平成21年度 ࠾ッケル基合金異材溶接部のき裂進展評価技術検証(FDM

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目 次
1. 緒言······························································· 1
1.1 はじめに························································ 1
1.2 実施計画························································ 2
1.3 実施体制························································ 3
2. シュラウドサポート異材溶接部の残留応力解析························· 4
2.1 二次元解析 ······················································ 4
2.1.1 解析条件 ···················································· 4
2.1.2 温度分布解析 ··············································· 16
2.1.3 残留応力解析 ··············································· 16
2.2 三次元解析····················································· 29
2.2.1 解析条件 ··················································· 29
2.2.2 温度分布解析 ··············································· 35
2.2.3 残留応力解析 ··············································· 35
2.3 H11 溶接部の応力分布評価 ······································· 39
2.3.1 二次元解析と三次元解析の比較 ······························· 39
2.3.2 溶接残留応力の測定結果と解析結果の比較 ····················· 39
3. 結言······························································ 44
参考文献····························································· 45
1. 緒言
1.1 はじめに
BWR プラントのシュラウドサポートと原子炉圧力容器取合溶接部(182 合金溶接金属)で
は、高経年化に伴いニッケル基合金部で発生進展した応力腐食割れ (SCC)が低合金鋼製の
圧力容器内部に達することが懸念される。現状では、ニッケル基合金部から低合金鋼との
異材境界部を越えて容器内に SCC が進展した事例は国内外ともに報告されていないが、今
後実機当該部に SCC による割れが確認された場合に備えて、異材境界部の SCC き裂進展の
可否を判断するとともに、圧力容器内へ割れが進展した場合を想定したき裂進展評価法の
整備は、プラントの安全確保の上で極めて重要な課題である。
現行の日本機械学会 発電用原子力設備規格 維持規格[1](以下、維持規格と呼ぶ)では、
ニッケル基合金溶接金属に対して、BWR 通常炉内水質環境中の SCC き裂進展速度線図が規定
されており、先行事業「Ni 基合金応力腐食割れ(SCC)進展評価技術調査(NiSCC:平成 12~
17 年度)」[2]及び「Ni 基合金応力腐食割れ進展評価技術実証(NSC:平成 17~21 年度)
」[3]、
並びに関連民間研究において、SCC き裂進展速度データの整備、検証及び高精度化の検討が
進められている。一方、原子炉圧力容器(RPV)に対しては、容器用フェライト鋼の大気中及
び軽水炉環境中(BWR,PWR)の疲労き裂進展線図が規定されているが、SCC き裂進展速度線
図は準備されていない。また、日本原子力技術協会 BWR 炉内構造物点検評価ガイドライン
[シュラウドサポート] [4](JANTI-VIP-04)では、RPV のき裂進展評価を行うため、低合金鋼
の SCC き裂進展速度データ及び速度式を提示しているが、その元データは国内データでは
なく妥当性が充分検証されているとは言い難い。このことから、RPV 用低合金鋼の SCC き裂
進展速度データの取得による線図策定が必要である。
また、先行事業「複雑形状部機器配管健全性実証(IAF:平成 13~19 年度)
」[5]において、
シュラウドサポートのニッケル基合金溶接金属部から発生した溶接線直交方向の割れが
RPV との異材境界部に到達する大きさに進展した場合を想定した応力拡大係数の評価を行
ったが、これは半だ円き裂を仮定して、室温での溶接残留応力分布を使用した試計算であ
る。すなわち、異材境界部における SCC き裂の進展性を的確に判断するには不充分であり、
実機運転条件での異材境界部における応力及び応力拡大係数の詳細な評価、並びに異材境
界の影響を考慮した SCC 進展特性の評価と検証が必要である。
ニッケル基合金異材溶接部のき裂進展評価技術検証(FDM)は、かかる要求に対応する JNES
