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2017 年 3 月 10 日
博報堂研究開発局、 「2017 年 生活者の社会意識調査」を実施
・約8割の生活者が社会問題に「関心がある」と回答。割合は年々低下傾向
・関心が高いのは「年金制度・老後の生活」「高齢介護・医療体制」「インターネット犯罪」など
・生活者の4割程度が「社会・環境に配慮している商品」を購入
博報堂研究開発局では生活者に関する様々な調査・研究を実施しておりますが、その一環として、生活者の社会意
識や社会行動などについて研究分析するため、2010 年より「社会意識・行動に関する調査」を実施しています。この度、
第 6 回目にあたる 2017 年調査の結果が出ましたので、ご報告いたします。
<調査結果ポイント>

社会問題に「関心がある」と答えた人は約 8 割だが、年々、低下傾向にある。

生活者の関心が高い社会問題では「年金制度や老後の生活への不安」「高齢者介護・医療体制への不安」
「インターネット犯罪」「社会マナーの低下」「国家財政の赤字拡大」「雇用の不安定化」などが上位に。

関心の高い社会問題は、性年代によって違いがあるが「年金制度や老後の生活への不安」「高齢者介護・医
療体制への不安」など、少子高齢社会に関する項目はおしなべて関心が高い。

「社会のために役立ちたい」と考えている生活者は約 7 割。その比率は年々、微減傾向。

社会貢献活動を普段から行っている人は約 2 割。過去も含めて何らかの経験がある人は半数程度。

「社会・環境に配慮している商品」を積極的に購入する生活者は4割程度。 「社会・環境に配慮していない商
品」を「買わない」と答えた生活者は約 6 割。

社会・環境問題に積極的に取り組む企業に「好感が持てる」は 76.8%。「その企業の商品・サービスを買いた
い・利用したい」「その企業を信頼できる」も約 4 割。
2
<詳細データ>

社会問題に「関心がある」と答えた生活者は約 8 割。 その比率は年々、低下傾向。
社会問題に対して「(とても+やや)関心がある」と答えた生活者は回答者の約 8 割。高い関心を集めていることがわ
かります。ただし、時系列でみると、2010 年調査時には約 9 割が「関心がある」と回答しており、その比率は年々、低下
傾向にあります。
年代別では 60 代の関心度が高く、年齢が若くなるにつれて関心度が低下しますが、30 代では若干高めとなりました。
Q.あなたは、国内外で起きている様々な社会問題に対して、どの程度関心がありますか。
とても関心がある
0%
10%
20%
2017年
23.4
2016年
23.1
2013年
やや関心がある
30%
どちらともいえない
40%
50%
60%
まったく関心がない
70%
80%
53.1
90%
17.0
59.0
28.3
2010年
あまり関心がない
100%
5.8
13.2
58.9
30.4
4.2
0.7
0.6
8.6
3.8 0.4
8.4
3.8 0.4
57.0
Q 社会問題関心度 年代別 (2017年調査)
とても関心がある
0%
10代
20代
30代
20%
14.5
30%
どちらともいえない
40%
あまり関心がない
50%
60%
47.0
19.0
27.5
25.0
50代
25.5
29.0
まったく関心がない
70%
80%
90%
27.0
52.5
40代
60代

10%
やや関心がある
17.0
51.5
9.5
2.0
10.0
1.5
17.0
51.5
19.0
58.5
57.5
100%
4.0 4.0 0.5
12.0
10.0
4.0 3.5 -
生活者の関心が高い社会問題では「年金制度や老後の生活への不安」「高齢者介護・医療体制への不安」
「インターネット犯罪」「社会マナーの低下」「国家財政の赤字拡大」「雇用の不安定化」などが上位に。
様々な領域の社会問題(35 項目)への関心度を尋ねたところ、特に関心が高かったのは、「年金制度の崩壊など、老
後の生活への不安」となり、「とても関心がある」で約 4 割、「やや関心がある」まで合わせると、8 割以上の生活者が「関
3
心がある」と回答しました。続いて、「高齢者の介護・医療体制への不安(とても関心がある:28.1%)」が高くなって
おり、生活者は少子高齢社会に関連する問題に、特に高い関心を寄せているようです。
その他にも、「インターネット犯罪」「社会マナーの低下」「国家財政の赤字」「雇用の不安定化」「少子化の進展」「職
場での長時間労働の慢性化」「大震災への備え」など多様な社会問題に対して「とても関心がある」と回答した生活者
は約 2 割程度となりました。「やや関心がある」まで合わせると6~7割程度が「関心がある」と回答しており、生活者が
様々な社会問題に関心を寄せていることが分かります。
Q.国内外で起きている次のような社会問題について、あなたはどの程度関心がありますか。
(5段階のうち 「とても関心がある(TOPBOX)」
(%)
35項目中上位項目を抜粋)
50.0
41.1
40.0
28.1
30.0
26.3
25.8
23.9
23.6
23.5
22.6
22.6
22.5
22.3
21.3
(
ワ
ー
ク
ラ
イ
フ
バ
ラ
ン
ス
)
不
登
校
児
の
増
加
20.0
10.0
老
後
の
生
活
へ
の
不
安

