78-92

7. 参考資料
7.1 冷凍の原理
冷凍サイクルのしくみ
冷凍サイクル概念
(冷房時)
凝縮器
[室外側熱交換器]
高温高圧のガス冷媒は、
ここで空気に熱を移して
(冷却されて)、高圧常温
の液冷媒となる。
蒸発器(冷却器)
[室内側熱交換器]
低圧液冷媒は、ここで空
気(水蒸気とも)から熱を
受けて蒸発し、低圧ガス
冷媒となる。
空気中の水蒸気は熱をと
られて水滴となる。
(ドレン水)
圧縮機
冷媒を循環させ、冷媒回路の圧力に高低差をつける。
圧縮熱は、
ここで冷媒に移る。
冷凍サイクル概念
(暖房時)
蒸発器
(冷却器)
凝縮器
[室外側熱交換器]
低圧液冷媒は、ここで空
気(水蒸気とも)から熱を
受けて蒸発し、低圧ガス
冷媒となる。
室 外 空 気 中 の 水 蒸 気は
冷媒に熱を移して(冷却
されて)、水滴となるか、
霜となってフィンに付着
する。
[室内側熱交換器]
高温高圧のガス冷媒は、
ここで空気に熱を移して
(空気を加熱して)、高圧
常温の液冷媒となる。
室内空気に移る熱は、
室外空気の熱+圧縮熱
の合計である。
四方弁
冷媒回路を切り替え、
冷媒の流れを逆にする。
室内・外空気間の熱移動
《冷房運動》
《暖房運動(ヒートポンプ)》
注:特記以外、
冷房運転と同じ
参考資料
圧縮機の消費電力は熱と
なって、そのほとんどは
[冷媒]に移る。
78
7.2 運転中の冷房・暖房能力計算
(1) − (モリエル)線図の構成と冷凍サイクル計算 過熱蒸気
等圧線
等温線
飽和蒸気
→比エンタルピー
これより − 線図の構成について、図 7-2 の R22 − 線図によって説明する。
等
比
エ
ン
ト
ロ
ピ
ー
線
過冷却液
線
等比エンタルピー線
K 臨界点
等乾
き度
線
構成要素 ; 等圧線、等温線、等比エンタルピー線、等比エ
ントロピー線、飽和温度、飽和蒸気線、飽和液線、
等乾き度線、等比体積線
湿り蒸気
飽和
液線
− 線図は、いわば冷媒の地図であり、冷媒の熱力学
的性質
(圧力、温度、熱量等)を表している。この − 線
図を使い熱計算する事によって、冷凍機の大きさ、冷凍能
力、凝縮熱量等が分かる。また − 線図を読む事により、
冷凍装置の運転状態が把握できる。図 7-1 は − 線図の
構成略図である。縦軸に圧力、横軸には比エンタルピーが
目盛ってある。この − 線図は次のように構成されてい
る。
→圧力(MPa)
■ − 線図の構成
線
体積
等比
(kJ/kg)
図 7-1 − 線図の構成
①等圧線
等圧線は線図の縦軸の圧力目盛
(対数目盛り)に水平なる線で示す。この等圧線上の点は、全て圧力が等しい。
ー
比
エ
ン
ト
ロ
ピ
等温線
線
き度
線
等比体積
等乾
等温線
飽和
液
線
蒸気
線
等
等温線
飽和
→圧力(MPa)
等圧線
線
等比エンタルピー線
②等温線
等温線は、
冷媒の同一温度の状態を示す、等温線上の点は全て温度が等しい。飽和液線と飽和蒸気線との間の領域では、
冷媒の圧力と温度の関係が一定で、圧力が定まれば温度が定まり、温度が定まれば圧力が定まるので等温線は等圧線
に平行である。従って、特に等温線は示していないが、飽和液線と飽和蒸気線には温度が示されている。
飽和液線より左の液化冷媒の領域では等温線は上下に引かれ、等比エンタルピー線とほとんど平行になっている。乾
き飽和蒸気線の右側、過熱蒸気の領域では、等温線は多少湾曲し、右下方向となっている。
参考資料
→比エンタルピー
(kJ/kg)
図 7-2 − 線図
③等比エンタルピー線
等比エンタルピー線は線図の横軸の比エンタルピー目盛りより垂直な縦軸で示す。この比エンタルピー線上の点は、
すべて同じ比エンタルピーの状態で示す。0℃の飽和液のエンタルピーを 200kJ / kg としている。
④等比エントロピー線