安全研究であり、BWR シュラウドサポート異材溶接部における SCC 進展予測に必要な試験デ
ータと異材境界での SCC 進展性を検証するための技術的な知見と試験・解析データの取得
を目的として、平成 21 年度から平成 26 年度までの 6 ヵ年の期間にて推進する。
本報告書は、平成 21 年度に実施したシュラウドサポート異材溶接部の残留応力解析の成
果をまとめたものである。
1
-1-
1.2 実施計画
本研究は、平成 21 年度から平成 26 年度までの 6 ヶ年計画である。実施工程と主な実施
項目を表 1-1 に示す。
表1-1 全体実施工程
H21
H22
H23
H24
H25
H26
計画検討・試験体検討
応力拡大係数評価
SCC進展試験
(1)計画検討・試験体検討
・全体計画及び試験計画を作成する。
・SCC 試験に供する試験体を選定する。
2TCT
・SCC 試験の試験条件を作成する。
H11 溶接部モデル試験体の
構造案と SCC 進展試験用
CT 試験片の採取位置案
(2)応力拡大係数評価
・異材溶接部の応力解析(溶接残留応力、運転時応力)、及び解析モデル検証のため
の残留応力測定試験を実施する。
・異材溶接部に想定したき裂の応力拡大係数解析を評価する。
・異材溶接部の進展を想定した SCC き裂進展解析を実施する。
(3)SCC 進展試験
・試験材料の購入
SCC 進展試験に供するだけでなく、応力解析に必要な材料データを取得するた
めに、低合金鋼 SQV2A(低 S 材、中 S 材)、Ni 基合金溶接材料(82 合金、182)及び
ステンレス鋼溶接材料の購入は、H21 年度から適宜行う。
・低合金鋼及びニッケル基合金溶接金属の SCC 進展試験を実施する。
・異材継手試験体を用いて、実機条件を想定した SCC 進展試験を実施する。
2
-2-
1.3 実施体制
本研究の実施体制を図1-1に示す。この研究は、経済産業省原子力安全・保安院からの交
付金により、独立行政法人原子力安全基盤機構の原子力システム安全部高経年化対策グル
ープが実施している。また、必要に応じて、業務の一部を当該試験に必要な設備を有する
原子力プラントメーカー等に請負付託している。
研究の成果は、学識経験者の委員から構成される「原子力安全研究評価委員会材料技術
分科会」に報告して、評価を受けている。
また、学識経験者の委員から構成される「材料評価技術検討会(委員長:安藤柱
横浜
国立大学教授)
」を組織し、研究に対する助言を得ている。
原子力安全研究評価委員会
材料技術分科会
報告
評価
独立行政法人原子力安全基盤機構
(原子力システム安全部 高経年化対策グループ)
請負付託
報告
原子力プラントメーカー等
図1-1 実施体制
3
-3-
助言
材料評価技術検討会
2. シュラウドサポート異材溶接部の残留応力解析
JNES の IAF プロジェクト[5]では、シュラウドサポート溶接部等の Ni 基合金溶接金属部の
溶接残留応力の解析手法検証を目的として、当時の原子力機器健全性評価において一般的
に採用されていた解析モデルについてその妥当性を実験的に検証した。そこでは、溶接金
属部全体の広範囲にわたる溶接残留応力の定性的な分布に着目し、一般性やロバスト性が
有る単純な解析モデルによる溶接後 as-welded の応力を予測するための手法の確立を図っ
た。これに対して、本 FDM プロジェクトでは、溶接残留応力だけでなく運転中の応力を評
価し、き裂が異材境界部から容器に進展する状況を想定した応力拡大係数の定量的な評価
が要求される。
また、国内 BWR のプラントメーカとして東芝と日立 GE ニュークリア・エナジーでは炉底
部まわりの溶接後熱処理を含む製造条件が異なり、FDM で評価対象のシュラウドサポート異
材溶接部の残留応力の分布傾向も絶対値も異なる。IAF では、モデル検証の観点から東芝タ
イプの製造条件を代表として選定したが、本 FDM では、残留応力や応力拡大係数等の力学
的評価は両社のプラントを想定して、それぞれの条件に対して行う予定であり、平成 21 年
度は先行して東芝プラントを選択して運転時応力を解析により評価した。以下、本報告書
における解析条件と結果の説明においては、適宜、IAF と比較して記述する。
2.1 二次元解析
BWR シュラウドサポート全体構造を二次元軸対称にモデル化して、実機の製造条件と運転
条件を考慮したシュラウドサポート溶接部の残留応力解析を行った。
2.1.1 解析条件
(1)解析モデル
図 2.1-1 に、解析モデルを示す。IAF との違いも付記する。FDM では運転状態を考慮する
必要があることから、RPV の一部及び RPV 支持スカートを IAF モデルに追加するとともに、
クラッド溶接の範囲を内面側全面とする。ここで、解析対象は異材溶接部の H9 溶接部及び
H11 溶接部で、両溶接部は交互溶接により接合される。
(2)解析条件
表 2.1-1 に製作手順とモデル化の内容を示す。FDM では、クラッド溶接とその溶接後熱処
理(PWHT1 と呼ぶ)を追加するとともに、感度解析として肉盛溶接後の熱処理(PWHT2 と呼
ぶ)の有無(有りをケース 1、無しをケース 2 と呼ぶ)を比較する。ここで、クラッド溶接の
うちステンレス鋼によるものは材料物性値のみ考慮し、入熱は模擬しない。
図 2.1-2~5 に、解析モデルにおける材料区分、クラッドの積層モデル、H9 溶接部の肉盛
及び継手溶接の積層モデル、H11 溶接部の肉盛及び継手溶接の積層モデルを示す。また、図
2.1-6 に、PWHT1 及び PWHT2 における熱処理条件を示す。
また、定格出力運転時の温度条件を模擬するために、容器内の他、支持脚の一部に熱伝
4
-4-
