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女性におけるファッションブランド志向性の経年変化
吉川, 研一
松山東雲短期大学研究論集. vol.44, no., p.71-82
2014-03-25
http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/handle/iyokan/4167
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REPORT OF RESEACH
MATSUYAMA SHINONOME JR.COL.Vol.44,2014
論文
女性におけるファッションブランド志向性の経年変化
吉
川
研
一
松山東雲短期大学
The Change over the Years of Women's Orientation for Fashion Brands
Kenichi YOSHIKAWA
Matsuyama Shinonome Junior College
Kuwabara, Matsuyama
(Received Jan. 7, 2014)
Summary
To make women’s orientation for fashion brand clear, the situations of the fashion magazine, the favorite fashion brands,
and the internet shopping were investigated for high school girls, college girls, and general women 20 s-50 s. The results
were as follows ;
1) In high school girls, college girls, and general women 20 s, “the real cloth” brands were highly popular, and the diversity
for fashion brand was recognized. The high orientation for luxurious fashion brand in wallet was recognized.
2) General women 40 s-50 s whose youth were in “bubble” time were low orientation for fashion. High orientation for
luxurious fashion brands was recognized in some women as a result of fashion magazine.
3) 30-50% of young generation was internet shopping users. The utility of internet shopping will increase in future. This
result reflects diversity for fashion brands.
1.緒
2
0
0
5年に始まった東京ガールズコレクションは,
言
それまでのモード系のファッションに対しリアルク
日本の女性のブランド好きは1
9
7
0年代のニュート
ローズをコンセプトに打ち出した,新しい日本独自
ラの流行から始まったといっても過言ではない。関
のファッションショーであり,この人気が渋谷1
0
9系
西で流行していたお嬢様系のファッションスタイル
のファッションブランドの人気を女子高生や女子大
を an an(平凡出版,現マガジンハウス)が取り上げ,
生層に高めた。また近年クローズアップされている
その後1
9
7
5年創刊の JJ(光文社)が全国的に流行さ
H&M,ZARA,Forever 21, UNIQLO などのファ
1)
せた 。ニュートラのコンセプトは海外有名ブランド,
ストファッションブランドも高い人気を示している。
いわゆるラグジュアリーブランドでのコーディネー
そこで本研究では,1
5才から5
0代の幅広い女性を
トであり,高価な海外ブランドで差別化を図るもの
対象として,ブランドという視点から現在のファッ
であった。LOUIS VUITTON,Gucci や Celine といっ
ション志向性と、現在に至るファッション志向性の
た現在でも人気のブランドはこの頃から日本の女性
経年変化を明らかにすることを目的として検討を行っ
に受け入れられてきた。
た。特にファッションに最も関心が高いと思われる
7
1
吉 川 研
一
青春期を迎えた時期が,バブル崩壊前後の世代でど
3.結果及び考察
のような違いが認められるのかに注目して検討を行っ
た。本研究で得られる市場調査に関する知見は,ファッ
回答者によりサンプル数の少ないカテゴリーがあ
ション産業における商品企画やショップにおける商
るため,一般女性では詳細な検討は行わず,大まか
品展開の基礎的資料をなり得ると思われる。
な傾向を見るのみにとどめた。
3.1
まずファッションに対する関心度と自分のファッ
2.調査方法
2.1
現在のファッション志向性
ションセンスに対する自己評価について調べた結果
調査対象者
を表1に示す。ファッションへの関心度については,
本研究では女子高生,女子大生,一般の女性,合
「とても関心がある」と「やや関心がある」をあわ
計4
5
6名を対象(女子高生4
1.
9%,女子大3
4.
0%,一
せた関心あるがどのカテゴリーも5
0%以上と高い関
般女性2
4.
1%)として行った。女子高生は松山東雲
心度を示しているが,女子高生,女子大生,一般女
高等学校の生徒1
9
1名(1年生7
9名,
2年生5
9名,
3年生
性(2
0代∼5
0代)と年齢が高くなるのに伴い減少し
5
3名)
,女子大生は松山東雲短期大学・松山東雲女子
ている。年齢とともに「どちらでもない」と関心が
大学の学生1
5
5名(1年生9
6名,2年生5
5名,3年生
ないを含めた積極的でない関心度が増加するのは,
2名,4年生2名)である。一般の女性は1
1
0名(2
0
精神的,時間的,金銭的な余裕が減少することによ
代3
6名,3
0代2
4名,4
0代3
7名,5
0代1
3名)である。そ
ると思われる。
の職業別の内訳は会社員4
8.
2%,パート・アルバイ
自分のファッションセンスに対する自己評価では,
ト1
7.
3%,無職1
0.
0%,教員と専門職がそれぞれ5.
5%,
「とてもセンスがある」と「どちらかというとセン
自営業4.
5%,販売職3.
6%,公務員とその他がそれ
スがある」をあわせた肯定的な評価がどのカテゴリー
ぞれ2.
7%である。既婚は5
1.
8%,未婚は4
8.