− 線図上には乾き飽和蒸気線から右の領域には、右上に向かって傾斜の大きい多くの実線がある。これが等比エ
ントロピー線である。冷媒蒸気が断熱圧縮されたときには、蒸気は等比エントロピー線に沿って圧力、温度、比体積
が変化する等エントロピー変化を示す。
79
⑤飽和温度
飽和温度は、飽和蒸気線と飽和液線の線上に示され、冷媒の飽和圧力に対する飽和温度を示している。例えば 1.564
MPa の等圧線と飽和液線または飽和蒸気線の交点が飽和温度の 40℃を示す。
⑥飽和蒸気線
飽和蒸気線は − 線の中央より右側にある曲線で液から蒸発した冷媒蒸気、すなわち乾き飽和蒸気の状態は、この
線図上に示される。この線より右の領域は、いわゆる過熱蒸気(図 7-3 参照)を示し、同じ圧力の下では乾き飽和蒸
気よりも温度が高い。
⑦飽和液線
飽和液線は、線図の左側において左下から右上がりの曲線で示され、冷媒がまさに沸騰しようとしている、飽和液の
状態を示す。例えば冷媒 R22 の圧力が 0.5MPa で沸騰しようとしている液は 0.5MPa をしめす等圧線と飽和液線
の交点で示され、この状態点のエンタルピーは 200kJ/kg である。なお飽和液線より左の領域は過冷却液の状態を
示し、右の領域は、液と蒸気の混合した状態、即ち湿り蒸気の状態を示す。
⑧等乾き度線
湿り蒸気の領域で乾き度が一定の点を結んだ曲線である。乾き度は湿り蒸気 1kg 中に含まれる乾き飽和蒸気の重量
の割合を示す値で、全て乾き飽和蒸気であれば乾き度 1 である。乾き度 0.3 であれば、湿り蒸気 1kg 中の 30%が
乾き飽和蒸気、70%が飽和液であることを示している。この場合 x = 0.3kg/kg あるいは単に x = 0.3 と表し、
液分は(1− x )kg/kg とし、この( x)
が乾き度になる。線図上では湿り蒸気の領域に等乾き度線が描かれ、線の上に
乾き度の値が示されている。
気線
湿
り
蒸
気
乾き飽
和蒸
液線
過
冷
却
液
飽和
→圧力
⑨等比体積線
等比体積線は、冷媒の比体積が等しい点を結んで出来た曲線である。 − 線図では、湿り蒸気と過熱蒸気の領域に
この比体積線が描かれているものと、湿り蒸気の領域は、省略してあるものとがある。図 7-2 の線図では過熱蒸気の
領域に飽和蒸気線上から右上がりに等比体積線が描かれている。例えば比体積 = 0.05m³/kg では、冷媒 1kg に
つき体積 0.05m³ であることを示している。比体積は下側の方向ほどその値が大きくなる。即ち、
密度が小さくなり、
蒸気は軽くなる。
過
熱
蒸
気
→比エンタルピー
図 7-3 飽和液線と乾き飽和蒸気線
■モリエル線図上での冷凍サイクル
冷凍サイクルにおける冷媒の状態変化の様子の一例を次に示します。
【モリエル線図上での冷媒の状態変化 [ 冷凍サイクル・理論値 ]】
①の状態で圧縮機に吸入されたガス冷媒は、圧縮されて圧力・温度・エンタルピとも上昇、増加し、②の状態で圧縮機
から吐出されます。吐出された冷媒は、吐出配管・凝縮器を通るとき冷却されて凝縮し、液冷媒となって③の状態となり、
毛細管で圧力が下がって④の状態となって蒸発器に入り、熱を受けて逐次ガス化し、①となって圧縮機に吸入されます。
5.0
過冷却度
参考資料
③
②
凝縮
P(MPa)
2.0
膨張
過熱度
圧縮
1.0
④
蒸発
①
0.5
0.2
50
100
150
200
250
300
h(kJ/kg)
80
350
400
450
500
図 7-4 R410A の − 線図
81
参考資料
(2)空調システムと空気線図 ■運転中の冷房能力計算
運転中のエアコンの冷房能力を知り、同じ条件で能力線図から得られる予想冷房能力と比較して、エアコン運転状態の
良否を判定します。
運転中の冷房能力計算データ
’
₁
₂
’
₂
分
変化
顕熱
