熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System

熊本大学学術リポジトリ
Kumamoto University Repository System
Title
「学び育ち合う関係」をめざす授業づくり : 「教える
−教えられる関係」からの脱出
Author(s)
有田, 勝秋
Citation
国語国文研究と教育, 45: 84-98
Issue date
2007-01-31
Type
Departmental Bulletin Paper
URL
http://hdl.handle.net/2298/15991
Right
「教えるー教えられる関係」からの脱出出I
いる。しかし、限られた時間の中で効率よく教授することに
現場教師は、生徒の主体的な学びの大切さは重々承知して
実行されない、と。
ないのか。教師の方から指示を出さない限り、確認・吟味は
が、生徒の学びはそこで終了してしまう。答え「3」に至る
解法に問題はなかったか。自分の解法以外によりよい解法は
徒は課題に対してたやすく「3」という答えを導きだすのだ
せる。この現実に対して、数学の教師は次のように語る。生
生徒の学びに探求心の欠如と個の中での学びの閉塞を生じさ
「教える-教えられる」という学びの関係は、教科を越えて、
がもとめられている。
ち合う関係」を対置し、その関係を教室に実現する方法
れている当教えるl教えられる関係」に対して「学び育
有田勝秋
「学び育ち合う関係」をめざす授業づくり
はじめに
中学校の授業は、教科内容を効率よく教授することに追わ
れ、教師が一方的に「知識を伝達する授業」に陥りやすい。
この現実に対して、稲垣忠彦・佐藤学の著書に以下のような
問題提起がある径一)。
これまで一般に、教師と子どもの関係は「教えるI教
えられる関係」として理解されてきた。伝統的な一斉授
業において、教師は知識の「伝達者」であり、子どもは
知識の「受容者」であった。しかし、子どもを活動的で
協調的な学びの主体とする授業において、この「教える
l教えられる」という一一項関係は根本から見直しが迫ら
84
しまい、答えに対してその真偽を確認・吟味することをしな
追われてしまう。そして、「答えが見つかった時点で満足して
できるように意識させる。学習の形態は問わない。」人でこ
へ向けて「答えを導き出した方法やその根拠」について説明
えを導き出す段階である。生徒には、つぎの「葛藤」の段階
1.1
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i霧懲Ⅲ 時鷺議i『iii蕊
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という二つの場(以下、授業のプロセスという意味の場合、
「段階」の呼び方を用いる)を設けた点にある。
小六時に「近代の短歌・俳句」の単元を学習し、中二では
な学びの経験をもっている。
本稿で紹介する中三の生徒たちは、韻文学習において特異
一一単元に関わる生徒の学びの実態
本稿はこの趣旨を踏まえた国語科における実践である。
探求心を備えた生徒の育成」をめざすのである。
時点で満足せず、答えに対して、その真偽を確認・吟味する
響き合う活動」を教科を越えて実践する。「答えが見つかった
考」の段階で得た生徒の多様な学びを基盤に「生徒の学びが
の学習活動は生徒の「討論(対話)」によって展開する。「試
態は、決して目新しいものではない。ただし、「葛藤」の段階
この二つの段階を備えた学習展開とそれに添った活動の形
班や一斉のような集団の中での展開を基本とする。
根拠。答えの妥当性を吟味する段階・場である。学習形態は
「葛藤」の段階は、導き出した答えについて、その解法・
の場合もある。この過程を経て、「葛藤」の段階へと進む。
の段階の課題に取り組む場合もあれば、課題によって班活動
い生徒」に、教師たちは一同に首をかしげる。
この実態を生み出した原因は授業にある。我が校は「探求
Iへ『
し戸改
「試考」の段階は課題に対して既有の知識や技術を使って答
髄
する学びを保障する授業の転換」へ向けて、教科を越えて
jij譲霞liij;HjT蕊翼」
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〈図1〉のような学習展開をもつ授業モデルによる授業実践
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に手がけている。
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本校の学習展開の特徴は、展開の過程に「試考」と「葛藤」
