1 - 駿河台メディアサービス - 明治大学

ICTを活用した学生との双方向授業に関する研修会
明治大学和泉キャンパス第1校舎209教室
ケータイツールを活用した面接授業の改善:
法学部初年次における論理思考力の向上に向けて
~補助教材の改善と学習者の行動変化を
確認するアンケートの作成~
Ver. 1.0 2010年11月26日(金)
[email protected]
明治大学法学部教授 阪井和男
資料URL:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/ meiji-fd-keitai-sakai-20101126.pdf
<公職・役職・所属>
略歴
明治大学法学部教授'理学博士(
阪井和男 Kazuo Sakai,
[email protected]
プロフィール:
http://rwdb2.mind.meiji.ac.jp/Profiles/7/00006
57/profile.html
<略歴>
1952年 和歌山県和歌山市生まれ
1971年 和歌山県立桐蔭高校卒業
1977年 東京理科大学理学部物理学科卒
業
1985年 同大学院理学研究科博士課程物
理学専攻退学
1987年 理学博士'論文(取得
1990年 明治大学法学部専任講師
1993年 明治大学法学部助教授
1998年 明治大法学部教授
2010年11月26日
大学情報サミット初代代表幹事
大学ICT協会設立準備ボランティアグループ
情報コミュニケーション学会副会長
日本語プログラミング研究会会長
明治大学法学部教務主任
明治大学死生学研究所副代表
明治大学社会イノベーション・デザイン研究所事務
局長
明治大学サービス創新研究所所長
サービス・デザイニング研究所所長
一般社団法人CSスペシャリスト検定協会理事
NPO実務能力認定機構理事
NPOオンデマンド授業流通フォーラム理事
DPCマネジメント研究会理事
奈良県吉野郡黒滝村情報化ステーション構築事業
地域協議会委員
サイエンティフィック・システム研究会知的能力の可
視化WG座長
次世代大学教育研究会事務局長
オープンソース&リソース戦略研究会共同代表
Japrico Club ユーザ会会長
Ja Sakai Community運営委員'設立発起人(
早稲田大学メディアネットワークセンター非常勤講師
早稲田大学情報教育研究所客員研究員
明治大学 阪井和男
2
ケータイ活用授業とは

明治大学でのケータイ活用授業
 川島高峰,「“携帯電話”で授業活性化」,NHK『おはよう日
本』,2004年7月13日,午前5時40分・6時40分
http://www.isc.meiji.ac.jp/~takane/pic/040713_NHK.mpg
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
3
目次

第1部:ケータイツールを活用した授
業運営












第2部:「日本語論理トレーニング」の授
業改善
学生はなぜ私語をするのか?
 Ⅰ.本研究のテーマ
学生はなぜ質問しないのか?
 Ⅱ.改善作業の経緯
学生はなぜ予習しないのか?
 研究対象科目の当初の問題点
学生はなぜ覚えていないのか?
 Ⅲ.2009年度後期の試み'現状調査:
改善前(
学生はなぜ考えないのか?
 Ⅳ.IDによる授業改善(2010年度前期)
学生はなぜコピペするのか?
 Ⅴ.学習者の行動変化を確認するアン
学生の受講態度はなぜ悪いのか?
ケートの作成
なぜ授業評価アンケートは役立たな
 Ⅵ.2010年度前期改善結果
いのか?
 今後の課題
究極の質問を応用する
究極の質問による学生の授業評価  補遺:ケータイツールの紹介
まとめ
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
4
第1部:ケータイツール
を活用した授業運営
学生は
なぜ私語をするのか?
心の世界の主役が自分から他者へ

メランコ人間'うつ病型(


自分にまつわる不安で心がいっ
ぱい
シゾフレ人間'統合失調症型(

周囲の世界にまつわる不安で心が
いっぱい
メランコ人間・シゾフレ人間世代別
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
89%
1975年
72%
15%
13%
9%
2%
1955年以前生まれ
メランコ人間
1965年以降生まれ
中間型
シゾフレ人間
'アンケート対象者全235名)
和田秀樹(2009年,p. 48)をもとに集計しなおして作図。 和田秀樹,『「人を動かす」心理学』,毎日新聞社,2009年2月25日,p. 48.
7
明治大学 阪井和男
2010年11月26日
社会のスピード化
社会人の標準代謝率
本川達雄' 2006年
,p.125, 145(の
図をもとに縦軸
を対数に変換
'人口一人当たりの社会のエネルギー消費量(
倍
100
1972年
10
1
1950
1960
1970
1980
1990
西暦
2010年11月26日
2000
本川達雄,『「長生き」が地球を滅ぼす
(現代人の時間とエネルギー)』,阪急
コミュニケーションズ,2006年1月23日.
明治大学 阪井和男
8
社会的背景の変化
死亡の場所別にみた構成割合の年次推移
100%
90%
80%
死亡割合
70%
1975年
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
1940
1950
1960
1970
病院・診療所
2010年11月26日
1980
1990
自宅・施設
2000
2010
2020
西暦
他
厚生労働省,「平成20年 人口動態統計」,2009年9月3日.
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei08/index.html '2009年12月11日アクセス)
9
明治大学 阪井和男
自己不安型から周囲不安型へ

1975年ころを境に転換
メランコ人間
シゾフレ人間
心の世界の主役
自分
他者'周囲(
対人関係
特定他者への献身
不特定他者への同調
自己・アイデンティティ 堅固なアイデンティティ
自分がない
常識・価値観
内在
外在
時間軸
過去へのこだわり
首尾一貫
周囲との同調
過去への不連続
局在'日本(
1955年以前生まれに多い
1965年以降生まれに多い
(和田秀樹,2009年,p. 50)
和田秀樹,『「人を動かす」心理学』,毎日新聞社,2009年2月25日,p. 48.
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
10
周囲不安型の特性を生かす


私語でうるさい大教室で・・・
ケータイツールで質問



「あなたは私語についてどう思いますか?」
アンケート結果をその場で提示
順に読み上げる


8割近い学生が「私語はうるさい」「授業に集中したい」
・・・
それ以降、私語が消える!

何が起こったか?


「隣が話しかけていたから、返事しているだけ」'私語で
はない(
「ひょっとしたら、隣も『うるさい』と思っているのかも!」
影山洋子(日本女子体育大学)による(2007年)
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
11
学生は
なぜ質問しないのか?
質問アンケート


質問をケータイでアンケート
授業の間中アンケート実施
 出席者の20~30%が質問
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
13
質問アンケート'大教室(
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
14
意見収集'初回ガイダンス時(
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
15
質問アンケート


質問をケータイでアンケート
授業の間中アンケート実施
 出席者の20~30%が質問

有効性
 大教室
 オムニバス授業



ゲスト講師は時間いっぱい話したがる!
尐ない時間でも密度の濃い質疑応答が可能
時間がなくなれば、翌週までに回答をもらう
 ガイダンス等の初回授業時
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
16
学生は
なぜ予習しないのか?
学生に予習させるには・・・

予習せざるをえないように追い込む
 授業中に教員は教えない
講義をしない。事前に解説しない
 全員にレジメの提出を義務づける
 授業中に次々と発表させる

2010年11月26日
明治大学 阪井和男
18
学生は予習するか?
数理と情報2008年6月10日
情報トレーニング2008年6月17日
5
7
6
5
3
人数
人数
4
2
4
3
2
1
1
0
0
1
時
間
2
時
間
3
時
間
4
時
間
5
時
間
6
時
間
予習を含めたレポートの作成時間


1
時
間
2
時
間
3
時
間
4
時
間
5
時
間
6
時
間
予習を含めたレポートの作成時間
対象:1年生 vs. 1~2年生
テキスト:『ゲーム理論トレーニング』 vs. 『論理トレーニング』
よく整理されたわかりやすい本 vs. 一人で読んでも難しい本
∴ 分かりやすい教科書 vs. 難しい教科書

2010年11月26日
明治大学 阪井和男
19
予習時間'情報組織論2008年度(
情報組織論'法(2008年6月19日
5

人数
4
後期をレベルアップ
3

2
英語の原著論文を用いた
1

0
1
時
間
2
時
間
3
時
間
4
時
間
5
時
間
6
時
間
予習を含めたレポートの作成時間
人数
情報組織論2008年度後期
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
Smith, P. K. et al.,
“Abstract thinking increases
one’s sense of power”,
Journal of Experimental
Social Psychology (2007),
doi:10.1016/j.jesp.2006.12.
005
心理学実験を企画させ実施
した
 レジメの再提出を繰り返した

0
時
間
く
ら
い
1
時
間
く
ら
い
2
時
間
く
ら
い
3
時
間
く
ら
い
4
時
間
く
ら
い
5
時
間
く
ら
い
6
時
間
く
ら
い
7
時
間
く
ら
い
8
時
間
く
ら
い
9
時
間
く
ら
い
1
0
時
間
以
上

トピックス効果

トピックスに興味をもてば、
3~4年生でも真剣に予習!
予習時間
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
20
学生に予習させるには・・・

予習せざるをえないように追い込む
 授業中に教員は教えない
講義をしない。事前に解説しない
 全員にレジメの提出を義務づける
 授業中に次々と発表させる

 トピックスが面白いが、一人で読むのが難しい教材
を使え!
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
21
学生は
なぜ覚えていないのか?
授業内容を印象づける

授業サマリを毎回提出させる
 公開する
 授業の冒頭でコメントする
『「できない大学生」たちが、なぜ、就職で引っ張りだこになったか―面白いよう
に「やる気」が目覚める9つの方法』,カワン・スタント,三笠書房,2006年1月.
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
23
初期の授業サマリ


文章になっ
ていない
指導
 10件ほど毎
回コメント
 感想はダメ
 文章にしろ
 人のサマリ
にコメントを
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
24
終盤の授業サマリ


文章になっ
ている
カワン流


2010年11月26日
明治大学 阪井和男
出席票替り
に使うと有
効
代返する
余裕がなく
なる
『「できない大学生」たちが、
なぜ、就職で引っ張りだこに
なったか―面白いように「や
る気」が目覚める9つの方
法』,カワン・スタント,三笠
書房,2006年1月.
25
授業内容を印象づける

