3 7 1 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年) 電総研における蓄積リング自由電子レーザー発嬢実験 山崎鉄夫青山田家和勝,杉山 卓F 大垣英明 F 富増多喜夫P 野口勉F 三角智久,千脇光風鈴木良一 篭子技術総合研究所 1.はじめに のみであったが,今回の成功によって一挙に可視 自由電子レーザー (free e l e c t r o nlaser, FEL) 域に短波長化された。蓄積リングでの発振は,フ ACO, については既に本誌に解説 1) や比較的新しい矯報 2) ランス Orsay の ACO と Super- が掲載されているうえに,文献 1) に示したように Novosibirsk の 優れた解説も多い。本稿では,解説ではなく ACO は既に閉鎖され, FEL の発振技術を,電総研での経験を中心に述 に転用される予定である。また, べることにする。 は,アメリカの Stanford 大学の超伝導リニアック VEPP-3 に次ぐものであるが, VEPP-3 も近く別の用途 RF りニアックで と Boeing 社一 Spectra Technology 社において可視 電総研では数年来蓄積リング TE孔t\S での可視 域 FEL の研究を進めてきたが,本年 2 月に発振の 関値に到達し, ソ連 域で発振している。 3 月に 598nm での発振に成功し 2. た。発振時の蓄積どーム電流はパンチ当り約 実験の概要 電総研での FEL実験配置を国 1 に示す。 FEL'こ 4mA ,電子エネルギーは 230MeV であった。短波 FEL のゲインが下がり,発振が困 おいては通常のレーザーと異って 1 パスで増幅す 難になるため,圏内では従来大阪大学や理化学研 る増幅型や自発放出光自己増幅型等もあるが,図 究所等で mm の波長領域での FEL がみられている の様に光を光共振器ミラーで多数回往復させてそ 長になるほど, e山 STORAGE RING MONOCHROMATOR ++ PH O'γODIODE 4問事砂 ARRAY OPγICAL Kし:VSTRON PHOTO蹴UじrlPlI ER MONOCHRO制ATOR VACUU 糊 MIRROR MANIPUし ATOR STREAKCAMERA F i g . 1Experimentalarrangementf o rFELo s c i l l a t i o na tETLs t o r a g er i n gTERAS. 円φ 門i (C) 1991 The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research 3 7 2 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年) lANDAUC A V I T Y . . ' - e- F i g . 2P l a nv i e wo fE T Ls t o r a g er i n gT E R A S . の度に増幅させる方式は発振型と呼ばれている。 製)を用いた。これは世界最初の試みであった 電総研では 1986年に光クライストロンを試作し, が,以蜂この素材を用いたアンジュレータが従来 同年から蓄積リング TERAS において自発放出光 の SmCo s 以上に流行するようになった。 OK の中 の発生とスペクトルの測定光共振器,電子ビー での電子軌道は図 1 の中に模式的に示されてい ムの性質等の要素技術の研究を進め 3) , 1989年には る。後で国 9 (a) に示す自発放出光のスペクトルの FEL ゲインの測定に成功し,以降発振実験を行っ 微細構造は光クライストロン特有のもので,通常 てきた 4) 。いずれも可視域では国内で最初のもので のアンジュレータからのものはその包絡線の形を あった。発振型 FEL の研究は大体この様な道筋を している。 辿る。蓄積リング TERAS については本誌でも紹 ゲイン領域では FEL ゲインは自発放出光スペクト 介されている 5) が,図 2 にその平面図を示す。 ルの勾配に比例するので, Madey の定理7) によれば,小信号。低 OK では高いゲインが 期待できるわけである。 FEL の波長えは 3. 光クライスト己ン 噌 seゐ z'' 、、 /a¥ 2 ,1 =,1 0(1 + K / 2 )I ( 2 r2) 蓄積リング TERAS は 1981 年に稼働開始したシ ンクロトロン放射の発生・利用を目的としたもの OK でのゲインは であり,直線部が1. 8m と短くゲインが低いので, 国 3 に示す光クライストロン (optical OK)6) を使用している。 klystron , G =1 .1 2 x1 0 - x え。2 ( N + N N2r -K2[JJ]2ρ 。 fF OK とは通常のアンジュ 1 3 OK d) =0 . 9 3G2N[ ( N + N d ) / N ]f レータを 2 個置き,上流側をエネルギ一変調用, 3 ( 2 ) 下流側をエネルギー変換用とし,中央に強い磁場 の分散部を設けてミクロなパンチングを強め,ゲ で表される。