萩市業務継続計画

萩市業務継続計画
平成29年3月
萩
市
目 次
第1章 総則
1 業務継続計画策定の目的
1
2 業務継続計画の効果
2
3 地域防災計画と業務継続計画との関係
3
4 業務継続の基本方針
3
5 被害状況の想定
4
6 発動と解除
6
第2章 非常時優先業務の選定
1 非常時優先業務の選定基準
7
2 非常時優先業務の選定結果
8
第3章 業務継続体制の確立
1 指揮命令系統の確立(職務代行)
9
2 職員参集体制
10
3 必要資源の確保
12
第4章 業務継続計画の定着に向けて
1 業務継続計画の継続的な改善
14
2 教育・訓練
15
3 点検・見直し
17
(別冊)非常時優先業務一覧
第1章 総則
1 業務継続計画策定の目的
地震等による大規模災害が発生した際、地方公共団体は、災害応急対策や災害か
らの復旧・復興対策の主体として重要な役割を担う一方、災害時であっても継続し
て行わなければならない通常業務を抱えている。
しかしながら、過去の災害では、地方公共団体自体が被災し、庁舎や電気・通信
機器の使用不能等により災害時の対応に支障を来たした事例が見受けられた。
萩市が定めている地域防災計画では、災害予防、災害応急対策、災害復旧・復興
について定めているが、役所の人員や施設・設備等が甚大な被害を受けた場合の対
応まで規定していなかった。
そこで、萩市役所自体が被災し、人、物、情報等利用できる資源に制約がある非
常事態になっても、優先的に実施すべき業務(非常時優先業務※)を的確に行える
よう、業務の執行体制や対応手順、継続に必要な資源の確保等をあらかじめ定める
ため、「萩市業務継続計画」(BCP(Business Continuity Plan))を策定するも
のである。
※非常時優先業務とは
大規模な災害時であっても優先して実施すべき業務のこと。具
体的には、災害応急対策や早期実施の優先度が高い復旧・復興業務(これらを「応急業
務」と総称)のほか、業務継続の優先度の高い通常業務が対象となる。
図1 非常時優先業務のイメージ
-1-
2 業務継続計画の効果
〇 災害発生時には、業務量が急激に増加し、極めて膨大なものとなるが、業務継
続計画を策定(継続的改善を含む。)することにより、非常時優先業務を適切か
つ迅速に実施することが可能となる。
〇 具体的には、地域防災計画では明らかでなかった「行政も被災する深刻な事態」
も考慮した非常時優先業務の執行体制や対応手順が明確となり、非常時優先業務
の執行に必要な資源の確保が図られることで、災害発生直後の混乱で行政が機能
不全になることを避け、早期により多くの業務を実施できるようになる。
また、自らも被災者である職員の睡眠や休憩、帰宅など安全衛生面の配慮の向
上も期待できる。
図2 業務継続計画の効果
※1
業務継続計画の策定により、資源制約がある状況下においても非被災地からの応援
や外部機関の活用に係る業務の実効性を確保することができ、受援計画等と相まって、
100%を超える業務レベルも適切かつ迅速に対応することが可能となる。
※2
訓練や不足する資源に対する対策等を通じて、計画の実効性等を点検・是正し、レ
ベルアップを図っていくことが求められる。
-2-
3 地域防災計画と業務継続計画との関係
地域防災計画が、災害予防、災害応急対策、災害復旧・復興について実施すべき事
項を定めているのに対し、業務継続計画は、応急業務に限らず、優先的に実施すべき
通常業務を含めた業務の継続性を確保するために実施すべき事項を定めており、地域
防災計画を補完し、その実効性を高める役割を担っている。
表1 地域防災計画と業務継続計画との比較
地域防災計画
業務継続計画
作成者
萩市防災会議
萩市
対象
萩市、防災関係機関、事業者、市 萩市
民等
計画の目的
災害対策基本法に基づき、発災時 発災時に必要資源に制約がある状況
又は事前に実施すべき災害対策 下であっても、非常時優先業務を目
に係る実施事項や役割分担等を 標時間・時期までに実施できるよう
対象業務
規定する。
にする。
・災害予防
・災害応急対策
・災害応急対策
