米国における北米先住民研究の歴史と現状 Trends in Native North American Studies in the United States of America 都市インディアン研究分野 Urban Indian Studies 大野あずさ ONO Azusa 都市圏に住むアメリカ先住民は、20 世紀初頭からの継続的な人口増加に もかかわらず、近年まで研究者の注目を浴びる事は少なかった。1970 年代 以降、文化人類学者、社会学者をはじめとする様々な分野の社会科学者が 都市に住むインディアンについての研究を発表し始めたが、保留地に住む インディアンに関する研究と比較すると都市インディアン研究の遅れは明 らかで、この状況はインディアン総人口の 67%が都市圏に住む現在も続い 1 ていると言える。 都市インディアン研究の停滞の背景にはさまざまな原因が考えられるが、 都市インディアン研究の第一人者の一人である文化人類学者スーザン・ロ ボはこの傾向の裏には 3 つの原因が潜んでいると指摘している。第一の理 由として挙げられるのは、伝統的にインディアン研究者たちは大多数のイ ンディアン保留地が存在する農村部に注目してきたという事実である。第 二の理由はインディアン研究の先駆者的役割を果たしてきた文化人類学者 の傾向に由来する。20 世紀初頭から発展してきたアメリカ文化人類学は農 村部に住むアメリカ先住民と彼らの生活、文化、社会を主流社会とは隔離 されたものとみなし、歴史的に凍結された存在として研究してきた。その 影響もあってか、都市インディアンについては長期に渡って少数の社会学 者が研究を発表するに留まっていた。第三の理由は歴史的なインディアン Rikkyo American Studies 29 27 (March 2007) 2005) Copyright © 2007 2005 The Institute for American Studies, Rikkyo University 146 立教アメリカン・スタディーズ のステレオタイプと密接な関係があるという。西部劇等を通じて一般化さ れた保留地または農村部に住むインディアンのイメージはいまだ強い影響 力を持ち、一般市民に留まらず、研究者たちにまでも影響を与え研究の焦 点を農村部に集中させているという。2 ロボの論点に更に付け加えて言うならば、都市インディアン自身の特徴 の数々も研究の発展を阻む原因となっていると考えられるであろう。都市 インディアンの第一の特徴として挙げられるのは都市内、都市間、また都 市と保留地間の移動の多さである。一定の場所に定住する期間が短いため、 国勢調査を始めとする人口統計では正確な都市インディアン人口の把握す らままならない状況である。第二に都市インディアンの多様な部族文化的 背景が挙げられる。民俗学、部族史、民族歴史学等の研究では、特定の部 族に焦点を当てて研究を進めてきており、多部族コミュニティーである都 市インディアン・コミュニティーの研究は文化的分析が複雑になるため困 難と考えられる傾向が見られる。上記に挙げた多様な理由で都市インディ アン研究は停滞してきたと考えられる。 こういった学術的また都市インディアン自身の特徴から調査、研究が遅 れている都市インディアン研究であるが、ここで基本的なインディアンの 都市化傾向と歴史的背景について簡単に紹介したい。1940 年の国勢調査に よるとアメリカ総人口の 57%が都市部(人口 2,500 人以上)に居住してい たのだが、インディアン人口のわずか 8.1%が都市部に居住していたと報告 されている。この割合は 10 年後の 1950 年には 16.3%に増加し、1980 年に は初めて都市部に住むインディアンが過半数を超えた。最も新しい 2000 年 国勢調査によると 67%のインディアンが都市部に住んでいるとされ、20 世 紀を通じてインディアンの都市化が急速に進んだことが窺える。3 Table 1: Percentage of Urban Population, 1940-2000 4 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 American Indian 8% 16% 27% 45% 55% 56% 67% Total U.S. Population 57% 64% 70% 75% 74% 75% 79% 米国における北米先住民研究の歴史と現状―都市インディアン研究分野 147 1940 年以降のインディアンの急速な都市化の背景には第二次世界大戦、 1940 年代半ばから 70 年代に及ぶ連邦管理終結政策、そして継続する保留地 の貧困化の影響が見られる。第二次世界大戦中には 25,000 人のインディア ン、あるいは 18 歳から 50 歳の身体健全な男性インディアンのうち 30%が 軍隊に入隊した。さらに 1943 年から 1944 年にかけて 90,000 人のインディ 5 アンが保留地を離れ、軍事産業に関わる職業または農業に携わった。 戦後、 多くのインディアン帰還兵は保留地へと戻ったが、その反面、戦後の西部 の都市部におけるめまぐるしい経済的発展は貧困に苦しむ保留地インディ アンに経済的安定への機会を与えることとなる。その結果、ロサンゼルス、 サンフランシスコ、デンバーといった西部の大都市に残ったインディアン・ ベテランも数少なくない。6 更にインディアンの都市化を進めたのが終結政策の一環として内務省イ ンディアン局が開始したリロケーション・プログラムである。貧困や失業 に悩む保留地インディアンを都市に移住させる事によって保留地の人口を 減少させ、経済状況を改善するというのがこのプログラムの主な目的であっ た。