年
金
制
度
の
崩
壊
な
ど
、
体
制
へ
の
不
安
高
齢
者
の
介
護
・
医
療
犯
罪
や
不
安
の
リ
ス
ク
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
が
生
む
倫
理
な
ど
の
低
下
社
会
マ
ナ
ー
、
道
徳
、
拡
大
、
破
綻
危
機
国
家
財
政
の
赤
字
失
業
・
リ
ス
ト
ラ
な
ど
)
(
非
正
規
の
増
加
、
雇
用
の
不
安
定
化
出
生
率
低
下
な
ど
)
(
未
婚
率
増
加
、
少
子
化
の
進
展
労
働
の
慢
性
化
職
場
で
の
長
時
間
大
震
災
へ
の
備
え
国
を
あ
げ
た
放
射
性
廃
棄
物
の
処
理
原
子
力
発
電
の
再
稼
働
、
働
く
人
の
仕
事
と
生
活
の
調
和
学
校
で
の
い
じ
め
や
関心の高い社会問題は、性年代によって違いがあるが「年金制度や老後の生活への不安」「高齢者介護・医
療体制への不安」など、少子高齢化に関する項目はおしなべて関心が高い。
性年代ごとに関心の高い社会問題を見ていくと、それぞれの年代の特徴が見られますが、30 代以上の全ての性年代
で「年金制度や老後の生活への不安」は高い関心を集めていました。
対象者に学生も含まれる 10 代では、「いじめ・不登校」が特徴的に高くなりました。10-30 代では「雇用の不安定化」
「長時間労働」「ワークライフバランス」など、労働や働き方に関する項目への関心が高くなっています。また子育て世代と
なる 30 代女性では「いじめ・不登校」「子どもの知力・学力低下」が高く、40 代になると男女ともに「社会マナーの低下」
「インターネット犯罪」への関心が高くなり、子どもの成長と共に、社会マナーやインターネット犯罪などへも不安を抱くように
4
なるのではないかと推察されます。50 代では「介護・医療体制への不安」が高く、自身の親の健康や介護の問題などに
直面する年代である影響がありそうです。60 代では「原発再稼働・放射性物質処理」が特徴的に高くなりました。
順位
1
2
3
3
5
10代男性
雇用の不安定化
長時間労働
いじめ・不登校
国家財政の赤字拡大
化石燃料・資源の枯渇
(%)
25.0
24.0
22.0
22.0
21.0
順位
1
2
3
3
3
10代女性
長時間労働
いじめ・不登校
インターネット犯罪
学校教育の崩壊
ワークライフバランス
(%)
25.0
24.0
21.0
21.0
21.0
順位
1
2
3
4
5
20代男性
長時間労働
年金制度の崩壊
雇用の不安定化
ワークライフバランス
国家財政の赤字拡大
(%)
41.0
40.0
33.0
32.0
28.0
順位
1
2
3
4
4
4
20代女性
年金制度の崩壊
ワークライフバランス
長時間労働
少子化の進展
介護・医療体制への不安
雇用の不安定化
(%)
46.0
43.0
36.0
30.0
30.0
30.0
順位
1
2
3
3
5
5
5
30代男性
年金制度の崩壊
社会マナーの低下
国家財政の赤字拡大
少子化の進展
長時間労働
ワークライフバランス
介護・医療体制への不安
(%)
44.0
36.0
34.0
34.0
31.0
31.0
31.0
順位
1
2
3
4
5
30代女性
年金制度の崩壊
いじめ・不登校
インターネット犯罪
子どもの知力学力低下
長時間労働
(%)
50.0
41.0
38.0
37.0
35.0
順位
1
2
2
4
4
40代男性
年金制度の崩壊
社会マナーの低下
インターネット犯罪
国家財政の赤字拡大
雇用の不安定化
(%)
43.0
29.0
29.0
26.0
26.0
順位
1
2
3
4
5
40代女性
年金制度の崩壊
介護・医療体制への不安
インターネット犯罪
社会マナーの低下
国家財政の赤字拡大
(%)
53.0
37.0
28.0
25.0
24.0
順位
1
2
3
4
5
5
50代男性
年金制度の崩壊
介護・医療体制への不安
社会マナーの低下
国家財政の赤字拡大
少子化の進展
大震災への備え
(%)
45.0
28.0
27.0
24.0
21.0
21.0
順位
1
2
3
4
5
5
5
50代女性
年金制度の崩壊
介護・医療体制への不安
インターネット犯罪
原発再稼働・放射性物質処理
社会マナーの低下
雇用の不安定化
食の安全性への不安
(%)
55.0
40.0
34.0
26.0
23.0
23.0
23.0
順位
1
2
3
4
5
60代男性
年金制度の崩壊
原発再稼働・放射性物質処理
少子化の進展
介護・医療体制への不安
国家財政の赤字拡大
(%)
37.0
35.0
32.0
31.0
30.0
順位
1
2
2
4
5
60代女性
年金制度の崩壊
介護・医療体制への不安
原発再稼働・放射性物質処理
大震災への備え
国家財政の赤字拡大
(%)
42.0
37.0
37.0
32.0
31.0
5