2%であ
でも2
4%以下であり,ファッションに対して関心は
る。調査対象者のカテゴリーは女子高生,女子大生,
あるが、自分のセンスには自信がないという傾向が
一般女性の3つに分け,一般女性は2
0代,3
0代,4
0
認められる。
代,5
0代に分けた。
2.2
ファッションに関する情報源と考えられるファッ
調査方法
ション雑誌の購読状況について,表2に示す。若者
アンケート調査は配票調査法により2
0
1
2年1
0∼1
1
の活字離れが指摘されているが,ファッションへの
月,2
0
1
3年1
1∼1
2月に行った。
関心度が高い女子高生,女子大生,一般女性2
0代∼
2.3
3
0代でも,気になる内容の時しか購入しない現状が
調査項目
現在のファッション志向性に関する項目としては,
認められる。年齢が高くなるのに伴うファッション
ファッションへの関心度,ファッション情報源とし
への関心度の減少が購読状況の減少につながること
てのファッション雑誌やブログ,衣服代,好きなブ
は理解できるが,ファッションへの関心度が高いは
ランド,ネットショッピングの利用状況などである。
ずの女子高生に「ほとんど購入しない」と「全く購
過去のファッション志向性に関する項目としては,
入しない」をあわせた層が約4
6%を認められること
読んでいたファッション雑誌,好きだったブランド,
は注目に値する。
思い出に残っているブランド品などである。
読んでいるファッション雑誌について調べると,
表3に示すように,女子高生では Seventeen(2
0.
6%)
,
Popteen(1
4.
7%)
,non-no(1
0.
8%)
,以下 Zipper,
KERA など2
6冊が,女子大生では non-no(1
8.
6%)
,
7
2
女性におけるファッションブランド志向性の経年変化
表1
ファッションへの関心度とファッションセンス
割
ファッションへの関心度
女子高生
女子大生
とても関心がある
3
6.
1
やや関心がある
どちらでもない
合(%)
一般女性
2
0代
3
0代
4
0代
2
9.
0
3
4.
3
1
6.
0
1
2.
1
5
0代
0.
0
3
7.
2
5
4.
2
5
4.
3
6
4.
0
5
4.
3
5
2.
9
2
3.
5
1
5.
2
1
0.
3
8.
6
4.
0
2
4.
2
あまり関心がない
5.
8
5.
2
0.
0
1
2.
0
9.
2
1
1.
8
全く関心がない
5.
7
1.
3
2.
8
4.
0
0.
0
1
1.
8
1
0
0.
0
0
0.
0
1
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
計
割
ファッションセンス
女子高生
女子大生
合(%)
一般女性
2
0代
3
0代
4
0代
5
0代
とてもセンスがある
2.
6
1.
4
2.
9
4.
0
0.
0
0.
0
どちらかというとセンスがある
8.
5
9.
7
1
4.
2
2
0.
0
1
2.
0
1
7.
6
どちらでもない
5
5.
9
5
3.
2
6
0.
0
3
2.
0
6
0.
7
3
5.
3
あまりセンスがない
2
1.
3
2
8.
6
2
0.
0
4
0.
0
2
4.
2
3
5.
3
全くセンスがない
1
1.
7
7.
1
2.
9
4.
0
3.
0
1
1.
8
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
表2
計
ファッション雑誌の購読
割
合(%)
一般女性
女子高生
女子大生
毎号必ず購入する
1
8.
3
1
2.
2
2
0.
0
4.
0
3.
0
0.
0
気になる内容の時のみ購入する
3
5.
1
5
1.
0
4
5.
7
4
4.
0
3
0.
3
2
9.
4
3
5.
3
2
0代
3
0代
4
0代
5
0代
ほとんど購入しない
1
6.
2
1
8.
7
2
0.
0
2
0.
0
2
2
1.
全く購入しない
3
0.
4
1
8.
1
1
4.
3
3
2.
0
4
5.
5
3
5.
3
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
表3
計
読んでいるファッション雑誌
女子高生
雑誌
一般女性
女子大生
割合
(%)
雑誌
2
0代
割合
(%)
雑誌
3
0代
割合
(%)
雑誌
4
0代
割合
(%)
雑誌
5
0代
割合
(%)
雑誌
Seventeen
2
0.
6 non-no
1
8.
6 non-no
1
4.
3 InRed
2
0.
0 STORY
2
7.
3 ELLEなど6誌
Popteen
1
4.
7 JELLY
1
7.
5 ViVi
0.
7 その他8誌
1
8
0.
0 その他8誌
7
2.
7
non-no
1
0.
8 ViVi
1
7.
5 その他1
7誌
7
5.
0
その他2
6誌
5
3.
9 その他2
3誌
4
6.
4
JELLY と ViVi(1
7.
5%)
,以下 Zipper,KERA,sweet
割合
(%)
ミセス,HERS などがあげられている。
など2
3册があげられている。一般女性の2
0代では non
高校生ではティーンズ向けのファッション総合誌
-no(1
4.
8%)
,ViVi(1
1.
1%)
,以下 CanCam,sweet,
である Seventeen や Popteen が,女子大生では JELLY
Used Mix など1
7冊が,3
0代では InRed(2
2.
2%)
,
や ViVi,一般女性2
0代では ViVi や JELLY などコンサ
以下 non-no,CLASSY,Domoni,Oggi,Zipper など
バ系やギャル系雑誌が中心であるが,どの層ともそ
7冊が,4
0∼5
0代では回答数が少ないが STORY,ELLE,
れ以外に特定のファッションジャンル向け(カジュ
7
3
吉 川 研
一
表4
アル系,ストリート系,古着系など)の雑誌も読ま
ブログのチェック
れており,志向性の多様化が認められる。non-no
割
は特定のジャンルにこだわらずに流行を適度に取り
女子高生 女子大生
合(%)
一般女性
2
0代
3
0代
4
0代
5
0代
入れた比較的低価格のファッションを発信する雑誌
する
2
8.
