2008年2月(65号)(PDF:1118KB) - 山梨県

峡南教育事務所・峡南地域教育情報紙
2008年
2月
第65号
か
か け
け は
は し
し
発 行: 峡南教育事務所地域教育推進担当
所在地: 南巨摩郡鰍沢町 771−2
TEL: 0556―22―8154
FAX: 0556―22―8144
HPでも見られます。URL http://www.pref.yamanashi.jp/barrier/html/kyoiku-mk/80990243338.html
∼三珠中で「本物の舞台芸術体験事業」開催∼
1 月 25 日(金)、三珠中において「本物の舞台芸術体験事業」が開催され
ました。これは、「本物の舞台芸術に身近に触れる機会を提供することに
より、子どもたちに芸術を愛する心を育て、豊かな情操を養う」という趣
旨(抜粋)のもと、文化庁が進めている事業です。
当日は、同中の生徒の他に、上野小、大塚小、市川南中の児童・生徒、
さらに保護者や地域の方々も多数参加し、「東京シティ・フィルハーモニ
ック管弦楽団」の生の演奏に聴き惚れました。
かけはし65号の紙面
p.1 ・本物の舞台芸術体験
事業∼三珠中∼
p.2 ・万沢小の英語活動
p.3 ・峡南から見える富士
・「オススメ!この本」
p.4 ・「懐かしい学舎はいま」
∼旧六郷町∼
***************
★ 今月号は最初で最後の(予算
の都合上)カラー印刷。楽し
んでいただけると嬉しいです。
★ 「かけはし」読者アンケート
に貴重なご意見を多数お寄せ
♪ 音楽を“体験” ♪
♪ 音楽の芽 ♪
この日のプログラムは、オーケストラの演奏を聴
くだけでなく、全校生徒が同管弦楽団の伴奏で、校歌
や合唱曲「大地讃頌」を歌ったり (=写真下) 、生徒代
表 3 人がベートーヴェン作曲・交響曲第 5 番「運命」
の冒頭部分を指揮したりと、文字通り芸術を“体験”
するという楽しい内容。耳になじんだ校歌や合唱曲
も、常にも増して美しく崇高ささえ感じられる響きに
なりました。また自分のタクトひとつで、 70 人もの
一流の音楽家を
動かし、自分
のイメージす
る「運命」を
奏でられた生
徒たちは、生
涯忘れ得ぬ醍
醐味と感動を
覚えたことで
しょう。
生徒会長の渡邉
ございました。詳細は次号で
健人さんは、「こ
お知らせします。
んなに間近で生の
オーケストラを聴くことができ、迫力と素晴らしい
音色に胸がいっぱいです。特に受験勉強に追われる
3 年生にとってはリフレッシュ、リラックスのひと
ときになりました」とお礼の言葉を述べました。
指揮者の大河内雅彦さんからは、「生徒たちが集
中して聴き入っている様子が、指揮をしている背中
から伝わってきた。この日に向けてそうした雰囲気
づくりをし、盛り上げてくれた学校の準備態勢に感
謝したい」とのコメントをいただきました。
保護者のご厚意で、会場となった体育館には豪華
な美しい花が生けられ、また丹誠込めて作られた
「ちぢみほうれん草」がお土産に配られました。先
生方、保護者、地域の方々が一体となって、子ども
たちの成長を支援しているということがうかがえま
した。この
日播かれた
♪ 音楽の力 ♪
「音楽の種」
も、この豊
かな土壌で
芽生え、す
くすく育つ
ことを願っ
ています。