・早期実施の優先度が高い災害復
・災害復旧・復興
旧・復興
・優先度の高い通常業務
業務開始目標時 規定なし
非常時優先業務ごとに業務開始目標
間
時間を設定
4 業務継続の基本方針
大規模地震発生時における市としての責務を全職員が共有し、全うするため、以下
に示す 3 つの基本方針に基づき、業務継続を図るものとする。
1 大規模地震が発生した際は、市民の生命、身体及び財産の保護のため、非常時
優先業務の遂行に全力を挙げる。
2 非常時優先業務の遂行目標を設定するとともに、目標の実現のために必要な資
源の確保と適切な配分を行う。
3 想定される大規模地震の発災に備え、平常時であっても全庁的取組として業務
継続力の向上に努める。
-3-
5 被害状況の想定
本計画では、冬場の3ケースの時刻(早朝 5 時、昼 12 時、夕方 18 時)で、萩北断
層を震源とするマグニチュード6.8の地震が風速15mのときに発生した場合(萩
市中心部で震度6強、広い範囲で震度5強以上)を想定し、業務継続計画を策定する
ものとする。
表2 市全体の被害想定
萩北断層 直下型(県北部)
地震による自然現象(共通)
地震規模
M6.8
震源の深さ
18.6㎞
萩市の最大震度
震度別容積率
6強
震度6強
2%
震度6弱
23%
震度5強
47%
震度5弱
27%
震度4以下
1%
急傾斜地崩壊
土砂災害
建物被害
ライフライン
324箇所
地すべり
3箇所
山腹崩壊
51箇所
全壊棟数
2,006棟
半壊棟数
6,418棟
上水道
(1日後の断水人口) 40,361人
下水道
(機能支障人口)10,862人
電力
(停電戸数)
通信
(固定電話不通回線数) 509回線
避難所生活者
26,858戸
12,000人
1日後の
帰宅困難者
(平日の昼間)2,235人
生活支援
物資不足量
(1日後の食糧需要)34,000食
仮設トイレ不足数
(1日後)124基
早朝 5 時発災
火災
人的被害
昼 12 時発災
夕方 18 時発災
出火件数
2件
3件
3件
焼失棟数
622棟
743棟
743棟
死者数
107人
93人
92人
重傷者
68人
63人
63人
軽傷者
578人
507人
504人
自力脱出困難者
201人
172人
171人
-4-
表3 市役所本庁舎の被害想定
項目
庁舎
市役所本庁舎の被害想定
【本庁舎】
・本庁舎は耐震性が低いため甚大な被害が発生し、大部分が倒壊
し使用不能
【消防庁舎】
・隣接の消防庁舎は、新耐震基準を満たしているため倒壊せず、
使用可能
・ただし、建物内は棚・機器等は転倒により、業務再開までに3
日間程度必要
電力
・発災直後は断線等により、3日間程度は電力が供給されない可
能性あり
・消防庁舎は、非常用発電機により24時間の稼動が可能
上水道
・管路や浄水場の被害又は停電による断水が発生
・復旧には1週間程度を要する見込み
下水道
・管路や処理場等の被害又は停電により利用不能
・復旧には1週間程度を要する見込み
電話
【固定電話】
・大量アクセスにより輻輳が発生し、ほとんど不通。3日間程度
は通話規制される可能性あり
・災害時優先電話、衛星通信電話のみ使用可能
【携帯電話】
・大量アクセスにより輻輳が発生し、ほとんど不通。3日間程度
は通話規制される可能性あり
・メールは概ね利用可能であるが、遅延が発生する可能性あり
情報システム
・庁内LAN、基幹系パソコンデータ、情報系パソコンデータに
ついては、クラウド化によりバックアップデータがあるため、
被害なし
パソコン
・本庁舎の大半が損壊して使用不能
飲料水・食料等 ・職員自身による食料等の調達が困難
(職員用)
-5-
6 発動と解除
(1)発動の決定
本計画を発動する時期については、次のように設定する。
①市内で震度6弱以上の地震発生
業務継続計画を自動的に発動する。
②上記以外の自然災害
以下の場合において、災害対策本部において計画の発動が必要と判断したと
きは、災害対策本部長が本計画を発動する。
・市役所本庁舎に甚大な被害が生じた場合
・市内で広範囲に被害が発生し、全職員の参集が必要な場合
(2)発動時の対応