7
3
0.
7
2
0.
0
1
2.
0
0.
0
であり,女性ヤング誌としては最も人気が高い(2
0
1
2
しない
7
1.
3
6
9.
3
8
0.
0
8
8.
0
1
0
0.
0
8
8.
2
計 1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
2)
年発行部数約1
6
4万 )
。女子大生や若いOL向けの雑
1
1.
8
誌である JJ(2
0
1
2年発行部数約5
5万)
,CanCam(2
0
1
2
年発行部数約7
7万)
,ViVi(2
0
1
2年発行部数約1
4
0万)
,
て大きな役割を果たしていることが認められる。オ
Ray(2
0
1
2年発行部数約6
3万)では,2
0
0
0年代爆発的
シャレな芸能人ブロガーとしては,女子高生層では
な人気を誇った蛯原友里(エビちゃんブーム)によ
きゃりーぱみゅぱみゅ,ローラに人気があり,女子
る CanCam も2
0
0
9年発行部数約1
4
5万から半減した反
大生層ではローラ,板野友美,佐々木希など多岐に
面,ViVi の台頭が認められる。3
0代∼4
0代では回答
わたっている。また女子高生層では一般的ではない
数が少ないが,InRed や CLASSY,Oggi などのコン
が,AMO や斎藤夏海などファッション雑誌のモデル
サバ系雑誌があげられており,ファッション雑誌を
も見られている。年齢が高くなるのに伴いブログを
読んでいる層が2
0才前後の時期からコンサバ系志向
チェックしている割合は減少しているが,想像に難
であることが推察される。
くない。
近年若者の間ではブロガーが脚光を浴びており,
次に1ヶ月の衣服代について調べた結果を表5に
オシャレ芸能人のブログをファッションの情報源と
示す。女子高生では3千円未満が最も多く3
3.
9%,
している可能性があるため,オシャレを参考にして
次いで3千円以上∼5千円未満,5千円以上∼1万
いる芸能人のブログのチェックの有無を調べた。そ
円未満の順になっている。女子大生では5千円以上∼
の結果を表4に示す。ファッションに関心が高い女
1万円未満が最も多く3
1.
4%,次いで1万円以上∼
子高生と女子大生では約3
0%がオシャレ芸能人のブ
1万5千円未満,3千円以上∼5千円未満の順になっ
ログをチェックしている。同じカテゴリーのファッ
ている。一般女性2
0代では5千円以上∼1万円未満
ション雑誌の購読状況と比較すると,毎号必ず購読
が最も多く2
5.
7%,次いで1万円以上∼1万5千円
する割合より高く,常時のファッション情報源とし
未満,1万5千円以上∼2万円未満の順になってい
表5
1ヶ月の衣服代
割
女子高生 女子大生
合(%)
一般女性
4
0代
5
0代
3千円未満
3
3.
9
9.
2
5.
7
4.
2
3
3.
4
4
1
2.
3千円以上∼5千円未満
2
7.
8
1
9.
6
0.
0
2
5.
0
1
3.
3
6.
3
5千円以上∼1万円未満
2
1.
1
3
1.
4
2
5.
7
3
7.
4
1
6.
7
1
8.
8
1万円以上∼1万5千円未満
7.
8
2
0.
9
2
2.
9
1
2.
5
1
3.
3
3
7.
4
1万5千円以上∼2万円未満
4.
4
9.
8
2
0.
0
1
2.
5
1
3.
3
1
8.
8
2万円以上∼2万5千円未満
1.
1
2.
0
1
1.
4
4.
2
6.
7
0.
0
2万5千円以上∼3万円未満
1.
1
3.
3
5.
7
0.
0
0.
0
0.
0
3万円以上∼4万円未満
0
0.
2.
0
5.
7
4.
2
0.
0
0.
0
4万円以上∼5万円未満
2.
8
1.
2
2.
9
0.
0
3.
3
0.
0
5万円以上
0.
0
0.
6
0.
0
0.
0
0.
0
6.