繊鵜鴬ii;i鱗
「近代の短歌・俳句」に加え「万葉・古今・新古今」の短歌
と「芭蕉」の俳句など幅広い分野にわたった学習を経験して
診断的テストの結果を集計し〈表1〉にまとめた。集計処
理の仕方について二点補足する。
技法、その使用箇所は理解されていない。
問三
3088
69.2
句切れの知識がなく、判断ができない。
問四
31.4
68.6
問五
35.7
64.3
半数近い生徒が歌の概略を読み取れない
感想には「暑そう」のような、感覚的な
語の表現が多く、解釈にはほど遠い
の基本的な知識を獲得し
どの生徒が「短歌・俳句」
この結果から、ほとん
まず、問この技法は、①の技法の使われている部分と②技
76.9
いる。ところが、教科轡の代わった本年、中二の時に一単元
23.1
法名とが共に正解で、「擬人法」「直職法(比楡法とのいずれ
問二
にまとめてあった「短歌・俳句」が、中二で「近代短歌」の
「向日葵」が決め手になり季節を判断。
か一方が正解の場合も正解とした。また、備考欄は、生徒の
0.20
単元、中三で「近代俳句」の単元へと分かれたのである。つ
89.0
対応に見られる主な特徴や気づきである。
問一
まり、中三で取り扱う「俳句」単元は、中この時点で学習し
た既習事項なのである。また、筆者は、本年四月より本校の
<表1〉
※数値は%
国語の授業を担当することになった。したがって、本の単元
に限らず、中二までの生徒の学びの実態を把握しきれない。
ておらず、解釈や鑑賞が
できる現状にはないと判
断される。この設問だけ
で生徒の学びの実態を把
握しきれるわけではない
が、本単元では、短歌・
俳句を読みとるための知
識と技術(以下、学習ス
キルと呼ぶ)を身に付け
させ、分析的な読みを基
盤に、自力で和歌の解釈・
鑑賞ができる力を育てる
必要があると考えた。
86
そこで、中二までの「和歌」に関する生徒の学びの実態を把
握するために、「向日葵は金の油を身に浴びてゆらりと高し日
の小ささよ」という「短歌」を課題にして、五つの設問から
なる診断的テストを実施し、生徒の実態把握を行った。
[間ここの短歌の詠まれた季節を答えなさい。
[問二]この短歌について、
①表現技法が使われている部分を短歌から抜き出し、
②その表現技法名を答えなさい。
[問三]この短歌の句切れを答えなさい。
[問四]この短歌の内容を簡単に説明しなさい。
[問五]内容を踏まえ、あなたの短歌に対する感想を述べなさい。
備考
正解
正解不正解
不正解
問
三分析的な読みの基盤づくり
筆者は、和歌の作品分析について、以下のような視点と分
析の方法が有効であると考えている径一一)。まず、和歌を分析
的に読むための「学習スキル」について整理する。学習スキ
ルは、生徒が解釈・鑑賞において、その俳句の特性に応じて
自在に運用されることをめざすものである。以下に三つのス
i》
歌」に大別することができる。生徒には以下のような板書を
もって理解させる。
〈叙景歌〉
A事実1こつの風景を詠んだ歌)
B事実1事実2
事実1
思い.感じたこと
1-,ⅡⅡ〈それで〉Ⅱu1Il(jli~?)
〈叙情歌〉
A事実1
11[ⅡⅡ- 〈それで〉
B思い・感じたこと
〈なぜな
「叙景歌」は作者が見た風景.聞き取った音などが詠まれた
キル2(作者の五感に着目した分析スキル)は、全ての俳句
学習スキル1(①叙景歌と叙情歌による分析スキル)とス
句に詠まれた事実から作者の「思い.感じたこと」を類推し
たこと(j3hi)」が叙述されてない点である。そのため、
に共通することは、その事実から作者が感じた「思い.感じ
87
キルを取り上げる。ただし、(1)。(2)。(3)の番号は、運
用の手順を示すものではない。
(1)和歌の構成を読み解く
①叙景歌と叙情歌による分析スキル(スキル1)
(2)表現を読み解く
①作者の五感に藩目した分析スキル(スキル2)
(3)視点を読み解く
写生歌である。内容の構成上、一つの事実だけが詠まれたも
の読みに適用可能な学習スキルである。スキル1から説明す
て読むことが必要となる。
の「A」と、二つの事実が詠まれたもの「B」がある。両者
る。俳句(和歌)は、構成の上から「①叙景歌」と「②叙情
①切れ字q表現技法に着目した分析スキル(スキル3)
il
一方、「叙情歌」は「事実」と「作者の思い.感じたこと」
用に困難を招く。学習スキルは読みの取り掛かりとなればよ
技術」を細分化し過ぎてしまい、スキルの数が多すぎても運
きた「知識・技術」が、読みの過程で必然的に連鎖するよう
の両者が叙述されている句である。この構成の句は「事実」
つぎに、学習スキル2(作者の五感に着目した分析スキル)
であれば理想といえる。学習スキルは、俳句に対して、どう
い。いずれかの学習スキルを手かがかりに、これまで培って