達境界を設定して温度分布を求めると共に、定格出力運転時の内圧を考慮した。
(3)材料物性値
解析に用いた材料物性値を表 2.1-2~表 2.1-6 に示す。これらは、IAF で取得したデータ
である。材料区分は図 2.1-2 に示すとおりで、クラッドのステンレス鋼 SUS 材は Y308L の
データを使用した。なお、本解析では低合金鋼の相変態は考慮しない。
182 合金、82 合金及び低合金鋼のクリープひずみ速度関係は以下の式[6],[7]を用いた。
a)182 合金、615℃
ε& = 8.19 × 10−12 q 3.09t −0.60
ε& :クリープひずみ速度(mm / mm / hr ), q : 応力( MPa), t : 時間(hr )
b)82 合金、615℃
ε& = 7.10 × 10−23 q 8.02t −0.293
ε& : クリープひずみ速度(mm / mm / hr ), q : 応力( MPa), t : 時間(hr )
c)低合金鋼、615℃
ε& = 5.45 × 10 −9 q 2.88t −0.0950
ε& : クリープひずみ速度(mm / mm / hr ), q : 応力( MPa), t : 時間(hr )
5
-5-
H9 溶接部
H11 溶接部
(1)IAF モデル
②
③
主要寸法
IAF モデルからの変更箇所
①
④
①支持脚を追加
②支持脚の付け根部分の
メッシュ変更
③クラッドを全面に延長
④RPV 下鏡を延長
(2)FDM モデル
図 2.1-1 二次元解析モデル
6
-6-
表 2.1-1 2次元モデルにおけるモデル化方法(先行プロジェクトとの対比)
解析におけるモデル化
IAF
FDM
ケース 1
製作手順
クラッド溶接
ケース 2
追加
IAF 試験体と同様に下鏡及び
スカートはモデル化しない
下鏡及びスカートをモデル化
SUS
-
物性のみ考慮し、入熱は模擬しない
82 合金
物性値のみ考慮し入熱は模擬しない
182 合金
-
PWHT1
肉盛溶接
(182 合金)
弾塑性クリープ解析
保持中のみクリープ考慮
(615℃、3 時間)
模擬しない
熱弾塑性解析
H9;6 層 119 パス→12 グループ
H11;22 層 672 パス→24 グループ
PWHT2
弾塑性クリープ解析
保持中のみクリープ考慮
(615℃、25 時間 28 分)
肉盛台座の機械加工
当該要素を削除
継手溶接
(182 合金)
熱弾塑性解析
H9;2 層 4 パス → 3 グループ
H11;2 層 24 パス → 6 グループ
(図 2.1-3 参照)
同左
弾塑性クリープ解析
保持中のみクリープ考慮
(615℃、25 時間 28 分)
同左
熱弾塑性解析
H9 と H11 の交互溶接
H9;28 層 81→34 グループ
H11;26 層 287 パス→48 グループ
継手の機械加工
当該要素を削除
定格出力運転
-
考慮しない
同左
同左
熱弾塑性解析
7
-7-
-
H9 溶接部
圧力容器
H11 溶接部
(SQV2A)
支持脚
レグ
クラッド
(600合金)
(Y308L)
クラッド
(Y308L)
レグ
クラッド
H9
H11
(182合金)
(600合金)
(82合金)
(182合金)
圧力容器
クラッド
(SQV2A)
(82合金)
図2.1-2 解析モデルにおける材料区分
8
-8-
圧力容器
(SQV2A)
*番号は溶接順序を示す
182 合金
③
②
82 合金
①
(1)H9 クラッド
82 合金
⑥
⑤
④
182 合金
③
②
①
(2)H11 クラッド
図 2.1-3 H9 及び H11 クラッドの積層のモデル化
9
-9-
余盛の範囲
8 ○
6 ○
4 ○
2
12 ○
10 ○
○
*番号は溶接順序を示す
材料は全て
182 合金
9 ○
7 ○
5 ○
3 ○
1
11 ○
○
(1)肉盛台座
材料は全て
182 合金
26
○
28 ○
29 ○
30 ○
31 ○
32 ○
33 ○
34
○
24
○
13
○
11
○
5
○
6
○
7
○
19
○
27
○
25
○
14
○
12
○
10
○
9
○
8
○
20 ○
21 ○
22 ○
23
○
15
○
16
○
17
○
18
○
4
○
3
○
2
○
1
○
(2)H9 継手
図 2.1-4
H9 溶接部の積層のモデル化
10
- 10 -
余盛の範囲
*番号は溶接順序を示す
21 ○
18
○
材料は全て
182 合金
23 ○
20 ○
17
○
24
○
22
○
19
○
16
○
13
○
10
○
7
○
4
○
1
○
14 ○
11 ○
8 ○
5 ○
2
○
(1)肉盛台座
材料は全て
182 合金
40
○
15 ○
12 ○
9 ○
6 ○
3
○
28 ○
24 ○
21 ○
18 ○
15 ○
12 ○
11 ○
10 ○
9 ○
8 ○
7 ○
6 ○
5 ○
4 ○
3 ○
2 ○
1
○
32
○
39
○
38
○
37
○
36
○
35
○
31
○
41 ○
42 ○
43 ○
45
○
27
○
14
○
17
○
20
○
23
○
26
○
30
○
34
○
33
○
29
○
25 ○
22 ○
19 ○
16 ○
13
○
(2)H11 継手
図 2.1-5
H11 溶接部の積層のモデル化
11
- 11 -
48
○
47
○
44
○
46
○
温 度
高温保持(615℃)
、3 時間
時 間
(1) PWHT1
温 度
高温保持(615℃)
、25 時間 28 分
時 間
(2) PWHT2
図 2.1-6 PWHT における熱処理条件
12
- 12 -
表2.1-2 解析に用いる600合金の材料物性値