「何か社会のために役立ちたい」と考えている生活者は約 7 割。その比率は年々、微減傾向。
「何か社会のために役立ちたいと思っていますか」と聞いた質問では、「そう思っている」が 21.8%、「やや思っている」と
合わせると 69.5%となりました。多くの生活者が社会のために役立ちたいと考えていることが分かります。
ただ時系列でみると「そう思っている」の比率は、年々じわじわと低下傾向にあり、2010 年には「思っている」計が
76.5%ありましたが、2017 年には 7 割を切る結果となりました。
Q.あなたは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。
そう思っている
0%
10%
20%
30%
どちらともいえない
あまり思っていない
40%
60%
50%
2017年
21.8
47.8
2016年
20.9
50.5
2013年
25.7
2010年

やや思っている
思っていない
70%
80%
20.7
19.5
50.7
27.7
90%
17.2
48.8
100%
7.8
2.0
6.7
2.4
5.8
18.2
4.5
0.8
0.8
社会貢献活動を普段から行っている生活者は約 2 割。過去も含めて何らかの経験がある生活者は半数程度。
社会貢献活動を「(よく+たまに)している」と答えた生活者は約 2 割、「したことがある」まで含めて半数程度が、社会
貢献活動の経験があると回答しました。多くの生活者が「社会の役に立ちたい」と思いながらも、実際に行動に移すことへ
の敷居の高さがあるのかもしれません。時系列では、2013 年調査時と比較すると減少していますが、昨年調査との比
較では微増となっています。
Q.あなたは普段、お住まいの地域やNPO団体、職場などで、社会貢献活動をしていますか。
よくしている
0%
10%
2017年
5.3
2016年
4.5
2013年
6.3
2010年
5.9
13.9
13.8
20%
たまにしている
30%
40%
30.9
31.1
14.8
9.8
したことがある
50%
60%
したことはない
70%
80%
49.9
50.7
34.5
30.8
44.5
53.6
90%
100%
6