へと話を進める。これまで述べように、「叙景歌」「叙情歌」
と「思い」の関係を読みとればよいのである。
の共通点は、「事実」が叙述されている点である。そこで、叙
いのである。
対処してよいか分からない生徒の手助け、突破口となればよ
小」などを視覚的にとらえた語・語句が必ず表現されている。
俳句分析の実際を「赤い椿白い椿と落ちにけり」という俳
運用と分析的な読みの実際
四「試考」の段階・スキルの
述された「事実」は、作者が「視覚的にとらえた事実か、聴
覚的にとらえた事実か」という視点から叙述内容に光を当て
る。例えば、作者が「視覚(目)」によってとらえた事実を詠
そこから「色の対比」や「歌に詠まれた対象の数.形状」な
シート(資料ごについて説明する。
句を分析した学習シートに見ていくことにする。まず、学習
んだものであれば、句の中に「色彩・明暗・遠近・高低・大
ど文脈を踏まえて、作者の「目」になって、その情景を具体
読みの基本的な知識・技術として有効に働くものである。お
「切れ字」は、作者の感動の中心の所在、句切れなど俳句の
本単元は「俳句」が学習の対象である。学習スキル3の
とを正確に読む」ことが基本である。それを受けた第二サー
がいたら、十人とも同じ読みを期待したい。「書かれているこ
句の語句を辞轡的な意味で忠実に読む。仮に、十人の読み手
四番目の輪を第二サークルと呼んでいる。第一サークルは、
生徒たちは、シートの中心から三番目の輪を第一サークル、
そらく、生徒にとって学習スキル3が最も活用しやすい学習
クルは、「書かれていることをもとに類推する読み」を展開す
的にイメージする。これがスキル2による読みである。
スキルになると思われる。以上が三つの学習スキルの機能で
メージしていく。学習スキルを駆使し、第一・第二サークル
るものである。文脈上の読みから、俳句の内容を具体的にイ
もちろん、俳句の読みに必要な「知識・技術」が三つのス
の読みを通して、生徒は自力で俳句の分析的な読みを実践し
ある。
キルで十分なわけではない。しかし、学習スキルは「知識。
88
る。
したシートであ
きることを意図
解釈・鑑賞がで
自分のことばで
順を身につけ、
キルや読みの手
ていく。学習ス
時点で、鑑賞文作成を指示していた。しかし、それでは学び
ねらいがある。著者はどれまで、この学習シートの完成した
第一・第二サークルの手順に従って読みの手順を意識させる
3が機能し、詳細な点まで理解が及んでいく。このシートは、
握、「赤と白」の色の対比、初句の「字余り」など学習スキル
なる。また、「切れ字から、句切れと作者の感動の中心」の把
ら作者が「何を思ったのか」という類推の読みへ進むことに
五「葛藤」の段階・「醜みの交流」の実際
様な解釈・鑑賞が展開されると考えたのである。
「交流」によって、学びが共有されれば、生徒たちの手で多
が個の中で閉塞してしまう(注三)。そこで「葛藤」の段階の
〈資料一〉は
「赤い椿白い椿
と落ちにけり」
という俳句を分
析した学習シー
まず、円の中
てしまう」の記述に注目したい。この記述は、「赤い椿白い椿
「動的11落ちる瞬間」と「静的12落ちている」「歌が変っ
改めて〈資料一〉を見てみる。第二サークルの左サイドに
央、「視点」の
と落ちにけり」の句が、「作者は落ちている状態を見たのか、
トである。
枠に「視覚」の語、「対象」の枠に「椿」の語が見て取れる。
それとも、落ちる瞬間を目にしたのか」という二つの解釈に
ある生徒は「この句は静的な方がよい。その場合、椿は
学習スキル2により、「視覚的な句」であることが判断できて
いる。この時点で「赤い椿と白い椿が落ちた」という「事
赤・白織り交ぜて数個ずつ、しかも少し湿っぽい地面に転
よる討論の成果である。
実」をとらえた「叙景歌」であることも理解できている。つ
がっていなければならない。椿の花の形を知っているか、実
いる。さらに作者が「椿」に目を奪われたことも把握できて
ぎにこの生徒は、学習スキル1により、この情景(事実)か
89
ジの花だ。」と熱弁を振る
の「答え、疑問」が個々に備わっているからこそ、「葛藤」の
内容なし」の形骸化した学習になってしまう。「試考」の段階
での学習スキルによる分析的な読みの段階があり、自分なり
に日本的で静的なイメー
う。別の生徒は、「いや、
式段落からなる。
鑑賞文は四つの形
完成さた。
賞文〈資料二〉を
て、生徒たちは鑑
段階で、「確かな根拠に支えられた意見交換」が実現できるの
である。「試考↓葛藤」の展開の意義がここにある。討論を経
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紫厳錘鰯拭尹魂鹸慎訊》尭鰯の》旬糺。γ爵のぎ6
一ホナ一驚瓜一忠植挫裟禦の一勺』f「馴引