1952 年から 1973 年までの 20 年間全国的に展開されたこのプログラム を通じて、10 万人以上のインディアンがロサンゼルス、デンバー、フェニッ 7 クスを始めとする西部の都市に移住した。 また、直接このプログラムに参 加せずに家族や友人を頼りに都市に移住するものも増えた。プログラムが 中止された 1973 年までの間に各都市に在住するインディアンは汎インディ アン団体を設立し、多部族社会を形成していったのである。 第二次世界大戦、リロケーション・プログラムがインディアンを都市圏 へと引き寄せるきっかけであったとするならば、保留地での貧困や高失業 率はインディアンを保留地外へ押し出す要因となっていたといえる。プロ グラムが開始される直前の 1950 年国勢調査によるとアメリカ全人口の平均 収入が$1,917 であったのに対し、インディアン全人口の平均収入は$1,348 とアメリカ人全体の約 70%の収入しかなかった事になる。更に、ナヴァホ やラコタなどの保留地を見てみると、部族によっては年間$1,000 以下の収 入しか得ていなかった事がわかる。こういった状況がリロケーション・プ ログラムへの参加あるいは個人的な都市への移住を促したと考えられる。8 148 立教アメリカン・スタディーズ では、20 世紀半ばからの急激なインディアンの都市化を研究者たちはど のように調査、研究してきたのであろうか。1950 年代前半のリロケーション・ プログラム開始と同時に Harper's Magazine や Atlantic Monthly といった一般 雑誌は都市に移住したインディアンが抱える社会的、文化的、経済的問題 について鮮明に描き出してきたが、本格的な社会科学的研究が発表され始 めたのは 1970 年代に入ってからである。9 1980 年初頭になると歴史的研究 が発表され始め、現在においてはさまざまな分野の研究者たちが社会科学 的また歴史的観点から学際的なアプローチを活用してインディアンの都市 化また都市インディアンの研究を進めている。過去 30 年間の一般的な傾向 の変化としては大まかに三つの傾向が窺える。都市インディアン研究が現 れ始めた 1970 年代には都市インディアンを資本主義社会またアメリカ政府 のインディアン政策の犠牲者として描く傾向が見られた。1980 年代に入る とインディアン自身の意思や影響力を認識するようになり、近年の研究に おいては都市におけるインディアンの文化的存続や経済的発展を強調する 傾向が見られる。以下に分野別に時代を追って代表的な研究を紹介してい きたいと思う。 1970 年代までの都市インディアン研究においては社会科学の分野、特に 社会学、文化人類学、地理学、経済学を専攻する研究者が先駆者的役割を担っ ていた。リロケーション・プログラム続行中の研究は都市に移住したイン ディアンが直面した貧困、アルコール依存症、犯罪、失業、人種差別、教 育といった社会的あるいは経済的問題に焦点を当てた研究発表を行ってい た。1970 年代までに発表された研究の多くは当時注目されていた「貧困の 文化」モデルや従属理論に強い影響を受け、都市インディアンを新しい環 境への適応を強いられた受動的な一つの文化的グループあるいは資本社会 と官僚制国家のシステムによって犠牲者化された経済的階級として扱って きた。 1971 年に出版されたエレイン・ネイルス著 Reservation to City: Indian Migration and Federal Relocation は 1970 年代から本格化したインディアンの 10 都市移住に関する研究の代表と言える研究書である。 この研究でシカゴ 大学の地理学者であったネイルスはリロケーション・プログラムの施行と 米国における北米先住民研究の歴史と現状―都市インディアン研究分野 149 そのインディアンの都市化への影響、特にシカゴに住むインディアンにつ いて調査した。ネイルスは、都市が提供する教育環境、高収入、近代的な 設備等が農村部インディアンを引きつけ、住み慣れた保留地、家族、更に は風習や文化までも捨てて都市圏への移住を決断する場合が多いと論じて いる。11 さらにリロケーション・プログラムに参加するインディアンの特徴 として、高学歴を持つ若いインディアンがプログラム参加を希望する割合 が特に高いと報告している。12 この研究は国勢調査、インディアン局職員お よびインディアン移住者とのインタビューを主な資料として用いているが、 この調査の結果としてネイルスは、貧困に悩む保留地の過剰人口を都市に 移住者させるというのが BIA の公式な目的であるが、実際には保留地の経 済的改善に対してほとんど影響力を持っていないと結論付けている。更に は、移住したインディアン自身は都市移住後、生活状況が改善したと考え ているが、プログラムは単に保留地での貧困問題を都市部のゲットーに移 動させただけであると連邦政府を厳しく批判している。13 同年に出版されたパーデュー大学の文化人類学者ジャック・ワデルおよ びマイケル・ワトソン編集、The American Indian in Urban Society では 9 人 の文化人類学者およびソーシャル・ワーカーであるインディアン 1 名が社 会的・経済的問題に関する論文を紹介している。14 執筆者はそれぞれ、多く のインディアン人口を抱える都市における特定の部族メンバーのアルコー ル依存症、犯罪、教育、家族といったテーマに注目して 1960 年代後半から 1970 年代初頭における都市インディアンの生活状況の調査、研究を行った。 