授業サマリを毎回提出させる
 公開する
 授業の冒頭でコメントする

効果
 回を追うにつれて、長文が出現する
 毎回文章を書くことで、パワーポイントによるプレゼ
ン資料の短文では養われない文章力が身に着く
『「できない大学生」たちが、なぜ、就職で引っ張りだこになったか―面白いよう
に「やる気」が目覚める9つの方法』,カワン・スタント,三笠書房,2006年1月.
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
26
学生は
なぜ考えないのか?
構造化サマリ
サマリーは次の3つ:(1)何を理解し
たか,(2)理解に役立った既知
の知識は何か、(3)授業で得ら
れた新しい知識は何か--の
順でお伺いします。
【設問1】はじめに,この授業を通じ
て,あなたは何を理解しました
か?その根拠を示しつつ可能
な限り詳細に答えてください。
【設問2】理解したことの出発点とし
て,あなたが過去に学んだどん
な知識が役に立ちましたか?
科目の枠組みにとらわれずに
お答えください。
【設問3】その結果,得られた新し
い知識とは何ですか?
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
28
サマリーは次の3つ:(1)何を理解したか,(2)理
解に役立った既知の知識は何か、(3)授業で得
られた新しい知識は何か--の順でお伺いしま
す。
はじめに,この授業を通じて,あなたは何を理解
しましたか?その根拠を示しつつ可能な限り詳
細に答えてください。
ブランドという概念の成立過程について初めて
知ることができました。ブランドとは、もともと焼
印(brander)の派生語で家畜を私有化するため
に焼印を押していたことが始まりでした。そのう
ちに、自社製品であることの証明にブランド
(ネーミングやマーク)が用いられるようになり、
あるブランドが付された商品が広く消費されるよ
うになるに従ってそのブランドが「良品」等の消
費者判断を連想させるようになっていきました。
ときに、ブランドが独り歩きをしてしまうこともあり
ます。
ブランドとは、他の売り手のサービスを識別し、
競合他社と差別化することを目的とした名称・言
葉・シンボル・デザインおよびその組み合わせ
のことを言います。
ブランドの経済的意義としては、他社と全く同じ
性能・機能を持つ商品を販売する場合、他社よ
りも高い値段で売れるなら、それはブランドの信
用力に由来する価値だということができます。つ
まり、ブランドであることが企業に超過利潤をも
たらすことになります。
2010年11月26日
理解したことの出発点として,あなたが過去に その結果,得られた新しい知識とは何ですか?
学んだどんな知識が役に立ちましたか?科目の
枠組みにとらわれずにお答えください。
以前、行動経済学という本を読んだ際、経済学
は実際の経済学のテキスト通りには動かない、
ということが書かれていました。大学で経済を専
攻している私には大変興味深い書きだしだった
のでよく覚えています。例えば経済学の本に
は、「代替品」というものが出てきます。横軸に
コーヒーの価格、縦軸に紅茶の価格をとったとし
ます。もしコーヒーの価格が釣り上った場合、代
替品である紅茶の需要が増えます。これは、相
対的に見て、コーヒーより紅茶の方が安くなるか
らです。そして、需要が増えることで価格が膨張
し始め、それに伴い、紅茶の需要も減っていき、
結果的にあるポイントで市場は均衡します。ここ
までが、いわゆる経済学の本に書いてある内容
です。しかし、市場は実際にそのように動くので
しょうか。先に述べた例は、あくまで飲料がコー
ヒーと紅茶しかなかった場合です。しかし世の中
にはもっと多くの商品があふれており、何より、
人々の嗜好がかなり大きく反映されます。つま
り、コーヒーの価格が上がった時に、だれしもが
必ず紅茶を購入するなんて事態には陥りませ
ん。コーラが好きな人もいれば、緑茶に走る人も
います。人それぞれの好みが、それぞれの経済
活動をうながし、さらに世の中の経済全体を動
かしていきます。
さて、このとき、ブランドも、人々の嗜好に見事に
影響を与える要素だと私は考えました。そういう
意味で、「行動経済学」に書かれていたことは、
今回の授業で役に立ったと感じます。
明治大学 阪井和男
その結果得られた新しい知識は、日本の映像
技術の高さ、ストーリー性の高さが海外に大きく
影響を与えるほどのブランド力を持っているとい
うことです。私のゼミナールでは卒業論文の全
体テーマがアニメーションビジネスです。ですか
ら、ジャングル大帝レオとライオンキングの類似
性などは多尐情報として知っていました。しか
し、甲殻機動隊とマトリックスの関係や隠し砦の
三悪人とスターウォーズの類似点については初
めて知りました。これらは、完全にストーリー性
の高さが覗える現象だと思います。日本がアニ
メーション技術では世界1に君臨することはもち
ろん知っていました。しかし、微妙な心理描写の
細かさなど、ストーリーや、話の展開という点で
もレベルが高いということは今回初めて気づかさ
れた点でした。ハリウッドやピクサーなど、海外
では特にアメリカが、この分野では大きなブラン
ド力を持っていますが、日本も負けない技術を
持っています。これらの映像には、デザインなど
の目に見える形のブランドはつけられません
が、日本の映像技術は、海外に出して恥ずかし
くない立派なブランド力を持っています。
1500字を超えた例
「ソフトパワー論」
2009年10月14日
29
構造化サマリ
サマリーを変更しました。次の3つ:
(1)何を理解しどんな新しい知
識が得られたか,(2)理解に役
立った既知の知識は何か、(3)
この授業で得たことの意味は何
か−−の順でお伺いします。
◆設問1◆
はじめに,この授業を通じて,あな
たは何を理解しどんな新しい知
識が得られましたか?その根
拠を示しつつ可能な限り詳細に
答えてください。
◆設問2◆
理解したことの出発点として,あな
たが過去に学んだどんな知識
が役に立ちましたか?科目の
枠組みにとらわれずにお答えく
ださい。
◆設問3◆
この授業で得たことの意味を考えま
しょう。設問1で答えたことがあ
なたにとってどんな意味をもち
うるかを空想しながら創造して
みてください。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
30
7500字を超えた例
「ソフトパワー論」
2009年12月2日
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
31
学生は
なぜコピペするのか?
コピペを無意味にする

レポート類はすべてクラスに公開する
 検索エンジンや他人のコピペは、すぐにばれる

互いにコメントを付けられるようにする
 コピペをすればすぐにコメントが付いて指摘される
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
33
添付ファイル機能付き掲示板

協働板で
レポート提出
 他の学生に
も公開
 読んだ学生
がコメント可
 人のまねが
できない
 集計が面倒
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
34
公開機能つきレポート提出
コメント機能つ
き公開レポート
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
35
学生の受講態度は
なぜ悪いのか?
緊張感をもたせる

教員の熱意をぶつける



熱意と真剣さをあらわにして学生にぶつける
社会人のゲストスピーカを呼ぶ
すべての授業は誰にでも公開する

誰でも自由見学、自由参加を宣言する

授業スケジュール公開用URL
http://www.google.com/calendar/embed?src=saka1kaz%40gmail.com&ctz=Asia/Tokyo


ニセ学生登録が可能なケータイツール C-Learning
インターネットで配信してしまう

ustream上でのストリーム配信と録画


インターネット接続されたWebカメラつきノートパソコンで
下記にて試験中
http://www.ustream.tv/dr-sakai-lecture
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
37
なぜ授業評価アンケート
は役立たないのか?
役に立たない授業評価アンケート

従来のアンケート方式
【目的】 客観的な分析のため

アンケート実施者が知りたいことを聞いている



知りたいことを聞いてもダメ!
顧客の答えたいことではない!
「究極の質問」によるアンケート
× 客観分析

みんなはきっとこう考えるだろう
○ 主観推測

私はこう感じてしまったのだ
主観から顧客の行動を予測すること
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
39
サービスの評価
ロイヤルティが高く、友人に
も顧客になるよう薦める
顧客
サービス
劣悪な関係を強いられた
不満客
2010年11月26日
推奨者
明治大学 阪井和男
中立者
満足はしているが、
競合他社からの働き
かけになびきやすい
批判者
40
推奨者<批判者
ロイヤルティが高く、友人に
も顧客になるよう薦める
顧客
サービス
劣悪な関係を強いられた
不満客
2010年11月26日
推奨者
明治大学 阪井和男
中立者
満足はしているが、
競合他社からの働き
かけになびきやすい
批判者
41
推奨者>批判者
ロイヤルティが高く、友人に
も顧客になるよう薦める
顧客
推奨者
サービス
劣悪な関係を強いられた
不満客
中立者
満足はしているが、
競合他社からの働き
かけになびきやすい
批判者
成長エンジン=推奨者-批判者
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
42
成長エンジンは噴射しているか?

顧客ロイヤルティを知る
 究極の質問
この会社を友人や同僚に薦める可能性があるとすると,
10点満点でどのくらいでしょうか?

その理由
その理由でもっとも大きいものを一つだけ教えてください
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』、
堀新太郎訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
43
究極の質問

既存の顧客満足度調査=「役に立たない」
誤った顧客を調査対象
 真意を汲み取れない質問


究極の質問
顧客ロイヤルティの有効な測定方法
 特徴
たった一文の質問とその理由を聞くだけ
 正味の推奨者率(NPS: Net Promoter Score)を計算する
 正なら成長エンジン噴射中'口コミで爆発的に広がる(

フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』、
堀新太郎訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
44
究極の質問

企業の真の成長
 顧客がその企業との取引をとても気に入り、
友人や同僚に称賛の声を伝えることから生まれる

利益の意味
 「悪しき利益」=顧客を食い物にする
 「良き利益」=顧客の熱心な協力による

究極の質問
「この会社を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいあるか」


「良き利益」と「悪しき利益」を識別する
10点法で聞く'0点から10点まで(
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』、
堀新太郎訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
45
究極の質問