ここに, インを通常のアンジュレータの数倍まで高めよう の磁場周期長, とするものである。永久磁石は新稀土類永久磁石 光が電子を追い越す光の周期数 , (NEOMAX-35 , ネルギーをその静止質量 (moC ) 単位で表したも Nd-B-Fe 系,住友特殊金属社 -174- んは通常アンジュレータ部 N はその周期数, 2 N d は分散部内で r は電子の全エ 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年〉 3 7 3 F i g . 3S t r u c t u r eo fE T lo p t i c a lk l y s t r o n . の, ρ 。は電子密度,誌はアンジュレータの偏光パ ラメータで, KごeB o À oI(2 7l' (f) , f=K2j(4+2K2) , -J o moC), (刀) に OK が使用されてきた。 =Jl( ど) J n は n 次のベッセル 4. 光共振器 F は電子ビームと光ビーム 一般に短波長の FEL では FEL ゲインが非常に低 G2N は 2N 周期の通常アンジュレー いので,光共振器での損失を極力小さく抑えなけ タによるゲインである。 f=fofr はゲ、イン劣化因数で れば発振には至らない。従って,超低損失共振器 あり, が必要になり,損失の測定が重要になる。電総研 関数 , e は単位電荷, の重畳因子, f exp[ 87 l '2( N+N 2(σ/r)2] d) r= (め では微小光共振器損失を減衰時間法 8) によって測定 しており,使用前のミラー l 枚当りの損失は は電子ビームのエネルギー幅び 7 によるゲインの劣 30ppm の透過率を含めて 40ppm 程度である i ・ 4) 。 化を表し, しかし短波長領域でよく用いられる誘電体多層 fo はそれ以外に起国するものである が,後者は 1 に近い。電総研 OK の場合, 膜ミラーは自発放出光の高調波成分の照射による N=8 , N d コ 74 である。 (2) 式によれば,分散部磁場を強め 劣化が著しいので,電総研では損失のその場測定 る程ゲインが高くなるように見えるが,実は (3) 式 も可能なシステムを完成させてこれをモニタして のように電子ビームのエネルギー幅に非常に敏感 いる。図 4 は結果の一例であるが,照射量が増加 になるので,分散部の N d 値についてはビームの質 すると損失が増加し損失が少い波長帯域が狭く を考慮に入れた妥協が必要になる。従って,十分 なり,最適波長も長波長側にシフトしている。現 に長い直線部を持つリングでは光クライストロン 状では,損失が許容範閤を上回る度にミラーを交 にしないほうが有利である。ちなみに,従来の蓄 換している。 積リング FEL では, Frascati の Adone を除いて常 蓄積電子ビームはパンチングしているので光も -175- 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年〉 3 7 4 することによって共振器長を正確にチューニング 4・・、 ぴ3 0 することができる。時間の関数としての出力信号 ¥ 守醐 > < 、的 10 tぬ o . . J > ド > q S(t) ロ L s ( t 2 m (l-p)m ( 4 ) ¥Er v500mA.h 、口 ¥ ト 戸。 門出gLF1コ 0O Zは u の大きさ S(t) は 四 @、- 問 で与えられる。ここに s は検出器の応答特性も含 、、/ . E=O 剛門醐崎幽閉幽四 o P は 1 往復当りの共 δ は共振器長のヂチューン, m は往復 回数である。従って,パンチ長が短く,共振器損 I 590 600 610 620 WAVELENGTH (nm) めた電子パンチの時間構造, 振器損失, 芭 =245mA.h 口町 @‘崎町一・@嶋崎一一@一一一@一一一 570 580 0 / 630 失が少ないほどこの方法の精度は高くなる。電総 研では現在:t 15μm 程度の粗調整が可能である。 F i g . 4Round-t r i pc a v i t yl o s sv s .w a v e l e n g t h .E i st h e 一方, ミラーの駆動については上記のような並 amounto fexposureexpressedby( s t o r e dc u r r e n t ) x(integr剖ed exposuret i m e ) . 進はもちろんのこと,共振器長が長いのでミラー の回転の精度も高くする必要がある。ミラーは超 高真空中にあるので精密な調整は非常に難しい パンチ状になっている。この光のパンチが光共振 が,電総研ではステッピング・モーターとピエゾ 器を 1 往復した後次の電子ノ〈ンチと重畳して電子 素子を併用した超高真空ミラ…精密駆動装置を試 からエネルギーをもらい受けて増幅されるが, 作した。駆動精度は 0.2μm 以上である。通常, こ の増幅が多数回続くためには光共振器長が電子パ 蓄積リング FEL ではリングの加速周波数を微調整 ンチ間隔の半分に正確に調整されている必要があ してパンチ間隔を逆に光共振器長の 2 倍に合わせ る。 