執筆者の多くはネイルスと同様、都市インディアンを犠牲者として扱い、 多くのインディアンの都市移住を「失敗」と結論付けている。その理由と して挙げられているのが都市での雇用機会の不足、低賃金、合衆国および 州政府からの援助の欠如、またアメリカ主流社会への適応の難しさなどで ある。 翌年の 1972 年に出版されたハワード・バハー他編、Native Americans Today: Sociological Perspectives では 1 章を割いて都市インディアンの新環境 に対する適応について論じている。社会学者が主となっている執筆者は都 市インディアンの他部族メンバーおよび非インディアンとの社会的関係、 150 立教アメリカン・スタディーズ 犯罪率、経済状況等を調査し、インディアン移住者がデンバー、サンフラ ンシスコ、ロサンゼルスといった都市で生活状況の変化に適応できたか否 かという点に着目して論じている。都市インディアンの社会的孤立、高犯 罪率、および経済的地位の低さから考えて、都市インディアンは都市圏で の新しい生活において多大な試練に遭遇していると結論付けるものが多く 15 見られる。 1970 年代半ばには都市民俗誌という方法を用いて都市インディアン研究 を行う文化人類学者が現れ始めた。1975 年に出版されたジアンヌ・ギレミ ンの Urban Renegades: The Cultural Strategy of American Indians は都市イン 16 ディアン民俗誌の先駆けとなった著書である。 この本でギレミンは 1970 年の時点で部族人口の 90%がボストンに居住していたミクマックに着目し、 彼らの都市化を文化的存続の手段と認識して議論している。ギレミンは当 時主流となっていた「貧困の文化」理論を基にボストンに住むミクマック の飲酒、パーティー、公共の場での喧嘩等は都市におけるミクマックの生 存にとって欠かせない社会的交流システムであると論じている。更に、依 存理論に影響を受けている著者はアメリカ一般社会はインディアンの土 地を略奪後、インディアンを単なる低賃金労働の担い手とみなしていると も指摘している。ギレミンによって開拓された都市インディアン民俗誌は 現在も多くの文化人類学者が採用する方法論の一つであり、近年において はジョアン・ウィーベル・オーランドの Indian Country, L.A.: Maintaining Ethnic Community in Complex Society(1999)およびデボラ・デイヴィス・ジャ クソンの Our Elders Lived It: American Indian Identity in the City(2002)がこ の伝統を受け継いでいる。17 上記に示した通り、初期の都市インディアン研究は都市圏に移住したイ ンディアンを平等な経済的機会を剥奪された社会経済的階級、あるいは新 環境への適応に失敗した文化的グループとして研究していた。それぞれの 研究者は経済的データ、文化的あるいは経済階級別分析、またはフィール ドワークに拠ってインディアンの都市化を解釈していたわけであるが、多 くの研究は都市インディアンが直面した文化的また経済的に厳しい現状を 強調していた。更に、都市インディアンを総称化された一つのグループと 米国における北米先住民研究の歴史と現状―都市インディアン研究分野 151 して分類していたため、都市インディアンを個人として扱う事はまれであっ たというのが 1970 年代までの社会科学的研究の主な特徴として挙げられる。 1980 年代に入ると歴史家も都市インディアン研究に携わり始める。しか しながら、当時の歴史的研究はインディアンの都市化を連邦政府の終結政 策の結果として扱うことが多かった。インディアン政策中心の研究の代表 作といえるのが 1986 年に出版されたドナルド・フィクシコの Termination and Relocation: Federal Indian Policy, 1945-1960(1986)である。この研究でフィ クシコはインディアンの都市移住を推進した連邦管理終結政策の起源と施 行について研究しているが、焦点は政策立案者の意図に当てられ、都市イ ンディアンはインディアン政策に反応した受動的な存在として描かれるに 留まっている。しかしながら、フィクシコは 1970 年代に主流であったイン ディアンを犠牲者として扱う事は避け、都市圏に移住したインディアンが 新しい環境では様々な問題に直面しつつも生き残ったという事実を強調し 18 ている。 1980 年代にはフィクシコ以外にも歴史家であるケネス・フィリ プやラリー・バートも終結政策とインディアンの都市化というテーマで論 文を発表しているが、こういった政策中心の研究では都市インディアン自 身の生活体験を窺い知る事はほとんど不可能であった。19 歴史家が本格的な都市インディアン研究に携わり始める一方、1980 年代 には文化人類学および社会学の都市インディアン研究は多様化し始める。 新しい傾向のひとつとして挙げられるのが、都市に住むインディアン女性 に注目した研究の登場であるが、この分野においても文化人類学者たちが 先駆者的役割を果たすことになる。1970 年代までの収入、職業、犯罪等に 注目した社会科学的研究では研究対象をインディアン男性に絞ることが多 20 かった。 一方、1980 年代以降の研究では主流社会への同化のプロセス、 自己認識の変化といったテーマに着目し、主にインタビューを用いながら、 都市インディアンの個人的な体験や変化についての研究が進められるよう になる。都市に住むインディアン女性に関する研究の増加もこういった研 究傾向の変化の一端と言えるであろう。