顧客の分類 3分法
 推奨者'10~9点(

ロイヤルティが高く、友人にも顧客になるよう薦める
 中立者'8~7点(

満足はしているが、競合他社からの働きかけになびきやすい
 批判者'6~0点(


劣悪な関係を強いられた不満客
指標=推奨者の正味比率(NPS: Net Promoter Score)
 「推奨者-批判者」の割合

企業の収益、市場シェアと相関性あり
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』、
堀新太郎訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
46
紙面による方法'水本式*(
*水本 好彦(国立天文台,2008年)
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
47
ケータイによる方法
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
48
設問3 4( この分野への学習意欲が湧いた
(平均値4.3, NPS=29%)
80
分布とNPS
頻度
60
40
20
0
設問3 9( 学生の積極性が促されていた
20
1
2
3
4
5
1
(平均値3.8, NPS=△14%)
5
2
3
4
5
設問3 7( 内容がシラバスに沿っていた
80
(平均値4.3, NPS=34%)
60
80
40
60
頻度
頻度
4
80
60
40
20
0
設問3 5( 自分はこの授業に熱心に取り組んだ
20
0
40
20
1
2
3
4
5
0
設問3 6( この分野の知識が身についた
1
(平均値3.8, NPS=△16%)
2
3
4
5
設問3 1( 総合的によい授業だった
80
'平均値4.4, NPS=47%)
60
頻度
40
20
0
1
2
3
4
80
60
40
20
0
5
1
設問3 8( 教材・資料などの利用が効果的だった
3
4
5
4
5
(平均値4.8, NPS=83%)
150
頻度
60
40
20
0
2010年11月26日
2
設問3 3( 講師が熱心だった
(平均値3.9, NPS=△2%)
80
頻度
3
(平均値4.2, NPS=31%)
0
頻度
2
設問3 2( 自分にとって重要な授業だった
40
頻度
頻度
60
2
0
0
8
年
度
ソ
フ
ト
パ
ワ
ー
論
1
(平均値3.6, NPS=△23%)
1
2
3
4
明治大学
阪井和男
5
100
50
0
1
2
3
49
解釈と利用

分布とNPSの関係
 NPSが正

スケールフリー分布
 NPSが負


中央集中分布
改善方法
 「得点」の昇順で「理由」をソート

「批判者」「中立者」「推奨者」の順に並ぶ
 「批判者」の「理由」を検討し改善すればよい
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
50
究極の質問を
応用する
応用すると・・・
点数
0
11
21
31
41
51
61
71
81
91
2010年11月26日
-
人数
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
7
4
24
13
56
71
103
79
28
23
合計
408
Q1.あなたが今お勤めの大学に、点数
をつけるとしたら100点中何点だと思
いますか
 ジャストシステム社によるインタ
ーネット調査


内容:全国の大学教職員に対し、今
の大学に対する評価、求めることを
テーマに実施。
対象:大学教職員男女 412名
属性:全国の国立・公立・私立の大学関係者


明治大学 阪井和男
調査方法:インターネット調査
調査期間:2006年9月9日~9月11日
52
これまでの解釈は・・・
点数
0
11
21
31
41
51
61
71
81
91
2010年11月26日
-
人数
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
7
4
24
13
56
71
103
79
28
23
合計
408

Q1.あなたが今お勤めの大
学に、点数をつけるとしたら
100点中何点だと思いますか
否定的 104
肯定的
明治大学 阪井和男
304
肯定的意見が
多い!?
53
NPS流の解釈は・・・
点数
0
11
21
31
41
51
61
71
81
91
-
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
合計
2010年11月26日
人数
7
4
24
13
56
71
103
79
28
23
408
NPS = 推奨者 - 批判者 =-30%
批判者175
43%
中立者182
45%
推奨者 51
13%
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質
問」』、堀新太郎監訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
明治大学 阪井和男
54
批判者43%の意味は・・・
点数
0
11
21
31
41
51
61
71
81
91
-
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
合計
2010年11月26日
人数
7
4
24
13
56
71
103
79
28
23
408
NPS = 推奨者 - 批判者 =-30%
AOL'アメリカン・オ
ンライン(社
批判者175
43%
中立者182
45%
推奨者 51
13%
会員数が3500万人の
ピーク1996年夏終日の
通信停止'通信サービ
ス停止最大の事故(
2002年の批判者割合
42%月間顧客解約率
が6%'年間算で72%(
'ライクヘルド,2006年,
p.29(
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質
問」』、堀新太郎監訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
明治大学 阪井和男
55
究極の質問による
学生の授業評価
究極の質問による授業評価
科目内容
教材
レ
レ サ 議 ク ポ
ジ マ 論 イ ー 2007
メ リ
ズ ト
前
2008
前
-27% -29% -40%
教養基礎演習
「論理トレーニング」
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'前期(
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'後期(
eラーニング
専門ゼミ「情報社会論」 ゲスト・議論
情報組織論'法(
情報組織論'情コ,前(
ソフトパワー論
+26% -11%
○ ○ ○
○ ○
テキスト・ppt ○ ○ ○
ゲスト
-
○
NPS
-
○
○
-
2008
後
2009
前
-
+29%
+36%
-
+43% +43% +44%
+60% +50% +57% +75%
+4% +44%
-
-
-
-
+40%
-
明治大学法学部阪井和男の担当授業
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
57
論理トレーニングの授業評価
科目内容
教材
いずれもNPSが負。
レ
授業内容がハード。
レ サ 議 ク ポ
1年生の必修科目
ジ マ 論 イ ー 2007
メ リ
ズ ト
「論理トレーニング」
前
2008
前
-27% -29% -40%
教養基礎演習
「論理トレーニング」
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'前期(
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'後期(
eラーニング
専門ゼミ「情報社会論」 ゲスト・議論
情報組織論'法(
情報組織論'情コ,前(
ソフトパワー論
2010年11月26日
+26% -11%
○ ○ ○
○ ○
テキスト・ppt ○ ○ ○
ゲスト
-
○
明治大学 阪井和男
NPS
-
○
○
-
2008
後
2009
前
-
+29%
+36%
-
+43% +43% +44%
+60% +50% +57% +75%
+4% +44%
-
-
-
-
+40%
-
58
教養基礎演習'2008年度後期(
教養基礎演習2008年度後期
NPS=-28.6%

批判者

3

2
人数
2
1
1
1
1
1
1

0
0
0
0
1
2
0
0
0
3
4
5
6
7
8
9

中立者

10

ポイント


非常に勉強になるが、予習が大変だから。
全ての学問に通じると感じたから。
文章を論理的にとらえる力がつき、すべて
の学問に通じるから
推奨者

2010年11月26日
PowerPointを使って資料を作るのに、かなり
時間がかかってしまう。その代わり授業内
容は意義あるものだと思いました。
将来的に論理的思考で物事を考える訓練
はためにはなると思うがいかんせん課題が
多いため友人に薦めるか否かは微妙であ
る。
費やす時間の多さ
明治大学 阪井和男
人に説明するときに説得力を持ってすること
ができるようになるので、この授業は役に立
つと思います。
59
共同注視の効果
科目内容
教養基礎演習
「論理トレーニング」
レ
NPS
レ サ 議 ク ポ
ジ マ 論 イ ー 2007 2008 2008 2009
教材
メ リ
ズ ト
前
前
後
前
正から負へ逆転。
共同注視の効果か。
-27% -29% -40%
テキスト
○ ○ ○
前期はプレゼン教室。
後期はパソコン教室。
数理と情報'前期(
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'後期(
eラーニング
専門ゼミ「情報社会論」 ゲスト・議論
情報組織論'法(
情報組織論'情コ,前(
ソフトパワー論
2010年11月26日
○ ○ ○
○ ○
テキスト・ppt ○ ○ ○
ゲスト
+26% -11%
○
明治大学 阪井和男
-
○
○
-
-
+29%
+36%
-
+43% +43% +44%
+60% +50% +57% +75%
+4% +44%
-
-
-
-
+40%
-
60
数理と情報'NPS=-11%,2008前(

批判者



中立者




確かにテストがなくて他の科目の負担になりにくいが、ほぼ毎回課題が
出るのがネックです。
自分自身はこの授業がとても面白く感じられたが、これは個人の感じ方
であるし、授業は自分から積極的に選択すべきと思うから。
テストがない。パワーポイントの能力の上昇
毎回のパワーポイントでの課題。勉強になるが、パソコンを全く使えなけ
れば話にならない。
その友人のやる気次第で、得るものが大きくもなるし小さくもなるから。
推奨者

毎回最低限の予習をしておかないといけないので、有意義な時間を過
ごすことができる。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
61
eラーニングの授業評価
科目内容
教材
レ
レ サ 議 ク ポ
ジ マ 論 イ ー 2007
メ リ
ズ ト
前
2008
前
-27% -29% -40%
教養基礎演習
「論理トレーニング」
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'前期(
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'後期(
eラーニング
専門ゼミ「情報社会論」 ゲスト・議論
情報組織論'法(
情報組織論'情コ,前(
ソフトパワー論
2010年11月26日
-
NPS
+26% -11%
○ ○ ○
-
-
2008
後
2009
前
-
+29%
+36%
-
- +43% +43% +44%
○ ○eラーニングでも正。
課題を出し、BBSで
+60% +50% +57% +75%
テキスト・ppt ○ ○ ○のディスカッションへ
○
+4% +44% 誘導。
ゲスト
○
明治大学 阪井和男
○
-
-
+40%
-
62
人数
数理と情報Ⅱ
(オンデマンド授業,中間討議,2008年12月2日)
NPS=24%
数理と情報II'最終討議(
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0

0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
批判者

前回の中間討議より1点アップしまし
た。その理由はやはり授業内容への
興味が深まってきたことでしょうか。で
すが逆に理解は深まっていないという
か難しいと感じることが多くなったので
推薦する、の7点まではいかないです
。数学に興味のある人にとっては10点
ですね。