プログラム最後の演目は、チャイコフスキーのバレ
エ音楽「白鳥の湖」より。この日司会を務めた声楽家
・藤尾久美子さんのナレーション付きでした。バレエ
の場面はなくとも、聴覚を通じて物語の世界にいざな
われ、白鳥や王子の踊る美しい情景がまぶたに浮かん
できました。音楽と言葉の力を再発見しました。
- 1 -
くださいまして、ありがとう
特集
小学校における
英語活動
∼ローズマリー先生を招いて万沢小で英語活動∼
万沢小では、「いきいき教育地域人材活用推進事業」を活用して、英語の講師を招き、 11月、 12月、 1月と 3 回に
わたって英語活動を行いました。講師は、ドイツで生まれ、オーストラリアに移住、長年のゴールドコースト暮らし
を経た後、来日したローズマリー・ボーデ先生。現在は甲府に住み、英会話の他に料理や西洋文化なども教えていら
っしゃるという、“マルチ・ウーマン”です。先生の座右の銘は「会話は“心の交流”である」とのこと。
ここでは、 12月 12日の英語活動の様子をお伝えします。
☆ ねらい ☆
H19 年度の指導重点の一つに、国際理解教育の推
進を掲げている同小。この日の活動のねらいは、
「英語を使ってのあいさつ、自己紹介、歌、ゲーム
などを通して、楽しく英語に触れ、慣れる機会とす
る」というものです。活動は、前半 1 ∼ 3 年生、後半
4 ∼ 6年生と分けて実施されました。
を仕組むのは、なかなか難しいことだと感じました。
この日が 2 度目となる子どもたちも、英語であい
さつ、自己紹介と、一生懸命コミュニケーションを
図ろうとしている姿が印象的でした。活動が終わる
と、児童は一人一人、先生とにこやかに言葉を交わ
したり握手をしたりして、和やかな雰囲気がその場
に漂っていました。
☆ 1∼ 3年生対象の活動 ☆
☆ 4∼ 6年生対象の活動 ☆
全員で 11人と、(少子化傾向の心配は別として)
英語活動を進めるには、コンパクトでうってつけの
クラスサイズです。
指導経験が豊富なローズマリー先生は、ご自身の
用意なさった教材・教具を次々に取り出して、テン
ポよく言語活動を展開。時にはメロディに乗せなが
ら、曜日、月、天気などの表現も導入され、盛りだ
くさんの内容です。「限られた時間内にあれもこれ
も教えたい」という、先生の熱意がひしひしと伝わ
ってきます。また冠詞や複数形なども丁寧に指導な
さっていて、ネイティブスピーカーならでは、と感
心しました。
参観してい
て、学年が 1 年
こちらは 32
人と大人数。
活動内容は、
基本的には 1
∼ 3 年生対象
のものとほぼ
同様でした。
子どもたちの
視線はローズ
マリー先生に
集中。そして先生の提示する言語材料に、活発に生
き生きと反応していました。この日のねらいに迫る
活動が展開された 45 分間でした。
違うだけでも
発達段階には
大きな差があ
り、異年齢の
児童すべてに
合わせた活動
☆ 今後に向けて ☆
万沢小では、引き続き 1月 21 日にもローズマリー先
生を招いて、英語活動を楽しみました。また今後は、
万沢中の ALTにも訪問を要請、さらに英語活動を拡げ
ていく予定です。こうしたことをきっかけに、小中の
交流・連携も深まっていくことと思います。
“Step
“Step by
by Step!”