ⓑ
₁ − ₂)
₂
:冷房能力〈kW〉
図 7-5
1
9
.5
5.3
₁=5
.5
3
1
’
₂=
ⓐ
ⓑ
₁ = 55.3〈kJ/kg′〉
₂ = 37.7〈kJ/kg′〉
₂=0
₂ = 0.835〈m³/kg′〉
5
.83
よって、
7.7
(例)吸込空気 乾球温度 27.0℃
湿球温度 19.5℃
吹出空気 乾球温度 18.0℃
湿球温度 13.5℃
風量 30m³/min
運転中の冷房能力計算データ例
₂=3
60 :単位
〈s/min〉
、風量の単位
〈m³/s〉
のとき、この 60 は不要。
風量:単位
〈m³/min〉
( または〈m³/s〉
)エアコンにダクトを接続しないとき
は、他に問題が無ければ定格風量でもよい。
₂ :吹出空気の比体積
(解)空気線図により、
₁
’
₁=
風量
= ×(
60 × ₂
ⓐ
₂
(解)運転中のエアコンの吹出空気、吸込空気(エアコンに外気を取入れる
ときは、室外空気と室内空気)の乾球・湿球温度を正確に計測し
(各々、
2組以上の乾湿計を用いること)
、空気線図により、冷却器吸込空気ⓐ
のエンタルピー ₁、吹出空気ⓑのエンタルピー ₂ と比体積 ₂ を求め、
次の計算式で運転中の冷房能力を計算します。
₁
を満足し、且つ他の判定項目に異常がなければエアコンは正常に働いている
と判定します。
潜熱
変化
分
運転中の冷房能力
≧ 0.8
予想冷房能力
₂=18.0
30
= ×(55.3 − 37.7)≒ 10.5〈kW〉
60 × 0.835
₁=27.0
図 7-6
■運転中の暖房能力計算
運転中のエアコンの暖房能力を知り、前項と同様な手法で、エアコンの運転状態の良否を判定する。
風量
× ×(
60 × ₂
₂ − ₁)
₂
〈kW〉
H : 暖房能力
60 : 単位〈s/min〉、風量の単位が
〈m³/s〉
のとき、この 60 は不要。
風量 : 単位〈m³/min〉
(または
〈m³/s〉)
’
₁
H=
運転中の暖房能力計算データ
’
₂
(解)運転中のエアコンの空気条件を前項と同様に測定する。加湿器が組込
んであるときはその作動は停止させておき、加湿器等による湿度変化
は無いものとします。空気線図により、
吹出空気ⓐの比体積 ₂ を知り、
加熱器入口空気ⓑの乾球温度 ₁、吹出空気ⓐの乾球温度 ₂ により次の
式で運転中の暖房能力を計算する。
ⓐ
ⓑ
: 空気の定圧比熱〈kJ/kg・K〉≒ 1.006〈kJ/kg・K〉のため計算上は
1 として省略して可
₁
₂ :吹出空気の比体積〈m³/kg′〉
.1
0
2
14
₁=
’
3
82
.0
.89
(解)空気線図により、 ₂ = 0.893〈m³/kg′〉
よって
40
H = ×(38.5 − 21.0)≒ 13.1〈kW〉
60 × 0.893
運転中の暖房能力計算データ例
₂=0
(例)吸込空気 乾球温度 21.0℃
湿球温度 14.0℃
吹出空気 乾球温度 38.5℃
湿球温度 20.1℃
風量 40m³/min
組込電熱器 2 kW 不作動
図 7-7
’
₂=
参考資料
ただし、補助電熱器を組込んであるヒートポンプタイプのエアコンのヒート
ポンプ暖房のみの暖房能力は、補助電熱器が作動していないことを確認した
上で、必要な計測を行なう。
₂
ⓐ
ⓑ
₁=21.0
図 7-8
₂=38.5
?
MI
N
=M
EC
=
?
Ḩ
ᐲ
Ȁ
ኻ
⋧
V
=͠
Ḩ⃿
?
᷷ᐲ
ੇ⃿᷷ᐲV=͠?
6(7,+6#
ᲧኈⓍǵ=OMI
&#?
㗼ᾲᲧ5*(
⛘ኻḨᐲǿ=MIMI
&#?
ࡦ
࠲
࡞ࡇ
᳖
᳓
?
࡞
ࡇ
ࠛ
ࡦ࠲
ࠛ
Ყ
線図(日本冷凍協会 ,1994)
Ყ
MI
=M
Ǵ
Z
−
JF
L
㧩F
㧙
㧙
㧙
rп
‫ޓ‬Ǵ
㧙
࡯
J
=M
E
࡯
CN
MI
J
=M
&#
L
?
MI
&#
?