これは落ちた瞬間なのだ。
赤い椿、白い椿が続けざま
のできない瞬間をとらえ
に落ちた、滅多に見ること
た動的な句だ。そう読んで
こそ、切れ字の「けり」が
生きるのだ。」と主張する。
「起」は、第一
シ屋の一M叩』牌》腰鱒ぺ距斗輝翠埆鋭22.】咋映》ん》」し
刻旦蕊一ら一に一ローリーー』に一切一泊薦ナーイ
記す。「承」は、第
二サークルの読み
90
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一緒》の糟重り『仁一勉一n【》は》、》小J》し一湛
唖f9-偶w》賊蜘容臨(ク丁?』ゲョ鞆亨・空の鞍明》明唖
山‐込偶藤川薇一ら一う「州一・一?‐一の一蝋詞勵
クラスが二つの解釈の間
で揺れる。こんな意見もある。「落ちていたと解釈している
邑蛍鼠無2に』師邑寺L畠上〃醐雰曵唯・害卜]②
r〒蛍一念一,一に巌趣才、一F一作一沿一ぱ一下-9
サークルをもとに、
人たち、それなら、この句は「白い椿赤い椿と落ちにけり」
頂】纈澁鋼ら鍼に』劒四j姜筥鴎刎空、.渉計曰『
を生かし、具体性
フーほ司叩咄頷溌忠》u』辞総ざ『ザ?》、。》k勇叶
っ一㎡一Ⅷ》に竃蝋u一な》U『.-Zl-、|》に一赤
と書かれていても構わないでは」というものである。|瞬教
斗叩【川V欝關で:絨堕人愚、為シ自
一驚
7-リ》」・》稻荒伏一う》、一一と一F》Lフ》T一事狼
をもって詳述する。
分の思いを綴る。
転」を網羅し、自
「転」は作者につ
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一私一ボーも》し》と一o一噸”》閣民堂合一.
←魁の角桃隅同感:甸烏す無い一排V『仁壺・》》}
直り一倣勺一息ザーポーヴーに一・
挿脈』話盈ぱぎ哩彌型命錘傘ロ蕉宿鞆陶M・寧虫蛮剛
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子一規一に》師一夢一し一件一勺寧鍵戴一トー粕一躍
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「結」で「起・承・
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,】に啼賀臼》切一俺必椰虹句ご『と唖し軒7輕如辿爾〈
し一に一,一旦d一鍵枇勺一と》U-7》紺』側
現
句の内容の概略を
室が静まりかえる。だが、祠や、確かに赤、白の順序とも読
報堅β艦丁》・以負録’》『》『》』
ロ]一の一噸》ド一緒一噸が蕃市一hつ2.』な一八一t
めるが、慣用的に「赤、白」の表記が一般的なのだ」と、論
いる。しかし、ただ単に討論を実施したのでは、「活動あって
育ち合う関係」を教室に実現することで実現できると説いて
られる」という二項関係の見直しを、その対局にある「学び
稲垣・佐藤は、教師と生徒の関係で生じる「教えるl教え
の段階の読みを確認・吟味させ、修正する機会となった。
理的に反論する。生徒の相互の意見の交流が、個々の「試考」
課題を熟考する徒たち
僧『う
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ようなサイクルをもって活動が終了する。
……」の句が、生
「赤い椿白い椿
見てゐる子かな」の句の実践から、「葛藤」の段階の学習に焦
ある。そこで、この単元の最後に取り組んだ「咳をする母を
ために、学習展開に「葛藤」の段階を位置づけた点に特徴が
鱗澱灘
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徒たちが初めて手
7
どうし八・?、聯貯
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隣ざが顛
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点を当て、その意義について考えみたい。
その後も生徒たちは、「赤い椿白い椿……」の句で学んだ学
習スキルの熟達を図るために、筆者の指定した二句と自分が
興味を持った数句を選び、鑑賞文の作成に至る学習を繰り返
演鍔顛齢鮫躰繍帳
がけた俳句である。
学習スキルによ
る分析的な読み、
それが交流によっ
て深化を図る。そ
に一喝唾
緬一黛二r『戚扉“f一と爵哩ム勤皇鵜-5
(叫小
を。
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〈資料一一〉について、以上の
される。俳句一首
の上で学びを総合
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伏一上工L慶一う鴬悠;ずユが一・汀干.