災害対策本部長が業務継続計画を発動した場合には、不急の業務は休止し、非
常時優先業務の継続に全職員が取り組む。
(3)業務継続計画の解除
災害応急対策がおおむね完了し、大半の通常業務が再開されたと認められたと
き、災害対策本部長が本計画を解除する。
(4)計画の発動・解除の伝達方法
職員への伝達は、防災メール又は電話により実施する。
-6-
第2章 非常時優先業務の選定
1 非常時優先業務の選定基準
発災時に資源等の制約を伴う状況下で業務継続を図るためには、優先的に実施する
業務を時系列で絞り込むことが必要となる。このため、非常時優先業務の候補となる
各業務を対象に、発災後いつまでに業務を開始・再開する必要があるか(この時期の
ことを「業務開始目標時間」という。
)を検討し、業務開始目標時間に開始・再開すべ
き業務を非常時優先業務として選定する。
表4 業務開始目標時間別業務選定基準表
業務開始目標時間
① 発災~
3時間以内
② 3時間~
1日以内
③ 1 日~
3日以内
④ 3日~
1 週間以内
該当する業務の考え方
代表的な業務例
・初動体制の確立
・災害対策本部の設置・運営
・市役所機能の維持・復旧
・被害の把握
・被災状況の把握
・救助・救急活動
・救助・救急の開始
・避難所の開設・運営
・避難所の開設
・市民への災害広報 等
・応急活動(救助・救急以外)
・避難生活者支援
・二次被害予防
・各種施設の応急復旧
・協定締結団体への応援要請
・重大な業務の手続き
・避難生活に係る物資等の確保 等
・避難生活対応(健康管理、入浴等)
・被災者への支援
・早期に対処しなければ市民生活に影
響を与える業務
・災害ごみの収集
・被災地の消毒等衛生管理業務
・建築物の危険度判定 等
・被災者の通常生活復帰に係る業務
・窓口機能の回復
・支援物資の受付・管理・配分
・相談窓口の設置
・り災証明書の発行 等
・生活再建支援に係る業務
⑤ 1 週間~
1 ヶ月
・復旧・復興業務
・教育再開に係る業務
・その他の行政機能の回復
・窓口業務(届出受理、証明書発行等)
・義援金等の配分 等
・発災後、1 ヶ月を超え実施しなくて
⑥ 1 ヶ月~
も、市民生活や業務遂行に直ちに影
響を与えない業務
-7-
2 非常時優先業務の選定結果
選定基準により選定した結果、非常時優先業務は552件、その他の業務は326
件となる(詳細は別冊「非常時優先業務一覧」を参照)
。この非常時優先業務について
は毎年点検を行い、継続的な見直しにより内容を改善(レベルアップ)していく。
表5 部署別の非常時優先業務件数
部署名
区分
その他
非常時優先業務
業務
業務
~3H
~1D
~3D
~1W
~1M
1M~
各部署共通
応急
7
0
0
0
0
0
総務企画部
応急
21
5
4
3
1
0
通常
3
2
4
9
11
44
応急
2
1
1
0
0
0
通常
0
0
1
0
5
31
応急
0
3
7
3
3
1
通常
0
1
11
16
13
27
応急
8
14
4
1
2
2
通常
1
9
2
26
26
33
応急
0
12
0
3
3
0
通常
0
2
2
4
20
26
応急
0
4
5
0
2
0
通常
0
0
0
0
4
21
応急
11
8
4
4
1
2
通常
0
0
1
0
18
11
まちじゅう博物館推進
応急
3
2
4
1
1
3
部
通常
3
0
3
3
4
25
上下水道部
応急
8
5
5
2
0
0
通常
0
6
8
3
19
43
技術検査室・会計・議
応急
1
1
1
0
0
1
会・選管・監査・農委
通常
4
3
3
4
10
27
教育委員会
応急
4
3
2
3
2
0
通常
1
0
1
3
8
20
応急
2
0
0
0
0
0
通常
18
1
8
7
44
9
応急
67
58
37
20
15
9
通常
30
24
44
75
182
317
市民活動推進部
市民部
保健福祉部
農林水産部
商工観光部
土木建築部
消防本部
合計
-8-
第3章 業務継続体制の確立
1 指揮命令系統の確立(職務代行)
発災時の指揮命令系統を維持するために、責任者が不在又は連絡が取れない場合に