FEL ゲインが低い場合,通常のレーザーに比 ているが, べて非常に長い光共振器長を μm オーダ…の精度 少問題がある。電総研のシステムでは共振器長の で設定する必要があるが,発振条件を捜しながら 調整のみで十分である。 いきなりこの精度で設定することは不可能に近 い。そこで,まず 10μm 程度の粗調整を行い, し なお, リングの局長が変化したりするので多 レ…ザー・ビームと電子ビ…ムの横方向 の重畳も重要で,光共振器の Reyleigh 長は通常ア かる後レーザー発振を観測しながら μm オーダー ンジュレータ長程度が選ばれるが, に追い込んでいく必要がある。 ビームの条件を考慮して決める必要がある。電総 電総研では,以下に述べるような粗調整の方法 もちろん電子 研の光共振器長は 5.238m ,凹面鏡の曲率半径は 3m であり,従って Reyleigh 長は 1m である。 を確立している。自発放出光を光共振器で共振さ せ,下流側のミラーから出てくる光を分光器を通 した後ストリーク・カメラで受けて,その時間構 5. 電子ビーム 造を観測する(函 1 参照、)。共振器長が短すぎる 短波長の FEL では特に電子ビームの質が問題に と光のパンチは次第に電子パンチより前にずれて なり,電総研でも蓄積ビームのエネルギー幅や 3 くるので出力パルス光は図 5 (b) の様に前に尾を引 次元のプロフィールの測定を行っていることは, き,長すぎると逆に後に尾を号|く。光共振器長が 文献 1 )でも述べた。ここではそれ以降のことに チューンされると (a) の様に左右対称になり,パル ついて述べる。 ス幅も細くなる。従って,このパルス波形を観測 TERAS の通常運転では周長 31 .45m 中に 18 バ -176- 3 7 5 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年) ROIH POSITION(NS) 0 ・ 2.03 F ' ! { H H(NS) PEλK(NS)>COυNT • 3 0 . . ( ) 616388 16.32・> 1 . 0 . ( 3 :A ^RE 50807862 800000 600000 400000 200000 。 5 。 10 lS 20 2S 30 35 NS ( a ) RO{# POSIT10N(NS) O .41 。 PEAJ {(NS)>COUNT 30.4 .1 AREA 何時代 NS) ,. 252222 14.70 1 .J20 21923776 400000 300000 200000 100000 。 。 5 10 lS 20 2S 30 3S NS ( b ) F i g . 5T i m es t r u c t u r eo fo p t i c a lp u l s e sa f t e rt h eo u t p u tm i r r o r .( a )a l m o s ttuned , a n d( b )d e t u n e dby-30μm. ンチのビームが回転している。一方光共振器長は 時間構造を示したもので,上図のように全てのパ 5.238m なので,光が 1 往復した時に次の電子ノ〈ン ンチに電子が詰まっていたものが第 l 段階の RF チと重畳するためには 3 パンチのみが必要で,残 KO で中央の図のように 6 パンチになり,第 2 段階 りのパンチは発振には不要である上に自発放出光 で下図のように 3 パンチになっている。 2 段階に を発してミラーの劣化を促進する。そこで,電総 分けているのは,この様な正弦波そのものを用い 研では 2 段階の RF -KO ( r a d i o f r e q u e n c yknock る方法では節の隣のパンチが溶ちにくいからであ -out) 法を用いて,加速周波数を分周したものと る。 ベータトロン周波数とを混合・増幅した RF 電力 3 パンチ・モードでは 18 パンチの場合よりパン を図 2 の RF-KO 電極に印加することによって 3 チ間相互作用が弱いのでビームの質は多少良い パンチに落している 9) 。図 6 は電子ビームのパンチ が,まだまだエネルギー幅も広く, -177- FEL には適し 376 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年〉 ていないので,さらにビームを高品質化@安定化 ( a ) する必要がある。電総研ではそのために 2 加速空 胴方式 10) の研究を行ってきた 9) 。蓄積ビームには シンクロト口ン振動と呼ばれる縦振動があり,パ ンチ間相互作用によって全ノ〈ンチが共振するとこ れがどームの不安定性を誘起する。そこに高調波 の成分を与えるとシンクロトロン振動が速く減衰 して, 1 8 b盟問 ches ビームが安定化される。電総研では,図 2 に示したようにリングの主加速空腕(1フ1. 6 2MHz) の 2 倍高調波 (343. 24MHz) の Landau 加速空胴を 'b 詰 5 7. 4 mA 設置しその電力,共鳴周波数,および位相を調 整することによって,主としてパンチ間相互作用 を制御している。