Step!”∼「小学校における英語活動」を取材して∼
次期学習指導要領では、小学校高学年で外国語活動
の確立、理念やねらいの共通理解、教材開発、 ALTと JTE
が必修化される予定です。「言葉への自覚を促し、幅
(日本人教師)の円滑な意思疎通や役割分担の確認、さら
広い言語に関する能力や国際感覚の基盤を培うため、
に指導者の英語力向上のための研修等、課題は山積。まさ
中学校段階の文法等の英語教育を前倒しするのではな
に緒に就いたばかり、といったところです。しかし ALTを
く、国語や我が国の文化を含めた言語や文化に対する
通して小中の交流や連携も進めやすいというような、この
理解を深めるとともに、積極的にコミュニケーション
地域ならではのメリットも生かしつつ、管理職や研究主任
を図ろうとする態度の育成を図る」(中央教育審議会
のリードのもと、話し合いを重ね研修を積んで、一つ一つ
「学習指導要領の改善について」(答申)<2008.1.17>よ
クリアしていきましょう。
り抜粋)という目標を達成するために、校内研究体制
(取材にご協力いただいた皆様に、感謝申し上げます。)
- 2 -
Let's keep it up!! J
∼峡南から見える富士∼
山梨県人の私たちにとって、富士山は心の故郷、
憧れの対象。しかし峡南地域からは、富士の雄姿
はめったに仰げないものと、長らく諦めていまし
た。そんな私の認識が誤りだったと気が付いたの
は、この職場に勤務するようになってからです。
昼休みや休日等を利用して、「峡南から見える富
士」を撮影してみました。素人写真で見にくいか
もしれませんが…まずは地元・鰍沢からの富士の
写真です。読者の皆様からも情報や作品を提供し
ていただければ嬉しく思います。
①大法師公園からの富士 ( 2008.1.17 撮影)
① 大法師公園に向かって、増穂方面から曲がりくねった山道を
行き、何番目かのカーブにさしかかると、眼前に富士の姿が現
れる。そして「ゴールまであと一息、がんばれ !」と励まされる。
あの阪神・淡路大震災から 13 年経ったこの日の富士は、ひと
きわ息をのむ美しさ。午前中、風が強くて大気中の塵が吹き払
われたせいだろうか。その風は、 6,434 人の貴い命が姿を変え
たものだったのかもしれない。冬真っ只中、だが前景の桜の枝
先には冬芽が膨らみ、春が遠くないことを告げていた。
② 車のすれ違いもままならぬ狭く険しい坂道を、愛車は喘ぎ喘
ぎ登っていく。登り詰めて車を降りる。するとそこには想像を
超えた見事な富士の姿。たとえ見る者はなくとも、富士は凛と
してそびえていた。
②国見平からの富士 ( 2007.11.21撮影)
テーマ :「自然の中で」
自然とかかわり合いながら子育てをすることに
は、いったいどんな意味があるのでしょうか。自
然豊かなこの地域での子育ての参考になれば…
&「センス・オブ・ワンダー」
&「一年中わくわくしてた」
レイチェル・カーソン著/ 上遠恵子訳
ロアルド・ダール著 / 柳瀬尚紀訳
新潮社刊 (¥ 1,470)
クェンティン・ブレイク絵/ 評論社刊 (¥1,050)
「センス・オブ・ワンダー」とは「神秘さや
原題は My Year 。映画にもなった「チョ
不思議さに目を見はる感性」。世にさきがけ
コレート工場の秘密」の原作者・ダールが、
て環境汚染を告発した「沈黙の春」の著者が、
英国の田舎で過ごした子ども時代を月ごとに
私たちに残してくれた最後のメッセージです。
回想、日記風につづったものです。例を挙げ
カーソンは、子どもを自然の中に連れ出し、
ると…鳥の卵を夢中になって集めた 3月(なん
"The Sense of Wonder" を育むことを勧め
と 172個も!)、野の花が咲き乱れる美しい 6月
ています。「『知る』ことは『感じる』こと
(日本の 6月と違う?)、「橡(トチ)の実遊び」に
の半分も重要ではない。豊かな感性があれば、
興じた 9月(どんなゲームなのでしょうね)、
苦しみや心配ごとに出会っても、新たな喜び
そしてもらったクリスマスプレゼントでいた
へ通ずる小道を見つけ出せる」とも。私たち
ずらを仕掛け、大成功を収めた(?)12月、等々。
大人こそ、そうした感性を再び呼び覚ました
豊かな自然をこよなく愛した著者が、その
いものですね。地球の息遣いが感じられる掲
中でいかに生き生きと少年時代を送ったか…
載写真の数々も、また素敵です。原書の英語
鮮やかによみがえる 1冊です。柔らかい色調
版も大判で美しい装丁。併せてぜひどうぞ!