おいても必要な意思決定がなされるように、あらかじめ職務を代行する者を定める必
要がある。
(1)市長(災害対策本部長)不在時の代行順位
第1順位
副市長
第2順位
総務企画部長
第3順位
保健福祉部長
第4順位
市民部長
(2)各部長不在時の代行順位
① 部次長(あらかじめ部長が指定した順位)
② 課長(あらかじめ部長が指定した順位)
(3)各課長不在時の代行順位
① 課長補佐(あらかじめ課長が指定した順位)
② 係長(あらかじめ課長が指定した順位)
◆職務を代行する際の留意事項
・職務代行者が全員不在となることがないように、課長以上の管理職が県外へ出張又
は旅行(私事を含む)する場合は、課長は担当部長、担当部長は総務企画部長にあ
らかじめ報告する。
・責任者が参集できない状況にあっても、連絡手段が確保され、責任者の指示を仰ぐ
ことが可能な場合は、権限の委任は行わない。
-9-
2 職員参集体制
(1)参集体制
勤務時間外に大規模災害が発生した場合の参集体制は以下のとおりである。
表6 職員の参集体制
参集場所
参集範囲
①本庁舎
・自宅から本庁舎までの距離が15km 未満の者
②総合事務所・支 ・総合事務所・支所・出張所勤務で、上記①以外の者
所・出張所
・本庁勤務で、自宅から本庁舎までの距離が15km 以上の
者
※自宅に最も近い総合事務所・支所・出張所に参集
③指定避難所
・避難所指定職員
(2)参集可能人員
本庁舎に参集する職員の参集可能人員は以下のとおりである。
表7 本庁舎の参集可能人員(本庁職員のみ)
3時間以内
参集人数
1日以内
288人
参集率(%)
3日以内
314人
390人
73.8% 80.5%
100%
※上表は徒歩で参集した場合の数値
(3)非常時優先業務の必要人員
非常時優先業務を継続的に実施するために必要な人員は以下のとおりである。
表8 非常時優先業務の必要人員(本庁職員のみ)
3時間以内
必要人員
158人
1日以内
3日以内
309人
389人
1週間以内
1月以内
567人
542人
(4)人員の確保
大規模災害の発生時は、業務量が急激に増加し、各部署の職員だけでは非常時優
先業務が実施できない部署が生じてくる。そのため、非常時優先業務を円滑に実施
するため、必要人員が余剰の部署から不足している部署へ、必要な人員を応援に回
すための人員調整を行う必要がある。
-10-
ア)庁内の人員調整
① 各部署において人員不足により非常時優先業務が実施できない場合は、総
務課に応援を要請する。
② 総務課は、各部署と調整して他部署より応援可能な人員を確保する。
イ)他自治体等への応援要請
庁内での応援では人員が足りない場合は、他自治体等へ応援を要請する。
① 他自治体等からの応援が必要な部署は、総務課に申し出る。
② 状況に応じて、担当課から、又は総務課から他自治体等へ応援を要請する。
③ 応援受入後の負担等の事務処理は、総務課が行う。
【応援の種類】
・災害時の対応に関する協定(山口県、県内市町、姉妹都市等と締結してい
る協定)に基づく応援
・消防や水道など、全国規模の制度によって既に作成されている受援計画に
基づく応援
ウ)その他人員確保のための措置
① OB職員の活用
② ボランティア、NPO等との連携
③ 民間事業者への外部委託
(5)職員の健康管理
長期間に及び緊急業務遂行により、多くの職員は心身ともに疲弊することが想
定される。そうすると、非常時優先業務の実施に支障を来たすようになるだけで
なく、二次災害の発生も懸念される。
そのため、災害対策が長期化する大規模災害の場合は、職員の健康管理に留意
し、必要な休息の時間(1週間に最低1日の休日)を確保する。
-11-
3 必要資源の確保
(1)庁舎
市役所本庁舎は、昭和49年7月に竣工したもので、耐震性が低いため、大規模災
害によって倒壊するおそれがある。
そのため、本庁舎が使用不能となった場合の代替施設を消防庁舎、萩市地域医療連
携支援センター及び萩市保健センターとし、災害時の臨時行政窓口として使用する。
ただし、消防庁舎と地域医療連携支援センター、保健センターは、全職員を移転す