ಽᲧ
図 7-9 湿り空気
ᾲ᳓
࿶ജM2C㧘Ḩᐲ㨪͠
㧙
Ḩࠅⓨ᳇JZ✢࿑
㧙
㧙
㧙
rп
83
参考資料
■能力線図の見方
冷房・暖房定格値は、JIS B8616 の条件で、冷媒配管 7.5 mにおける値を示しています。
能力線図は、定格値を1としたときの温度条件変化による比率を示します。
運転条件が異なる場合は能力線図を利用して、補正値を求めることができます。
なお、暖房については、室外吸込空気温度 4℃ WB 以上は、暖房標準条件を1、室外吸込空気温度 4℃ WB 未満は、
暖房低温条件を1とした能力線図を用いて補正値を求めてください。
【能力試験温度条件】 JISB8615-1、B8615-2 による。
項目
試験条件
冷房標準
暖房標準
暖房低温
乾球温度
27
20
20
湿球温度
19
15
15
乾球温度
35
7
2
湿球温度
24
6
1
室内側吸込空気温度
(℃)
室外側吸込空気温度
(℃)
【算出例】
MPLZ-WRP140BK を下記条件で運転した場合の能力・入力を求める。
冷房条件 室内 27℃ DB 22℃ WB(RH=65%)
室外 38℃ WB
暖房条件 室内 20℃ DB
室外 6℃ DB/5℃ WB
【手順】
1. 冷房能力線図、暖房能力線図、暖房低温能力線図より能力比、入力比を求めます。
冷房能力線図において室外吸込空気乾球温度 38℃
(①)
と室外吸込湿球温度 22℃ WB の交点(②)
より能力比 1.10
(③)を求めます。
冷房入力線図において室外吸込空気乾球温度 38℃(④)
と室外吸込湿球温度 22℃ WB の交点(⑤)
より入力比 1.08
(⑥)を求めます。
暖房の場合、室外吸込湿球温度が 4℃ WB 以上の場合、暖房標準条件基準の線図、室外吸込湿球温度が 4℃ WB 未満
の場合、暖房低温条件基準の線図で能力比、入力比を求めます。
上記条件の場合、室外吸込湿球温度が 5℃なので、暖房標準条件基準の線図を利用
暖房能力線図において室外吸込空気湿球温度 5℃ WB
(⑦)と室内吸込乾球温度 20℃ DB の交点
(⑧)より能力比
0.97
(⑨)を求めます。
暖房入力線図において室外吸込空気湿球温度 5℃ WB
(⑩)と室内吸込乾球温度 20℃ DB の交点
(⑪)より入力比
0.98
(⑫)
を求めます。
2. MPLZ-WRP140BK のカタログ、仕様書より、定格能力、入力値を確認します。
定格冷房能力
12.5kW
定格冷房入力
3.46kW
定格暖房能力
14.0kW
定格暖房入力
3.42kW
参考資料
3. 求める能力、入力は次のようになります。
空気条件補正後冷房能力 = 能力比×定格能力 =1.10 × 12.5=13.75kW
空気条件補正後冷房入力 = 入力比×定格入力 =1.08 × 3.46=3.74kW
空気条件補正後暖房能力 = 能力比×定格能力 =0.97 × 14.0=13.58kW
空気条件補正後暖房入力 = 入力比×定格入力 =0.98 × 3.42=3.35kW
84
(冷房能力線図)MPUZ-WRP・HA5,MPU(Z)
-P・HA5
(冷房入力線図)
MPUZ-WRP・HA5,MPU(Z)
-P・HA5
1.4
1.2
室内吸込空気湿球温度<℃WB>
⑥
22
1.0
20
18
0.8
16
0.8
0.6
-5
22
20
18
16
1.0
②
③
冷房入力比
冷房能力比
1.2
⑤
室内吸込空気湿球温度<℃WB>
0
5
10
15
20
25
30
35
0.6
0.4
-5
① 40
0
5
10
15
20
25
30
35
④ 40
室外吸込空気乾球温度<℃DB>
室外吸込空気乾球温度<℃DB>
注)
本線図は、圧縮機運転周波数一定の場合を示します。
(暖房能力線図)MPUZ-WRP・HA5、MPU(Z)-P・HA5
※暖房低温条件時を1としたときの能力比を示します。
※暖房標準条件時を1としたときの能力比を示します。
1.2
1.4
1.1
室内吸込空気乾球温度<℃DB>
1.3
20
1.2
25
0.9
0.8
0.7
室内吸込空気乾球温度<℃DB>
15
20
25
1.1
暖房能力比
暖房能力比
1
15
1
⑨
⑧
0.9
0.8
0.7
0.6
0.6
0.5
0.4
-20
0.5
-15
-10
-5
0.4
0
4
⑦
室外吸込空気湿球温度<℃WB>
9
14
室外吸込空気湿球温度<℃WB>
(暖房入力線図)MPUZ-WRP・HA5、MPU(Z)-P・HA5
※暖房低温条件時を1としたときの能力比を示します。
※暖房標準条件時を1としたときの能力比を示します。
1.2
1.4
1.1
25
20
1.2
15
1.1
暖房入力比
暖房入力比
1
0.9
室内吸込空気乾球温度<℃DB>
1.3
25