図アにリングのビーム@モニタ ( b ) からの信号の周波数スペクトルを示す。 (a) は Landau 加速空胴を動作させない場合のもので,中 央の周波数の他にビームの不安定性の指標となる サイドバンドが見られる。シンク口ト口ン周波数 は約 80kHz で,縦軸は対数でとってあるのでどー クはそれほど高くないが 6 重極までが現れてい 6 る。 Landau 加速空闘を働かせて上記の調整を行う bunch 告S と (b) のようにサイドバンドがきれいに消える。こ I 7 . 0mA b=1 の操作中に自発放出光スペクトノレを観測している と,電子ビームのエネルギ…幅が急速に狭くなる ことが明かにわかる。この様にして現在ではパン ( c ) チ当り 6mA 以上の安定な 3 パンチのビームが得ら れるようになった。 パンチ間相互作用を抑制するには他にフィード バッグによる方法もあり 111 ,電総研でも研究が始 められている。なお,イオン@トラッピングによ る不安定性はイオン@クリアリング電極に高電圧 3 を印加することによって抑制しているゆ。 bunch 母 S Ib= 3 6. ゲイン測定 予測される FEL ゲインが光共振器損失より十分 F i g . 6E l e c t r o n -beambunchs t r u c t u r e( a )b e f o r et h eRF- に高い場合には必要はないが, TERAS での実験 KO( f u l lbunches) , (む)甜er t h ef i r s t -s t e pRF-KO( 6 ではゲインが低く発振ぎりぎりなので,外部レ bunches) , and( c )a f t e rt h esecond・・- s t e pRF-KO( 3 b u n c h e s ) . ザーによるゲイン測定が必要であった。測定法に ついては文献1)でも述べてある。電子エネルギーを -178- 3 7 7 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年〉 る。図 8 (b) は同時に測定した自発放出光スペクト ( a ) ルであるが,前記の Madey の定理が確認できる。 ア.発振実験 ゲイン測定である程度の発振の目処が立っと, いよいよ発振実験にとりかかる。 蓄積リング内の電子ビームは光クライストロン の中で光と相互作用してこれを増幅する。電総研 の場合,下流側ミラーからの出力光は図 1 のよう に分光器を通り,そのスペクトルは後におかれた 高感度フォトダイオード@アレイによって実時間 o j 思= • で測定される。電子ビームを安定化させた後共振 4 器や電子ビームの微調整を行うと, FEL のゲイン が光共振器損失を上回れば,光のビームが共振器 ( b ) 内で往復運動をする度に成長してコヒーレントな レーザーになって発振する。出力光の一部はスト リーク@カメラに取り込まれ,共振器長調整やパ ンチ長測定に使用される。 図 9 (a) は発振前の自発放出光スペクトル, ( b ) と (c) は発振時のスペクトルを示しているが, ( c ) は測定装置の前にフィルタを置いて強度を約 1 /1 20 に落したものである。この様な測定結果から, FEL のピーク出力は 10mW 以上と推定されてい る。図 9 (b) , =0.8k開 i 蕗= (む)の発振スペクトルのピークは 598nm にあるが, 6.2 開 A 幅が狭くなり (a) の自発放出光スペクトルより (0.3nm 程度) ,ピークは山と山の 間隔の約 20% 長波長側にシフトしている。前者は F i g . 7Frequencys p e c t r ao fs i g n a lfromab u t t o n 光がコヒーレントになったためで,当然のことで monitorwhent h ebeami s( a )n o ts t a b i l i z e dand( b ) ある。ピークのシフトは Madey の定理によれば山 stabilized. 了he s c a l eo ftheabscissai s1 0 0 k H z / d i v . と山の間隔の 25% になるはずであるが,多少それ からずれている。 ACO での実験でも同様な傾向が 変化させて測定したデータを図 8 (a) に示す 1 ・ 4) 。 見られたが, パンチ当り1. 6mA の蓄積電流で 1 x 1 0 -4程度のゲ た 13) インが得られている。これは上記の光共振器損失 らのずれを,共振した自発放出光の横方向電磁界 を考えると発振ぎりぎりの線であるが,ゲインは が TEM∞以外のモードも含んでいたためであろう 蓄積電流の増加と共に高くなる傾向か見られ,か と推測しているが,電総研の実験では自発放出光 っ電子ビームの質は現在ではこの当時より優れて の共振が TEM∞モードのみであることを事前に確 いるので,蓄積電流が増加すれば発振は可能であ 認している。何か別の理由がありそうな感じであ -179- 0 シフトはさらに小さくて 15% であっ ACO のグループは,この Madey の定理か 放射光 3 7 8 第 4 巻第 3 号 (1991 年) . . . 旬、 t p 10 0 守由 > < 、嶋幽, ( C J 。 