試験温度
(℃)
比熱
(J/(kg・K))
熱伝導率
(W/(m・K))
密度1)
(kg/m3)
平均熱膨張
縦弾性係数
係数
(GPa)
×10-6 (1/K)
ポアソン比
2直線近似2)、εmax=5%
RT
436
13.3
12.2
207.8
0.333
降伏応力
(MPa)
271
100
461
14.5
12.5
204.1
0.333
253
1982
200
476
16.2
13.0
199.5
0.334
228
2248
300
492
18.1
13.7
194.2
0.337
218
2215
400
505
19.8
14.2
188.5
0.341
219
2081
500
487
20.3
14.7
182.7
0.342
211
1668
600
577
25.6
15.1
175.4
0.351
196
1687
700
594
28.0
15.6
168.0
0.354
204
146
800
614
28.9
16.1
160.2
0.356
109
13)
16.5
152.3
0.355
17.0
140.0
0.385
34
45
8420
900
1000
643
33.0
1200
675
36.3
1300
691
38.2
加工硬化係数
H’(MPa)
2051
1100
1) 温度解析において体積変化を考慮していないため、密度は温度によらず室温の値とした。
2) 降伏応力及び加工硬化係数はεmax=5%とした場合の2直線近似により求めた。
3) 測定結果でH’が正とならないものはH’=1とした。
表2.1-3 解析に用いる182合金の材料物性値
試験温度
(℃)
比熱
(J/(kg・K))
熱伝導率
(W/(m・K))
密度1)
(kg/m3)
平均熱膨張
縦弾性係数2)
係数
(GPa)
-6 ×10 (1/K)
ポアソン比
2)
2直線近似3)、εmax=5%
RT
431
11.1
207.8
0.333
降伏応力
(MPa)
381
100
471
12.6
13.6
204.1
0.333
372
1189
200
482
14.3
14.6
199.5
0.334
341
1256
300
492
15.8
15.1
194.2
0.337
333
1313
400
501
17.3
15.4
188.5
0.341
500
476
17.6
15.8
182.7
0.342
318
1338
600
574
22.7
16.1
175.4
0.351
299
1206
700
594
24.6
16.4
168.0
0.354
283
14)
800
597
24.9
16.8
160.2
0.356
168
14)
900
607
26.6
17.0
152.3
0.355
86
14)
1000
620
28.1
17.4
140.0
0.385
46
14)
1100
633
29.9
1200
646
31.1
1250
652
32.5
8420
1) 温度解析において体積変化を考慮していないため、密度は温度によらず母材(600合金)の室温の値とした。
2) 縦弾性係数及びポアソン比は母材(600合金)の物性値を用いた。
3) 降伏応力及び加工硬化係数はεmax=5%とした場合の2直線近似により求めた。
4) 測定結果でH’が正とならないものはH’=1とした。
13
- 13 -
加工硬化係数
H’(MPa)
1187
表2.1-4 解析に用いる82合金の材料物性値
試験温度
(℃)
比熱
(J/(kg・K))
熱伝導率
(W/(m・K))
密度1)
(kg/m3)
平均熱膨張
縦弾性係数
係数
(GPa)
×10-6 (1/K)
ポアソン比
2直線近似2)、εmax=5%
RT
437
11.8
13.5
206.4
0.378
降伏応力
(MPa)
509
100
446
13.1
13.6
203.1
0.381
481
1240
200
461
14.5
13.9
198.9
0.385
456
1415
300
480
16.4
14.6
194.0
0.389
456
1340
400
496
18.1
15.1
188.7
0.392
437
1479
500
502
19.6
15.4
183.3
0.395
438
1242
600
574
23.9
15.7
176.2
0.402
399
1175
700
577
25.6
16.2
168.2
0.405
385
13)
800
584
25.6
16.8
157.1
0.411
208
13)
17.1
146.8
0.431
17.4
133.7
0.452
71
13)
8360
900
1000
616
29.0
1200
681
34.2
1300
714
38.7
加工硬化係数
H’(MPa)
1303
1100
1) 温度解析において体積変化を考慮していないため、密度は温度によらず室温の値とした。
2) 降伏応力及び加工硬化係数はεmax=5%とした場合の2直線近似により求めた。
3) 測定結果でH’が正とならないものはH’=1とした。
表2.1-5 解析に用いるSQV2Aの材料物性値
試験温度
(℃)
比熱
(J/(kg・K))
熱伝導率
(W/(m・K))
密度1)
(kg/m3)
平均熱膨張
縦弾性係数
係数
(GPa)
-6 ×10 (1/K)
ポアソン比
2直線近似2)、εmax=5%
RT
445
39.1
12.7
209.9
0.294
降伏応力
(MPa)
492
100
487
40.1
13.0
206.4
0.295
478
2282
200
517
38.9
13.3
201.5
0.297
481
2559
300