3
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
計
2
0代
3
0代
7
4
女性におけるファッションブランド志向性の経年変化
る。女子高生,女子大生,一般女性2
0代になるとと
が,現在はそれほどの人気ではない。多岐にわたる
もにわずかながら衣服代の増加が認められるが,こ
ブランドがあげられており,ブランド志向性の多様
れは収入増(お小遣いを含む)によるものと思われ
化が認められる。ファッション小物である財布につ
3)
る。女子大生では既報の結果 と比較すると,多少の
いては服やバッグとは異なり,LOUIS
変動はあるがほとんど変わっていない。一般女性3
0
や COACH などのラグジュアリーブランドがあげら
代以上はサンプル数が少ないため明確なことは言え
れている。この年代層ではラグジュアリーブランド
ないが、年齢に伴う衣服代の増加は認められず,ファッ
の服やバッグは高価すぎて高嶺の花であるが,財布
ションへの関心度の減少と関連が認められる。
であれば手が出やすいアイテムであることがわかる。
VUITTON
LOUIS VUITTON は1
9
7
0年代ニュートラの流行以来,
次に好きなブランドについての結果を表6に示す。
一般女性3
0代∼5
0代は回答数が少ないため表には示
日本の若い女性に人気が高いブランドであるが6),そ
していない。服とバッグのブランドでは表に示して
の理由がモノグラムシリーズに見られる,ブランド
いないものを含め,CECIL McBEE や LIZ LISA など
としてのわかりやすさであると考えられる。近年同
の渋谷1
0
9ブランド,JEANASIS や earth music &
様なモノグラムシリーズで人気が高まったブランド
ecology などの PARCO 系のブランドなど,いわゆる
が,LOUIS VUITTON よりも比較的低価格な COACH
リアルクローズ系ブランドの人気が高いことが認め
である。このブランドとしてのわかりやすさが,こ
られる。ラフォーレ原宿松山の閉館時に行った同様
れら若い層にとりブランドとしての入り口として受
3∼5)
では,女子高生では TOMMY GIRL,女子
の調査
け入れられていると思われる。
大生では LOWRYS FARM,一般女性(会社員)では
現在は購入できないが,いつかは欲しい憧れのブ
earth music & ecology が約3
0%の人気を誇っていた
ランドについて調べた結果を表7に示す。一般女性
表6
好きなブランド
女子高生
ブランド
OLIVE des OLIVE
服
女子大生
割合
(%)
1
1.
5
ブランド
INGNI
ブランド
割合
(%)
1
0.
4
DOUBLE STANDARD CLOTHING
8.
7
5.
8
one way
5.
2
LOWRYS FARM
8.
7
CECIL McBEE
4.
8
CLUB
4.
2
その他1
9ブランド
8
2.
6
4.
8
earth music & ecology
4.
2
MURUA
4.
2
INGNI
7
3.
1
JEANASIS
4.
2
その他5
0ブランド
asics
COACH
9.
5
CLATHAS
1
2.
5
7.
7
Samantha Thavasa
9.
5
その他3
3ブランド
8
7.
5
OLIVE des OLIVE
7.
7
MARY QUANT
4.
8
5.
8
EGOIST
4.
8
6
5.
3
CHANEL
4.
8
1
8.
2
LIZ LISA
1
3.
5
6
7.
6
Barbie
その他2
8ブランド
財 布
割合
(%)
asics
その他5
9ブランド
バッグ
一般女性 2
0代
LOUIS VUITTON
4.
8
その他3
6ブランド
6
1.
8
Samantha Thavasa
6.
3
COACH
1
8.
4
LOUIS VUITTON
Pinky Girls
6.
3
LOUIS VUITTON
1
1
7.
COACH
LOUIS VUITTON
6.
3
CHANEL
7.
9
Samantha Thavasa
9.
1
COACH
6.
3
Gucci
7.
9
Gucci
9.
1
6.
3
CLATHAS
7.
9
その他2
7ブランド
CLATHAS
その他2
9ブランド
6
8.
5
その他2
1ブランド
7
5
4
0.
8
9.
1
5
4.
5
吉 川 研
表7
一
憧れのブランド
女子高生
ブランド
服
女子大生
割合
(%)
一般女性 2
0代
割合
(%)
ブランド
INGNI
6.
0
BURBERRY
EGOIST
6.
0
CHANEL
9.
5
snidel
6.
0
BEAMS
4.
8
BURBERRY
6.
0
miumiu
4.
8
7
6.
0
rienda
4.
8
EGOIST
4.
8
その他3
2ブランド
1
1.
9
Vivienne Westwood
4.
8
その他2
3ブランド
バッグ
5
4.
6
LOUIS VUITTON
1
5.
5
LOUIS VUITTON
3
1.
1
Celine
1
7.
6
CHANEL
1
5.
5
CHANEL
1
3.
1
CHANEL
1
1.
8
COACH
1
2.
1
Gucci
1
1.
5
COACH
1
1.
8
Gucci
5.
2
COACH
8.
2
Samantha Thavasa
1
1.
8
Samantha Thavasa
3.
4
Hermes
6.
6
その他1
5ブランド
0
4
7.
3.
4
PRADA
4.
9
4
4.
9
miumiu
1
4.
3
miumiu
その他2
6ブランド
財 布
割合
(%)
ブランド
4.
9
その他1
0ブランド
1
9.
7
CHANEL
2
3.
4
CHANEL
2
4.
2
Hermes
LOUIS VUITTON
1
7.
0
LOUIS VUITTON
1
9.
7
LOUIS VUITTON
1
4.
3
1
5.
2
CHANEL
1
4.
3
その他1
0ブランド
5
7.
1
Vivienne Westwood
6.
4
miumiu
BURBERRY
4.
3
Gucci
9.
1
miumiu
4.
3
COACH
6.
1
その他1
5ブランド
4
4.
6
その他1
4ブランド
2
5.
7
(2
0代)の服については未回答であった。服につい
にとり Hermes と並ぶ憧れのブランドでありニーズは
ては,リアルクローズ系のブランドが数多くあげら
高い。
れている。これらのブランドは好きなブランドでは
近年普及しているネットショッピングの利用状況
あるが,現在の彼女たちにとってはやや高価である
について調べた結果を表8に示す。女子大生,一般
ため,将来購入したいという意識の現れであろう。
女性の2
0代∼3
0代では約4
2∼5
1%と比較的高い利用が
これらリアルクローズ系のブランドは以前ラフォー
認められる。女子高生では3
0.