「社会・環境に配慮している商品」を選択する意思のある生活者は4割程度。 「社会・環境に配慮していない
商品」を買わないと答えた生活者は約 6 割。
社会・環境配慮型商品の購入について聞いた質問では、「社会課題や環境に配慮した商品であれば、よく知らないブ
ランドでも買う」に「あてはまる」と答えた人が 43.0%、「社会課題や環境配慮商品なら価格が多少高くても買う」では
36.2%となり、社会・環境配慮型商品を前向きに選択する意思のある生活者は約3~4割となりました。
一方で、「社会や環境に不誠実な企業の商品は買わないようにしている」に「あてはまる」と答えた人は 66.1%、「社
会や環境に悪い影響を与える商品は買わないようにしている」では 61.0%となり、約 6 割の生活者が、社会・環境に配
慮していない商品」を選択しないと答えています。今後の意向について聞いたところ、「社会や環境に悪い影響を与える
商品は買わないようにする」について「そうしたい」計は 76.8%となり、4 人に 3 人が不買の意志を示しました。
また、信頼する企業が取り組む社会貢献活動であれば「寄付してもよい」は 50.9%、「参加してもよい」は 38.8%とな
っており、4~5割が何らかの形で企業の社会貢献活動をサポートしたいと考えている様子がうかがわれます。
社会・環境配慮型商品の購買/不買や、企業が行う社会貢献活動への参加は、生活者にとってはより身近な「社
会の役に立つ行動」のひとつとして捉えられているのかもしれません。
Q. 社会・環境配慮商品の購買と企業の社会貢献活動への意識について
(%)
70.0
(4段階のうち「あてはまる」+「ややあてはまる」)
66.1
61.0
60.0
54.6
53.3
50.9
50.0
43.0
40.0
38.8
36.2
35.5
34.9
30.0
24.6
21.5
20.0
10.0
-
い
よ
う
に
し
て
い
る
社
会
や
環
境
に
不
誠
実
な
企
業
の
商
品
は
買
わ
な
に
し
て
い
る
社
会
や
環
境
に
悪
影
響
な
商
品
は
買
わ
な
い
よ
う
物
を
買
う
際
、
新
品
に
は
こ
だ
わ
ら
な
い
い
よ
う
に
し
て
い
る
資
源
無
駄
使
い
回
避
の
た
め
物
を
あ
ま
り
買
わ
な
ば
寄
付
し
て
も
よ
い
信
頼
す
る
企
業
が
取
組
む
社
会
貢
献
活
動
で
あ
れ
ブ
ラ
ン
ド
で
も
買
う
社
会
課
題
や
環
境
配
慮
商
品
な
ら
よ
く
知
ら
な
い
ば
参
加
し
て
も
よ
い
信
頼
す
る
企
業
が
取
組
む
社
会
貢
献
活
動
で
あ
れ
く
て
も
買
う
社
会
課
題
や
環
境
配
慮
商
品
な
ら
価
格
が
多
少
高
伝
え
て
も
よ
い
企
業
の
社
会
貢
献
活
動
に
対
し
て
自
分
の
意
見
を
話
す
こ
と
が
あ
る
企
業
の
社
会
貢
献
活
動
に
つ
い
て
友
達
や
家
族
に
物
を
買
わ
ず
に
、
人
か
す ら
る 借
り
た
り
人
と
シ
ェ
ア
慮
し
た
商
品
を
買
う
多
少
品
質
が
落
ち
て
も
、
社
会
課
題
や
環
境
に
配
7

社会・環境問題に取り組む企業に「好感が持てる」は 76.8%。「その企業の商品・サービスを買いたい・利用し
たい」「その企業を信頼できる」も約 4 割。
「社会課題や環境問題に取り組む企業」に対して、「好感が持てる」と答えた生活者は 76.8%。また、「その企業の商
品・サービスを買いたい・利用したい」「その企業を信頼できる」はそれぞれ 4 割程度となりました。
企業の社会・環境問題への取り組みは、企業イメージに好影響を与えるだけでなく、その企業の商品・サービスを積極
的に利用するきっかけにもなると言えそうです。
Q. 社会課題や環境問題に取り組んでいる企業について、
(%)
80.0
76.8
あなたのお気持にあてはまるものを全てお選びください。
60.0
43.2
40.4
40.0
15.2
20.0
13.5
10.4
そ
の
企
業
の
フ
ァ
ン
に
な
る
あ
て
は
ま
る
も
の
は
な
い
そ
の
企
業
に
好
感
が
持
て
る
を
買
い
た
い
・
利
用
し
た
い
そ
の
企
業
の
商
品
・
サ
ー
ビ
ス
そ
の
企
業
を
信
頼
で
き
る
を
他
人
に
も
勧
め
た
い
そ
の
企
業
の
商
品
・
サ
ー
ビ
ス
【2017 年調査 調査概要】

調査手法:インターネット WEB 調査 (Hi-panel アンケートモニターを使用)

調査対象者:16-69 歳男女 N=1,200 名 (性年代での均等割り付け)

対象地域:首都圏・京阪神圏

調査時期:2017 年 2 月 10 日~14 日
※ 過去調査については、同様の調査設計にて、各年 2 月中旬~3 月上旬ごろに実施
【お問い合わせ】博報堂広報室 竹本・西尾
TEL:03-6441-6161
FAX:03-6441-6166