一10 E l e c t r o nE n e r g y (MeV) ( a ) 内ぷ トト E凶 窃c 忽o {.3.5 1 悼の 4Enu ωコOωcscom ω£ち hSωcg 一c 240 245 E l e c t r o nE n e r g y (MeV) ( b ) F i g . 8(a)γ'ypi侃 I peak- g a i ns p e c t r a and ( b )spon-taneous 叩 emission s p e c t r u m . る。図 10 に電総研で得られた FEL のパターンを示 に短波長なるほどゲインが低くなることに起因し す。 ている。当所では,次の段階として長直線部が 7m と長い FEL 用小型リング NIJI-N を川崎重工社と 8. 今後の展望 協力して建設し 14) ,最近ビーム蓄積に成功してい 以上のように電総研では可視域での FEL の発振 る。このリングに設置する 6.3m の光クライストロ に成功したが,おそらくゲインがあまり高くない ンも設計中で,可視から紫外,さらには真空紫外 ことと調整か不十分なために長時間にわたる安定 へと短波長化の研究を進めていく予定である o な発振は得られていない。今後も Q スイッチング FEL を考慮にいれた加速器の建設は,今後流行す 等の実験を続けて,より良いデータを得るべく努 るであろう。短波長化のためには,加速器のみな 力を重ねていく予定である。 らずミラーの問題等多くの障害があるが,それら TERAS の様に直線部の短いリングでは,ゲイン が低いので飛躍的な短波長化は困難である。短波 長化の困難さは, (1)式と (2) 式から明らかなよう は着実に乗り越えられていくであろう。 国内では,アメリカ等の諸外国より研究の開始 が遅れたために FEL の研究は大きく水を開けられ -180- 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年) 3 7 9 ( a ) ( b ) F i g . 1 0FELpa抗ern a tEγし FEL の短波長化が進めばそれに応じて応用分野 が広がることは勿論, この領域での研究成果は長 波長領域での研究にもフィードバックされ,大出 力化@高品質化に大いに資することになり,中。 ( c ) 長波長領域自由電子レーザーの応用分野も広がっ ていくものと期待される。 電総研における蓄積りング FEL の研究は,昭和 63 年度までは科学技術振興調整費,平成元年度か らは原子力試験研究費でリニアック・蓄積リン 570 600 630 グ・グループの共同で研究が進められている。最 WAV監L監閥GTH ( nm) 後に, 2 加速空腕方式について御指導頂いている 日本原子力研究所の宮原義一氏に感謝の意を表す F i g . 9Output s p e c t r ao f( a ) spontaneous emission , ( b ) z lasing , ( c )l a s i n gb u tw i t h af i l t e ri nf r o n to ft h e 0 monochromator. '0.) ていたが,現在では原子力基盤技術総合的研究 (原子力基盤クロスオーバー研究:当所の他日本 原子力研究所,動力炉@核燃料開発事業団,理化 文献 1) 山崎鉄夫:放射光,第 2 巻第 3 号, 学研究所が参加)の枠組みの下で実施されている 19(1989); 山崎鉄 夫:電子技術総合研究所議報, 54 , 7 0 4 ( 1 9 9 0 ) . ものの他,大阪大学,東京大学等においても FEL 2) 山崎鉄夫:放射光, 3, 1 8 5 ( 1 9 8 9 ) . の研究が進められており,合計十指に余るプロジ 3 )T . Yamazaki , T . Nakamura, T . Tomimasu , S . ェクトが進行中である。さらに最近関西に自由電 Sugiyama, and T . Noguchi: P r o c .3 r d Japan- 子レーザー研究所も発足している。 China J o i n tSymp.Acc. f o rNucl .S c i .andT h e i r -181- 3 8 0 放射光第 4 巻第 3 号 (1991 年) Chiwaki , R . Suzuki , H .Ohgaki , T . App l., Riken , p . 8 1 ( 1 9 8 7 ) ; T . Nakamura , T . Mikado ,恥1. Yamazaki , T . Noguchi , S . Sugiyama, a n dT . Nakamura, T . Tomimasu , Y . Miyahara, S . Sato , Tomimasu: P r o c .6 t h Symp. on A c c .S c i .a n d a n dH .U s a m i : TELL-TERASA c t i v i t yR e p o r t Tech. , Tokyo , p. 26 2 ( 1 9 8 7 ) . 1987-1990,巳lectrotech. 