得るものは、尐なからずありましたが、
やはり難しかったです。特に授業の後
半が。自分なりに努力はしましたが、
きちんと完全に理解できたとは思えな
いので。自分が完全にマスターし、納
得したものが得られれば友人に勧め
るとは思いますが、自分自身がイマイ
チだったので、そうはいかないかなと
思いました。
10
推奨する可能性
人数
数理と情報Ⅱ
(オンデマンド授業,最終討議,2009年1月13日)
NPS=36%
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
0
1
2
3
4
5
6
推奨する可能性
2010年11月26日
7
8
9
10
明治大学 阪井和男
63
ゲストスピーカの授業評価
科目内容
教材
レ
レ サ 議 ク ポ
ジ マ 論 イ ー 2007
メ リ
ズ ト
前
2008
前
-27% -29% -40%
教養基礎演習
「論理トレーニング」
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'前期(
テキスト
○ ○ ○
数理と情報'後期(
eラーニング
専門ゼミ「情報社会論」 ゲスト・議論
情報組織論'法(
情報組織論'情コ,前(
ソフトパワー論
-
NPS
+26% -11%
○ ○ ○
○ ○
-
-
2008
後
2009
前
-
+29%
+36%
-
+43% +43% +44%
+60% +50% +57% +75%
ゲストスピーカ効果。
テキスト・ppt ○ ○ ○
○
ゲストスピーカーは
+4% +44% 40%台に到達する。
ゲスト
○
○
-
-
+40%
-
明治大学法学部阪井和男の担当授業
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
64
クラス規模の効果
科目内容
レ
レ サ 議 ク ポ
ジ マ 論 イ ー 2007
メ リ
ズ ト
前
教材
教養基礎演習
「論理トレーニング」
テキスト
○ ○ ○
大幅に向上。
数理と情報'前期(
テキスト
○ ○ ○
5時限から6時限へ変更。
数理と情報'後期(
クラス規模の効果か。
へ激減。
情報組織論'情コ,前(
ソフトパワー論
2010年11月26日
○ ○
テキスト・ppt ○ ○ ○
ゲスト
○
明治大学 阪井和男
2008
前
-
○
○
2008
後
2009
前
-27% -29% -40%
+26% -11%
200人規模から40人規模
eラーニング
○ ○ ○
専門ゼミ「情報社会論」 ゲスト・議論
情報組織論'法(
-
NPS
-
-
+29%
+36%
-
+43% +43% +44%
+60% +50% +57% +75%
+4% +44%
-
-
-
-
+40%
-
65
トピックスの効果
科目内容
レ
レ サ 議 ク ポ
ジ マ 論 イ ー 2007
メ リ
ズ ト
前
教材
教養基礎演習
「論理トレーニング」
テキスト
数理と情報'前期(
テキスト
数理と情報'後期(
eラーニング
情報組織論'情コ,前(
ソフトパワー論
2010年11月26日
英語の原著論文で心
○ ○ ○
理学実験を企画・実施。
○ ○
テキスト・ppt ○ ○ ○
ゲスト
2008
前
2008
後
2009
前
-27% -29% -40%
○ ○ ○
3~4年生へハード
な授業。
+26% -11%
+29%
○ ○ ○
トピックスの効果か。
専門ゼミ「情報社会論」 ゲスト・議論
情報組織論'法(
NPS
○
明治大学 阪井和男
-
○
○
-
+36%
-
+43% +43% +44%
+60% +50% +57% +75%
+4% +44%
-
-
-
-
+40%
-
66
通常授業の評価
科目内容
教材
教養基礎演習
「論理トレーニング」
テキスト
数理と情報'前期(
テキスト
数理と情報'後期(
eラーニング
情報組織論'情コ,前(
ソフトパワー論
2010年11月26日
2008
前
○ ○ ○
-27% -29% -40%
○ ○ ○
専門ゼミ「情報社会論」 ゲスト・議論
情報組織論'法(
レ
レ サ 議 ク ポ
ジ マ 論 イ ー 2007
メ リ
ズ ト
前
通常授業でもゲスト
スピーカ以上の効果
+26% -11%
○ ○ ○
○ ○
テキスト・ppt ○ ○ ○
ゲスト
-
○
明治大学 阪井和男
NPS
-
○
○
-
2008
後
2009
前
-
+29%
+36%
-
+43% +43% +44%
+60% +50% +57% +75%
+4% +44%
-
-
-
-
+40%
-
67
まとめ:究極の質問

知りたいことを聞いてはいけない
 顧客が行動するための動機となる感情を聞く

顧客の行動を単位として設問を設定するべし
 顧客に分析させるのではなく,こちらが分析する

2010年11月26日
顧客の感情にかかわりのない設問は,どこまで意味が
あるのかを考えるべし
明治大学 阪井和男
68
まとめ:究極の質問

究極の質問でわかること
 成長エンジンが噴射中か?

NPSが正か負か
 どのくらいの勢いがあるか?

NPSの値
 どう改善すればよいか

NPSの昇順で理由をソート
∵注目すべきは低スコアの理由

2010年11月26日
批判者・中立者・推奨者の三者を区分
明治大学 阪井和男
69
まとめ:究極の質問

改善の方策
 批判者の理由

どうすれば批判者が中立者になるか
 中立者の理由

どうすれば中立者が推奨者になるか
 推奨者の理由

2010年11月26日
何が評価されているか
明治大学 阪井和男
70
まとめ
課題はハードに

教えない
 講義をしない

重たい宿題だらけ
 2回に1回はテキストや論文を予習してレジメを提出
 パワーポイントでオーラル・プレゼン資料を作成

授業後にサマリー提出
 毎回,授業後に感想ではなくサマリーを文章で
『「できない大学生」たちが、なぜ、就職で引っ張りだこになったか―面白いように「やる気」が
目覚める9つの方法』,カワン・スタント,三笠書房,2006年1月.
 BBS上でドキュメント・プレゼンを
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
72
議論は自由に

その場で考えさせる
 発表者をその場であててプレゼン
 全員を巻き込んでディスカッション

パワポの使い方は教えない
 いきなり課題を出し,発表させてコメントする



よいものは,面と向かって臆面もなく褒める
凝ったものは,ノウハウを聞く
授業後の個別質問には
 授業中に聞くよう励ます


2010年11月26日
きっと同じ疑問をもった人もいるはず
自分だけがわかっていないのではという不安を取り除く
明治大学 阪井和男
73
評価はソフトに

出席は厳格に
 点数に換算しない!
 4回(/15)休むと成績をつけない

定期試験はしない
 成績評価は平常点で
7~10本の重たい課題
 毎回のサマリの提出
 コメントの書き込み

2010年11月26日
明治大学 阪井和男
74
第2部:「日本語論理トレ
ーニング」の授業改善
多賀万里子'熊本大学大学院(・阪井和男'明治大学
法学部(・鈴木克明'熊本大学大学院(,JSiSE 2010年
全国大会'2010年8月27日(
多賀万里子'熊本大学大学院(・阪井和男'明治大学
法学部(,サイエンティフィック・システム研究会知的能
力の可視化WG第3回会合' 2010年9月24日(
Ⅰ.本研究のテーマ
ICTによって論理思考力を可視化する取組
研究対象科目概要
1.本研究のテーマは

ICTで論理思考力を可視化する取組
 情報リテラシーの向上を目的とする科目では…


ICTを使うと、学習達成度を可視化できる。
多くの企業や大学で実践の経験と蓄積がある。
 論理思考力の向上を目的とする科目の場合は


2010年11月26日
ICTを使って、どうやったら学習達成度を可視化できるのか?
調査した限りでは、国内での事例はない。。。
明治大学 阪井和男
77
2.研究対象科目(2009年度後期(
☆
☆
☆
☆
科目
:
指導教員 :
履修人数 :
テキスト :
明治大学法学部初年次の必修科目 「教養基礎演習」
阪井和男 教授
15名程度'1学年1000人、30クラスでなおかつその1/2)
『新版 論理トレーニング』 '野矢茂樹著 産業図書(
☆ 授業設計 :
予習'オンライン:個人学習(
授業'尐人数対面j授業、グループ学習は採用せず(
復習(オンライン:個人学習(
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
78
Ⅱ.改善作業の経緯
研究対象科目の当初の問題点
過年度履修者の授業評価
結果・授業改善の背景
指導教員が指摘する問題点
1. NPSによる履修者の授業評価


授業評価指標として、ネット・プロモータ・スコア'NPS(を採用。
NPSとは、
顧客満足度調査で利用する手法のひとつ。
 分布の偏りの指標
 結果がプラスは良い評価、マイナスは悪い評価となる。
 手順:





0
2010年11月26日
アンケート対象者に推奨度を数値で記述してもらう。
肯定 : 10,9 中立 : 8,7 否定 : 6以下
重み付け '肯定に+1、中立に0.否定にー1( を行う。
重み付けた其々に、反応した人数を掛け、足し合
わせたものがNPS
1
2
3
4
5
6
明治大学 阪井和男
7
8
9
10
80
2.過年度履修者の授業評価

科目「教養基礎演習」は、履修者満足度が低い状態。
ずっとマイナス

2008年度から履修者に科目に対する意見'自由記述(も取得。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
81
3.履修者の授業評価(2009年前期)
2009年度前期の平均予習時間は、3.9時間だった。
科目「教養基礎演習」の推奨度、自由記述設問の結果 抜粋
評価
判定
9
肯定
8
中立
8
中立
8
中立
6
否定
6
否定
5
否定
4
0
否定
否定
2010年11月26日
理由
自分で考える思考力が付いて、なおかつ論理的に文章を組み立てる
力もつく。加えてプレゼンに利用するパワーポイントを作成する技術も
身につくので個人として成長出来る授業としてはとても為になる。
ただ大学生として課題が大変なのは辛いところなのでこの評価にし
た。
一言でいうならば「有用性」です。
確かに、様々な苦労と時間の消費がありますが、それによって得た
「論理性」と「プレゼン能力」は今後、非常に「有用性」を持つものだと
思います。
やはり論理的に考えることができるようになるというのが1番の理由だ
と思います。自分の意見をクラスメートと議論するという機会は尐な
く、その機会を与えてくれるこの授業は貴重な存在です。その中で新
たな意見を発見し、論理的に考えられるようになったら今後の法学部
での生活、それ以後にとって大きいです。課題は大変なときもありま
すが、授業を受ける意義はあると思います。
非常に将来に直結する授業なので評価は高い。しかし、いかんせん
予習にとても時間がかかってしまう。
論理力をつけるには最適の授業だと思うが、予習時間の長さ及び課
題内容の重さの負担が大きかった。
論理的思考を身につけるという点では、とても良いが、課題をこなす
のが大変なため。
多数の時間を費やしてしまうが、論理的思考の構成という点において
は、今後法学への理解を深めていく上での一助になると思うため。
とにかく、課題が大変です。
非常に労力がいる。
授業評価の自由記述設問によると、
履修者各自は「履修者個人の能力向上には役立つ」と考えてはいる。
明治大学 阪井和男
しかし、課題提出までの学習時間量の多さを指摘している。
82
4.指導教員が更に提示した問題点
指導教員が更に提示した問題点は、以下の2つ。
1.履修者は相当の時間を学習に費やしている。
課題を提出したが、欠席または授業中爆睡の履修者が常時いる。
2.履修者自ら解いた問題について結果に至るまでの手順、思考過程を説明
できないことが多い。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
83
Ⅲ.2009年度後期の試み
'現状調査:改善前(
シラバス上の授業計画
2009年度後期の履修者の提出課題の概観
2009年度後期の試み
第一次形成的評価
1.シラバス上の授業計画(2009年度後期(
この科目では、以下の図2にあるような流れで学習を進めている。
各章1回の授業で進みたいが、全員に発表させているため、要旨の討議、
解答の討議でそれぞれ1回の授業を割り当てていた。
3回目
4回目
第1章
5回目
6回目
7回目
第2章
8回目
第3章
9回目
10回目
第4章
インスト
ラクション:
インスト
ラクション:
インスト
ラクション:
インスト
ラクション:
インスト
ラクション:
インスト
ラクション:
インスト
ラクション:
インスト
ラクション:
自分の
やり方で
要旨を
まとめる。
自分の
やり方で
解答を
作成する。
自分の
やり方で
要旨を
まとめる。
自分の
やり方で
解答を
作成する。
自分の
やり方で
要旨を
まとめる。
自分の
やり方で
解答を
作成する。
自分の
やり方で
要旨を
まとめる。
自分の
やり方で
解答を
作成する。
教員を
教員を
教員を
教員を
教員を
教員を
教員を
教員を
中心にした
中心にした
中心にした
中心にした
中心にした
中心にした
中心にした
中心にした
対面による
対面による
対面による
対面による
対面による
対面による
対面による
対面による
ディスカッション ディスカッション ディスカッション ディスカッション ディスカッション ディスカッション ディスカッション ディスカッション
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
85
2.シラバス上の授業方略
1.予習 (オンライン個人学習(
(1) 学生は指定された章の要旨をまとめ、問題を解く。
(2) 学生はそれをLMS'C-Learning)上の掲示板に投稿する。
(3) 予習に掛かった時間数を答える。
2.授業 (オフライン対面学習(
(1) 教員は、提出済の前回の授業サマリーを学生の前で確認する。
(2) 学生は、提出課題を他の履修者の前で発表する。
(3) 学生全員および教員にてその内容を討論する。
3.復習 (オンライン学習(
学生は、授業サマリーを提出する。(毎回(
(a)何を理解したか
(b)理解に役立った既知の知識は何か
(c)授業で得られた新しい知識は何か
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
86
3.2009年度後期提出課題の概観
2009年度後期の履修者:17名
 提出課題の特徴