文化人類学者によるインディアン 女性に注目した研究の先駆けとして挙げられるのが、1982 年に American Indian Quarterly に掲載されたアン・メトカルフの“Navajo Women in the 152 立教アメリカン・スタディーズ 21 City: Lessons from a Quarter-Century of Relocation”である。 この論文で メトカルフはサンフランシスコに住むナヴァホ女性とのインタビューを基 に、彼女たちの都市での生活、主流社会への同化のレベル、自己イメージ 等を研究している。 このように 1980 年代には一部の文化人類学者がインディアン女性に焦点 を当てた研究を始めていく一方、都市において設立された各種のインディ アン団体およびインディアン・コミュニティーの変遷に関する研究も同時 に進められていく。インディアン団体の研究においては主に都市インディ アンの経済的、社会的援助のために設立された団体が具体的にどういっ た活動を行っていたのか、また都市インディアンが主流社会に同化してい く過程でどのような役割を果たしたのかといった点が主な論点になってい る。インディアン団体およびコミュニティーの変遷に関する研究の例とし ては、Nancy Shoemaker,“Urban Indians and Ethnic Choices: American Indian Organizations in Minneapolis, 1920-1950”(1988)や Junsz Mucha, “From Prairie to the City: Transformation of Chicago's American Indian 22 Community” (1983)が挙げられる。 シューメーカーはミネアポリス、ムチャ はシカゴのインディアン団体およびコミュニティーについてそれぞれ調査 研究を行っているが、両著者ともリロケーション・プログラムが開始され る前の 20 世紀初頭から 1970 年代までの間に各都市で設立されたインディ アン団体(インディアン・センター、教会、American Indian Movement など) に着目し、インディアンの急速な都市化が進む過程で各種団体が果たした 役割について研究している。都市に移住したインディアンは様々なインディ アン団体の活動に携わることにより、政府が目論んでいたインディアンの 主流社会への同化に抵抗し、伝統文化およびアイデンティティの維持に成 功したと結論付けている。 1990 年代には歴史家もまた口述史やインタビューを活用し始め、政策中 心の研究から都市インディアンの生活、文化、アイデンティティー等に注 目した研究が発表され始めることとなるが、この傾向が今日も続いている といえる。1991 年出版の Survival and Regeneration: Detroit's American Indian Community でエドマンド・ダンジガーはデトロイトに移住したインディア 米国における北米先住民研究の歴史と現状―都市インディアン研究分野 153 ンを保留地に残ったインディアンと比較し、デトロイト・インディアンの 居住環境の改善、失業率の低下、収入の増加などを強調し、インディアン の都市化をサクセス・ストーリーとして描き出している。23 1990 年代に入っ てようやく、政策中心の歴史的研究から徐々に都市インディアンや汎イン ディアン団体に焦点を当てることによって、都市インディアン自身の体験 を反映した研究が現れ始めたのである。 更に最新の都市インディアン研究の例としては 2000 年に出版されたドナ ルド・フィクシコの The Urban Indian Experience in America(2000)またそ の 2 年後に出版されたジェームス・ラグランドの Indian Metropolis: Native Americans in Chicago, 1945-1975(2002)が挙げられる。24 両著者は自ら都市 インディアンとインタビューを行い、彼らの自己認識の変化、汎インディ アン・アイデンティティの形成などに着目して論じている。フィクシコに よると都市インディアンは低賃金・不安定な雇用状況、アルコール依存症、 高犯罪率、同化への社会的圧力等に悩みつつも汎インディアン共同体を形 成する事によって社会的・経済的問題に対応しているという。ダンジガー が都市インディアンを勝者として描いたのに対し、フィクシコはインディ アンの都市での生活を肯定的に描きつつも、彼らが経済的・社会的成功を 収めるまでの複雑な過程を示している。25 ラグランドもフィクシコの主な論 点に同意し、シカゴのインディアンは汎インディアン・ネットワークを形 成する過程において、汎インディアン意識を高めていったと主張している。 その一方で、ラグランドはインディアン・アイデンティティに関して新し い論点を展開させている。これまでの研究では都市インディアンは汎イン ディアン・アイデンティティの形成過程において部族アイデンティティを 失ったと論ずる事が多かったが、ラグランドはこの観点に反論し、新しく 加えられた汎インディアン・アイデンティティと部族アイデンティティに は強い繋がりがあり、都市インディアンが部族アイデンティティを失う事 26 はなかったと論じている。 両著者は口述史やインタビューが抱える問題点、 特に研究対象となっているインディアンが研究者に明かす体験談を選択し ていることを認識し(例えば売春、薬物乱用、家庭内暴力等の問題がイン タビュー中に明かされることは数少ない)、従来のアーカイブ資料とインタ 154 立教アメリカン・スタディーズ ビューの結果を併用している。 