ベトナムの労働許可証 の基礎知識 <主な根拠規定> ・2012 年労働法 ・Decree 102/2013/ND-CP ・Circular 03/2014/BLDTBXH ・Resolution 47/NQ-CP(専門家) ・Circular 41/2014/TT-BTC(免除者) ・Decree 95/2013/ND-CP(罰則) 2014 年 8 月 ベトナム会計事務所(http://www.vn-office.com) ~目次~ 第 1 章 対象者(取得者と申請者) ................................................1 1. 外国人労働者(=取得者) ............................................................................................ 1 2. 外国人労働者の雇用者(=申請者) ............................................................................. 3 第 2 章 取得免除対象者 .................................................................5 1. 取得免除対象者 .............................................................................................................. 5 2. 取得免除に係る申請手続き ............................................................................................ 7 第 3 章 雇用計画の承認 .................................................................9 1. 請負業者でない雇用者の場合 ........................................................................................ 9 2. 請負業者である雇用者の場合 ...................................................................................... 10 第 4 章 取得手続き ...................................................................... 12 1. 実務上の取得手続き..................................................................................................... 12 2. 法令上の取得手続き..................................................................................................... 13 第 5 章 申請書類一式 ................................................................... 15 第 6 章 有効期間 .......................................................................... 21 1. 最初の発給時................................................................................................................ 21 2. 更新または再発行時..................................................................................................... 21 第 7 章 更新、再発行 ................................................................... 23 1. 更新 .............................................................................................................................. 23 2. 再発行........................................................................................................................... 24 第 8 章 回収................................................................................. 26 第 9 章 罰則................................................................................. 27 1. 雇用者への罰則 ............................................................................................................ 27 2. 外国人労働者への罰則 ................................................................................................. 27 第 10 章 雇用者・注文者・外国人労働者の責任 ........................... 29 1. 