4 )T .Y a m a z a k i :P r o c . SPIE 1133, 6 2 ( 1 9 8 9 ) ;T . Yamazaki , K . Yamada , S . Sugiyama, .Asaoka, A Mikuni , a n dK .S o d a : 1 0 )Y .Miyahara , S Nucl .I n s t r .Meth. , A260 , 518( 19 8 7 ) . T . Tomimasu , T . Mikado , M. Chiwaki , R . Suzuki , .Kinoshita, a n dH . l 1) T .Kasuga , M.Hasumoto , T Y o n e h a r a :J a p a n e s eJ .Appl .Phys. , 27 , 1 0 0( 19 8 8 ) ; a n dH .O h g a k i :P r o c . 2ndI n t . Symp.A dvanced ?‘~ucl. T . Kasuga , H . Yonehara, M. Hasumoto , a n dT . EnergyR e s .-E v o l u t i o nbyAcc. 一, JAERI , K i n o s h i t a :ibid. , 27 , 1976( 19 8 8 ) . p . 3 0 8( 19 9 0 ) ; K . Yamada, T . Yamazaki , S . Sugiyama, T .Tomimasu , T .Mikado , M.Chiwaki , Lab. , p . 7 1 ( 1 9 9 0 ) . . Noguchi , T . Yamazaki , T . 1 2 ) S . Sugiyama, T R .Suzuki , a n dH .O h a g a k i :P r o c .TokyoSymp. Nakamura , T . Mikado , M. ' 9 0F r e eE l e c t r o nL a s e r( 1 9 9 0 )i np r e s s ;i b i d . : Tomimasu: P r o c .6 t h Symp. on A c c .S c i .a n d Nucl . I n s t r . Methods , A304 , 86 ( 19 9 1 ) ; T . . 2 8 5( 1 9 8 7 ) . Tech. , Tokyo , p .Yamada, S .Sugiyama, H .Ohgaki , Yamazaki , K Chi、raki , a n dT . 1 3 )M.Billardon , P .Elleaume, J .M.Ortega, C .Bazin , T . Tomimasu , T . Noguchi , T . Mikado , M. M. Bergher, M. Velghe , Y . Petroff, D . A . G . C h i w a k ia n dR .S u z u k i:ibid. , t ob ep u b l i s h e d . Deacon , K . E .Robinson , a n dJ .M. J .M a d e y :P h y s . 1 9 8 3 ) ; R e v .Lett., 51 , 1652 ( 5) 富増多喜夫:放射光,第 l 巻第 1 号, 33(1989). 6 )N . A .Vinokurova n dA.M.S k r i n s k y :INP77-59 , 1 4 )T . Tomimasu , S . Sugiyama, H . Ohgaki , T . Yamazaki , K . Yamada, T .Mikado , M.Chi、叫d , N o v o s i b i r s k( 1 9 7 7 ) . 7 )J .M. J .M adey:NuovoCim.50B , 64( 1 9 7 9 ) . R . Suzuki , S . Suse , M. Yoshiwa, a n dA .I w a t a : .M. Herbelin , J . A . McKay , M.A. Kwok , R . H . 8 )J P r o c .7 t hSymp.A c c .S c i .a n dTech. , OsakaUniv. , Ueunten , D . S . Urevig, D. J . Spencer, a n d D. J . p . 3 4 7 ( 1 9 8 9 ) ; H . Ohgaki , B e n a r d :Appl .Op t., 19 , 1 4 4( 1 9 8 0 ) . Sugiyama, T . Mikado , R . Suzuki , a n d T . 9 )S . Sugiyama, T . Yamazaki , K . Yamada, T . -182- T . Yamazaki , S . . 2 8 4( 19 8 9 ) . Tomimasu:ibid. , p
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