るスペースがないため、本庁舎隣接地に建設予定の(仮称)新総合福祉センター(平
成30年10月供用開始予定)に災害対策機能を付加させ、本庁舎の代替施設の中核
として活用する。
表9 本庁舎の代替施設
施設名
消防庁舎
萩市地域医療連携支援セン
ター
萩市保健センター
建築年度
床面積
平成 11 年 2,031 ㎡ 萩市大字江向 428 番地 2
平成 25 年
899 ㎡ 萩市大字平安古町 208 番地 1
昭和 61 年
794 ㎡ 萩市大字平安古町 209 番地 1
(仮称)新総合福祉センタ 平成 30 年 4,560 ㎡
ー
住所
(予定)
(予定)
萩市大字江向 510 番地
(2)電力
消防庁舎については、連続使用可能時間が24時間の非常用自家発電設備がある
のみで、萩市地域医療連携支援センター及び萩市保健センターについては、非常用
電源が確保されていない。
そのため、(仮称)新総合福祉センターに非常用発電機を設置し、停電時にバッ
クアップ電源を供給する。燃料は3日間分をオイルタンクに備蓄しておく。
(3)上下水道
上水道については、水道水の管路の破損等により断水となることが想定されるた
め、(仮称)新総合福祉センターに非常用の飲用水、雑用水を備蓄する設備を設置
する。
-12-
下水道については、断水や下水道破断時に備え、
(仮称)新総合福祉センターに非
常用排水槽を設置する。
(4)通信手段
現在、災害時の電話通信機能を確保するため配備している衛星携帯電話2台、移
動系無線3台、災害優先電話12台、消防救急デジタル無線を活用する。
また、携帯電話によるメールやSNS(フェイスブック、ツイッター等)も活用
する。
ネットワークについては、現在の電算室からのネットワークを、既定の本庁舎経
由に加え、本庁舎外経由の経路を追加し、複線化する。
(5)重要な行政データ
〇電子データ
主に住民情報など重要な行政情報を取り扱う「基幹系ネットワーク」に係る行
政データについては、クラウド化を完了しているが、緊急性のある業務継続に必
要となるサーバについては、
(仮称)新総合福祉センター内へ移動する。
また、職員が基幹系ネットワーク以外の業務で使用する「情報系ネットワーク」
に係る行政データについては、本庁舎に隣接する電算室においてバックアップし
ている。
〇紙媒体
災害時の臨時行政窓口業務に備え、優先的に行う業務に必要な書類については、
あらかじめ(仮称)新総合福祉センター内に保管する。
それ以外の書類については、耐震性の高い総合事務所の空きスペースに保管す
る。
(6)職員のための備蓄
災害発生時は、昼夜を問わず災害対応や各業務に従事しなければならないため、
飲料水、食料、毛布等を備蓄しておく必要がある。そのため、(仮称)新総合福祉
センターに災害用物資保存庫を設置し、避難者の物資と併せて保存する。
また、下水道が使用できない場合に備えた仮設トイレや、業務に使用する消耗品
等の備蓄を検討する。
-13-
第4章 業務継続計画の定着に向けて
1 業務継続計画の継続的な改善
「萩市業務継続計画」
(BCP)は、計画が形骸化し実効性を失うことがないよう、
BCPの策定がゴールではなく、計画の進行管理、職員への定着・習熟や継続的な改
善が必要である。
そのため、策定後もPDCAサイクルにより毎年計画を点検し、常に改定・見直し
を行うことにより、
「進化しつづける計画」として業務継続力の向上を図ることとする。
PLAN(計画)
計画の策定
ACTION(改善)
計画の
計画の改定・見直し
継続的改善
DO(実行)
教育・訓練等の実施
CHECK(評価)
点検・検証
課題の抽出
図3 業務継続計画のPDCAサイクルのイメージ
■各部署の役割
部署名
防災危機管理課
内容
・市全体の業務継続計画の統括・運用管理
・PDCAサイクルの進行管理 等
総務課
・職員参集体制の管理
・緊急連絡体制の管理 等
各部署
・非常時優先業務の点検・見直し
・部署別の職員行動マニュアルの点検・見直し
・保存データのバックアップの確認 等
-14-
2 教育・訓練