552
37.7
13.9
195.5
0.303
493
2674
400
592
36.0
14.7
187.8
0.310
466
1858
500
645
34.3
15.2
178.8
0.319
420
13)
600
723
31.7
15.3
167.8
0.340
248
13)
700
905
29.2
15.3
135.8
0.364
85
23
800
812
37.8
14.9
115.0
0.371
48
100
12.2
103.8
0.406
29
11
658
30.9
12.7
92.5
0.430
18
11
1200
700
34.6
1300
721
36.5
7830
900
1000
1100
1) 温度解析において体積変化を考慮していないため、密度は温度によらず室温の値とした。
2) 降伏応力及び加工硬化係数はεmax=5%とした場合の2直線近似により求めた。
3) 測定結果でH’が正とならないものはH’=1とした。
14
- 14 -
加工硬化係数
H’(MPa)
2472
表2.1-6 解析に用いるY308Lの材料物性値
試験温度
(℃)
比熱
(J/(kg・K))
熱伝導率
(W/(m・K))
密度1)
(kg/m3)
平均熱膨張
縦弾性係数
係数
(GPa)
×10-6 (1/K)
ポアソン比
2直線近似2)、εmax=5%
RT
477
15.0
15.4
193.4
0.297
降伏応力
(MPa)
446
100
492
16.3
15.9
188.5
0.301
411
808
200
515
17.6
16.5
182.2
0.308
397
629
300
526
18.9
17.1
175.0
0.320
377
688
400
539
20.2
17.5
167.2
0.326
361
704
500
559
22.0
17.9
159.8
0.334
337
531
600
576
23.8
18.2
151.7
0.340
272
160
700
583
25.1
18.5
142.4
0.340
182
1
800
595
26.5
18.9
128.5
0.337
102
1
19.1
110.8
0.341
19.4
98.9
0.332
47
1
7870
900
1000
623
30.9
1200
679
35.5
1300
707
38.3
1100
1) 温度解析において体積変化を考慮していないため、密度は温度によらず室温の値とした。
2) 降伏応力及び加工硬化係数はεmax=5%とした場合の2直線近似により求めた。
3) 測定結果でH’が正とならないものはH’=1とした。
15
- 15 -
加工硬化係数
H’(MPa)
1065
2.1.2 温度分布解析
前項の解析条件を用いて、非定常熱伝導解析を実施した。図 2.1-7 にクラッド溶接にお
ける最高到達温度分布を、図 2.1-8 に肉盛溶接における最高到達温度分布を、図 2.1-9 に
継手溶接における最高到達温度分布を示す。なお、本解析では、表 2.1-2~6 の材料物性値
のうち構造解析に用いる物性値の上限を 1000℃とし、1000℃以上は 1000℃として扱うこと
から、コンターレベルの最大値も 1000℃としている。
更に、定格出力運転時の温度分布を図 2.1-10 に示す。
2.1.3 残留応力解析
前項の温度解析結果を用いて、H9 及び H11 溶接部の溶接残留応力解析を実施した。定格
運転時の応力は、定格出力運転時の温度分布解析を別途実施し、溶接後の残留応力に運転
時の内圧及び運転時の温度分布による熱荷重を考慮することにより残留応力を算出した。
①溶接残留応力の解析結果
図 2.1-11~16 に H9 及び H11 溶接部における水平、垂直及び溶接線平行方向の溶接残留
応力分布を示す。これらのうち、図 2.1-11 及び図 2.1-14 が、IAF の H9 溶接部及び H11 溶
接部の溶接残留応力の結果である。これらは、FDM のケース1(図 2.1-12 及び図 2.1-15)と
良く似た結果となっており、今回の解析モデル間の構造の違いやクラッド溶接の有無が最
終的な溶接残留応力に及ぼす影響は小さいことを示している。
また、肉盛溶接後の熱処理(PWHT2)を考慮しないケース2と考慮したケース1の応力の
違いは、クラッド部とその近傍の溶接線平行方向応力に認められる。
②運転時応力の解析結果
図 2.1-17 及び図 2.1-18 に、それぞれ H9 及び H11 溶接部における応力分布を示す。溶接
残留応力に比べて、定格出力により応力は全体的に緩和することが確認できる。
16
- 16 -
(1) H9 溶接部
(2) H11 溶接部
単位:℃
図 2.1-7 クラッド溶接における最高到達温度分布
17
- 17 -
(1) H9 溶接部
(2) H11 溶接部
単位:℃
図 2.1-8 肉盛溶接における最高到達温度分布
18
- 18 -
(1) H9 溶接部
(2) H11 溶接部
単位:℃
図 2.1-9 継手溶接における最高到達温度分布
19
- 19 -
図 2.1-10 定格出力運転時の温度分布
20
- 20 -
(1) 水平方向応力
(2) 垂直方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(3) 溶接線平行方向応力
水平方向
単位:MPa
図 2.1-11 H9 溶接部の溶接残留応力分布 [IAF]
(クラッド入熱なし、PWHT1 なし、PWHT2 あり)
21
- 21 -
(1) 水平方向応力
