挙げた回答者の割合は低く、
これは借入能力が増加してきていることによります。
•
ダイベストメントの形式は事業部門の売却が中心の見込み
事業部門の売却を挙げた回答者の割合は51 %で、企業構造の強化のためにノンコア事業の売却がダイベストメント
の中心となることが示されました。
本調査について
本調査は、経営陣がどのように経済環境を見通し、
「キャピタル」
( 資本・負
債)
という経営課題(キャピタル・アジェンダ)
に対応しているかという実務
の傾向と実際を把握しようとするものです。
「キャピタル・アジェンダ」と
は、戦略的にキャピタルを管理するためのEYのフレームワークです。
20
「キャピタル・コンフィデンス調査」は、エコノミスト・インテリジェンス・ユ
ニット( EIU )が世界中の有力企業の経営陣に対して半年ごとに実施する
アンケート調査です。回答者グループは、EIU パネルの他、EY のクライア
ント企業及び取引先企業によって構成されています。
•72 か国 1600 名以上の経営陣(半数が CEO/CFO 等の経営幹部クラ
ス)によるパネルを対象に、2013 年 9 月に調査を実施
促進に必須
Q: ダイベストメントを実施する主な理由
48%
コア資産に集中
51%
56%
48%
32%
32%
30%
株主価値の向上
30%
不採算事業の整理
24%
22%
21%
事業全体の不採算性を
補うための資金調達
ダイベストメントを実施する理
由として48%の回答者がコア資
産への集中と答えています
29%
18%
14%
イン・オーガニック/
21%
19%
M&Aによる成長計画の資金源
Oct-13
Apr-13
Oct-12
Q: 貴社のダイベストメントの形式は以下のどれを予定しています?
51%
事業部門の売却
18%
事業部門のジョイントベンチャーへの切り出し
17%
事業全体の売却
14%
事業部門のスピンオフ/IPO
51%
ダイベストメントの形式として
51 % の回答者が事業部門の売
却を見込んでいます
Oct-13
•20を超える業種にわたる幅広い回答者(金融サービス、消費者製品、 •売上高ベースでFortune1000に入る900社以上の企業
テクノロジー、ライフサイエンス、自動車、石油・ガス、電力・公共事業、
•上場企業(65%)、非上場企業(20%)、同族経営(7%)、国有企業(5%)、
鉱業・金属、生産財、建設等)
•年間グローバル売上高 US$ 500 百万未満からUS$ 5,000 百万以上
に及ぶ企業(US$500百万未満19%、US$500-1,000百万未満24%、
US$1,000-5,000百万未満30%、US$5,000百万以上27%)
プライベート・エクイティのポートフォリオ会社( 3 % )
21
本資料に関する お問い合わせ:
G. スミス(Kenneth G. Smith)
Representative Director, President
[email protected]
03-4582-6663
ケネス
島田 英海(Hidemi Shimada)
Director
Markets
[email protected]
03-4582-6405
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EYは、アシュアランス、税務、
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本資料はアーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドの発行した英文刊行物「 Capital
( EYG
no. DE 0471 , NY 1309 - 1136752 ) を日訳したものです。
Confidence Barometer 」