(1) 各章の要旨を纏めきれていない。
(2) 要旨では文章のみの構成が多い。
図を効果的に使用している例は尐ない。
(3) 論理思考とは全く関係のないアニメーションを多用。
(4) 問題の解答だけの記述が多い。
テキストと提出課題とを見比べないと分かりにくい。
(5) 練習問題は巻末の解答の丸写しも見受けられる。
お見せしましょう、学生のレポートを。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
87
4.2009年度後期サマリ'2回目抜粋(
(1)何を理解したか
見やすいために、パワーポイントは図示型とか項目型がいい。
(3)授業で得られた新しい知識は何か
上3分の2に書く。
一番言いたいことは左上に書く。
アメリカでは主流の、文章の始めに自分の言いたいことを書き、まとめていくと
いう書き方が「レゲットの木」と言うことを初めて知った。
これからは、なるべく図で説明していきたい!
プレゼンは図で説明をした方が、時間配分がしやすかったり、重要なことを上手
「書いてあるじゃん」とは言わないようにする!
くまとめられるため良いと学んだ。また、プレゼンでの禁句は「書いてあるじゃ
ん」であると学んだ。
いきなり図示化するのではなく、ノート等にまとめてから作るとよりまとまっ
パワーポイントでは資料型ではなく図示化や項目型でまとめると圧縮でき、まと
たものが作れる事と、伝えたいことは下に書いてはいけないことがわかり
めやすく、プレゼンを聞いてもらえるという事がわかりました。
ました。
第二章の問題を解き、PPで回答・解説のプレゼンをやりましたが、求められてい 実際自分で答えを練っているときと、PPに表そうとするときでは尐々表現
るのとは全く違うアプローチをしてしまったようです。
が変わってしまうようです。
論理的に文章を分析するときには、その内容に重点を置きすぎると誤った解釈
とくになし
をしてしまうことがあるということ
レポートの作成やプレゼンの方法、進行で人それぞれの個性が出ていておもし
人の目をひくレポートの作成方法やプレゼン方法。巧みな話術が必要だ。
ろかった。人の注目を集めるプレゼン方法がわかった。
パワポの使い方を復習しなければならないなと思いました。なぜなら全員色々
クラスの全員が技術力が高いので自分はがんばらねばならないという
なアニメーションを駆使してレベルの高いパワポを作っているので自分もこのレ
事。
ベルまで尐しでも近づかなければまずいと思ったからです。
パワポの構成の型の中でも、特にマクロな論理を構成する図示型は論理
パワポの構成の仕方に「圧縮型」「項目型」「資料型」「図示型」があるということ
トレーニングのような論理的な説明をするのに適しているということが分
話術より、話の
を理解しました。
かった。
中身が大切でしょう。
今日は自分のプレゼンを通して的確な表現の仕方を学んだ。また先生のプレゼ
プレゼンの真ん中付近に重要なことを記入すること。
パワアポのスキル向上も
ンから、プレゼンのメリットを改めて認識した
必要だけど、この科目の
先生が資料を見せてくださったので、プレゼンの種類やどこが注目されやすい
図や資料はそれぞれ簡潔に見せるためや補足のためなど用途別に使う
学習目標を理解してる?
かがわかった。
方法があり、そのほうが混合して使うよりも効果的であること。
アメリカと日本の主張の持って行き方の違いがわかりました。
今回は特にありません。
プレゼンテーションの資料には様々な形式があったり、国によって文の組
プレゼンをする上で注意すべき点を理解しました。
み立てが異なることがわかりました。
5.経験者による要旨作成
要旨の作成'最終成果物として(
テキスト内の章・節
テキスト内の章・節で
扱われるキーワードを
分類している。
'キーワードを区別・識別(
テキスト内の章・節で
扱われるキーワードの
相互関係を説明してい
る。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
89
6.経験者による問題解答
解答の作成'最終成果物として(
この手順のメリット
(1) 途中経過を確認、検証しながら思考できる。
(2) 他者が思考過程をトレース(再現)できる。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
90
7.アンケート結果と補助教材の提供
多賀が示した手順を
「採用するかどうか」
→ 61%がYES
否定的な意見の一部:
表の作り方がわからない
⇒
表の作り方が分かれば
使ってみたい
1人の履修者が自発的に、
多賀が示した手順で問題を
解いた。
その発表内容も論理的で矛
盾がなかった。
多賀が示した手順:論理思考力向上に有効な可能性がある。
13回目の授業で、回答法の補助教材を提供し、要旨と課題 作
成を指示した。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
91
8. 2009年後期の授業評価結果
2009年度後期履修者の授業評価 他の履修者への推奨度 : NPS= -35%
カテゴリ
評価
判定
10 肯定
良い経験
9 肯定
5 否定
8 中立
思考力の向上
7 中立
9 肯定
8 中立
6 否定
5 否定
4 否定
4
3
7
1
0
課題が多いことです。。
授業としてはホントにためになる授業だと思います。ただ課題の量が…笑
レポートが難しいから。
レポート作成の煩わしさ
パワポがめんどくさい
学習者の思考や行動変化がアンケート結果から観測できるようになってきた。
6 否定
7 中立
学習量が負担
レポートが難しい
2010年11月26日
大学の授業と言っても、多人数に対して自分の意見を発表することはあまりないので、良い経験に
なると思うため。
これから社会に出るなかで、こんなに深く論理構造について学べたというのは、絶対に自分にとって
大きな経験となるからである。
論理的な思考が養成されるが、自分の慣れないやり方も試される上、レポートが重い。しかしそのた
め勉強する姿勢が培われ、そういう点では良い経験を積める授業であると思うから。
自分なりのプレゼンの仕方を発見でき、課題について自分で要約しながらレポートを作るので思考力
が見につき、将来的にも役に立つから。
文章をを論理的に考えながら読み、解いていく作業というのは、自身が文章を論述する際や言葉を
述べる際に役に立つと思ったからです。
授業を進めて行くに従って日本語を読むときに論理的に考えるようになった。
他の授業のようにテストっていう結局暗記で乗り切れるものによって単位が与えられたりしないので
中学・高校のころと違う大学らしい授業がうけられるから。-2は難しいからです。2個書いてすいませ
ん・・・
積極的に取り組めば学べることは多いけど、面倒に思ってしまうと作業に近い授業になってしまうと
思うから
これから他の授業などレポートをまとめたりプレゼンテーションをしていく上で、この講義で得た知識
やスキルが十分に役に立つと思えたからです。ただ、勉学だけではなく、サークルやアルバイトなど
の授業の他でも多忙な学生にとっては、毎週この課題を出していくには負担が多尐大きい気がした
ので、それが減点分です。
毎回のレポート作成が意外と重いので
課題が多いためその人の授業の時間割などを考慮する必要があると思うから。
ためにはなるけど、宿題が大変だから。
大学らしい授業
意欲の問題
履修者の意見
否定
否定
中立
否定
否定
学習時間の負担増でマイナス
明治大学 阪井和男
92
9. 2009年度後期形成的評価結果
当該科目の問題点は、以下の3点である。
(1) 学習時間過多
履修者平均予習時間は4.1時間であった。
(2) 提出課題の要旨がまとめきれていない
テキストは各章平均15頁以内だが,履修者平均で各回に提出した要旨は6.7
枚,問題は10.1枚。
(3) 討議に消極的で集中しない履修者がいる
現在の授業方略では,履修者は討議に加わらない他の履修者を無視できる
他の履修者から指摘されなければ,消極的な履修者は討議に加わらないので
はないか、という結論に至った。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
93
Ⅳ.IDによる授業改善
(2010年度前期)
基本方針
補助教材の改善
授業でのレクチャー
1.授業改善の基本方針
改善の基本方針は以下の3点である。
1. 要旨作成における学習時間量の短縮
・ 経験者による要旨のまとめ方の教授
2. 能動的な学習の実施
・ 授業でディスカッションするための共通フォーマットの提供とレクチャー
・ 授業にて毎回ランダムな組み合わせによるチーム・ディスカッションの実施
・ 自己調整を行わせるアンケートの作成
毎回ランダムに
座席配置を変更
3. 提出課題とアンケート結果による学習評価
・ 教員が期待しているような行動'学習目標に沿った行動(ができるか?
・ 提出課題にて、要旨がまとめきれているか?
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
95
2.授業方略の変更点(全体)
3回目
4回目
第1章
5回目
新方式
レクチャー
6回目
7回目
第2章
8回目
図書館
ツアー
9回目
10回目
第3章
インストラクション:
インストラクション:
自分のやり方で
要旨をまとめさせ
問題を解かせる。
教員を中心にした
対面による
ディスカッション
2010年11月26日
ガニェの
9教授事象を
使った教材を
用いて
手順を
レクチャー
インストラクション:
新方式で提示された
やり方で強制的に
要旨をまとめさせ
問題を解かせる。
毎回相手が変わる
尐人数
ディスカッション
明治大学 阪井和男
息抜きも
兼ねて?
図書館の
効果的な
使い方を
身に着ける
自分のやり方に
戻すか、
新方式を採用し
続けるか、
自分で決めた
やり方で
要旨をまとめさせ
問題を解かせる。
毎回相手が変わる
尐人数
ディスカッション
96
3.授業方略の変更点(授業各回)
1.予習 (オンライン個人学習(
(1) 学生は指定された章の要旨をまとめ、問題を解く。
(2) 学生はそれをLMS'C-Learning)上の掲示板に投稿する。
(3) 予習に掛かった時間数を答える。
2.授業 (オフライン対面学習(
(1) 教員は、提出済の前回の授業サマリーを学生の前で確認する。
(2) 学生は、提出課題を他の履修者の前で発表する。
(3) 学生は、発表者の意見について、ランダムに割り振られたチームの
中で意見を出し合う。チーム全員の意見を
まとめて代表者が発表する。
3.復習 (オンライン学習(
学生は、授業サマリーを提出する。(毎回(
(a) 何を理解しどんな新しい知識が得られたか
(b) 出来るようになったこと
(c) その根拠
(d) その知識を成果物にどう反映させるか
(e) どんな意味があるか
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
97
4.9教授事象による補助教材の改善
経験者による要旨のまとめ方と協働学習でディベートを
効率的に行わせるための回答作成の手順を新たに提供
⇒ ガニェの9教授事象を参考にした。
事象1:学習者の注意を喚起する
事象2:学習者に目標を知らせる
事象3:前提条件を思い出させる
事象4:新しい事項を提示する
事象5:学習の指針を与える
事象6:練習の機会をつくる
今後、補助教材を使い、繰り返し
学習により実施する。
2010年11月26日
事象7:フィードバックを与える
事象8:学習の成果を評価する
事象9:保持と転移を高める
明治大学 阪井和男
98
5.補助教材の改善とレクチャー(1)
事象1:学習者の注意を喚起する ⇒ 社会人基礎力
事象2:学習者に目標を知らせる ⇒ 目標を合意する
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
99
5.補助教材の改善とレクチャー(2)
事象3: 前提条件を思い出させる
⇒ 2回目の授業で、 阪井がレクチャーしたプレゼンテーショ
ンの作成方法を再掲し、復習の機会を提供する。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
100
5.補助教材の改善とレクチャー(3)
事象4:新しい事項を提示する
事象5:学習の指針を与える
⇒要旨のまとめ方・回答作成法の提示
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
101
5.補助教材の改善とレクチャー(4)
事象6: 練習の機会を提供
⇒演習プリントの配布、実際にPCで操作法を見せながら練習
させ、疑問点や不明点をその場で確認
補助教材を使い、繰り返し
学習により実施する。
2010年11月26日
事象7:フィードバックを与える
事象8:学習の成果を評価する
事象9:保持と転移を高める練習の機会
をつくる
明治大学 阪井和男
102
Ⅴ.学習者の行動変化を
確認するアンケートの作成
授業開始時点でのアンケート
授業各回でのアンケート
授業評価アンケート(究極の質問)
1.アンケートの実施
目的: 自己観察と記録により学習を自己調整させる。
1.授業開始時点でのアンケート'学習者の思考法の特徴を探る(
2件
・HOW/WHY
・絵文字
2.授業各回でのアンケート'学習の効果、行動変化の分析(
・予習時
・復習時
13件
14件
3.授業最終回でのアンケート(授業評価(
・究極の質問
合計
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