1970 年代以降、様々な分野の研究者が都市インディアン研究に携わって きた。本格的な都市インディアン研究が発表され始めた 1970 年代当時、研 究の多くは都市に移住したインディアンを連邦政府によって推進された同 化政策および都市化政策の犠牲者、あるいはアメリカ資本主義社会で搾取 された階級として扱っていた。1980 年代に入り、研究者の多くがインタ ビューや口述史を主な史料として用い始め、都市インディアン・コミュニ ティーやインディアン団体に注目し始めると同時に新たな解釈が生まれる ことになる。1980 年代以降の研究は都市に移住したインディアンが新しい 環境で苦闘しつつも、汎インディアン・コミュニティーを創り上げ、部族 差を越え共存しながら生きていく都市インディアンの姿を描き始めるよう になるのである。さらに近年においては都市インディアン個人の体験に注 目した研究が主流となってきており、都市に居住するインディアンを「犠 牲者」として扱うのではなく、むしろ彼らの意思決定の重要性、また社会 的環境および政治への影響力を強調するに至っている。27 しかしながら、都 市インディアンを扱った単行本の数はいまだ少なく、研究の多くが編集本 の一章、あるいは研究雑誌の一論文として発表されていることからもわか る通り、都市インディアン研究はいまだ発展途上の分野といえるであろう。 都市インディアン自身の視点、体験を中心として都市インディアンの一般 化を避けた研究はまだ数少なく、これからの発展が期待されるばかりであ る。 註 1. U.S. Department of Commerce, Bureau of Census, Census 2000, American FactFinder, GCT-P1, Urban/Rural and Metropolitan/Nonmetropolitan Population: 2000; PCT2, Urban and Rural [6] Universe: Total Population, Racial or Ethnic Grouping: American Indian and Alaska Native Alone or in Combination with One or More Other Races. 2. Susan Lobo,“Introduction,”in Susan Lobo and Kurt Peters, eds., American Indians and the Urban Experience (Walnut Creek, CA: Altamira Press, 2001), xiv. 3. U.S. Department of Commerce, Bureau of Census, Statistical Abstract of the United States, 米国における北米先住民研究の歴史と現状―都市インディアン研究分野 155 1962, Table 22 Population, by Race, Nativity, and Sex, 1930 to 1960, and Urban and Rural, 1950 and 1960; 1950 Census of Population, Vol. II, Characteristics of the Population, Pt 1., United States Summary, Table 34, Color by Sex, for the United States, Urban and Rural: 1930-1950; 1980 Census of Population, Vol. I, Characteristics of the Population, Chap. C, General Social and Economic Characteristics, Pt. I, United States Summary, Table 74, Race by Sex: 1980; 1990 Census of Population, Vol. I, Characteristics of the Population, Chap. C, General Social and Economic Characteristics, Pt. I, United States Summary, Table 4, Race and Hispanic Origin: 1990; Census 2000, American FactFinder, GCT-P1, Urban/Rural and Metropolitan/Nonmetropolitan Population: 2000; PCT2, Urban and Rural [6] Universe: Total Population, Racial or Ethnic Grouping: American Indian and Alaska Native Alone or in Combination with One or More Other Races. 4. Ibid. 5. Alan L. Sorkin, American Indian and Federal Aid (Washington D.C.: The Brookings Institution, 1971), 104. 6. Alison R. Bernstein, American Indians and World War II: Toward a New Era in Indian Affairs (Norman, OK: University of Oklahoma Press, 1991), 132. 