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い。むしろ、学習スキルが句の特性に応じて自在に運用され、
む」という読みの手順の認識ができれば、サークルは必要な
ることから正確に読む↓書かれていることから類推して読
を準備した。(資料ごと違いサークルがない。「書かれてい
学習が進むと生徒の実態を考慮し〈資料三〉の形のシート
〈資料三〉
’、:魚(鰯)
効率よく学習が展開される。また、このシートは個の俳句の
91
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織凡
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六「葛藤の段階」の学びの意義
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今回の実践は、生徒たちの「答えが出れば、それに満足し、
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その確かさやよりよい解決法を探求しない学びを改善する」
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口
を
は
あ
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いくことをねらいとしている。
分析だけでなく、「葛藤の段階」の討論の成果を随時加筆して
「咳をする…・・」句の「葛藤」の段階は、クラス全員による
「討論(対話)」によって展開した。討論の口火を切ったのは、
一人の生徒(s1)のつぶやきにも似た発言である。
s1先生、分析しながら、迷っていたことがあるんですが、
・作者は咳をしている母とは別の人なんですか?隣の席の
人と話してたら、何かこの点がはっきりしなくて…・・・。
呈什者Z位置
z腕川翠白鈩の凶凹囲ロハv製
…をA慶昔…
の句の解釈に何か運いを生むの
all囿囮り区割諭可かか可射
Bの蝉
阿片〉一女円に伍凹字。靱閂
灰の佐阯壁不一と飴曜蜀謎
「母と子」そして、「作者」との関係を図化することによって
(資料三)に還ってみる。〈資料三〉はS1のものである。
s2わたしは、最初、咳をする母をその子どもが見ている
ではない。そのs1の発言がきっかけとなり、期待していた
把握している。s1はあまり積極的に発言をしたりする生徒
考えもせずに、母が詠んだ句と解釈しました。
92
(静かな教室が少しざわめく。)
Tみんな、s1さんの質問の意味、わかりますか?
(教室は沈黙。誰からも返答がない。)
Tそれでは、s1さん、もう一度みんなにあなたの疑問
を説明してもらえないかな。
s1はい、わたしは、母親が咳をして、それを見ている子
どもの様子を作者が近くで見ているって思ったんです。
でも、s2さんと話してたら、咳をする母と作者は同じ
人なのかなって思えてきて……。悩んでいます。
■
愉景と、醤かれている通りに解釈しました。あまり深く
Tなるほど、s2さんの意見も聞いてみようか。
閏
方向へ授業が動き始めた。自ずとs1の作業が気になる。S
論の中で学習シートは〈図3〉のように変化していった。
ている。しかし、この
子の心内語に置き換え
な……」のような幼い
らに「悪くならないか
不安」と読みとり、さ
の時の心情を「心配・
る母を「見ている」。そ
子」は子どもが咳をす
な状態であった。「母↑
なる前、〈図2〉のよう
作者什母」かが話題に
「A作者Ⅱ母」か「B
S1の学習シートは
どのようなものであったかも容易に推測できる資料である。
たアンケートにその答えを求めることにする。討論の内容が
生徒たちをどのような読みへと導いたのか。討論後に実施し
個々の読みに波紋を投じたと言える。「葛藤」の段階の討論は、
たものにするか、である。根拠のある説得力をもった意見は、
争点は、「A・B」どちらがこの句をよりよく生き生きとし
討論は「A・B」の違いから生じる解釈の違いへと進んだ。
討論を通じて、以上のような記録を完了させていく。ざらに、
「B作者什母」の視点からの読みの存在を確認した。各自が
つぎに「B母と子が見える位置」「写生歌」の記述がなされ、
う、大丈夫!」と、母の心情が母親の視点から書き込まれた。
る」と解釈したのである。そして、「優しい、成長、ありがと
ある母が、咳をした自分を気遣っているわが子に気づいてい
いている」と記した。「A作者Ⅱ母」であるならば、「作者で
心配
かわいそう
どうしと二図2〉
横に鞍つた方が…
死なないで
罫ごいていき
心配
まず、「母↓子」が書き込まれた。続いて↓の横に「気づ
時点で、「作者の位置
また、「A作者Ⅱ母.B作者升母」いずれの読みをよしとした
1の〈資料三〉の記録は次のように推移した。
園
見ている
(視点ごについての意
か、討論の前、後の変容も確認できる問を設けた。「AQB」
③↑l⑦
識はなかったことがわ
それぞれの立場の生徒の意見を〈資料四の①.②〉として取
悪くならないかな
かる。発言の通り、s
不安
圃
囚見ている
季節(冬)
咳一
どうしよう
横になった方が…
りあげる。大変興味深い資料である。,
小さい
死なないで:
悪くならないかな
かわいそう
幼い
34歳
〈図3〉
しかし、s1は、討
疑問だったのである。
2との話の中で生じた
③ⅡⅡ⑦
咳一
(
圃
不安
季節(冬)
写生歌
93
幼い
34歳
小さい
同】母と子が見える位置
ノ
い室したか.