の趣きある挿画もとても温かく、癒されます。
- 3 -
ま
な
び
や
懐かしい学舎はいま
廃校跡をたずねて
その15
旧六郷町
旧六郷町には小学校が 1 校、小学校の分校が 1 校、廃校跡として残っています。その他、調査の基準にして
いる昭和 30 年度の直前に統合した小学校 2 校も廃校跡として残っています。
【山宮 (やまみや) 小学校】
【落居 (おちい) 小学校】
山宮小学校は明治 6 年に宮原学校として創立され、
落居小学校は明治 6 年に落居学校として創立され、
明治 17 年には山宮地区の現在地に校舎が建てられ
明治 12 年には山田地区の現在地に校舎が建てられ
ました。以降何度か統合と分離を繰り返しましたが、
ました。校舎はその後 2 回建て直され、昭和 50 年に
はコンクリート造りの校舎に生まれ変わりましたが、 昭和 30 年に閉校して六郷小学校と統合しました。
校地は分割され、宮原地区の多目的集会所や消防
平成 12 年に閉校して六郷小学校と統合しました。
詰所、町営団地などとして利用されています。消防
校地はそのまま残り、校舎は改装されて六郷の里
詰所横には山宮学校址を示す大きな記念碑が、集会
ニードスポーツセンターとして利用されています。
所の横には二宮像や顕彰碑が残されています。
校庭や体育館、旧正門、二宮像なども残っていて、
なお、昭和 22 年から昭和 24 年までの間、宮原村
校庭の隅には閉校記念碑が建てられています。
外二ヶ村組合立の山宮中学校が校舎の一部を間借り
なお、昭和 22 年から 24 年までの間は、落居村立
して併置されていました。
落居中学校が併置されていました。
S11年 に 建 て ら れ た 校 舎
… 閉校 記 念誌 よ り
S50年 に 建 て ら れ た 新 校 舎
T4年に増築した校舎
落居小学校校歌
中村星湖 作詞
信時 潔 作曲
一、落居山すそ 春くれば
桜ぞ開く おくらまえ
山田の川の 水清く
流れて末は おお富士川
二、ここの谷間の 春秋を
野辺にやうちに 父母は
励みたまわん 我々も
学び きたえ ん ほが らか に
三、庭の青ぎり たくましく
のび 太る ごと 生い たち て
冬積む雪の いさぎよき
人 とな らば や も ろと もに
【六郷小学校岩下 (いわした) 分校】
六郷小学校の岩下分校は、明治 5 年に岩下学校と
して創立されました。明治 20 年からは三沢尋常小
学校の分校に、明治 22 年からは落居尋常小学校の
分校となり、明治 42 年には岩下集落の中央の現在
地に校舎が建てられました。
昭和 30 年からは町村合併により六郷小学校の分
校になりましたが、昭和 39 年には閉校し本校の六
郷小学校と統合しました。
【楠甫 (くすほ) 小学校】
楠甫小学校は明治 42 年に岩間尋常高等小学校か
ら分離して創立され、大正 3 年には楠甫地区沖村の
善應寺東隣の現在地に校舎が建てられました。町村
合併により、昭和 30 年には閉校して六郷小と統合
しました。
校地はそのままで残っていますが、校舎はなく、
跡地は地区のゲートボール場として利用されていま
す。
なお、昭和 22 年から 24 年までの間、楠甫村立楠
甫中学校が校舎の一部と善應寺を使って併置されて
いました。
S 9年 の 卒 業 写 真
… 六 小 30周 年 記 念 誌 よ り
M42年に建てられT9年に
増築された校舎
校地跡に残る二宮像と
顕彰碑
…六小30周年記念誌より
跡地は地区のゲートボー
ル場に
「かけはし」読者アンケートへのご協力ありが
とうございました。その回答の中で“一番人気”
だった「懐かしい学舎はいま」を久々に掲載しま
す。増穂町、旧三珠町、旧市川大門町編も追って
掲載する予定です。お待たせしてすみません。
現在、跡地には地区の
公民館が建てられている
…六小30周年記念誌より
- 4 -