室内吸込空気乾球温度<℃DB>
20
15
⑪
1
⑫
0.8
0.7
0.9
0.8
0.7
0.6
0.6
0.5
0.4
-20
0.5
0.4
-15
-10
-5
0
室外吸込空気湿球温度<℃WB>
4
⑩
9
14
室外吸込空気湿球温度<℃WB>
(MPUZ-P・HA5 形は、室外吸込湿球温度− 12℃以上)
参考資料
85
■能力判定
測定誤差、装置のバラツキなど考慮し、実測値から空気線図を用いて計算した運転中の能力と、その使用条件
(室外・室
内の吸込空気温度)から能力線図
(図 7-10)を用いて算出した能力比及び冷媒配管表による能力比
(図 7-11)による予想
冷・暖房能力(その使用条件で本来発揮すべき冷・暖房能力)
を比較判定します。
尚、各機種ごとの能力線図及び冷媒配管表による能力減少曲線は弊社の技術マニュアルに記載されています。
①判定
運転中の冷・暖房能力
≧ 0.8 なら良。
予想冷・暖房能力 (但し、他の全ての測定項目に異常のない事)
1.4
②例題
パ ッ ケ ー ジ エ ア コ ン は 定 格 能 力( カ タ ロ グ 表 示 )を
12.5kW
(MPLZ-WRP140BK)としたとき、このエ
アコンの良否を判定しなさい。但し冷媒配管相当表は
45m とする。
室外側吸込空気乾球温度
(DB)・・・・ 35℃
室内の吸込空気湿球温度(WB)・・・・19.5℃
使用地区 ・・・・60Hz
運転中の冷房能力 ・・・・10.5Kw
(例題の解)
能力線図
(図 7-10 及び図 7-11)
から予想冷房能力は
12.5 × 1.03 × 0.87 = 11.2kW
判定:10.5/11.2 = 0.94 で判定値 0.8 より大。
従って能力は良と判定。
室
室内
内吸
吸込込
空空
気気
湿湿
球温
球度
温<度
℃<
W℃
B>
W
能
力 1.2
比
1.03
B>
22
20
18
16
1.0
0.8
1.2
B>
W
B>
D℃
℃<
温<度
球度
湿
球温
湿
気
気
空
吸込込空
内吸
内
1.0
22
20
18
16
室
入 0.8
力
比
0.6
0.4
-5
0
20
10
30
35
40 43
室外吸込空気乾球温度<℃DB>
図 7-10 パッケージエアコンの冷房能力線図例
(機種により異なります)
冷房
暖房
100
P40∼160形
(P40∼80形は55m以下)
95
P40・45形
参考資料
能力比[%]
90
P50・80形
P63形
85
P56・112形
(P40∼80形は55m以下)
80
P140形
75
P160形
70
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
65
70
75
80
配管相当長[m]
図 7-11 パッケージエアコンの冷媒配管による能力減少例
(年度により異なります)
86
MEMO
87
冷媒物性値《温度−飽和圧力 早見表》
R22
R407C
R410A
R22
R407C
R410A
温度
飽和圧力
飽和圧力 [MPa]
飽和圧力 [MPa]
温度
飽和圧力
飽和圧力 [MPa]
飽和圧力 [MPa]
[℃ ]
[MPa]
飽和液
飽和ガス
飽和液
飽和ガス
[℃ ]
[MPa]
飽和液
飽和ガス
飽和液
飽和ガス
-30
-29
-28
-27
-26
-25
-24
-23
-22
-21
-20
-19
-18
-17
-16
-15
-14
-13
-12
-11
-10
-9
-8
-7
-6
-5
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
0.063
0.070
0.077
0.084
0.092
0.100
0.108
0.117
0.126
0.135
0.144
0.154
0.163
0.174
0.184
0.195
0.206
0.217
0.229
0.241
0.253
0.266
0.279
0.293
0.306
0.320
0.335
0.350
0.365
0.381
0.397
0.413
0.430
0.447
0.465
0.483
0.501
0.520
0.540
0.559
0.580
0.600
0.622
0.643
0.665
0.688
0.711
0.735
0.086
0.094
0.102
0.111
0.119
0.129
0.138
0.148
0.158
0.168
0.179
0.190
0.201
0.212
0.224
0.237
0.249
0.262
0.276
0.289
0.303
0.318
0.333
0.348
0.364
0.380
0.396
0.413
0.431
0.448
0.467
0.485
0.504
0.524