(2) 垂直方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(3) 溶接線平行方向応力
水平方向
単位:MPa
図 2.1-12 H9 溶接部の溶接残留応力分布 [ケース 1]
(クラッド入熱あり、PWHT1 あり、PWHT2 あり)
22
- 22 -
(1) 水平方向応力
(2) 垂直方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(3) 溶接線平行方向応力
水平方向
単位:MPa
図 2.1-13 H9 溶接部の溶接残留応力分布 [ケース 2]
(クラッド入熱あり、PWHT1 あり、PWHT2 なし)
23
- 23 -
(1) 水平方向応力
(2) 垂直方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(3) 溶接線平行方向応力
水平方向
単位:MPa
図 2.1-14 H11 溶接部の溶接残留応力分布 [IAF]
(クラッド入熱なし、PWHT1 なし、PWHT2 あり)
24
- 24 -
(1) 水平方向応力
(2) 垂直方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(3) 溶接線平行方向応力
水平方向
単位:MPa
図 2.2.1.3-15 H11 溶接部の溶接残留応力分布 [ケース 1]
(クラッド入熱あり、PWHT1 あり、PWHT2 あり)
25
- 25 -
(1) 水平方向応力
(2) 垂直方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(3) 溶接線平行方向応力
水平方向
単位:MPa
図 2.1-16 H11 溶接部の溶接残留応力分布 [ケース 2]
(クラッド入熱あり、PWHT1 あり、PWHT2 なし)
26
- 26 -
(1) 水平方向応力
(2) 垂直方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(3) 溶接線平行方向応力
水平方向
単位:MPa
図 2.1-17 H9 溶接部の定格出力運転時応力分布 [ケース 1]
(クラッド入熱あり、PWHT1 あり、PWHT2 あり)
27
- 27 -
(1) 水平方向応力
(2) 垂直方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(3) 溶接線平行方向応力
水平方向
単位:MPa
図 2.1-18 H11 溶接部の定格出力運転時応力分布 [ケース 1]
(クラッド入熱あり、PWHT1 あり、PWHT2 あり)
28
- 28 -
2.2 三次元解析
BWR シュラウドサポート構造のうち、H11 溶接部の構造及び入熱条件を三次元にモデル化
し、当該溶接部の残留応力解析を行った。
2.2.1 解析条件
(1)解析モデル
図 2.2-1 に解析モデルを示す。シュラウドサポート全周で 12 本有るサポートレグに対し
て、レグ 1 体を中心に 32°部分の鏡面対称セクターモデルである。なお、二次元モデルを
対称軸周りに回転して生成した H11 溶接部の三次元ソリッドモデルであり、レグ部は軸対
称形状となる。したがって、実機形状とは厳密には異なるものの、平板レグと軸対称シリ
ンダや原子炉圧力容器の間に生じる複雑な三次元形状を排除できることから、解析モデル
の簡略化のために採用した。また、32°セクターの中央における鏡面対称条件及び剛性模
擬体による周方向拘束条件を用いた。図 2.2-2 に機械的境界条件を示す。鏡面対称条件及
び剛性模擬体による周方向変位を拘束すると共に、1点で鉛直方向の剛体変位を拘束した。
(2)解析条件
IAF で製作した実規模構造モデル試験体の製作手順、開先形状及び溶接条件等を参考にし
て[8]、残留応力解析を実施する。なお、三次元ソリッドモデルでは、溶接トーチの移動に伴
う熱源の移動については考慮せず、溶接線方向に同時発熱による入熱条件とする。
また、定格出力運転時の温度条件を模擬するために、容器内の他、支持脚の一部に熱伝
達境界を設定して温度分布を求めると共に、定格出力運転時の内圧を考慮した。
表 2.2-1 に製作手順とモデル化の内容を示す。
前述の二次元モデルの解析条件と同様に、
FDM では、クラッド溶接とその溶接後熱処理(PWHT1 と呼ぶ)を追加するとともに、感度解
析として肉盛溶接後の熱処理(PWHT2 と呼ぶ)の有無(有りをケース 1、無しをケース 2 と
呼ぶ)を比較する。なお、この三次元モデルでは、H9 溶接部のクラッド溶接、肉盛溶接及び
継手溶接の全てにおいて、入熱は模擬せず物性値のみ考慮した。
図 2.2-3~4 に H11 溶接部の解析モデルと溶接順序を示す。PWHT1 及び PWHT2 における熱
処理条件は二次モデルと同様である。
(3)材料物性値
二次元モデルと同一の物性値を使用した。二次元モデルによる解析と同様、低合金鋼の
相変態は考慮しない。
29
- 29 -
鏡面対称
16 度
鏡面対称を考慮した
32 度セクターモデル
(1) 全体モデル
クラッド
H9
(182合金)
(Y308L)
レグ
(600合金)
H11
(182合金)
レグ
(600合金)
クラッド
圧力容器
(82合金)
(SQV2A)
クラッド
(82合金)
(2) 溶接部拡大
図 2.2-1 三次元解析モデル
30
- 30 -
鏡面対称
図 2.2-2 機械的境界条件
31
- 31 -
表 2.2-1 3次元モデルにおけるモデル化方法(先行プロジェクトとの対比)
解析におけるモデル化
IAF
FDM
ケース 1
製作手順
追加
IAF 試験体と同様に下鏡及び