②「A母一作者]と「巳母学作者」について肘趙を通して、あな
たは、「▲.B」どちらの醜みがよりこの歌にふさわしいと思いま
した力卍
,鴬冨鱒
A砥=f儲「
⑥母学f縄『
(あなたが②のように判Wfすることが「ふさわしい」と尋える理由を.蝉し<RAMピルてください》
山鎚』i蝿1k霊{遮遷遜麹監薑二kご
;Un(1}.恩歩イドツ稀だ'とボiザilBiゲけ手し胸
§簾鱒
②「A母=作堵卜」と「已母≠イヤギサ」についてHリロ由を通して、あな
O母=f稗f
いましたか。
たは、「▲.B」どちらの漉み瀞よりこの欧にふさわしいと思い漢
した力宅
B母≠f開f
(あなたが②のように判l9rI-ることが「ふさわしい」と考える理由を、博し<箇述してください》
」些幽と=』f幽些』廻型鼬…鋤2エーヨ処1」11[
Ub靴し11fJ:“。しカルンG静的f鰯1W,二な’γしメウと`,うK#.h(あ
hol,翻叩埼鬘(魔』と猫ごこf、鮴にし价徽がbな`i純彌武脱
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と
「A作者Ⅱ母
(s1は「母
Ⅱ作者」と記
述との立場で
あったが、「B
作者什母」の
方が、読み手
には受け入れ
やすいと判断
する。その成
果として「作
者Ⅱ母」の方
が、読み手に
「親子二人だ
けの世界を広
94
〈資料四の②〉は、s1の記録である。当初の発言の通り、
のこの俳伯Uの「母」について、あなたは最初、どちらの鱗みをして
侃げさせ、親子
群の愛が見えて
■■
摩電看苣一団-是ら但匪きず及匙-こり■ア■ごうちろニニカコフ法
〈資料四の①〉
はS2の記録で
ある。当初、作
者の位置を意識
せずにいたs2
は、討論後「A
からB」へと推
移している。最
終的に「B作者
升母」の立場を
よしとするs2
は、「作者が母で
ない方が、たく
さんの感動を呼
ぶ句になる」と
主張する。討論
から作者が母で
あると簡単に理
〈資料四の①〉附しで川押凱朔
ている。子どもの「大丈夫かな・どうし42の心内語は、
の、この俳句の「母』につl'、て、あなたI土偲上初、どちらの藤みをして
〈資料四の②〉る」と主張し
こそ、たくさんの読み手の共感を呼ぶ句となり、作者の創作
S1の経験に支えられた生活感のある解釈を感じさせる。
いと言うのである。この句に詠まれた親子の姿を一般化して
意図もそこにあるのだとの解釈に及んでいる。
回:閨:巻F-a-乙已酢を宇野2△-E0冨デミごう ̄Zうテカ司尤筐
「葛藤」段階の交流は、「試考」の段階の読みを多角的に、
より深い読みへと導いたと言える。この句の鑑賞文は、家庭
での作業となったが、討論の成果が鑑賞文の中にも反映され
患喚娚
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》上一t
ら》酩u
の
槽》3
が》い》9
句の読みに反映させ
は、分析の成果を俳
〈資料二〉の鑑賞文
みたい。
の鑑賞文を比較して
料二〉と〈資料五〉
……」の鑑賞文〈資
「赤い椿白い椿
たものになっている。〈資料五〉は、s1の鑑賞文である。
上鶏耀鴫は
品計脊鴎風f敷息円孟とγ弧臓聡永一同一寸穿り
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し壺1
1曲
け》ろ』子一級滕闘
晩 が、》f』
るのに精一杯で、作
者の感動の中心も
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亜目笂筏
甘干入
から創造性の高い解
釈,鑑賞へと深化を
…
0
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ルによる分析的な読
みがしっかりと支え
ており、「感じただ
け」の鑑賞文ではな
い。
従来のように、句
の分析から「交流の
場」を設定せず、鑑
賞文作成をしていた
ら、s1の発言もと
りあげることはでき
の》由1
瓜了一と)上仁一虫驚添鼻処。』F-f-7呼加
かったであろう。こ
〈資料五〉文は生まれていな
料五〉のような鑑賞
なかった。当然〈資
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その基盤を学習スキ
遂げている。しかも、
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かり、形式的に導き
の鑑賞文は、・当初の
-
ぶられ、多様な視点
の鑑賞文は「内なる対話」と「他者との対話」の結晶である。
へ鵬仏よ 州上抜惹孔
-
自分の読みが、他者
 ̄
著者が従来行っていた授業とは質を異にしている(注一一一)。?