1件
30件
104
2.授業開始時点でのアンケート
学習者の思考法の特徴'抽象的思考・具体的思考の強さ(を探る。
NO 質問
ガニェの9教授事象
ARCSモデル
HOW/WHY
(1) あなたの人生の究極の目標は何ですか?
1 (2) Howタスク'小問4つ(
事象1:学習者への注意喚起 Attention
(3) Whyタスク'小問4つ(
(4) 答えやすさ
絵文字
図を文章だけで相手に伝えるとしましょう。 事象1:学習者への注意喚起 Attention
2
あなたなら、どのように説明しますか?
直感的に答えてください。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
105
3.授業各回でのアンケート
自己観察と記録による学習者自身に自己調整を行わせる。
各回授業の前後及び最後に以下のアンケートを実施。'計27件(
1.予習時:
予習時間'要旨・回答其々(・達成率・困難な事柄・予習のやり方
新しい事柄への取り組みについて(要旨・回答其々(
計
計7件
計6件
13件
2.復習時:
授業サマリー '学習者の気づき(
新しい事柄の学習を通しての自己の学習の仕方の変化
理解度チェック
仮説立案
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
計11件
計1件
計1件
計1件
計
14件
106
3.1 予習時のアンケート
1.予習時間'要旨・回答其々(・達成率・困難な事柄・予習のやり方計7件
NO
(1)
(2)
3 (3)
(4)
(5)
(6)
質問
要約に要した時間
回答に要した時間
主観的な達成率
困難を感じた箇所
予習のやり方1
予習のやり方2
ガニェの9教授事象
ARCSモデル
事象8:学習成果の評価
2.新しい事柄への取り組みについて(要旨・回答其々(
Relevance
/
Confidence
計6件
NO
質問
ガニェの9教授事象
ARCSモデル
新方式の活用
(1) 新方式の「解答法」使用のハードルの高さ
(2) その根拠・理由
(3) 新方式に対する取組意欲
Attention/
(4) その根拠・理由
事象5:学習の指針を与える
4 (5) 新方式の採用による時間的な節約
Relevance/
事象6:練習の機会を作る
Confidence
(6) その根拠・理由
(7) 新方式の採用による内容の改善度
(8) その根拠・理由
(9) 新方式の継続活用の可能性
(10) その根拠・理由
計
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
13件
107
3.2 復習時のアンケート
1.授業サマリー
NO
(1)
(2)
5 (3)
(4)
(5)
'学習者の気づき(
計11件
ガニェの9教授事象
ARCSモデル
質問
何を理解しどんな新しい知識が得られたか 事象2:学習者に目的を知らせる
出来るようになったこと
事象7:フィードバックを与える Confidence/
その根拠・理由
事象8:学習の成果を評価する Satisfaction
その知識を成果物にどう反映させるか
事象9:保持と転移を高める
どんな意味があるか
2. 新しい事柄の学習を通しての自己の学習の仕方の変化
NO
(1)
6 (2)
(3)
(4)
質問
自由に選択できる要約の方式に新方式を
採用したか
その根拠・理由
自由に選択できる解答の方式に新方式を
採用したか
その根拠・理由
ガニェの9教授事象
(1)
7
(2)
計1件
質問
3つの文(1)、(2)、(3)の関係の論理構造は
次の2つの論証図のどちらか?
これらの違いを区別する方法を説明せよ
ガニェの9教授事象
ARCSモデル
事象3:前提条件を思い出させる
事象6:学習の機会を与える
Confidence
事象8:学習の成果を評価する
事象9:保持と転移を高める
4. 仮説立案
NO
8
計1件
質問
次の文に対する仮説を思いつく限り挙げてみよ
ガニェの9教授事象
ARCSモデル
事象3:前提条件を思い出させる
事象6:学習の機会を与える
Confidence
事象8:学習の成果を評価する
事象9:保持と転移を高める
計
2010年11月26日
ARCSモデル
事象3:前提条件を思い出させる Attention/
事象4:新しい事項を提示する
Relevance/
事象5:学習の指針を与える
Confidence
3. 理解度チェック
NO
計1件
明治大学 阪井和男
14件
108
4.授業評価アンケート
授業の最終回で実施。'学生が獲得能力とその根拠の提示(
究極の質問:
NO
(1)
(2)
9 (3)
(4)
(5)
ガニェの9教授事象
ARCSモデル
質問
きわめて親しい友人にこの授業を勧める可
能性は10点満点でどのくらいか
その理由でもっとも大きいものは何か
自分の能力として新しく出来るようになったこ
事象8:学習の成果を評価する Satisfaction
とを洗い出し箇条書きで挙げよ
あなたのどのアウトプット'アンケート・レポー
ト・掲示板等への書き込み・授業中のディス
カッション等(のどの部分がその根拠となるか
この授業に関する感想や意見
(3)~(4)が今回追加された。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
109
Ⅵ.2010年度前期改善結果
2009年度後期との変更点
究極の質問(授業評価結果(
学習時間
学生が認識している各自の獲得能力
1.2009年度後期との変更点
2009年度後期の授業との変更点は、以下の3点。
1.
授業計画の変更
5回目の授業に、新方式のレクチャーを追加。
2. 授業方略の変更
6回目以降は、毎回ランダムな組み合わせによる尐人数ディスカッションの実施。
3.
学習者の自己調整の促進
(1) ガニェの9教授事象を参考にした補助教材の提供とレクチャー
・ 要旨のまとめ方
・ 尐人数ディスカッションのための共通フォーマットの提供
(2) 予習/復習時のアンケート実施
・ ARCSモデルを参考に、学習者に気づきを起こさせる。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
111
2.授業評価結果'究極の質問(
2009年後期: NPS = -35%
回答者数=17'100%(
批判者=9' 53%(
中立者=5'29%(
推奨者=3'18%(
2010年前期: NPS=+16%
回答者数=13'100%(
批判者=2(15%(
中立者=7'54%(
過年度の授業評価'-35%~-40%(から
比較すると、+16%は驚異的な改善!
推奨者=4'31%(
否定
中立
肯定
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
112
2.授業評価結果'究極の質問(
究極の質問:自由記述欄に書かれた回答(有効回答13/17)
ただし、学生の評価と理由が一致しているとは限らない。
カテゴリ
評価 判定
8 中立
理由
尐人数でコミュニケーションをしながら
問題解決に向かう点はこの授業以外なかったから。
対人コミュニケーション力
交渉力
問題解決力
論理的思考力が要請されるだろうと思った
クラスメイトとディベートすることで、仲も深まるし、自分とは異なるものの考え方を
見つけられるから
他人の意見と自分の意見を言い合える点がいい。自分の意見を相手が納得してく
れたらとても嬉しいし、自分が気がつかなかったことを聞くのもとても勉強になるか
みんなが積極的に参加する授業なので、得るるものはとても大きいと思うから。
6 否定
尐人数で、互いに解いた課題問題を使った深い議論ができるから。
7 中立
普段考えないような文の構造など論理的なことをじっくり考え、学ぶことができたか
普段何気なく考えていたことを、論理的に考えてみようと挑戦することが以前より多
くなったから。
論理トレーニング
自分も論理力がついたような気がしたから。
文章を論理的に捉える方法。
授業を再履修する場合に、一番重要な事は成績云々ではなく、単位が取れるかど
うか、ということになります。
その場合、一度履修して授業内容を知っている、ということは大変有利です。その
為10点としました。
確かに言語を使う身としては論理のトレーニングをし、パソコンの使い方を身につけ
ていくことは非常に有益であると思う。しかし大学生になり様々な分野の勉強をする
上で、2週間に1度でもレポートが課題として出されると負担になりやすいと思う。
プレゼンという形で発表することで、そういったことに慣れることができる点で優れて
いる授業かもしれないが、別に法学部ですべきことではないので評価は5です。
10 肯定
尐人数での
コミュニケーショ
ン
8 中立
8 中立
論理思考力の
向上
8 中立
7 中立
10 肯定
8 中立
授業内容の理解
10 肯定
課題の多さ
9 肯定
法学部では不要
5 否定
3.第4章の授業サマリ結果(抜粋(
(1)何を理解しどんな新しい知識 (2)出来るようになったことは何
が得られたか
か
1 論証図の作り方をより深く理
論証図を作るという一つの作業 解することが出来たのでこれま
でも、人によって全然考え方が でよりは論理的に考えやすく
違って様々な答えが出てくると なった。
いうこと。そして、その中でも正 2 人と話し合うことは、考えを深
しいのを導きだすにはグループ めたり、答えを出すことに有益な
などで話し合い、それぞれの考 ことであると分かり、もっと話し
え方をぶつけ合って考えていこ 合うべきだと思ったのでこれから
とが必要であるということ。
はどんどんディスカッションして
いこうと思う。
論証図は論証を
見やすくしてくれるが
1、論証図をある程度
尐し間違えると構成が
正確にかけるようになった
ガラッとかわってしまう
文章の内容に引きづられてし
まって、論理構造を的確に捉え 1、論理構造をとらえることの意
ることができませんでした。論理 識化
構造だけに着目しているつもり 2、内容にひきずられそうになっ
でも、内容にひきづられてしまう たら、内容から極力距離をとっ
おそれがあるということを再認 て俯瞰する意識をもつ。
識しました。
要約するときに、図だけ入れて
図の解説がないと、自分が改め
て見たときに図の意味が分から 1、必要に応じて例を使う
なくなってしまうので、後から見 2、図に分かりやすい解説を付
ても分かるような要約になるよう ける
に、図の作り方にも気を使わな
いといけないなと思いました。
2010年11月26日
(3)その根拠は何か
1 レポートの中で論証図を作る
時、今まで以上に簡単に作れる
ようになったと思うから。また、
その論証図を作る過程での考え
方も、今までは内容に踏み込ん
でばかりだったが、それではい
けないと分かったのでしれを改
めるようにした。
2 授業中での話し合いを今まで
以上に活発にしていこうと思った
から。
(4)その知識を成果物にどう反映
させるか
人にはそれぞれの考え方があ
る。話し合いをする時にそれぞ
れの意見がぶつかる事は当然
のことであると思われる。だけ
ど、きちんと論理的に自分の考
えた手順などを人に伝えること
が出来たなら、その人にも納得
してもらえると思う。
1、論証図を書く課題問題を結構 論証図から視覚的に
正解したから
論証を分析できる
授業中のディスカッションや教授
のアドバイスや指摘によって、
自分が気づかなかったこと(内容
にひきずられていたこと)に気づ
けたこと。
論理構造をつかむトレーニング
の際に、行き詰まったりしたら、
内容から離れる意識ができるよ
うになると思います。
今まで文章が多かったので、図
1、人が発表したパワーポイント や例を加えて、さらに分かりや
2、自分が発表した後に受ける すいプレゼンテーションができる
アドバイス
ようになるのではないかと思い
ます
明治大学 阪井和男
114
4.仮説立案結果'抜粋(
仮説
1 たばこにかけるお金のために、アルバイトなどをするために勉強時間が尐なくなってしまう。
2 たばこには中毒性があるため、吸わないとイライラするなど勉強にほとんど集中出来なくなってしまう。
3 たばこを吸わない人が勉強している時に、たばこを吸う人は喫煙で時間を消費してしまっている。
4 たばこを買うお金を多く使ってしまい、食費がなくなってしまい空腹で集中することができない。
5 たばこを買うお金により、教科書、参考書を購入出来ず、あまり勉強できない。
6 たばこを吸いすぎることにより、病気になっ
1 たばこを買うためにお金が必要なので、学業ではなく、 アルバイトなどお金を稼ぐことに時間をかけて
しまう。
2 たばこには中毒性があり、吸わないと気分がイライラしたりと 授業に集中することができない。
・A大学における調査では、喫煙学生の方が成績が悪かったが、B大学における調査では逆の結果がで
た。
・タバコの中毒性により、勉強と勉強の間の休憩(一服タイム)の回数が増えた→これにより、勉強時間が
たばこを吸っている間に授業の時間になり、遅刻して一本吸い終わってから行こうと考えるが、その後も
あと一本だけと吸っているうちに授業が終わってしまい、授業に出られない。
たばこを吸う大学生をA、吸わない大学生をBと仮定する。
・Aはタバコを吸うために、Bと同じお小遣いだが浪費が多いためよりバイトをしなければならない。
・Aはタバコを吸う事により体調を崩している可能性がある。
・Aは集中力がなくなり長時間の勉強が出来なくなっている。
・Bはタバコが悪影響だという社会常識を知っているため、Aよりも成績が良い
・Aは四六時中イライラしてしまうため、勉学に気を向けられない。