7%とあまり高い利用
レ原宿松山に入っており,その時の調査でも価格の
ではないが、家庭内において利用が禁止されている
3∼5)
高さは指摘されている
。財布では表6の結果と同
ことも関係している。一般女性では年齢の増加に伴
様に,ラグジュアリーブランドがあげられている。
い利用は減少している。スマートフォンの普及によ
女子高生と女子大生では PRADA のセカンドラインブ
りネットショッピングの環境も改善されてきたが,
ランドである miumiu があげられているが,現在全国
表8
的に人気が高いが松山市には出店されていないブラ
ネットショッピングの利用状況
ンドであり,今後出店が望まれるブランドであろう。
割
一般女性(2
0代)であげられている Hermes は,やは
女子高生 女子大生
合(%)
一般女性
り女性にとっての憧れのブランドであることが認め
4
0代
5
0代
する
3
0.
7
4
5.
5
5
1.
4
7
4
1.
3
3.
3
1
1.
8
られる。3つのカテゴリーともにあげられている
しない
6
9.
3
5
4.
5
4
8.
6
5
8.
3
6
6.
7
8
8.
2
計 1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
CHANEL は,いよてつ高島屋から撤退したが,女性
7
6
2
0代
3
0代
女性におけるファッションブランド志向性の経年変化
年齢の高い層ではその影響が認められない。既報3∼5)
高く,仕事や家事などによりショッピングする時間
の調査での女子高生約2
1%,女子大生約1
2%,専門
的余裕がないことによるものと思われる。
学校生(女性)約2
3%,会社員(女性)約4
1%と比
今後のネットショッピングの利用状況について調
較すると6年経過して,ネットショッピングの利用
べた結果を表1
0に示す。現在の利用状況には程度の
が増加していることが認められる。このことは松山
差があると思われるが,少なくとも現状のまま,も
市のショップの売り上げに大きな影響を与えている
しくは増加する傾向が認められる。このことは松山
ことが推察される。
のショップにとり,今後さらに負の影響をもたらす
と考えられる。
ネットショッピングをする理由としては表9に示
すように,
「松山で買えないものが買える」が女子高
一方でネットショッピングを利用しない理由(表
生,女子大生,一般女性2
0代で理由の上位3位以内
1
1)についてみると,
「試着ができない」
,
「色・素材・
にあげられている。このことは現在の松山のショッ
デザインがわかりにくい」
,
「サイズがわかりにくい」
プにおけるブランド展開や商品展開が顧客のニーズ
など予想される理由が高い値を示しているが,既報3∼5)
の多様化に対応できていないことを示している。リ
の結果と同様である。しかしネットショッピングを
アルクローズ系ブランドも Web ストアを開いており,
利用していない人の今後の利用についてみると,表
また ZOZOTOWN のような総合ファションオンライ
1
2に示すように利用者予備軍が認められ,更に松山
ンショップがあり,ファッションへの関心の高い層
市のショップの売り上げに負の影響をもたらすこと
の受け皿となっている。「お店に行く手間が省ける」
が予想される。
は一般女性2
0代∼4
0代が女子高生や女子大生よりも
表9
ネットショッピングを利用する理由
割
女子高生
時間に制約されない
お店に行く手間が省ける
合(%)
一般女性
女子大生
2
0代
3
0代
4
0代
5
0代
9.
0
1
5.
2
1
9.
2
1
6.
7
1
7.
2
0.
0
2
1.
6
1
7.
5
2
6.
9
3
3.
2
3
1.
1
0.
0
安いものから高いものまで買える
1
7.
1
2
1.
6
1
5.
4
1
6.
7
1
7.
2
0.
0
松山で買えないものが買える
3
6.
0
2
8.
1
2
5.
0
2
2.
2
1
3.
8
1
0
0.
0
接客の煩わしさない
6.
3
8.
2
5.
8
5.
6
1
3.
8
0.
0
東京で流行しているものが買える
5
4.
2.
9
1.
9
5.
6
0.
0
0.
0
在庫を自分で確認できる
3.
6
5.
8
5.
8
0.
0
6.
9
0.
0
その他
1.
9
0.
7
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
計
表1
0 ネットショッピングを利用している人の今後の利用状況
割
女子高生
女子大生
合(%)
一般女性
2
0代
3
0代
4
0代
5
0代
とても増える
1
6.
4
7.
4
5.
6
2
0.
0
9.
1
0.
0
やや増える
2
3.
6
3
2.
4
2
2.
2
0
2
0.
9.
1
0.
0
現状のまま
1
0
0.
0
5
0.
9
5
5.
9
7
2.
2
5
0.
0
8
1.
8
やや減る
3.
6
4.
3
0.
0
1
0.
0
0.
0
0.
0
大きく減る
5.
5
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
計
7
7
吉 川 研
一
表1
1 ネットショッピングを利用しない理由
割
女子高生
女子大生
試着ができない
2
1.
7
色・素材・デザインがわかりにくい
合(%)
一般女性
2
0代
3
0代
4
0代
5
0代
2
6.
8
2
7.
8
3
5.
6
3
1.
7
3
0.
0
1
6.
8
1
9.
1
2
5.
6
2
5.
8
2
7.
0
2
7.
5
送料がかかる
1
5.
6
1
4.
5
9.
3
3.
2
7.
9
5.
0
支払いに手間がかかる
1
1.
0
8.
6
2.
3
0.
0
3.