と
の発言によって揺さ
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「切れ字」によりか
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る。自己評価の中に「学習スキルは手も足もでなかった短歌
や俳句を自分の力で読みとることを可能にした」との評価も
指導における「分析的読みと解釈・鑑賞の読み」という視点
の在り方」から振り返り、考察を加える。まず、国語科学習
本実践を、「国語科としての読みの授業」と「交流する学び
を見てみると、「切れ字」を手がかり
キル3を選んだ十五名の学習シート
か」という問の結果を〈表3〉にまとめた。二十三名の生徒
ついて、「俳句を分析する際、どのスキルの視点から始める
うな形で俳句の読みに機能していたのであろうか。この点に
それでは、三つの学習スキルは、生徒たちにとってどのよ
七おわりに
くの三つの設問項目を取り上げ
に「感動の中心」を把握し、そこから
つである。s1の所属するクラ
「③学習スキルは有効か」の三
鑑賛ができるようになったか」
習スキル習得後、分析・解釈・
実践では、学習スキルによる読みの手
用法があることが理解される。今回の
スキルは、それぞれの生徒の独自の運
方に個人差が生まれる。つまり、学習
三つの学習スキルでさえ、運用の仕
数353
23
15
叙景・叙情にる構造による分析
スキル2
作者の五感に藩目した分析
スキル3
切れ字・表現技法に着目した分析
人21表
0
スキル1
0
B有効ではない
ル2を手がかりに読みを拡げていくと答えている。また、ス
ス、三十八名を対象にした自己
順や読みの成果に画一化を危倶する
96
見られた。
る。設問は「①学習スキルを身
…艦…』
から始める。、
に付ける前、俳句を分析し、解
読みを拡げていることがわかる。
35
③学習ス キルは分析・解 A有効だ
38
、
が「作者が五感のどこで対象をとらえているか」というスキ
釈することができたか」「②学
評価を整理し〈表2〉にまとめ
学習スキルは「知識・技術」が方略
必要はないと考える。
学習スキルについて、全員の
化され、転移力をもってこそ意義があ
た。.