雇用者の責任................................................................................................................ 29 2. 発注者の責任................................................................................................................ 30 3. 外国人労働者の責任..................................................................................................... 31 第1章 対象者(取得者と申請者) 労働許可証の規定は、その対象者となる外国人労働者とそれを申請する外国人労働者の雇 用者が従う必要があります。以下にてそれぞれの対象範囲を説明しています。 1. 外国人労働者(=取得者) ベトナムで働く外国人労働者は、一定の条件を満たす場合に、労働許可証を取得してベトナ ムにて働くことができます。 ここで、以下の事項を具体的に説明してきます。 ベトナムで働く外国人労働者とは、どのような人なのか? 一定の条件とは、どのような条件なのか? (1)ベトナムで働く外国人労働者 ベトナムで働く外国人労働者とは、次のいずれかの形態で働く外国人のことです (Decree102-2 条 1 項) 。 1 労働契約に基づく就労 企業内異動 内容 企業内異動による外国人労働者とは、ベトナムの商業拠点(*)を設立し た外国企業の管理者、経営責任者、専門家並びに技術者であり、一時的 2 に企業内異動によりベトナムの商業拠点に赴任し、かつその外国企業 に 12 ヶ月以上在籍している者である(Circular 102-3 条 1 項) 。 、②合弁企業、外資系企業、 (*)商業拠点とは、①事業協力契約(BCC) ③駐在員事務所、外国企業の支店のことである(Resolution 47-3 条) 。 次の契約または合意の履行 3 実務ビジネス、金融、銀行、保険、科学・技術、文化、スポーツ、教育、 職業訓練、健康 4 契約によるサービスの提供 1 |労働許可証 内容 ベトナムに商業拠点を有しない外国企業に 2 年以上在籍し、専門家の 要件(後述)を満たす外国人が対象となる(Circular 03-2 条 1 項) 。 販売活動 内容 5 ベトナムに居住していない、ベトナムのいかなる源泉からも報酬を得 ていない、並びにサービス提供者の代表者としての行為に関連する活 動を行い、一般消費者への直接販売や販売行為を行わず、販売交渉を行 う外国人が対象となる(Circular 03-2 条 2 項) 。 6 ベトナムの法律に従い活動が認められているベトナムに所在する外国の非政府 組織(NGO)または国際組織における勤務 ボランティア 7 内容 ボランティアとは、ベトナムが加盟する国際合意を遂行する目的で自 発的動機によってベトナムで働き、報酬を貰わない外国人労働者であ る(Circular 102-3 条 2 項)。 8 商業拠点の設立を担当する者 9 管理者、経営責任者、専門家、技術者 10 ベトナムにおける契約やプロジェクトの実施 (2)一定の条件 外国労働者が満たすべき一定の条件とは、次のとおりです(Decree 102-9 条) 。 1 法律で定める民事行為能力を有していること(年齢が 18 歳以上等) 2 担当業務に適した健康状態であること 3 管理者、経営責任者、専門家、技術者であること ・管理者、経営責任者 管理者、経営責任者とは、組織や企業の経営(組織や企 業または組織や企業の事業単位の運営、特殊技能を有す る者・管理者・その他上位職者の監督を含む)に直接参 加する外国人労働者である(Circular 03-2 条 3 項) 。 ・専門家 専門家とは、専門家として認識されるか、または技術者、 学士の水準を持ち、その分野で 5 年以上の職歴を有する 外国人である(Decree 03-3 条 3 項) 。 ・技術者 技術者とは、1 年以上の専門技術分野の訓練を受け、そ の分野において 3 年以上の職歴がある外国人である (Decree 03-3 条 4 項) 。 4 ベトナムの法律および外国の法律に従って、犯罪または刑事責任を追及された 者でないこと 2 |労働許可証 5 権限機関の書面によって外国人労働者の雇用が承認されていること 2. 外国人労働者の雇用者(=申請者) 外国人労働者の雇用者とは、以下のいずれかであり、外国人労働者のために労働許可証の申 請を行い、雇用状況を半年ごとに労働傷病兵社会福祉局(以下、労働局)に報告する義務を 負っています(Circular 102-2 条 2 項) 。 1 企業法、投資法、ベトナムが加盟する国際条約に従って活動する企業 2 外国契約者、ベトナム側契約者(元請企業、下請企業) 3 権限機関の承認を受けた駐在員事務所、支店、代理店、組織、契約者 4 国家機関 5 外国の非政府組織、政治組織、社会政治組織、社会政治職業組織、社会組織、社 会職業組織、ベトナムにある国際組織 6 法律に従って設立されたサービス業の代理店 7 ベトナムにある外国のプロジェクトまたは国際組織の事務所 8 ベトナムにある業務提携契約の外国パートナーの事務所 9 ベトナムにある法律サービスを行う組織 10 共同組合法に従って設立し活動する共同組合と共同組合連会 11 法律に従って事業活動が認められる事業世帯や個人 例えば、企業内異動によりベトナムの現地子会社に出向する駐在員の場合、上述 1 の雇用 者が申請者となりその駐在員のために労働許可証を取得する必要があります。また、ベトナ ム企業との建設プロジェクトの契約に従ってベトナムで働く外国人の場合、上述 2 のベト ナム側契約者が申請者となりその外国人の労働許可証を取得することになります。 3 |労働許可証 現地採用される外国人労働者は、労働許可証を取得する責任のある雇用者がその責任を果 たさない場合、自らが行政処分により国外強制退去の可能性があるため、雇用者に対してそ の責務を果たすように促す必要があるでしょう。労働契約の締結時には、雇用者に労働許可 証の取得を確認することをお勧めします。 4 |労働許可証 第2章 取得免除対象者 1. 