・Aは喫煙所でたむろっているうちに、喫煙仲間と仲良くなってよ
・元々成績が悪い人がタバコに手をのばしている
・成績が良い人は、タバコは学生にとってあらゆる面(勉強、周りからの目など)で支障をきたすという社会
常識を知っている
・タバコを吸ったものの、ニコチンが切れたためにまた吸いたくなり、講義に集中できない
・タバコを買うお金を得るためにアルバイトなどをすることで、講義を欠席することになる
・タバコを買うお金を得るためにアルバイトなどをすることで、勉強をする時間がない
・喫煙することで時間を勉強する時間が減る
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
115
5.獲得した能力抜粋'究極の質問より(
どのアウトプット'アンケート・レポート・掲示板等への書き込
み・授業中のディスカッション等(のどの部分がその根拠とな
1パワーポイントの技術があがった。
1隔週でレポート課題が出されたことが役に立った。
2今まで考えたことのなかったような論理的な思考で文の接続詞などを考えられるよう 2課題作成の際に課題問題を多く解いたから。
になった。
3自分のレポートを授業でプレゼンしたから。
3ある程度の人数の前で プレゼンをすることに慣れた。
4授業中に尐人数でのディスカッションの機会が多くあった
1 パワーポイントを使っての資料作成。
1 予習として作ったパワーポイントの資料。
2 パワーポイントを利用しながらのプレゼン。
2 授業中の発表時間。
3 新方式(図や表を使うことによる資料作成)を使うことができるようになったこと。
3 予習として作ったパワーポイントの資料。
4 接続関係の微妙な関係が分かるようになってきたこと。
4 授業中のディスカッション。およびレポート中。
5 論証図を作成することができるようになったこと。
5 予習として作ったパワーポイントの資料。
6 仮説形成を行うことができるようになったこと。
6 アンケート並びにレポート中。
7 他人と話し合うことにより、自分の意見をさらにまとめることができるようになったこ 7 授業中のディスカッション。
と。
8 授業中のディスカッション。。
・内容ではなく論理構造から文章を読む力
・プレゼンの資料作り
授業でのディスカッション
・チャートを使ってビジュアルに訴えて、自己主張を理解してもらう
・推測と演繹を区別する技術
1、パワーポイントの作成
1、レポート
2、理論の組み立て
2、レポートと発表とディスカッション
レポート課題が出されたことが役に立った。
エクセルもパワーポイントも初心者だった私が、
課題作成の際に課題問題を多く解いたから。
自由自在にチャートや絵で表現しながら
自分のレポートを授業でプレゼンしたから。
分かりやすいプレゼン形式にたどり着けた点。
授業中に尐人数でのディスカッションの機会が多くあっか
1:毎週のパワーポイントでの課題が役に立ったと思います。
2:毎回ではないものの前に立って発表をしたり、他の人の発
1:パワーポイントを以前より使えるようになった
表に対して意見を述べたりしていたためだと思います。
2:人前での発表ができるようになった
3:毎回グループで意見をまとめる為に話し合う機会があった
3:自分の意見を以前と比べ臆することなく言えるようになった
ため。
4:意見を述べる時に、その根拠をしっかりと考えるようになった。
4:自分と違う意見を持った相手に対して発言することが多
かったので、自分の意見の根拠をしっかりと考える機会が
自分の能力として新しく出来るようになったこと
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
116
6.履修者の感想・意見抜粋'究極の質問より(
この授業に関する感想や意見
レポート課題を前日遅くまでやったり、慣れていないプレゼンをしたり、まだあまり知らないクラスの人とディスカッショ
ンをしたりと大変なことも多くありました。
けどこの尐人数の授業でしかやれないようなことも多く、目に見える効果があるわけではありませんでしたが、将来
かならず役に立つと思える、やりがいのある授業でした。
パワーポイントを使っての予習はあんまり慣れていなかったので、最初の頃は大変でしたけど、やっていくうちに自
然と簡単に出来るようになってきたと思います。パワーポイントを使っての資料作成、プレゼンなどはこれからも多く
していくことであると思うので、それに役立つ力を身につけることが出来たのではないかと感じています。
この授業全体を通して、以前の自分に比べると論理的思考法を使うことに慣れたと思うので、これからも論理的思
考を使って物事を考えていくことが出来るようにしていきたいです。
私は高校には行ってなかったので、自分にとって勉強というのは、一人でもくもくとやるもの以外にありませんでし
た。
したがって、この授業のように学友と一緒に何かを学ぶというのは初めてだったので、とても新鮮でした。一人で勉
強してると、自分だけの狭い答えしか導き出せませんが、他の人の意見や、別の側面から問題にあたる方法に触れ
ることで、一つの問題に対し、こんなにも切り口があるんだなぁということを学ぶことができました。
初めはパワーポイントも慣れず、各章のレポートも大変でしたが、他の人のパワーポイントを参考にしたり、授業中
に紹介された新方式を使っていくうちに、プレゼンテーションを作るのもだいぶ上手になりました。
接続詞を中心として理論を組み立てていくという作業は日常生活ではなかなかやらないことだと思うので、何気なく
使っていた接続詞の個々の役割を改めて考え文章を組み立てていくのは大変であると同時に楽しかったです。
ディスカッションで他の人と意見をかわすことも、色々な意見があることや、自分とは異なる考えかたがあることを知
このじゅぎょうを受けて、自分のコミュニケーション力が大幅に向上したと思います。
これからはもっと人の前で堂々とした態度でプレゼン出来ると思います。
半年間でしたが本当にありがとうございました。
この授業を受けたことにで、今まで知らなかった知識などが身に付いた。身につけた知識はどれもこれから社会に出
て行く上で必要となるものだったのでとても有益な授業だと思った。
普段何気なく読んでいる文章にも、その中には論理的構造が隠れていて、それを読み取ることでより文章を深く読む
ことができると思うと何か嬉しいです。
この授業を受けてよかったと思います。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
117
7. 学習時間は短縮できたのか?
2009年後期: 履修者平均予習時間 = 4.1時間 (履修者19人)
2010年前期: 履修者平均予習時間 = 2.6時間 '履修者17人(
単純比較を行うと、36% 削減されている。
2010年前期は、提出課題を完成させて提出した学習者は、
半分も満たなかった。そして、今回は授業評価のNPSは、+16%
'尐人数ディスカッションがプラス評価の原因(
これに対し2009年後期は、ほぼ全員が最後まで課題を完成させている。
しかし、NPSは、-35%。'マイナス要因は学習時間量の多さ(
取得済みのデータからだけでは単純比較はできない。
2009年度後期と、2010年度前期の学生間の比較も必要だが
2010年度前期の学生が他の授業でも同じような行動をとって
いるのか確認は必要である。
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
118
今後の課題
1.獲得能力分類'Can-Doリスト(の検証
番号
区分
1 presen
2 presen
3 presen
4 presen
5 presen
6 discuss
7 discuss
8 discuss
9 thinking
10 thinking
11 thinking
12 thinking
13 thinking-skill
14 thinking-skill
15 thinking-skill
16 thinking-skill
17 pc-skill
18 pc-skill
19 pc-skill
20 pc-skill
21 pc-skill
22 pc-skill
23 summary
2010年11月26日
24 summary
内容
人のプレゼンを見てプレゼンテーションソフトの新しい使い方を学ぶことができる
プレゼンテーションソフトを使って人前で自分の意見をプレゼンすることができる
自分の意見を人前で臆ぜずに発表することができる
自分の意見を述べるときに根拠を考えることができる
他の人のレポートやプレゼンテーションを見て,よい点や改良できる点を考えることができる
ディスカッションで自分の意見を述べることができる
自分と異なる人の意見の重要性を理解することができる
人の意見を尊重して自分の意見を深めることができる
内容以上に文章の論理構造が重要であることを認識できる
文章の内容に引きずられずに文と文の論理的構造を解き明かすことができる
ひとつの論証にたいして他の論証の可能性を考えることができる
「なぜ」の問いかけにたいして論証図を用いて「なぜなら」と答えることができる
接続詞に注目して文章の構造を捉えることができる
論証図を作成することができる
仮説形成を行うことができる
推測と演繹を区別することができる
表計算ソフトを使って表形式でデータを整理することができる
プレゼンテーションソフトや表計算ソフトのデータを互いに移行させることができる
チャートや絵を使いこなしてビジュアルなプレゼンテーション資料を作成できる
レイアウトの仕方に気を配って分かりやすいプレゼンテーション資料を作成できる
プレゼンテーションソフトを使ってプレゼン資料を作成することができる
箇条書きと表や図などを適切に使い分けてプレゼンテーション資料を作ることができる
毎回の授業内容から得られた知識を適確な文章として要約することができる
120
明治大学 阪井和男
毎回の授業内容から得られた知識の意味を見出すことができる
今後の課題
2.学生は能力をどのように獲得してゆくのか?
3.同じ学生を継続してウォッチする仕組み
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
121
Can-Doリスト'受講前用(
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
122
Can-Doリスト回答'受講前用(
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
123
Can-Doリスト回答'受講前用(
番号
区分
1 presen
2 presen
3 presen
4 presen
5 presen
6 discuss
7 discuss
8 discuss
9 thinking
10 thinking
11 thinking
12 thinking
13 thinking-skill
14 thinking-skill
15 thinking-skill
16 thinking-skill
17 pc-skill
18 pc-skill
19 pc-skill
20 pc-skill
21 pc-skill
22 pc-skill
23 summary
2010年11月26日
24 summary
内容
NPS
人のプレゼンを見てプレゼンテーションソフトの新しい使い方を学ぶことができる
-12%
プレゼンテーションソフトを使って人前で自分の意見をプレゼンすることができる
-26%
自分の意見を人前で臆ぜずに発表することができる
-25%
自分の意見を述べるときに根拠を考えることができる
-56%
他の人のレポートやプレゼンテーションを見て,よい点や改良できる点を考えることができる
-19%
ディスカッションで自分の意見を述べることができる
-44%
自分と異なる人の意見の重要性を理解することができる
+19%
人の意見を尊重して自分の意見を深めることができる
-6%
内容以上に文章の論理構造が重要であることを認識できる
-18%
文章の内容に引きずられずに文と文の論理的構造を解き明かすことができる
-49%
ひとつの論証にたいして他の論証の可能性を考えることができる
-70%
「なぜ」の問いかけにたいして論証図を用いて「なぜなら」と答えることができる
-76%
接続詞に注目して文章の構造を捉えることができる
-44%
論証図を作成することができる
-98%
仮説形成を行うことができる
-69%
推測と演繹を区別することができる
-76%
表計算ソフトを使って表形式でデータを整理することができる
-83%
プレゼンテーションソフトや表計算ソフトのデータを互いに移行させることができる
-99%
チャートや絵を使いこなしてビジュアルなプレゼンテーション資料を作成できる
-56%
レイアウトの仕方に気を配って分かりやすいプレゼンテーション資料を作成できる
-72%
プレゼンテーションソフトを使ってプレゼン資料を作成することができる
-50%
箇条書きと表や図などを適切に使い分けてプレゼンテーション資料を作ることができる
-64%
毎回の授業内容から得られた知識を適確な文章として要約することができる
-44%
124
明治大学 阪井和男
毎回の授業内容から得られた知識の意味を見出すことができる
-12%
Can-Doリスト'受講後用(
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
125
今後の課題
4.知識や能力をどう使うべきか
獲得した知識や能力は,手段にしか過ぎない