0.544
0.565
0.586
0.607
0.629
0.652
0.675
0.699
0.723
0.748
0.773
0.799
0.825
0.852
0.037
0.044
0.051
0.057
0.065
0.072
0.080
0.088
0.096
0.105
0.113
0.122
0.132
0.142
0.152
0.162
0.173
0.183
0.195
0.206
0.218
0.231
0.244
0.257
0.270
0.284
0.298
0.313
0.328
0.343
0.359
0.376
0.393
0.410
0.427
0.446
0.464
0.483
0.503
0.523
0.544
0.565
0.586
0.608
0.631
0.654
0.678
0.702
0.169
0.180
0.192
0.204
0.216
0.229
0.242
0.256
0.270
0.284
0.299
0.315
0.330
0.347
0.363
0.380
0.398
0.416
0.435
0.454
0.473
0.493
0.514
0.535
0.557
0.579
0.602
0.626
0.650
0.674
0.699
0.725
0.752
0.779
0.807
0.835
0.864
0.894
0.924
0.955
0.987
1.020
1.053
1.087
1.122
1.157
1.193
1.230
0.168
0.179
0.191
0.203
0.215
0.228
0.241
0.255
0.269
0.283
0.298
0.313
0.329
0.345
0.362
0.379
0.396
0.414
0.433
0.452
0.471
0.491
0.512
0.533
0.555
0.577
0.600
0.623
0.647
0.672
0.697
0.722
0.749
0.776
0.804
0.832
0.861
0.890
0.921
0.952
0.983
1.016
1.049
1.083
1.118
1.153
1.189
1.226
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
0.759
0.784
0.809
0.834
0.861
0.887
0.915
0.943
0.971
1.000
1.030
1.060
1.091
1.122
1.154
1.186
1.220
1.253
1.288
1.323
1.359
1.395
1.432
1.470
1.508
1.548
1.587
1.628
1.669
1.711
1.754
1.797
1.841
1.886
1.932
1.978
2.026
2.074
2.123
2.172
2.223
2.274
2.326
2.379
2.433
2.488
2.543
2.600
0.879
0.908
0.936
0.966
0.995
1.026
1.057
1.089
1.121
1.155
1.188
1.223
1.258
1.294
1.330
1.367
1.405
1.444
1.483
1.523
1.564
1.605
1.648
1.691
1.735
1.779
1.825
1.871
1.918
1.966
2.015
2.064
2.115
2.166
2.218
2.271
2.325
2.380
2.436
2.492
2.550
2.608
2.668
2.728
2.790
2.852
2.916
2.980
0.727
0.753
0.779
0.806
0.833
0.861
0.890
0.919
0.949
0.979
1.010
1.042
1.075
1.108
1.142
1.176
1.212
1.248
1.285
1.322
1.361
1.400
1.440
1.481
1.522
1.565
1.608
1.652
1.697
1.743
1.790
1.838
1.886
1.936
1.987
2.038
2.091
2.144
2.199
2.254
2.311
2.369
2.427
2.487
2.548
2.611
2.674
2.739
1.268
1.307
1.346
1.387
1.428
1.470
1.512
1.556
1.601
1.646
1.693
1.740
1.788
1.837
1.887
1.938
1.990
2.044
2.098
2.153
2.209
2.266
2.324
2.384
2.444
2.506
2.568
2.632
2.697
2.763
2.831
2.899