取得免除対象者 上述の通り、原則として、ベトナムで働く外国人労働者は、一定の条件を満たす場合に、労 働許可証を取得してベトナムで働くことができます。しかし、例外的に以下に該当する外国 人労働者は、労働許可書の取得することなくベトナムで働くことができます。 (1) 販売活動を目的として、ベトナムに 3 ヶ月未満滞在する外国人 2012 年労働法- 172 条 4 項 (2) 有限責任会社の出資者または所有者である外国人 内容 (3) 1 人有限会社の所有者である外国人 2 人以上有限会社の出資者である外国人 株式会社の取締役会の構成員である外国人 2012 年労働法- 172 条 1 項 2012 年労働法- 172 条 2 項 (3) (4) ベトナムにある国際組織または非政府組織(NGO)の駐在員事 2012 年労働法- 務所またはプロジェクトの代表者である外国人 172 条 3 項 生産経営に影響を与える不足の事態を処理するために入国する 2012 年労働法- 外国人 172 条 5 項 内容 生産経営に影響を与える、または影響を与える恐れの ある事故や複雑な技術上の不足な事態が生じ、ベトナ ム人専門家とベトナム滞在中の外国人では処理でき ない場合、これを処理するためにベトナムに 3 ヶ月未 満滞在する外国人 (5) ベトナムの弁護士業の資格を持つ外国人弁護士 内容 弁護士法の規定に基づいて、ベトナムで弁護士業の許 2012 年労働法- 172 条 6 項 可書の発給を受けた外国人弁護士 (6) ベトナムが加盟した国際条約の規定に基づく外国人 2012 年労働法- 172 条 7 項 (7) 政府の規定によるその他の場合 2012 年労働法- 172 条 8 項 5 |労働許可証 (8) WTO 公約の 11 分野において社内異動で赴任する外国人 内容 Circular 102- 世界貿易機関(WTO)加盟時に公約した、①実務ビジ 7 条 1 項 a ネス②情報③建設④流通⑤教育⑥環境⑦金融⑧医療 ⑨観光⑩文化・娯楽⑪運輸の 11 サービス分野に属す る企業で、社内異動で赴任する外国人 申請手 続き 次の申請書類を提出する(Circular 41-5 条) 。 労働許可証免除申請書 氏名、年齢、性別、国籍、パスポート番号、勤務 開始日および終了日、職位が記載された履歴書 ベトナム勤務に関する任命状 実務経験証明書 転勤の前に少なくとも 12 ヶ月間、本社で勤務し たことを証明できる書類 会社の事業内容がベトナムの WTO サービス分 野公約に規定された 11 分野のサービス業に属 するという証明書(登記簿、投資証明書等) (9) ODA プロジェクトで入国する外国人 内容 ベトナムと外国の担当機関との間で締結した、政府開 Circular 102- 7条1項b 発援助(ODA)に関する国際条約の規定または合意に基 づき、ODA 資金を使用するプログラム、プロジェクト の研究、建設、審査決定、追跡評価、管理、実施の業 務のため、専門的および技術的な問題について相談を 提供する、またはその他の任務を実行するためにベト ナムに入国する外国人 (10) (11) 外務省が発行したベトナムにおけるメディア・プレス許可書を取 Circular 102- 得している外国人 7条1項c 外国組織からベトナムに派遣された外国人教師 (*1) Circular 102- 内容 駐越外国公館(大使館や領事館)または在越国際組織 7条1項d の管理するインターナショナルスクールにて教鞭を とるために外国の組織からベトナムに派遣された外 国人教師 (12) ボランティアの目的で入国する外国人(*1) Circular 102- 7 条 1 項 dd (13) 科学研究に関するコンサル・指導・研究を行う外国人 Circular 102- 6 |労働許可証 内容 修士号以上の学位を有し、高等学校または職業訓練学 7条1項e 校にて科学研究に関するコンサルタント、指導、実施 を行う外国人(このためにベトナムに 30 日間以内で 滞在する場合に限る) 高等学校または職業訓練学校は、外国人労働者がコン サルティング、教育訓練、科学研究を行うことを書面 にて承認しなければいけない。 (14) 中央政府機関、地方政府機関、中央レベル社会政治組織が締結し Circular 102- た国際条約を実施する目的でベトナムに入国する外国人 7条1項g 内容 中央政府機関、地方政府機関、中央社会政治組織は、 締結した国際条約を実施するために外国人労働者が ベトナムに入国することについて、労働許可証発行の 機関へ書面にて通知しなければいけない。 (15) Circular 102- 労働省の要請により首相が決定するその他の外国人 7条1項h (*1) 駐越外国公館または在越国際組織が発行する証明書が必要である。 <注意>駐在員事務所長、支店長の取り扱いは? かつて免除対象であった駐在員事務所長及び支店長は、現行規定では、労働許可証の取得が必 要になっています。 2. 取得免除に係る申請手続き 労働許可証の取得免除対象者は、その免除が自動的に適用されるのではなく、以下の手順に て労働省の免除証明書を入手する必要があります。 ステップ 1:申請書類の提出 雇用者は、勤務開始日の 7 日前までに労働局の承認を受けるために、以下の申請書類一式 を提出します(Decree 102-8 条 2 項、3 項、Circular 03-11 条) 。 No ① 提出書類 労働許可証の取得免除対象者に関する認証申請書 領事 翻訳 認証 公証 × × 備考 所定書式(様式 10)を使用 ② 労働許可証が免除となる外国人労働者のリスト × × フルネーム、年 7 |労働許可証 齢、性別、国籍、 パスポート番 号、勤務機関、 役職を記載。 ③ 労働許可証の取得が免除される外国人労働である ことを証明する書類 × ○ オ リ ジ ナ ル (1 部)とコピー(1 部)を用意 ステップ 2:証明書の発行 申請書類一式に不備がなければ、その受領日から 3 営業日以内に、労働傷病兵社会福祉省 (以下、労働省)は雇用者に証明書(様式 11)を発行します。本証明書が発行されない場 合は、書面にてその理由を返信します(Decree 102-8 条 4 項、Circular 03-11 条)。 8 |労働許可証
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