2
5.
0
商品の受け取りに手間がかかる
サイズがわかりにくい
8.
1
3.
6
4.
7
3.
2
4.
8
7.
5
1
7.
1
2
2.
3
6
1
8.
2
9.
0
2
0.
6
2
0.
0
商品に関するアドバイスを受けることができない
3.
1
1.
9
7.
0
0.
0
4.
8
2.
5
その他
6.
6
3.
2
4.
7
3.
2
0.
0
2.
5
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
合
計
表1
2 ネットショッピングを利用していない人の今後の利用状況
割
女子高生
女子大生
利用してみたい
3
4.
6
利用しようと思わない
合
3.2
計
合(%)
一般女性
2
0代
3
0代
4
0代
5
3.
8
5
2.
9
4
2.
9
3
1.
8
5
0代
2
0.
0
6
5.
4
4
6.
2
1
4
7.
5
7.
1
6
8.
2
8
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
1
0
0.
0
過去のファッションブランド志向性
などが加わっている。一般女性2
0代では,1
0代の範
まずファッションを意識し始めた年齢について調
囲が広い(中学校,高校,大学低学年を含む)ため
べた。結果は示していないが,小学生の低学年時は
に高校生向けと女子大生向けの雑誌がともにあげら
少なく,女子高生では小学生高学年∼中学生,女子
れている。年齢が増加するのに伴い,MORE や with
大生では高校生,一般女性では高校生高学年∼大学
のようなファッションのみならずライフスタイル提
生低学年が高い割合を示しており,ファッションを
案型の雑誌もあげられている。4
0代女性が1
0代に読
意識し始める年齢の低年齢化が認められる。これは
表1
3 過去に読んでいたファッション雑誌
現在の低年齢層における情報やブランド展開などの
ファッション環境が影響していると思われるが,今
女子高生
後詳細な検討が必要である。
雑誌
過去に読んでいたファッション雑誌について,女
子高生は小学校∼中学校時代,女子大生は小学校∼
小学校
高校時代について,一般女性は1
0代∼4
0代までにつ
女子大生
割合
(%)
雑誌
割合
(%)
ピチレモン
3
6.
1
ピチレモン
5
1.
4
nicola
2
7.
8
nicola
2
7.
3
Seventeen
1
1.
1
その他4誌
2
1.
3
ニコ☆プチ
1
1.
1
いて調べた。その結果を表1
3と表1
4に示す。女子高
その他3誌
1
3.
9
生と女子大生では,小学校時代にはピチレモンや nicola
Seventeen
3
9.
0
Seventeen
5
2.
2
Popteen
1
5.
9
Popteen
1
3.
4
nicola
1
2.
2
ピチレモン
6.
0
その他1
5誌
3
2.
9
その他9誌
2
8.
4
Popteen
2
3.
6
Seventeen
1
6.
9
JELLY
1
5.
7
その他1
1誌
4
3.
8
といったローティーン向けの定番ファッション雑誌
中学校
が,中学校時代にはそれらに加え高校生向けの定番
ファッション雑誌が加わっている。女子大生は高校
高 校
時代には定番の Popteen や Seventeen に加え女子大生
向けの ViVi やギャル系の JELLY,ストリート系のZipper
7
8
女性におけるファッションブランド志向性の経年変化
表1
4 過去に読んでいたファッション雑誌
2
0代
雑誌
1
0代
割合
(%)
雑誌
4
0代
割合
(%)
雑誌
5
0代
割合
(%)
雑誌
割合
(%)
Seventeen
2
5.
0
non-no
4
5.
5
non-no
4
0.
0
Seventeen
3
3.
3
Popteen
1
7.
9
プチレモン
1
8.
2
Olive
1
3.
3
JJ
3
3.
3
non-no
7.
1
その他4誌
3
9.
2
mc Sister
1
3.
3
その他2誌
3
3.
4
BLENDA
7.
1
その他4誌
3
3.
4
3
3.
3
Zipper
7.
1
ViVi
7.
1
Soup.
その他6誌
2
0代
3
0代
7.
1
3
6.
6
MORE
4
5.
5
MORE
2
5.
0
non-no
non-no
1
8.
2
non-no
2
0.
8
anan
3.
3
3
その他4誌
3
6.
3
anan
2
0.
8
JJ
3
3.
3
その他4誌
3
1.
4
LEE
2
7.
3
VERY
3
3.
3
with
1
8.
2
その他4誌
6
6.
7
その他6誌
5
4.
5
STORY
5
0.
0
その他3誌
5
0.