2.969
3.040
3.113
3.186
3.261
3.338
3.415
3.495
3.575
3.657
3.741
3.825
3.912
4.000
4.090
4.181
1.264
1.302
1.342
1.382
1.423
1.465
1.507
1.551
1.595
1.641
1.687
1.734
1.782
1.831
1.881
1.932
1.984
2.037
2.091
2.146
2.202
2.259
2.317
2.377
2.437
2.498
2.561
2.625
2.690
2.756
2.823
2.892
2.962
3.033
3.105
3.179
3.254
3.330
3.408
3.487
3.567
3.649
3.733
3.818
3.905
3.993
4.083
4.175
(REFPROP Ver7.0)
(圧力はゲージ圧力)
88
《携帯電話》点検コード検索サービス
携帯電話だから、現地での製品の前で点検内容をらくらく検索。
http://www.MitsubishiElectric.co.jp/wink_doc/tc/
㩷
バーコード読取機能に対応した携帯電話をお持ちの方は、こちらからアクセスできます。
対応携帯電話
DoCoMo(iモード)、SoftBank(Yahoo!ケータイ)、au・Tu-Ka(EZweb)
対象機種
スリムエアコン、ビル用マルチエアコン、冷凍機、クーリングユニット、
ショーケース、エコキュート
操作方法
(スリムエアコンA制御機種の点検コード検索例)
ここがポイント
(1)初期画面
「スリムエアコン」を
選択して確定します。
(2)機種選択
「現行品」を選択して
確定します。
(3)異常コード選択
内容を調べたい異常
コードを選択して
確定します。
(4)内容確認
異常内容と簡易点検
内容を見ることが
できます。
89
A 制御点検コード表<簡易点検用>
異 常 内 容
リモコン通信・受信異常
●
●
リモコン通信・受信異常
●
●
リモコン通信・受信異常
●
●
E5
リモコン通信・受信異常
●
●
E6
内外通信・受信異常
●
●
内外通信・受信異常
●
●
内外通信・受信異常
●
●
内外通信・受信異常
●
●
E0
E3
3回
点滅
E4
E7
2回
点滅
E8
E9
2回
点滅
内外接続誤配線
●
●
内外接続誤配線(テレコ、外れ)
●
●
Ec
立上げ時間オーバー
●
●
EE
組合わせ異常
●
●
EA
1回
点滅
Eb
4回
点滅
EF
5回
点滅
Ed
E1
E2
ー
ー
①リモコン 2 台以上のとき、主・従設定はされて
いますか ?
②電線は指定の 2 芯を使用していますか ?
(0.3 ∼ 1.25mm²)3 芯以上は NG
シールドケーブルは NG
室内
室外
室内
室外
①内外接続線の緩み・誤配線
②電線は 3 芯 VVF を使用していますか ?
(電源重畳の場合)
③内外接続線の途中接続をしていませんか ?
④内外接続線に雨水がかかっていませんか ?
⑤室外基板上のヒューズが溶断
⑥コネクタの緩み、外れ
①室内機と室外機の組合せを確認
●
M-NET アダプター間通信異常
●
●
シリアル通信異常
ー
●
リモコン H/W 異常
●
● リモコン ①リモコン交換
室外
検出
ユニット
インバータ
異 常 内 容
一定速
リモコン
表示
室外表示
①M-NET 系のリモコン、集中管理システムの異常表示確認
①室外コントローラーボードと M-NET 基板間コネクタの外れ
①室外パワー基板と室外制御基板間のコネクタ外れ
簡易点検箇所
①電源と内外接続線の入れ違い
②逆相 → 室外電源端子 R・T 相入替え
③電源電圧は 3 相とも同電圧ですか ?
①室外電源端子台 T 相の緩み
②電源電圧は 3 相とも同電圧ですか ?
①室外基板コネクタ(63L)の外れ
②低圧圧力スイッチ(63L)端子外れ
①室外基板コネクタ(63H)の外れ
②高圧圧力スイッチ(63H)端子外れ
逆相検知・電源と内外接続テレコ
●
−
欠相検知(T 相が欠相の場合)
●
−
コネクタ(63L)オープン
●
●
コネクタ(63H)オープン
●
●
F9
コネクタ 2 本以上オープン
●
●
F7
逆相検知回路(基板)不良
●
−
入力回路
(基板)不良
●
●
室内制御基板異常
●
●
①室内制御基板交換
吸込みセンサー異常
●
●
①室内基板 CN20 コネクタの外れ
配管(液管)センサー異常
●
●
①室内基板 CN21 コネクタの外れ
ドレンセンサー異常
フロートセンサーコネクタ外れ
●
●
ドレンオーバーフロー保護・漏水異常
●
●
3回
点滅
凍結保護(冷房時)
過昇保護(暖房時)
●
●
P8
4回
点滅
配管温度異常
●
●
P9