スカートはモデル化しない
クラッド溶接
ケース 2
SUS
-
82 合金
物性値のみ考慮し入熱は模擬しない
182 合金
-
下鏡及びスカートをモデル化
物性のみ考慮し、入熱は模擬しない
熱弾塑性解析
H9;物性値のみ考慮し入熱は模擬しない
H11;2 層 24 パス → 6 グループ
(図 2.2-3 参照)
PWHT1
模擬しない
弾塑性クリープ解析
保持中のみクリープ考慮
(615℃、3 時間)
肉盛溶接
(182 合金)
熱弾塑性解析
H9;物性値のみ考慮し入熱は模擬しない
H11;22 層 672 パス→24 グループ
同左
PWHT2
弾塑性クリープ解析
保持中のみクリープ考慮
(615℃、25 時間 28 分)
肉盛台座の機械加工
当該要素を削除
同左
継手溶接
(182 合金)
熱弾塑性解析
H9;物性値のみ考慮し入熱は模擬しない
H11;26 層 287 パス→48 グループ
同左
継手の機械加工
当該要素を削除
同左
定格出力運転
-
弾塑性クリープ解析
保持中のみクリープ考慮
(615℃、25 時間 28 分)
熱弾塑性解析
32
- 32 -
考慮しない
-
*番号は溶接順序を示す
82 合金
⑥
⑤
④
182 合金
③
②
①
図 2.2-3 H11 クラッドの積層のモデル化
33
- 33 -
余盛の範囲
*番号は溶接順序を示す
21 ○
18
○
材料は全て
182 合金
23 ○
20 ○
17
○
24
○
22
○
19
○
16
○
13
○
10
○
7
○
4
○
1
○
材料は全て
182 合金
40
○
15 ○
12 ○
9 ○
6 ○
3
○
14 ○
11 ○
8 ○
5 ○
2
○
(1) 肉盛台座
28 ○
24 ○
21 ○
18 ○
15 ○
12 ○
11 ○
10 ○
9 ○
8 ○
7 ○
6 ○
5 ○
4 ○
3 ○
2 ○
1
○
32
○
39
○
38
○
37
○
36
○
35
○
31
○
41 ○
42 ○
43 ○
45
○
27
○
14
○
17
○
20
○
23
○
26
○
30
○
34
○
33
○
29
○
25 ○
22 ○
19 ○
16 ○
13
○
(2) H11 継手
図 2.2-4 H11 溶接部の積層のモデル化
34
- 34 -
48
○
47
○
44
○
46
○
2.2.2 温度分布解析
前項の解析条件を用いて、非定常熱伝導解析を実施した。前述の二次元解析と同様に、
構造解析に用いる物性値の上限を 1000℃とし、1000℃以上の温度となった場合には 1000℃
として扱った。
2.2.3 残留応力解析
前項の温度解析結果を用いて、H11 溶接部の残留応力解析を実施した。定格運転時の応力
分布については、定格出力運転時の温度分布解析を別途実施し、溶接後の残留応力に運転
時の内圧及び運転時の温度分布による熱荷重を考慮することにより残留応力を算出した。
①溶接残留応力の解析結果
図 2.2-5~6 に H11 溶接部における水平、垂直及び溶接線平行方向の溶接残留応力分布を
示す。この応力分布はレグ中央断面である。
②運転時応力の解析結果
図 2.2-7 に、H11 溶接部のレグ中央断面における応力分布を示す。
35
- 35 -
(1) 水平方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(2) 垂直方向応力
水平方向
(3) 溶接線平行方向応力
単位:MPa
図 2.2-5 H11 溶接部のレグ中央断面における溶接残留応力分布 [ケース 1]
(クラッド入熱あり、PWHT1 及び 2 あり)
36
- 36 -
(1) 水平方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(2) 垂直方向応力
水平方向
(3) 溶接線平行方向応力
単位:MPa
図 2.2-6 H11 溶接部のレグ中央断面における溶接残留応力分布 [ケース 2]
(クラッド入熱あり、PWHT2 なし)
37
- 37 -
(1) 水平方向応力
垂直方向
溶接線平行方向
(2) 垂直方向応力
水平方向
(3) 溶接線平行方向応力
単位:MPa
図 2.2-7 H11 溶接部のレグ中央断面における定格出力運転時応力分布 [ケース 1]
(クラッド入熱あり、PWHT2 なし)
38
- 38 -
2.3
H11 溶接部の応力分布評価
IAF では[8]、Deep Hole Drilling 法[9]により、溶接金属部の板厚方向 2 ヶ所の直線上の溶
接残留応力分布を測定しており(それぞれ A ライン、B ラインと呼ぶ)
、これと FDM 解析結
果を比較した。以下、はじめに IAF と FDM の解析結果の比較を紹介した後、溶接残留応力
に対する測定結果と解析結果の比較を説明する。
2.3.1 二次元解析と三次元解析の比較
二次元解析と三次元解析の結果の比較を図 2.3-1~2 に示す。
同図中実線で示す溶接残留応力において、二次元解析では IAF と FDM の結果に顕著な差
は認められないが、三次元解析では図 2.3-1 の溶接線直交方向応力及び図 2.3-2 の溶接線
平行方向応力での異材境界部とその付近において IAF と FDM の差が見られた。
また、同図中破線で示す運転時応力においては、図 2.3-2 に示すように、FDM での二次元
解析と三次元解析の結果が異材境界部での溶接線平行方向応力において顕著であることが
分る。
2.3.2 溶接残留応力の測定結果と解析結果の比較
測定位置別の応力分布の比較を図 2.3-3 及び図 2.3-4 に示す。
図中○プロットが Deep Hole