生徒が「有効だ」と評価してい
人数
スキルによる分析とその視点
スキル
35
Bできなかった
〈
3
②スキル漉得後、分析し Aできるようになった
解釈・鑑賞することが Bできない
釈に,
3
Aできた
し、
①スキル護得
解釈するこ
人数
回答の選択
設問
る。国語科における課題の解法には、数学科のような定まっ
た型がない。そのため、「自分なりの答えを導き出す術」をも
徒の実態から、この点を検証してみたい。
〈表4〉はs1のクラスに「俳句を理解できたと感じるのは
Bは、学習スキルを駆使した第二サークルの段階である。
どの段階か」という設問の集計結果である。
キルによる「解法の型」の獲得は、この問題の克服につながる。
十五人の生徒がこの段階で俳句が理解できたと実感する。Cは
てない生徒たちは、課題の前で途方に暮れてしまう。学習ス
ただし、学習スキルによる分析的な読みは表層的な内容の把
ている。Dは鑑賛文作成の段階、十一人が理解できたと感じる
討議の段階である。十二人の生徒が理解できたと感じる、とし
のをこに置いている。俳句を理解でき
握の域を出ない場合が多い。そのことは、尋墜直の段階の読
0
④tlド句を理解できたと感 B第2サークルの段階
じる(自覚する)のは C討論の段階
15
‐》
I
みからも少なからず納得させられる事実である。したがって、
A第1サークルの段階
分析的な読みの成果は、多角的な視点から、読みの精度を確
12
現在、討論や対話の活動を取入れた
れる。
度「個」に返すことの意義を教えてく
う。Dの十一人は集団の活動をもう一
しではせっかくの交流もその成果を失
のである。ただし、「討論」のしっぱな
と交流する学びの重要性を示唆するも
る。個の中で閉塞する学びから、他者
語技術に頼った読みの危うさを指摘す
ものと一盲えるpだが、Cの十二人が一宮
得し、分析的な読みの意義を証明する
まず、Bの十五人は学習スキルを独
表
くするのであろうか。
4たと自覚する段階の異なりは何を意味
厚一匠剛芒
11
D鑑賞文作成の段階
認・吟味・修正していく機会が必要となる。「葛藤の段階」
の「討論」による学習がその機会・場として有効であると考
える。
「葛藤の段階」は個々の分析的な読みの成果を生徒間の「対
話・討論」を通して確認・吟味・修正する活動である。そこ
で取り上げられる内容は、答えの正解・不正解の審議であっ
てはならない。〈資料四の①.②〉のような「質を問う」交
流、別の言い方をすれば、「読みの論理性や読みを支える知
織・経験の交流」であればよい。その成果として、学習スキ
ルによる分析的な読みを揺さぶり、作品の本質へと生徒たち
を導き、作品世界に迫る解釈・鑑賞を生み出すことになる。
ただし、討論で終わっては「葛藤」の段階の学習はその意義
を失う。討論の成果を自分の言葉に置き換え、「鑑賞文」を作
成する。改めて個と作品を対時させることに意義がある。生
97
人数
回答の選択点
設問
たず国語の能力の高い生徒や意欲的に発言する生徒の意見に
ない生徒やおとなしい生徒たちが、自分の意見や考え方をも
障する授業」となり得る。その意味で、稲垣・佐藤の指摘す
で閉塞する学習」を打開し、「本当の意味で探求する学びを保
「試考・葛藤」という二つの段階をもつ学習展開は「個の中
るものであった。
迎合してしまう点が危倶される。この点を「咳をする……」
る「子どもを活動的で協調的な学びの主体とする授業」の実
学習が重要視されている。ただし恥討論の授業は、力の十分で
の句の「A作者Ⅱ母」と「作者手母」の読みの立場の変化に
生徒、十八人。一方、討論により
かった生徒(A↓A・B↓B)の
討論後、読みの立場が変化しな
生徒たちに心より感謝したい。
気づかされた実践であった。日々新たな刺激を与えてくれる
あった。その一方で、生徒のたちの限りない学びの可能性に
れ、理解に至るプロセスの複雑さを痛感させられるもので
今回の実践は、筆者にとって生徒の学びの多様性に驚かさ
変化した生徒(A↓B・B↓A)
二十人である。討論前、後の推移
に偏りは見られない。
「月刊国語教育』通巻一一八六号一一○○四年七月東京法令に
津一一一獺罷蹄擦憐騏鮨濠駕篭
る読みの基盤が、人の意見に翻弄
「読みの技術(作品分析法)」等のを参考にしたp
「試考」の段階の学習スキルによ
されることなく、他者の意見を糧
注一一一拙著「国語科学習における創造的探求カー言語技能による
(ありた・かつあき熊本大学教育学部附属中学校教諭)
二号を参照。
に、自分の読みを確かなものにす
「試考・葛藤」の二つの段階をもった学習展開の有効性を探
るために、「学び育ち合う関係」を教室に実現する方法として、
本実践は、自ら探求することをしない生徒の実態を克服す
が改めて実感される。
系統指導・韻文教材の場合l」『国語文学研究と教育」第四十
AかB
た。
現に近づく可能性を秘めているとはいえないだろうか。
A少A
るのに寄与したと考えられる。「試考」の段階の学習の重要性
く表5〉
ついて、討論前と討論後の推移を調べ〈表5〉にまとめてみ
u’’4||配一一7
ユ6
瀧調訟毛超
B→B
23
B
1別
B→A
15
A
98
エユ
討ABAB
討論後(人)
(人)
討論前(人)
討論前 (人)