1回
点滅
配管(二相管)センサー異常
●
●
①室内基板 CN29 コネクタの外れ
PA
2回
点滅
漏水異常(配管テレコ + ドレンセン
サー異常またはドレンポンプ異常)
●
●
①配管・配線の入れ違い 注 . 電源リセットで解除します
Pb
5回
点滅
室内ファンモーター異常
●
●
①ファンモーター巻線チェック
F1
1回
点滅
F2
F3
F5
1回
点滅
2回
点滅
3回
点滅
F8
4回
点滅
Fb
P1
1回
点滅
P2
P4
2回
点滅
P5
P6
90
リモコン
簡易点検箇所
未定義エラー(M-NET 系異常コード該当なし) ●
A 制御点検コード(F・P 表示)
LED1 LED2
(緑) (赤)
検出
ユニット
LED1 LED2
(緑) (赤)
インバータ
室外表示
一定速
リモコン
表示
A 制御点検コード(E 表示)
4回
点滅
室外
①基板上のコネクタ外れ・緩み確認
(室外基板交換)
①室内基板 CN31 コネクタの外れ
②室内基板 CN4F コネクタの外れ
①ドレン配管の傾斜・詰まり確認
②ドレンパン・ドレンセンサーの汚れ確認
③室内基板 CNP コネクタの外れ
室内
①フィルターの汚れ
②ガス漏れ・ガス不足
③室内機から風は出ていますか ? →ファンのコネクタ確認
① 2 台以上の場合は内外接続線と配管のテレコ確認
②ガス漏れ・ガス不足
吐出温度異常 /49C(インナーサーモ作動)
U2
冷媒不足異常
検出
ユニット
異 常 内 容
LED1 LED2
(緑) (赤)
インバータ
室外表示
一定速
リモコン
表示
A 制御点検コード(U 表示)
簡易点検箇所
●
●
①フィルターの汚れ確認 → 清掃
②ガス漏れ・ガス不足の確認
③室内 / 室外のショートサイクル確認
④水分混入(アイスタック)の確認
1回
点滅
U7
低吐出スーパーヒート異常
−
●
①吐出サーミスタが外れていませんか ?
②電子膨張弁の故障確認
③室外基板 CNLEV コネクタ確認
U1
高圧圧力異常
●
●
①バルブは開いていますか ?
②室内 / 室外のショートサイクル確認
高圧圧力異常(63H)
●
−
①バルブは開いていますか ?
②室内 / 室外のショートサイクル確認
③ガスが過充填されていませんか ?
低圧圧力異常
●
●
①バルブは開いていますか ?
②ガス漏れ・ガス不足の確認
③水分混入(アイスタック)の確認
過昇保護(過負荷運転保護 / 送風機異常)
●
●
①室外熱交の汚れ確認 → 清掃
②室外のショートサイクル確認
室外ファンモーター回転数異常
●
●
圧縮機過電流遮断(過負荷)
●
−
パワーモジュール異常
−
●
圧縮機自己保護機能作動
●
−
①バルブは開いていますか ?
圧縮機過電流(ロック)
●
●
①バルブは開いていますか ?
②電源容量が不足していませんか ?
UP
圧縮機過電流遮断
−
●
①バルブは開いていますか ?
②電源容量が不足していませんか ?
UH
電流センサ異常
●
●
①基板交換後の場合 : 配線、基板設定の確認
U3
吐出サーミスタ(TH4)オープン / ショート
●
●
①室外基板 TH4 コネクタの外れ
配管サーミスタ(TH3/TH32)オープン / ショート
●
●
①室外基板 TH3/TH32 コネクタの外れ
二相管サーミスタ(TH6)オープン / ショート
●
●
①室外基板 TH6 コネクタの外れ
外気温サーミスタ(TH7)オープン / ショート
−
●
①室外基板 TH7 コネクタの外れ
放熱板サーミスタ(TH8)オープン / ショート
−
●
①室外基板 TH8 コネクタの外れ
UE
2回
点滅
UL
Ud
3回
点滅
U8
U6
3回
点滅
UC
UF
U4
4回
点滅
5回
点滅
①モーターコネクタ CNF の外れ
室外
①クランクケースヒーター通電後12時間以上経過していますか?
(室外基板交換)
吸入管サーミスタ(TH33)オープン / ショート
−
●
①室外基板 TH33 コネクタの外れ
U5
6回
点滅
放熱板温度異常
−
●
①室外機の吸込 / 吹出口に障害物がありませんか ?
U9
7回
点滅
電圧異常
−
●
①電源欠相していませんか ?
②電源電圧が低下していませんか ?
※ UL・P8 異常時は電源を OFF し、再投入しないと再復帰できません。
水分混入(アイスタック)
の有無・圧縮機シェル温度が上がっていないことを確認してから再復帰してください。
91
三菱電機スリムエアコン
2007年度版
サービスマニュアル
静岡製作所 〒422-8528 静岡市駿河区小鹿3-18-1
M-P0348 SIZ0710
この印刷物は、2007年10月の発行です。なお、お断りなしに仕様を変更・修正・訂正することがありますのでご了承ください。
2007年10月作成