著名なインディアン小説家たちもイン ディアン・ベテランと帰還後の社会適応および都市への移住を題材に小説を出版している。特 に有名な作品としては 1969 年にピューリッツァ賞を受賞した N. Scott Momaday, House Made of Dawn (New York: Harper and Row, 1968) および Leslie Marmon Silko, Ceremony (New York: New American Library, 1977) が挙げられる。 7. Azusa Ono,“The American Indian Community in Denver: 1952-2002,”M.A. Thesis, University of Northern Colorado, 2003. 8. U.S. Department of Commerce, Bureau of Census, 1950 Census of Population, Vol. II Characteristics of Population, Pt. 1, United States Summary, Table 137, Income in 1949 of Persons, by Race and Sex, for the United States, Farm and Nonfarm: 1950; Vol. IV, Special Reports, Pt. 3, Chapter B, Nonwhite Population by Race, Table 21, Social and Economic Characteristics of the Indian Population, for Selected States, Urban and Rural, and for Selected Indian Agency Areas, 1950. 9. 一般雑誌に掲載された記事の例としては、Ruth Mulvey Harmer,“Uprooting the Indian,” Atlantic Monthly 197 (1956): 54-57; Dorothy Van de Mark,“The Raid on the Reservations,”Harper's Magazine 212 (March 1956): 45-55; Edith R. Mirrielees,“The Cloud of Mistrust,”Atlantic Monthly 199 (1957): 55-59 等が挙げられる。 10. Elaine M. Neils, Reservation to City: Indian Migration and Federal Relocation (Chicago: Department of Geography, The University of Chicago, 1971). 11. Ibid., 135. 12. Ibid., 136. 13. Ibid., 137. 14. Jack O. Waddell and O. Michael Watson, eds., The American Indian in Urban Society (Boston: Little, Brown and Company, 1971). 156 立教アメリカン・スタディーズ 15. “Chapter 6: Urban Indian”in Howard M Bahr, Bruce A. Chadwick, and Robert C. Day, eds., Native Americans Today: Sociological Perspectives (New York: Harper & Row, Publishers, 1972), 401-484. 16. Jeanne Guillemin, Urban Renegades: The Cultural Strategy of American Indians (New York: Columbia University Press, 1975). 17. Joan Weibel-Orlando, Indian Country, L.A.: Maintaining Ethnic Community in Complex Society (Chicago: University of Illinois Press, 1999); Deborah Davis Jackson, Our Elders Lived It: American Indian Identity in the City (Dekalb, IL: Northern Illinois University Press, 2002). オーランドの Indian Country, L.A. はインディアン団体の活動およびインディアン活動家の生涯に焦点を当て、 ロサンゼルスにおけるインディアン・コミュニティーと汎インディアン・アイデンティティの形 成について論じている。一方、ジャクソンの Our Elders Lived It は五大湖に隣接する中型都市に居 住するインディアン(特にアニシナベ)のアイデンティティに着目し、都市に移住したインディ アンのアイデンティティが 3 世代に渡ってどのように変化していったのかという点について研究 している。 18. 1970 年代以降、インディアン研究者、特に歴史家はこれまで常に否定的に描かれてきたインディ アンの歴史的体験の中に肯定的な経験を見出して強調し始める。