何にどう使うか何に使ってはいけないか?


倫理の問題:倫理に反する使い方をしない!
使った反作用からどう身を守るか?

心理の問題:心の受け身の仕方を学ぶ!
 質問で得た知識や能力の社会的な意味を問う!
社会的ジレンマ状況を設定して,学生に議論させることで,ジレンマを
解消するための考え方を身につけさせる!

教養=市民社会の成立によって「公の立場」と「私の立場」に引き裂か
れた人間に、「人間性を統合しておくために必要な能力」として要請さ
れたのが「教養」という概念*
*清水真木,『これが「教養」だ』,新潮新書 361,新潮社,2010年4月20日.
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
126
補遺:
ケータイツールの紹介
リトルフィート


リトルフィート http://littlefeat.jp/
申込方法:



和泉・神田の教育メディアグループへどうぞ
試行:2002年
参考URL:

「2004年報道記録一覧」,川島高峰政治学研究室,
http://www.isc.meiji.ac.jp/~takane/whoetc/media-2004.html


携帯講義が世に初登場した頃の報道をまとめて紹介.明治大学は携帯の
教育活用発祥の地のひとつ
川島高峰,「“携帯電話”で授業活性化」,NHK『おはよう日本』,2004年
7月13日,午前5時40分・6時40分
http://www.isc.meiji.ac.jp/~takane/pic/040713_NHK.mpg
2010年11月26日
明治大学 阪井和男
128
ネットマン


C-Learning http://www.c-learning.jp/
申込方法:


無料IDのお申し込み http://c-learning.jp/Liaison/Entry.php
出荷:2001年8月



滋賀大学'受注:2001年秋(
仏教大学'受注:2001年秋,実施:2002年5月(

http://www.bukkyo-u.ac.jp/jssep5/pdf/HARAkiyoharu-Workshop.pdf

望月紫帄・西之園晴夫・宮田仁,「協調自律学習の質保証の方法の分析と
考察」 http://www.umanabi.org/nc/include/netcommons_file.php?path=/announcement/1/200602-mochizuki.pdf.pdf
東京工学院専門学校'導入:2001年秋,実施:2002年6月(

2010年11月26日
http://www.t-style.nttdocomo.co.jp/jirei/tokyokougakuin/tokyokougakuin.htm
明治大学 阪井和男
129
ICT活用教育研究所

ICT活用教育研究所 http://www.el-labo.jp/
 ケータイ活用

http://www.el-labo.jp/keitai.asp
 ケータイによる簡易アンケートシステム

http://www.el-labo.jp/keitai_syousai.html
 一斉授業支援システム「レクチャーエイド」

2010年11月26日
http://www.el-labo.jp/lecture_aid.html
明治大学 阪井和男
130
おわり