0
3
0代
4
0代
んでいた Olive や mc Sister は現在廃刊である。Olive
COMME des GARCON などDCブランド系があげら
(マガジンハウス)は男性誌 POPEYE の姉妹誌とし
れ,時代を感じさせる。
て創刊され,1
9
8
0年代にリセエンヌ・ファッション
バッグブランドでは,服と同様にリアルクローズ
を,mc Sister(婦人画報社,現ハースト婦人画報社)
系 ブ ラ ン ド が 中 心 で あ る が,COACH や LOUIS
は男性誌 MEN'S CLUB の姉妹誌として創刊され,
1
9
7
0
VUITTON などのラグジュアリーブランドがあげられ
年代からアイビー・ファッションをコンセプトに高
ている。一般女性4
0代∼5
0代では1
0代時に LOUIS
い人気を誇った。ノンジャンル的な non-no とともに,
VUITTON や Celine,2
0代時に Gucci,PRADA,Herve
その時代の流行ファッションに特化したファッショ
Chapelier などがあげられており,現在の女子高生や
ン雑誌という構成は変わらないが,Olive や mc Sister
女子大生とは異なる傾向が認められる。
の現代版が BLENDA や Zipper,Soup.になっている。
服やバッグと比較すると価格が低く購入しやすい
過去に好きだったファッションブランドについて
財布では,LOUIS VUITTON や CHANEL などのラグ
調べた結果を表1
5に示す。ここでは一般女性は回答
ジュアリーブランドがあげられ,一部の人ではある
数が少なく,またあげられているブランドが多岐に
が低年齢層へのブランド品の浸透が認められる。す
わたっているために表には示していない。
でに中学生で LOUIS VUITTON の財布をもっていた
服ブランドでは,女子高生,女子大生ともに OLIVE
ことには驚かされる。一般女性4
0代∼5
0代では1
0代∼
des OLIVE や LIZ LISA などのリアルクローズ系のブ
2
0代時に LOUIS VUITTON 以外に Gucci,FENDI,
ランドと UNIQLO やしまむらなどのファストファッ
Courreges などがあげられている。
ション系のブランドが中心である。過去の時期によ
最後にブランドを強く意識した思い出になってい
り人気のブランドの順位は多少異なるが,同様の傾
るブランドについて調べた結果を表1
6に示す。どの
向を示している。一般女性4
0代∼5
0代では2
0代時に
カテゴリーもそのほとんどがラグジュアリーブラン
流行していたブランド,BATSU,ROPE,DO! FAMILY,
ドであり,LOUIS VUITTON と COACH は比較的高
7
9
吉 川 研
一
表1
5 過去に好きだったファッションブランド
女子高生
ブランド
割合
(%)
OLIVE des OLIVE
1
5.
3
OLIVE des OLIVE
1
1.
1
LIZ LISA
1
5.
3
Honeys
COCOLULU
8.
3
BURBERRY
8.
3
6.
9
LIZ LISA
8.
3
その他30ブランド
しまむら
5.
6
UNIQLO
5.
6
one way
高 校
4
7.
2
INGNI
1
9.
2
LOWRYS FARM
9.
6
one way
7.
7
OLIVE des OLIVE
5.
8
その他26ブランド
5
7.
7
1
1.
8
1
2.
8
COACH
OLIVE des OLIVE
1
0.
3
Barbie
1
1.
8
Barbie
1
0.
3
その他13ブランド
7
6.
4
その他22ブランド
6
6.
6
Barbie
1
0.
3
高 校
COACH
6.
9
one way
6.
9
RETRO GIRL
6.
9
INGNI
その他17ブランド
中学校
財 布
女子大生
割合
(%)
ブランド
割合
(%)
Barbie
9.
7
Pinky & Dianne
1
1.
1
OLIVE des OLIVE
6.
5
Pinky Girls
1
1.
1
LOUIS VUITTON
6.
5
その他15ブランド
7
7.
8
Samantha Thavasa
6.
5
PLAYBOY
6.
5
Pinky Girl
6.
5
その他16ブランド
5.
6
その他17ブランド
LIZ LISA
バッグ
ブランド
8.
3
しまむら
服
中学校
女子高生
割合
(%)
ブランド
中学校
女子大生
5
7.
8
高 校
LOUIS VUITTON
1
7.
6
CHANEL
1
4.
7
その他19ブランド
6
7.
7
6.
9
6
2.
1
表1
6 思い出のブランド
女子高生
ブランド
COACH
Gucci
LIZ LISA
その他3
7ブランド
一般女性
女子大生
割合
(%)
ブランド
1
0.
9 LOUIS VUITTON
2
0代
割合
(%)
3
0代
割合
(%)
ブランド
ブランド
割合
(%)
2
8.
6 LOUIS VUITTON
4
2.
9 LOUIS VUITTON
3
0.
0
5.
5 COACH
9.
7 CLATHAS
1
4.
3 COACH
1
4.
3 BURBERRY
1
0.
0
5.
5 CHANEL
6.
5 その他8ブランド
5
7.
1 その他6ブランド 4
2.
8 その他1
2ブランド
7
8.
1 Gucci
その他3
2ブランド
1
7.
7 COACH
ブランド
4
0代
割合
(%)
6
0.
0
6.
5
5
9.