一般に New Indian History と呼 ばれるこのアプローチでは、例えば寄宿学校での体験や都市への移住などの経験は、政府や白人 によって強制的に強いられた歴史的体験という事実よりもむしろ、その強いられた環境における インディアン自身の意思決定、汎インディアン・コミュニティーの形成などの肯定的な体験に焦 点が当てられる。 19. Kenneth R. Philp,“Stride toward Freedom: The Relocation of Indians to Cities, 1952-1960,” The Western Historical Quarterly 16 (1985): 175-190; Larry W. Burt,“Roots of the Native American Urban Experience: Relocation Policy in the 1950s,”American Indian Quarterly 10 (1986): 85-99. 20. インディアン男性に焦点を当てた研究の例としては、Lawrence Clinton, et. al.,“Urban Relocation Reconsidered: Antecedents of Employment among Indian Males,”Rural Sociology 40 (1975): 117-133; Robert S. Weppner,“Socioeconomic Barriers to Assimilation of Navajo Migrants,” Human Organization 31 (1972): 303-311; Theodore D. Graces,“The Personal Adjustment of Navajo Indian Migrants to Denver, Colorado,”American Anthropologists 72 (1970): 35-54 などが挙げられ る。1970 年代までインディアン男性を対象とした研究が主となっていた背景には、BIA のリロケー ション・プログラムを利用して都市に移住したインディアン人口の多くが男性であったこと、ま た男性がインディアン世帯における唯一の稼ぎ手である場合が多かったことなどが影響している と考えられる。 21. Ann Metcalf,“Navajo Women in the City: Lessons from a Quarter-Century of Relocation,” American Indian Quarterly 6 (1982): 71-89. 1980 年代以降、メトカルフ以外にも主に文化人類 学者が都市に住むインディアン女性の研究に携わり、研究発表を続けている。1980 年代に発 表された研究の例としてはアリゾナ州フラッグスタッフに住むナヴァホ女性について研究し た、Joyce Griffin,“Life Is Harder Here: The Case of the Urban Navajo Woman,”American Indian Quarterly 6 (1982): 90-104 が挙げられる。1990 年代以降の研究の例としては、Diana Bahr, From Mission to Metropolis: Cupeno Indian Women in Los Angeles (Norman, OK: University of Oklahoma Press, 1993); Vicke Patterson,“Indian Life in the City: A Glimpse of the Urban Experience of Pomo Women in the 1930s,”California History 71:3 (1992): 402-411; Päivi Hoikkala,“Feminists or 米国における北米先住民研究の歴史と現状―都市インディアン研究分野 157 Reformers? American Indian Women and Political Activism in Phoenix, 1965-1980,”American Indian Culture and Research Journal, Special Issue: American Indians and the Urban Experience, 22, no. 4 (1998): 163-185 が挙げられる。 22. Shoemaker, Nancy.“Urban Indians and Ethnic Choices: American Indian Organizations in Minneapolis, 1920-1950,”Western Historical Quarterly 19:4 (1988): 431-447; Mucha, Janusz. “From Prairie to the City: Transformation of Chicago's American Indian Community,”Urban Anthropology 12, no. 3-4 (1983): 337-371. 