発災時に的確に業務継続を図るためには、業務継続計画の内容等を職員等に周知・
浸透させ、さらに各部署が発災時に自律的に行動できるよう、防災に対する当事者意
識の喚起と対応能力の向上を図ることが重要である。
(1)教育・訓練等の実施計画
業務継続計画の実効性を高めていくためには、教育・訓練を繰り返し実施して
いくことが重要である。このため、教育や訓練の計画等を策定し、職員等に対す
る教育・訓練を着実に実施していく。
特に訓練においては、
業務継続に資するよう資源制約を想定に入れて実施する。
表10 教育・訓練等の実施計画
教育・訓練の種類
内容
職員 の安否確認 訓練 徒歩、自転車等による参集訓練及び参集できない場合の
及び参集訓練
連絡訓練を実施する。
避難訓練
庁舎外等への職員の避難や来庁者等の避難誘導を実施
する。
災害 対策本部の 設置 災害対策本部員の参集、本部の設置・運営を行う。
及び運営等訓練
代替 庁舎への移 転訓 行政機能を代替庁舎へ移転するための手順を確認する。
練
非常 用発電機の 稼動 非常用発電機の起動や電力供給の状態を確認する。
訓練
通信・情報システム対 通信・情報システムが不能となった場合の対応を訓練す
策訓練
る。
災害図上訓練
シナリオを設定し、災害対策本部や各部署における対応
の確認や判断力を養う訓練を行う。
計画説明会
全職員を対象に、業務継続計画の内容について説明す
る。
管理職研修会
管理職として業務継続計画発動時に実施すべき事項を
確認する。
資源の確認
発災時に使用する施設・資機材、食料等の使用手順や備
蓄状況を確認する。
その 他必要な防 災訓 必要に応じて、上記以外に萩市地域防災計画に規定され
練
た防災訓練を実施する。
-15-
(2)職員行動マニュアルの作成
・大規模な災害が発生しても、職員一人ひとりが非常時優先業務を的確に実施し
できるように、全職員に職員行動マニュアルを配付する。
・この職員行動マニュアルは、部署ごとに作成する。
(3)平常時からの備え
① 職員の取組み
・災害時における職員自身及び家族の安全確保対策(安全な避難場所、避難ル
ート)を決めておく。
・家族との安否確認が速やかに行えるように、連絡方法を決めておく。
・各家庭で、非常時持出品の準備や3日分程度の食料、飲料水等の備蓄に努め
る。
・防災メールは必ず登録しておく。
② 職場での取組み
・職員の安否確認や参集状況の確認のために、緊急連絡体制を確立しておく。
・大規模災害発生時の職員一人ひとりの役割分担を決めておく。
-16-
3 点検・見直し
業務継続計画の点検・見直しについては、以下の考え方に基づいて、全庁的に実施
する。
■点検・見直しの考え方
①BCP策定までに検討した各事項について見直しが必要か
・被害想定
・非常時優先業務と業務開始目標時間
・業務継続に必要な資源 等
②BCPの実効性の検証結果等によって見直しが必要か
・訓練等により抽出した課題
・他の被災した地方公共団体での知見や教訓 等
③BCPに関連する他の計画等の変更によって見直しが必要か
・地域防災計画、その他の災害対応マニュアルの変更
・国、県等の計画やガイドラインの変更
・組織体制や所掌事務等の改正 等
発災時に実際に機能する計画とするためには、人事異動や連絡先の変更があった場
合には遅滞なく更新するなどの時点修正はもちろん、訓練や被災経験、被災地への支
援経験等を通じて、定期的に計画の実効性等の点検・見直しを行い、レベルアップを
図っていかなければならない。
特に訓練等は、点検・見直しを行うよい機会であり、単に対応力の向上の機会とす
るだけでなく、点検・見直しの機会としても有効活用していく。
また、これらを通じて得られた教訓や知見等は、それらを体制・計画に反映させる
とともに、組織内で有効活用ができるよう情報を共有していく。
■点検・見直しの流れ
組織改編・人事異動
随時修正
連絡先の変更
訓練等の実施
検証
課題の抽出
被災自治体の知見等
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見直しの
定期的に
検討
見直し