11/14配布資料 - 東京大学|地域デザイン研究室

2014 年度冬学期:空間計画設計論(学部 3 年向け)/金曜 1 限@141 号室 窪田亜矢/地域デザイン研究室([email protected]) 第六回 20141114 ■前回の振り返りと補足 ・ 都市デザインの構想とは何か? <オランダ・アムステルダムの事例> 都市スケール→地区スケール→建築スケールが、次第に縮尺を挙げつつ、相互に関係づけられながら、内容
を詰めていく。都市スケールにおいては重要なコンセプトを空間として端的に表現することが求められる
(アイ川の再生)
。そのコンセプトに必要な空間イメージは、地区スケールから生み出される。地区スケー
ルにおいては街路の性格が運河沿いといった立地特性をふまえて検討される。建築スケールでのスタディが
敷地単位で為されることによって、地区スケールが決定される。 つまり、縮尺を挙げつつ、異なるスケールを往還しながら、都市/地区/建築が統合される。 ・ ニューヨーク市の地区型まちづくりの本質もそこにある。すなわち個別の建築が、その立地する地区の特性
をふまえるような仕組みがあり、そのような地区の集合体として都市が構成されている。 ■ 一つの地域としての都市:大都市ならではの界隈の更新
大都市は界隈 Neighborhood, 近隣、地域から出来ている、という側面をどうやって都市計画や都市更新に活
かせるか?
東京におけるケース・スタディ
・ 新宿区「神楽坂」
形成史からわかる変化したもの、変化しないもの/地域住民らが考える継承したいもの、排除したいもの
まちづくり憲章(法的拘束力はない)
しかし建築行為が起きるときに無力、また代替案でないと可能性の範囲も不明
地区計画(法的拘束力がある)による制限は可能
・ 国立市「大学通りマンション」
文教地区としての歴史的経緯、地区計画の「後だし問題」スポット・ゾーニングか?
大学通りを育んで来た地域住民 vs フリーライダー(事業者)
紛争の途中で、景観法制定 2004
「都市の景観は、良好な風景として、人々の歴史的又は文化的環境を形作り、豊かな生活環境を構成する場
合には、客観的価値を有するものというべきである。
」
「景観法は・・・良好な景観が有する価値を保護するこ
とを目的としたものである。そうすると、良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受
する利益(以下「景観利益」という。
)は、法律上保護に値するものと解する」最高裁判決 2006
・ 渋谷区渋谷駅周辺
1)関係主体が「まちづくり指針」を策定
2)個別具体的な開発事業が「まちづくり指針」に沿っているかどうかを、専門家集団が判定→デザイン・
レビュー(デザイン審査)
3)景観という範囲は、見た目だけの問題ではない。賑わいや回遊性、動線、防災、都市構造。
・ 東京「江戸城外濠」
江戸時代の都市構造を如何に活用できるのか?
アルド・ロッシの都市的創成物
内濠ではなく外濠(人が地形を読み込みながら造ったもの、すなわちメンテナンスが要るもの、武家地と町
人地の境、水と緑のオープンスペース、一番低い地形、長くて巨大な都市構造物)
、時代の要請に合わせて、
交通や被災を乗り越えるための場所でもあった。
オギュスタン・ベルク
「一方には偽の川のもっぱら象徴的な水があり、他方には本物の堀のもっぱら生態学的な水がある。そして
両者の間には、何もない。
(このままでは)わたしたちの住む都市の都市性を再構成することはできないだろうと思う。わたしたちは
場所が意味を持つような都市を必要としているからだ。それも象徴的なものと生態的なものを結びつける強
い意味を持つ都市である。
」
以 上