Drilling 法による測定結果である。IAF 及び FDM の解析結果ともに、全般的に、二次元解
析より三次元解析の方が測定結果に近いことが分る。
また、前述した三次元解析の結果に見られた IAF と FDM の差については、FDM プロジェク
トで注目する異材境界部での溶接線平行方向応力(図 2.3-4)に関して、FDM の解析結果の方
が測定結果に近づく傾向が認められる。このことからモデル化の範囲と内容を実機模擬の
IAF 実規模構造試験体の製作条件により近づけた FDM モデルの解析条件の有効性が確認でき
た。
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(1) 溶接線直交方向
(2) 溶接線平行方向
図 2.3-1 H11 溶接部の板厚内残留応力分布の比較(A ライン、解析結果)
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クラッド
H11
(182 合金) RPV
(182 合金)
(SQV2A)
(1) 溶接線直交方向
(2) 溶接線平行方向
図 2.3-2 H11 溶接部の板厚内残留応力分布の比較(B ライン、解析結果)
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2)
(1) 溶接線直交方向
2)
(2) 溶接線平行方向
図 2.3-3 H11 溶接部の板厚内残留応力分布の比較(A ライン、解析結果と測定結果)
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クラッド
H11
(182 合金) RPV
(182 合金)
(SQV2A)
2)
(1) 溶接線直交方向
2)
(2) 溶接線平行方向
図 2.3-4 H11 溶接部の板厚内残留応力分布の比較(B ライン、解析結果と測定結果)
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3. 結言
ニッケル基合金異材溶接部のき裂進展評価技術検証(FDM)は、BWR シュラウドサポート異
材溶接部における SCC 進展予測と異材境界における SCC 進展性の評価に資するデータの取
得を目的として、平成 21 年度から 6 ヵ年計画として開始された。平成 21 年度は、初年度
目に当り、主な実施項目と工程を策定した。そのうち、異材溶接部を対象とする SCC 試験
は平成 23 年度からの開始を予定しており、平成 21~22 年度は事前検討として異材溶接部
の残留応力と応力拡大係数の力学的な評価と SCC を想定したき裂進展シミュレーション解
析を計画している。
平成 21 年度は、代表的なシュラウドサポートの製造条件と実機の運転条件を考慮して、
H9 及び H11 異材溶接部の残留応力解析を実施した。この解析結果について、既往研究で取
得されたシュラウドサポートモデル試験体の溶接残留応力測定結果と限定的な範囲ではあ
るが比較することにより、解析モデルの妥当性、有用性を確認した。次年度から、この解
析で得られた運転時応力分布を用いて、H9 及び H11 異材溶接部の SCC 進展解析を実施する
予定である。
次年度以降は、異材境界部を対象とする SCC 進展試験のための試験材料の調達と試験体
の製作、一部の試験体については異材境界部に着目して、低合金鋼の変態及び溶接後熱処
理による影響等について解析モデルの高精度化とその検証を行う予定である。
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参考文献
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(2008 年).
[2] (独)原子力安全基盤機構,平成 17 年度 Ni 基合金応力腐食割れ(SCC)進展評価技術調査
(定荷重試験)に関する報告書,平成 18 年 7 月.
[3] (独)原子力安全基盤機構,平成 20 年度 Ni 基合金応力腐食割れ進展評価技術実証に関
する事業報告書,平成 21 年 11 月.
[4] (社)火力原子力発電技術協会,BWR 炉内構造物点検評価ガイドライン[シュラウドサポ
ート] JBWR-VIP-01,平成 12 年 3 月.
[5] (独)原子力安全基盤機構,平成 19 年度 複雑形状部機器配管健全性実証に関する事業
報告書,平成 20 年 6 月.
[6] (独)原子力安全基盤機構,平成 18 年度 複雑形状部機器配管健全性実証に関する事業
報告書,平成 19 年 7 月.
[7] (独)原子力安全基盤機構,平成 16 年度 複雑形状部機器配管健全性実証に関する事業
報告書,平成 17 年 12 月.
[8] 奥田他, BWR シュラウドサポートの溶接残留応力分布に及ぼすレグ部三次元性の影響,
溶接構造シンポジウム 2009 講演論文集, 2009 年 11 月
[9] Kingston, E. J., Stefanescu, D., Mahmoudi, A. H., Truman, C. E., and Smith, D. J., "Novel
Applications of the Deep-Hole Drilling Technique for Measuring Through-Thickness
Residual Stress Distributions". Journal of ASTM International, Vol.3, No.4, 2006, pp.
1-12.
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