1990 年代以降のインディアン団体研究の例としては Grant Arndt,“‘Contrary to Our Way of Thinking’: The Struggle for an American Indian Center in Chicago, 1946-1953,”American Indian Culture and Research Journal, Special Issue: American Indians and the Urban Experience, 22, no. 4 (1998): 117-34; Joan Weibel-Orlando,“And the Drum Beat Goes on: Urban Native American Institutional Survival in the 1990s,”American Indian Culture and Research Journal, Special Issue: American Indians and the Urban Experience, 22, no. 4 (1998): 135-62 が 挙げられる。 23. Edmund Jefferson Danziger, Jr., Survival and Regeneration: Detroit's American Indian Community (Detroit: Wayne State University Press, 1991). 24. Donald L. Fixico, The Urban Indian Experience in America (Albuquerque: The University of New Mexico Press, 2000); James LaGrand, Indian Metropolis: Native Americans in Chicago, 1945-1960 (Chicago: University of Illinois Press, 2002). 25. Donald L. Fixico, The Urban Indian Experience in America. 26. James LaGrand, Indian Metropolis: Native Americans in Chicago, 1945-1960. 1998 年に出版された American Indian Culture and Research Journal の特集“American Indians and the Urban Experience”に 掲載された論文の多くがアイデンティティをテーマとした論文になっていることからもわかるよ うに、1990 年代後半以降、都市インディアン研究に携わる研究者が分野を問わずアイデンティ ティの問題に注目するようになっていることは明らかである。この号に掲載された論文の例とし て、James Fenelon,“Discrimination and Indigenous Identity in Chicago's Native Community,”: 273-303; Angela Gonzales,“The (Re)Articulation of American Indian Identity: Maintaining Boundaries and Regulating Access to Ethnically Tied Resources,”:199-225; Jackson, Deborah Davis.“‘This Hole in Our Heart’: Urban Indian Identity and the Power of Silence,”: 227-54; Peters, Kurt. 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Reyes, Bernie Whitebear: An Urban Indian's Quest for Justice (Tucson: University of Arizona Press, 2006) 等である。 158 立教アメリカン・スタディーズ 米国における北米先住民研究文献目録 都市インディアン研究分野 Ablon, Joan. 1964 “Relocated American Indians in the San Francisco Bay Area: Social Interaction and Indian Identity,”Human Organization 23: 296-304. 1965 “American Indian Relocation: Problems of Dependency and Management in the city,” Phylon 26: 362-371. 1971 “Cultural Conflict in Urban Indians,”Mental Hygiene 55: 199-205. Alexie, Sherman. 1996 Indian Killer. New York: Atlantic Monthly Press. Arndt, Grant. 1998 “‘Contrary to Our Way of Thinking’: The Struggle for an American Indian Center in Chicago, 1946-1953,”American Indian Culture and Research Journal, Special Issue: American Indians and the Urban Experience, 22, no. 4: 117-134. Bahr, Diana. 1993 From Mission to Metropolis: Cupeno Indian Women in Los Angeles. 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