6
い割合を示している。LOUIS VUITTON は比較的高
お金で買った,海外旅行のお土産などがあった。
い年齢層にとって,COACH は比較的低い年齢層にブ
3.3
ファッションブランド志向性の経年変化
ランドを強く意識させるブランド品となっている。
一般女性ではサンプル数が少ないカテゴリーがあ
思い出のブランドのアイテムでは,どのカテゴリー
り,また回答数が少ない項目もあり,年代別にみる
も財布やバッグが多く,次いで指輪などのアクセサ
ブランド志向性の経験変化について詳細な検討はで
リー,キーケースやマフラーなどとなっている。思
きない。しかし回答者はファッションへの関心度は
い出のブランド品は,主に入学時のお祝いや誕生日
高いと推察できるため,その年代の全体の傾向は述
などのプレゼントが多く,その他には初めて自分の
べることができないが,その一例として考察する。
8
0
女性におけるファッションブランド志向性の経年変化
ここでは読んでいる,あるいは読んでいたファッショ
たモノグラムのラグジュアリーブランドの人気が高
ン雑誌と,好きな,あるいは好きだったブランドの
く,また低年齢化も認められる。憧れのブランドと
2点から考察する。
してもラグジュアリーブランドがあげられており,
ファッション雑誌からは,その雑誌の特徴により
高いブランド志向性と,あげられているブランド数
ファッションの志向性やそれに伴うブランド志向性
から特定のブランドへの志向性が認められる。結果
を評価することが可能である。現代の女性ファッショ
としては示していないが,憧れの靴ブランドとして
ンの主な購買層である女子高生,女子大生,一般女
JIMMY CHOO をあげている女子高生や,Christian
性2
0代ではファッションへの関心も高いが,non-no
Louboutin をあげている女子大生もおり,ごく一部で
系のノンジャンル志向層とその年代をターゲットと
はあるが極めて高いブランド志向性層も認められる。
したコンサバ系,ギャル系雑誌が中心である。それ
0代
バブル期に青春時代を迎えた一般女性4
0代∼5
以外にもストリート系や古着系などがあげられ,こ
では回答数が少なく明確なことは言えない。しかし
の年代の志向性の多様化が顕著に認められる。
現在でも服は EMILIO
PUCCI,バッグは Hermes
それに対し一般女性,特にバブル期に青春時代を
が好きと回答している人もいることから,ブランド
過ごしたであろう4
0代∼5
0代では年齢に伴うファッ
志向性の高いコンサバ系も,割合としては少ないか
ションへの関心度の減少により,ファッション雑誌
もしれないが存在していることが認められる。過去
の読者数は減少している。しかし回答数は少ないが,
に好きだったブランドからはその時代に流行したブ
VERY,STORY,HERS などの雑誌を読んでいる人も
ランドがあげられ,時代を反映した結果となってい
認められる。これらの雑誌は1
9
7
0年代ニュートラを
る。バッグでは LOUIS VUITTONN 人気は過去から
取り上げた光文社の JJ の姉妹雑誌で,JJ(1
9
7
5年創
現在まで変わっておらず,最近好きになったブラン
刊,
1
9
7
8年より月刊化)が2
0才前後を,CLASSY(1
9
8
4
ドとして COACH が加わっている傾向が認められる。
年創刊)が2
5∼3
0才を,VERY(1
9
9
5年創刊)が3
0代
モノグラムのブランドとしてのわかりやすさ,LOUIS
を,STORY(2
0
0
2年創刊)が4
0代を,HERS(2
0
0
8年
VUITTON よりは低価格であるための購入のしやすさ
創刊)が5
0代をターゲットとしたコンサバ系雑誌で
が,ブランド志向を満足させているのかもしれない。
ある。現在 JJ 第1世代は現在5
0代後半,バブル期に
青春時代を迎えた世代は現在4
0代前半∼であり,JJ
4.総
読者層の年齢の増加に伴い対応する雑誌を出す光文
括
社の戦略が認められる。ラグジュアリーブランドの
女性のファッションブランドの志向性を明らかに
洗礼を受けた JJ 第1世代は,もちろん全体としての
する目的で,女子高生,女子大生,一般女性2
0代∼
割合は減少していることが想像できるが,ブランド
5
0代を対象に,読んでいるファッション雑誌と好き
好きに変わりがなく,その年代ごとに応じたグレー
なファッションブランドを現在と過去,ネットショッ
ドの高いブランドを求めていることが推察される。
ピングの利用状況などについて調べた。その結果,
これに対し,現代の志向性が多様化した若い層では,
以下のことが明らかとなった。
現在の志向性がそのまま継続されるとは考えにくく,
1)女子高生,女子大生,一般女性2
0代では,リア
今後の方向性は未知数である。
ルクローズ系の人気が高く,志向性の多様化が認
次いでブランドに注目してみてみる。女子高生,
められる。財布などではラグジュアリーブランド
女子大生,一般女性2
0代といった若い層では,渋谷
への志向性が高い。
1
0
9系のリアルクローズ系ブランドの人気は高い。し
2)バブル期に青春時代を過ごした一般女性4
0代∼
かし特に財布では LOUIS VUITTON や COACH といっ
5
0代では現在ファッションへの関心は低いが,読
8
1
吉 川 研
んでいるファッション雑誌からは一部の人にブラ
ンド志向性が認められる。
3)ネットショッピングの利用は,若い年代を中心
に3
0∼5
0%認められ,現在利用している人も利用
していない人も含め今後増加することが予想され
る。このことはブランド志向の多様化を反映して
いると考えられる。
参考文献
1)アクロス編集室;ストリートファッション1
9
4
5
‐
1
9
9
5若者スタイルの5
0年史,P1
6
0,PARCO 出版
(1
9
9
5)
2)日本雑誌協会HP;http : //www.j-magazine.or.
jp
3)吉川研一,池田由貴子,高山朋子;松山東雲短
期大学研究論集,3
8,6
1(2
0
0
7)
4)吉川研一,池田由貴子,高山朋子;松山東雲短
期大学研究論集,3
8,6
9(2
0
0
7)
5)吉川研一,池田由貴子,高山朋子;松山東雲短
期大学研究論集,3
9,7
5(2
0
0
9)
6)JJ6月号特別付録,P2
2,光文社(1
9
8
9)
8
2
一